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明細書 :含フッ素π共役系環状高分子の製造方法と該製造方法によって得られる含フッ素π共役系環状高分子を用いた発光素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6782977号 (P6782977)
公開番号 特開2018-177842 (P2018-177842A)
登録日 令和2年10月23日(2020.10.23)
発行日 令和2年11月11日(2020.11.11)
公開日 平成30年11月15日(2018.11.15)
発明の名称または考案の名称 含フッ素π共役系環状高分子の製造方法と該製造方法によって得られる含フッ素π共役系環状高分子を用いた発光素子
国際特許分類 C08G  61/10        (2006.01)
C08G  61/12        (2006.01)
C09K  11/06        (2006.01)
C07D 493/04        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
FI C08G 61/10
C08G 61/12
C09K 11/06 680
C07D 493/04 106C
H05B 33/14 B
請求項の数または発明の数 13
全頁数 43
出願番号 特願2017-074148 (P2017-074148)
出願日 平成29年4月4日(2017.4.4)
審査請求日 令和元年8月23日(2019.8.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
発明者または考案者 【氏名】福元 博基
【氏名】稲野邉 風馬
【氏名】吾郷 友宏
【氏名】久保田 俊夫
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100176164、【弁理士】、【氏名又は名称】江口 州志
審査官 【審査官】藤井 勲
参考文献・文献 国際公開第2007/029547(WO,A1)
特開2015-214531(JP,A)
特開2016-060722(JP,A)
国際公開第2016/068162(WO,A1)
国際公開第2017/011822(WO,A1)
調査した分野 C08G 61/00 - 61/12
H01L 27/32
C07D 493/00 - 497/22
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
遷移金属触媒を用いるホモカップリング反応又はクロスカップリング反応によって含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマの単独重合又は前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマとは別のπ共役系前駆体モノマと共重合を行うことにより製造される含フッ素π共役系環状高分子の製造方法であって、
前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマが、
下記式(1)又は(2)で表される構造を有する化合物と、
下記式(3)、(4)又は(5)で表される構造を有する化合物と、
の反応によって合成される化合物であり、
前記π共役系前駆体モノマが、下記式(12)、(13)、(14)又は(15)で表される構造を1分子中に含む化合物であることを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【化1】
JP0006782977B2_000061t.gif
【化2】
JP0006782977B2_000062t.gif


式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子であり、R51、R61、は、それぞれ独立にフッ素原子、臭素原子又は塩素原子である。a、b、c、dは0又は1の整数であり、a+b+c+d=2~4の何れかの整数である。R、R、R、Rにおいて、R及び該Rとシス位の置換基であるRは、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、R、Rはフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基である。
【化3】
JP0006782977B2_000063t.gif
【化4】
JP0006782977B2_000064t.gif
【化5】
JP0006782977B2_000065t.gif
式中、X、Xは、独立に臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子であり、R、Rは、独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。Yは、下記(Y1)~(Y9)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
【化6】
JP0006782977B2_000066t.gif

JP0006782977B2_000067t.gifJP0006782977B2_000068t.gif 式中、Rc、Rd、Re、Rfは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。
【化7】
JP0006782977B2_000069t.gif
【化8】
JP0006782977B2_000070t.gif
【化9】
JP0006782977B2_000071t.gif
【化10】
JP0006782977B2_000072t.gif
式中、R、R、R、R10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、e、g、hは1~4のいずれかの整数で、fは1~2のいずれかの整数である。Zは、下記(Z1)~(Z9)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
【化11】
JP0006782977B2_000073t.gif

JP0006782977B2_000074t.gif
JP0006782977B2_000075t.gif 式中、Rg、Rh、Ri、Rjは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。
【請求項2】
前記R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42、R51、R61、R、Rは、何れもフッ素原子であり、前記R、Rは、独立にフッ素原子又はパーフルオロアルキル基であることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【請求項3】
前記a+b+c+dがa+b+c+d=3の整数であることを特徴とする請求項1又は2に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【請求項4】
前記X及びXが、臭素原子であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(1)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(6)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【化12】
JP0006782977B2_000076t.gif
式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子である。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(1)で表される化合物と、前記式(4)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(7)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【化13】
JP0006782977B2_000077t.gif
式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子である。R、Rは、独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(1)で表される化合物と、前記式(5)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(8)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【化14】
JP0006782977B2_000078t.gif
式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子である。Yは、前記(Y1)~(Y9)のいずれかで表される原子又は原子団と同じ原子又は原子団である。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(9)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【化15】
JP0006782977B2_000079t.gif
式中、R、Rはフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基である。
【請求項9】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(4)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(10)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【化16】
JP0006782977B2_000080t.gif
式中、R、Rはフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基であり、R、Rは、独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(5)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(11)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【化17】
JP0006782977B2_000081t.gif
式中、R、Rはフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基である。Yは、前記(Y1)~(Y9)のいずれかで表される原子又は原子団と同じ原子又は原子団である。
【請求項11】
前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマとは別のπ共役系高分子前駆体モノマとクロスカップリング反応させることにより、さらに、下記式(12)、(13)、(14)及び(15)で表される構造単位の少なくともいずれかを有する共重合体を製造することを特徴とする請求項5~10のいずれか一項に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【化18】
JP0006782977B2_000082t.gif
【化19】
JP0006782977B2_000083t.gif
【化20】
JP0006782977B2_000084t.gif
【化21】
JP0006782977B2_000085t.gif
式中、R、R、R、R10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、e、g、hは1~4のいずれかの整数で、fは1~2のいずれかの整数である。Zは、下記(Z1)~(Z9)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
【化22】
JP0006782977B2_000086t.gif

JP0006782977B2_000087t.gif
JP0006782977B2_000088t.gif 式中、Rg、Rh、Ri、Rjは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。
【請求項12】
前記共重合体は、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマの重合によって前記フッ素π共役系環状高分子中に形成される構造単位と、前記式(12)、(13)、(14)及び(15)で表される構造単位のいずれかと、が交互に化学結合した交互共重合体であることを特徴とする請求項11に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の製造方法で製造された含フッ素π共役系環状高分子を発光層の発光材料として含む発光素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、π電子共役性を十分に発現しながら、有機溶媒に対する溶解性が高く成膜性が良好で、且つ、安定性と耐久性に優れる含フッ素π共役系環状高分子の製造方法と該製造方法によって得られる含フッ素π共役系環状高分子を用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
主鎖にπ共役二重結合を有するπ共役系化合物は、導電性や可視光領域での光吸収・発光特性を示し、有機EL(エレクトロルミネッセンス)等の表示素子材料や記録材料又は電界効果トランジスタや太陽電池等に利用することが盛んに研究されている。π共役系化合物としては、従来からアセチレン、チオフェン、フェニレン、フェニレンビニレン等の基本骨格を有するオリゴマーや高分子が知られており、例えば、非特許文献1にはπ共役系高分子の構造制御合成法が解説されている。また、それらの骨格以外にも、ペンタセン等のオリゴマーやフルオレン、フェナントロレン等の基本骨格を有する高分子等も検討されている。
【0003】
π共役化合物を有機半導体として適用する場合、p型又はn型の半導体特性を有する材料がデバイスや用途に応じて選んで使用されている。例えば、EL素子や太陽電池ではp型及びn型の両方の材料が使用されている。p型半導体材料としてはペンタセン、チオフェン等が知られており、従来から数多くの候補材が検討されている。それに対して、n型半導体材料はそもそも材料の種類が少なく、ペンタフルオロペンタセンの含フッ素化合物やフラーレン等の少数のn型有機半導体が知られているものの、具体的に適用可能な材料が非常に限られているのが現状である。したがって、今後の適用範囲の拡大を図るために新規のn型有機半導体材料の開発が強く求められている。n型有機半導体化合物の中で特にπ共役系高分子は、高分子特有の成膜性と加工性を有することから様々な分野への適用が期待できるため、新規高分子材料の開発への要求が非常に高い。
【0004】
n型半導体高分子の合成は、フラーレン等のように特殊な構造を有する化合物を新たに合成する方法もあるが、既存のp型有機半導体化合物にフッ素骨格を導入することによってn型の有機半導体化を行う方法が、材料の選択幅を広げることができるという点から非常に有効である。このような観点に基づいて、特許文献1には、電子材料に有用なフッ素化シクロペンタノン環と芳香環との縮合化合物及びその製造方法が提案されている。
【0005】
分子中にフッ素骨格を導入した化合物としては、本発明者等も、フッ素骨格を有するフェナントロリン化合物(特許文献2を参照)及び縮合多環芳香族骨格を有するポリマー(特許文献3を参照)を提案した。これらの化合物又はその骨格を有する高分子は、フッ素骨格を有しないπ共役系化合物又はその高分子に比べて、有機溶媒への溶解性が高く、安定性と耐久性に優れるという特徴を有するものである。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2006-248944号公報
【特許文献2】特開2016-60772号公報
【特許文献3】特開2016-84448号公報
【0007】

【非特許文献1】脇岡 正幸、滝田 良、小澤 文幸、「遷移金属触媒によるπ共役系高分子の構造制御合成」、日本ゴム協会誌、2008年、第81巻、第10号、pp.431-437
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
フッ素骨格を導入したπ共役系高分子をn型半導体として適用を拡大するためには、n型半導体としての特性向上は勿論のこと、高耐熱性及び高耐久性を有するとともに、一般的な有機溶媒に対する溶解性を高めることによって成膜性及び加工性の向上を図ることが益々必要となる。さらに、フッ素骨格を導入したπ共役系高分子の材料コストを低減することが不可欠であるため、原料の入手が容易で、合成工数が少なく、できれば収率を高くできる合成方法が求められる。
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に記載の合成方法は、高分子の前駆体であるフッ素化シクロペンタノン環と芳香環との縮合化合物を合成するときの反応段階が多く、場合によっては特殊な原料を使用する必要がある。そのため、その縮合化合物を原料として用いてオリゴマー化又は高分子量化を行う場合には製造及び材料のコストが高くなる傾向にある。さらに、フッ素化シクロペンタノン環と芳香環との縮合化合物は、基本的な環状構造がシクロペンタノン環と芳香環との2環であるため、耐熱性、耐久性及び一般的な有機溶媒に対する溶解性の点でまだ改良が必要である。
【0010】
また、前記特許文献2に記載のフッ素骨格を有するフェナントロリン化合物、及び前記特許文献3に記載の縮合多環芳香族骨格を有するポリマーは、基本骨格が多環芳香族であることから、一般的な有機溶剤に対する溶解性の一層の向上、成膜後に形成される薄膜の柔軟性の付与、及び材料選択幅の拡大を図るため、前記多環芳香族とは異なる基本骨格を有する新規のπ共役系高分子材料の開発が強く望まれている。
【0011】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、π電子共役性を十分に発現しながら、有機溶媒に対する溶解性が高く成膜性が良好で、且つ、安定性と耐久性に優れ、合成の際に原料入手が容易で、従来よりも少ない工数で合成を行うことができる含フッ素π共役系環状高分子の製造方法と該製造方法によって得られる含フッ素π共役系環状高分子を用いた発光素子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、単環状の芳香族環に、水素の少なくとも1個がフッ素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造の2つ又は1つを導入した含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを合成し、該含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマをホモカップリング反応又はクロスカップリング反応によって単独重合又は別のπ共役系高分子前駆体モノマとの共重合を行うことにより上記の課題を解決できることを見出して本発明に到った。
【0013】
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、遷移金属触媒を用いるホモカップリング反応又はクロスカップリング反応によって含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマの単独重合又は前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマとは別のπ共役系前駆体モノマと共重合を行って製造される含フッ素π共役系環状高分子の製造方法であって、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマが、下記式(1)又は(2)で表される構造を有する化合物と、下記式(3)、(4)又は(5)で表される構造を有する化合物と、の反応によって合成されるものであり、前記π共役系前駆体モノマが、下記式(12)、(13)、(14)又は(15)で表される構造を1分子中に含む化合物であることを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
【化23】
JP0006782977B2_000002t.gif
【化24】
JP0006782977B2_000003t.gif
式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子であり、R51、R61、は、それぞれ独立にフッ素原子、臭素原子又は塩素原子である。a、b、c、dは0又は1の整数であり、a+b+c+d=2~4の何れかの整数である。R、R、R、Rにおいて、R及び該Rとシス位の置換基であるRは、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、R、Rはフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基である。
【化25】
JP0006782977B2_000004t.gif
【化26】
JP0006782977B2_000005t.gif
【化27】
JP0006782977B2_000006t.gif
式中、X、Xは、独立に臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子であり、R、Rは、独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。Yは、下記(Y1)~(Y9)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
【化28】
JP0006782977B2_000007t.gif
式中、Rc、Rd、Re、Rfは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。
【化29】
JP0006782977B2_000008t.gif
【化30】
JP0006782977B2_000009t.gif
【化31】
JP0006782977B2_000010t.gif
【化32】
JP0006782977B2_000011t.gif
式中、R、R、R、R10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、e、g、hは1~4のいずれかの整数で、fは1~2のいずれかの整数である。Zは、下記(Z1)~(Z9)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
【化33】
JP0006782977B2_000012t.gif

JP0006782977B2_000013t.gif
JP0006782977B2_000014t.gif 式中、Rg、Rh、Ri、Rjは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。
[2]本発明は、前記R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42、R51、R61、R、Rが、何れもフッ素原子であり、前記R、Rが、独立にフッ素原子又はパーフルオロアルキル基であることを特徴とする前記[1]に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
[3]本発明は、前記a+b+c+dがa+b+c+d=3の整数であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
[4]本発明は、前記X及びXが、臭素原子であることを特徴とする前記[1]~[3]のいずれか一項に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
[5]本発明は、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(1)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(6)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する
【化34】
JP0006782977B2_000015t.gif
式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子である。
[6]本発明は、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(1)で表される化合物と、前記式(4)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(7)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
【化35】
JP0006782977B2_000016t.gif
式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子である。R、Rは、独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。
[7]本発明は、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(1)で表される化合物と、前記式(5)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(8)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
【化36】
JP0006782977B2_000017t.gif
式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子である。Yは、前記(Y1)~(Y9)のいずれかで表される原子又は原子団と同じ原子又は原子団である。
[8]本発明は、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(9)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
【化37】
JP0006782977B2_000018t.gif
式中、R、Rはフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基である。
[9]本発明は、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(4)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(10)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
【化38】
JP0006782977B2_000019t.gif
式中、R、Rはフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基であり、R、Rは、独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。
[10]本発明は、前記[1]~[4]のいずれか一項に記載の製造方法において、前記式(2)で表される化合物と、前記式(5)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを用いて、下記式(11)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することを特徴とする含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
【化39】
JP0006782977B2_000020t.gif
式中、R、Rはフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基である。Yは、前記(Y1)~(Y9)のいずれかで表される原子又は原子団と同じ原子又は原子団である。
[11]前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマとは別のπ共役系高分子前駆体モノマとクロスカップリング反応させることにより、さらに、下記式(12)、(13)、(14)及び(15)で表される構造単位の少なくともいずれかを有する共重合体を製造することを特徴とする前記[5]~[10]のいずれか一項に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
【化40】
JP0006782977B2_000021t.gif
【化41】
JP0006782977B2_000022t.gif
【化42】
JP0006782977B2_000023t.gif
【化43】
JP0006782977B2_000024t.gif
式中、R、R、R、R10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、e、g、hは1~4のいずれかの整数で、fは1~2のいずれかの整数である。Zは、下記(Z1)~(Z9)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
【化44】
JP0006782977B2_000025t.gif
式中、Rg、Rh、Ri、Rjは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。
[12]本発明は、前記共重合体が、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマの重合によって前記フッ素π共役系環状高分子中に形成される構造単位と、前記式(12)、(13)、(14)及び(15)で表される構造単位のいずれかとが交互に化学結合した交互共重合体であることを特徴とする前記[11]に記載の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を提供する。
[13]本発明は、前記[1]~[12]のいずれか一項に記載の製造方法で製造された含フッ素π共役系環状高分子を発光層の発光材料として含む発光素子を提供する。
[発明の効果]

【発明の効果】
【0014】
本発明の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法によれば、単環状の芳香族環に、水素の少なくとも1個がフッ素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造の2つ又は1つを導入した含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ及び該前駆体モノマを単独重合又は共重合により高分子量化した含フッ素π共役系環状高分子を、入手が容易な原料を用いて、従来よりも少ない合成工数で得ることができる。
【0015】
また、本発明の製造方法によって得られる含フッ素π共役系環状高分子は、π電子共役性を十分に発現しながら、有機溶媒に対する溶解性が高く成膜性が良好で、且つ、安定性と耐久性に優れる。さらに、本発明の含フッ素π共役系環状高分子をn型有機半導体として電子材料に適用することにより、n型半導体材料の種類が少ないという従来からの技術課題を解決できるとともに、高性能及び新機能を有する電子デバイスや太陽電池に適用することが期待できる。例えば、本発明の含フッ素π共役系環状高分子を発光材料として有する発光素子は、発光性能を高めることができるだけでなく、耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の含フッ素π共役系環状高分子を製造するための合成反応の模式図である。
【図2】本発明の含フッ素π共役系環状高分子を製造するための別の合成反応の模式図である。
【図3】式(6)及び式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す図である。
【図4】式(6)及び式(13)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す図である。
【図5】式(6)及び式(14)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す図である。
【図6】式(6)及び式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の別の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の別の例を示す図である。
【図7】式(6)及び式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の別の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の別の例を示す図である。
【図8】式(6)及び式(14)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の別の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の別の例を示す図である。
【図9】式(7)及び式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す図である。
【図10】式(9)及び式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の別の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の別の例を示す図である。
【図11】式(10)及び式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す図である。
【図12】式(8)及び式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す図である。
【図13】式(11)及び式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す図である。
【図14】実施例1で合成した含フッ素π共役系高分子前駆体モノマ1のX線結晶構造解析によって推定される結晶構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による含フッ素π共役系環状高分子の製造方法は、遷移金属触媒を用いるホモカップリング反応又はクロスカップリング反応によって含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを単独重合又は別のπ共役系高分子前駆体モノマとの共重合により高分子量化して製造される含フッ素π共役系環状高分子の製造方法であって、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマが、二重結合の一つ及びフッ素元素の一つ以上を1分子中に有する単環状又は鎖状の化合物(A)と、π共役系の環状化合物であって、核置換基としてオルト位に2個又は4個の水酸基及びパラ位に臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子を有する化合物(B)との反応によって合成されるものである。このように、本発明は、前記含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマが従来にない構造を有する新規化合物である点に特徴を有する。

【0018】
前記前駆体モノマは、単環状の芳香族環に、水素の少なくとも1個がフッ素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造の2つ又は1つを導入する化学構造を有し、低毒性で、かつ、市販品として入手が可能で、取り扱いが容易である原料を用いて、温和な条件(室温以下)で脱ハロゲン化水素反応を行って合成されることを特徴とする。そのため、基本的に一段階の反応プロセスにより合成経路を短縮化して導入することができ、前記前駆体モノマのオリゴマー化又は高分子量化の反応を加えても反応プロセスが二段階であり、少ない反応プロセス段階で本発明の含フッ素π共役系環状高分子を製造することができる。

【0019】
このようにして本発明の製造方法によって得られる含フッ素π共役系環状高分子は、単環状の芳香族環を基本骨格とする分子主鎖を構成するため、そもそも高いπ共役性を有する。また、前記単環状の芳香族環に側鎖に相当する位置に、水素の少なくとも1個がフッ素原子で置換された炭化水素系の飽和環状構造が結合しているため、高分子の繰り返し単位を構成する基本骨格が立体的に平面構造を形成する傾向にある。それにより、本発明の含フッ素π共役系環状高分子はスタック状に積層する構造をとりやすい基本骨格を有するため、π共役性をさらに高めることができる。

【0020】
その一方で、炭化水素系の飽和環状構造は、高分子主鎖と垂直方向ではπ共役性がなく、且つ、嵩高い構造であることから、通常の有機溶媒に対する溶解性を大幅に高める効果が得られる。さらに、この飽和環状構造は、鎖状の置換基と比べて耐熱性及び耐久性に向上に大きく寄与する。したがって、有機溶媒への溶解性を向上させるために鎖状の置換基等を導入する従来の方法とは異なり、EL素子の発光材料や有機太陽電池等の電子材料に求められる物性及び特性の低下をほとんど招かない点で優れている。そして、本発明によれば、有機溶媒に対する溶解性、有機薄膜の膜生成性、耐熱性及び耐久性に応じて、前記炭化水素系の飽和環状構造の1個又は2個を高分子繰り返し単位の基本骨格である単環状の芳香族環高分子中に導入することができる。

【0021】
ここで、前記炭化水素系の飽和環状構造は、水素原子に代えて、原子半径が大きく電子吸引性の強いフッ素原子又は塩素原子を導入することによって、耐熱性の付与、高分子主鎖を構成する単環状の芳香族環骨格の電子吸引性の増大、及び通常の有機溶媒に対する溶解性の向上に対して一層の効果が得られるようになる。

【0022】
このように、本発明の製造方法によって得られる含フッ素π共役系環状高分子は、π電子共役性を十分に発現しながら、有機溶媒に対する溶解性が高く成膜性が良好で、且つ、安定性と耐久性に優れる。さらに、これらの物性及び特性に応じて様々な構造を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することができるため、電子材料としての適用するときにその適用範囲を大幅に広げることができる。

【0023】
以下、本発明の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を詳細に説明する。図1及び図2に、本発明の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法を模式的に示す。

【0024】
図1は、前記式(6)、(7)又は(8)で表される構造単位を有する本発明の含フッ素π共役系高分子の製造方法を模式的に示す図であり、前記式(1)で表される構造を有する含フッ素シクロアルケン化合物と、前記式(3)、(4)又は(5)で表される構造を有する化合物とを反応させることにより含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ(図中において式(13M)、(14M)、(15M)で示す化合物)を合成した後、これら含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを、遷移金属触媒を用いる公知のホモカップリング反応によって重合を行い製造される。また、図2は、前記式(9)、(10)又は(11)で表される構造単位を有する本発明の含フッ素π共役系高分子の製造方法を模式的に示す図であり、前記式(2)で表される構造を有する含フッ素アルケン化合物と、前記式(3)、(4)又は(5)で表される構造を有する化合物とを反応させることにより含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ(図中において式(23M)、(24M)、(25M)で示す化合物)を合成した後、これら含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマを、遷移金属触媒を用いる公知のホモカップリング反応によって重合を行って製造される。なお、本発明の含フッ素π共役系環状高分子として後述の共重合体を製造する場合は、前記ホモカップリング反応に代えて、クロスカップリング反応によって共重合を行う。

【0025】
<含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマの製造方法>
本発明で使用する含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマは、二重結合の一つ及びフッ素元素の一つ以上を1分子中に有する単環状又は鎖状の化合物(A)と、π共役系の環状化合物であって、核置換基としてオルト位に2個又は4個の水酸基及びパラ位に臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子を有する化合物(B)と、の反応によって合成される。それらの合成方法の模式図を、図1及び図2に合わせて示している。

【0026】
図1に示すように、本発明で使用する含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[図中において(13M)、(14M)、(15M)で示す化合物]は、前記化合物(A)として使用する下記式(1)で表される構造を有する化合物と、前記化合物(B)として使用する下記式(3)、(4)又は(5)で表される構造を有する化合物とを、例えば、ジメチルスルホンオキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の非プロトン性極性有機溶媒に溶解し、炭酸カリウム等の炭酸アルカリ金属塩類、リン酸アルカリ金属塩類、水酸化アルカリ金属類、水酸化アルカリ土類金属類、金属アルコキシド等の塩基性触媒を用いて、アルゴン、窒素又はヘリウム等の不活性雰囲気中で2分子による脱ハロゲン化水素反応を行って合成することができる。なお、下記式(1)、(3)、(4)及び(5)で表される構造を有する化合物は、図1において同じ符号で示す化合物にそれぞれ対応する。

【0027】
【化45】
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式中、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子であり、R51、R61、は、それぞれ独立にフッ素原子、臭素原子又は塩素原子である。a、b、c、dは0又は1の整数であり、a+b+c+d=2~4の何れかの整数である。
【化46】
JP0006782977B2_000027t.gif
【化47】
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【化48】
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式中、X、Xは、独立に臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子であり、R、Rは、独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。Yは、下記(Y1)~(Y9)のいずれかで表される原子又は原子団であり、
【化49】
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式中、Rc、Rd、Re、Rfは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。


【0028】
前記式(1)において、前記のR11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、臭素原子又は塩素原子を示し、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つがフッ素原子である。本発明においては、炭化水素系の飽和環状構造中に、原子半径が大きいフッ素原子を少なくとも一つ導入することによって、耐熱性の付与、耐溶剤性等の化学的安定性の向上、フッ素系溶媒に対する溶解性の向上、及びフッ素原子に起因する新機能(n型半導体特性)の付与に対して一層の効果が得られるようになるため、前記のR11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の少なくとも一つが、フッ素原子であることが好ましい。さらに、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42が何れもフッ素原子であれば、フッ素系溶剤への溶解性、耐熱性及び耐溶剤性が格段に向上し、n型半導体特性の付与に対して大きな効果が得られる。したがって、本発明の含フッ素環状有機化合物は、そのような化学構造を有することがより好ましい。

【0029】
また、上記式(1)で示す化合物において、炭化水素系の飽和環状構造を構成する炭素数は、a+b+c+d=2~4の何れかの整数であると規定するように、2~4個である。a+b+c+d=2~4であるときに、耐熱性、耐溶剤性及びフッ素系溶剤に対する溶解性を向上することができるだけでなく、原料の入手が容易になり、合成時の反応が制御しやすくなる。これらの効果を十分に奏するためには、a+b+c+d=3であることが好ましい。

【0030】
前記式(1)に示す化合物は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42、R51、R61の少なくとも一つがフッ素原子で置換された含フッ素シクロアルケン化合物であり、フッ素原子が少なくとも1つ含まれていれば、水素原子、臭素原子又は塩素原子を含む化合物を使用することができる。それらの中でも、フッ素原子又はフッ素原子と塩素原子を含む化合物が、原料の入手が容易であることから好適である。

【0031】
本発明で使用するシクロアルケン化合物としては、例えば、1,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロシクロブテン、1,2,3,3,4,4,5,5,6,6-デカフルオロシクロヘキセン、1,2,3,3,5,5-ヘキサクロロジフルオロシクロペンテン、1,2,3又は1,2,4-トリクロルペンタフルオロシクロペンテン、1,2,3,4-テトラクロロテトラフルオロシクロペンテン、1,2,3,3,4-ペンタクロロトリフルオロシクロペンテン等が挙げられる。さらに、材料の入手が市販品として入手できること、合成時に反応が制御し易いこと、及び材料コスト等の点から、オクタフルオロシクロペンテン、テトラクロロテトラフルオロペンテンを使用すること、すなわち、a+b+c+d=3であることが好ましい。

【0032】
前記式(3)~(5)で表される構造を有する化合物において、前記X、Xは、独立に臭素原子、塩素原子又はヨウ素原子である。それらの中で、副反応を抑え、反応効率を高めることができることから臭素原子が好ましい。

【0033】
上記式(3)に示す化合物としては、例えば、テトラヒドロキシ-p-ブロモベンゼン、テトラヒドロキシ-p-クロロベンゼン、テトラヒドロキシ-1-ブロモ-4-ヨードベンゼン、テトラヒドロキシ-1ブロモ-4クロロベンゼン等が挙げられるが、高い反応効率と原料入手のしやすさの点からテトラヒドロキシ-p-ブロモベンゼンを使用することが好ましい。

【0034】
前記式(4)において、R、Rは、独立に水素原子、アルキル基又はアリール基である。それらの中で、反応効率を高くできるという点からは水素原子が好ましい。上記式(4)で表される構造単位を含む化合物としては、例えば、2,3-ジヒドロキシ-1,4-ジブロモベンゼン、2,3-ジヒドロキシ-1,4-ジクロロベンゼン、2,3-ジヒドロキシ-1,4-ジヨードベンゼン、及び、これらの化合物において5位又は6位の少なくともどちらかがメチル基、エチル基等のアルキル基又はフェニル基等のアリール基で核置換したものが挙げられる。これらの中で、高い反応効率と原料の入手のしやすさの点から2,3ジヒドロキシ-1,4ジブロモベンゼンを使用することが好ましい。

【0035】
前記式(5)において、Yは、前記式(Y1)~(Y9)のいずれかで表される原子又は原子団である。それらの原子又は原子団の中で、前記式(Y1)、(Y2)又は(Y3)で表されるチオフェン環、フラン環又はピロール環を有するものが、反応効率及び原料入手のしやすさの点から好ましい。これらの環は、前記式(1)に示す化合物と反応させることにより、従来にない新たな電気的性質の発現も期待できる。前記式(5)に示す化合物としては、例えば、3,4-ヒドロキシ-チオフェン、3,4-ヒドロキシ-フラン、3,4-ヒドロキシピロール等が挙げられる。

【0036】
前記含フッ素π共役系高分子前駆体モノマの合成において、前記式(1)及び前記式(3)、(4)又は(5)で表される構造を有する各化合物は、原料として入手しやすい市販の高純度材料を使用することができるが、場合によっては、市販品に代えて、別の原料から新たに合成して得られる合成品を原料として使用してもよい。例えば、前記式(3)で示す化合物の一種であるテトラヒドロキシ-p-ブロモベンゼンは、下記反応式(16)に示す方法で合成することができる。
【化50】
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【0037】
本発明の含フッ素π共役系高分子前駆体モノマの合成を行うときに使用する溶媒としては、上記で述べたようにDMSO等の極性非プロトン性有機溶媒をするのが好ましいが、それ以外にもトルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の非極性非プロトン性有機溶媒;メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶剤などを使用してもよい。

【0038】
また、合成にときに使用する触媒は、前記で述べたように、炭酸アルカリ金属塩類、リン酸アルカリ金属塩類、水酸化アルカリ金属類、水酸化アルカリ土類金属類、金属アルコキシド等の塩基性触媒が用いられる。炭酸アルカリ金属塩類の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。リン酸アルカリ金属塩類の例としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸セシウム、リン酸リチウムなどが挙げられる。水酸化アルカリ金属類の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化セシウムなどが挙げられる。水酸化アルカリ土類金属の例としては、水酸化バリウムなどが挙げられる。金属アルコキシドの例としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、カリウム-tert-ブトキシドなどが挙げられる。それらの中で、本発明は反応効率の点から、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸カリウムを使用するのが好ましく、さらに炭酸カリウムがより好ましい。

【0039】
本発明の含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマは、前記化合物(A)として前記(1)で表される構造を有する化合物の代わりに、図2に示すように、下記式(2)で表される化合物を用いて合成することができる。

【0040】
【化51】
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式中、R、R、R、Rは、R及び該Rとシス位の置換基であるRがフッ素原子、臭素原子又は塩素原子であり、R、Rがフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基である。


【0041】
図2に示すように、本発明で使用する含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[図中において(23M)、(24M)、(25M)で示す化合物]は、前記式(2)で表される構造を有する化合物と、前記式(3)、(4)又は(5)で表される構造を有する化合物とを反応させて合成する。図2に示す合成方法は、基本的に図1に示すものと同じであり、反応条件に応じて、前記で述べた有機溶媒及び触媒の中から適宜選択して合成を行うことができる。

【0042】
図2に示す含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[(23M)、(24M)、(25M)]が炭化水素系の飽和環状構造を有するためには、前記式(2)に示すR、R、R、Rにおいて、R及び該Rとシス位の置換基であるRがフッ素原子、臭素原子又は塩素原子であることが必要である。さらに、前記炭化水素系の飽和環状構造中に、原子半径が大きいフッ素原子を少なくとも一つ導入することによって、耐熱性の付与、耐溶剤性等の化学的安定性の向上、フッ素系溶媒に対する溶解性の向上、及びフッ素原子に起因する新機能(n型半導体特性等)の付与に対して一層の効果が得られるようになる。そのため、前記式(2)において、置換基R、Rがフッ素原子又はフッ素原子を1個以上含むアルキル基である含フッ素アルケン化合物を使用する。さらに、R、Rに含まれる水素原子が何れもフッ素原子であれば、フッ素系溶剤への溶解性、耐熱性及び耐溶剤性が格段に向上し、n型半導体特性の付与に対して大きな効果を得ることができる。したがって、上記(2)に示す構造で表される化合物は、置換基R、Rがフッ素原子又はパーフルオロアルキル基である化学構造を有することがより好ましい。

【0043】
本発明で使用する含フッ素アルケン化合物としては、例えば、テトラフルオロエテン、1,2-ジフルオロ-1,2-ジクロロエテン、クロロトリフルオロエテン、トリフルオロエテン、トリクロロフルオロエテン、ヘキサフルオロプロペン、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン、1,2-ジクロロヘキサフルオロ-2-ブテン等が挙げられる。さらに、材料の入手が市販品として入手できること、合成時に反応が制御し易いこと、材料コスト、及び電気特性等の点から、テトラフルオロエテン、1,2-ジフルオロ-1,2-ジクロロエテン、クロロトリフルオロエテン、ヘキサフルオロプロペン、オクタフルオロ-1-ブテン、オクタフルオロ-2-ブテン等のフッ素原子を多く含むアルケン化合物を使用することが好ましい。

【0044】
<含フッ素π共役系環状高分子(単独重合体)の製造方法>
次に、図1及び図2に示す含フッ素π共役系環状高分子の製造方法について説明する。図1において式(13M)、(14M)及び(15M)で表される化学構造を有する各化合物は、遷移金属化合物を触媒として用いるホモカップリング反応により重合させて、それぞれ式(6)、(7)及び(8)で表される単一の構造単位を有する単独重合体(ホモポリマ)の高分子を製造する。同様に、図2において式(23M)、(24M)及び(25M)で表される化学構造を有する化合物も、遷移金属化合物を触媒として用いるホモカップリング反応により重合させて、それぞれ式(9)、(10)及び(11)で表される単一の構造単位を有する単独重合体による高分子(ホモポリマ)を製造する。

【0045】
前記ホモカップリング反応は、公知のウルマン反応やグレーサー反応等が知られている。それらホモカップリング反応に使用する触媒としてはニッケルや銅等の遷移金属又はそれらの遷移金属錯体等が使用され、例えば、ビストリフェニルホスフィンニッケルジクロリド、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパンニッケルジクロリド、銅金属等が挙げられる。また、前記非特許文献1に記載された公知のπ共役系高分子の構造制御合成方法を採用してもよい。

【0046】
前記式(1)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[図1に示す(13M)]を用いて製造され、下記式(6)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子の例を次に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化52】
JP0006782977B2_000033t.gif

【0047】
【化53】
JP0006782977B2_000034t.gif

【0048】
前記式(1)で表される化合物と、前記式(4)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[図1に示す(14M)]を用いて製造され、下記式(7)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子の例を次に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化54】
JP0006782977B2_000035t.gif

【0049】
【化55】
JP0006782977B2_000036t.gif

JP0006782977B2_000037t.gif

【0050】
前記式(1)で表される化合物と、前記式(5)で表される化合物及とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[図1に示す(15M)]を用いて製造され、下記式(8)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子の例を次に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化56】
JP0006782977B2_000038t.gif

【0051】
【化57】
JP0006782977B2_000039t.gif

JP0006782977B2_000040t.gif
JP0006782977B2_000041t.gif

【0052】
前記式(2)で表される化合物と、前記式(3)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[図2に示す(23M)]を用いて製造され、下記式(9)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子の例を次に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化58】
JP0006782977B2_000042t.gif

【0053】
【化59】
JP0006782977B2_000043t.gif

【0054】
前記式(2)で表される化合物と、前記式(4)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[図2に示す(24M)]を用いて製造され、下記式(10)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子の例を次に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化60】
JP0006782977B2_000044t.gif

【0055】
【化61】
JP0006782977B2_000045t.gif

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【0056】
前記式(2)で表される化合物と、前記式(5)で表される化合物とから合成される含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ[図2に示す(25M)]を用いて製造され、下記式(11)で表される構造単位を有する含フッ素π共役系環状高分子の例を次に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【化62】
JP0006782977B2_000047t.gif

【0057】
【化63】
JP0006782977B2_000048t.gif

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【0058】
<含フッ素π共役系環状高分子(共重合体)の製造方法>
本発明の含フッ素π共役系環状高分子においては、前記単独重合体の他にも、共重合体として製造することができる。その場合は、図1に示す式(13M)、(14M)及び(15M)で表される化学構造を有する各化合物、又は図2に示す式(23M)、(24M)及び(25M)で表される化学構造を有する各化合物を、別のπ共役系高分子前駆体モノマとクロスカップリング反応を行うことにより共重合させる。それにより、前記式(6)、(7)、(8)、(9)、(10)及び(11)で表される構造単位のいずれかに加えて、さらに、下記式(12)、(13)、(14)及び(15)で表される構造単位の少なくともいずれかを有する共重合体を製造することができる。

【0059】
【化64】
JP0006782977B2_000051t.gif
【化65】
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【化66】
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【化67】
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式中、R、R、R、R10は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、e、g、hは1~4のいずれかの整数で、fは1~2のいずれかの整数である。Zは、下記(Z1)~(Z9)のいずれかで表される原子又は原子団である。
【化68】
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JP0006782977B2_000056t.gif
JP0006782977B2_000057t.gif 式中、Rg、Rh、Ri、Rjは、それぞれ独立に水素原子又は置換基である。


【0060】
前記式(13)において、Zは、前記式(Z1)~(Z9)のいずれかで表される原子又は原子団である。それらの原子又は原子団の中で、上記式(Z1)、(Z2)又は(Z3)で表されるチオフェン環、フラン環又はピロール環を有する構造が反応効率及び原料入手のしやすさの点から好ましい。これらの環は、含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマと共重合させることにより、従来にない新たな電気的性質の発現も期待できる。前記式(13)に示す構造単位としては、例えば、3位又は3,4位がアルキル基で置換されたチオフェン、3位又は3,4位がアルコキシ基で置換されたチオフェン環、3位又は3,4位がアルキル基で置換されたフラン環、3位又は3,4位がアルコキシ基で置換されたフラン環、3位又は3,4位がアルキル基で置換されたピロール環、3位又は3,4位がアルコキシ基で置換されたピロール環等が挙げられる。

【0061】
上記の含フッ素π共役系環状高分子として共重合体を製造するときに利用するクロスカップリング反応としては、パラジウム等の遷移金属錯体を触媒として用い、例えば、ハロゲン化物とアリールボロン酸誘導体又はボロン酸エステルとの反応として知られているSuzuki反応や、それ以外にもHeck反応、Sonogashira反応、又はNegishi反応等を利用することができる。また、前記非特許文献1に記載された公知のπ共役系高分子の構造制御合成方法を採用してもよい。

【0062】
本発明の含フッ素π共役系環状高分子において、前記クロスカップリング反応を利用して共重合体を製造する場合は、前記式(6)、(7)、(8)、(9)、(10)及び(11)で表される構造単位のいずれかと、前記式(12)、(13)、(14)及び(15)で表される構造単位のいずれかとが交互に化学結合した交互共重合体とすることが好ましい。交互共重合体は、反応効率の向上により合成目的物の収率を高くできるだけでなく、含フッ素π共役系環状高分子において高い立体規則性を得られることから分子内及び分子間で高いπ共役系を形成することができる。

【0063】
前記式(6)、(7)、(8)、(9)、(10)及び(11)で表される構造単位のいずれかと、前記式(12)、(13)、(14)及び(15)で表される構造単位のいずれかとを交互に化学結合した交互共重合体の製造方法の例及び該製造方法によって得られる共重合体の例を図3~図13にそれぞれ示す。図3~図13には、含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ及び共重合体を、それぞれ「含フッ素ポリフェニレン前駆体(モノマ)」及び「含フッ素ポリフェニレン」(図3、図6~図7及び図9~図11)、又は「含フッ素コポリマ前駆体(モノマ)」及び「含フッ素コポリマ」(図4~図5、図8及び図12~図13)として表現しているが、本発明はそれらの例に限定されるものではない。

【0064】
図3には、前記式(6)及び前記式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す。図3において、前記式(6)で表される構造単位は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42がフッ素原子であり、a+b+c+d=3である。また、前記式(12)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0065】
図4には、前記式(6)及び前記式(13)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す。図4において、前記式(6)で表される構造単位は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42がフッ素原子であり、a+b+c+d=3である。また、前記式(13)で表される構造単位は、ZがZ1のチオフェン環であり、該チオフェン環の3位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)で核置換されている。

【0066】
図5には、前記式(6)及び前記式(14)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す。図5において、前記式(6)で表される構造単位は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42がフッ素原子であり、a+b+c+d=3である。また、前記式(14)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0067】
図6には、前記式(6)及び前記式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の別の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の別の例を示す。図6において、前記式(6)で表される構造単位は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42がフッ素原子であり、a+b+c+d=2である。また、前記式(12)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0068】
図7には、前記式(6)及び前記式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の別の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の別の例を示す。図7において、前記式(6)で表される構造単位は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42がフッ素原子であり、a+b+c+d=4である。また、前記式(12)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0069】
図8には、前記式(6)及び前記式(14)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の別の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の別の例を示す。図8において、前記式(6)で表される構造単位は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42の中で2つがフッ素原子で、残りが塩素原子であり、a+b+c+d=3である。また、前記式(14)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0070】
図9には、前記式(7)及び前記式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す。図9において、前記式(7)で表される構造単位は、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42がフッ素原子であり、a+b+c+d=3である。また、前記式(12)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0071】
図10には、前記式(9)及び前記式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す。図10において、前記式(9)で表される構造単位は、Rがパーフルオロメチル基で、Rがフッ素原子である。また、記式(12)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0072】
図11には、前記式(10)及び前記式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す。図11において、前記式(10)で表される構造単位は、Rがパーフルオロメチル基で、Rがフッ素原子である。また、前記式(12)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0073】
図12には、前記式(8)及び前記式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す。図12において、前記式(8)で表される構造単位は、YがY1のチオフェン環であり、R11、R12、R21、R22、R31、R32、R41、R42がフッ素原子であり、a+b+c+d=3である。また、前記式(12)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0074】
図13には、前記式(11)及び前記式(12)で表される構造単位を有する交互共重合体の製造方法の例と該製造方法によって製造される交互共重合体の例を示す。図13において、前記式(11)で表される構造単位は、YがY1のチオフェン環でありRがパーフルオロメチル基で、Rがフッ素原子である。また、前記式(12)で表される構造単位は、2,5位が-C2n+1のアルキル基(n=6、8、10又は12)、もしくは2,5位が-OC2n+1のアルコキシ基(n=6、8、10又は12)で核置換されたベンゼン環を有する。

【0075】
以上のようにして製造される共重合体は、本発明の含フッ素π共役系環状高分子として単独重合体と同様に、π共役系を分子主鎖中で連続的に形成することができる。さらに、通常の有機溶剤に対する溶解性が高く成膜性が良好で、且つ、飽和環状構造を有することから安定性と耐久性にも優れる。したがって、本発明の含フッ素π共役系環状高分子を電子材料として適用する際に、実際の適用時に要求される物性と特性に応じて、様々な構造を有する高分子を製造することができるため、適用範囲の大幅な拡大が期待される。

【0076】
(有機発光素子)
次に、本発明の含フッ素π共役系環状高分子の用途例の一つとして有機発光素子について説明する。作製する有機発光素子は、陽極と陰極との間に一層若しくは多層の有機薄膜を積層した素子である。有機発光素子が一層の場合、陽極と陰極との間に発光層が設けられる。前記発光層は発光材料を含有し、さらに発光材料、陽極から注入した正孔若しくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送する目的で、正孔輸送材料又は電子輸送材料を含有する。ここで使用する発光素子は、発光性能に加えて、正孔輸送能及び電子輸送能の少なくとも何れかの性能を単一の材料で有する場合や、それぞれの特性を有する化合物の混合で使用する場合に有用である。本発明の含フッ素π共役系環状高分子は、発光材料として使用される。

【0077】
多層型の有機発光素子は、例えば、基板の上に下記の多層構成で積層した構造が挙げられる。
(1-1)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(1-2)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(1-3)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(1-4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(1-5)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(1-6)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極

【0078】
また、上記の構成に限らず、必要に応じて、正孔輸送層成分と発光層成分、又は電子輸送層成分と発光層成分を混合した層を設けても良い。さらに、電子輸送層と発光層との間には、正孔あるいは励起子(エキシントン)が陰極側に抜けることを阻害する層(ホールブロッキング層)又は励起状態の発光層へ、あるいは励起状態の発光層から隣接する層へエネルギー遷移と電子移動の両者を防止、又は抑制するための層(アンチクエンチング層)を挿入することもある。

【0079】
これら多層型の有機発光素子の構成において、発光層に含まれる発光材料として、本発明の含フッ素π共役系環状高分子を使用する。

【0080】
本発明の有機発光素子は、上記の構成の他に、外部環境からの影響をできるだけ受けないように酸素及び水分等との接触を遮断するための保護層(封止層)を設けることができる。保護層は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及び光硬化性樹脂の何れかを用いて形成することができる。その他にも、本発明の有機発光素子をパラフィン、シリコーンオイル、フルオロカーボン等の不活性物質中に素子を封入することによって、外部環境から保護することができる。

【0081】
以下、本発明の有機発光素子の構成に関し、基板の上に、前記の(1-3)陽極、正孔輸送層、発光層、電子輸送層及び陰極を順次設けた構成を例として詳細に説明する。

【0082】
前記基板としては、従来の有機発光素子に使用されているものであれば特に限定されないが、例えば、石英ガラス等のガラス、透明プラスチック等の素材からなる基板が挙げられる。また、金属製基板、セラミックス製基板等の不透明基板を用いても良い。

【0083】
前記陽極としては、仕事関数が大きなものが好適であり、例えば、金、白金、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム等の金属単体又はそれらの合金、酸化物、酸化亜鉛、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が挙げられる。また、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子材料を使用することもできる。前記陽極は、これらの材料を、例えば、蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により基板上に形成することができる。陽極の膜厚は、一般に5~1000nm、好ましくは10~500nmで調整される。

【0084】
前記正孔輸送層に用いられる正孔輸送材料としては、従来から光導電材料において正孔の電荷注入輸送材料として使用されているものや有機発光素子の正孔輸送層に使用されている公知の材料から任意に選択して用いることができる。前記正孔輸送材料の例としては、銅フタロシアニン等のフタロシアニン誘導体、N,N,N’,N’-テトラフェニル-1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ジ(m-トリル)-N,N’-ジフェニルー4,4’-ジアミノビフェニル(TPD)、N,N’—ジ(1-ナフチル)—N,N’-ジフェニルー4,4’—ジアミノビフェニル(α-NPD)等のトリアリールアミン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。また、ポリビニルカルバゾール、(フエニルメチル)ポリシラン、ポリアニリン等の正孔輸送性ポリマーも使用することができる。正孔輸送性ポリマーとしては、前記の低分子量正孔輸送材料をポリスチレンやポリカーボネート等のポリマーにドープしたものを使用しても良い。

【0085】
前記発光層に用いられる発光材料としては、本発明の含フッ素π共役系環状高分子が使用されるが、それ以外にも発光材料として従来から公知の化合物と併用しても良い。公知の発光材料としては、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、クマリン誘導体、ピラン誘導体、オキザゾン誘導体、ベンゾオキサゾン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、縮合多環式芳香族炭化水素及びその誘導体、トリアリールアミン誘導体、有機金属誘導体(例えば、アルミニウム又はイリジウムの有機金属錯体)等が挙げられ、単独又は複数の混合物で使用される。また、前記発光材料としては、ホスト材料にドーパント材料が含まれた材料、例えば、イリジウム金属錯体でドープされたポリカルバゾールや燐光白金錯体を含む電荷輸送ホスト材料等を使用することもできる。

【0086】
前記電子輸送層に用いられる電子輸送材料としては、例えば、トリス(8-ヒドロキシキノラート)アルミニウム(Alq)等の金属キレート化オキシノイド化合物、2-(4-ビフェニルイル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、3-(4-ビフェニルイル)-4-フェニル-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,2,4-トリアゾール(TAZ)等のアゾール化合物、フェナントロリン誘導体が挙げられる。

【0087】
前記陰極としては、仕事関数の小さなものが好適であり、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、銀、鉛、錫、クロム等の金属単体又は複数の合金が挙げられる。また、酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物を使用しても良い。前記陰極は、これらの材料を、例えば、蒸着、スパッタリング等の方法により薄膜を形成することにより、作製することができる。陰極の膜厚は、一般に5~1000nm、好ましくは10~500nmで調整される。

【0088】
上記有機発光素子において、本発明の含フッ素π共役系環状高分子を含有する発光層は、一般的に真空蒸着法、又は適用な有機溶媒に溶解させて溶液とし、該溶液をスピンコーティング、ディップコーティング、ロールツートール法等の塗布法により薄膜を形成する。本発明の共重合体は溶液塗布法による成膜において良好な成膜性が得られるため、特に、高精細及び大面積化の素子を作製するときに作業性の向上及び製造コスト低減を図る上で大きな効果を奏することができる。使用する有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、非プロトン系溶媒、パーフルオロ系溶媒、水等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で使用しても、複数の混合溶媒として使用しても良い。

【0089】
前記の正孔輸送層、発光層、電子輸送層等の各層の膜厚は、従来の有機発光素子において一般的に採用されている膜厚であれば特に限定されないが、通常、1~1000nmになるように調整される。

【0090】
本発明の含フッ素π共役系環状高分子は、主に発光材料として使用できるが、それ以外にも、繰返し単位の電子状態に応じて、電子輸送材料又は電荷輸送材料として使用しても良い。

【0091】
本発明の含フッ素π共役系環状高分子は、上記で述べた有機発光素子だけでなく、太陽電池の電極を構成する活性層(n層)又は電荷輸送層の材料としても使用することができる。
【実施例】
【0092】
以下、具体的な実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0093】
<実施例1>
[含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマの合成]
例示番号6-1の含フッ素π共役系環状高分子を製造するときに使用する前駆体モノマ1の合成方法を次に示す。
【実施例】
【0094】
【化69】
JP0006782977B2_000058t.gif


【実施例】
【0095】
例示番号6-1の含フッ素π共役系環状高分子の原料となる前駆体モノマ1は、上記の化学反応式に基づいて、具体的に以下の手順に従い合成した。ジヒドロキシベンゾキノン(a)の3.5 gをクロロホルムに懸濁し0 ℃ に冷却した。その後、臭素(2.8 ml)加え一晩撹拌した。懸濁液をろ過し、残渣を水酸化ナトリウム水溶液に溶解した後、濃塩酸を加えることにより沈殿が生成した。沈殿物をろ過により単離し、乾燥することにより、ブロマニル酸(b)を7.01 g 得た。
【実施例】
【0096】
次いで、ブロマニル酸(b)1.48 g(5 mmol)をアルゴン雰囲気下で酢酸エチル40 mlに溶解し、ハイドロサルファイトナトリウム(Na)水溶液1Mを20mlを加え、一晩撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで抽出し、有機溶媒を減圧留去することにより、テトラヒドロキシ-p-ブロモベンゼン(c)を1.46 g(4.86 mmol)得た。
【実施例】
【0097】
このようにして得られたテトラヒドロキシ-p-ブロモベンゼン(c)1.46 gをアルゴン雰囲気下でDMSO(10 ml)に溶解し、炭酸カリウム4.83 g(35 mmol)加え室温で10分間撹拌した。その後、オクタフルオロシクロペンテン(d)の2.2 g(10 mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。水を50 ml加えた後3 N塩酸を少しずつ滴下し沈殿を生じさせた。沈殿物をろ過により分離し、乾燥することにより、含フッ素π共役系高分子前駆体モノマ1を白色固体として1.85 g(収率 64%)得た。含フッ素π共役系高分子前駆体モノマ1は、19F NMRとX線結晶構造解析により構造を特定した。
【実施例】
【0098】
NMRスペクトルの測定は、5φのサンプル管中に試料と重クロロホルム溶媒(CDCl)とを加え、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて調整し、NMR装置(Bruker AVANCE III400型)により行った。19F-NMRの測定により、次に示すピークが観測された。
19F NMR (376 MHz, CDCl3): δ -127.5 (m, 2F), -117.1 (m, 1F)。
【実施例】
【0099】
また、X線構造解析は、Rigaku製のデスクトップ単結晶X線構造解析装置XtaLABminiで50kV、12mA、0.60kWの電力、600WのX線出力を用いて行い、検出器としてMARCURY CCDを、分光器として集光素子SHINEを、解析ソフトとしてはolex2とmarcuryをそれぞれ使用した。X線構造解析によって推定される結晶構造を図14に示す。
【実施例】
【0100】
X線構造解析の結果、含フッ素π共役系高分子前駆体モノマ1は、図14に示すように、平面に近い環状の結晶構造を有しており、その平面部分がπ共役性の発現に対して大きく寄与することが容易に推察される。
【実施例】
【0101】
[例示番号6-1の含フッ素π共役系環状高分子(単独重合体)の製造]
前記含フッ素π共役系高分子前駆体モノマ1を用いて含フッ素π共役系環状高分子の単独重合体(例示番号6-1)を下記に示す方法に従って製造した。
【実施例】
【0102】
【化70】
JP0006782977B2_000059t.gif
【実施例】
【0103】
含フッ素π共役系高分子前駆体モノマ1の 3.18 g(5.5 mmol)をアルゴン雰囲気下でTHF(10 ml)に溶解し、イソプロピルマグネシウムクロリド塩化リチウム試薬を加え、0 ℃で1時間撹拌した。次に、触媒であるビストリフェニルホスフィンニッケルジクロリド(10 mol%)を加えて室温で一晩撹拌した。その後、反応液をメタノール150 mlに滴下し、次いで塩酸を少しずつ滴下し固体を沈殿させた。沈殿物をろ過により分離して乾燥後、単独重合体(ホモポリマ)を1.8 g(収率 78%)で得た。このようにして製造された単独重合体は、19F NMRにより構造を特定した結果、次に示すように、例示番号6-1で示す構造単位を有することが確認された。
19F NMR (376 MHz, CDCl3): δ -127.9 (m, 2F), -117.3 (m, 1F)。
【実施例】
【0104】
<実施例2>
[例示番号12-1の含フッ素π共役系環状高分子(共重合体)の合成]
実施例1で合成された含フッ素π共役系高分子前駆体モノマ1を用いて図3に示す例示番号12-1の含フッ素π共役系環状高分子(共重合体)を下記にしめす方法に従って製造した。
【実施例】
【0105】
【化71】
JP0006782977B2_000060t.gif
【実施例】
【0106】
含フッ素π共役系環状高分子前駆体モノマ1の 2.5 g(5 mmol)とベンゼンジボロン酸ピナコールエステル(e)の 1.2 g(5 mmol)をTHFに溶解し、X-Phos (2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル)0.19 g、酢酸パラジウム 0.55 g、飽和炭酸カリウム水溶液10 mlを加えた後、混合液を50 ℃ で24時間撹拌した。反応液を室温まで冷却後、メタノール150 ml へ滴下し、次いで塩酸を少しずつ滴下することにより、固体が沈殿した。沈殿物をろ過により分離し、残渣をジクロロメタンに溶解して、ヘキサンへ滴下して再沈殿を行った。沈殿物を再度ろ過し、乾燥することにより、共重合体(コポリマ)を0.33 g(収率 11%)得た。このように製造された共重合体(コポリマ)は、1H NMR、19F NMRにより構造を特定した結果、次に示すように、図3の例示番号12-1で示す構造単位を有することが確認された。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.73 (brs, 2H), 7.39 (brs, 2H)。
19F NMR (376 MHz, CDCl3): δ -127.5 (m, 2F), -117.2 (m, 1F)。
【実施例】
【0107】
以上のように、本発明の含フッ素π共役系環状高分子の製造方法によれば、含フッ素π共役系環状高分子の単独重合体及び共重合体を、入手が容易な原料を用いて、従来よりも少ない合成工数で得ることができる。また、本発明の製造方法によって得られる含フッ素π共役系環状高分子は、π電子共役性を十分に発現しながら、有機溶媒に対する溶解性が高く成膜性が良好で、且つ、安定性と耐久性に優れる。さらに、電子材料として要求される物性及び特性に応じて、様々な構造を有する含フッ素π共役系環状高分子を製造することができるため、高性能及び新機能を有する電子デバイスや太陽電池などの幅広い分野への適用が期待できることから、その有用性は極めて高い。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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