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明細書 :ペプチド

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年12月27日(2018.12.27)
発明の名称または考案の名称 ペプチド
国際特許分類 C07K  14/47        (2006.01)
A23L  33/19        (2016.01)
A61K  38/08        (2006.01)
A61K  38/10        (2006.01)
A61K  38/16        (2006.01)
A61P   3/04        (2006.01)
A61K  35/20        (2006.01)
FI C07K 14/47 ZNA
A23L 33/19
A61K 38/08
A61K 38/10
A61K 38/16
A61P 3/04
A61K 35/20
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 16
出願番号 特願2018-503332 (P2018-503332)
国際出願番号 PCT/JP2017/007812
国際公開番号 WO2017/150536
国際出願日 平成29年2月28日(2017.2.28)
国際公開日 平成29年9月8日(2017.9.8)
優先権出願番号 2016037673
優先日 平成28年2月29日(2016.2.29)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】大日向 耕作
【氏名】中戸 絢也
【氏名】青木 隼人
【氏名】岩倉 浩
【氏名】鈴木 秀幸
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】596175810
【氏名又は名称】公益財団法人かずさDNA研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B018
4C084
4C087
4H045
Fターム 4B018LB01
4B018LB04
4B018LB05
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE03
4B018LE04
4B018LE05
4B018MD16
4B018MD71
4B018ME01
4B018MF12
4C084AA02
4C084AA06
4C084AA07
4C084BA02
4C084BA17
4C084BA18
4C084BA19
4C084BA23
4C084CA20
4C084CA38
4C084NA14
4C084ZA701
4C084ZA702
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB39
4C087NA14
4C087ZA70
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA15
4H045CA40
4H045CA43
4H045EA01
4H045EA20
4H045FA16
要約 N末端にアミノ酸配列LIVTQTMKG(配列番号1)を有するペプチド。
特許請求の範囲 【請求項1】
N末端にアミノ酸配列LIVTQTMKG(配列番号1)を有するペプチド。
【請求項2】
牛乳βラクトグロブリンタンパク質のサーモリシン消化物に由来する、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
請求項1または2に記載のペプチドを有効成分とする医薬組成物。
【請求項4】
請求項1または2に記載のペプチドを有効成分とするグレリン分泌抑制剤。
【請求項5】
請求項1または2に記載のペプチドを含有する食品。
【請求項6】
請求項1または2に記載のペプチドを添加することを特徴とする食品。
【請求項7】
食欲抑制のための、請求項5または6に記載の食品。
【請求項8】
請求項1または2に記載のペプチドを必要とする患者または予備群に投与する工程を含む、食欲を抑制する方法。
【請求項9】
食欲を抑制するための、請求項1または2に記載のペプチド。
【請求項10】
食欲を抑制する医薬または食品を製造するための、請求項1または2に記載のペプチドの使用。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
グレリンは、食欲促進作用と成長ホルモン分泌促進作用を有する消化管ホルモンである。グレリンの分泌を抑制することで、近年に社会的に問題となっている過食、肥満を制御する手段として期待されているが、これまでグレリンの分泌を抑制する手段は報告されていない。
【0003】
特許文献1には、食欲抑制作用を有する消化管ホルモンであるコレシストキニン(CCK)の分泌を促進する食欲抑制ペプチドが記載されている。しかし、グレリンの分泌を抑制し、食欲を抑制できるペプチドは知られていない。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】PCT/JP2011/076862
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、グレリンの分泌抑制作用を有する新規なペプチド、並びに、該ペプチドを含む医薬及び食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意研究を重ねてきた。その結果、ベータラクトグロブリンタンパク質のサーモリシン消化物中に、グレリンの分泌抑制作用を有するペプチドを見出した。本発明はかかる知見に基づいて、さらに検討を重ねて完成されたものである。
【0007】
すなわち、本発明は以下の態様を包含する。
項1、N末端にアミノ酸配列LIVTQTMKG(配列番号1)を有するペプチド。
項2、牛乳βラクトグロブリンタンパク質のサーモリシン消化物に由来する、項1に記載のペプチド。
項3、項1または2に記載のペプチドを有効成分とする医薬組成物。
項4、項1または2に記載のペプチドを有効成分とするグレリン分泌抑制剤。
項5、項1または2に記載のペプチドを含有する食品。
項6、項1または2に記載のペプチドを添加することを特徴とする食品。
項7、食欲抑制のための、項5または6に記載の食品。
項8、項1または2に記載のペプチドを必要とする患者または予備群に投与する工程を含む、食欲を抑制する方法。
項9、食欲を抑制するための、項1または2に記載のペプチド。
項10、 食欲を抑制する医薬または食品を製造するための、項1または2に記載のペプチドの使用。
【発明の効果】
【0008】
本発明のペプチドを有効成分とする医薬組成物、食品は、グレリンの分泌抑制作用に基づき、食欲抑制の作用を発揮する。これらの作用に基づき、過食、肥満の予防や治療に好適に使用することができる。本発明のペプチドは、副作用が低く長期の服用に適したものである。また、本発明の医薬組成物、食品は、経口投与で有効である。
【0009】
本発明のペプチドは、ベータラクトグロブリンタンパク質の酵素消化物であるので、副作用は問題にならない。また、ベータラクトグロブリンタンパク質は、牛乳中に多量に含まれるので、低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】酵素消化物がグレリン分泌に与える影響。
【図2】ペプチドがグレリン分泌に与える影響。
【図3】グレリン分泌促進の作用機序の検証結果(cAMP濃度)。
【図4】グレリン分泌促進の作用機序の検証結果(細胞内カルシウムイオン濃度)。
【図5】経口投与による血中グレリン濃度への影響。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のペプチドは、N末端にLIVTQTMKG(配列番号1)の9残基のアミノ酸配列を有するペプチドである。

【0012】
本発明のペプチドは、好ましくは9~50アミノ酸残基、より好ましくは9~25アミノ酸残基、さらに好ましくは9~15アミノ酸残基、特に好ましくは9、10、11、12若しくは13アミノ酸残基を有する。配列番号1に示すアミノ酸配列のうち、1~8番目のアミノ酸配列、1~7番目のアミノ酸配列、1~6番目のアミノ酸配列、1~5番目のアミノ酸配列、1~4番目のアミノ酸配列及び1~3番目のアミノ酸配列からなるペプチドも本発明の別の態様として挙げられる。

【0013】
ペプチドを構成するアミノ酸は、L体のアミノ酸、D体のアミノ酸或いはDL体のアミノ酸(D体とL体が混合されたアミノ酸であればラセミ体といずれか一方のエナンチオマーが過剰なアミノ酸のいずれも含まれる)のいずれを使用することができる。好ましくはL体のアミノ酸のみ、或いはD体のアミノ酸のみからなるペプチド、特にL体のアミノ酸のみからなるペプチドが好ましい。

【0014】
また、本発明で使用するペプチドが2以上の不斉炭素を含む場合、各エナンチオマーないしジアステレオマー或いはこれらの任意の比率の混合物のいずれの形態でもあり得る。エナンチオマーまたはジアステレオマーの分離は、通常のカラムで行う方法、光学活性カラムを使用したり、光学活性基を導入して誘導体の形態で光学分割した後、その光学活性基を除去する方法や、光学活性の酸または塩基との塩を形成して光学分割する方法などの公知のいずれの方法を用いることができる。

【0015】
ペプチドは、修飾を有することができる。ペプチドのアミノ末端(N末端)は、遊離のアミノ基(NH-)であっても、アセチル基(CHCO-)などの修飾を有するものであってもよい。ペプチドのカルボキシ末端(C末端)は、遊離のカルボキシル基(-COOH)であっても、アミド基などの修飾を有するものであってもよい。ペプチドのアミノ酸残基は、無修飾ものであっても、リン酸基、糖鎖などの修飾を有するものであってもよい。

【0016】
本発明のペプチドは、塩(酸付加塩又は塩基塩)であってもよい。酸付加塩としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸、過塩素酸などの無機塩、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸の塩が挙げられる。塩基塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩などが挙げられる。

【0017】
本発明のペプチドは、溶媒和物であってもよい。溶媒和物としては、水(水和物の場合)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、アセトアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジメトキシエタンなどの溶媒和物が挙げられる。

【0018】
本発明のペプチドは、天然のタンパク質(特にβラクトグロブリン)ないしポリペプチドの加水分解により得ることもでき、化学合成により得ることもできる。

【0019】
例えば、本発明のペプチドは、牛乳由来の乳清タンパク質の多量に含まれるβラクトグロブリンをサーモリシンで加水分解することで得ることができる。

【0020】
サーモリシンは、耐熱性菌Bacillus thermoproteolyticus由来の、公知のタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)である(EC3.4.24.4)。サーモリシンは、我が国において食品添加物として使用することができる。サーモリシンは、試薬グレード、食品添加物グレードなどの市販されているものを使用することができる。

【0021】
サーモリシンにより加水分解をする基質は、βラクトグロブリンタンパク質を含むものであればとくに限定されない。例えば、牛乳それ自体、乳清(ホエイ)、精製したβラクトグロブリンタンパク質などが挙げられる。

【0022】
サーモリシンによる加水分解は、本発明のペプチドが得られる条件で行う。反応温度は30~70℃、30~40℃、40~70℃、50~65℃などから適宜選択することができる。反応時間は、30分~48時間程度、1~10時間程度、2~8時間程度などから適宜選択することができる。反応を行うpHは、pH6.5~8.5程度、pH7~8程度から適宜選択することができる。一つの好適な態様においては、30~40℃程度の温度、pH6.5~8.5(特に、pH7.5程度)の条件下で、2~8時間程度反応させることができる。

【0023】
加水分解が過度に行われる条件下では、本発明のペプチドが得られない場合がある。

【0024】
必要に応じて、トリプシンが失活する温度に加熱(例えば、80℃を超える温度で5~60分程度での加熱)することで、トリプシンを失活させる。

【0025】
加水分解の反応生成物は、そのまま使用してもよく、精製により有効成分のペプチドを分離して使用してもよい。

【0026】
また本発明のペプチドは、ペプチド合成法で取得することもできる。即ち、ペプチド合成に通常用いられる方法である液相法または固相法で、反応性カルボキシル基を有する原料と、反応性アミノ基を有する原料とをHBTU等の活性エステルを用いた方法や、カルボジイミドなどのカップリング剤を用いた方法等のペプチド合成において通常の方法により縮合させることができる。生成する縮合物が保護基を有する場合、その保護基を除去することによっても製造し得る。

【0027】
この反応工程において反応に関与すべきでない官能基は、保護基により保護される。アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル(CBZ)、t-ブチルオキシカルボニル(Boc),9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)等が挙げられる。カルボキシル基の保護剤としては例えばアルキルエステル、ベンジルエステル等を形成し得る基が挙げられるが、固相法の場合は、C末端のカルボキシル基はクロロトリチル樹脂、クロルメチル樹脂、オキシメチル樹脂、p-アルコキシベンジルアルコール樹脂等の担体に結合している。縮合反応は、カルボジイミド等の縮合剤の存在下にあるいはN-保護アミノ酸活性エステルまたはペプチド活性エステルを用いて実施する。

【0028】
縮合反応終了後、保護基は除去されるが、固相法の場合はさらにペプチドのC末端と樹脂との結合を切断する。更に、本発明のペプチドは通常の方法に従い精製される。例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等が挙げられる。合成したペプチドの合成はエドマン分解法でC-末端からアミノ酸配列を読み取るプロテインシークエンサー、GC-MS等で分析される。

【0029】
本発明のペプチドは、酵素法によっても合成することが可能である(WO2003/010307参照)。

【0030】
本発明のペプチドは、グレリンの分泌を抑制する作用を有する。グレリンは、下記の構造を有する生体由来のペプチドである。具体的には、アミノ酸残基28基からなり、3番目のセリン残基がn-オクタン酸で修飾されている。グレリンは、食欲促進作用と成長ホルモン分泌促進作用を示す。

【0031】
【化1】
JP2017150536A1_000003t.gif

【0032】
従って、グレリンの分泌を抑制する本発明のペプチドは、食欲抑制作用等のグレリンの分泌抑制に基づく作用をも有する。食欲抑制作用に基づいて、本発明のペプチドは、過食、肥満などの予防や治療のために使用することができる。

【0033】
本発明のペプチドがグレリンの分泌量を促進することは、当業者に公知の手法で評価をすることができる。例えば、文献:Iwakura H et.al. Endocrinology. 2010 Jun;151(6):2940-5に記載のグレリン分泌細胞MGN3-1に試験物質を添加して、所定時間培養後に回収した培地中のグレリンを定量することで、グレリンの分泌量を測定することができる。グレリンの定量は、ELISA(Enzyme-Linked ImmunoSorbentAssay)などの免疫化学的手法により行うことができる。

【0034】
本発明のペプチドは、医薬組成物または食品(食品組成物)として提供されうる。

【0035】
本発明のペプチドまたはこれを含有する製品の投与経路は特に限定されるものではなく、経口投与、非経口投与、直腸内投与のいずれを採用することも可能であり、経口的あるいは非経口的に投与することができる。中でも、効果が高いとの観点から、経口投与が好ましい。

【0036】
本ペプチドの投与量は、投与方法、投与される者の状態や年齢等により異なるが、成人1日あたり通常は0.01mg/kg~500mg/kg、好ましくは0.05mg/kg~100mg/kg、より好ましくは0.1~30mg/kgである。本発明のペプチド(有効成分)は、製剤用担体と混合して調製した医薬組成物の形で投与することができる。製剤用担体としては、製剤分野において常用され、かつ本発明のペプチドと反応しない物質が用いられる。

【0037】
本発明のペプチドはそれ自体医薬または食品として利用することができ、或いは単独で、もしくは適当な無毒性の経口摂取用担体、希釈剤または賦形剤とともに、タブレット(素錠、糖衣錠、発泡錠、フィルムコート錠、チュアブル錠など)、カプセル、トローチ、粉末、細粒剤、顆粒剤、液剤、懸濁液、乳濁液、ペースト、クリーム、注射剤(アミノ酸輸液、電解質輸液等の輸液に配合する場合を含む)、或いは腸溶性の錠剤、カプセル剤、顆粒剤などの徐放性製剤などの食品用もしくは医薬用の製剤にすることが可能である。食品中のペプチドの含有量は適宜選択が可能であるが一般に、0.01~100重量%の範囲である。

【0038】
具体的には、医薬または食品に加えることができる製剤用担体ないし経口摂取用担体、希釈剤または賦形剤のような物質の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。

【0039】
剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。尚、液体製剤にあっては、用時、水又は他の適当な溶媒に溶解または懸濁する形であってもよい。また錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明のペプチドを水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また緩衝剤や保存剤を添加してもよい。

【0040】
これらの製剤は、本発明のペプチドを0.01%~100重量%、好ましくは1~90重量%の割合で含有することができる。これらの製剤はまた、治療上価値のある他の成分を含有していてもよい。

【0041】
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分例えば乳糖、澱粉、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式又は乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤及び顆粒剤をそのまま或いはステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒又は錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸-メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤、あるいはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま或いはグリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。

【0042】
経口投与用の液状製剤を製造するには、有効成分と白糖、ソルビトール、グリセリンなどの甘味剤とを水に溶解して透明なシロップ剤、更に精油、エタノールなどを加えてエリキシル剤とするか、アラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを加えて乳剤又は懸濁剤としてもよい。これらの液状製剤には所望により矯味剤、着色剤、保存剤などを加えてもよい。

【0043】
本発明に係るペプチドを添加、配合して調製しうる食品の具体的形態としては、例えば、飲料類(コーヒー、ココア、ジュース、清涼飲料、ミネラル飲料、茶飲料、緑茶、紅茶、烏龍茶、乳飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト飲料、炭酸飲料、その他ノンアルコール飲料、アルコール飲料など)、菓子類(ハードキャンディー、ガム、グミ、ゼリー、プディング、ムース、ケーキ、キャンデー、クッキー、クラッカー、ビスケット、チョコレート、氷菓(アイスクリーム、アイスキャンディ、シャーベット、かき氷など)など)、ふりかけ、ドレッシング、調味料、大豆加工食品(豆腐、味噌、醤油、湯葉、きな粉、納豆など)、食肉加工食品(ハンバーグ、ミートローフ、ミートボール、つくねなど)、魚肉加工食品(かまぼこ、ちくわなど)、レトルト食品、ゼリー状食品(ゼリー、寒天、ゼリー状飲料等)、等を挙げることができる。本発明のペプチドを添加・配合して調製しうる食品としては、いわゆる健康食品、機能性食品、機能性表示食品、栄養補助食品、サプリメント、特定保健用食品、病者用食品、病者用組合せ食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)又は高齢者用食品(厚生労働省、特別用途食品の一種)としてもよく、素錠、フィルムコート錠、糖衣錠、顆粒、粉末、タブレット、カプセル(ハードカプセルとソフトカプセルとのいずれも含む。)、チュアブルタイプ、シロップタイプ、ドリンクタイプ等とすることもできる。本発明に係るペプチドを添加・配合した食品の調製は、それ自体公知の方法で行うことができる。
【実施例】
【0044】
次に実施例により本発明を更に具体的に説明する。しかし下記の実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0045】
<方法>
(グレリン分泌活性の評価)
グレリン分泌細胞MGN3-1を96ウェルプレートに1 x 105 cells/well播種し、培地中で24時間培養した。培養後、細胞をDPBSで洗浄し、試験物質100μL(Buffer:50 μM sodium octanoate/DMEM)を添加した。なお、試験物質を添加しないBufferのみをcontrolとした。さらに4時間培養をした後に、培地を回収し遠心分離処理により上清(supernatant)を得た。上清に1N HClを10μL添加し、-80℃で保存をした。
【実施例】
【0046】
試料中のグレリンの濃度をELISA法(Bertin Pharma社製、Ghrelin (Acylated) EIA Kit A05117)により評価した。
【実施例】
【0047】
<製造例>
(酵素消化物)
精製した牛乳βラクトグロブリン(β-LG)タンパク質と消化酵素とを、酵素:β-LG=1:100(重量比、β-CGの終濃度:10mg/ml)で混合し、添付のバッファー中で反応を行った。
【実施例】
【0048】
使用した酵素と反応条件は以下の通りとした:
(i)サーモリシン(天野エンザイム社製);反応温度:37℃、反応時間:5時間;反応pH:7.5。
【実施例】
【0049】
上記の反応時間の経過後、試料をボイル(100℃、10分間)し、酵素反応を停止した。
【実施例】
【0050】
(ペプチド)
定法により、ペプチドLIVTQTMKG(配列番号1;実施例)を合成した。
【実施例】
【0051】
(統計解析)
試験により得られたデータを、試行数nの平均(Mean)と標準誤差(Standard error of the mean、SEM)との和(Mean±SEM)で表した。データを1方向または2方向ANOVAにより解析し、引き続いて多重比較のためのTukey-Kramer試験を行った。p<0.05の場合(図中、”*”)及びp<0.01の場合(図中、”**”)に、有意差ありと判定した。【0052】
<試験例>
試験例1:β-LGのサーモリシン消化物
β-LGのサーモリシン消化物(β-LG digest)について、グレリン分泌細胞MGN3-1を用いて、グレリン分泌に与える影響を評価した。
【実施例】
【0053】
結果を図1に示す(n=7)。図中、横軸「Acyl-ghrelin (% of control)」は、対照(試験物質を添加しないBufferのみ)をMGN3-1に添加した場合のグレリン分泌量の測定値に対する割合(質量百分率)を示す。
【実施例】
【0054】
β-LGのサーモリシン消化物(β-LG Digest)は、グレリン分泌量を減少させる、グレリン分泌を抑制する活性を有することが明らかとなった。
【実施例】
【0055】
試験例2:ペプチド
ペプチドLIVTQTMKG(配列番号1)の、グレリンの分泌抑制作用の濃度依存性を検証した。N末端の2残基であるジペプチドLI(比較例)についても、グレリンの分泌抑制作用を評価した。
【実施例】
【0056】
結果を図2に示す(n=4)。ペプチドLIVTQTMKGは、0.01mM以上で有意なグレリンの分泌抑制作用を示すことが明らかとなった。一方、ジペプチドLIもグレリンの分泌抑制作用を有するが、0.3mM以上に限り有意な効果を示すに止まる。
【実施例】
【0057】
参考試験例
試験例2で用いたペプチドLIVTQTMKG(配列番号1)及びジペプチドLIが、β-LGのサーモリシン消化物に含まれることを質量分析法により確認した。結果を表1に示す。
【実施例】
【0058】
【表1】
JP2017150536A1_000004t.gif
【実施例】
【0059】
試験例3:作用機構
グレリンの分泌抑制に至る作用機構を検証した。β-LGのサーモリシン消化物、ペプチドLIVTQTMKG(配列番号1)及びジペプチドLIが、ForskolinによるcAMP濃度上昇及び細胞内カルシウムイオン濃度([Ca2+])に与える影響を評価した。
【実施例】
【0060】
細胞内cAMP濃度の測定については、グレリン分泌細胞MGN3-1を96ウェルプレートに1 x 105 cells/well播種し、培地中で24時間培養した。培養後、細胞をDPBSで洗浄し、試験物質45μL(Buffer:0.5 mM IBMXおよび0.01 mM Forskolinを含むKrebs Ringer HEPES buffer)を添加した。さらに30分間培養をした後に、細胞内cAMPをHitHunter cAMP Assay for small molecules (DiscoveRx社製)を用いて定量した。
【実施例】
【0061】
細胞内カルシウムイオン濃度については、文献:Kagebayashi T et.al. Mol. Nutr. Food Res. 2012 Sep;56(9):1456-63に記載の方法に従って測定した。
【実施例】
【0062】
結果を図3及び図4に示す。ペプチドLIVTQTMKG(配列番号1)及びジペプチドLIは、それぞれForskolinによるcAMP上昇を抑制した(図4)。また、ペプチドLIVTQTMKG(配列番号1)及びジペプチドLIは、細胞内のカルシウム濃度を低下させた(図5)。以上の結果から、本発明の牛乳β-LG由来ペプチドは、従来既知の経路を介してグレリンの分泌を抑制すると考えられる。
【実施例】
【0063】
試験例4:生体への投与
マウス(ddYマウス、雄、34~40g)にペプチドLIVTQTMKG(配列番号1)を投与して、グレリンの血中濃度への影響を評価した。具体的には、投与18時間前から絶食(fasting)させたマウスに、生理食塩水に溶解したペプチドLIVTQTMKG(配列番号1)を0.3mg/kgまたは1mg/kg経口投与(p.o.)して、1時間後に血清中のグレリン濃度を測定(Measure of plasma ghrelin)した。
【実施例】
【0064】
結果を図5に示す(n=6)。ペプチドLIVTQTMKGは、経口投与によりマウスの血中のグレリン濃度を低減させることが明らかとなった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4