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明細書 :展開型車輪及びこれを利用した走行装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-184072 (P2018-184072A)
公開日 平成30年11月22日(2018.11.22)
発明の名称または考案の名称 展開型車輪及びこれを利用した走行装置
国際特許分類 B60B  19/00        (2006.01)
B62D  57/028       (2006.01)
FI B60B 19/00 D
B62D 57/028 P
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2017-086739 (P2017-086739)
出願日 平成29年4月26日(2017.4.26)
発明者または考案者 【氏名】江口 航平
【氏名】宮下 朋之
【氏名】三浦 智
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査請求 未請求
要約 【課題】比較的簡単な構造で、砂地や荒地等の軟弱地盤や高い段差が存在する不整地での移動を可能にすること。
【解決手段】走行装置10は、車体11に回転可能に取り付けられ、一部分が展開可能な展開型車輪13を備えている。展開型車輪13は、走行面上を転動可能な車輪本体17と、車輪本体17の外周面の一部分に一端側が取り付けられた帯状の補助脚部18とを備えている。補助脚部18は、車輪本体17の外周面に巻回された状態である巻回状態と、外周面への取付部位を除き外周面から離れた状態となる展開状態との間で変位可能に設けられるとともに、展開状態のときに、車輪本体17の回転に伴う回転運動により、所定のタイミングで車輪本体17の進行方向前方の走行面に接地する脚体として機能し、車輪本体17を持ち上げながら車体11を移動可能に設けられる。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
所定の走行装置に取り付けられ、当該走行装置の移動時に一部分を展開させながら走行面に沿って転動可能な展開型車輪であって、
前記走行装置の移動時に回転する車輪本体と、当該車輪本体の外周面の一部分に一端側が取り付けられた帯状の補助脚部とを備え、
前記補助脚部は、前記車輪本体の外周面に巻回された状態である巻回状態と、前記外周面への取付部位を除き前記外周面から離れた状態となる展開状態との間で変位可能に設けられるとともに、前記展開状態のときに、前記車輪本体の回転に伴う回転運動により、所定のタイミングで前記車輪本体の進行方向前方の前記走行面に接地する脚体として機能し、前記車輪本体を持ち上げながら前記走行装置を移動可能に設けられることを特徴とする展開型車輪。
【請求項2】
前記補助脚部は、前記走行面に面接触しながら前記車輪本体を持ち上げ可能に展開することを特徴とする請求項1記載の展開型車輪。
【請求項3】
前記補助脚部を前記巻回状態から前記展開状態に変位させる状態変化手段を更に備え、
前記状態変化手段は、前記補助脚部の先端側に設けられたフックと、前記巻回状態で前記フックに係合可能となるように前記車輪本体の外周面に突設された係合部材と、前記フックに繋がるワイヤと、当該ワイヤの巻き取りを行う巻き取り用モータとを備え、当該巻き取り用モータを駆動することで前記ワイヤが牽引され、前記フックと前記係合部材の係合を解除して前記補助脚部を展開させることを特徴とする請求項1記載の展開型車輪。
【請求項4】
前記補助脚部は、前記展開状態で前記走行装置を移動させる際の回転方向と逆方向に前記車輪本体を回転することで、前記巻回状態に変位するように構成され、
前記フックは、前記補助脚部が前記展開状態から前記巻回状態に変位したときに前記係合部材に係合可能に設けられていることを特徴とする請求項3記載の展開型車輪。
【請求項5】
車体と、当該車体に回転可能に取り付けられ、一部分が展開可能な展開型車輪と、当該展開型車輪を回転させる動力を付与する駆動手段とを備え、所定の走行面に沿って移動可能な走行装置であって、
前記展開型車輪は、前記駆動手段からの動力により前記走行面上を転動可能な車輪本体と、当該車輪本体の外周面の一部分に一端側が取り付けられた帯状の補助脚部とを備え、
前記補助脚部は、前記車輪本体の外周面に巻回された状態である巻回状態と、前記外周面への取付部位を除き前記外周面から離れた状態となる展開状態との間で変位可能にし、前記展開状態のときに、脚体として機能し、前記車輪本体の回転により、前記補助脚部を前記車輪本体の進行方向前方の前記走行面に接地させながら、前記車輪本体を持ち上げる脚走行フェーズと、前記補助脚部が前記走行面から離れて、前記車輪本体の外周面が前記走行面上を転動する車輪走行フェーズとを交互に繰り返しながら、前記車体を移動させることを特徴とする走行装置。
【請求項6】
前記巻回状態での走行と前記展開状態での走行とを選択可能に設けられたことを特徴とする請求項5記載の走行装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、展開型車輪及びこれを利用した走行装置に係り、更に詳しくは、砂地や荒地に代表される軟弱地盤や段差のある不整地等での走行に好適となる展開型車輪及びこれを利用した走行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔操作により所定の走行面上を移動する車輪型の無人移動体が広く知られている。当該無人移動体は、走行面に段差が存在し、或いは、走行面が走行し難い地盤になっている等、走行面の状態によって所望の移動が阻害される場合がある。この場合、当該所望の移動を継続するためには、人手で無人移動体に直接アクセスせざるを得ないことも多いが、例えば、無人移動体が月面探査用のローバーであるような場合には、人手での直接アクセスが不可能である。従って、このような無人移動体には、走行面が無人走行を阻害するような走行面の状態であっても、当該走行面を走破する何等かの構造を設けることが必要になる。
【0003】
ところで、特許文献1には、走行面上に段差が存在する場合に、当該段差の乗り越えを可能にする車輪構造が開示されている。この車輪構造は、周方向複数箇所で分割する分割部を備え、各分割部にそれぞれ繋がるアクチュエータの駆動により、進行方向前方の分割部を突出させ、当該分割部を段差に係合しながら当該段差の乗り越えを可能にする。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2010-155520号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1の構造では、通常の車輪同様、砂地や荒地に代表される軟弱地盤での走行が困難となる。すなわち、このような軟弱地盤に対しては、突出した分割部によって路面を掘ってしまうため、車輪の滑りやスタックからの脱出が不可能になる。また、乗り越え可能な段差の最大高さが、車輪の外径寸法の約1/2以下に制限される等の問題がある。更に、各分割部を動作させるためのアクチュエータをそれぞれ設ける必要があり、部品点数の増大による車輪の大型化や重量化を招来することになる。
【0006】
本発明は、このような課題に着目して案出されたものであり、その目的は、比較的簡単な構造で、砂地や荒地等の軟弱地盤や高い段差が存在する不整地での移動を可能にする展開型車輪及びこれを利用した走行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、所定の走行装置に取り付けられ、当該走行装置の移動時に一部分を展開させながら走行面に沿って転動可能な展開型車輪であって、前記走行装置の移動時に回転する車輪本体と、当該車輪本体の外周面の一部分に一端側が取り付けられた帯状の補助脚部とを備え、前記補助脚部は、前記車輪本体の外周面に巻回された状態である巻回状態と、前記外周面への取付部位を除き前記外周面から離れた状態となる展開状態との間で変位可能に設けられるとともに、前記展開状態のときに、前記車輪本体の回転に伴う回転運動により、所定のタイミングで前記車輪本体の進行方向前方の前記走行面に接地する脚体として機能し、前記車輪本体を持ち上げながら前記走行装置を移動可能に設けられる、という構成を採っている。
【0008】
また、本発明は、車体と、当該車体に回転可能に取り付けられ、一部分が展開可能な展開型車輪と、当該展開型車輪を回転させる動力を付与する駆動手段とを備え、所定の走行面に沿って移動可能な走行装置であって、前記展開型車輪は、前記駆動手段からの動力により前記走行面上を転動可能な車輪本体と、当該車輪本体の外周面の一部分に一端側が取り付けられた帯状の補助脚部とを備え、前記補助脚部は、前記車輪本体の外周面に巻回された状態である巻回状態と、前記外周面への取付部位を除き前記外周面から離れた状態となる展開状態との間で変位可能にし、前記展開状態のときに、脚体として機能し、前記車輪本体の回転により、前記補助脚部を前記車輪本体の進行方向前方の前記走行面に接地させながら、前記車輪本体を持ち上げる脚走行フェーズと、前記補助脚部が前記走行面から離れて、前記車輪本体の外周面が前記走行面上を転動する車輪走行フェーズとを交互に繰り返しながら、前記車体を移動させる、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走行面上を転動可能な車輪本体に、当該車輪本体から進行方向に展開可能な帯状の補助脚部が設けられており、補助脚部は、展開状態で、所定のタイミングで車輪本体の進行方向前方の走行面に接地する脚体として機能し、車輪本体を持ち上げながら前記走行装置を移動可能に動作する。このため、車輪本体が走行面を転動する際の走行サイクル中に、車輪の外径寸法とは直接関係のない補助脚部の長さに応じた高さで車輪本体を持ち上げ可能なフェーズが存在し、当該フェーズで走行面に存在する段差の乗り越えが可能となる。
【0010】
また、帯状の補助脚部が車輪本体から展開する展開状態にあっては、補助脚部と走行面の間での接触面積を拡大することができ、当該接触面積の拡大により、車輪の滑りを一層防止してスタックからの脱出をより容易にできるとともに、砂地や荒地に代表される軟弱地盤での走行がよりスムーズになる。
【0011】
平坦で硬い地盤のとき等、走行面の状態が良好なときには、補助脚部を巻回状態とし、通常の車輪での走行と同様、早い速度での走行が可能になる。
【0012】
また、補助脚部を延出方向複数箇所で屈曲可能にし、状態変化手段をフック、係合部材、ワイヤ及び1つの巻き取り用モータで構成することで、展開型車輪を比較的簡単な構造にすることができ、展開型車輪の小型化や軽量化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係る走行装置の概略斜視図である。
【図2】(A)は、展開状態における展開型車輪の概略斜視図であり、(B)は、(A)と異なる角度からの概略斜視図である。
【図3】(A)は、巻回状態における展開型車輪の概略斜視図であり、(B)は、(A)と異なる角度からの概略斜視図である。
【図4】巻回状態における展開型車輪の概略正面図である。
【図5】(A)~(D)は、展開型車輪が巻回状態から展開状態に移行する動作を順に説明するための概略正面図である。
【図6】(A)~(E)は、展開状態における展開型車輪の動作を順に説明するための概略図である。
【図7】(A)~(D)は、図6(E)から後の展開型車輪の動作を順に説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

【0015】
図1には、本実施形態に係る走行装置の概略斜視図が示されている。この図において、前記走行装置10は、図示しない操縦装置による遠隔操作によって、所定の走行面上を移動可能な無人移動体として構成されており、平面視でほぼ方形状をなす車体11と、当該車体11の前部で回転可能に支持された左右一対の前輪13と、車体11の後部で回転可能に支持された左右一対の後輪14と、車体11に搭載され、前輪13を回転させる動力を付与する駆動手段15とを備えている。

【0016】
前記車体11は、駆動手段15の他、センサやカメラ等の各種装置や機器類が搭載されるようになっているが、本発明の本質構造を端的に表すため、図1においては、駆動手段15を除き車体11に搭載される各種装置等についての記載を省略している。

【0017】
前記前輪13は、同一の構造及びサイズのものが車体11の左右両側に取り付けられており、駆動手段15からの動力により、車体11を走行面に沿って移動可能に回動するとともに、図2及び図3に示されるように、その一部分を展開可能な展開型車輪として機能する構造に設けられている。

【0018】
具体的に、各前輪13は、図2~図4に示されるように、駆動手段15の駆動によって回転する車輪本体17と、車輪本体17に取り付けられた帯状の補助脚部18と、前輪13の外周に沿う複数箇所に突設されたラグ20と、車輪本体17に対する補助脚部18の状態を変えるための状態変化手段21とを備えている。

【0019】
前記車輪本体17は、特に限定されるものではないが、正6角柱状に形成されており、相対する正6角形状の側面17Aと、これら側面17Aの各周縁側に連なり、6つの方形状面を6箇所の角部で屈曲しながら相互に連ねてなる外周面17Bとにより構成されている。

【0020】
前記補助脚部18は、その一端側が車輪本体17の外周面17Bの一部分に取り付けられており、他端側を自由端側として、延出方向の途中複数箇所で各図中上下に屈曲可能となっている。すなわち、補助脚部18は、外周面17Bの取付部位となる一端側の部分を除いて外周面17Bから離れた状態となる図2の展開状態と、全体が外周面に巻回する図3及び図4の巻回状態との間で変位可能に形成されている。

【0021】
この補助脚部18は、外周面17Bを構成する前記方形状面とほぼ同じ平面形状を有する3枚の第1~第3のプレート23~25と、これら第1~第3のプレート23~25同士を相互に屈曲可能に連結するとともに、基端側に位置する第1のプレート23を外周面17Bの1箇所の前記角部付近の取付部位に連結する連結手段27とを備えている。

【0022】
なお、本実施形態では、補助脚部18を第1~第3のプレート23~25により構成したが、前記展開状態と前記巻回状態との間で変位し、後述の作用を奏する限りにおいて、構成するプレート数を増減することも可能である。

【0023】
以上の補助脚部18は、図4に示されるように、巻回状態で、車輪本体17の外周面17Bの半分となる3つの方形状面に第1~第3のプレート23~25が重なるように配置される。この外周面17Bの半分の領域は、巻回状態で表出せずに展開状態のときのみ表出する一時表出領域であり、同図中斜め下側の残り半分の外周面17Bの領域は、巻回状態でも第1~第3のプレート23~25が重ならずに常時表出する常時表出領域となる。

【0024】
前記連結手段27は、詳細な図示を省略しているが、連結される対象物間に跨るヒンジや板ばね等の部材により構成され、補助脚部18が前記巻回状態と前記展開状態の間で姿勢変位可能となる角度範囲で屈曲可能に各部材を連結するようになっている。この連結手段27は、車輪本体17の外周面17Bに対する第1のプレート23の取付部位を支点として、第3のプレート25の先端側を自由端側とし、前記巻回状態と前記展開状態との間で第1~第3のプレート23~25を相互に屈曲させながらの変位を可能にこれらプレート23~25を連結する。ここで、連結手段27は、第1~第3のプレート23~25が、巻回状態から展開して、車輪本体17から走行装置10の進行方向に延びる図1及び図2の展開姿勢を最大展開状態となる。また、第1~第3のプレート23~25は、それら外面の連結部分に設けられた回転規制ブロック27A(図2(B)等参照)によって、最大展開状態よりも更に外側(図2(A)中下方)方向に相互に屈曲できないようになっている。

【0025】
前記ラグ20は、図4に示されるように、車輪本体17の外周面17Bのうち前記常時表出領域の各角部付近に設けられており、各角部付近から外側に突出するように配置される。

【0026】
前記状態変化手段21は、図2及び図3に示されるように、補助脚部18の先端側すなわち第3のプレート25の端部側に設けられたフック29と、前記巻回状態でフック29に係合可能となるように、車輪本体17の外周面17Aの前記常時表出領域に突設された係合部材30と、フック29に繋がるワイヤ31と、車輪本体17の内部に設けられ、ワイヤ31の巻き取りを行う巻き取り用モータ32とを備えている。

【0027】
前記フック29は、第3のプレート25の先端側で回転可能に支持され、補助脚部18の巻回状態で係合部材30に係合し、図示省略したばね等の付勢手段によって、当該係合状態を維持するようになっている。

【0028】
前記ワイヤ31は、第1~第3のプレート23~25の外面側に設けられた回転規制ブロック27Aに設けられた穴部を通って、各プレート23~25の外面側に配置され、途中から車輪本体17の内部に引き込まれて端部が巻き取りモータ32に固定される。従って、巻き取り用モータ32の駆動によってワイヤ31が巻き取られると、ワイヤ31が車輪本体17の内部側に牽引され、係合部材30に対してフック29を回転させながらそれらの係合状態を解除した後に、図5の(A)~(D)の順で、第1~第3のプレート23~25を外側に徐々に屈曲させながら補助脚部18が展開状態になる。

【0029】
前記後輪は、図1に示されるように、同一の構造及びサイズのものが車体11の左右両側に取り付けられており、特に限定されるものではないが、本実施形態では円柱状のものが用いられる。

【0030】
前記駆動手段15は、図1に示されるように、モータ等からなる駆動装置15Aと、駆動装置15Aの駆動力を車輪本体17に伝達する回転軸やギヤ等からなる伝達機構15Bとにより構成される。駆動装置15Aの駆動により、車輪本体17は、走行装置10を前進させる方向の正回転と、その逆の逆回転が可能になる。

【0031】
次に、前記走行装置10における前輪13の動作について、図6及び図7を用いながら説明する。

【0032】
先ず、図6(A)に示されるように、補助脚部18が車輪本体17に巻回される巻回状態での走行装置10の走行を通常走行とし、この場合、駆動手段15による前輪13への動力の付与により、走行装置10が走行面Gに沿って進行方向前方(同図中右方)に移動する。この際、走行面Gが軟弱路面等の多少の悪路であっても、ラグ20や、補助脚部18の外側に突出した回転規制ブロック27Aによるスパイク効果により、走行面Gに沿ってより早く走行装置10を前進させることができる。

【0033】
一方、走行装置10が緩い砂地や雪上等を走行する際に、前記スパイク効果があってもなお前輪13が滑って走行し難い場合やスタック現象が発生した場合、補助脚部18が車輪本体17から展開した展開状態での走行がなされる。この際、先ず、前記巻回状態において、補助脚部18が走行面Gよりも離れた図6(A)の前輪13の回転位置にする。この状態で、巻き取り用モータ32を駆動し、前述したように、補助脚部18を展開状態に移行して図6(B)に示される最大展開状態にする。そして、補助脚部18を最大展開状態にしたまま、駆動手段15により車輪本体17を正回転(図6(B)中時計回り)させると、図6(C)~(E)及び図7(A)~(D)に順に示されるように、補助脚部18が脚体として機能し、補助脚部18が走行面Gに接地しながら車輪本体17を持ち上げる図6(E)から図7(D)までの脚走行フェーズと、補助脚部17が走行面Gから離れて、車輪本体17が走行面G上を回動する図6(B)~(D)の車輪走行フェーズとが交互に繰り返され、車体11が進行方向前方(各図中右方)に移動することになる。

【0034】
ここで、前記脚走行フェーズでは、補助脚部17の外面側の走行面Gに面接触させることができ、走行面Gに対する前輪13の接触面積を確保しながら前進可能になる。

【0035】
また、前記脚走行フェーズでは、補助脚部18が車輪本体17の進行方向前方の走行面Gに接地する脚体として機能し、車輪本体17を持ち上げながら走行装置10を移動させるため、走行面Gに段差が存在する場合、脚走行フェーズで当該段差を乗り越えて走行装置10を前進させることが可能になる。しかも、当該段差の乗り越えには、帯状に展開した補助脚部18が用いられるため、車輪本体17の直径の1/2を超える段差であっても、当該段差の乗り越えが可能となる。

【0036】
なお、補助脚部18を展開状態から巻回状態に戻す場合には、図5(D)~(A)の順で行われる。すなわち、駆動手段15の駆動により、車輪本体17が、前述に対して図5中反時計回りとなる逆回転することで行われる。なお、この際、巻き取り用モータ32は、ワイヤ31の繰り出しを可能にするフリー状態とされる。すなわち、この場合、車輪本体17の逆回転により、前述した補助脚部18の屈曲特性から、その内面側が車輪本体17の外周面17Bに接近して補助脚部18が車輪本体17に巻回するように屈曲変位し、補助脚部18の全体が外周面17Bに当接したときに、補助脚部18のフック29が車輪本体29の係合部材30に係合し、補助脚部18が巻回状態で維持される。

【0037】
なお、前記実施形態では、車輪本体17を六角柱状としたが、本発明はこれに限らず、前述と同様の作用を奏する限りにおいて、車輪本体17を多角柱状、或いは円柱状にすることもできる。

【0038】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、災害現場等の不整地を移動する災害用ロボットや、月面等の軟弱地盤での移動探査を行える宇宙探査ローバーや、海底を走行する無人探査機等の各種の移動体に利用できる。
【符号の説明】
【0040】
10 走行装置
11 車体
13 前輪(展開型車輪)
15 駆動手段
17 車輪本体
17B 外周面
18 補助脚部
21 状態変化手段
29 フック
30 係合部材
31 ワイヤ
32 巻き取り用モータ
G 走行面
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6