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明細書 :LCI画像に基づきピロリ菌感染の有無を判定する方法および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-126240 (P2018-126240A)
公開日 平成30年8月16日(2018.8.16)
発明の名称または考案の名称 LCI画像に基づきピロリ菌感染の有無を判定する方法および装置
国際特許分類 A61B   1/045       (2006.01)
A61B   1/00        (2006.01)
G06T   1/00        (2006.01)
G06T   7/00        (2017.01)
FI A61B 1/045 616
A61B 1/00 513
G06T 1/00 290Z
G06T 7/00 300F
G06T 7/00 612
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2017-020195 (P2017-020195)
出願日 平成29年2月7日(2017.2.7)
発明者または考案者 【氏名】廣安 知之
【氏名】日和 悟
【氏名】岡田 雄斗
【氏名】八木 信明
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000475、【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C161
5B057
5L096
Fターム 4C161AA01
4C161BB02
4C161CC06
4C161DD03
4C161HH51
4C161JJ17
4C161MM02
4C161NN05
4C161SS21
4C161TT03
4C161TT05
4C161TT13
4C161WW02
4C161WW08
4C161WW15
5B057AA07
5B057BA02
5B057CA01
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CE02
5B057CE12
5B057DA12
5B057DB02
5B057DB06
5B057DB09
5B057DC14
5B057DC25
5B057DC30
5B057DC36
5B057DC40
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA06
5L096CA02
5L096EA05
5L096EA43
5L096FA32
5L096FA33
5L096GA34
5L096GA51
5L096JA11
5L096KA04
要約 【課題】LCI画像に基づくピロリ菌感染の有無の判定が客観的に行えるようにする。
【解決手段】本発明によれば、LCI画像からノイズを除去した後、LCI画像を高色相画像と低色相画像に分類し、高色相画像の組と低色相画像の組の組毎に、LCI画像の色情報に関する特徴量を抽出し、その後、当該組毎に、教師つき学習法を用いたパターン認識アルゴリズムの1つであるSVMによって、特徴量に基づき、LCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別し、その分別結果に基づいてピロリ菌感染の有無を判定する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
内視鏡によって撮影された被検者の胃粘膜のLCI画像に基づき、前記被検者のピロリ菌感染の有無を判定する方法であって、
(1)前記LCI画像から、彩度が所定の基準値よりも小さい画像部分と明度が所定の基準値よりも小さい画像部分をノイズとして除去し、
(2)前記ノイズを除去したLCI画像を色相の所定の閾値を用いて二値化することにより、前記LCI画像中の色相が前記閾値よりも大きい高色相画像部分を抽出し、
(3)前記二値化したLCI画像をラベリング処理し、前記高色相画像部分のうち隣接画素数が所定値よりも少ない画像部分を除去して前記二値化したLCI画像中に関心領域の画像のみを残し、
(4)前記二値化したLCI画像の全体に占める前記関心領域の画像の割合を算出し、
(5)前記割合が所定値以上のときは、関係する前記LCI画像を高色相画像に分類する一方、前記割合が当該所定値未満のときは、関係する前記LCI画像を低色相画像に分類し、
(6)前記高色相画像の組と前記低色相画像の組の組毎に、当該組に属する前記LCI画像のそれぞれから色情報に関する特徴量を抽出し、
(7)前記組毎に、SVMアルゴリズムによって、前記特徴量に基づき、当該組に属する前記LCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別し、当該分別の結果に基づいて前記被検者のピロリ菌感染の有無を判定する方法。
【請求項2】
前記高色相画像の組に属する前記LCI画像の特徴量が、当該LCI画像中の前記関心領域の割合、および当該LCI画像中の前記関心領域の色相の中央値、および当該LCI画像中の前記関心領域の色相の平均値であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記低色相画像の組に属する前記LCI画像の特徴量が、当該LCI画像の色相の中央値、および当該LCI画像の色相の分散、および当該LCI画像の彩度の最頻値であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
内視鏡によって撮影された被検者の胃粘膜のLCI画像に基づき、前記被検者のピロリ菌感染の有無を判定する装置であって、
前記LCI画像の入力を受ける入力部と、
前記入力部に入力されたLCI画像から、彩度が所定の基準値よりも小さい画像部分と明度が所定の基準値よりも小さい画像部分をノイズとして除去するノイズ除去部と、
前記ノイズ除去部でノイズが除去された前記LCI画像を、色相の所定の閾値を用いて二値化することにより、前記LCI画像中の色相が前記閾値よりも大きい高色相画像部分を抽出する二値化部と、
前記二値化部で二値化された前記LCI画像をラベリング処理し、前記高色相画像部分のうちの隣接画素数が所定値よりも少ない画像部分を除去することで、前記二値化されたLCI画像中に関心領域の画像のみを残し、前記二値化されたLCI画像の全体に占める前記関心領域の割合を算出する関心領域占有率算出部と、
前記関心領域占有率算出部で算出された前記割合が所定値以上のときは、関係する前記LCI画像を高色相画像に分類する一方、前記割合が当該所定値未満のときは、関係する前記LCI画像の低色相画像に分類する分類部と、
前記分類部で前記高色相画像に分類された前記LCI画像のそれぞれから色情報に関する第1の特徴量を抽出する第1の特徴量抽出部と、
前記分類部で前記低色相画像に分類された前記LCI画像のそれぞれから色情報に関する第2の特徴量を抽出する第2の特徴量抽出部と、
SVMアルゴリズムによって、前記第1の特徴量に基づき、前記高色相画像に分類された前記LCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別する第1の分別部と、
SVMアルゴリズムによって、前記第2の特徴量に基づき、前記低色相画像に分類された前記LCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別する第2の分別部と、
前記第1および第2の分別部による分別結果に基づいて、前記被検者のピロリ菌感染の有無を判定する判定部と、を備えたものであることを特徴とする装置。
【請求項5】
前記第1の特徴量が、前記高色相画像中の前記関心領域の割合、および前記高色相画像中の前記関心領域における色相の中央値、および前記高色相画像中の前記関心領域における色相の平均値であることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第2の特徴量が、前記低色相画像の色相の中央値、および前記低色相画像の色相の分散、および前記低色相画像の彩度の最頻値であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の胃粘膜のLCI(Linked Color Imaging)画像に基づき、当該被検者のピロリ菌感染の有無を判定する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ピロリ菌が原因となって胃粘膜が炎症を起こすと、胃粘膜が薄く痩せてしまう萎縮が進行し、胃がんを誘発する危険性が高まることから、近年、内視鏡診断によって胃粘膜の炎症を早期に発見することが行われている。
【0003】
この内視鏡診断において、医師は、内視鏡によって撮影され、ディスプレイ表示された胃粘膜の画像に基づき、正常な粘膜と炎症のある粘膜を見分け、ピロリ菌感染の有無の判断を下している。
【0004】
ところで、従来の内視鏡診断では、通常光(白色の広帯域光)による観察がなされるのが一般的であるが、正常な粘膜と炎症のある粘膜の間には僅かな色の違いしかなく、通常光による観察ではこの胃粘膜の微妙な色の違いを見分けるのにかなりの熟練を要していた。
【0005】
そのため、従来技術においては、また、白色の広帯域光と、特定の狭い波長帯域に制限された光(狭帯域光、例えば紫色光)を併用し、広帯域光と狭帯域光との光量比を異ならせた複数の観察モードが選択可能な内視鏡が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
そして、これらの複数の観察モードの1つを形成するのがLCIであり、LCIにおいて撮影された画像はLCI画像と呼ばれる。
LCIは、胃の正常な粘膜、萎縮粘膜およびびまん性発赤(粘膜の一部が充血して赤くなる炎症)等の診断に際し重要となる粘膜の色が赤色領域に集中している点に鑑み、粘膜の色の近辺の色の彩度差および色相差が拡大されるようにして、正常な粘膜の画像と、萎縮粘膜の画像と、びまん性発赤の画像の違いを明確化する(例えば、特許文献2参照)。
それによって、びまん性発赤の画像はより赤く表示され、萎縮性粘膜の画像はより白く表示されるようになる。
【0007】
こうして、LCIによれば、僅かな色の差異が強調されたLCI画像が得られ、LCI画像を用いることで、医師による診断がより容易になる。
【0008】
しかしながら、この方法においても、診断は医師の目視によるもので主観的であり、医師の熟練度によって診断に差異が生じることは否めない。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2012-152332号公報
【特許文献2】特開2016-67709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、LCI画像に基づくピロリ菌感染の有無の判定が客観的に行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、第1発明によれば、内視鏡によって撮影された被検者の胃粘膜のLCI画像に基づき、前記被検者のピロリ菌感染の有無を判定する方法であって、
(1)前記LCI画像から、彩度が所定の基準値よりも小さい画像部分と明度が所定の基準値よりも小さい画像部分をノイズとして除去し、
(2)前記ノイズを除去したLCI画像を色相の所定の閾値を用いて二値化することにより、前記LCI画像中の色相が前記閾値よりも大きい高色相画像部分を抽出し、
(3)前記二値化したLCI画像をラベリング処理し、前記高色相画像部分のうち隣接画素数が所定値よりも少ない画像部分を除去して前記二値化したLCI画像中に関心領域の画像のみを残し、
(4)前記二値化したLCI画像の全体に占める前記関心領域の画像の割合を算出し、
(5)前記割合が所定値以上のときは、関係する前記LCI画像を高色相画像に分類する一方、前記割合が当該所定値未満のときは、関係する前記LCI画像を低色相画像に分類し、
(6)前記高色相画像の組と前記低色相画像の組の組毎に、当該組に属する前記LCI画像のそれぞれから色情報に関する特徴量を抽出し、
(7)前記組毎に、SVM(Support Vector Machine)アルゴリズムによって、前記特徴量に基づき、当該組に属する前記LCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別し、当該分別の結果に基づいて前記被検者のピロリ菌感染の有無を判定する方法が提供される。
【0012】
第1発明の好ましい実施例によれば、前記高色相画像に分類した前記LCI画像の特徴量は、当該LCI画像中の前記関心領域の割合、および当該LCI画像中の前記関心領域の色相の中央値、および当該LCI画像中の前記関心領域の色相の平均値である。
第1発明の別の好ましい実施例によれば、前記低色相画像に分類した前記LCI画像の特徴量は、当該LCI画像の色相の中央値、および当該LCI画像の色相の分散、および当該LCI画像の彩度の最頻値である。
【0013】
上記課題を解決するため、また、第2発明によれば、内視鏡によって撮影された被検者の胃粘膜のLCI画像に基づき、前記被検者のピロリ菌感染の有無を判定する装置であって、前記LCI画像の入力を受ける入力部と、前記入力部に入力されたLCI画像から、彩度が所定の基準値よりも小さい画像部分と明度が所定の基準値よりも小さい画像部分をノイズとして除去するノイズ除去部と、前記ノイズ除去部でノイズが除去された前記LCI画像を、色相の所定の閾値を用いて二値化することにより、前記LCI画像中の色相が前記閾値よりも大きい高色相画像部分を抽出する二値化部と、前記二値化部で二値化された前記LCI画像をラベリング処理し、前記高色相画像部分のうちの隣接画素数が所定値よりも少ない画像部分を除去することで、前記二値化されたLCI画像中に関心領域の画像のみを残し、前記二値化されたLCI画像の全体に占める前記関心領域の割合を算出する関心領域占有率算出部と、前記関心領域占有率算出部で算出された前記割合が所定値以上のときは、関係する前記LCI画像を高色相画像に分類する一方、前記割合が当該所定値未満のときは、関係する前記LCI画像の低色相画像に分類する分類部と、前記分類部で前記高色相画像に分類された前記LCI画像のそれぞれから色情報に関する第1の特徴量を抽出する第1の特徴量抽出部と、前記分類部で前記低色相画像に分類された前記LCI画像のそれぞれから色情報に関する第2の特徴量を抽出する第2の特徴量抽出部と、SVM(Support Vector Machine)アルゴリズムによって、前記第1の特徴量に基づき、前記高色相画像に分類された前記LCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別する第1の分別部と、SVMアルゴリズムによって、前記第2の特徴量に基づき、前記低色相画像に分類された前記LCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別する第2の分別部と、前記第1および第2の分別部による分別結果に基づいて、前記被検者のピロリ菌感染の有無を判定する判定部と、を備えたものであることを特徴とする装置が提供される。
【0014】
第2発明の好ましい実施例によれば、前記第1の特徴量は、前記高色相画像中の前記関心領域の割合、および前記高色相画像中の前記関心領域における色相の中央値、および前記高色相画像中の前記関心領域における色相の平均値である。
第2発明の別の好ましい実施例によれば、前記第2の特徴量は、前記低色相画像の色相の中央値、および前記低色相画像の色相の分散、および前記低色相画像の彩度の最頻値である。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、LCI画像からノイズを除去した後、LCI画像を高色相画像と低色相画像に分類し、高色相画像の組と低色相画像の組の組毎に、LCI画像の色情報に関する特徴量を抽出し、その後、当該組毎に、教師つき学習法を用いたパターン認識アルゴリズムの1つであるSVMを用いて、特徴量に基づき、LCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別し、その分別結果に基づいてピロリ菌感染の有無を判定するようにしている。
【0016】
こうして、LCI画像に基づく診断を、医師の目視によるのではなく、自動的に行うことで、ピロリ菌感染の有無の判断が客観的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1実施例によるLCI画像に基づいてピロリ菌感染の有無を判定する方法のフロー図である。
【図2】本発明の1実施例によるLCI画像に基づいてピロリ菌感染の有無を判定する装置のブロック図である。
【図3】元のLCI画像を例示した図である。
【図4】図3のLCI画像からノイズを除去した画像を示す図である。
【図5】図4の画像を二値化処理した画像を示す図である。
【図6】図5の画像をラベリング処理した画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の構成を好ましい実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の1実施例によるLCI画像に基づいてピロリ菌感染の有無を判定する方法のフロー図である。
図1を参照して、本発明によれば、まず、内視鏡によって撮影された被検者の胃粘膜のLCI画像から、彩度が所定の基準値よりも小さい画像部分と明度が所定の基準値よりも小さい画像部分をノイズとして除去する(図1のS1)。
それによって、LCI画像中の彩度が低いハレーション部分、および明度が低い影の部分、および明度と彩度が共に低い内視鏡のファイバーの画像部分等のノイズをLCI画像から除去することができる。

【0019】
図3はノイズ除去前のLCI画像(元のLCI画像。実際はカラー画像である。)を例示した図であり、図4は図3のLCI画像からノイズを除去した画像を示した図であって、図3Aの画像と図4Aの画像が対応し、図3Bの画像と図4Bの画像が対応している。
図3Aおよび図4Aの例では、LCI画像中のハレーションと影の部分とファイバーの画像部分が除去されており、図3Bおよび図4Bの例では、LCI画像中のハレーションと影の部分が除去されていることがわかる。

【0020】
次に、ノイズを除去したLCI画像を色相の所定の閾値を用いて二値化することによって、LCI画像中の色相が閾値よりも大きい高色相画像部分を抽出する(図1のS2)。
図5には、図4の画像を二値化した画像を示した。ここで、図5Aの画像が図4Aの画像に対応し、図5Bの画像が図4Bの画像に対応している。

【0021】
次いで、二値化したLCI画像をラベリング処理し、高色相画像部分のうち隣接画素数が所定値よりも少ない画像部分を除去して、二値化したLCI画像中に関心領域の画像のみを残す(図1のS3)。
図6には、図5の画像をラベリング処理した画像を示した。ここで、図6Aの画像が図5Aの画像に対応し、図6Bの画像が図5Bの画像に対応している。

【0022】
その後、二値化したLCI画像の全体に占める関心領域の画像の割合を算出し(図1のS4)、当該割合が所定値以上のときは、関係するLCI画像を高色相画像に分類する一方、当該割合が当該所定値未満のときは、関係するLCI画像を低色相画像に分類する(図1のS5)。

【0023】
こうして、LCI画像のうち、びまん性発赤のLCI画像(より赤く表示される)は高色相画像として、また、萎縮性胃炎のLCI画像(より白く表示される)は低色相画像として分別することができる。

【0024】
さらに、高色相画像の組と低色相画像の組の組毎に、当該組に属するLCI画像のそれぞれから色情報に関する特徴量を抽出する(図1のS6)。
この実施例では、高色相画像の組については、特徴量として、LCI画像中の関心領域の割合、およびLCI画像中の関心領域の色相の中央値、およびLCI画像中の関心領域の色相の平均値の3つを抽出する一方、低色相画像の組については、特徴量として、LCI画像の色相の中央値、およびLCI画像の色相の分散、およびLCI画像の彩度の最頻値を抽出する。
なお、特徴量の選択はこの実施例に限定されるものではなく、採用するLCI画像の鮮明度や、当該画像中の関心領域の写り方等に応じて、適当なパラメータ(3種類に限らない)を特徴量として選べばよい。

【0025】
その後、高色相画像の組と低色相画像の組の組毎に、教師つき学習法を用いたパターン認識アルゴリズムの1つであるSVM(Support Vector Machine)アルゴリズムによって、特徴量に基づき、当該組に属するLCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別し、当該分別の結果に基づいて被検者のピロリ菌感染の有無を判定する(図1のS7)。

【0026】
こうして、本発明によれば、LCI画像に基づく診断を、医師の目視によるのではなく、自動的に行うことで、ピロリ菌感染の有無の判断が客観的に行える。

【0027】
図2は、本発明の1実施例によるLCI画像に基づいてピロリ菌感染の有無を判定する装置のブロック図である。
図2を参照して、本発明によれば、内視鏡によって撮影された被検者の胃粘膜のLCI画像の入力を受ける入力部1と、入力部1に入力されたLCI画像から、彩度が所定の基準値よりも小さい画像部分と明度が所定の基準値よりも小さい画像部分をノイズとして除去するノイズ除去部2と、ノイズ除去部2でノイズが除去されたLCI画像を、色相の所定の閾値を用いて二値化することにより、LCI画像中の色相が閾値よりも大きい高色相画像部分を抽出する二値化部3が備えられる。

【0028】
本発明によれば、また、二値化部3で二値化されたLCI画像をラベリング処理し、高色相画像部分のうちの隣接画素数が所定値よりも少ない画像部分を除去することで、二値化されたLCI画像中に関心領域の画像のみを残し、二値化されたLCI画像の全体に占める関心領域の割合を算出する関心領域占有率算出部4と、関心領域占有率算出部4で算出された割合が所定値以上のときは、関係するLCI画像を高色相画像に分類する一方、割合が所定値未満のときは、関係するLCI画像の低色相画像に分類する分類部5が備えられる。

【0029】
また、分類部5で前記高色相画像の組に分類されたLCI画像のそれぞれから色情報に関する第1の特徴量を抽出する第1の特徴量抽出部6と、分類部5で低色相画像の組に分類されたLCI画像のそれぞれから色情報に関する第2の特徴量を抽出する第2の特徴量抽出部7が備えられる。

【0030】
この実施例では、第1の特徴量は、高色相画像中の関心領域の割合、および高色相画像中の関心領域における色相の中央値、および高色相画像中の関心領域における色相の平均値である。
一方、第2の特徴量は、低色相画像の色相の中央値、および低色相画像の色相の分散、および低色相画像の彩度の最頻値である。

【0031】
本発明によれば、さらに、SVMアルゴリズムによって、第1の特徴量に基づき、高色相画像に分類されたLCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別する第1の分別部8と、SVMアルゴリズムによって、第2の特徴量に基づき、低色相画像に分類されたLCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別する第2の分別部9と、第1および第2の分別部8、9による分別結果に基づいて、被検者のピロリ菌感染の有無を判定する判定部10が備えられる。

【0032】
(実験)
次に、本発明の作用効果を検証するために実験を行った。
実験では、33症例130枚(1症例につき2枚または4枚)のLCI画像(原画像)を用意した。
そして、これらのLCI画像(原画像)からノイズを除去した。具体的には、明度値をV、彩度値をSとして、次式を満たす画像部分をノイズとしてLCI画像(原画像)から除去した。
S<60 (1)
V<150-(3/7)×S (2)

【0033】
次に、ノイズを除去した画像のそれぞれを、色相値H=128を閾値として二値化することによって、各画像中のH>128となる高色相画像部分を抽出した。
さらに、二値化した画像のそれぞれをラベリング処理し、隣接画素数が1400以下の画像部分を除去することによって、二値化した画像中に関心領域の画像のみを残した。

【0034】
そして、二値化した各画像について、当該画像の全体に占める関心領域の画像の割合を算出し、割合が5%以上のときは、関係するLCI画像(原画像)を高色相画像に分類する一方、割合が5%未満のときは、関係するLCI画像(原画像)を低色相画像に分類した。
その結果、高色相画像に分類されたLCI画像(原画像)が42枚、低色相画像に分類されたLCI画像(原画像)が88枚となった。

【0035】
次いで、高色相画像の組に属する各LCI画像について、画像中の関心領域の割合、および画像中の関心領域の色相の中央値、および画像中の関心領域の色相の平均値を特徴量として抽出した。
そして、SVMアルゴリズムによって、これらの特徴量に基づき、高色相画像の組に属するLCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別した。
なお、SVMのカーネル関数としてRBF(Radial Basis Function)カーネルを用い、パラメータをcost=216、gamma=2-14とした。

【0036】
その結果、42枚のLCI画像のうち、27枚のLCI画像をピロリ菌感染を示す画像に分別し、11枚のLCI画像をピロリ菌非感染を示す画像に分別することができた。
一方、熟練した医師の目視による上記42枚のLCI画像の分別結果は、29枚のLCI画像がピロリ菌感染を示す画像であり、13枚のLCI画像がピロリ菌非感染を示す画像であった。
このことから、本発明の方法による分別の精度は90.48%であることがわかった。

【0037】
また、低色相画像の組に属する各LCI画像について、画像の色相の中央値、および画像の色相の分散、および画像の彩度の最頻値を特徴量として抽出した。
そして、SVMアルゴリズムによって、これらの特徴量に基づき、低色相画像の組に属するLCI画像をピロリ菌感染を示す画像とピロリ菌非感染を示す画像に分別した。
なお、SVMのカーネル関数としてRBFカーネルを用い、パラメータをcost=219、gamma=2-15とした。

【0038】
その結果、88枚のLCI画像のうち、22枚のLCI画像をピロリ菌感染を示す画像に分別し、53枚のLCI画像をピロリ菌非感染を示す画像に分別することができた。
一方、熟練した医師の目視による上記88枚のLCI画像の分別結果は、27枚のLCI画像がピロリ菌感染を示す画像であり、61枚のLCI画像がピロリ菌非感染を示す画像であった。
このことから、本発明の方法による分別の精度は85.23%であることがわかった。
【符号の説明】
【0039】
1 入力部
2 ノイズ除去部
3 二値化部
4 関心領域占有率算出部
5 分類部
6 第1の特徴量抽出部
7 第2の特徴量抽出部
8 第1の分別部
9 第2の分別部
10 判定部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5