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明細書 :診断装置、診断方法、診断プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-031714 (P2020-031714A)
公開日 令和2年3月5日(2020.3.5)
発明の名称または考案の名称 診断装置、診断方法、診断プログラム
国際特許分類 A61B  10/00        (2006.01)
A61B   5/05        (2006.01)
G01N  22/00        (2006.01)
G01N  22/02        (2006.01)
FI A61B 10/00 B
A61B 5/05 A
A61B 10/00 T
G01N 22/00 S
G01N 22/00 Y
G01N 22/02 C
A61B 5/05 B
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 31
出願番号 特願2018-158617 (P2018-158617)
出願日 平成30年8月27日(2018.8.27)
発明者または考案者 【氏名】桑原 義彦
【氏名】藤井 公人
出願人 【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
【識別番号】506111240
【氏名又は名称】学校法人 愛知医科大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100108914、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 壯兵衞
審査請求 未請求
テーマコード 4C127
Fターム 4C127AA06
4C127AA10
4C127EE01
4C127GG09
要約 【課題】計算コストを増大させずに多様な観測データを得ることができ、がん組織の分布を精度よく、逆問題として再現可能な診断装置等を提供する。
【解決手段】がん組織に固有な電気定数の情報を格納したデータ記憶装置14と、アンテナユニットA~A36の放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイと、アンテナユニットA~A36を選択してマイクロ波を対象部位に照射する送信手段11と、対象部位を透過等したマイクロ波を受信する受信手段12と、データ記憶装置14に格納されたデータと受信手段12が受信したアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析してがん組織の分布を再構成し、再構成された電気定数の分布を画像表示する画像処理ユニット13を備えトモグラフィ処理を実行する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
がん組織に固有な電気定数の情報を格納したデータ記憶装置と、
複数のアンテナユニットの配列からなり、前記複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイと、
前記複数のアンテナユニットのそれぞれを逐次選択して、該選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、該マイクロ波を対象部位に照射する送信手段と、
前記対象部位を透過又は前記対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を前記選択されたアンテナユニットを含む前記複数のアンテナユニットでそれぞれ受信する受信手段と、
前記データ記憶装置に格納された前記情報と前記受信手段が受信した前記複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析して前記がん組織の分布を再構成し、前記再構成された電気定数の分布を画像表示する画像処理ユニットと、
を備え、トモグラフィ処理を実行することを特徴とする診断装置。
【請求項2】
前記データ記憶装置に、前記がん組織の誘電率と導電率の関係情報が格納され、
画像処理ユニットが、前記関係情報を用いて、前記誘電率及び前記導電率の分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、目的画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の診断装置。
【請求項3】
前記データ記憶装置に、前記がん組織の光学的誘電率と導電率の関係情報並びに緩和強度と導電率の関係情報が格納され、
画像処理ユニットが、前記光学的誘電率と前記導電率の前記関係情報並びに前記緩和強度と前記導電率の前記関係情報を用い、前記光学的誘電率、前記緩和強度及び前記導電率の分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、目的画像を得ることを特徴とする請求項1に記載の診断装置。
【請求項4】
前記対象部位が乳房であり、デカルト座標上の前記がん組織の前記光学的誘電率と導電率の相関関係が、乳腺組織及び脂肪組織の光学的誘電率と導電率の相関関係とは異なる位置に現れ、デカルト座標上の前記がん組織の前記緩和強度と導電率の相関関係が、乳腺組織及び脂肪組織の緩和強度と導電率の相関関係とは異なる位置に現れることを特徴とする請求項3に記載の診断装置。
【請求項5】
前記導電率を横軸、前記光学的誘電率を縦軸とする前記デカルト座標で前記乳腺組織の前記導電率と前記光学的誘電率の相関を示す曲線は前記導電率が1.4[S/m]以下の領域に現れ、前記がん組織の前記導電率と前記光学的誘電率の相関を示す曲線は前記導電率が1.7[S/m]以上の領域に現れることを特徴とする請求項4に記載の診断装置。
【請求項6】
がん組織に固有な電気定数の情報を予備知識として取得し、データ記憶装置に格納するステップと、
複数のアンテナユニットの配列からなり、前記複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイのそれぞれを逐次選択して、該選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、該マイクロ波を対象部位に照射するステップと、
前記対象部位を透過、前記対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を前記選択されたアンテナユニットを含む前記複数のアンテナユニットでそれぞれ受信するステップと、
前記データ記憶装置に格納された前記情報と前記受信手段が受信した前記複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析して前記がん組織の分布を再構成するステップと、
を含み、トモグラフィ処理を実行することを特徴とする診断方法。
【請求項7】
前記予備知識として、前記がん組織の誘電率と導電率の関係情報をデータ記憶装置に格納し、
前記関係情報を用いて、前記誘電率及び前記導電率の分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、目的画像を得ることを特徴とする請求項6に記載の診断方法。
【請求項8】
前記予備知識として、前記がん組織の光学的誘電率と導電率の関係情報並びに緩和強度と導電率の関係情報をデータ記憶装置に格納し、
画像処理ユニットが、前記光学的誘電率と前記導電率の前記関係情報並びに前記緩和強度と前記導電率の前記関係情報を用い、前記光学的誘電率、前記緩和強度及び前記導電率の分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、目的画像を得ることを特徴とする請求項6に記載の診断方法。
【請求項9】
前記対象部位が乳房であり、デカルト座標上の前記がん組織の前記光学的誘電率と導電率の相関関係が、乳腺組織及び脂肪組織の光学的誘電率と導電率の相関関係とは異なる位置に現れ、デカルト座標上の前記がん組織の前記緩和強度と導電率の相関関係が、乳腺組織及び脂肪組織の緩和強度と導電率の相関関係とは異なる位置に現れることを特徴とする請求項8に記載の診断方法。
【請求項10】
前記導電率を横軸、前記光学的誘電率を縦軸とする前記デカルト座標で前記乳腺組織の前記導電率と前記光学的誘電率の相関を示す曲線は前記導電率が1.4[S/m]以下の領域に現れ、前記がん組織の前記導電率と前記光学的誘電率の相関を示す曲線は前記導電率が1.7[S/m]以上の領域に現れることを特徴とする請求項8に記載の診断方法。
【請求項11】
予備知識として事前に取得した、がん組織に固有な電気定数の情報をデータ記憶装置に格納させる命令と、
送信手段に対し、複数のアンテナユニットの配列からなり、前記複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイのそれぞれを逐次選択して、該選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、該マイクロ波を対象部位に照射させる命令と、
受信手段に対し、前記対象部位を透過、前記対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を前記選択されたアンテナユニットを含む前記複数のアンテナユニットでそれぞれ受信させる命令と、
画像処理ユニットに、前記データ記憶装置に格納された前記情報を読み出させ、該読み出したデータと前記受信手段が受信した前記複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析して前記がん組織の分布を再構成させる命令と、
を含む一連の命令によりコンピュータシステムを動作させ、トモグラフィ処理を実行することを特徴とする診断プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ波トモグラフィ処理を実行する診断装置、診断方法、診断プログラムに係り、特にがん組織の診断等に用いるのに好適な診断装置、この診断装置を用いた診断方法、この診断方法に採用される診断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
乳がんは女性のがんの中で最も罹患率が高く、年々増加の傾向にある。早期発見・治療が重要であることはいうまでもなく、従来のX線マンモグラフィ、超音波診断に代わる大人数を対象としたスクリーニング手段が必要であり、最近では、マイクロ波を用いたマンモグラフィの研究が活発に行われている。
【0003】
本発明者は、既に、高分解能でアーチファクトの少ない広帯域ビームフォーミングアルゴリズムを適用したマルチスタティック超高帯域(UWB)レーダベースのマイクロ波マンモグラフィを提案した(特許文献1参照。)。特許文献1に記載されたマイクロ波マンモグラフィは、半球状の内壁面を有する容器、及び内壁面に沿って配置され、対象部位の電気的測定をする複数のアンテナを有するプローブアレイと、対象部位の全体をプローブアレイで覆い、内壁面に対象部位の皮膚を密着させ、対象部位とプローブアレイとの相対的位置を固定する固定手段と、複数のアンテナを制御して電気的測定を実行し、電気的測定によるデータを解析して、対象部位中の異常細胞を検出する測定制御解析手段とを備える。特許文献1に記載された発明は、臨床試験に適用され、直径1.2cmの初期がんや、X線マンモグラフィでは見分けが困難な直径1.5cmの非浸潤性乳がんのイメージングに成功している。
【0004】
しかし、皮膚に近い病変からの反射応答は強く、反対側の応答は弱くなるのでUWBレーダでは病変の形を正確に再現することは困難である。一方、乳房には乳がんのほか、乳腺症、のう胞などの別の疾患があり、これを見分けて診断を確定できる診断装置が求められている。UWBレーダで病変の有無は検出できるが、その病変が何であるかを特定することはできない。
【0005】
乳房組織の導電率(電気伝導度)等の電気的特性の不均一性を測定することにより、逆問題としてがんを検出する手法としてマイクロ波トモグラフィが提案されている。マイクロ波トモグラフィにおいては、異なる位置からマイクロ波が乳房に送信され、マイクロ波の散乱信号が乳房の周囲に配列されたアンテナによって収集される。がん細胞は、高い水分含有量を持っており、正常組織よりも強い散乱体であるため、悪性組織があるとマイクロ波の散乱信号に変化が生じる。マイクロ波により測定された電気信号は、含水量、温度や血管新生などの生理的パラメータに敏感であるので、撮像体としての乳房組織の電気定数分布に対応した病変の形が、逆問題を解析することにより、再現できると期待されている。
【0006】
このマイクロ波トモグラフィで精緻な画像を、逆問題を解析して再構成するためには、多くの観察データが必要である。そのため、複数の周波数を使って観察データを増やす方法が提案されている。複数の周波数を使ったマイクロ波トモグラフィでも、実際の実測データと仮定した電気定数分布での逆問題解析に基づく理論値データの誤差を最小化することによって画像回復を行っている。
【0007】
しかしながら、複数の周波数を使ったマイクロ波トモグラフィでは、複数の周波数を使うため、広帯域アンテナによって得られた観測データを、逆問題を解析することが必要になるが、現実の広帯域アンテナの製造技術上の誤差を考慮すれば、広帯域アンテナによって得られた観測データを精度良く計算器シミュレーションによって再現することは困難である。よって、従来のマイクロ波トモグラフィによる診断装置では、がん組織の分布を精度よく再現できないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明者は、既に、がん組織の分布を逆問題により精度よく回復できるマイクロ波マンモグラフィを提案した(特許文献2参照。)。特許文献2に記載されたマイクロ波マンモグラフィは、選択された特定のアンテナユニットからマイクロ波を送信して、該マイクロ波を対象部位に照射し、且つ、対象部位を透過、対象部位から反射又は散乱されたマイクロ波を受信する、特定のアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットの配列からなるアンテナアレイと、特定のアンテナユニットから送信されるマイクロ波の偏波を制御して送信する送信手段、複数のアンテナユニットが受信するそれぞれのマイクロ波の偏波を制御して受信する受信手段を有し、送信手段から特定のアンテナユニットへの接続、複数のアンテナユニットから受信手段への接続及び偏波を切り替えて、偏波ダイバーシチを制御する偏波ダイバーシチ制御手段と、送信手段が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析し、再構成されたがん組織の分布を画像表示する画像処理ユニットとを備え、トモグラフィ処理を実行する。
【0009】
上記特許文献2に記載の偏波ダイバーシチを実行する手法によれば、観測データを増やすことができ、多様な観測データが得られるので、がん組織の分布を逆問題により精度よく回復できる。しかしながら、偏波ダイバーシチを実行すると計算コストが増大する。
【0010】
マイクロ波イメージングの基礎となる乳房組織の電気定数は、北米で大規模に調査した結果が公表されている(非特許文献1参照。)。しかし、各組織の電気定数の統計分布が示されているのみで、年齢や症例も勘案した電気定数のデータや比誘電率εrと導電率σの相互関係は示されていない。
【先行技術文献】
【0011】

【特許文献1】特許第5605783号公報
【特許文献2】特開2014-198067号公報
【0012】

【非特許文献1】M.ラゼブニク( Lazebnik) 他10名、『がん手術から得られた乳房の正常細胞、良性腫瘍、悪性腫瘍の超広帯域のマイクロ波帯における誘電特性の大規模調査(“A large scale study of the ultra wideband microwave dielectric properties of normal, benign, and malignant breast tissues obtained from cancer surgeries,”)』、 内科学及び生物学の物理(Phys. Med. Biol.), 第52巻、第20号、p.6093-6115、2007年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、計算コストを増大させずに多様な観測データを得ることができ、がん組織の分布を精度よく、逆問題として再現可能な診断装置、この診断装置を用いた診断方法、この診断方法に採用される診断プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、(a)脂肪組織及び乳腺組織と識別するがん組織に固有な電気定数の情報を格納したデータ記憶装置と、(b)複数のアンテナユニットの配列からなり、複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイと、(c)複数のアンテナユニットのそれぞれを逐次選択して、この選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、このマイクロ波を対象部位に照射する送信手段と、(d)対象部位を透過又は対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を選択されたアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットでそれぞれ受信する受信手段と、(e)データ記憶装置に格納されたがん組織に固有な電気定数の情報と受信手段が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析してがん組織の分布を再構成し、再構成された電気定数の分布を画像表示する画像処理ユニットを備え、トモグラフィ処理を実行する診断装置であることを要旨とする。
【0015】
本発明の第2の態様は(a)脂肪組織及び乳腺組織と識別するがん組織に固有な電気定数の情報を予備知識として取得し、データ記憶装置に格納するステップと、(b)複数のアンテナユニットの配列からなり、複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイのそれぞれを逐次選択して、この選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、このマイクロ波を対象部位に照射するステップと、(c)対象部位を透過、対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を選択されたアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットでそれぞれ受信するステップと、(d)データ記憶装置に格納されたがん組織に固有な電気定数の情報と受信手段が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析してがん組織の分布を再構成するステップを含み、トモグラフィ処理を実行する診断方法であることを要旨とする。
【0016】
本発明の第3の態様は(a)予備知識として事前に取得した、脂肪組織及び乳腺組織と識別するがん組織に固有な電気定数の情報をデータ記憶装置に格納させる命令と、(b)複数のアンテナユニットの配列からなり、複数のアンテナユニットのそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイのそれぞれを逐次選択して、この選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、このマイクロ波を対象部位に照射させる命令と、(c)対象部位を透過、対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を選択されたアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットでそれぞれ受信させる命令と、(d)画像処理ユニットに、データ記憶装置に格納されたがん組織に固有な電気定数の情報を読み出させ、この読み出したデータと受信手段が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析してがん組織の分布を再構成させる命令を含み、トモグラフィ処理を実行する診断プログラムであることを要旨とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、計算コストを増大させずに多様な観測データを得ることができ、がん組織の分布を精度よく、逆問題として再現可能な診断装置、この診断装置を用いた診断方法、この診断方法に採用される診断プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る診断装置におけるマイクロ波トモグラフィに必要な主要部を模式的に説明するブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る診断装置の一態様としての撮像容器、排気管及び減圧装置とともに、複数のアンテナユニットの配列からなるアンテナアレイを示す模式的な鳥瞰図である。
【図3】第1の実施形態に係る診断装置に用いられるアンテナアレイの配置を、図2に示した撮像容器の展開図によってより詳細に説明する模式図である。
【図4】図5に示す断面図の切断面を示す模式的な鳥瞰図である。
【図5】第1の実施形態に係る診断装置に用いられる空間充填部材の概略構造と対象部位の関係を説明する断面図である。
【図6】第1の実施形態に係る診断装置を用いた乳がんの診断方法を説明するフローチャートである。
【図7】1.8GHzにおける脂肪組織、乳腺組織、がん組織の比誘電率εrと年齢の関係をデカルト座標上に示す図である。
【図8】1.8GHzにおける脂肪組織、乳腺組織、がん組織の導電率σと年齢の関係をデカルト座標上に示す図である。
【図9】1.98GHzで測定したデータであり、図9(a)は、がん組織の比誘電率εrと導電率σの相関、図9(b)は、乳腺組織の比誘電率εrと導電率σの相関図9(c)は、脂肪組織の比誘電率εrと導電率σの相関をデカルト座標上に示す図である。
【図10】3.59GHzで測定したデータであり、図10(a)は、がん組織の比誘電率εrと導電率σの相関、図10(b)は、乳腺組織の比誘電率εrと導電率σの相関図10(c)は、脂肪組織の比誘電率εrと導電率σの相関をデカルト座標上に示す図である。
【図11】5.41GHzで測定したデータであり、図11(a)は、がん組織の比誘電率εrと導電率σの相関、図11(b)は、乳腺組織の比誘電率εrと導電率σの相関図11(c)は、脂肪組織の比誘電率εrと導電率σの相関をデカルト座標上に示す図である。
【図12】図12(a)生体の数値ファントムの透視図において、がん組織の重心のあるz=18mmの面で切った対象部位6としての乳房の断面における比誘電率の分布を示し、図12(b)は、z=18mmの面で切った対象部位6の断面における導電率の分布を示す。
【図13】図13(a)は、回復すべき比誘電率εrと導電率σの下限と上限のみの制約を与えた場合の逆問題のマトリックス演算による解析により回復した画像のz=18mmの面で切った横断面における比誘電率の分布を示す図で、図13(b)は対応する導電率の分布を示す図である。
【図14】図14(a)は、回復すべき比誘電率εrの下限と上限に加え、(イ)の予備知識を活用した場合の逆問題のマトリックス演算による解析により回復した画像のz=18mmの面で切った横断面を示す図で、図14(b)は対応する導電率の分布を示す図である。
【図15】図15(a)は、回復すべき比誘電率εrの下限と上限に加え、(ロ)の予備知識を活用した場合の逆問題のマトリックス演算による解析により回復した画像のz=18mmの面で切った横断面を示す図で、図15(b)は対応する導電率の分布を示す図である。
【図16】図16(a)は、観測データと推定過程で得た残差ノルムの繰り返し回数依存性を示す図で、図16(b)は、相互相関のQ値の繰り返し回数依存性を示す図である。
【図17】図17(b)は図18の患者に対応するファントムモデルの比誘電率の分布を示す図で図17(b)は対応する導電率の分布を示す図である。
【図18】図18(b)は初期がんの患者に対して、逆問題のマトリックス演算による解析により再構成した比誘電率の分布を示す図で図18()は対応する導電率の分布を示す図である。
【図19】図19(a)は、図20の患者に対応するファントムモデルの比誘電率の分布を示す図で図19(b)は対応する導電率の分布を示す図である。
【図20】図20(a)は進行がんの患者に対して、逆問題のマトリックス演算による解析により再構成した比誘電率の分布を示す図で図20(b)は対応する導電率の分布を示す図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る診断装置を用いた乳がんの診断方法を説明するフローチャートである。
【図22】がん組織、乳腺組織及び脂肪組織の導電率σsと光学的誘電率εの関係をデカルト座標上に示す図である。
【図23】がん組織、乳腺組織及び脂肪組織の導電率σsと緩和強度Δεの関係をデカルト座標上に示す図である。
【図24】図24(a)は、Z=16mmの面で切ったファントムモデルの横断面における光学的誘電率εの分布を示す図で、図24(b)は対応する横断面における導電率の分布を示す図で、図24(c)は対応する横断面における再構成した光学的誘電率εの分布を示す図で、図24(d)は図24(c)対応する再構成した導電率の分布を示す図である。
【図25】図25(a)は、Z=24mmの面で切ったファントムモデルの横断面における光学的誘電率εの分布を示す図で、図25(b)は対応する横断面における導電率の分布を示す図で、図25(c)は対応する横断面における再構成した光学的誘電率εの分布を示す図で、図25(d)は図25(c)に対応する再構成した導電率の分布を示す図である。
【図26】図26(a)は、x=8mmの面で切ったファントムモデルの横断面における光学的誘電率εの分布を示す図で、図26(b)は対応する横断面における導電率の分布を示す図で、図26(c)は対応する横断面における再構成した光学的誘電率εの分布を示す図で、図26(d)は図26(c)に対応する再構成した導電率の分布を示す図である。
【図27】図27(a)はx=16mmの面で切ったファントムモデルの横断面における光学的誘電率εの分布を示す図で、図27(b)は対応する横断面における導電率の分布を示す図で、図27(c)は対応する横断面における再構成した光学的誘電率εの分布を示す図で、図27(d)は図27(c)に対応する再構成した導電率の分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。

【0020】
又、以下に示す第1及び第2の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、対象部位が人間の乳房である場合について説明するが、対象部位は頭部等他の部位でも構わない。又、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでなく、例えば、撮像容器は直方体に限定されるものではなく、6角柱や8角柱等他の多面体構造でも構わない。ただし解析の容易性を考慮すると直交系の面を有する場合の方が好ましい。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。

【0021】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る診断装置は、図1(a)に示すように、撮像容器1の内壁面をなす4つの互いに直交する側壁面に配列された複数のアンテナユニットA~A36を逐次選択して単一の周波数の電気信号を送信する送信手段11と、複数のアンテナユニットA~A36を選択して単一の周波数の電気信号を受信する受信手段12とを備えている。

【0022】
即ち、本発明の第1の実施形態に係る診断装置は、対象部位6の表面を対象部位6に近い電気定数を有する材料で構成された空間充填部材2に密着させた状態において、送信手段11を駆動し、複数のアンテナユニットA~A36を選択して単一の周波数の電気信号を送信し、マイクロ波を空間充填部材2を透過して対象部位6に照射する固定吸引撮像センサを有している。ここで「対象部位に近い電気定数」とは、例えば比誘電率εrについては、対象部位6の比誘電率εrの±20%の範囲に入る程度の値を意味する。そして、受信手段12を駆動し、複数のアンテナユニットA~A36を選択し、対象部位6を透過、対象部位6から反射又は散乱された単一の周波数のマイクロ波を受信する。

【0023】
図1(a)に示すように、本発明の第1の実施形態に係る診断装置の固定吸引撮像センサは、複数のアンテナユニットA~A36に接続された電子スイッチ(切替手段)25を有している。電子スイッチ25は、送信手段11から複数のアンテナユニットA~A36への接続、複数のアンテナユニットA~A36から受信手段12への接続を切り替える。受信手段12には画像処理ユニット13が接続されている。画像処理ユニット13は、図1(b)に示すような論理的なハードウェア資源の構成をなし、受信手段12が受信した単一の周波数の電気信号から対象部位6の比誘電率εr及び導電率σを計算し、対象部位6の内部のがん組織の分布の画像を再構成する逆問題を、マトリックス演算により解析する。画像処理ユニット13は、逆問題のマトリックス演算による解析の結果、対象部位6の内部のがん組織の位置や分布を表示する3次元画像を目的画像として得る。

【0024】
受信手段12には、更に、送信手段11、受信手段12及び画像処理ユニット13の動作を制御するプロセッサ等の制御手段19が接続されている。画像処理ユニット13には、事前に収集された散乱パラメータ等の画像処理ユニット13における演算に必要なデータ、及び画像処理ユニット13の演算の途中に必要となる中間データ、更には画像処理ユニット13の演算結果を格納するデータ記憶装置14が接続されている。画像処理ユニット13には、更に画像処理ユニット13における演算の手順を命令するプログラムを格納するプログラム記憶装置15及び、像処理ユニット13の演算結果を表示する表示ユニット16が接続されている。

【0025】
図1(b)に示すように、第1の実施形態に係る診断装置の画像処理ユニット13は、事前に収集された散乱パラメータ等のデータをデータ記憶装置14から読み出すデータ読出回路131と、特定の周波数において、仮定した対象部位内の比誘電率εrと導電率σの分布に基づく散乱パラメータと測定値の差を計算する差分計算回路132と、対象部位内の比誘電率εrと導電率σの分布の初期化をする電気定数初期化回路133と、特定の周波数において対象部位内の電磁界分布の計算をする空間分布計算回路134と、特定の周波数において散乱パラメータの計算をする散乱パラメータ計算回路135と、差分計算回路132と散乱パラメータ計算回路135の計算結果から対象部位内の比誘電率εrと導電率σの分布の更新処理をする電気定数更新回路136と、仮定した対象部位内の比誘電率εrと導電率σの分布に基づく散乱パラメータと測定値の差のノルムが小さいか否かを判定するノルム判定回路137と、ノルム判定回路137の出力を基礎に、比誘電率εr及び導電率σの分布の画像を再構成し、得られた目的画像である3次元画像を表示させる表示命令回路138を有している。

【0026】
図1(b)に示すように、画像処理ユニット13を構成しているデータ読出回路131、差分計算回路132、電気定数初期化回路133、空間分布計算回路134、散乱パラメータ計算回路135、電気定数更新回路136、ノルム判定回路137及び表示命令回路138は、それぞれバス139を介して互いに情報を、交換できるようになっている。図示を省略しているが図1(b)に示したバス139は、制御手段19にまで延長された一体のプロセッサを構成するようにしてもよい。又、バス139は、適宜インターフェイス回路を介して、データ記憶装置14、プログラム記憶装置15及び表示ユニット16が接続されていてもよい。

【0027】
図1(b)に示した、データ読出回路131、差分計算回路132、電気定数初期化回路133、空間分布計算回路134、散乱パラメータ計算回路135、電気定数更新回路136、ノルム判定回路137及び表示命令回路138は、コンピュータシステムを構成する画像処理ユニット13の論理的なハードウェア資源である。画像処理ユニット13には、マイクロチップとして実装されたマイクロプロセッサ(MPU)等を使用することが可能である。又、コンピュータシステムを構成する画像処理ユニット13として、算術演算機能を強化し信号処理に特化したデジタルシグナルプロセッサ(DSP)や、メモリや周辺回路を搭載し組込み機器制御を目的としたマイクロコントローラ(マイコン)等を用いてもよい。

【0028】
或いは、現在の汎用コンピュータのメインCPUを画像処理ユニット13に用い、データ読出回路131、差分計算回路132、電気定数初期化回路133、空間分布計算回路134、散乱パラメータ計算回路135、電気定数更新回路136、ノルム判定回路137及び表示命令回路138を論理的なハードウェア資源として構成してもよい。更に、画像処理ユニット13を構成するデータ読出回路131、差分計算回路132、電気定数初期化回路133、空間分布計算回路134、散乱パラメータ計算回路135、電気定数更新回路136、ノルム判定回路137及び表示命令回路138の一部の構成又はすべての構成をフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)のようなプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD)で構成してもよい。

【0029】
図1(a)に例示的に示した第1の実施形態に係る診断装置を構成するコンピュータシステムにおいて、データ記憶装置14は、複数のレジスタ、複数のキャッシュメモリ、主記憶装置、補助記憶装置を含む一群の内から適宜選択された任意の組み合わせとすることも可能である。又、キャッシュメモリは1次キャッシュメモリと2次キャッシュメモリの組み合わせとしてもよく、更に3次キャッシュメモリを備えるヒエラルキーを有しても構わない。

【0030】
PLDによって、画像処理ユニット13の一部又はすべてを構成した場合は、データ記憶装置14は、PLDを構成する論理ブロックの一部に含まれるメモリブロック等のメモリ要素として構成することができる。更に、画像処理ユニット13は、CPUコア風のアレイとPLD風のプログラム可能なコアを同じチップに搭載した構造でもよい。このCPUコア風のアレイは、あらかじめPLD内部に搭載されたハードマクロCPUと、PLDの論理ブロックを用いて構成したソフトマクロCPUを含む。つまりPLDの内部においてソフトウェア処理とハードウェア処理を混在させた構成でもよい。

【0031】
送信手段11は、送信用の電流を36個のアンテナユニットA~A36のうちの1つのアンテナを選択して供給する36個の出力端子を備える。受信手段12は、36個のアンテナユニットA~A36のそれぞれから信号を受信する36個の入力端子を備える。電子スイッチ25を構成する電子スイッチにはpinダイオードスイッチのような高周波用スイッチが使用可能である。

【0032】
図1(a)に例示的に示した第1の実施形態に係る診断装置を構成するコンピュータシステムのプログラム記憶装置15には以下の命令を含む一連の診断プログラムを格納できる。即ち、予備知識として取得した、脂肪組織及び乳腺組織と識別するがん組織に固有な電気定数の情報をデータ記憶装置14に格納させる命令と、送信手段11に対し、複数のアンテナユニットA~A36の配列からなり、複数のアンテナユニットA~A36のそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるアンテナアレイのそれぞれを逐次選択して、この選択されたアンテナユニットを介してマイクロ波を送信して、このマイクロ波を対象部位に照射させる命令と、受信手段12に対し、対象部位を透過、対象部位から反射若しくは散乱されたマイクロ波を選択されたアンテナユニットを含む複数のアンテナユニットでそれぞれ受信させる命令と、画像処理ユニット13に、データ記憶装置14に格納されたがん組織に固有な電気定数の情報を読み出させ、この読み出したデータと受信手段12が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析してがん組織の分布を再構成させる命令等の一連の命令を含む診断プログラムをプログラム記憶装置15に格納させ、図1(a)に示したコンピュータシステムにトモグラフィ処理を実行させることができる。

【0033】
第1の実施形態に係る診断装置を構成する固定吸引撮像センサは、図2に示すように、直方体の外形をなし、直方体の上面の中央部近傍に貫通孔3を設けた撮像容器1と、この撮像容器1に設けられた貫通孔3に一方の端部を連結したチューブ状の排気管4と、この排気管4の他方に連結したアスピレータや真空ポンプ等の減圧装置5とを備えている。直方体の撮像容器1の内壁面をなす上面(天井面)には、複数のアンテナユニットA~A12が配列されるとともに、撮像容器1の内壁面をなす4つの側壁面には、複数のアンテナユニットA13~A36が配列されて、アンテナアレイを構成している。なお、図2では、図面上で隠れた2つの側壁面に配列された複数のアンテナユニットA25~A36は、図示が省略されている。

【0034】
固定吸引撮像センサを構成する複数のアンテナユニットA~A36は、複数のアンテナユニットA~A36のそれぞれの放射素子中を流れる電流の励振方向が互いに異なるように配列されている。第1の実施形態においては、複数のアンテナユニットA~A36がダイポールアンテナで構成される場合を一例として説明する。

【0035】
図3は、図2の撮像容器1の展開図である。図3の中央に貫通孔3が設けられた正方形の上面(天井面)1topが示されている。この中央の天井面1topの周囲に、それぞれ長方形の平板をなす第1の側壁面1s1、第2の側壁面1s2、第3の側壁面1s3、第4の側壁面1s4が連結されている。図2及び図3に示すように、第1の側壁面1s1及び第3の側壁面1s3の法線方向をX軸方向とし、第2の側壁面1s2及び第4の側壁面1s4の法線方向をY軸方向とし、天井面1topの法線方向をZ軸方向と定義する。また、図2及び図3において、複数のアンテナユニットA~A36を矩形の破線で模式的に示し、複数のアンテナユニットA~A36の送受する電磁波の偏波面の方向を矩形内の破線で模式的に示している。

【0036】
図3に示すように、固定吸引撮像センサの撮像容器1の天井面1topには、第3の側壁面1s3側から数えて1段目に2個のアンテナユニットA,Aが配置され、2段目に4個のアンテナユニットA~Aが配置され、3段目に4個のアンテナユニットA~A10が配置され、4段目に2個のアンテナユニットA11,A12が配置され、全部で12個のアンテナユニットA~A12がマトリックス状に配置されている。図2及び図3に示すように、アンテナユニットA,A,A,A,A10,A12の送受する電磁波の偏波面の方向はX軸方向に平行であり、アンテナユニットA,A,A,A,A10,A12と隣り合うアンテナユニットA,A,A,A,A,A11の送受する電磁波の偏波面の方向はY軸方向に平行である。

【0037】
図2及び図3に示すように、第1の側壁面1s1の上段には3個のアンテナユニットA13~A15が配置され、第1の側壁面1s1の下段には3個のアンテナユニットA16~A18が配置され、全部で2×3=6個のアンテナユニットA13~A18がマトリックス状に配置されている。アンテナユニットA13,A15,A17の送受する電磁波の偏波面の方向はY軸方向に平行であり、アンテナユニットA13,A15,A17と隣り合うアンテナユニットA14,A16,A18の送受する電磁波の偏波面の方向はZ軸方向に平行である。

【0038】
第2の側壁面1s2の上段には3個のアンテナユニットA19~A21が配置され、第2の側壁面1s2の下段には3個のアンテナユニットA22~A24が配置され、全部で2×3=6個のアンテナユニットA19~A24がマトリックス状に配置されている。アンテナユニットA19,A21,A23の送受する電磁波の偏波面の方向はY軸方向に平行であり、アンテナユニットA19,A21,A23と隣り合うアンテナユニットA20,A22,A24の送受する電磁波の偏波面の方向はX軸方向に平行である。

【0039】
図3に示すように、第3の側壁面1s3の上段には3個のアンテナユニットA25~A27が配置され、第3の側壁面1s3の下段には3個のアンテナユニットA28~A30が配置され、全部で2×3=6個のアンテナユニットA25~A30がマトリックス状に配置されている。アンテナユニットA25,A27,A29の送受する電磁波の偏波面の方向はY軸方向に平行であり、アンテナユニットA25,A27,A29と隣り合うアンテナユニットA6,A28,A30の送受する電磁波の偏波面の方向はZ軸方向に平行である。

【0040】
第4の側壁面1s4の上段には3個のアンテナユニットA31~A33が配置され、第4の側壁面1s4の下段には3個のアンテナユニットA34~A36が配置され、全部で2×3=6個のアンテナユニットA31~A36がマトリックス状に配置されている。アンテナユニットA31,A33,A5の送受する電磁波の偏波面の方向はZ軸方向に平行であり、アンテナユニットA31,A33,A5と隣り合うアンテナユニットA32,A34,A36の送受する電磁波の偏波面の方向はX軸方向に平行である。この結果、天井面1top、第1の側壁面1s1、第2の側壁面1s2、第3の側壁面1s3及び第4の側壁面1s4の合計では、12+6×4=36個のアンテナユニットA~A36が配置され、アンテナアレイを構成している。

【0041】
図4も図2と等価な、内壁面をなす4つの側壁面及び上面に複数のアンテナユニットA~A36を配列した撮像容器1を示すが、図4の撮像容器1の上面の貫通孔3を、第1の側壁面1s1に平行に切る切断面Cで切った断面図が図5(a)である。図5(a)に示すように、撮像容器1の内側には、図5(b)に示す対象部位6に近い電気定数を有する材料で構成された空間充填部材2が収納されている。この空間充填部材2の下面側には、図5(a)に示すように、対象部位6の表面の皮膚面を密着させ、対象部位6の全体を収容可能な凹部1xが設けられている。

【0042】
空間充填部材2は更にこの凹部1xから上面まで貫通する貫通孔3が中央近傍に設けられている。空間充填部材2は、この貫通孔3を介して、図2に示す排気管4及びこの排気管4に連結した減圧装置5によって排気することにより、対象部位6を吸引し、図5(b)に示すように、対象部位6の表面を空間充填部材2の凹部1xの内壁面に密着させることができる。

【0043】
(第1の実施形態に係る診断方法)
図6のフローチャートを用いて、第1の実施形態に係る診断装置を用いた乳がんの診断方法を説明する。先ず、予備知識として取得しデータ記憶装置14に格納しておいた脂肪組織及び乳腺組織と識別するがん組織に固有な電気定数の情報をデータ記憶装置14から読み出す。図6のステップS13において、データ記憶装置14から読み出したデータを用い、画像処理ユニット13の電気定数初期化回路133は、対象部位としての乳房内の比誘電率εrと導電率σの分布の初期化をする。

【0044】
図6のステップS14において、画像処理ユニット13の空間分布計算回路134は、ステップS13において用いた周波数と同一の特定の周波数において、データ記憶装置14から読み出したデータを用い対象部位としての乳房内の電磁界分布の計算をする。その後、ステップS15において、画像処理ユニット13の散乱パラメータ計算回路135は、ステップS13において用いた周波数と同一の特定の周波数において電場の散乱パラメータの計算をする。

【0045】
一方、図2~図4に示した固定吸引撮像センサのアンテナユニットA~A36を用いて、対象部位6としての乳房内の電場の散乱パラメータを取得させ、データ記憶装置14に一旦格納しておく。そして、画像処理ユニット13のデータ読出回路131は、測定された乳房内の電場の散乱パラメータのデータを、データ記憶装置14から読み出す。

【0046】
ステップS12において、画像処理ユニット13の差分計算回路132は、予め定めた特定の周波数において、ステップS15で仮定した乳房内の比誘電率εrと導電率σの分布に基づく電場の散乱パラメータと、ステップS11で得られた電場の散乱パラメータの測定値の差を計算する。そして、ステップS16において、画像処理ユニット13の電気定数更新回路136は、差分計算回路132と散乱パラメータ計算回路135の計算結果から乳房内の比誘電率εrと導電率σの分布の更新処理をする。

【0047】
更に、ステップS17において、画像処理ユニット13のノルム判定回路137は、仮定した乳房内の比誘電率εrと導電率σの分布に基づく電場の散乱パラメータと測定値の差のノルムが小さいか否かを判定する。その後、画像処理ユニット13の表示命令回路138はノルム判定回路137の出力を基礎に、比誘電率εr及び導電率σの分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、得られた目的画像である3次元画像を、図1(a)に示した表示ユニット16に表示させる。

【0048】
図1(a)に示したプログラム記憶装置15には図6のフローチャートのステップS11~のステップS17の手順を実行させる命令を含む一連の診断プログラムを格納できる。即ち、ステップS11~のステップS17の手順によって、画像処理ユニット13に、データ記憶装置14に格納されたがん組織に固有な電気定数の情報を読み出させ、この読み出したデータと受信手段12が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析してがん組織の分布を再構成させる命令等の一連の命令を含む診断プログラムを実行させることができる。

【0049】
(第1の実施形態の実施例)
人間の乳房組織の電気定数は誘電体プローブを使って測定できる。直径2.2mm誘電体プローブを使用して10%の測定誤差を許容するとき、深さ1.5mm、半径3.75mmの円筒状の領域が測定対象になることが示されている。第1の実施形態の実施例として、ここでは、キーサイト(Keysight)社の誘電体測定キット85070Eに付属する直径2.2mm誘電体プローブとベクトルネットワークアナライザE5071Cを使用して乳房組織の比誘電率εrを測定した。測定範囲は1~8GHzである。

【0050】
先ず、最初に必要とする検体の最小体積を把握するため、ケチャップをさまざまな体積の容器に入れて比誘電率εrを測定した。容器はシャーレのほかは3Dプリンタを使用して製作した。容器の材質はABS樹脂である。1cm×1cm×0.5cmの容器とシャーレの測定結果はほとんど差がないことから、組織の測定では1cm×1cm×0.5cmの容器を使用することにした。手術で取り出した検体を、脂肪組織、乳腺組織、がん組織に切り分け、それぞれの組織を容器につめ、上からプローブを押し当てて比誘電率εrを測定した。

【0051】
図7及び図8に1.8GHzにおける各組織の比誘電率εrと導電率σと年齢の関係を示す。乳腺とがん組織については加齢とともに比誘電率εrと導電率σは低下する傾向にある。脂肪組織の比誘電率εrと導電率σは年齢に関係なくほぼ一定である。乳腺とがん組織のコントラスト関数は平均的に図7及び図8に比誘電率εrと導電率σの相関を示す。がん組織と乳腺組見れば15%程度である。乳腺組織の比誘電率εrは40~50程度とかなり高い。

【0052】
図9~図11のデカルト座標上に比誘電率εrと導電率σの関係情報を示す。図9は、1.98GHzで測定したがん組織、乳腺組織及び脂肪組織のそれぞれの比誘電率εrと導電率σの関係情報を示している。図9(a)に示すように、がん組織の比誘電率εrと導電率σの相関は傾き2.78×10-2で比誘電率εrと共に導電率σが増大している。図9(b)に示す乳腺組織の比誘電率εrと導電率σの相関では、傾き3.06×10-2で比誘電率εrと共に導電率σが増大している。図9(c)によれば、脂肪組織の比誘電率εrと導電率σの相関は、傾き3.45×10-2で比誘電率εrと共に導電率σが増大している。

【0053】
図10は、3.59GHzで測定したがん組織、乳腺組織及び脂肪組織のそれぞれの比誘電率εrと導電率σの関係情報を示している。図10(a)に示すように、がん組織の比誘電率εrと導電率σの相関は傾き5.30×10-2で比誘電率εrと共に導電率σが増大している。図10(b)に示す乳腺組織の比誘電率εrと導電率σの相関では、傾き5.87×10-2で比誘電率εrと共に導電率σが増大している。図10(c)によれば、脂肪組織の比誘電率εrと導電率σの相関は、傾き6.74×10-2で比誘電率εrと共に導電率σが増大している。

【0054】
図11は、5.41GHzで測定したがん組織、乳腺組織及び脂肪組織のそれぞれの比誘電率εrと導電率σの関係情報を示している。図11(a)に示すように、がん組織の比誘電率εrと導電率σの相関は傾き9.10×10-2で比誘電率εrと共に導電率σが増大している。図11(b)に示す乳腺組織の比誘電率εrと導電率σの相関では、傾き1.02×10-1で比誘電率εrと共に導電率σが増大している。図11(c)によれば、脂肪組織の比誘電率εrと導電率σの相関は、傾き1.24×10-1で比誘電率εrと共に導電率σが増大している、

【0055】
図9~図11に示したように、がん組織と乳腺組織の比誘電率εrと導電率σには強い正の相関が認められる。第1の実施形態に係る診断装置では図9(a)に示した1.98GHzで測定したがん組織の比誘電率εrと導電率σの相関から、比誘電率εrと導電率σの関係情報を以下の式で近似する。

σ = 0.03εr …… (1)

なお、特許明細書における文字制限の関係から、式(1)に表示した等号は数学における厳密な等号でなく、ニヤリー・イーコール(ほぼ等しい)の意味で用いられていることに留意されたい。

【0056】
第1の実施形態に係る診断装置の画像処理ユニット13において演算処理される逆散乱問題では、計算機上で対象部位のモデルを離散化してM個の立方体(今後「ボクセル」と呼ぶ)の集団として表し、それぞれのボクセルの比誘電率εrと導電率σを推定する。推定した比誘電率εrと導電率σ分布から、図2及び図3等に示したアンテナユニットA~A12で得られる計算データ群Ymn(m=1、……、N、n=1、……、N)、Nはアンテナの総数、添え字のmは送信アンテナの番号、nは受信アンテナの番号)を計算し、実際のモデルに基づいて測定した観測データ群Xmnと比較し、Xmn=Ymnになるように、モデル化した対象部位のコントラスト関数を、ガウス・ニュートン法によって反復的に更新する。

【0057】
画像の再構成は、測定した誘電体領域中の電場の散乱界データ(散乱パラメータ)(散乱パラメータ)と計算された誘電体領域中の電場の散乱界データ(散乱パラメータ)との差を最小化することによって実現される。ある周波数ωについて、誘電体領域中の位置rの測定点の電場の散乱界についての支配方程式は式(2)で表される。
【数1】
JP2020031714A_000003t.gif
ここで、r’は撮像領域V内の任意の点の位置ベクトル、ε(r’)は未知のコントラスト関数、E(r)は誘電体領域中の観測点での電場の散乱界、Et(r’)は電場の総合界、上線(オーバーライン)のあるGbはダイアディックグリーン関数、ωは角周波数、μは透磁率である。式(2)は非線形の積分方程式で、式(2)を解くため逆散乱解析における非線形方程式を逐次的に線形計算に置き換えるひずみボルン近似(DBIM)を使用し、コントラスト関数の近似解を繰り返し求めていく。

【0058】
本発明の第1の実施形態で用いる比誘電率εrを式(3)で表す。εは真空の比誘電率である。生体組織は周波数依存性媒質であるが、本発明の第1の実施形態では単一周波数で考えるものとする。
【数2】
JP2020031714A_000004t.gif

【0059】
DBIMを適用して式(2)の電場の支配方程式を離散化すると、電場の散乱界E(r)とコントラスト関数ε(r’)の関係は、導電率σと比誘電率εrについての線型方程式となる。導電率σと比誘電率εrが実数なので、実数の線型方程式になるように実部と虚部に分けて式(4)のように表す。
【数3】
JP2020031714A_000005t.gif
ΔEは観測した電場の散乱界E(r)と現在のコントラスト関数の分布に基づき計算した電場の散乱界との差である。Re( )とIm( )は複素数の実部と虚部を表す。式(4)よりAx=bの線型方程式が得られる。ここでxがコントラスト関数の更新に使用する摂動量、受信点での観測データ群Xmnと現在のコントラスト関数の分布で得られる計算データ群Ymnの差が、残差散乱界ベクトルbである。

【0060】
さらに、現時点でのコントラスト関数の分布において、あるボクセルのコントラスト関数を変化させた時、受信データに現れる変化を表す感度行列(ヤコビアン)がAである。撮像領域V内部のK個のボクセル群との測定値を持つシステムに関し、コントラスト関数の更新に使用する摂動量xは2K×1ベクトル、残留散乱界bは2×1ベクトル、ヤコビアン行列Aは2×2K行列として構成される。

【0061】
式(4)の線形モデルにおいてコントラスト関数の更新量Δxkは次の式によって求められる。
【数4】
JP2020031714A_000006t.gif
式(5)で、kは繰り返し番号、+は行列やベクトルの共役転置を表す。式(4)の逆解析は一般に悪条件問題であるため、各反復でチーホノフ(Tikhonov)正則化を適用し、双共役傾斜安定化法によって解を求める。

【0062】
その後、更新したコントラスト関数の摂動量xk+1を式(3)のコントラスト関数の摂動量に適用する。
【数5】
JP2020031714A_000007t.gif
更新されたコントラスト関数の摂動量xk+1を使って撮像領域を再構成し、残差ノルムがある程度小さくなるまでこれらの処理を繰り返し行う。

【0063】
悪条件問題での逆解析には、予備知識の活用が有効である。式(4)から式(6)を解く際の式(1)の予備知識の活用の方法として、(イ)式(4)のΔεrとΔσに式(1)の関係を適用し、ヤコビアンを×K行列として未知数の数を半減させる、(ロ)式(4)で得たΔσについて式(1)の関係を適用する、の2つの方法が考えられる。

【0064】
図5(b)に示した対象部位6としての乳房は脂肪組織、乳腺組織と癌で構成されている。本発明の第1の実施形態に係る乳がんの診断方法では、先ずMRIデータから対象部位6の生体の数値ファントムの透視図を作成する。図12には、生体の数値ファントムの透視図において、がん組織の重心のあるz=18mmの面で切った対象部位6としての乳房の断面を示している。図12(a)は、z=18mmの面で切った対象部位6としての乳房の断面における比誘電率の分布で、図12(b)は、z=18mmの面で切った対象部位6としての乳房の断面における導電率の分布を示す。

【0065】
第1の実施形態に係る診断装置の画像処理ユニット13は、以下の表1の電気特性を各ボクセルに割り当て、逆散乱問題を解く。一般的に電磁界解析において界分布や電流分布は微分方程式、あるいは 積分方程式で定式化される。これらの方程式の近似解法の1つにモーメント法が知られているが、第1の実施形態に係る診断装置においては、散乱体内部の総合界をモーメント法により計算する。「モーメント法」については、D.E. リバサリー(Livesay)らの論文『任意形状の生体中に誘導された電磁界("Electromagnetic fields induced inside arbitrarily shaped biological bodies")、米国電子電気学会(IEEE)トランスアクション・オン・マイクロウェブセオリー・アンド・テクニクス(Trans on Microwave Theory and Techniques)、第22巻、第12号、p.1273-1280等に記載されている。

【0066】
解析領域のボクセルの比誘電率εrと導電率σの初期値は、表1の背景の値を用いた。
【表1】
JP2020031714A_000008t.gif
使用周波数は1.8GHzの単一周波数である。図13~図15に、逆問題のマトリックス演算による解析により回復した画像のz=18mmの面で切った横断面を示す。図13は回復すべき比誘電率εrと導電率σの下限と上限のみの制約を与えた場合、図14は回復すべき比誘電率εrの下限と上限に加え、(イ)の予備知識を活用した場合、図15は回復すべき比誘電率εrの下限と上限に加え(ロ)の予備知識を活用した場合である。回復すべき比誘電率εrの下限と上限と共に(ロ)の予備知識を活用した場合が最も精度良く元の比誘電率εr度導電率σ分布を再現していることがわかる。

【0067】
(イ)の予備知識を活用した場合は、回復画像の精度の向上は不十分である。これは、変数を減らすと解の自由度が減ってかえって局所解に陥りやすくなることが原因と考えられる。図16は観測データと推定過程で得た比誘電率εr-導電率σデータとの差のノルムと、真の比誘電率εr-導電率σ分布と推定過程で得た比誘電率εr-導電率σ分布の相互相関のQ値の推移である。図16(a)及び(b)において、太い実線で示した曲線Aは、回復すべき比誘電率εrと導電率σの下限と上限のみの制約を与えた場合を示す。

【0068】
図16(a)及び(b)において、細い実線で示した曲線Bは、回復すべき比誘電率εrの下限と上限に加え、(イ)の予備知識を活用した場合の変化を示す。図16(a)及び(b)において、破線線で示した曲線Cは、回復すべき比誘電率εrの下限と上限に加え(ロ)の予備知識を活用した場合である。回復すべき比誘電率εrの下限と上限と共に(ロ)の予備知識を活用した場合が最も精度良く元の比誘電率εr度導電率σ分布を再現していることがわかる。曲線B及び曲線Cに示すように、予備知識を活用した場合収束が早く、相互相関のQ値が高くなることがわかる。

【0069】
(ロ)の予備知識を活用する方法の有効性について別のファントムモデルを用いて検証した。図17~図20に結果を示す。図17及び図18の初期がん組織患者ではやや回復が不十分であるが左底面にある初期がん組織を再構成することができる。

【0070】
以上のとおり、第1の実施形態に係る診断装置によれば、単一の周波数のマイクロ波を用いて、対象部位6の内部に含まれる散乱物体や不均質物体の位置、形状、大きさ、電気定数分布等の内部構造を、精度よく可視化できるという顕著な効果を奏することができる。このため、乳がん検診において、X線マンモグラフィ検診のような副作用の危険性やコスト面での問題もなく、腫瘍と乳腺症、のう胞などの識別や、その病変が何であるかを特定が可能であり、安価に、且つより正確なスクリーニングができる。

【0071】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る診断装置は、第1の実施形態で図1を用いて説明した診断装置と概略としては、ほぼ同様な構成で、図1と外観上では等価になる。よって重複した図面の表示を省略する。しかしながら、第2の実施形態に係る診断装置では、図1(a)に示した撮像容器1の内壁面をなす4つの互いに直交する側壁面に配列された複数のアンテナユニットA~A36を逐次選択して複数の周波数の電気信号を送信する送信手段11と、複数のアンテナユニットA~A36を選択して複数の周波数の電気信号を受信する受信手段12とを備えている点で、単一の周波数を用いた第1の実施形態に係る診断装置とは動作の態様が異なる。

【0072】
このため、本発明の第2の実施形態に係る診断装置では、対象部位6の表面を対象部位6に近い電気定数を有する材料で構成された空間充填部材2に密着させた状態において、送信手段11を駆動し、複数のアンテナユニットA~A36を選択して複数の周波数の電気信号を送信し、複数の周波数のマイクロ波を、空間充填部材2を透過して対象部位6に照射する点で、単一の周波数を用いた第1の実施形態に係る診断装置とは異なる。更に、受信手段12を駆動し、複数のアンテナユニットA~A36を選択し、対象部位6を透過、対象部位6から反射又は散乱された複数の周波数のマイクロ波を受信する点で、単一の周波数を用いた第1の実施形態に係る診断装置とは異なる。

【0073】
第1の実施形態の図1で説明したのと同様に、本発明の第2の実施形態に係る診断装置でも、複数のアンテナユニットA~A36に電子スイッチ25を接続している。電子スイッチ25は、送信手段11から複数のアンテナユニットA~A36への接続、複数のアンテナユニットA~A36から受信手段12への接続を切り替える。受信手段12には画像処理ユニット13が接続されている。

【0074】
第2の実施形態に係る診断装置の画像処理ユニット13も、図1(b)に示した論理的なハードウェア資源と同様な構成をなしているが、複数の周波数を用いて、受信手段12が受信した電気信号から対象部位6の光学的誘電率(高周波誘電率)ε、緩和強度Δε及び導電率σからなる3つのパラメータを計算し、対象部位6の内部のがん組織の分布の画像を再構成する逆問題を、マトリックス演算により解析する。画像処理ユニット13は、逆問題のマトリックス演算による解析の結果、対象部位6の内部のがん組織の位置や分布を表示する3次元画像を目的画像として得る。光学的誘電率εは、高周波極限における比誘電率の最小値である。又、緩和強度Δεは、デバイモデルで用いられる、低周波数側でみられる比誘電率εrの最大値εs と光学的誘電率εとの差Δε=εs-εである。

【0075】
生体組織の電気定数は周波数によって変化する。周波数依存の電気定数はパラメータ光学的誘電率ε、緩和強度Δε、導電率σsを使ったデバイモデルで表される。
【数6】
JP2020031714A_000009t.gif
式(7)で、ωは角周波数、τは緩和時間で、εは真空の誘電率である。J.D.シーア(Shea)らは、乳腺組織の緩和時間τ=15psの値を報告している(『コントラストを強めた乳がんのマイクロ波撮像:3D現実的数値ファントムを用いた計算機による処置の研究(“Contrast-enhanced microwave imaging of breast tumors: a computational study using 3D realistic numerical phantoms”,逆問題(Inverse Problem)、 26 074009、p.1-22、 2010年参照。)。

【0076】
受信手段12には、更に、送信手段11、受信手段12及び画像処理ユニット13の動作を制御するプロセッサ等の制御手段19が接続されている。画像処理ユニット13には、事前に収集された光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σからなる3つのパラメータ等の画像処理ユニット13における複数の周波数における演算に必要なデータ、及び画像処理ユニット13の演算の途中に必要となる中間データ、更には画像処理ユニット13の演算結果を格納するデータ記憶装置14が接続されている。画像処理ユニット13には、更に画像処理ユニット13における演算の手順を命令するプログラムを格納するプログラム記憶装置15及び、像処理ユニット13の演算結果を表示する表示ユニット16が接続されている。

【0077】
図1(b)に示したハードウェア資源の構成と概略としては同様ではあるが、以下のように、光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σからなる3つのパラメータのデータを、複数の周波数で演算処理する点で、第2の実施形態に係る診断装置の画像処理ユニット13は、第1の実施形態に係る診断装置の画像処理ユニット13とは異なる。

【0078】
即ち、第2の実施形態に係る診断装置の画像処理ユニット13は、事前に収集された光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σからなる3つのパラメータ等のデータをデータ記憶装置14から読み出すデータ読出回路131と、複数の周波数において、仮定した乳房内の光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σからなる3つのパラメータの分布に基づく電場の散乱パラメータと測定値の差を計算する差分計算回路132と、乳房内の光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの分布の初期化をする電気定数初期化回路133と、複数の周波数において乳房内の電磁界分布の計算をする空間分布計算回路134と、複数の周波数において電場の散乱パラメータの計算をする散乱パラメータ計算回路135と、差分計算回路132と散乱パラメータ計算回路135の計算結果から乳房内の光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの分布の更新処理をする電気定数更新回路136と、仮定した乳房内の光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの分布に基づく電場の散乱パラメータと測定値の差のノルムが小さいか否かを判定するノルム判定回路137と、ノルム判定回路137の出力を基礎に、光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの分布の画像を再構成し、得られた目的画像である3次元画像を表示させる表示命令回路138を有している。

【0079】
(第2の実施形態に係る診断方法)
第2の実施形態の説明に用いた図1(b)を参照しながら、図21のフローチャートを用いて、第2の実施形態に係る診断装置を用いた乳がんの診断方法を説明する。先ず、事前に予備知識として取得した、脂肪組織及び乳腺組織と識別するがん組織に固有な電気定数の情報をデータ記憶装置14に格納しておく。図21のステップS23において、画像処理ユニット13の電気定数初期化回路133は、データ記憶装置14から読み出したデータを用いて、対象部位としての乳房内の光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの分布の初期化をする。

【0080】
その後、図21のステップS24において、画像処理ユニット13の空間分布計算回路134は、データ記憶装置14から読み出したデータを用い、ステップS23において用いた周波数と同一の複数の周波数において、対象部位としての乳房内の電磁界分布の計算をする。その後、ステップS25において、画像処理ユニット13の散乱パラメータ計算回路135は、ステップS23において用いた周波数と同一の複数の周波数において電場の散乱パラメータの計算をする。

【0081】
一方、第2の実施形態に係る診断装置の複数のアンテナユニットA~A36を用いて、対象部位6内の電場の散乱パラメータを測定し、データ記憶装置14に一旦格納する。そして、画像処理ユニット13のデータ読出回路131は、図21のステップS21においてデータ記憶装置14から測定された複数の周波数における電場の散乱パラメータ等のデータを読み出す。

【0082】
そして、図21のステップS22において、画像処理ユニット13の差分計算回路132は、予め定めた複数の周波数において、ステップS25において仮定した乳房内の光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの3つのパラメータの分布に基づく電場の散乱パラメータと、ステップS21において得られた電場の散乱パラメータの測定値の差を計算する。

【0083】
そして、ステップS26において、画像処理ユニット13の電気定数更新回路136は、差分計算回路132と散乱パラメータ計算回路135の計算結果から乳房内の光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの分布の更新処理をする。

【0084】
更に、ステップS27において、画像処理ユニット13のノルム判定回路137は、仮定した乳房内の光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの分布に基づく電場の散乱パラメータと測定値の差のノルムが小さいか否かを判定する。その後、画像処理ユニット13の表示命令回路138はノルム判定回路137の出力を基礎に、光学的誘電率ε、緩和強度Δε及び導電率σの分布の画像を逆問題のマトリックス演算による解析して再構成し、得られた目的画像である3次元画像を、図1(a)に示した表示ユニット16に表示させる。

【0085】
図1(a)に示したプログラム記憶装置15には、図21のフローチャートのステップS21~のステップS27の手順を実行させる命令を含む一連の診断プログラムを格納できる。即ち、ステップS21~のステップS27の手順によって、画像処理ユニット13に、データ記憶装置14に格納されたがん組織に固有な電気定数の情報を読み出させ、この読み出したデータと受信手段12が受信した複数のアンテナユニットからの電気信号により逆問題を解析してがん組織の分布を再構成させる命令等の一連の命令を含む診断プログラムを実行させることができる。

【0086】
(第2の実施形態の実施例)
先ず、第1の実施形態に係る診断装置の場合と同様に、第2の実施形態に係る診断装置では、26名の乳がん患者の検体について、キーサイト社の誘電体測定キット85070Eの直径2.2mm誘電体プローブとベクトルネットワークアナライザE5071Cを使用して「対象部位」としての乳房の組織の光学的誘電率ε、緩和強度Δε、導電率σsを各組織について測定し、データを分析した。測定範囲は1~8GHzである。

【0087】
図22のデカルト座標に各組織の導電率σsと光学的誘電率εの関係を示し、図23のデカルト座標に各組織の導電率σsと緩和強度Δεの関係を示す。がん組織と乳腺組織の光学的誘電率εや緩和強度Δεの差は明瞭には表れない。しかし、図22の導電率σsを横軸、光学的誘電率εを縦軸とするデカルト座標では、導電率σsと光学的誘電率εの相関を示す曲線は、導電率σsが1.4[S/m]以下の領域に現れるのに対し、がん組織の導電率σsと光学的誘電率εの相関を示す曲線は導電率σsが1.7[S/m]以上に現れる。又、脂肪の導電率σsと光学的誘電率εの相関を示す曲線は導電率σsが1.1[S/m]以下の領域に現れる。

【0088】
同様に、図23に示した導電率σsを横軸、緩和強度Δεを縦軸とするデカルト座標においても、導電率σsと緩和強度Δεの相関を示す曲線は、導電率σsが1.4[S/m]以下の領域に現れるのに対し、がん組織の導電率σsと緩和強度Δεの相関を示す曲線は導電率σsが1.7[S/m]以上に現れる。又、脂肪の導電率σsと緩和強度Δεの相関を示す曲線は導電率σsが1.1[S/m]以下の領域に現れる。

【0089】
図22及び図23のデカルト座標系に示すように、乳腺組織の導電率σsと光学的誘電率εの相関を示す曲線と、がん組織の導電率σsと光学的誘電率εの相関を示す曲線が現れるデカルト座標上の位置には明瞭な差が認められる。又、乳腺組織の導電率σsと緩和強度Δεの相関を示す曲線と、がん組織の導電率σsと緩和強度Δεの相関を示す曲線が現れるデカルト座標上の位置には明瞭な差が認められ、脂肪組織の導電率σsと緩和強度Δεの相関を示す曲線と、がん組織の導電率σsと緩和強度Δεの相関を示す曲線が現れる位置にもデカルト座標上で明瞭な差が認められる。すなわち、マイクロ波トモグラフィで精度よく導電率σsを推定できれば、その形状の組織ががん化ほかの組織化を識別することができる。

【0090】
第1の実施形態に係る診断装置の場合と同様に、第2の実施形態に係る診断装置でも計算機上で対象部位のモデルを離散化してM個のボクセルの集団として表し、それぞれのボクセルのデバイパラメータを推定する。ある周波数ωについて位置rの測定点の散乱界についての支配方程式は、第1の実施形態で述べた式(2)で表される。式(2)は非線形の積分方程式で、これを解くため、第1の実施形態と同様にひずみボルン近似(DBIM))を使用し、コントラスト関数の近似解を、光学的誘電率ε、緩和強度Δε、導電率σsの3パラメータで繰り返し求めていく。

【0091】
DBIMを適用して式(2)を離散化すると、電場の散乱界とコントラスト関数ε(r’)—εb(r’)の関係は、光学的誘電率ε、緩和強度Δε、導電率σsについての線型方程式となる。
【数7】
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ΔEは第1の実施形態で説明したとおり、観測した電場の散乱界E(r)と現在のコントラスト関数の分布に基づき計算した散乱界との差である。Re( )とIm( )は複素数の実部と虚部を表す。式(8)よりAx=bの線型方程式が得られる。式(8)で、xがコントラスト関数の更新に使用する摂動量、受信点での観測データ群Xmnと現在のコントラスト関数の分布で得られる計算データ群Ymnの差が、残差散乱界ベクトルbである。

【0092】
さらに、現時点でのコントラスト関数の分布において、あるボクセルのコントラスト関数を変化させた時、受信データに現れる変化を表す感度行列(ヤコビアン)がAである。撮像領域V内部のK個のボクセル群との測定値を持つシステムに関し、コントラスト関数の摂動量xは3K×1ベクトル、残留散乱界bは2×1ベクトル、ヤコビアン行列Aは2×3K行列として構成される。式(8)の線形モデルにおいてコントラスト関数の摂動量の更新量Δxkは、第1の実施形態で説明した式(5)によって求められる。

【0093】
その後、更新したコントラスト関数xk+1を第1の実施形態で説明した式(2)のコントラスト関数に適用する。更新されたコントラスト関数xk+1を使って撮像領域を再構成し、第2の実施形態に係る診断装置では残差ノルムがある程度小さくなるまでこれらの処理を繰り返し行う。

【0094】
第2の実施形態に係る診断装置で用いるイメージングセンサは、図2~図4に示した第1の実施形態に係る診断装置のイメージングセンサと同様な構造であり、重複した説明を省略する。イメージングセンサの大きさは幅96×長96×高さ48mmで、この内部が8mm立法のボクセルに分割される。開口の4側面のそれぞれに6個、上面に12個のダイポールアンテナが設けられ、その総数は36個である。各側面のアンテナ配置は同一である。多偏波を用いることにより狭い空間で測定データの多様性が得られ、解析領域が縮小されて順解析時間が短縮される。アンテナが背景(樹脂)の中に埋め込まれていると仮定して撮像領域に入射界を与え、ダイポールの開口中心でのダイポールの向きに沿った散乱電界を求めて式(8)を計算する。

【0095】
イメージングセンサは脂肪組織に近い樹脂で作成されると仮定する。図2に示したチューブ状の排気管4と、この排気管4の他方に連結した減圧装置5を駆動して、固定吸引撮像センサとして機能させ、対象部位としての乳房を半径48mmの半球でモデル化する。固定吸引撮像センサでは、対象部位の形が既知となり、画像回復領域を対象部位に限定することができる。既に図12に、MRIデータから作成した生体の数値ファントムをがんの重心のあるz=16mmの面で切った断面を示した。対象部位としての乳房は脂肪組織、乳腺組織と癌で構成されるが、第2の実施形態に係る診断装置では、表2に示した電気特性を各ボクセルに割り当て、逆散乱問題を解く。
【表2】
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【0096】
散乱体内部の総合界は第1の実施形態に係る診断装置で説明したモーメント法により計算した。解析領域のボクセルの光学的誘電率εと導電率σsの初期値は表2に示した背景の値を用いた。1.8GHzと4GHzを使用して再構成した断層像を図24~図27に示す。図24は、Z=16mmの面で切った横断面、図25は、Z=24mmの面で切った横断面、図26は、x=8mmの面で切った横断面、図27はx=16mmの面で切った横断面である。

【0097】
図24~図27のそれぞれの断層像において、左上は設定した光学的誘電率ε、右上は設定した導電率σs、左下は再構成した光学的誘電率ε、右下は再構成した導電率σsの分布を示す。図24~図27中+印は光学的誘電率ε>25、導電率σs>1.7[S/m]となるがんの領域を示す。再構成画像のがん領域は設定したがんの領域とおおむね一致している。

【0098】
以上のとおり、第2の実施形態に係る診断装置によれば、複数の周波数のマイクロ波を用いて、対象部位6の内部に含まれる散乱物体や不均質物体の位置、形状、大きさ、電気定数分布等の内部構造を、精度よく可視化できるという顕著な効果を奏することができる。このため、乳がん検診において、X線マンモグラフィ検診のような副作用の危険性やコスト面での問題もなく、腫瘍と乳腺症、のう胞などの識別や、その病変が何であるかを特定が可能であり、安価に、且つより正確なスクリーニングができる。

【0099】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。

【0100】
例えば、既に述べた第1及び第2の実施形態の説明においては、対象部位を人間の対象部位とし、乳がんを検診する場合について例示的に説明したが、乳がんの検診に限定されるものではない。例えば、対象部位を頭部としてもよく、頭部の内部の散乱物体や不均質物体の位置、形状、大きさ、電気定数分布等の内部構造を逆問題解析によって検出し、その病変が何であるかを特定することが可能である。更には、本発明を手足の骨折箇所の特定等の診断にも適用可能である。

【0101】
又、図2~図5において、撮像容器1の内壁面をなす4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4及び上面(天井面)1topに複数のアンテナユニットA~A36を配列した場合について例示的に説明したが、4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4及び上面(天井面)1topの全てにアンテナユニットが配置されていなくてもよい。例えば、複数のアンテナユニットが、上面(天井面)1topに配置されず、4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4のみに配置されていてもよい。

【0102】
また、複数のアンテナユニットA~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向が3種類に互いに異なる場合を説明したが、複数のアンテナユニットA~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向の種類はこれに限定されない。例えば、複数のアンテナユニットA~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を2種類(例えばX軸方向とY軸方向)に互いに異ならせてもよく、4種類以上に異ならせてもよい。

【0103】
また、4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4及び上面(天井面)1topのそれぞれにおいて、複数のアンテナユニットA~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向が互いに異なる場合を説明したが、4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4及び上面(天井面)1top単位で複数のアンテナユニットA~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに異ならせてもよい。

【0104】
例えば4つの側壁面1s1,1s2,1s3,Is4に配置されたアンテナユニットA13~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに同一(例えばZ軸方向)とし、上面(天井面)1topに配置されたアンテナユニットA~A12の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに同一(X軸方向又はZ軸方向)として、アンテナユニットA~A12とアンテナユニットA13~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を異ならせてもよい。

【0105】
また、2つの側壁面1s1,1s3に配置されたアンテナユニットA13~A18,A25~A30の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに同一(例えばY軸方向)とし、2つの側壁面1s2,1s4に配置されたアンテナユニットA19~A24,A31~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を互いに同一(例えばX軸方向)として、アンテナユニットA13~A18,A25~A30とアンテナユニットA19~A24,アンテナユニットA31~A36の放射素子51,52中を流れる電流の励振方向を異ならせてもよい。

【0106】
また、図5(a)~図5(c)にアンテナユニットAの一例として放射素子51,52が誘電体基板50の両面にそれぞれ配置されたダイポールアンテナを示したが、ダイポールアンテナの構造はこれに限定されない。例えば放射素子51,52が誘電体基板50の片側に配置されたダイポールアンテナの構造であってもよい。また、本発明の第1及び第2の実施形態に係るアンテナユニットとしてはダイポールアンテナに限定されず、例えばモノポールアンテナや、偏波面が固定されたパッチアンテナでもよい。

【0107】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0108】
1…撮像容器、1top…上面(天井面)、1s1,1s2,1s3,1s4…側壁面、11…送信手段、12…受信手段、13…画像処理ユニット、131…データ読出回路、132…差分計算回路、133…電気定数初期化回路、134…空間分布計算回路、135…散乱パラメータ計算回路、136…電気定数更新回路、137…ノルム判定回路
138…表示命令回路、139…バス、14…データ記憶装置、15…プログラム記憶装置、16…表示ユニット、19…制御手段、1x…凹部、2…空間充填部材、25…電子スイッチ(切替手段)、3…貫通孔、4…排気管、5…減圧装置、50…誘電体基板、51,52…放射素子、6…対象部位、A~A36…アンテナユニット
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
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【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26