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明細書 :掃流砂の粒径判別方法および装置、ならびに掃流砂の粒径分布計測システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-119792 (P2018-119792A)
公開日 平成30年8月2日(2018.8.2)
発明の名称または考案の名称 掃流砂の粒径判別方法および装置、ならびに掃流砂の粒径分布計測システム
国際特許分類 G01N  15/02        (2006.01)
G01H  13/00        (2006.01)
FI G01N 15/02 D
G01H 13/00
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2017-009201 (P2017-009201)
出願日 平成29年1月23日(2017.1.23)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名:一般社団法人 日本音響学会、刊行物名:日本音響学会2016年秋季研究発表会講演論文集、発行日:平成28年8月31日 〔刊行物等〕 発行者名:一般社団法人 電子情報通信学会、刊行物名:電子情報通信学会技術研究報告 信学技報 Vol.116 No.288、発行日:平成28年10月31日 〔刊行物等〕 発行者名:Acoustical Society of America、刊行物名:The Journal of the Acoustic Society of America Vol.140 No.4 Pt.2 of 2 October 2016、発行月:平成28年10月 〔刊行物等〕 研究集会名:日本音響学会2016年秋季研究発表会、 開催日:平成28年9月14日~16日(発明の公開日:平成28年9月16日) 〔刊行物等〕 研究集会名:電子情報通信学会 超音波研究会2016年、開催日:平成28年11月7日 〔刊行物等〕 研究集会名:5▲th▼ Joint Meeting of Acoustical Society of America and Acoustical Society of Japan、開催日:平成28年11月28日~12月2日(発明の公開日:平成28年11月29日)
発明者または考案者 【氏名】小山 大介
【氏名】松川 真美
【氏名】林 正敏
【氏名】吉川 拓弥
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】100076406、【弁理士】、【氏名又は名称】杉本 勝徳
【識別番号】100117097、【弁理士】、【氏名又は名称】岡田 充浩
審査請求 未請求
テーマコード 2G064
Fターム 2G064AB01
2G064AB02
2G064AB11
2G064BA02
2G064CC02
2G064CC47
要約 【課題】簡単な構成の圧電センサと判別手段を用いて、掃流砂の粒径を判別する方法および装置を提供する。
【解決手段】圧電センサ1として、金属製の円板11の裏面に円環状の圧電素子12が取り付けられ、円板11の表面に掃流砂が衝突したときに圧電素子12から電気信号を出力するセンサを用いる。最初に、圧電センサ1の出力信号から円板11の2つの共振モードに対応した周波数成分を取り出し、当該取り出された2つの周波数成分の振幅比a/bを算出する。次に、算出された振幅比a/bを、予め求めておいた掃流砂の粒径と振幅比との関係を示すテーブルと照合して、掃流砂の粒径を判別する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
金属製の円板の裏面に円環状の圧電素子が取り付けられた圧電センサの前記円板の表面に掃流砂が衝突したときに前記圧電素子から出力される電気信号を検出する第1のステップと、
当該圧電センサの出力信号から前記円板の2つの共振モードのそれぞれに対応した周波数成分を取り出す第2のステップと、
当該取り出された2つの周波数成分の振幅比を算出する第3のステップと、
当該算出された振幅比を、予め求めておいた掃流砂の粒径と振幅比との関係を示すテーブルと照合して、前記掃流砂の粒径を判別する第4のステップと、を含むことを特徴とする掃流砂の粒径判別方法。
【請求項2】
前記2つの共振モードはB00モードとB10モードである、請求項1に記載の掃流砂の粒径判別方法。
【請求項3】
金属製の円板の裏面に円環状の圧電素子が取り付けられ、前記円板の表面に掃流砂が衝突したときに前記圧電素子から電気信号を出力する圧電センサと、
当該圧電センサの出力信号から前記円板の2つの共振モードのそれぞれに対応した2つの周波数成分を取り出すフィルタ手段と、
当該フィルタ手段によって取り出された2つの周波数成分の振幅比を算出する振幅比算出手段と、
当該振幅比算出手段で算出された振幅比を、予め求めておいた振幅比と粒径との関係を示すテーブルと照合して、前記掃流砂の粒径を判別する判別手段と、
当該判別手段によって判別した粒径比を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする掃流砂の粒径判別装置。
【請求項4】
前記フィルタ手段、振幅比算出手段および判別手段のそれぞれの機能は、パーソナルコンピュータにおいてCPUでプログラムを実行することにより実現される、請求項3に記載の掃流砂の粒径判別装置。
【請求項5】
前記圧電センサから出力されたアナログの信号をデジタル信号に変換した後、前記パーソナルコンピュータに入力するA/D変換器を備えた、請求項4に記載の掃流砂の粒径判別装置。
【請求項6】
前記振幅比算出手段は、前記フィルタ手段で取り出された2つの周波数成分の
ピーク値を検出するピーク検出回路と、当該ピーク検出回路で検出された2つのピーク値の比を算出する除算回路とで構成された、請求項3に記載の掃流砂の粒径判別装置。
【請求項7】
前記圧電センサの円板の裏側には金属製の円筒が接着され、かつ当該円筒の端は密閉されている、請求項3ないし6のいずれかに記載の掃流砂の粒径判別装置。
【請求項8】
金属製の円板の裏面に円環状の圧電素子が取り付けられ、前記円板の表面に掃流砂が衝突したときに前記圧電素子から電気信号を出力する圧電センサ、当該圧電センサの出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、および当該A/D変換器から出力されたデジタル信号を無線信号に変換して送信する通信モジュールで構成されたセンサユニットと、
前記圧電センサの出力信号から前記円板の2つの共振モードのそれぞれに対応した2つの周波数成分を取り出すフィルタ手段、当該フィルタ手段によって取り出された2つの周波数成分の振幅比を求め、当該振幅比を予め求めておいた振幅比と粒径との関係を示すテーブルと照合して、前記掃流砂の粒径を判別する判別手段、および当該判別手段で判別された掃流砂の粒径から、前記センサユニットが設置された河川における掃流砂の粒径分布を計測する計測手段で構成された粒径分布計測装置と、
前記通信モジュールから送信された無線信号を前記粒径分布計測装置に送信する無線の通信網と、を備えたことを特徴とする掃流砂の粒径分布計測システム。
【請求項9】
金属製の円板の裏面に円環状の圧電素子が取り付けられ、前記円板の表面に掃流砂が衝突したときに前記圧電素子から電気信号を出力する圧電センサ、当該圧電センサの出力信号から前記円板の2つの共振モードのそれぞれに対応した2つの周波数成分を取り出すフィルタ手段、当該フィルタ手段によって取り出された2つの周波数成分の振幅比を算出する振幅比算出手段、当該振幅比算出手段で算出された振幅比をデジタル信号に変換するA/D変換器、および当該A/D変換器から出力されたデジタル信号を無線信号に変換して送信する通信モジュールで構成されたセンサユニットと、
前記振幅比算出手段で算出された振幅比を、予め求めておいた振幅比と粒径との関係を示すテーブルと照合して、前記掃流砂の粒径を判別する判別手段、および当該判別手段で判別された掃流砂の粒径から、前記センサユニットが設置された河川における掃流砂の粒径分布を計測する計測手段で構成された粒径分布計測装置と、
前記通信モジュールから送信された無線信号を前記粒径分布計測装置に送信する無線の通信網と、を備えたことを特徴とする掃流砂の粒径分布計測システム。
【請求項10】
前記通信網は、携帯電話の基地局、電話回線、ゲートウェイおよびインターネットで構成されている、請求項8または9に記載の掃流砂の粒径分布計測システム。
【請求項11】
前記センサユニットのうち少なくとも圧電センサは、河川に架けられた橋の橋脚の根元に取り付けられ、かつ前記圧電センサの円板が河川の流れに対して対向する状態で設置される、請求項8または9に記載の掃流砂の粒径分布計測システム。
【請求項12】
前記円板の直径が異なり、これに伴って判別可能な掃流砂の粒径が異なる複数の圧電センサを用意し、当該圧電センサを備えた複数のセンサユニットを用いて掃流砂の粒径分布を計測する、請求項8ないし11のいずれかに記載の掃流砂の粒径分布計測システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電センサを用いて河川を流れる掃流砂の粒径を判別する方法および装置に関し、更に、該当する河川における掃流砂の粒径分布をリアルタイムで計測するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
河川の構造物周辺における局所洗掘は、構造物の基礎を晒し、流れをその近傍に集中させるため、構造物の機能や安全性を低下させ被災を引き起こす要因となる。
【0003】
河川構造物の維持管理において、構造物周辺での洪水流による河床形状の変化を調べ、局所洗掘の発達機構を把握することは,洪水時に構造物が被災する危険性を軽減し、また被災危険性の少ない構造物を検討する際の重要な基礎資料となる。
【0004】
そのためには,構造物周りの河床近くを転動しながら移動する掃流砂の粒径集団について検討し,洗掘機構の把握に繋げることが必要である。
【0005】
掃流砂の粒径を判別する方法として、河川流域内に、加速度計を一体的に取り付けた衝突弾性波測定対象体を設置し、掃流砂が測定対象体に衝突した際に発生する弾性波を計測する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2007-303847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法では、掃流砂が衝突弾性波測定対象体に衝突した際の接触時間に基づいて掃流砂の粒径を判別しているが、衝突弾性波を安定して計測することが難しく、また接触時間の検出と解析に手間がかかることから、実用化されるには到っていない。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたもので、簡単な構成の圧電センサと判別手段を用いて、掃流砂の粒径を判別する方法および装置を提供することを目的とする。更に本発明は、河川に設置された圧電センサで検出した信号を、無線通信網を介して収集して、掃流砂の粒径分布をリアルタイムで計測するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するために、本発明に係る掃流砂の粒径判別方法は、
金属製の円板の裏面に円環状の圧電素子が取り付けられた圧電センサの前記円板の表面に掃流砂が衝突したときに前記圧電素子から出力される電気信号を検出する第1のステップと、
当該圧電センサの出力信号から前記円板の2つの共振モードのそれぞれに対応した周波数成分を取り出す第2のステップと、
当該取り出された2つの周波数成分の振幅比を算出する第3のステップと、
当該算出された振幅比を、予め求めておいた掃流砂の粒径と振幅比との関係を示すテーブルと照合して、前記掃流砂の粒径を判別する第4のステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
ここで、前記2つの共振モードはB00モードとB10モードであることが好ましい。
【0011】
また本発明に係る掃流砂の粒径判別装置は、
金属製の円板の裏面に円環状の圧電素子が取り付けられ、前記円板の表面に掃流砂が衝突したときに前記圧電素子から電気信号を出力する圧電センサと、
当該圧電センサの出力信号から前記円板の2つの共振モードのそれぞれに対応した2つの周波数成分を取り出すフィルタ手段と、
当該フィルタ手段によって取り出された2つの周波数成分の振幅比を算出する振幅比算出手段と、
当該振幅比算出手段で算出された振幅比を、予め求めておいた振幅比と粒径との関係を示すテーブルと照合して、前記掃流砂の粒径を判別する判別手段と、
当該判別手段によって判別した粒径比を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
ここで、前記フィルタ手段および判別手段のそれぞれの機能は、パーソナルコンピュータにおいてCPUでプログラムを実行することにより実現されることが好ましい。
【0013】
また前記圧電センサから出力されたアナログの信号をデジタル信号に変換した後、前記パーソナルコンピュータに入力するA/D変換器を備えることが好ましい。
【0014】
また前記振幅比算出手段は、前記フィルタ手段で取り出された2つの周波数成分のピーク値を検出するピーク検出回路と、当該ピーク検出回路で検出された2つのピーク値の比を算出する除算回路とで構成されることが好ましい。
【0015】
更に、前記圧電センサの円板の裏側には金属製の円筒が接着され、かつ当該円筒の端は密閉されていることが好ましい。
【0016】
また本発明に係る掃流砂の粒径分布計測システムは、
金属製の円板の裏面に円環状の圧電素子が取り付けられ、前記円板の表面に掃流砂が衝突したときに前記圧電素子から電気信号を出力する圧電センサ、当該圧電センサの出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、および当該A/D変換器から出力されたデジタル信号を無線信号に変換して送信する通信モジュールで構成されたセンサユニットと、
前記圧電センサの出力信号から前記円板の2つの共振モードのそれぞれに対応した2つの周波数成分を取り出すフィルタ手段、当該フィルタ手段によって取り出された2つの周波数成分の振幅比を求め、当該振幅比を予め求めておいた振幅比と粒径との関係を示すテーブルと照合して、前記掃流砂の粒径を判別する判別手段、および当該判別手段で判別された掃流砂の粒径から、前記センサユニットが設置された河川における掃流砂の粒径分布を計測する計測手段で構成された粒径分布計測装置と、
前記通信モジュールから送信された無線信号を前記粒径分布計測装置に送信する無線の通信網と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
もしくは本発明に係る掃流砂の粒径分布計測システムは、
金属製の円板の裏面に円環状の圧電素子が取り付けられ、前記円板の表面に掃流砂が衝突したときに前記圧電素子から電気信号を出力する圧電センサ、当該圧電センサの出力信号から前記円板の2つの共振モードのそれぞれに対応した2つの周波数成分を取り出すフィルタ手段、当該フィルタ手段によって取り出された2つの周波数成分の振幅比を算出する振幅比算出手段、当該振幅比算出手段で算出された振幅比をデジタル信号に変換するA/D変換器、および当該A/D変換器から出力されたデジタル信号を無線信号に変換して送信する通信モジュールで構成されたセンサユニットと、
前記振幅比算出手段で算出された振幅比を、予め求めておいた振幅比と粒径との関係を示すテーブルと照合して、前記掃流砂の粒径を判別する判別手段、および当該判別手段で判別された掃流砂の粒径から、前記センサユニットが設置された河川における掃流砂の粒径分布を計測する計測手段で構成された粒径分布計測装置と、
前記通信モジュールから送信された無線信号を前記粒径分布計測装置に送信する無線の通信網と、を備えたことを特徴とする。
【0018】
ここで、前記通信網は、携帯電話の基地局、電話回線、ゲートウェイおよびインターネットで構成されていることが好ましい。
【0019】
また前記センサユニットのうち少なくとも圧電センサは、河川に架けられた橋の橋脚の根元に取り付けられ、かつ前記圧電センサの円板が河川の流れに対して対向する状態で設置されることが好ましい。
【0020】
更に、本発明に係る掃流砂の粒径分布計測システムは、前記円板の直径が異なり、これに伴って判別可能な掃流砂の粒径が異なる複数の圧電センサを用意し、当該圧電センサを備えた複数のセンサユニットを用いて掃流砂の粒径分布を計測することが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る粒径判別方法によれば、簡単な構成の圧電センサと判別手段を用いて掃流砂の粒径を判別できるため、掃流砂の粒径判別装置を低価格で実現できる。
【0022】
また本発明に係る粒径分布計測システムを用いれば、該当する河川における掃流砂の粒径分布を、無線の通信網を利用してリアルタイムで計測することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1における実験に用いた圧電センサの構成を示す断面図である。
【図2】アルミナ球を圧電センサに衝突させた際に発生する電圧波形を示すグラフである。
【図3】図2の電圧波形をフーリエ解析した結果得られた周波数特性を表すグラフである。
【図4】連続正弦波電圧を圧電素子に印加したときに円板に生じる振動分布を、レーザドップラ振動計を用いて測定した図である。
【図5】圧電センサにアルミナ球を衝突させたときの実験結果を示すグラフ(その1)である。
【図6】圧電センサにアルミナ球を衝突させたときの実験結果を示すグラフ(その2)である。
【図7】圧電センサにアルミナ球を衝突させたときの実験結果を示すグラフ(その3)である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る掃流砂の粒径判別装置の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る掃流砂の粒径判別装置の構成を示すブロック図である。
【図10】異なる粒径のアルミナ球を圧電センサに衝突させた際に発生する電圧波形を示すグラフである。
【図11】図10の電圧波形について短時間周波数分析を行った結果を示すグラフである。
【図12】本発明の実施の形態3に係る掃流砂の粒径分布計測システムの構成を示すブロック図である。
【図13】図12に示した粒径分布計測システムにおけるセンサユニットの取り付け形態を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係る掃流砂の粒径分布計測システムの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る掃流砂の粒径判別方法および装置、ならびに掃流砂の粒径分布計測システムについて、図面を参照して説明する。実施の形態1および2では掃流砂の粒径判別装置について説明し、実施の形態3および4では掃流砂の粒径分布測定システムについて説明する。

【0025】
(実施の形態1)
最初に、掃流砂の粒径判別方法の原理について説明する。

【0026】
<粒径判別方法の原理>
発明者等は、金属円板の裏面に円環型の圧電素子を接着した圧電センサを用いて、掃流砂が金属板に衝突したときに生じる電圧波形の分析を行った。その結果、金属円板の異なる共振モードに対応した2つの周波数においてピーク値を示し、かつピーク値の比率が粒径によって変わることを見出した。

【0027】
本発明は、この現象を利用して、圧電センサに衝突する掃流砂の粒径を判別するものである。以下、粒径判別方法について具体的に説明する。

【0028】
最初に、アルミナ球を圧電センサに衝突させたときの実験結果について説明する。以下の実験では、取り扱いの容易さを考慮し、掃流砂の代わりに粒径の異なるアルミナ球を用いた。

【0029】
図1に、実験に用いた圧電センサの断面形状を示す。圧電センサ1は、金属製の円板11の裏面に円環型の圧電素子12を接着したもので、円板11の裏面には金属製の円筒13が接着され、更に、円筒13の反対面は、円板11と同サイズの金属製円板14で密閉されている。

【0030】
本実施の形態では、円板11、14として、直径50mm、厚さ2mmのアルミニウム製円板を用い、円筒13として、外径50mm、内径30mm、厚さ20mmのアルミニウム製円筒を用いた。また圧電素子として、内半径5mm、外半径10mm、厚さ2mmの富士セラミックス製の素子(製品番号C-213)を用いた。

【0031】
図示しないが、円環型圧電素子12の上下面には電極が形成されており、それらに接続されたコードが、円筒13に形成された小穴を通して外部に導き出されている。小穴は水の浸入を防ぐため、防水性の接着材で密閉されている。

【0032】
アルミナ球2として、粒径が3mm、5mmおよび8mmの3種類の球を用意した。図1に示すように、圧電センサ1の表面からの高さhを100mm、200mmおよび300mmと変化させ、空気中で鉛直方向に自由落下させ、アルミナ球2が円板11に衝突したときに、圧電素子12の電極間に発生する電圧の波形をオシロスコープで観察した。

【0033】
なお、アルミナ球2の円板11への衝突は1回とし、すなわち一度衝突した後、球を直ぐに回収し、同一の実験条件での測定を5回繰り返した。

【0034】
図2に、粒径が3mm、5mmおよび8mmのアルミナ球を20mmの高さから落下させ、圧電センサ1に衝突させたときの電圧波形を示す。図の横軸は、アルミナ球2が円板11に衝突してからの経過時間、縦軸は、電圧の相対強度を示す。衝突する球の粒径が大きい程発生する電圧の振幅値は大きくなるが、図では波形を比較するため、それぞれの最大値で規格化している。

【0035】
図3は、図2に示した電圧波形をフーリエ解析した結果得られた周波数特性を表している。図中、横軸は周波数、縦軸は相対強度を示す。図2と同様に、縦軸の値は、それぞれの最大値で規格化している。粒径の異なるいずれの出力電圧においても、16.3kHzと66.7kHzの2つの周波数においてピークが観測された。

【0036】
これら2つの周波数について検討するため、各周波数の連続正弦波電圧を圧電素子12に印加し、円板11の表面の定常状態での面外振動分布を、レーザドップラ振動計を用いて測定した。図4にその結果を示す。図4(a)は16.3kHzの共振モード、図4(b)は66.7kHzの共振モードを示す。

【0037】
図4に示すように、いずれの共振モードも外周部が振動の節であるたわみ共振モードである。16.3kHzの共振モードは、径方向への節線は存在せず、節円が1つであるB00モード、66.7kHzの共振モードは、節円が2つのB10モードである。

【0038】
上述したように、アルミナ球2が圧電センサ1に衝突すると、円板11には2つの共振モードが励振されることが分かった。更に、図3に示すように、粒径によって、共振モードに対応した2つの周波数成分の振幅比が異なることが分かった。

【0039】
この2つの共振モードのそれぞれに対応した周波数成分に着目し、高さおよび粒径毎の振幅比、すなわち、図3における16.3kHzの振幅値a÷66.7kHzの振幅値b(=a/b)を算出した結果を図5に示す。図中、エラーバーは5回の計測の標準偏差を表している。

【0040】
図5より、アルミナ球の粒径が小さい程、高次のB10モード成分(66.7kHz)の振幅値が大きく、振幅比a/bによって粒径を一意的に判別できることが分かった。また高さhを変化させた場合(すなわち衝突時の速度が異なる場合)、振幅比a/bは多少変化するものの、粒径に依存することに変わりないことも分かった。

【0041】
次に、アルミナ球2の高さを h = 200 mm とし,センサ中心から径方向に5 mm ずつ衝突位置を移動させ,アルミナ球2が圧電センサ1に衝突する際に生じる電圧波形を観測した。観測は5回ずつ行った。そして図5と同様、粒径毎の観測波形の振幅比a/bを算出した。その結果を図6に示す。

【0042】
なお、粒径 3 mmと5 mmのアルミナ球2が圧電センサ1の中心からそれぞれ10 mmおよび15 mm以上の位置に衝突した場合、出力波形が観測できなかった。これは、衝突時のアルミナ球2の運動エネルギーが小さく、衝突位置が円板の中心、すなわち振動の腹の位置から離れることにより、各共振モードが効率的に励振されなかったためと考えられる。

【0043】
図6において,圧電センサの円板11の各位置での衝突によって検出された電圧信号は、図5と同傾向の振幅比が観測されたことから,2つの周波数成分の振幅比は、アルミナ球の衝突位置によらず粒径に強く依存することが分かった。

【0044】
次に、アルミナ球2の高さh = 200 mmとし、圧電センサ1の中心部における球の衝突角度θを変え、アルミナ球2が圧電センサ1に衝突した際に生じる電圧波形を観測した。

【0045】
具体的には、圧電センサの円板11に垂直入射した場合をθ = 0°とし、θ= 30°、45°および60°と変化させ、出力波形から2つの周波数成分の振幅比を算出した。その結果を図7に示す。図7の結果より、振幅比は図5と同様の傾向を示し、衝突角度にもほとんど依存しないことが分かった。

【0046】
上述した実験結果より、圧電センサ1に粒径の異なるアルミナ球が衝突した場合、異なる共振モードに対応した2つの周波数においてピーク値(a,b)を示し、かつピーク値の振幅比(a/b)が粒径によって変わることが分かった。本発明では、この原理を利用して掃流砂の粒径を判別している。

【0047】
<掃流砂の粒径判別装置の構成>
図8に、上述した原理に基づく掃流砂の粒径判別装置の基本的な構成を示す。掃流砂の粒径判別装置(以降、単に「粒径判別装置」という)10は、圧電センサ1、増幅器3、A/D変換器4およびパーソナルコンピュータ(以降「PC」という)5で構成されている。図中、実線の矢印は信号またはデータの流れを示す。

【0048】
圧電センサ1は河川の川床の近傍に設置されており、川床を転動する掃流砂が、圧電センサ1の円板11に衝突することによって圧電素子12に発生した信号は、増幅器3で増幅され、A/D変換器4でデジタル信号に変換された後、PC5に入力される。

【0049】
PC5は、制御部51、フィルタ部52、振幅比算出部53、判別部54、記憶部55、入力部56および表示部57で構成されている。図示しないが、PC5は、マイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備えており、制御部51、フィルタ部52、振幅比算出部53および判別部54の機能は、ROMに格納されたプログラムをマイクロプロセッサで実行することにより実現される。

【0050】
制御部51は、破線で示すようにフィルタ部52、振幅比算出部53、判別部54、記憶部55、入力部56および表示部57の動作を制御する。

【0051】
フィルタ部52は、中心周波数の異なる2つのバンドパスフィルタ(以降、「BPF」という)を実現するデジタルフィルタである。BPF1およびBPF2は、デジタル信号に変換された圧電センサ1の出力信号から、中心周波数が16.3kHzと66.7kHzの2つの周波数成分を取り出す。

【0052】
振幅比算出部53は、フィルタ部52で取り出された2つの周波数成分の振幅値a,bから振幅比a/bを算出する。判別部54は、算出された振幅比を記憶部55から読み出したデータと照合して、振幅比a/bに対応した掃流砂の粒径を判別する。

【0053】
記憶部55はHDD(Hard Disk Drive)により実現され、粒径判別の際に必要となるデータが格納され、また判別部54で判別した結果が記憶される。

【0054】
入力部56はキーボードやマウス等で構成され、判別に必要なデータを入力するのに用いられる。表示部57は液晶ディスプレイ等で構成され、判別部54で判別した結果等が表示される。

【0055】
なお、上述した粒径判別装置10の構成のうちフィルタ部52は、特許請求の範囲に記載のフィルタ手段に相当し、振幅比算出部53は特許請求の範囲に記載の振幅比算出手段に相当し、判別部54は特許請求の範囲に記載の判別手段に相当する。

【0056】
次に、粒径判別装置10の動作を説明する。上述した実験では、掃流砂の代わりにアルミナ球を圧電センサに衝突させて信号を得ていたが、実際の掃流砂は必ずしも球形ではなく、材質の異なるものも混在している。

【0057】
そこで、代表的な材質の掃流砂について、平均粒径および形状の異なるものを採集し、それらを圧電センサ1に衝突させ、2つの周波数成分(16.3kHzと66.7kHz)の振幅値a,bを計測すると共に、振幅比a/bを算出する。その作業を繰り返して、振幅比a/bと掃流砂の粒径との関係を特定する。

【0058】
そして、上述の作業によって特定された振幅比a/bと掃流砂の粒径との関係を示すテーブルを作成し、そのデータを、UBSメモリ等を用いて入力部56からPC5に取り込み、記憶部55に格納する。

【0059】
なお、掃流砂の衝突データの収集においては、河川でのデータ収集により近い状態を実現するため、水路の途中に圧電センサ1を沈め、掃流砂を流しながら行うことが好ましい。

【0060】
上述の作業が終了した後、圧電センサ1を河川に沈め、川底を転動する掃流砂が円板11に衝突する位置に圧電センサ1を設置し、掃流砂の衝突により発生する信号を検出する。

【0061】
掃流砂の衝突により圧電センサ1で発生した信号は、増幅器3で増幅され、A/D変換器4でデジタル信号に変換された後、PC5に入力される。PC5においては、フィルタ部52のBPF1およびBPF2において、上述した2つの周波数の振幅値a,bが抽出され、振幅比算出部53において振幅比a/bが算出される。

【0062】
判別部54は、記憶部55から振幅比a/bと粒径との関係を示したテーブルを読み出し、振幅比算出部53で算出された振幅比a/bに対応した粒径を判別する。判別された粒径の値は表示部57に表示される。PC5は、圧電センサ1に掃流砂が衝突する都度、上述の演算を繰り返し、表示部57に判別された粒径の値を次々に表示する。

【0063】
上述したように、本実施の形態に係る粒径判別装置10を用いれば、簡単な構造の圧電センサ1と、一般に使用されるPC5を用いて、掃流砂の粒径をリアルタイムで判別することができる。

【0064】
なお、本実施の形態では、円環状の圧電素子を採用した関係で、円板の共振モードのうちB00モードとB10モードに対応した周波数成分の振幅比を求めたが、異なる形状や構造の圧電素子を用いた場合には、これらのモードとは異なる共振モードについて振幅比を求めるようにしてもよい。

【0065】
(実施の形態2)
実施の形態1では、圧電センサ1の出力信号から2つの周波数数成を取り出すフィルタ手段と、取り出された2つの周波数成分の振幅比を算出する手段を、PC5においてソフトウェアにより実現した。これらフィルタ手段および振幅比算出手段をアナログ回路で構成することにより、粒径判別装置をより安価に実現できる。

【0066】
図9に、フィルタ手段と振幅比算出手段をアナログ回路で構成した場合のブロック図を示す。フィルタ手段6は2つのBPF61、62で構成され、振幅比算出手段7は、ピーク検出回路71、72および除算回路73で構成されている。

【0067】
増幅器3で増幅された圧電センサ1の出力信号は、2つのBPF61および62に入力され、2つの共振モードのそれぞれに対応した周波数成分が抽出される。BPF61および62で抽出された信号は振幅比算出手段7に入力され、ピーク検出回路71および72においてピーク値が検出された後、除算回路73において除算され、2つの周波数成分の振幅比が算出される。

【0068】
除算回路73の出力信号はA/D変換器4でデジタル信号に変換された後、粒径判別手段8に入力される。粒径判別手段8は、IC(Integrated Circuit)81と表示デバイス82で構成され、IC81のメモリには、前述したテーブルが格納されており、このテーブルを参照して振幅比に対応した粒径を特定する。特定された粒径データは、液晶ディスプレイ等で構成された表示デバイス82に表示される。

【0069】
本実施の形態では、フィルタ手段6および振幅比算出手段7を市販の安価なアナログ回路で構成し、同様に、粒径判別手段8を市販の安価なICとディスプレイを用いて構成しているため、粒径判別装置10を極めて安価に実現できる。

【0070】
(実施の形態3)
実施の形態1および2では、掃流砂の粒径を判別する装置について説明したが、局所洗掘の実態を調査する上でより重要な点は、河川を流れる掃流砂の粒径分布をリアルタイムで計測することである。

【0071】
本実施の形態では、圧電センサを河川に架けられた橋の橋脚の根元に設置し、更に、それらの圧電センサで検出した信号を、無線通信網を利用してPCまで送信することにより、上記目的を実現している。

【0072】
<粒径分布計測の原理>
以下、まず、掃流砂の粒径分布を計測する原理について、図10および図11を参照して説明する。

【0073】
河川での実環境を想定し,異なる粒径を混合させたアルミナ球(個数比 3 mm : 5 mm : 8 mm = 10 : 5 : 1)を、高さh= 200 mm から連続的に自由落下させ、圧電センサとの衝突時に生じた電圧波形を確認した。複数個の球が連続的に衝突した際に生じた代表的な電圧波形を図10に示す。

【0074】
図10より、様々な粒径の球が13 msの間に計4個衝突したことが確認できる。図10の電圧波形について、短時間周波数解析(STFT)を行った結果を図11に示す。図中、x軸は衝突からの経過時間、y軸は検出信号に含まれる周波数、z軸は周波数成分の相対強度を示す。

【0075】
各衝突において,これまでの実験結果と同様に異なる振幅比の信号が発生することが分かる。図11と前述の図3の振幅比との比較により、アルミナ球2が、0 ms から粒径 5 mm,3 mm,8 mm,5 mm の順に圧電センサに衝突したと考えられる。この実験結果より、掃流砂が連続して圧電センサに衝突する場合においても、掃流砂の粒径判別が可能であることが分かる。

【0076】
従って、河川に設置された圧電センサにおいて、一定時間内に判別した掃流砂の粒径を、大きさ毎に分類すれば、その河川における掃流砂の粒径分布を計測することができる。

【0077】
<掃流砂の粒径分布計測システムの構成>
図12に、上述した原理に基づいて、掃流砂の粒径分布をリアルタイムで計測するシステムの基本的な構成を示す。

【0078】
掃流砂の粒径分布計測システム(以降。単に「粒径分布計測システム」という)20は、河川の橋脚の根元に設置された複数のセンサユニット9、携帯電話の通信網Nおよび粒径分布計測装置として機能するPC5aで構成されている。図中、図8に示した粒径判別装置10の構成部材と同一の構成部材には同一の符号を付し、説明を省略する。

【0079】
センサユニット9は、圧電センサ1、増幅器3、A/D変換器4および通信モジュール91で構成されている。通信モジュール91は、携帯電話の回線を含む無線の通信網Nを介してPC5aと通信を行うための装置であり、一般のスマートフォンと同様に、PC5aとの間で双方向のデータ通信を行うことができる。

【0080】
通信網Nは、図示しないが、携帯電話の基地局、電話回線、ゲートウェイおよびインターネットで構成されており、PC5aの指示をセンサユニット9に伝え、またセンサユニット9から送信された圧電センサ1の出力信号データをPC5aに送信するために用いられる。

【0081】
図13を参照して、センサユニット7の設置形態について説明する。センサユニット9は、河川100に架けられた橋110の橋脚111の根元に設置される。センサユニット9のうち圧電センサ1は、円板11が河川の流れに対して、対向するように配置され、かつ掃流砂が衝突し易いように、川床より若干高い位置に設置される。

【0082】
複数の橋脚111へのセンサユニット9の取り付け形態として、同一の判別性能を備えた圧電センサを複数用意し、それを含む複数のセンサユニット9を、複数の橋脚111のそれぞれに取り付ける方法がある。この場合、圧電センサから、掃流砂の衝突に伴って、より多くの出力信号を得ることができる。

【0083】
他の取り付け形態として、円板の直径が異なり、これに伴って判別可能な掃流砂の粒径が異なる複数の圧電センサを用意し、それぞれの圧電センサを含むセンサユニットを同一、または別々の橋脚に取り付ける方法がある。このような取り付け形態を採用した場合、より広範囲の粒径の掃流砂を判別できる。

【0084】
橋脚111へのセンサユニット9の取り付け方は、上述した形態に限定されず、例えば、橋脚が太い場合には、複数のセンサユニット9を1本の橋脚111の根元に取り付けるようにしてもよい。

【0085】
またセンサユニット9については、圧電センサ1のみを水中に沈め、増幅器3、A/D変換器4および通信モジュール91を防水性の筐体内に収容し、それを橋脚111の欄干に取り付けるようにした方がよい。このような構成を採用した場合、センサユニット9の保守がし易くなる。

【0086】
PC5aは、前述した粒径判別装置10のPC5の構成に、粒径分布計測部57の機能を追加したものである。粒径分布計測部57は、判別部54で判別した、一定時間内に圧電センサ1の円板11に衝突した掃流砂の粒径から、当該河川における掃流砂の粒径分布を計測する。具体的には、一定期間内に圧電センサ1に衝突した掃流砂の総数に対して、判別部54で判別した粒径毎の分布を求め、それを百分率で表す。

【0087】
次に、粒径分布計測システム20の動作を説明する。ユーザが該当する河川における粒径分布の計測データを取得したい場合、PC5aを用いてセンサユニット7にアクセスし、圧電センサ1で取得した掃流砂の衝突信号を送信するよう指示する。

【0088】
PC5aの指示は、通信網(インターナット、ゲートウェイ、電話回線、基地局)Nを介して通信モジュール91に送信される。PC5aの指示を受信した通信モジュール91は、デジタル信号に変換された圧電センサ1の出力信号を、通信網Nを介してPC5aに送信する。

【0089】
圧電センサ1の出力信号を受信したPC5aは、フィルタ部52の2つのBPFを用いて2つの周波数の振幅値a,bを抽出する。振幅比算出部53は抽出された2つの振幅値a,bの振幅比a/bを算出し、判別部54は、その値を記憶部55に格納されたテーブルのデータと比較して粒径を判別する。

【0090】
粒径分布計測部58は、前述したように、一定時間内に圧電センサ1に衝突した掃流砂の粒径を大きさ毎に数えて粒径分布を計測する。計測された粒径分布は、表示部57の画面に円グラフ等により表示され、また記憶部55に格納ざれる。

【0091】
上述したように、本実施の形態に係る粒径分布計測システム20を用いれば、該当する河川における掃流砂の粒径分布を、無線の通信網を利用して、リアルタイムで計測することができる。

【0092】
なお、本実施の形態では、無線の通信網Nとして、携帯電話の回線とインターネットで構成された通信網を用いたが、無線LAN(Local Area Network)が使用可能な地域では、通信モジュール6として、無線LAN対応のモジュールを用いることもできる。

【0093】
また本実施の形態では、センサユニット9を駆動する電源について、通常のバッテリ等を用いることを前提として説明したが、圧電センサ1は掃流砂の衝突により電気信号を発生する発電機としても機能する。このため、出力信号をPC5aに送信する時を除き、圧電センサ1で発生した電力をキャパシタや蓄電池に蓄え、その電力を利用して通信モジュール91を駆動するようにしてもよい。

【0094】
(実施の形態4)
実施の形態3では、実施の形態1と同様に、掃流砂の粒径を判別する手段を、PC5のフィルタ部52、振幅比算出部53および判別部54によって実現した。本実施の形態では、実施の形態2と同様に、フィルタ手段および振幅比判別手段をアナログ回路で構成する場合について説明する。

【0095】
図14に、本実施の形態に係るセンサユニット9aの構成を示す。センサユニット9aは、実施の形態3のセンサユニット9のうち増幅器3とA/D変換器4の間に、実施の形態2で説明したフィルタ手段6と振幅比算出手段7を挿入したものである。

【0096】
従って、A/D変換器4の出力には、圧電センサ1から出力された2つの周波数成分の振幅比のデジタル信号が出力され、そのデジタル信号が通信モジュール91によってPC5aに送信される。PC5aの判別部54は、実施の形態2の判別部54と同様に、記憶部55に格納されたテーブルに基づいて粒径の判別を行う。

【0097】
本実施の形態に係る粒径分布計測システムを用いれば、2つの周波数成分の振幅比のデジタル信号がPC5aに送信され、PC5aは粒径の判別処理に専念できるため、多数のセンサユニット9aからデータが送信される粒形分布計測システムにおいて、PC5aの演算処理の負担を軽減できる。結果として、演算能力が左程高くない市販のPCを用いてシステムを構築することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 圧電センサ
2 アルミナ球
3 増幅器
4 A/D変換器
5、5a PC
6 フィルタ手段
7 振幅比算出手段
8 粒径判別手段
9、9a センサユニット
10 粒径判別装置
20 粒径分布計測システム
51 制御部
52 フィルタ部
53 振幅比算出部
54 判別部
55 記憶部
56 入力部
57 表示部
58 粒径分布計測部
61、62 BPF
71、72 ピーク検出回路
73 除算回路
81 IC
82 表示デバイス
100 河川
110 橋
111 橋脚
N 通信網
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13