TOP > 国内特許検索 > A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤 > 明細書

明細書 :A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6528314号 (P6528314)
公開番号 特開2016-175866 (P2016-175866A)
登録日 令和元年5月24日(2019.5.24)
発行日 令和元年6月12日(2019.6.12)
公開日 平成28年10月6日(2016.10.6)
発明の名称または考案の名称 A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤
国際特許分類 A61K  31/47        (2006.01)
A61K  31/41        (2006.01)
A61K  31/404       (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  31/16        (2006.01)
A61P  11/06        (2006.01)
FI A61K 31/47 ZMD
A61K 31/41
A61K 31/404
A61P 43/00 111
A61P 31/16
A61P 11/06
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2015-057538 (P2015-057538)
出願日 平成27年3月20日(2015.3.20)
審査請求日 平成29年11月17日(2017.11.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】長谷川 俊史
【氏名】大賀 正一
【氏名】松重 武志
【氏名】岡田 清吾
【氏名】長谷川 明洋
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
【識別番号】100102255、【弁理士】、【氏名又は名称】小澤 誠次
【識別番号】100096482、【弁理士】、【氏名又は名称】東海 裕作
【識別番号】100188352、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 一弘
【識別番号】100131093、【弁理士】、【氏名又は名称】堀内 真
【識別番号】100150902、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 正子
【識別番号】100177714、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 昌平
【識別番号】100141391、【弁理士】、【氏名又は名称】園元 修一
【識別番号】100198074、【弁理士】、【氏名又は名称】山村 昭裕
審査官 【審査官】谷合 正光
参考文献・文献 特表2009-520711(JP,A)
小児科診療,2012年,Vol.75, No.2,p.321-325
American Journal of Respiratory and Critical Care,2005年,Vol.171, No.4,p.315-322
調査した分野 A61K 31/47
A61K 31/404
A61K 31/41
A61P 11/06
A61P 31/16
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY
/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
プランルカスト水和物、ザフィルルカスト、又はモンテルカストナトリウムを有効成分として含有し、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスに感染した気管支喘息患者に投与するための、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制剤。
【請求項2】
ランルカスト水和物を有効成分として含有することを特徴とする請求項1記載のA(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制剤。
【請求項3】
気管支喘息が小児気管支喘息であることを特徴とする請求項1又は2記載のA(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ロイコトリエン受容体拮抗薬を有効成分として含有する、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤や、ロイコトリエン受容体拮抗薬を有効成分として含有する、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2009年に世界的に大流行したA(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス(以下、単に「A(H1N1)pdm09」ともいう)感染では呼吸器症状を主訴に受診する患者が多く、ときに致命的となった。気管支喘息がその増悪因子の一つと考えられているが、その病態の詳細については未だ不明である。
【0003】
本発明者らが、入院したA(H1N1)pdm09感染症例について後方視的に検討したところ、季節性インフルエンザウイルス感染症例に比し、有意に喘息発作、肺炎や無気肺等の肺合併症が多く、また通常の喘息発作症例に比し、高率に重篤な気管支喘息発作を合併していた(非特許文献1参照)。また、肺合併症を来たした全例で血清総IgE値が上昇しており、このうち約70%が気管支喘息と診断されていなかった症例や軽症例であった。
【0004】
以上のことから、A(H1N1)pdm09感染においては、喘息発作の重症化が気管支喘息の重症度と関係なく生じ、たとえ軽症の気管支喘息であっても重篤な肺合併症の危険因子である可能性が示唆された。しかし、その予防法の科学的根拠は十分まだ立証されていない。
【0005】
また、本発明者らは、卵白アルブミン(ovalbumin, OVA)により気管支喘息モデルマウスを作製してA(H1N1)pdm09を感染させたところ、非気管支喘息マウスに比して気管支肺胞洗浄液(BAL液)中IL-6、IL-10及びTNF-αが有意に高値であったが、IFN-γ濃度は感染気管支喘息マウスで有意に低値であることを明らかにした(非特許文献2参照)。さらに、感染気管支喘息マウスでは感染非気管支喘息マウスに比してBAL液中ウイルス力価が有意に高値であることも明らかにした(非特許文献2参照)。これらの結果は従来の季節性インフルエンザと異なっており(非特許文献3参照)、A(H1N1)pdm09に感染した気管支喘息小児の臨床所見と相関していると考えられた。
【0006】
一方、ロイコトリエン受容体拮抗薬は種々の症状や呼吸機能を改善する有用な気管支喘息治療薬であり、例えば、少なくとも一つのロイコトリエンアンタゴニスト又はその薬学的に受容可能な塩の有効量と、少なくとも一つの抗ヒスタミン剤の有効量、とを混合して含有する皮膚疾患、気道疾患等の処置に有用な薬学的組成物(特許文献1参照)や、IL-9アンタゴニストとロイコトリエン調節薬とを投与する、呼吸器感染症又はその症候を管理、治療又は改善する方法(特許文献2参照)や、ロイコトリエン阻害剤と共に、セチリジン、ターフェナジン代謝産物又はノルアステミゾールをヒトに投与することを含む、ヒトの喘息又はその症状を治療または予防する方法(特許文献3~5参照)や、ロイコトリエン阻害剤と抗コリン作用薬とからなる呼吸器疾患の組成物(特許文献6参照)が知られているが、ロイコトリエン受容体拮抗薬とA(H1N1)pdm09との関係は知られていなかった。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特開2011-068679号公報
【特許文献2】特開2011-057695号公報
【特許文献3】国際公開第99/52553パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/52554パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/52555パンフレット
【特許文献6】米国特許出願公開第2006/0211729号明細書
【0008】

【非特許文献1】Hasegawa S, et al. Pediatr Allergy Immunol 22: 119-123, 2011
【非特許文献2】Okada S. et al. Cytokine 63: 194-200, 2013
【非特許文献3】Hasegawa S. et al. Cytokine 69: 206-210, 2014
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、A(H1N1)pdm09感染による気管支喘息の予防又は改善剤や、A(H1N1)pdm09の増殖抑制剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、卵白アルブミンを用いて気管支喘息モデルマウスを作製し、かかるマウスにロイコトリエン受容体拮薬(leukotriene receptor antagonist、以下「LTRA」ともいう)を投与すると共にA(H1N1)pdm09を感染させ、BAL液中の炎症細胞浸潤、サイトカイン産生、及びウイルス力価について検討した。その結果、LTRAを投与することにより炎症性細胞浸潤の抑制、サイトカイン産生の抑制、及びA(H1N1)pdm09の増殖抑制効果があることを見いだし、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明は以下に示すとおりのものである。
(1)ロイコトリエン受容体拮抗薬を有効成分として含有する、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤。
(2)ロイコトリエン受容体拮抗薬がプランルカスト水和物、ザフィルルカスト、又はモンテルカストナトリウムであることを特徴とする上記(1)記載のインフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤。
(3)気管支喘息が小児気管支喘息であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のインフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤。
(4)ロイコトリエン受容体拮抗薬を有効成分として含有する、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制剤。
(5)ロイコトリエン受容体拮抗薬がプランルカスト水和物、ザフィルルカスト、又はモンテルカストナトリウムであることを特徴とする上記(4)記載のインフルエンザウイルスの増殖抑制剤。
(6)気管支喘息が小児気管支喘息であることを特徴とする上記(4)又は(5)記載のインフルエンザウイルスの増殖抑制剤。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、A(H1N1)pdm09感染による気管支喘息の予防又は改善や、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】OVAの皮下注、OVAの吸入、LTRA(プランルカスト)経口投与、及びA(H1N1)pdm09感染のプロトコールを示す図である。
【図2】A(H1N1)pdm09感染後3日のマウスから得たBAL液中の総細胞数、リンパ球数、CD4陽性T細胞数(CD4+Tリンパ球数)又はCD8陽性T細胞数(CD8+Tリンパ球)を示す図である。
【図3】A(H1N1)pdm09感染後7日のマウスから得たBAL液中の総細胞数、リンパ球数、CD4陽性T細胞数(CD4+Tリンパ球数)又はCD8陽性T細胞数(CD8+Tリンパ球)を示す図である。
【図4】A(H1N1)pdm09感染後3日のマウスから得たBAL液中のIL-6、TNF-α又はIFN-γの濃度を示す図である。
【図5】A(H1N1)pdm09感染後3日のマウスから得たBAL液中のウイルス力価の結果を示す図である。
【図6】A(H1N1)pdm09感染後7日のマウスから得たBAL液中のウイルス力価の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のA(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤(以下、「本件気管支喘息の予防又は改善剤」ともいう)としては、ロイコトリエン受容体拮抗薬を有効成分として含有すれば特に制限されないが、気管支喘息が小児気管支喘息であることが好ましい。

【0015】
また、本発明のA(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制剤(以下、「本件ウイルス増殖抑制剤」ともいう)としては、ロイコトリエン受容体拮抗薬を有効成分として含有すれば特に制限されないが、気管支喘息が小児気管支喘息であることが好ましい。

【0016】
なお、本件気管支喘息の予防又は改善剤や、本件ウイルス増殖抑制剤において、小児気管支喘息とは、小児期、すなわち15歳以下の気管支喘息を意味する。

【0017】
また、本発明の他の態様としては、ロイコトリエン受容体拮抗薬を対象に投与することを特徴とするA(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善方法や、ロイコトリエン受容体拮抗薬を対象に投与することを特徴とするA(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制方法や、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤として使用するためのロイコトリエン受容体拮抗薬や、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制剤として使用するためのロイコトリエン受容体拮抗薬や、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルス感染による気管支喘息の予防又は改善剤の調製におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の使用や、A(H1N1)pdm09インフルエンザウイルスの増殖抑制剤の調製におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の使用を挙げることができる。

【0018】
本件気管支喘息の予防又は改善剤や、本件ウイルス増殖抑制剤におけるロイコトリエン受容体拮抗薬としては、cysLT1受容体の拮抗薬を挙げることができ、プランルカスト水和物、ザフィルルカスト、又はモンテルカストナトリウムを好適に挙げることができ、プランルカスト水和物をより好適に挙げることができる。かかるロイコトリエン受容体拮抗薬は、市販品を購入することで入手可能である。

【0019】
本件気管支喘息の予防又は改善剤や、本件ウイルス増殖抑制剤におけるA(H1N1)pdm09は、WHOが2011年10月18に決定した、2009年に発生した新型インフルエンザウイルスの名称である(URL:http://www.who.int/influenza/gisrs_laboratory/terminology_ah1n1pdm09/en/参照)。

【0020】
本件気管支喘息の予防又は改善剤において、A(H1N1)pdm09感染による気管支喘息の予防又は改善とは、A(H1N1)pdm09感染による気管支喘息の発症を予防又は治療することを意味する。かかる治療効果には、A(H1N1)pdm09感染による気管支喘息を完全に治癒することだけでなく、気管支喘息の症状を軽減することの他、かかる症状の悪化の速度を低下させることも含まれる。

【0021】
本件気管支喘息の予防又は改善剤や、本件ウイルス増殖抑制剤には、薬理学的及び製剤学的に許容しうる製剤用添加物・担体を含有させてもよい。かかる薬理学的及び製剤学的に許容しうる製剤用添加物・担体としては、例えば、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機物質が挙げられ、例えば賦形剤、滑沢剤、pH調整剤、結合剤、崩壊剤、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤、吸収促進剤等の基材を挙げることができる。また、水、水溶液又は水混和性液体、例えば、グリセリン又はポリエチレングリコール等を用いることができる。

【0022】
本件気管支喘息の予防又は改善剤や、本件ウイルス増殖抑制剤は、投与対象の個体の健康状態、症状、他の合併症状の有無、体質、年齢、予防や治療の目的など種々の条件に応じて適宜増減することができ、1~複数回に分けて投与することもでき、また投与期間も前記症状等に応じて適宜選択することができる。投与量としては、有効成分のロイコトリエン受容体拮抗薬に換算して、一日あたり、0.001~1g/kg体重、好ましくは0.01~100mg/kg体重、より好ましくは0.1~10mg/kg体重を挙げることができる。

【0023】
本件気管支喘息の予防又は改善剤や、本件ウイルス増殖抑制剤の生体への投与経路は特に制限されず、経口投与の他、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経粘膜吸収剤、経皮吸収剤、点鼻剤、点耳剤等を用いて非経口的に投与することもできる。経口投与とする場合は、錠剤、カプセル剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、又はシロップ剤等の経口投与用製剤として調製することができる。さらに、体液、組織、細胞等の生体サンプルへ投与する場合は、生体サンプルへ直接添加することも、また細胞培養液や組織保存液等へ添加することができる。かかる生体サンプルは、防腐剤、緩衝液、pH調整剤等を添加されていても良い。

【0024】
投与対象としては特に制限されないが、ヒト、サル、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、イヌ等の哺乳動物を挙げることができ、ヒトを好適に挙げることができる。

【0025】
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例により限られるものではない。
【実施例1】
【0026】
(気管支喘息モデルマウスに対するLTRA投与)
卵白アルブミン(OVA)を用いた気管支喘息モデルマウスを作製し、感染前からLTRAを投与し、A(H1N1)pdm09を経鼻感染させ、その後の試験に用いた。
【実施例1】
【0027】
具体的には、Balb/cマウス(6-8週齢:千代田開発社製)を用いてOVA(シグマアルドリッチ社製)の皮下注(皮下注開始時の0日、皮下注後14日)及び吸入(皮下注後22、24、26、28日)を行い、気管支喘息モデルマウスを誘導した。感染の成立は体重減少及びウイルス力価により確認した。また、LTRA投与群と非投与群に分け、LTRA群にはOVA吸入開始(皮下注後22日)後からLTRAとしてプランルカスト水和物(商品名「オノン」:小野薬品工業社製)を30mg/kg/dayほど経口的に投与した。さらに、皮下注後31日に、LTRA投与群と非投与群それぞれの気管支喘息モデルマウスにA(H1N1)pdm09(マウス馴化株:国立感染症研究所より分与)1×105pfu/マウスを経鼻感染させた。OVAの皮下注、OVAの吸入、LTRA経口投与、及びA(H1N1)pdm09感染のプロトコールを図1に示す。また、PBSの皮下注及び吸入の対照マウス(以下、単に「対照マウス」ともいう)を用いて上記と同様にA(H1N1)pdm09の感染、LTRAの投与を行った。
【実施例2】
【0028】
(BAL液中の炎症細胞浸潤の解析)
実施例1で調製した、A(H1N1)pdm09感染後3日、7日(皮下注後34、38日)の各マウスからBAL液を得て、各マウスのBAL液中の総細胞数、リンパ球数、CD4陽性T細胞数及びCD8陽性T細胞数を調べた。具体的には、屠殺した各マウスの肺の中に1mlのPBSを3回連続して注入して洗浄し、その洗浄液を回収してBAL液を得た。かかるBAL液を1500rpm、4℃で5分遠心し、上清については、後述するようにサイトカイン濃度及びウイルス力価を測定し、細胞成分として得られた沈殿については、フローサイトメトリー(BD Bioscience社製)解析を行い、総細胞数、リンパ球数、CD4陽性T細胞数、及びCD8陽性T細胞数を調べた。
【実施例2】
【0029】
結果を図2、3に示す。図2はA(H1N1)pdm09感染後3日、図3はA(H1N1)pdm09感染後7日の気管支喘息モデルマウス又は対照マウスから得たBAL液の解析結果であり、図中、横軸において、上段(マウス)の「喘息」は気管支喘息モデルマウス、「対照」は対照マウス、下段(LTRA)の「+」はLTRA投与群、「-」はLTRA非投与群を表し、縦軸はBAL液1mlあたりの総細胞数、リンパ球数、CD4陽性T細胞数(CD4+Tリンパ球数)又はCD8陽性T細胞数(CD8+Tリンパ球)を表す。また、図3中、横軸において、中段(感染)の「+」はA(H1N1)pdm09感染あり、「-」はA(H1N1)pdm09感染なしを示す(図2はすべてA(H1N1)pdm09感染あり)。
【実施例2】
【0030】
図2、3に示すように、A(H1N1)pdm09を感染させた気管支喘息モデルマウスのBAL液おいて、LTRA投与群では非投与群に比し、総細胞数、リンパ球数、CD4陽性T細胞数及びCD8陽性T細胞数のいずれも低下しており、炎症細胞浸潤が抑制されている傾向があった。したがって、LTRAを投与することによりA(H1N1)pdm09感染後の肺での炎症細胞浸潤が抑制されていることが明らかとなった。
【実施例3】
【0031】
(BAL液中のサイトカイン濃度の解析)
実施例1で調製した、A(H1N1)pdm09感染後3日の各マウスから、実施例2と同様の方法でBAL液を得て、かかるBAL液中のサイトカイン(IL-6、TNF-α又はIFN-γ)濃度を、Cytometric Bead Array kit(BD Biosciences社製)を用い、そのプロトコールに従って調べた。
【実施例3】
【0032】
結果を図4に示す。図4中、横軸の上段(マウス)及び下段(LTRA)は図2、3と同様であり、縦軸はBAL液中のサイトカイン濃度(pg/ml)を示す。
【実施例3】
【0033】
図4に示すように、A(H1N1)pdm09を感染させた気管支喘息モデルマウスのBAL液おいて、LTRA投与群では、非投与群に比し、IL-6、TNF-α及びIFN-γの濃度が低下している傾向があり、LTRAの投与によりA(H1N1)pdm09感染後の肺でのサイトカイン産生が抑制されていることが明らかとなった。
【実施例4】
【0034】
(BAL液中のウイルス力価の測定)
実施例1で調製した、A(H1N1)pdm09感染後3、7日の各マウスから、実施例2と同様の方法でBAL液を得て、かかるBAL液中のウイルス力価をプラークアッセイ法により測定した。具体的には、MDCK細胞(Lonza社製)を6ウェルプレートに1×106細胞/ウェルの割合で播種し、10%FBS、100units/mlのペニシリン(GIBCO(登録商標):Invitrogen社製)、100μg/mlのストレプトマイシン(GIBCO:Invitrogen社製)を含有するMEM培地(GIBCO:Invitrogen社製)中で培養した。その後、細胞を無血清DMEM培地(GIBCO:Invitrogen社製)で2回洗浄し、無血清DMEM培地中で37℃、1時間維持し、その後103、104、及び105倍希釈したBAL液200μl/ウェルを重層して37℃、1時間培養した。無血清DMEM培地で1回洗浄後、細胞に0.8%アガロース(Becton社製)、0.1%ジエチルアミノエチル-デキストラン(シグマアルドリッチ社製)、7μg/mlのトリプシン(シグマアルドリッチ社製)を含有する無血清DMEM培地を重層した。細胞をさらに37℃で72時間培養し、10%ホルムアルデヒド(和光純薬工業社製)で固定し、0.037%メチレンブルー(和光純薬工業社製)で染色した。余剰な染色液を水で洗い流した後、A(H1N1)pdm09感染により細胞死したプラーク数をカウントした。
【実施例4】
【0035】
結果を図5、6に示す。図5はA(H1N1)pdm09感染後3日、図6はA(H1N1)pdm09感染後7日のマウスから得たBAL液の解析結果であり、図5、6中、横軸の上段(マウス)及び下段(LTRA)は図2、3と同様であり、縦軸はBAL液中のウイルス力価(pfu/ml)を示す。
【実施例4】
【0036】
図5、6に示すように、A(H1N1)pdm09を感染させた気管支喘息モデルマウスのBAL液おいて、LTRA投与群では、非投与群に比し、ウイルス力価が低く、LTRA投与により肺でのA(H1N1)pdm09増殖が抑制されていることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明により、気管支喘息の予防又は改善剤を行うことが可能となり、医療、医薬品分野で応用が可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5