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明細書 :エネルギー変換装置及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-174657 (P2018-174657A)
公開日 平成30年11月8日(2018.11.8)
発明の名称または考案の名称 エネルギー変換装置及びその製造方法
国際特許分類 H02S  10/30        (2014.01)
H01L  31/068       (2012.01)
H01L  31/0236      (2006.01)
FI H02S 10/30
H01L 31/06 300
H01L 31/04 282
請求項の数または発明の数 14
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2017-071509 (P2017-071509)
出願日 平成29年3月31日(2017.3.31)
発明者または考案者 【氏名】西島 喜明
出願人 【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000523、【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
審査請求 未請求
テーマコード 5F151
Fターム 5F151AA03
5F151AA08
5F151BA11
5F151DA03
5F151FA04
5F151FA06
5F151GA14
5F151JA29
要約 【課題】エネルギー変換装置の構成の簡素化及び/又はその変換効率の向上を促進する。
【解決手段】エネルギー変換装置100は、第1導電型の第1半導体層11と、第1半導体層11上に配された第2導電型の第2半導体層12を含む、光電変換層10と、光電変換層10を透過した光を吸収する光吸収層42と、光吸収層42に対して熱的に接続される熱電変換素子50を含む。光吸収層42が、少なくとも第1及び第2半導体層11,12それぞれの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する導電性材料を含む。光電変換層10と光吸収層42が少なくとも絶縁層41を介して積層され、光電変換層10から光吸収層42へ熱が伝達可能である。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上に配された第2導電型の第2半導体層を含む、光電変換層と、
前記光電変換層を透過した光を吸収する光吸収層と、
前記光吸収層に対して熱的に接続される熱電変換素子を備え、
前記光吸収層が、少なくとも前記第1及び第2半導体層それぞれの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する導電性材料を含み、
前記光電変換層と前記光吸収層が少なくとも絶縁層を介して積層され、前記光電変換層から前記光吸収層へ熱が伝達可能である、エネルギー変換装置。
【請求項2】
前記導電性材料が、金属又は合金又は炭素系材料を含む、請求項1に記載のエネルギー変換装置。
【請求項3】
前記導電性材料が、シリコンの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する金属又は合金を含む、請求項1又は2に記載のエネルギー変換装置。
【請求項4】
前記導電性材料が、Geを含む金属、又はGeSnを含む合金を含む、請求項3に記載のエネルギー変換装置。
【請求項5】
前記絶縁層が、5nm以上であり、100nm以下の厚みを有する、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項6】
前記光吸収層が、10μm以下の厚みを有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項7】
前記光吸収層により吸収されずに前記光吸収層を透過した光の入射に応じて表面プラズモン共鳴が生じるプラズモン部を更に備える、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項8】
前記第1及び第2半導体層が、シリコンを含み、
前記絶縁層が、酸化シリコンを含む、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項9】
前記光電変換層から電流を取り出すための一対の電極層を更に備え、一方の電極層が、前記光電変換層と前記絶縁層の間に設けられる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項10】
前記光電変換層は、粗面化された光入射面を有する、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のエネルギー変換装置。
【請求項11】
第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上に配された第2導電型の第2半導体層を含む光電変換層を製造又は用意する工程と、
前記光電変換層を透過した光を吸収する光吸収層を形成する工程と、
前記光吸収層に対して熱的に接続される熱電変換素子を製造又は用意する工程を含み、
前記光吸収層が、少なくとも前記第1及び第2半導体層それぞれの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する導電性材料を含み、
前記光電変換層と前記光吸収層が少なくとも絶縁層を介して積層される、エネルギー変換装置の製造方法。
【請求項12】
前記光吸収層を形成する工程は、前記光電変換層上に形成された絶縁層上に前記導電性材料を堆積する工程を含む、請求項11に記載のエネルギー変換装置の製造方法。
【請求項13】
前記導電性材料が、シリコンの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する合金を含む、請求項11又は12に記載のエネルギー変換装置の製造方法。
【請求項14】
前記導電性材料が、Geを含む金属、又はGeSnを含む合金を含む、請求項13に記載のエネルギー変換装置の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本開示は、エネルギー変換装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、同文献の要約に記載のように、太陽電池3の裏面に赤外線のみを透過し可視光線を反射する赤外線選択透過層7、断熱層8、赤外線を熱に変換する集熱電気絶縁層9、太陽熱エネルギーを電気エネルギーに変換する熱電素子4、電気絶縁層6、冷却装置11が順次積層された装置を開示する。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開平10-110670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のエネルギー変換装置は、太陽電池と熱電素子の間に断熱層を設ける点から理解されるように装置構成が複雑であり、また、太陽電池で生じる熱利用も妨げられる。本願発明者は、エネルギー変換装置の構成の簡素化及び/又はその変換効率の向上を促進する意義を新たに見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るエネルギー変換装置は、第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上に配された第2導電型の第2半導体層を含む、光電変換層と、
前記光電変換層を透過した光を吸収する光吸収層と、
前記光吸収層に対して熱的に接続される熱電変換素子を備え、
前記光吸収層が、少なくとも前記第1及び第2半導体層それぞれの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する導電性材料を含み、
前記光電変換層と前記光吸収層が少なくとも絶縁層を介して積層され、前記光電変換層から前記光吸収層へ熱が伝達可能である。
【0006】
幾つかの実施形態においては、前記導電性材料が、金属又は合金又は炭素系材料を含む。
【0007】
幾つかの実施形態においては、前記導電性材料が、シリコンの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する金属又は合金を含む。
【0008】
幾つかの実施形態においては、前記導電性材料が、Geを含む金属、又はGeSnを含む合金を含む。
【0009】
幾つかの実施形態においては、前記絶縁層が、5nm以上であり、100nm以下の厚みを有する。
【0010】
幾つかの実施形態においては、前記光吸収層が、10μm以下の厚みを有する。
【0011】
幾つかの実施形態においては、前記光吸収層により吸収されずに前記光吸収層を透過した光の入射に応じて表面プラズモン共鳴が生じるプラズモン部を更に備える。
【0012】
幾つかの実施形態においては、前記第1及び第2半導体層が、シリコンを含み、前記絶縁層が、酸化シリコンを含む。
【0013】
幾つかの実施形態においては、前記光電変換層から電流を取り出すための一対の電極層を更に備え、一方の電極層が、前記光電変換層と前記絶縁層の間に設けられる。
【0014】
幾つかの実施形態においては、前記光電変換層は、粗面化された光入射面を有する。
【0015】
本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の製造方法は、
第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層上に配された第2導電型の第2半導体層を含む光電変換層を製造又は用意する工程と、
前記光電変換層を透過した光を吸収する光吸収層を形成する工程と、
前記光吸収層に対して熱的に接続される熱電変換素子を製造又は用意する工程を含み、
前記光吸収層が、少なくとも前記第1及び第2半導体層それぞれの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する導電性材料を含み、
前記光電変換層と前記光吸収層が少なくとも絶縁層を介して積層される。
【0016】
幾つかの実施形態においては、前記光吸収層を形成する工程は、前記光電変換層上に形成された絶縁層上に前記導電性材料を堆積する工程を含む。
【0017】
幾つかの実施形態においては、前記導電性材料が、シリコンの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する合金を含む。
【0018】
幾つかの実施形態においては、前記導電性材料が、Geを含む金属、又はGeSnを含む合金を含む。
【発明の効果】
【0019】
本開示の一態様によれば、エネルギー変換装置の構成の簡素化及び/又はその変換効率の向上を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の積層構造を示す概略図であり、光電変換層への光入射に応じて第1電流が生成され、また、光吸収層から熱電変換素子への熱の伝達に応じて第2電流が生成されることが模式的に示される。光電変換層と光吸収層が絶縁層を介して積層され、光電変換層から光吸収層へ熱が伝達可能である。
【図2】地上に到達する太陽光の波長軸上の放射度を示す概略的なグラフであり、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置においてエネルギー利用効率が高められることを示すために参照される。
【図3】3つの異構造のエネルギー変換装置に関して波長軸上の反射率を示すグラフであり、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の光吸収特性の優位性を示すために参酌される。
【図4】2つの異構造のエネルギー変換装置に関して同一の照射条件において熱電変換素子の出力電圧が異なることを示すグラフであり、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の熱電変換素子の変換効率の優位性を示すために参酌される。
【図5】本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の製造方法を示す概略図である。
【図6】本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の積層構造を示す概略図であり、光吸収層での光吸収効率を高めるためにプラズモン部が設けられることが示される。
【図7】実施例に係るエネルギー変換装置の一部のSEM写真である。
【図8】実施例に係るエネルギー変換装置の一部のEDS写真である。
【図9】実施例に係るエネルギー変換装置の一部のSEM写真であり、光電変換層の粗面化された光入射面を示す。
【図10】実施例に係るエネルギー変換装置の一部のSEM写真であり、光吸収層の形成状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図1乃至図10を参照しつつ、本発明の非限定の実施形態例について説明する。開示の1以上の実施形態例及び実施形態例に包含される各特徴は、個々に独立したものではない。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態例及び/又は各特徴を組み合わせることができる。また、当業者は、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態例間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている場合がある。

【0022】
以下に記述において、あるエネルギー変換装置及び/又はエネルギー変換装置の製造方法に関して記述される複数の特徴が、これらの特徴の組み合わせとして理解されることに加えて、他の特徴とは独立した個別の特徴として理解される。個別の特徴は、他の特徴との組み合わせを必須とすることなく独立した個別の特徴として理解されるが、1以上の他の個別の特徴との組み合わせとしても理解される。個別の特徴の組み合わせの全てを記述することは当業者には冗長であり、省略される。個別の特徴は、「幾つかの実施形態」、「幾つかの場合」、「幾つかの例」といった表現により明示される。個別の特徴は、例えば、図面に図示されたエネルギー変換装置及び/又はエネルギー変換装置の製造方法にのみ有効であるものではなく、他の様々なエネルギー変換装置及び/又はエネルギー変換装置の製造方法にも通用する普遍的な特徴として理解される。

【0023】
図1は、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置100の積層構造を示す概略図であり、光電変換層10への光入射に応じて第1電流I1が生成され、また、光吸収層42から熱電変換素子50への熱の伝達に応じて第2電流I2が生成されることが模式的に示される。実施形態によっては、第1電流I1と第2電流I2が合流し、両者の合計に相当する第3電流が生成され得る。光電変換層10と光吸収層42が絶縁層41を介して積層され、光電変換層10から光吸収層42へ熱が伝達可能である。なお、図1に図示のエネルギー変換装置100は、一例のエネルギー変換装置であり、これに関して記述される1以上の特徴が他の構成のエネルギー変換装置においても通用する。

【0024】
エネルギー変換装置100は、地上又は宇宙空間において自然光(太陽、月、又は他の惑星から到来する光)を受光し、光電変換及び熱電変換を行う。追加的又は代替的に、エネルギー変換装置100は、人工光(例えば、蛍光灯、半導体光源(例えば、LED光源)、各種ランプ(例えば、ハロゲンランプ)から到来する光)を受光し、光電変換及び熱電変換を行う。エネルギー変換装置100の発電能力は、エネルギー変換装置100に含まれる太陽電池30及び/又は光電変換層10の面積や光電変換効率に依存し、また、エネルギー変換装置100に含まれる熱電変換素子50の面積や光電変換効率に依存し得る。当業者は、エネルギー変換装置100の目標出力を得るため、エネルギー変換装置100に含まれる太陽電池30及び/又は熱電変換素子50を適切に設計し得る。

【0025】
エネルギー変換装置100は、幾つかの場合、窓材35、太陽電池30、絶縁層41、光吸収層42、熱電変換素子50、及びヒートシンク61をこの順で有する。窓材35、太陽電池30、絶縁層41、光吸収層42、熱電変換素子50、及びヒートシンク61は、自然光又は人工光の伝播方向D1に沿ってこの順で配置される。なお、自然光又は人工光の伝播方向D1は、実施形態に依存して変化することが当然に予期される。自然光又は人工光の伝播方向が、図示の方向D1に対して斜めに傾斜し、或いは、図示の方向D1の反対方向であることも予期される。言うまでも無く、窓材35、ヒートシンク61はオプションの要素である。

【0026】
太陽電池30は、光電変換層10を含み、オプションとして、光電変換層10から電流を取り出すための一対の電極層21,22を有する。光電変換層10は、第1導電型(N型及びP型の一方)の第1半導体層11と、第1半導体層11上に配された第2導電型(N型及びP型の他方)の第2半導体層12を含む。光電変換層10の光入射面、例えば、第1半導体層11とは反対側の第2半導体層12の主面がエッチングによって粗面化され得る。この場合、光電変換層10の光入射面での光反射が低減され、光利用効率が高められる。粗面化された表面上に光学機能層が追加的に形成され得る。

【0027】
窓材35を介して入射した光は、太陽電池30の光電変換層10により光電変換される。太陽電池30の光電変換層10を透過した光は、光吸収層42によって吸収される。熱電変換素子50は、光吸収層42に対して熱的に接続される。光電変換層10で光電変換されず光電変換層10を透過した光が、光吸収層42によって熱として吸収され、続いて、熱電変換素子50において熱電変換される。幾つかの実施形態においては、光吸収層42は、光電変換層10の第1及び第2半導体層11,12それぞれの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する導電性材料を含む。更には、光電変換層10と光吸収層42が少なくとも絶縁層41を介して積層され、光電変換層10から光吸収層42へ熱が伝達可能である。光電変換層10と光吸収層42が少なくとも絶縁層41を介して積層され、エネルギー変換装置100の積層構造が簡素化される。また、光吸収層42における又は光吸収層42を介した熱移動が円滑化され、エネルギー変換装置100のエネルギー変換効率が高められる。

【0028】
光電変換層10の光の吸収波長帯に属する入射光線の全てが光電変換層10において光電変換されず、光電変換層10において熱に変換されてしまう。光電変換層10で生じる熱は、光電変換層10の光電変換効率の低下に寄与し得る。従って、光電変換層10の光電変換効率を維持するため、光電変換層10を冷却することも検討される。しかしながら、この場合、エネルギー変換装置100に入射した光の利用効率は高められることなく、冷却のため、例えば、冷却水の循環のために余分なエネルギーが消費されるだけである。

【0029】
図2は、地上に到達する太陽光の波長軸上の放射度を示す概略的なグラフであり、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置100においてエネルギー利用効率が高められることを示すために参照される。図2の実線L5が、地上に到達する太陽光の波長軸上の放射度を示す。図2の点線L10が、光電変換層10において光電変換される光の割合を示す。なお、図2は、光電変換層10が多結晶シリコンを含み(又は、光電変換層10が多結晶シリコン製であり)、つまりは、第1及び第2半導体層11,12が多結晶シリコンを含む(又は、第1及び第2半導体層11,12が多結晶シリコン製である)ことを前提としている。光電変換層10(又は、第1及び第2半導体層11,12)が異なる半導体材料から成る場合、点線L10が異なる波形を描くことが容易に理解される。

【0030】
光電変換層10の光電変換効率は、100%未満、又は50%未満であり得、例えば、20%程度である。光電変換層10の材料は、短波長側の吸収端波長E1と、長波長側の吸収端波長E2の間において光を吸収する吸収波長帯R10を有し得る。多結晶シリコンの吸収端波長E2が約1100nmである。なお、半導体材料によっては、不連続の複数の吸収波長帯を有し得る。光電変換層10の材料がシリコンであるとしても、アモルファスシリコンであるか、多結晶シリコンであるかに依存して、又は、追加的な他の要因に依存して、吸収波長特性が異なり得る。

【0031】
吸収波長帯R10における実線L5と点線L10の間の間隔の少なくとも一部に相当する光が、光電変換層10において熱として吸収される。すなわち、吸収波長帯R10に属する光の一部は、光電変換層10により光電変換されず、光電変換層10において熱に変換されてしまう。光電変換層10における熱の蓄積は、光電変換層10の光電変換効率を低下することに寄与し得る。

【0032】
上述のように、幾つかの実施形態では、光吸収層42は、光電変換層10の第1及び第2半導体層11,12それぞれの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する導電性材料を含む。更には、光電変換層10と光吸収層42が少なくとも絶縁層41を介して積層され、光電変換層10から光吸収層42へ熱が伝達可能である。従って、光電変換層10で生成される熱が少なくとも絶縁層41及び光吸収層42を介して熱電変換素子50に伝達可能であり、熱ロス分のエネルギーの少なくとも一部が熱電変換素子50により電気的に取り出すことができる。光電変換層10の排熱も促進され、光電変換層10の光電変換効率の維持も促進される。

【0033】
なお、光電変換層10の吸収波長帯R10よりも長波長の光が光吸収層42によって吸収される。光吸収層42における光吸収によって光吸収層42で熱が生じる。光吸収層42で生じた熱が、熱電変換素子50に伝達され、熱電変換される。シリコンの長波長側の吸収端波長E2よりも長波長の光の利用効率が高められる。

【0034】
幾つかの場合、光吸収層42の導電性材料が、少なくとも一つの金属又は合金又は炭素系材料を含む。金属は、光電変換層10の光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する任意の種類の金属から選択され得る。合金は、2元系合金、又は3元系合金、又は4以上の元素数の合金であり得る。金属や合金は、言うまでもなく、良好な導電性を有し、また、良好な導電性のために良好な熱伝達性を有し得る。金属及び/又は合金を含む光吸収層42によって光電変換層10への反射光も生じ、光電変換層10における光電変換効率が高められ得る。なお、光吸収層42は、合金に加えて、合金化されていない合金の構成金属も含み得る。

【0035】
炭素系材料は、炭素と、炭素以外の元素及び/又は材料を含む導電性材料であり得る。グラファイトといった炭素材料が分散された樹脂は、良好な導電性を有し、また、良好な導電性のために良好な熱伝達性を有する。このように、様々な種類の金属、合金、又は炭素系材料が光吸収層42の候補として考えられ得る。

【0036】
幾つかの場合、光吸収層42の導電性材料が、シリコンの光の吸収波長帯よりも長波長の光を吸収する金属又は合金を含む。幾つかの場合、光吸収層42の導電性材料が、Geを含む金属、又はGeSnを含む合金を含む。Geの長波長側の吸収端波長は、シリコン(Si)の長波長側の吸収端波長よりも大きい。従って、シリコン製の光電変換層10を透過した赤外線がGeによって熱として吸収される。Geを含む金属は、Ge単体、又は、Geに加えて他の金属を含む金属を意味し得る。GeSnを含む合金は、GeSnの2元系合金、又は、GeとSn以外の元素を追加的に含む合金を意味し得る。GeSnは、Ge単体よりも長波長の光を吸収することができ、Ge単体よりも有利である。Ge以外の金属が用いられることも想定される。

【0037】
幾つかの場合、光吸収層42は、10μm以下の厚みを有する。光吸収層42が金属又は合金から成る場合、蒸着といった薄膜形成技術により薄層の光吸収層が容易に形成できる。絶縁層41は、幾つかの場合、5nm以上であり、及び/又は、100nm以下の厚みを有する。絶縁層41は、光電変換層10と光吸収層42の絶縁を確保するのに要求される厚みを有し得る。絶縁層41は、例えば、酸化シリコン、端的には、二酸化シリコン(SiO2)であり得る。薄層の光吸収層42及び/又は薄層の絶縁層41は、これらの層の追加にも関わらず、エネルギー変換装置100の薄型化を維持することに貢献する。

【0038】
以下、図面を参照して、より詳細に記述する。以下の記述に含まれる各特徴は、図示例に限定されず、図示例以外のものにも通用するものと理解される。

【0039】
太陽電池30上に窓材35が配置される。窓材35は、可視光及び/又は赤外線に対して透明性を有する材料、例えば、ガラスから成る。エネルギー変換装置100が収納されるパッケージ部材側に窓材35が設けられることも想定される。窓材35は、単なるオプションの要素である。

【0040】
太陽電池30に含まれる光電変換層10は、第1導電型(N型及びP型の一方)の第1半導体層11と、第1半導体層11上に配された第2導電型(N型及びP型の他方)の第2半導体層12を含む。図示例では、第1半導体層11がN型であり、第2半導体層12がP型である。別例においては、第1半導体層11がP型であり、第2半導体層12がN型である。各半導体層11,12は、幾つかの場合、シリコンを含み、端的には、シリコン半導体層であり得る。別例においては、各半導体層11,12は、III-V族化合物の半導体層、又はこれ以外の材料から成る半導体層であり得る。説明の便宜上、一対の電極層21,22の一方を第1電極層21と第2電極層22と呼ぶ場合がある。

【0041】
第1半導体層11と第2半導体層12の間には空乏層が形成される。入射光に応じて荷電子帯の電子が伝導帯へ励起され、荷電帯に正孔が残される。空乏層のバイアスに応じて電子がN型の半導体層に流入し、正孔がP型の半導体層に流入する。このようなメカニズムにより光電変換層10では入射光に応じて電流が生成される。幾つかの場合、第1半導体層11に電気的に接続された第1電極21と、第2半導体層12に対して電気的に接続された第2電極22の間に負荷19、例えば、電流電圧変換回路が接続される。電流電圧変換回路によって電流I1が電圧に変換され得る。負荷19は、他の種類の回路であり得る。

【0042】
各電極層21,22は、入射光(例えば、可視光及び/又は赤外光)に対して実質的に透明な材料、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)から成り得る。各電極層21,22は、可視光及び/又は赤外光に対して不透明な材料、例えば、アルミニウムから成り得る。電極層21,22によって光電変換層10への入射光強度が低減してしまうことを回避するべく、幾つかの場合、電極層21,22は、格子状にパターニングされる。代替的又は追加的に、電極層21,22は、光電変換層10の光入射領域の外周に形成される。

【0043】
光電変換層10は、現在又は将来にて利用可能な半導体プロセスにより製造される。例えば、第1半導体層11として第1導電型のシリコン基板が用意され、不純物打ち込みによって第2導電型のウェル領域が形成される。このウェル領域は、第1半導体層11上に配された第2半導体層12として理解される。別の製造方法としては、第1半導体層11として第1導電型のシリコン基板が用意され、第2半導体層12として第2導電型のシリコン基板が用意され、第1及び第2導電型のシリコン基板が貼り合わされて接合される。各製造方法又は上述以外の製造方法において、必要に応じて、付加的な不純物拡散領域や絶縁トレンチが形成され、或いは、アニールが実施され得る。

【0044】
光電変換層10に対する電極の接続態様は様々であり得る。一対の電極層21,22によって光電変換層10を挟む態様以外の態様で光電変換層10に対して電極が接続され得る。例えば、絶縁層41を貫通する貫通電極を介して第1半導体層11に対する電気的接続が確保され得る。かかる観点から、太陽電池30の本質的部分は、光電変換層10であり、一対の電極層21,22を含まないものと理解される。本明細書の記述は、不適切でなければ、太陽電池30が光電変換層10に読み替えて理解され得る(逆も然り)。

【0045】
光吸収層42は、光電変換層10を透過した光を吸収する。光吸収層42は、絶縁層41を介して光電変換層10上に積層される。第1電極21が第1半導体層11上に形成される場合、光吸収層42は、第1電極21及び絶縁層41を介して光電変換層10上に積層される。光吸収層42の材料については上述したとおりである。絶縁層41は、光電変換層10と光吸収層42の間に配される。絶縁層41は、第1半導体層11上、又は、第1電極21上に積層され得る。絶縁層41の材料については上述したとおりである。

【0046】
幾つかの場合、熱電変換素子50は、光吸収層42に対して貼り合わされる。光吸収層42の面内で生じた熱が熱電変換素子50に効率的に伝達される。熱電変換素子50としては様々な種類の熱電変換素子が用いられ得る。必ずしもこの限りではないが、幾つかの場合、熱電変換素子50は、ゼーベック効果に基づいて熱電変換する素子である。

【0047】
熱電変換素子50は、第1導電型の第1半導体部53と、第2導電型の第2半導体部54の組み合わせから成る複数のユニットと、ユニット内において第1及び第2半導体部53,54を接続する接続配線51と、隣接するユニット間において第1及び第2半導体部53,54を接続する接続配線52を有する。第1導電型と第2導電型の半導体部の直列接続、PNPN・・・・PNPNが構築される。幾つかの場合、この直列接続の一端と他端の間に負荷59、例えば、電流電圧変換回路が接続される。電流電圧変換回路によって電流I2が電圧に変換され得る。負荷59は、他の種類の回路であり得る。

【0048】
図示は省略するが、熱電変換素子50は、接続配線52と光吸収層42の間に設けられる吸熱層を有し得る。吸熱層は、光吸収層42から伝達する熱を蓄積する絶縁層であり得る。図示は省略するが、熱電変換素子50は、接続配線51とヒートシンク61の間に排熱層を有し得る。排熱層は、ヒートシンク61に熱接続され、熱電変換素子50の温度上昇の抑制に寄与する。

【0049】
熱電変換素子50は、光電変換層10、絶縁層41、及び光吸収層42で生じる熱を排熱するための排熱素子として理解され得る。光電変換層10と熱電変換素子50が絶縁層41及び光吸収層42を介して熱接続され、光電変換層10からの排熱が円滑に行われ得る。ヒートシンク61は、熱電変換素子50の排熱性能を高めることに貢献し得る。ヒートシンク61は、空冷式、水冷式、又はこれらの組み合わせであり得る。ヒートシンク61は、高い熱伝導性を有し、冷媒(例えば、空気、水)との広い接触面積を有する。

【0050】
自然光又は人工光の伝播方向D1に沿う積層方向において隣り合う要素、例えば、太陽電池30と絶縁層41、或いは、光吸収層42と熱電変換素子50の間に1以上の他の層が挿入されることが当然に予期される。例えば、太陽電池30と絶縁層41の間には太陽電池30を保護するための保護層が形成され得る。光吸収層42と熱電変換素子50の間には熱接続の向上のためにグリース層が形成され得る。

【0051】
図3を参照してエネルギー変換装置100の光吸収特性について記述する。図3は、3つの異構造のエネルギー変換装置に関して波長軸上の反射率を示すグラフであり、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の光吸収特性の優位性を示すために参酌される。図3(a)は、光入射面が鏡面の光電変換層10の反射率を観察したものである。図3(b)は、光入射が粗面化された光電変換層10の反射率を観察したものであり、光電変換層10の光入射面の反対側に絶縁層41を介して光吸収層42が積層されていない。図3(c)は、光入射が粗面化された光電変換層10の反射率を観察したものであり、光電変換層10の光入射面の反対側に絶縁層41を介して光吸収層42が積層されている。なお、図3(c)は、絶縁層41として二酸化シリコンが用いられ、光吸収層42としてはGeSnの2元系合金が用いられる。光吸収層42は、GeとSnの蒸着により形成され、Ge単体とSn単体も含まれる。図3から分かるように、図3(c)の場合、光反射率の低減が観察され、エネルギー変換装置100における光吸収が増加したことが分かる。

【0052】
図4は、2つの異構造のエネルギー変換装置に関して同一の照射条件において熱電変換素子の出力電圧が異なることを示すグラフであり、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の熱電変換素子の変換効率の優位性を示すために参酌される。前提として、メタルハライトとハロゲンランプの組み合わせが光源として用いられる。図4(b)は、光電変換層の光入射が粗面化され、太陽電池の光入射面の反対側に絶縁層及び光吸収層を介さずに熱電変換素子が設けられるエネルギー変換装置の熱電変換素子の出力電圧波形を示す。図4(c)は、光電変換層の光入射が粗面化され、太陽電池の光入射面の反対側に絶縁層及び光吸収層を介して熱電変換素子が設けられるエネルギー変換装置の熱電変換素子の出力電圧波形を示す。図4(b)と図4(c)の比較から分かるように、光吸収層42の存在に起因して熱電変換素子50の出力電圧が高められる。

【0053】
図5は、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の製造方法を示す概略図である。エネルギー変換装置100は、様々な製造方法に依拠して製造される。エネルギー変換装置100の太陽電池30や熱電変換素子50が既製品である場合も容易に想定され、従って、この場合、太陽電池30や熱電変換素子50の各部分の製造が省略される。窓材35、太陽電池30、絶縁層41、光吸収層42、熱電変換素子50、及びヒートシンク61は、自然光又は人工光の伝播方向D1に沿ってこの順で配置されると上述した。しかし、これは、製造方法における積層順とは無関係である。

【0054】
図5から分かるように、エネルギー変換装置100の製造方法は、太陽電池又は光電変換層を製造又は用意する工程、熱電変換素子を製造又は用意する工程、絶縁層を形成する工程、光吸収層を形成する工程を含み、場合によっては、光吸収層と熱電変換素子を熱的に接続する工程を更に含む。追加として、他の様々な工程、例えば、一対の電極層21,22を形成する工程等を含み得ることに留意されたい。

【0055】
絶縁層を形成する工程は、太陽電池30又は光電変換層10上に絶縁層41を形成する工程を含み、又は、熱電変換素子50上又は支持基板に配された光吸収層42上に絶縁層41を形成する工程を含み得る。絶縁層41の形成は、絶縁材料の堆積を含み得る。絶縁材料の堆積は、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)、又はこれらの組み合わせにより行われ得る。

【0056】
光吸収層を形成する工程は、太陽電池30又は光電変換層10上に形成された絶縁層41上に光吸収層42を形成する工程を含み、又は、熱電変換素子50上又は支持基板上に光吸収層42を形成する工程を含み得る。光吸収層42の形成は、光吸収層42の導電性材料の堆積を含み得る。導電性材料の堆積は、蒸着、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PVD(Physical Vapor Deposition)、又はこれらの組み合わせにより行われ得る。

【0057】
光吸収層と熱電変換素子の熱接続は、太陽電池30側に積層された光吸収層42に対して熱電変換素子50を貼り合わせることを含み得る。幾つかの場合、光吸収層42と熱電変換素子50がグリースを介して貼り合わせられる。

【0058】
上述した支持基板は、絶縁層又は光吸収層の堆積のために用いられる基板であり、場合によっては、エネルギー変換装置100に組み込まれる。

【0059】
図6は、本開示の一態様に係るエネルギー変換装置の積層構造を示す概略図であり、光吸収層での光吸収効率を高めるためにプラズモン部が設けられることが示される。幾つかの場合、プラズモン部71では、光吸収層42により吸収されずに光吸収層42を透過した光の入射に応じて表面プラズモン共鳴が生じる。表面プラズモン共鳴に応じて光吸収層42による光吸収効率が高められ得る。同時にプラズモン共鳴により光熱変換効率を向上させることができる。プラズモン部71は、光電変換層10側とは反対側において光吸収層42上に設けられる。プラズモン部71は、例えば、微小な金の粒子がランダムに分布する層、或いは、光吸収層42で吸収される光の波長に基づいて構築された周期構造を含み得る。

【0060】
<実施例>
まず、N型シリコン基板に対して不純物打ち込みによりP型ウェル領域を形成した。続いて、P型ウェルの表面をエッチングにより粗面化した。続いて、マスク層を用いて真空蒸着によりN型シリコン基板とP型ウェルそれぞれに対して電極層を選択的に形成した。続いて、マスク層を除去した。光入射又は光透過を妨げない限定した範囲で電極層を形成した。続いて、N型シリコン基板の裏面に二酸化シリコンを堆積した。続いて、GeとSnの蒸着により二酸化シリコン上にGeSn層を堆積させた。GeSn層は、GeSn合金に加えてGe単体とSn単体を含む。続いて、グリースを介して市販の熱電変換素子をGeSn層に対して貼り合わせた。

【0061】
図7は、実施例に係るエネルギー変換装置の一部のSEM写真であり、N型シリコン基板に対して絶縁層を介して光吸収層が形成されることを示す。図7の写真下部の黒色部分が光電変換層のSi部分を示し、写真上部の凸凹構造がGeSn層を示す。10nm厚の絶縁層が両者の間に存在する。図8は、実施例に係るエネルギー変換装置の一部のEDS写真である。Ge/Snの組成は、Ge0.65Sn0.35からGe0.93Sn0.07へ厚み方向において徐々に変化した。シリコン基板側でSnがリッチである。Snは、Geよりも融点が低いためと推定される。

【0062】
図9は、実施例に係るエネルギー変換装置の一部のSEM写真であり、光電変換層の粗面化された光入射面を示す。図10は、実施例に係るエネルギー変換装置の一部のSEM写真であり、光吸収層の形成状態を示す。

【0063】
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。
【符号の説明】
【0064】
100 エネルギー変換装置
10 光電変換層
30 太陽電池
41 絶縁層
42 光吸収層
50 熱電変換素子
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9