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明細書 :貴金属ナノシートの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-031042 (P2018-031042A)
公開日 平成30年3月1日(2018.3.1)
発明の名称または考案の名称 貴金属ナノシートの製造方法
国際特許分類 B22F   9/24        (2006.01)
H01M   4/88        (2006.01)
C22B  11/00        (2006.01)
C22B   3/44        (2006.01)
B22F   1/00        (2006.01)
H01M   4/92        (2006.01)
FI B22F 9/24 E
H01M 4/88 K
C22B 11/00 101
C22B 3/44
B22F 1/00 K
H01M 4/92
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2016-162840 (P2016-162840)
出願日 平成28年8月23日(2016.8.23)
発明者または考案者 【氏名】竹中 壮
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4K001
4K017
4K018
5H018
Fターム 4K001AA01
4K001AA04
4K001AA41
4K001BA24
4K001DB17
4K017AA02
4K017BA02
4K017CA08
4K017DA01
4K017DA09
4K017EJ01
4K017FB02
4K018BA01
4K018BB01
4K018BB05
5H018BB01
5H018BB12
5H018BB17
5H018DD08
5H018EE03
5H018EE05
5H018EE16
5H018HH08
5H018HH10
要約 【課題】グラフェンをテンプレートに利用した貴金属ナノシート(特に白金ナノシート)の製造方法を提供する。
【解決手段】親水性の貴金属塩を、親水性溶媒に溶解させて溶液を調製する工程Aと、当該溶液を、疎水性溶媒に滴下して液滴状の状態とした後、前記疎水性溶媒に酸化グラフェンを添加して撹拌を行う工程Bと、疎水性溶媒中に残存する酸化グラフェンを取り除いた後、オートクレーブ中で150~190℃の温度にて加熱を行う工程Cを含む。上記工程Cで得られた生成物にアルコール中で超音波を照射すると、箔状の貴金属ナノシートが当該アルコール中で分散され、箔状の貴金属ナノシートを取り出すことができる(工程D)。貴金属塩としては、白金塩、パラジウム塩、ロジウム塩が挙げられ、親水性溶媒としては、水、多価アルコールが挙げられ、疎水性溶媒としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼンが挙げられる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
親水性の貴金属塩を、親水性溶媒に溶解させて溶液を調製する工程Aと、
前記工程Aで得られた溶液を、疎水性溶媒に滴下して液滴状の状態とし、その後、前記疎水性溶媒に酸化グラフェンを添加して撹拌を行う工程Bと、
前記疎水性溶媒中に残存する酸化グラフェンを取り除いた後、オートクレーブ中で150~190℃の温度にて加熱を行う工程C
を含むことを特徴とする貴金属ナノシートの製造方法。
【請求項2】
更に、前記工程Cで得られた生成物にアルコール中で超音波を照射して、箔状の貴金属ナノシートが当該アルコール中に分散した状態とした後、当該貴金属ナノシートを取り出す工程Dを含むことを特徴とする請求項1に記載の貴金属ナノシートの製造方法。
【請求項3】
前記工程Aにおける親水性の貴金属塩が、白金の塩、パラジウムの塩及び、ロジウムの塩からなる群より選ばれたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の貴金属ナノシートの製造方法。
【請求項4】
前記工程Bにおける疎水性溶媒が、ヘキサン、シクロヘキサン及びベンゼンからなる群より選ばれたものであることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の貴金属ナノシートの製造方法。
【請求項5】
前記工程Cにおける加熱が、160~180℃の温度で、3時間以上行われることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の貴金属ナノシートの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、貴金属ナノシートの製造方法、特に白金ナノシートの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高価な貴金属は触媒に利用されるが、触媒反応は触媒表面で起こるため、数原子層厚さの貴金属ナノシートを触媒に利用できれば、貴金属の使用量を大幅に低減することができる。2次元物質である金属ナノシートは、通常、厚さが極めて薄く、ナノメートルオーダーであるのに対して、面方向の大きさがその数十倍から数百倍以上という高い異方性を有しており、触媒、電極材料、センサーなどへの応用が進められている。
金属ナノシートについては、一般に層状の金属酸化物の剥離と還元によるトップダウン法および界面活性剤を鋳型に用いたボトムアップ法による製造法が検討されているが(例えば、下記の特許文献1及び2)、剥離を利用した方法の場合には、出発物質として層状化合物が必要であること、又、界面活性剤を利用した方法の場合には、金属ナノシートから界面活性剤を除去するのが困難であるという問題があった。
【0003】
又、下記の非特許文献1には、グラフェンの酸化体である酸化グラフェンを鋳型(テンプレート)に利用して、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化スズ等の金属酸化物ナノシートを製造する方法が提案されているが、酸化グラフェンを鋳型に利用した貴金属ナノシートの製造例は報告されていない。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2010-280977号公報
【特許文献2】特開2006-228450号公報
【0005】

【非特許文献1】S. Takenaka, S. Miyake, S. Uwai, H. Matsune and M. Kishida: J. Phys. Chem. C 2015, 119, 12445-12454
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、比較的簡単な工程により貴金属ナノシートを製造することが可能な方法を提供することを課題とする。
本発明者は、種々検討を行った結果、親水性の貴金属塩を親水性溶媒に溶解させた溶液を準備し、当該溶液をヘキサン等の疎水性溶媒に滴下して液滴状の状態とし、ここに酸化グラフェン粉末を添加して撹拌を行い、続いてオートクレーブ内にて一定温度(150~190℃)で加熱することにより、貴金属ナノシートが調製できることを見出して、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
貴金属ナノシートを製造するための本発明の方法は、
親水性の貴金属塩を、親水性溶媒に溶解させて溶液を調製する工程Aと、
前記工程Aで得られた溶液を、疎水性溶媒に滴下して液滴状の状態とし、その後、前記疎水性溶媒に酸化グラフェンを添加して撹拌を行う工程Bと、
前記疎水性溶媒中に残存する酸化グラフェンを取り除いた後、オートクレーブ中で150~190℃の温度にて加熱を行う工程C
を含むことを特徴とする。
【0008】
又、本発明は、上記の特徴を有した貴金属ナノシートの製造方法において、更に、前記工程Cで得られた生成物にアルコール中で超音波を照射して、箔状の貴金属ナノシートが当該アルコール中に分散した状態とした後、当該貴金属ナノシートを取り出す工程D
を含むことを特徴とするものである。
【0009】
又、本発明は、上記の特徴を有した貴金属ナノシートの製造方法において、前記工程Aにおける親水性の貴金属塩が、白金の塩、パラジウムの塩及び、ロジウムの塩からなる群より選ばれたものであることを特徴とするものである。
【0010】
又、本発明は、上記の特徴を有した貴金属ナノシートの製造方法において、前記工程Bにおける疎水性溶媒が、ヘキサン、シクロヘキサン及びベンゼンからなる群より選ばれたものであることを特徴とするものである。
【0011】
更に、本発明は、上記の特徴を有した貴金属ナノシートの製造方法において、前記工程Cにおける加熱が、160~180℃の温度で、3時間以上行われることを特徴とするものでもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法を用いることによって、酸化グラフェンを鋳型に利用し、白金ナノシート等の貴金属ナノシートを比較的簡単な工程により製造することができ、当該製法にて得られた金属ナノシートは、高機能性のグラフェンと複合化されているために、触媒等への応用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本明細書の実施例において得られた貴金属ナノシート(白金ナノシート)を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した際のTEM画像であり、(b)は、図1(a)の拡大画像である。
【図2】本明細書の実施例において得られた貴金属ナノシート(白金ナノシート)の電子線回折観察を行った際の電子線回折像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の貴金属ナノシートの製造方法における各工程について説明する。
最初の工程Aにおいては、親水性の貴金属塩を親水性溶媒に溶解させて溶液を調製するが、本発明に適した貴金属の塩としては、白金の塩、パラジウムの塩、ロジウムの塩等が挙げられ、親水性溶媒としては、水、アルコール(例えば、エタノール)又は多価アルコール(例えば、エチレングリコール、1,2‐プロパンジオール等)が挙げられる。本発明では特に、工程Aにて使用する溶液として、親水性の白金塩である塩化白金酸HPtClを含有する水溶液が好ましく、当該水溶液における白金濃度は15~50重量%であることが好ましい。

【0015】
次に、本発明の製法における工程Bでは、前記工程Aで得られた溶液を、疎水性溶媒に滴下して液滴状の状態とし、その後、この疎水性溶媒に酸化グラフェンを添加して撹拌を行う。前記工程Aで得られた溶液を疎水性溶媒に滴下した際、当該溶液は疎水性溶媒に溶解せず、液滴状となって沈降した状態で存在する。そして、この状態の疎水性溶媒の中に粉末状の酸化グラフェンを添加して撹拌を行うと、親水性溶媒中に溶解した貴金属塩の周囲に酸化グラフェンが集まり、親水性溶媒内において2次元シート状の酸化グラフェンの層状構造の間に親水性の貴金属塩が入り込み、酸化グラフェンの表面上に存在する水酸基等の含酸素官能基により担持されて貴金属原子が平面的に配列される。撹拌を行う時の液温度と時間は、使用する疎水性溶媒の種類によって適宜選択できるが、疎水性溶媒としてシクロヘキサンを使用した場合には30~40℃で2~4日間、撹拌を行うことが好ましい。尚、液滴中に含まれる貴金属:添加される酸化グラフェンの重量比率は、1:1~10の範囲であることが好ましく、特に1:3~5の範囲であることが好ましい。
この工程Bにて使用される疎水性溶媒は、前記工程Aで調製された溶液と混ざり合わないものであれば良いが、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン等が好ましい。又、この疎水性溶媒に添加される酸化グラフェンとしては、粉末の形態にて市販されているものが使用できるが、出発原料としてグラファイトを準備し、これを酸化させて調製したものであっても良く、溶液の形態で市販されているものを凍結乾燥させたものでも良い。

【0016】
本発明における工程Cでは、前記工程Bにおいて親水性の貴金属塩が入り込むことなく疎水性溶媒中に残存する過剰の酸化グラフェンを取り除いた後、オートクレーブ中で150~190℃の温度にて加熱を行うことによって、貴金属が還元され、酸化グラフェンの層状構造の間に貴金属ナノシートが形成される。この加熱は、160~180℃の温度にて、3時間以上、好ましくは6時間程度行うことが好ましい。
貴金属を還元する際の還元力は、工程Aにおいて親水性の貴金属塩を溶解させる溶媒の種類によって変動すると考えられ、適度な還元力を有した溶媒であることが好ましく、本発明では、水や多価アルコール(特に、エチレングリコール等)が好適である。

【0017】
尚、本発明では、前記工程Cで得られた生成物にアルコール中で超音波を照射して、箔状の貴金属ナノシートが当該アルコール中に分散した状態とし、箔状の貴金属ナノシートを取り出すことができる(工程D)。超音波照射を行う際には、市販の超音波照射装置が使用できる。

【0018】
以下、実施例に基づいて本発明の製造方法を具体的に説明するが、本発明はこの実施例により限定されるものではない。
【実施例】
【0019】
[貴金属ナノシートの製造例]
工程A:親水性の白金塩として塩化白金酸HPtClを含有する水溶液(白金濃度:1000g/L)を調製した。
工程B:100mlのビーカーにシクロヘキサン30mlを入れ、上記工程Aで調製した塩化白金酸の水溶液2.8μl(20wt%)を、マイクロピペットを用いて滴下し、ビーカーの底に塩化白金酸水溶液が液滴状(小球状)で沈降した状態とし、その後、凍結乾燥させた粉末状の酸化グラフェン10mgを添加して35℃で3日間撹拌を行った。
工程C:撹拌終了後、シクロヘキサン相に残存した酸化グラフェンを除去し、市販のオートクレーブ中で180℃にて6時間、加熱を行った。
工程D:上記工程Cで得られた生成物を2‐プロパノール中で超音波を照射することによって分散させ、箔状の白金ナノシートを取り出した。
【実施例】
【0020】
上記の工程A~Dにより得られた白金ナノシートについて、透過型電子顕微鏡(TEM)観察及び、電子線回折観察を行った。図1(a)には、この白金ナノシートのTEM画像が示されており、図1(b)には、図1(a)の拡大画像が示されている。又、図2には、この白金ナノシートの電子線回折像が示されており、これらの画像から、酸化グラフェンをテンプレートとして利用する本発明の製造方法により、白金(貴金属)が平面的に配列したナノシートが製造できることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の製造方法を用いて得られる貴金属ナノシートは、燃料電池用の触媒等として有用であり、高価な貴金属材料を使用するデバイスにおいて材料節減の効果をもたらす。
図面
【図1】
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【図2】
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