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明細書 :半導体センシングデバイス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-189484 (P2018-189484A)
公開日 平成30年11月29日(2018.11.29)
発明の名称または考案の名称 半導体センシングデバイス
国際特許分類 G01N  27/414       (2006.01)
FI G01N 27/414 301V
G01N 27/414 301L
G01N 27/414 301N
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2017-091787 (P2017-091787)
出願日 平成29年5月2日(2017.5.2)
発明者または考案者 【氏名】逢坂 哲彌
【氏名】秀島 翔
【氏名】黒岩 繁樹
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110002240、【氏名又は名称】特許業務法人英明国際特許事務所
審査請求 未請求
要約 【課題】、長期間にわたって溶液に浸漬した場合であっても、センサー特性を失うことなく、安定して測定が可能な半導体センシングデバイスを提供する。
【解決手段】半導体上1に反応ゲート絶縁部としてシリコン酸化物又は無機酸化物を含む第1の絶縁層2が形成された電界効果トランジスタの前記第1の絶縁層の上に、反応性官能基を有するアルコキシシランの単分子膜からなる第1の有機単分子膜3を形成し、該第1の有機単分子膜上にグラフェン類を含む層11を形成してなる、グラフェン類含有層/有機単分子膜/絶縁層/半導体構造を検出部として備える半導体センシングデバイス。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
半導体上に反応ゲート絶縁部としてシリコン酸化物又は無機酸化物を含む第1の絶縁層が形成された電界効果トランジスタの前記第1の絶縁層の上に、反応性官能基を有する有機単分子膜からなる第1の有機単分子膜を形成し、該第1の有機単分子膜上にグラフェン類を含む層を形成してなる、グラフェン類含有層/有機単分子膜/絶縁層/半導体構造を検出部として備える半導体センシングデバイス。
【請求項2】
前記グラフェン類が、酸化グラフェンである請求項1記載の半導体センシングデバイス。
【請求項3】
前記有機単分子膜が、下記式(1)で表されるアルコキシシランの単分子膜である請求項1又は2記載の半導体センシングデバイス。
【化1】
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(式中、Rは、アミノ基、アミノオキシ基、カルボキシル基及びチオール基から選ばれる反応性官能基である。R1は、炭素数3~22の直鎖状のアルキレン基である。R2~R4は、それぞれ独立に、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~5のアルキル基又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~5のアルコキシアルキル基である。)
【請求項4】
前記反応性官能基が、アミノ基である請求項1~3のいずれか1項記載の半導体センシングデバイス。
【請求項5】
前記グラフェン類含有層上にプローブを固定してなる、請求項1~4のいずれか1項記載の半導体センシングデバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体センシングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタ(FET)は、生体分子の検出に非常に有望なツールである。FETを用いると、生体分子の吸着に伴うゲート表面の電荷密度変化を電気信号として直接検出するため、ラベルフリー検出が可能であり、低コストで迅速な生体分子の検出が可能である。それゆえ、FETを用いた生体分子の検出に関する研究が広く行われている。
【0003】
従来のFETバイオセンサーは、安定性を向上させるために、SiO2等の絶縁膜をSiN膜、高誘電率膜、有機単分子膜等の保護膜で被覆する(特許文献1)。しかしながら、水や金属イオンの影響を防ぐことが十分でないこともあり、安定性向上に限度があった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2004-4007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みなされたもので、長期間にわたって溶液に浸漬した場合であっても、センサー特性を失うことなく、安定して測定が可能な半導体センシングデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意研究を行った結果、FETの絶縁膜の保護膜として、有機単分子膜及びグラフェン類を用いることにより、長期間の溶液浸漬に耐える溶液耐性を実現することができることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
したがって、本発明は、下記半導体センシングデバイスを提供する。
1.半導体上に反応ゲート絶縁部としてシリコン酸化物又は無機酸化物を含む第1の絶縁層が形成された電界効果トランジスタの前記第1の絶縁層の上に、反応性官能基を有する有機単分子膜からなる第1の有機単分子膜を形成し、該第1の有機単分子膜上にグラフェン類を含む層を形成してなる、グラフェン類含有層/有機単分子膜/絶縁層/半導体構造を検出部として備える半導体センシングデバイス。
2.前記グラフェン類が、酸化グラフェンである1の半導体センシングデバイス。
3.前記有機単分子膜が、下記式(1)で表されるアルコキシシランの単分子膜である1又は2の半導体センシングデバイス。
【化1】
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(式中、Rは、アミノ基、アミノオキシ基、カルボキシル基及びチオール基から選ばれる反応性官能基である。R1は、炭素数3~22の直鎖状のアルキレン基である。R2~R4は、それぞれ独立に、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~5のアルキル基又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~5のアルコキシアルキル基である。)
4.前記反応性官能基が、アミノ基である1~3のいずれかの半導体センシングデバイス。
5.前記グラフェン類含有層上にプローブを固定してなる、1~4のいずれかの半導体センシングデバイス。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半導体センシングデバイスは、溶液耐性が高く、長期間にわたって溶液中に浸漬した場合であっても、安定して生理的条件下における検出が可能となる。本発明の半導体センシングデバイスは、バイオセンサーとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の半導体センシングデバイスを示す断面図であり、(A)は電界効果トランジスタ、(B)は電界効果トランジスタのゲート電極の絶縁層上に有機単分子膜を形成した状態、(C)は有機単分子膜上にグラフェン類含有層を形成した状態を示す。
【図2】オンチップデバイスのユニット構成例を示し、(A)は部分平面図、(B)はその拡大断面図である。
【図3】実施例1で製造したGO-APS-FETのラマンスペクトルである。
【図4】実施例3及び比較例1で測定した相互コンダクタンス比を示すグラフである。
【図5】実施例4で測定したデバイス特性の評価結果(Vg-Id特性)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の半導体センシングデバイスは、半導体上に反応ゲート絶縁部としてシリコン酸化物又は無機酸化物を含む第1の絶縁層が形成された電界効果トランジスタの前記第1の絶縁層の上に、反応性官能基を有するアルコキシシランの単分子膜からなる第1の有機単分子膜を形成し、該第1の有機単分子膜上にグラフェン類を含む層を形成してなる、グラフェン類含有層/有機単分子膜/絶縁層/半導体構造を検出部として備えるものである。

【0011】
前記検出部のうち、絶縁層/半導体構造部分は、半導体上に反応ゲート絶縁部としてシリコン酸化物又は無機酸化物を含む絶縁層が形成された電界効果トランジスタを利用することができ、その構成は従来公知のものを利用することができる。前記絶縁層は、シリコン酸化物であることが好ましい。電界効果トランジスタは、n型でもp型でもよい。電界効果トランジスタとしては、例えば、図1(A)に示されるものが挙げられる。なお、図1中、1はシリコン基板、2はシリコン酸化物又は無機酸化物(ガラス、アルミナなど)を含む絶縁層、4はゲート電極、5はソース電極、6はドレイン電極、7はドープ領域を示す。

【0012】
そして、図1(B)に示されるように、絶縁層2上に第1の有機単分子膜3が形成される。前記絶縁層の厚さは、10~100nm、特に10~50nmが好ましい。

【0013】
前記第1の有機単分子膜は、反応性官能基を有する有機単分子膜からなるものである。前記有機単分子膜としては、下記式(1)で表される反応性官能基を有するアルコキシシランの単分子膜であることが好ましい。
【化2】
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【0014】
式(1)中、Rは、アミノ基、アミノオキシ基、カルボキシル基及びチオール基から選ばれる反応性官能基である。Rとしては、アミノ基又はカルボキシル基が好ましく、アミノ基がより好ましい。

【0015】
式(1)中、R1は、炭素数3~22の直鎖状のアルキレン基であり、炭素数が3~18のものが好ましく、炭素数が3~8のものがより好ましい。炭素鎖が短い方が、有機単分子膜の有する疎水性が弱くなり、ターゲットタンパク質の疎水性相互作用に起因する非特異的吸着を抑制することができるため好ましい。

【0016】
1の具体例としては、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基、エイコサメチレン基、ヘンエイコサメチレン基、ドコサメチレン基が挙げられる。これらのうち、炭素数3~18のものが好ましく、炭素数3~8のものがより好ましい。

【0017】
式(1)中、R2~R4は、それぞれ独立に、炭素数1~5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数2~5の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシアルキル基である。これらのうち、炭素数1若しくは2のアルキル基又は炭素数2若しくは3のアルコキシアルキル基が好ましい。R2~R4の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基等が挙げられる。これらのうち、特にメチル基、エチル基、2-メトキシエチル基等が好ましい。

【0018】
前記Rがアミノ基、カルボキシル基又はチオール基であるアルコキシシランとしては、市販品を使用し得る。また、前記Rがアミノオキシ基であるアルコキシシランは、例えば、特開2013-152211号公報に記載された方法に従って合成することができる。

【0019】
前記グラフェン類含有層は、有機単分子膜表面をグラフェン類で被覆して得られるものである。例えば、図1(C)に示されるように、第1の有機単分子膜3にグラフェン類含有層11が形成される。これによって、長期間溶液に浸漬した後でもセンサー特性が失われない、高い溶液耐性を実現することができる。

【0020】
前記グラフェン類としては、酸化グラフェン、還元型酸化グラフェンが好ましく、より長期間の溶液耐性を実現できることから、酸化グラフェンがより好ましい。

【0021】
前記グラフェン類含有層は、グラフェン類の懸濁液を、第1の有機単分子膜上に静置した後、洗浄することで形成することができる。このとき、前記懸濁液に用いられる溶媒としては、水、エタノール、メタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、イオン液体等が挙げられる。洗浄は、前記懸濁液に用いられる溶媒と同様のものを用いて行うことが好ましい。前記懸濁液中のグラフェン類の濃度は、1ng/mL~2mg/mLが好ましく、10~500μg/mLがより好ましい。また、前記懸濁液を第1の有機単分子膜上に静置する条件としては、0~200℃で1分間~1日間が好ましく、10~100℃で10~120分間がより好ましい。

【0022】
本発明の半導体センシングデバイスの検出部のグラフェン含有層上に、各種プローブを固定化することで、バイオセンサーとして使用することができる。

【0023】
固定化するプローブとしては、検出対象とする生体物質(以下、被検出物質ともいう。)に応じて、酵素、DNA、抗体のほか、前記生体物質と相互作用する各種物質が用いられる。

【0024】
前記プローブは、直接又は架橋剤を介して前記グラフェン類含有層上に固定化される。架橋剤としては、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)及び1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)や、グルタルアルデヒド、ピレン誘導体、N,N-ジメチルアセトアミドジメチルアセタール等が挙げられる。固定化方法は、特に限定されず、固定化するプローブに応じて従来公知の方法で行うことができる。

【0025】
前記電界効果トランジスタの半導体上には、更に、シリコン酸化物又は無機酸化物を含む第2の絶縁層を参照ゲート絶縁部として形成することができる。この第2の絶縁層の上には、第2の有機単分子膜として、前記プローブ及び被検出物質のいずれとも反応しない有機分子で構成された単分子膜を形成し、この単分子膜/絶縁層/半導体構造を参照部とすることができる。なお、反応ゲート絶縁部と参照ゲート絶縁部とを、電位変化測定において互いに影響を与えない程度に離間させれば、反応ゲート絶縁部の第1の絶縁層と参照ゲート絶縁部の第2の絶縁層とを同一層内に設けることもできる。

【0026】
図2は有機単分子膜/絶縁層/半導体構造を検出部9及び参照部8に適用したオンチップデバイスのユニット構成例を示す。なお、図2中、1はシリコン基板、2は絶縁層、10はテンプレート部である。このデバイスのユニット構成は図示した構成に限定されず、検出部と参照部とは必ずしも1対1の関係で配置する必要はなく、必要に応じて検出部及び参照部の数及び組合せを適宜変更して配置することができる。また、検出部及び参照部は各々数~数十μmのサイズで形成可能である。

【0027】
前記第2の有機単分子膜としては、フッ素化されていてもよい炭素数8~22の直鎖状アルキル基を有するアルコキシシランの単分子膜が好ましい。なお、有機単分子膜としてアルコキシシランの単分子膜を用いる場合、前記第2の絶縁層はシリコン酸化物で形成されたものが好ましい。

【0028】
第2の有機単分子膜は、絶縁層上に均一な膜を形成させるため、自己集積化膜であることが望ましい。具体的には、下記式(2)で表されるトリアルコキシシランの単分子膜であることが好ましい。
【化3】
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【0029】
式中、R6は、直鎖状の炭素数8~22、好ましくは炭素数10~18のアルキル基であり、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい。R7~R9は、それぞれ独立に、直鎖状若しくは分岐状の炭素数1~5、好ましくは炭素数1~2のアルキル基又は直鎖状若しくは分岐状の炭素数2~5、好ましくは炭素数2~3のアルコキシアルキル基である。

【0030】
6として具体的には、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、n-エイコシル基、n-ヘンエイコシル基、n-ドコシル基、及びこれらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されたものが挙げられる。

【0031】
7~R9として具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、2-メトキシエチル基、2-エトキシエチル基等が挙げられる。

【0032】
前記トリアルコキシシランとして具体的には、CH3(CH2)7Si(OCH3)3、CH3(CH2)7Si(OC2H5)3、CH3(CH2)8Si(OCH3)3、CH3(CH2)8Si(OC2H5)3、CH3(CH2)9Si(OCH3)3、CH3(CH2)9Si(OC2H5)3、CH3(CH2)10Si(OCH3)3、CH3(CH2)10Si(OC2H5)3、CH3(CH2)11Si(OCH3)3、CH3(CH2)11Si(OC2H5)3、CH3(CH2)12Si(OCH3)3、CH3(CH2)12Si(OC2H5)3、CH3(CH2)13Si(OCH3)3、CH3(CH2)13Si(OC2H5)3、CH3(CH2)14Si(OCH3)3、CH3(CH2)14Si(OC2H5)3、CH3(CH2)15Si(OCH3)3、CH3(CH2)15Si(OC2H5)3、CH3(CH2)16Si(OCH3)3、CH3(CH2)16Si(OC2H5)3、CH3(CH2)17Si(OCH3)3、CH3(CH2)17Si(OC2H5)3、CH3(CH2)18Si(OCH3)3、CH3(CH2)18Si(OC2H5)3、CH3(CH2)19Si(OCH3)3、CH3(CH2)19Si(OC2H5)3、CH3(CH2)20Si(OCH3)3、CH3(CH2)20Si(OC2H5)3、CH3(CH2)21Si(OCH3)3、CH3(CH2)21Si(OC2H5)3、CF3(CF2)5(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)5(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)6(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)6(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)8(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)8(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)9(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)9(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)10(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)10(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)11(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)11(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)12(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)12(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)13(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)13(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)14(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)14(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)15(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)15(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)16(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)16(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)17(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)17(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)18(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)18(CH2)2Si(OC2H5)3、CF3(CF2)19(CH2)2Si(OCH3)3、CF3(CF2)19(CH2)2Si(OC2H5)3等が挙げられる。

【0033】
なお、第1及び第2の有機単分子膜は、パターニングにより所望の位置に形成することができる。特に、オンチップでの集積化デバイスを形成するためには、有機単分子膜のパターニングが有効である。例えば、検出部の絶縁層表面には、反応性官能基を有する有機分子で構成された第1の単分子膜を、一方で、参照部、更には非ゲート部(テンプレート部)においては、被検出物質の非特異的な吸着を避けるために、プローブ及び被検出物質のいずれとも反応しない有機分子で構成された第2の有機単分子膜をパターニングにより位置選択的に形成する。

【0034】
参照部としては、第2の有機単分子膜として第1の有機単分子膜と同様の単分子膜に、被検出物質と相互作用しない化合物を固定化したものを利用することも可能である。すなわち、被検出物質と相互作用しない化合物/有機単分子膜/絶縁層/半導体構造を参照部とすることもできる。この場合、参照部は、前述した検出部における有機単分子膜形成方法及びプローブ固定化方法と同じ方法にしたがって形成することができる。

【0035】
前述したように、本発明の半導体センシングデバイスは、長期間の溶液浸漬に耐える溶液耐性を実現することができる。このとき、前記溶液としては、塩を含む水溶液、特に生理的条件を満たすものが挙げられる。例えば、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、トリス緩衝生理食塩水、MES緩衝生理食塩水、MOPS緩衝生理食塩水、PIPES緩衝生理食塩水、HEPES緩衝生理食塩水等が挙げられる。このように、本発明の半導体センシングデバイスは、水及び金属イオン等のイオンを含む溶液に対する耐性に優れている。

【0036】
また、本発明の半導体センシングデバイスの溶液耐性を示す指標として、浸漬前後における相互コンダクタンス比を使用することができる。このとき、相互コンダクタンス(gm)をゲート電圧が0~0.5Vにおけるゲート電圧の増加分に対するドレイン電流の増加分とする。浸漬前の相互コンダクタンス(gm,0)に対する浸漬n日後の相互コンダクタンス(gm,n)の比(gm,n/gm,0)が、0<n≦20のとき、0.95≦gm,n/gm,0≦1.05を満たすことが好ましい。また、n≦105において、0.9≦gm,n/gm,0≦1.1を満たすことが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されない。
【実施例】
【0038】
[1]半導体センシングデバイスの構築
[実施例1]
(1)有機単分子膜の形成
凸版印刷(株)製の10μm長、1,000μm幅のn型FETからアセトンを用いて超音波処理することでフォトレジストを除去した。ゲート表面にヒドロキシ基を導入して活性部位を作製するため、プラズマリアクターPR301(ヤマト科学(株)製)を用いて、200WのO2プラズマに1分間暴露した。
アミノプロピルトリエトキシシラン(APS、Sigma-Aldrich社製)を1質量%含むトルエン中にデバイスを浸漬し、アルゴン雰囲気下、60℃で7分間静置することで、ゲート上へ単分子膜を成膜した。単分子膜を形成したFETをメタノール/トルエン混合溶媒(質量比1:1)を用いて超音波洗浄し、エタノールでリンスし、ゲート表面にAPSの単分子膜が形成されたFETを作製した(以下、APS-FETという。)。
【実施例】
【0039】
(2)グラフェン類含有層の形成
前記APS-FETの検出部のゲート電極に、酸化グラフェン(GO)の被覆を行った。まず、2mg/mLのGOの水懸濁液(Sigma-Aldrich社製)を超純水で100倍希釈した後、超音波処理(15min)及びボルテックス(1min)によって、20μg/mLのGO懸濁液を調製した。次に、APS修飾FETの表面に対して、前記GO懸濁液20μLを添加し、室温で30分間静置した後、表面を超純水によりリンスすることで、GO被覆APS修飾FETセンサー(以下、GO-APS-FETという。)を作製した。
【実施例】
【0040】
[2]半導体センシングデバイスの安定性の評価
[2-1]ラマンスペクトルの測定
[実施例2]
前記GO-APS-FETの製造直後、並びに1×PBS(137mM NaCl、2.7mM KCl、8.1mM Na2HPO4・12H2O、1.5mM KH2PO4、pH7.4)に浸漬後2週間及び1月経過したときの表面を、ラマン分光法を用いて解析した。ラマンスペクトルは、三次元顕微レーザーラマン分光装置Nanofinder 30(東京インスツルメント社)を用いて取得した。励起波長は532nmを用いた。
結果を図3に示す。これより、溶液浸漬後もGO由来のD及びGバンドが存在していることが確認された。すなわち、溶液浸漬後も酸化グラフェン層が存在していることが確認された。
【実施例】
【0041】
[2-2]相互コンダクタンス値の測定
[実施例3]
前記GO-APS-FETをFETホルダーにセットした状態で、1×PBS100μLをゲート部分に添加し、ゲート開口部をパラフィルム(登録商標)で巻いた状態においてインキュベーター内(37℃)で静置した。トランジスタ特性(Vg-Id特性)は、保存時の溶液を1×PBS500μLで置換し、ドレイン電圧Vdを0.1Vで一定、及びゲート電圧Vgを-3.0~+0.5Vの範囲で3回走査させて得た。浸漬時間による特性変化を評価した。評価は、各トランジスタの相互コンダクタンス値(gm,n)を算出して、浸漬前後における相互コンダクタンス比(gm,n/gm,0)を算出した。相互コンダクタンス値は、ゲート電圧が0~0.5Vにおけるゲート電圧の増加分に対するドレイン電流Idの増加分である。
【実施例】
【0042】
[比較例1]
GO-APS-FETのかわりにAPS-FETを用いた以外は、実施例1と同じ方法で相互コンダクタンス比を算出した。
【実施例】
【0043】
実施例3及び比較例1で測定した相互コンダクタンス比を図4に示す。図4から明らかなように、GO-APS-FETは、長期間経過後でも相互コンダクタンス比が1に近く、長期間の溶液浸漬に耐える溶液耐性を有していた。すなわち、GOがゲート表面を保護し、センサー応答が安定していることが示された。
【実施例】
【0044】
[3]半導体センシングデバイスの安定性の評価
[実施例4]
前記GO-APS-FETの表面に酵素を固定化し、ターゲットの検出を行った。まず、リンカーであるNHS(濃度50mmol/L)10μL及びEDC(濃度20mmol/L)10μLをゲート表面に添加し、1時間静置した。続いて、メラトニン分解酵素であるCyp1A2(濃度10μmol/L)20μLをゲート表面に添加し、30分静置した。表面を洗浄した後、Vg-Id特性を測定した。更に、メラトニン(MEL)(濃度1mmol/L)500μLを添加した。表面を洗浄した後、Vg-Id特性を測定した。メラトニン添加前後でのVg-Id特性の変化を評価した。なお、Vg-Id特性は、実施例3と同様にして測定した。
結果を図5に示す。メラトニンを添加した場合、電流-電圧曲線が正方向にシフトしたことから、前記GO-APS-FETが酵素反応による電位変化を検出できることが示された。
【符号の説明】
【0045】
1 シリコン基板
2 絶縁層
3 第1の有機単分子膜
4 ゲート電極
5 ソース電極
6 ドレイン電極
7 ドープ領域
8 参照部
9 検出部
10 テンプレート部
11 グラフェン類含有層
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4