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明細書 :CLEC-2拮抗剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓薬、抗転移薬、及び抗関節炎薬、並びにポルフィリン骨格を有する化合物、及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年12月6日(2018.12.6)
発明の名称または考案の名称 CLEC-2拮抗剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓薬、抗転移薬、及び抗関節炎薬、並びにポルフィリン骨格を有する化合物、及びその製造方法
国際特許分類 A61K  31/409       (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P   7/02        (2006.01)
A61P  35/04        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P  19/02        (2006.01)
FI A61K 31/409
A61P 43/00 111
A61P 7/02
A61P 35/04
A61P 29/00
A61P 19/02
国際予備審査の請求
全頁数 54
出願番号 特願2017-560388 (P2017-560388)
公序良俗違反の表示 1.TWEEN
国際出願番号 PCT/JP2017/000059
国際公開番号 WO2017/119417
国際出願日 平成29年1月4日(2017.1.4)
国際公開日 平成29年7月13日(2017.7.13)
優先権出願番号 2016000267
優先日 平成28年1月4日(2016.1.4)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】井上 克枝
【氏名】長田 誠
【氏名】小嶋 聡一
【氏名】斎藤 臣雄
【氏名】佐々木 知幸
【氏名】白井 俊光
【氏名】新森 英之
【氏名】望月 ちひろ
出願人 【識別番号】304023994
【氏名又は名称】国立大学法人山梨大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
【識別番号】100115347、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 奈緒子
【識別番号】100163038、【弁理士】、【氏名又は名称】山下 武志
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
Fターム 4C086AA01
4C086AA02
4C086CB04
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA54
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZB26
4C086ZC41
要約 下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される化合物からなるCLEC-2拮抗剤である。
〔一般式(1)〕
JP2017119417A1_000044t.gif
(ただし、前記一般式(1)中、MはH及び第2~12族元素のいずれかを表し、Rはビニル基及び1-ヒドロキシエチル基のいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
〔一般式(2)〕
JP2017119417A1_000045t.gif
(ただし、前記一般式(2)中、MはH及び第2~12族元素のいずれかを表し、Rはフェニル基、スルホフェニル基、カルボキシフェニル基及び1-メチルピリジニウム-4-イル基のいずれかを表す。)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される化合物からなることを特徴とするCLEC-2拮抗剤。
〔一般式(1)〕
【化1】
JP2017119417A1_000034t.gif
(ただし、前記一般式(1)中、MはH及び第2~12族元素のいずれかを表し、Rはビニル基及び1-ヒドロキシエチル基のいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
〔一般式(2)〕
【化2】
JP2017119417A1_000035t.gif
(ただし、前記一般式(2)中、MはH及び第2~12族元素のいずれかを表し、Rはフェニル基、スルホフェニル基、カルボキシフェニル基及び1-メチルピリジニウム-4-イル基のいずれかを表す。)
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1-A)及び下記一般式(1-B)のいずれかで表される化合物である請求項1に記載のCLEC-2拮抗剤。
〔一般式(1-A)〕
【化3】
JP2017119417A1_000036t.gif
(ただし、前記一般式(1-A)中、MはH、Co、Zn、Ni及びPdのいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
〔一般式(1-B)〕
【化4】
JP2017119417A1_000037t.gif
(ただし、前記一般式(1-B)中、MはH、Co、Zn及びCuのいずれかを表す。)
【請求項3】
前記一般式(1-B)で表される化合物が、下記構造式B4で表される化合物である請求項2に記載のCLEC-2拮抗剤。
〔構造式B4〕
【化5】
JP2017119417A1_000038t.gif

【請求項4】
前記一般式(2)で表される化合物が、下記構造式C1で表される化合物である請求項1から3のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤。
〔構造式C1〕
【化6】
JP2017119417A1_000039t.gif

【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤からなることを特徴とする血小板凝集抑制剤。
【請求項6】
請求項1から4のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤からなることを特徴とする抗血栓薬。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤からなることを特徴とする抗転移薬。
【請求項8】
請求項1から4のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤からなることを特徴とする抗関節炎薬。
【請求項9】
下記一般式(1-A)及び下記一般式(1-B)のいずれかで表されることを特徴とする化合物。
〔一般式(1-A)〕
【化7】
JP2017119417A1_000040t.gif
(ただし、前記一般式(1-A)中、MはCo、Zn、Ni及びPdのいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
〔一般式(1-B)〕
【化8】
JP2017119417A1_000041t.gif
(ただし、前記一般式(1-B)中、MはCo、Zn及びCuのいずれかを表す。)
【請求項10】
プロトポルフィリンの塩及び金属酢酸塩を、ジメチルスルホキシド及び酢酸のいずれかと、水との存在下、70℃~95℃で1時間~30時間反応させて下記一般式(1-A)で表される化合物を得る工程を含むことを特徴とする化合物の製造方法。
〔一般式(1-A)〕
【化9】
JP2017119417A1_000042t.gif
(ただし、前記一般式(1-A)中、MはCo、Zn、Ni及びPdのいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
【請求項11】
ヘマトポルフィリン及び金属酢酸塩を、メタノール及び酢酸のいずれかの存在下、15℃~30℃で5時間~30時間反応させて下記一般式(1-B)で表される化合物を得る工程を含むことを特徴とする化合物の製造方法。
〔一般式(1-B)〕
【化10】
JP2017119417A1_000043t.gif
(ただし、前記一般式(1-B)中、MはCo、Zn及びCuのいずれかを表す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、血小板活性化受容体CLEC-2の機能を特異的に抑制可能なCLEC-2拮抗剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓薬、抗転移薬、及び抗関節炎薬、並びにポルフィリン骨格を有する化合物、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
心筋梗塞、脳梗塞などの動脈血栓症は、血小板が中心的な役割を果たす。抗血小板薬は、世界で約2兆円の市場規模があるが、出血の副作用が問題となっている。大規模コホート調査によると、出血のリスクがベネフィットを上回るため、現在、1次予防のための抗血小板薬の使用は推奨されていない。したがって、出血の副作用が少ない抗血小板薬が望まれている。
【0003】
癌による死亡の9割程度は、転移に起因するものであり、次に多いのが癌関連血栓症である。しかし、転移を抑制する薬剤はこれまでに報告されてない。一方、ヘパリンやワーファリンを癌患者に投与して、癌関連血栓症を予防する試みがなされてきたが、特に化学療法後など、出血の副作用が発生するという問題がある。
【0004】
一方、血小板活性化受容体CLEC-2は、本発明者らが見出したものであり、血小板を活性化する蛇毒であるロドサイチンの受容体として、血小板上に同定された(例えば、非特許文献1参照)。本発明者らは、CLEC-2の生体内リガンドが、ある種の癌細胞に発現する膜蛋白ポドプラニンであることを見出した(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
CLEC-2の機能を欠損させたマウスとして、CLEC-2欠損骨髄キメラマウス、及び抗ポドプラニン抗体を注射することによりCLEC-2を欠損させたマウスにおいて、血栓形成が抑制されるが、出血時間の有意な延長はないことを本発明者らは示した(例えば、非特許文献3~5参照)。また、抗ポドプラニン抗体が、マウス肺転移モデルにおいて癌の肺転移を抑制することを本発明者らは報告した(例えば、非特許文献6参照)。
【0006】
したがって、CLEC-2をターゲットとした薬剤は、出血の副作用の少ない抗血栓、抗血小板薬、及び抗転移薬となり得ることが期待される。しかしながら、CLEC-2をターゲットとした薬剤は同定されておらず、また、出血の副作用が少ない血小板凝集抑制剤、及び癌の転移を抑制する抗転移薬、並びにそれらの候補化合物について研究開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】Blood.2006;107(2):542-549
【非特許文献2】JBC,2007;282(36):25993-26001
【非特許文献3】Blood.2009;114(16):3464-3472
【非特許文献4】JBC,2010;285(32):24494-24507
【非特許文献5】Arterioscler Thromb Vasc Biol.,2013;33(5):926-934
【非特許文献6】Cancer Sci.2008; 99(1):54-61
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、血小板活性化受容体CLEC-2の機能を特異的に抑制可能なCLEC-2拮抗剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓薬、抗転移薬、及び抗関節炎薬、並びに金属イオンにポルフィリン骨格を有する配位子が配位した化合物、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される化合物からなることを特徴とするCLEC-2拮抗剤である。
〔一般式(1)〕
【化1】
JP2017119417A1_000003t.gif
(ただし、前記一般式(1)中、MはH及び第2~12族元素のいずれかを表し、Rはビニル基及び1-ヒドロキシエチル基のいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
〔一般式(2)〕
【化2】
JP2017119417A1_000004t.gif
(ただし、前記一般式(2)中、MはH及び第2~12族元素のいずれかを表し、Rはフェニル基、スルホフェニル基、カルボキシフェニル基及び1-メチルピリジニウム-4-イル基のいずれかを表す。)
<2> 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(1-A)及び下記一般式(1-B)のいずれかで表される化合物である前記<1>に記載のCLEC-2拮抗剤である。
〔一般式(1-A)〕
【化3】
JP2017119417A1_000005t.gif
(ただし、前記一般式(1-A)中、MはH、Co、Zn、Ni及びPdのいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
〔一般式(1-B)〕
【化4】
JP2017119417A1_000006t.gif
(ただし、前記一般式(1-B)中、MはH、Co、Zn及びCuのいずれかを表す。)
<3> 前記一般式(1-B)で表される化合物が、下記構造式B4で表される化合物である前記<2>に記載のCLEC-2拮抗剤である。
〔構造式B4〕
【化5】
JP2017119417A1_000007t.gif
<4> 前記一般式(2)で表される化合物が、下記構造式C1で表される化合物である前記<1>から<3>のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤である。
〔構造式C1〕
【化6】
JP2017119417A1_000008t.gif
<5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤からなることを特徴とする血小板凝集抑制剤である。
<6> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤からなることを特徴とする抗血栓薬である。
<7> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤からなることを特徴とする抗転移薬である。
<8> 前記<1>から<4>のいずれかに記載のCLEC-2拮抗剤からなることを特徴とする抗関節炎薬である。
<9> 下記一般式(1-A)及び下記一般式(1-B)のいずれかで表されることを特徴とする化合物である。
〔一般式(1-A)〕
【化7】
JP2017119417A1_000009t.gif
(ただし、前記一般式(1-A)中、MはCo、Zn、Ni及びPdのいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
〔一般式(1-B)〕
【化8】
JP2017119417A1_000010t.gif
(ただし、前記一般式(1-B)中、MはCo、Zn及びCuのいずれかを表す。)
<10> プロトポルフィリンの塩及び金属酢酸塩を、ジメチルスルホキシド及び酢酸のいずれかと、水との存在下、70℃~95℃で1時間~30時間反応させて下記一般式(1-A)で表される化合物を得る工程を含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
〔一般式(1-A)〕
【化9】
JP2017119417A1_000011t.gif
(ただし、前記一般式(1-A)中、MはCo、Zn、Ni及びPdのいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)
<11> ヘマトポルフィリン及び金属酢酸塩を、メタノール及び酢酸のいずれかの存在下、15℃~30℃で5時間~30時間反応させて下記一般式(1-B)で表される化合物を得る工程を含むことを特徴とする化合物の製造方法である。
〔一般式(1-B)〕
【化10】
JP2017119417A1_000012t.gif
(ただし、前記一般式(1-B)中、MはCo、Zn及びCuのいずれかを表す。)
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、血小板活性化受容体CLEC-2の機能を特異的に抑制可能なCLEC-2拮抗剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓薬、抗転移薬、及び抗関節炎薬、並びに金属イオンにポルフィリン骨格を有する配位子が配位した化合物、及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1における一次スクリーニングのフロー、及び結果を説明する図である。
【図2】図2は、実施例1における二次スクリーニングの結果を説明する図である。
【図3】図3は、実施例1におけるプロトポルフィリンIX(H-PP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図4】図4は、実施例2のプロトポルフィリン亜鉛錯体(Zn-PP)のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を示す図である。
【図5】図5は、実施例2のプロトポルフィリン亜鉛錯体(Zn-PP)のH-NMRによる測定結果を示す図である。
【図6】図6は、実施例2におけるプロトポルフィリン亜鉛錯体(Zn-PP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図7】図7は、実施例3のプロトポルフィリンニッケル錯体(Ni-PP)のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を示す図である。
【図8】図8は、実施例3におけるプロトポルフィリンニッケル錯体(Ni-PP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図9】図9は、実施例4のプロトポルフィリンコバルト錯体(Co-PP)のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を示す図である。
【図10】図10は、実施例4におけるプロトポルフィリンコバルト錯体(Co-PP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図11】図11は、実施例5のプロトポルフィリンパラジウム錯体(Pd-PP)のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を示す図である。
【図12】図12は、実施例5におけるプロトポルフィリンパラジウム錯体(Pd-PP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図13】図13は、実施例6におけるヘマトポルフィリン(H-HP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図14】図14は、実施例7のヘマトポルフィリン亜鉛錯体(Zn-HP)のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を示す図である。
【図15】図15は、実施例7のヘマトポルフィリン亜鉛錯体(Zn-HP)のH-NMRによる測定結果を示す図である。
【図16】図16は、実施例7におけるヘマトポルフィリン亜鉛錯体(Zn-HP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図17】図17は、実施例8のヘマトポルフィリン銅錯体(Cu-HP)のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を示す図である。
【図18】図18は、実施例8におけるヘマトポルフィリン銅錯体(Cu-HP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図19】図19は、実施例9のヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を示す図である。
【図20】図20は、実施例9におけるヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図21】図21は、実施例10における5,10,15,20-テトラキス(p-スルホフェニル)-21H,23H-ポルフィリン(TPPS)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図22】図22は、実施例11におけるα,β,γ,δ-テトラキス(1-メチルピリジニウム-4-イル)ポルフィリンのp-トルエンスルホナート(TMPyP4OTs)のフローサイトメーターによる評価結果を示す図である。
【図23】図23は、ヒト血小板凝集に対する血小板凝集抑制効果の評価結果を示す図である。
【図24】図24は、マウス血小板凝集に対する血小板凝集抑制効果の評価結果を示す図である。
【図25】図25は、マウス肺転移モデルの化合物投与(DMSO、又はCo-HP)開始から14日目の肺の様子を示す写真である。
【図26】図26は、マウス肺転移モデルの化合物投与(DMSO、又はCo-HP)開始から14日目の肺の重量を示す図である。
【図27】図27は、マウスin vivo塩化鉄血栓形成モデルを用いた血管閉塞時間延長効果を示す図である。
【図28】図28は、マウスin vivoにおける出血時間への影響を示す図である。
【図29】図29は、野生型マウス、及びCLEC-2欠損骨髄キメラマウスをレシピエントマウスとするK/BxNマウス血清移入関節炎モデルにおけるリウマチ様関節炎の炎症の程度を示す図である。
【図30】図30は、野生型マウスをレシピエントマウスとするK/BxNマウス血清移入関節炎モデルにおけるリウマチ様関節炎に対するCo-HP投与による影響を示す図である。
【図31】図31は、ヒトリンパ管上皮細胞(LEC)の血小板接着を視覚化した写真である。
【図32】図32は、ヒトリンパ管上皮細胞(LEC)の血小板接着面積を定量化したグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(CLEC-2拮抗剤)
本発明のCLEC-2拮抗剤は、下記一般式(1)及び下記一般式(2)のいずれかで表される、ポルフィリン骨格を有する化合物からなる。
前記CLEC-2拮抗剤は、血小板活性化受容体であるCLEC-2の機能を抑制する作用を有する薬剤である。前記CLEC-2拮抗剤は、CLEC-2の生体内のリガンドであるポドプラニンと、CLEC-2との結合を抑制する作用を有することが好ましい。

【0013】
-CLEC-2-
前記CLEC-2は、正式名:C-type lectin-like receptor-2であり、血小板を活性化する蛇毒であるロドサイチンの受容体として同定された(Blood.2006;107(2):542-549)。ヒトでは、ほぼ血小板にのみ特異的に発現することが知られている。
一方、前記CLEC-2の生体内リガンドであるポドプラニンは、シアル酸に富む膜糖タンパク質であり、扁平上皮癌、悪性中皮腫などに発現し、その発現量が多いほど予後不良になることが知られていた。また、血小板凝集活性、癌の転移促進活性を有することが知られ、血小板に受容体が存在することが予測されていたが、血小板受容体が前記CLEC-2であることが同定されるまで約20年間を要した。
前記CLEC-2が、ポドプラニンにより活性化されると、血小板凝集が促進され、血栓形成が促進される。
これに対して、本発明のCLEC-2拮抗剤は、CLEC-2に特異的に結合又はポドプラニンと競合することによりCLEC-2の機能を抑制する拮抗剤として機能する。

【0014】
<<一般式(1)で表される化合物>>
〔一般式(1)〕
【化11】
JP2017119417A1_000013t.gif
(ただし、前記一般式(1)中、MはH及び第2~12族元素のいずれかを表し、Rはビニル基及び1-ヒドロキシエチル基のいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)

【0015】
前記一般式(1)中、Mは、H及び第2~12族元素のいずれかであり、H、第8族元素、第9族元素、第10族元素、第11族元素、第12族元素が好ましく、H、Fe、Co、Ni、Pd、Cu、Znがより好ましい。
なお、第2族元素等は、国際純正応用化学連合(IUPAC)の新しい表記法に基づくものであり、前記第2~12族元素は、旧IUPAC表記の第IIA族~第VIIIA族、第IB族及び第IIB族にそれぞれ対応する。

【0016】
前記一般式(1)中、Xは、第1族元素であり、H、Li、Na、Kが好ましく、H、Naがより好ましい。

【0017】
前記一般式(1)で表される化合物としては、下記一般式(1-A)表される化合物、及び下記一般式(1-B)で表される化合物のいずれかであることが好ましい。

【0018】
<<<一般式(1-A)で表される化合物>>>
下記一般式(1-A)表される化合物は、前記一般式(1)中、Rがビニル基である、プロトポルフィリン骨格を有する化合物である。
〔一般式(1-A)〕
【化12】
JP2017119417A1_000014t.gif
(ただし、前記一般式(1-A)中、MはH、Co、Zn、Ni及びPdのいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)

【0019】
前記一般式(1-A)表される化合物としては、例えば、下記構造式A1で表されるプロトポルフィリンIX、下記構造式A2で表されるプロトポルフィリン亜鉛錯体、下記構造式A3で表されるプロトポルフィリンニッケル錯体、下記構造式A4で表されるプロトポルフィリンコバルト錯体、下記構造式A5で表されるプロトポルフィリンパラジウム錯体などが挙げられる。これらの中でも、下記構造式A1で表されるプロトポルフィリンIX、下記構造式A2で表されるプロトポルフィリン亜鉛錯体、下記構造式A4で表されるプロトポルフィリンコバルト錯体が好ましく、下記構造式A1で表されるプロトポルフィリンIXがより好ましい。
【化13】
JP2017119417A1_000015t.gif

【0020】
<<<一般式(1-B)で表される化合物>>>
下記一般式(1-B)で表される化合物は、前記一般式(1)中、Rが1-ヒドロキシエチル基であり、XがH(水素)である、ヘマトポルフィリン骨格を有する化合物である。
〔一般式(1-B)〕
【化14】
JP2017119417A1_000016t.gif
(ただし、前記一般式(1-B)中、MはH、Co、Zn及びCuのいずれかを表す。)

【0021】
前記一般式(1-B)表される化合物は、具体的には、下記構造式B1で表されるヘマトポルフィリン、下記構造式B2で表されるヘマトポルフィリン亜鉛錯体、下記構造式B3で表されるヘマトポルフィリン銅錯体、及び下記構造式B4で表されるヘマトポルフィリンコバルト錯体である。これらの中でも、下記構造式B1で表されるヘマトポルフィリン、下記構造式B3で表されるヘマトポルフィリン銅錯体、及び下記構造式B4で表されるヘマトポルフィリンコバルト錯体が好ましく、CLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する活性が特に高い点で、下記構造式B4で表されるヘマトポルフィリンコバルト錯体がより好ましい。
【化15】
JP2017119417A1_000017t.gif

【0022】
<<一般式(2)で表される化合物>>
〔一般式(2)〕
【化16】
JP2017119417A1_000018t.gif
(ただし、前記一般式(2)中、MはH及び第2~12族元素のいずれかを表し、Rはフェニル基、スルホフェニル基、カルボキシフェニル基及び1-メチルピリジニウム-4-イル基のいずれかを表す。)

【0023】
前記一般式(2)中、Mは、H及び第2~12族元素のいずれかであり、H、第8族元素、第9族元素、第10族元素、第11族元素、第12族元素が好ましく、H、Fe、Co、Ni、Pd、Cu、Znがより好ましい。

【0024】
前記一般式(2)で表される化合物としては、例えば、下記構造式C1で表される、5,10,15,20-テトラキス(p-スルホフェニル)-21H,23H-ポルフィリン(「TPPS」と称することがある。)、下記構造式C2で表される、α,β,γ,δ-テトラキス(1-メチルピリジニウム-4-イル)ポルフィリン(「TMPyP」と称することがある。)のp-トルエンスルホナート(「TMPyP4OTs」と称することがある。)、テトラフェニルポルフィリン(「TPP」と称することがある。)、5,10,15,20-テトラキス(p-カルボキシフェニル)-21H,23H-ポルフィリン(「TPPC」と称することがある。)などが挙げられる。これらの中でも、下記構造式C1で表されるTPPSが好ましい。

【0025】
〔構造式C1〕
【化17】
JP2017119417A1_000019t.gif

【0026】
〔構造式C2〕
【化18】
JP2017119417A1_000020t.gif

【0027】
(血小板凝集抑制剤及び抗血栓薬)
本発明の血小板凝集抑制剤は、本発明の前記CLEC-2拮抗剤からなる。前記血小板凝集抑制剤は、血小板の凝集を抑制する作用を有する薬剤である。
本発明の抗血栓薬は、本発明の前記CLEC-2拮抗剤からなる。前記抗血栓薬は、血栓の形成を抑制し、血管閉塞を予防する作用を有する薬剤である。
前記血小板凝集抑制剤及び前記抗血栓薬は、血小板活性化受容体であるCLEC-2の機能抑制を介して作用することが好ましく、CLEC-2の生体内のリガンドであるポドプラニンと、CLEC-2との結合を抑制する作用を有することがより好ましい。

【0028】
(抗転移薬)
本発明の抗転移薬は、本発明の前記CLEC-2拮抗剤からなる。前記抗転移薬は、がん細胞の転移を抑制する作用を有する薬剤である。
前記抗転移薬は、血小板活性化受容体であるCLEC-2の機能抑制を介して作用することが好ましく、CLEC-2の生体内のリガンドであるポドプラニンと、CLEC-2との結合を抑制する作用を有することがより好ましい。

【0029】
(抗関節炎薬)
本発明の抗関節炎薬は、本発明の前記CLEC-2拮抗剤からなる。前記抗関節炎薬は、関節の炎症を抑制する作用を有する薬剤であり、例えば、抗リウマチ薬などが挙げられる。
前記抗関節炎薬は、血小板活性化受容体であるCLEC-2の機能抑制を介して作用することが好ましく、CLEC-2の生体内のリガンドであるポドプラニンと、CLEC-2との結合を抑制する作用を有することがより好ましい。

【0030】
(製剤)
前記製剤としては、本発明のCLEC-2拮抗剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓薬、抗転移薬、及び抗関節炎薬の少なくともいずれかを含み、更に必要に応じて薬理学的に許容可能な担体などのその他の成分を含む。
前記CLEC-2拮抗剤、血小板凝集抑制剤、抗血栓薬、抗転移薬、及び抗関節炎薬の少なくともいずれかとしては、前記一般式(1)及び前記一般式(2)のいずれかで表される化合物であってもよく、前記化合物の薬理学的に許容可能な、塩、溶媒和物及びプロドラッグの少なくともいずれかであってもよい。

【0031】
前記製剤は、デキストリン、シクロデキストリンなどの薬理学的に許容可能な担体、助剤を用いて、常法に従い、液状、粉末状、顆粒状、錠剤状などの任意の剤形に製剤化して提供することができ、他の組成物(例えば、点眼薬、経口医薬品など)に配合して使用できる他、軟膏剤、外用液剤、貼付剤などとして使用することができる。
前記助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味剤、矯臭剤などを用いることができる。

【0032】
前記賦形剤としては、例えば、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸などが挙げられる。前記結合剤としては、例えば、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。前記崩壊剤としては、例えば、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖などが挙げられる。前記滑沢剤としては、例えば、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。前記安定剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸などが挙げられる。前記矯味剤乃至矯臭剤としては、例えば、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。

【0033】
前記製剤を投与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて各薬剤に適した投与経路、投与タイミング、投与量、投与スケジュール等の投与条件を適宜選択することができる。
前記投与経路としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、静脈内投与、経皮投与、経口投与が好ましい。

【0034】
前記製剤の投与量としては、特に制限はなく、処置を必要とする対象の疾患状態、体重等の要因に応じて適宜選択することができるが、一日当たり、1mg~1,000mgが好ましく、10mg~200mgがより好ましい。

【0035】
(化合物)
本発明の化合物は、下記一般式(1-A)及び下記一般式(1-B)のいずれかで表される、ポルフィリン骨格を有する化合物である。
前記一般式(1-A)で表されるプロトポルフィリン骨格を有する化合物は、本発明の前記一般式(1-A)で表される化合物の製造方法により好適に製造することができる。
前記一般式(1-B)で表されるヘマトポルフィリン骨格を有する化合物は、本発明の前記一般式(1-B)で表される化合物の製造方法により好適に製造することができる。

【0036】
〔一般式(1-A)〕
【化19】
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(ただし、前記一般式(1-A)中、MはCo、Zn、Ni及びPdのいずれかを表し、Xは第1族元素を表す。)

【0037】
〔一般式(1-B)〕
【化20】
JP2017119417A1_000022t.gif
(ただし、前記一般式(1-B)中、MはCo、Zn及びCuのいずれかを表す。)

【0038】
(化合物の製造方法)
<一般式(1-A)で表される化合物の製造方法>
本発明の化合物の製造方法は、前記一般式(1-A)で表される化合物の製造方法であって、プロトポルフィリンの塩及び金属酢酸塩を、ジメチルスルホキシド及び酢酸のいずれかと、水との存在下、70℃~95℃で1時間~30時間反応させて下記一般式(1-A)で表される化合物を得る工程を含み、更に必要に応じて精製工程などのその他の工程を含む。
前記プロトポルフィリンの塩としては、前記一般式(1-A)で表される化合物のMがHである化合物の塩であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式A1で表されるプロトポルフィリンIXなどが挙げられる。
ここで、前記金属酢酸塩における金属は、前記一般式(1-A)中、Mで表されるCo、Zn、Ni及びPdのいずれかである。

【0039】
前記一般式(1-A)で表される化合物が、下記構造式A2で表されるプロトポルフィリン亜鉛錯体である場合、プロトポルフィリンの塩及び酢酸亜鉛を、ジメチルスルホキシドと水との存在下で反応させることが好ましく、反応温度としては70℃~90℃(例えば、80℃)が好ましく、反応時間としては1時間~10時間(例えば、2時間)が好ましい。

【0040】
前記一般式(1-A)で表される化合物が、下記構造式A3で表されるプロトポルフィリンニッケル錯体である場合、プロトポルフィリンの塩及び酢酸ニッケルを、ジメチルスルホキシドと水との存在下で反応させることが好ましく、反応温度としては70℃~90℃(例えば、80℃)が好ましく、反応時間としては5時間~20時間(例えば、8時間)が好ましい。

【0041】
前記一般式(1-A)で表される化合物が、下記構造式A4で表されるプロトポルフィリンコバルト錯体である場合、プロトポルフィリンの塩及び酢酸コバルト(II)を、酢酸と水との存在下で反応させることが好ましく、反応温度としては80℃~95℃(例えば、90℃)が好ましく、反応時間としては12時間~30時間(例えば、24時間)が好ましい。

【0042】
前記一般式(1-A)で表される化合物が、下記構造式A5で表されるプロトポルフィリンパラジウム鉛錯体である場合、プロトポルフィリンの塩及び酢酸パラジウム(II)を、酢酸と水との存在下で反応させることが好ましく、反応温度としては80℃~95℃(例えば、90℃)が好ましく、反応時間としては12時間~30時間(例えば、24時間)が好ましい。
【化21】
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【0043】
<一般式(1-B)で表される化合物の製造方法>
本発明の化合物の製造方法は、前記一般式(1-B)で表される化合物の製造方法であって、ヘマトポルフィリン及び金属酢酸塩を、メタノール及び酢酸のいずれかの存在下、15℃~30℃で5時間~30時間反応させて下記一般式(1-B)で表される化合物を得る工程を含み、更に必要に応じて精製工程などのその他の工程を含む。
前記ヘマトポルフィリンは、下記構造式B1で表される化合物である。
ここで、前記金属酢酸塩における金属は、前記一般式(1-B)中、Mで表されるCo、Zn及びCuのいずれかである。

【0044】
前記一般式(1-B)で表される化合物が、下記構造式B2で表されるヘマトポルフィリン亜鉛錯体である場合、ヘマトポルフィリン及び酢酸亜鉛を、メタノールの存在下で反応させることが好ましく、反応温度としては15℃~30℃(例えば、25℃)が好ましく、反応時間としては5時間~20時間(例えば、8時間)が好ましい。

【0045】
前記一般式(1-B)で表される化合物が、下記構造式B3で表されるヘマトポルフィリン銅錯体である場合、ヘマトポルフィリン及び酢酸銅(II)を、酢酸の存在下で反応させることが好ましく、反応温度としては15℃~30℃(例えば、25℃)が好ましく、反応時間としては12時間~30時間(例えば、24時間)が好ましい。

【0046】
前記一般式(1-B)で表される化合物が、下記構造式B4で表されるヘマトポルフィリンコバルト錯体である場合、ヘマトポルフィリン及び酢酸コバルト(II)を、酢酸の存在下で反応させることが好ましく、反応温度としては15℃~30℃(例えば、25℃)が好ましく、反応時間としては12時間~30時間(例えば、24時間)が好ましい。
【化22】
JP2017119417A1_000024t.gif
【実施例】
【0047】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。
【実施例】
【0048】
(実施例1:プロトポルフィリンIX)
<CLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の探索(一次スクリーニング)>
理化学研究所ケミカルバイオロジー研究基盤施設の天然物を中心とした15,000種類の低分子化合物ライブラリーを用い、下記の方法により、CLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の一次スクリーニングを行った。
リコンビナントCLEC-2とリコンビナントポドプラニンとの結合を検出可能なELISA検出系を構築し、ELISA検出系を用いた測定によって一次スクリーニングを行った。
【実施例】
【0049】
-リコンビナントCLEC-2の調製-
リコンビナントCLEC-2として、文献「JBC,2007;282(36):25993-26001」に記載の方法にしたがって、ヒトCLEC-2-rFc2を調製した。
【実施例】
【0050】
-リコンビナントポドプラニンの調製-
リコンビナントポドプラニンとして、文献「JBC,2007;282(36):25993-26001」に記載の方法にしたがって、ヒトポドプラニン-hFc2-Biotinを調製した。
【実施例】
【0051】
-ELISA検出系による測定-
96ウェルプレート(Immulon(登録商標)2HB、Thermo Scientific社製)に固相蛋白液(1μg/100mLのヒトCLEC-2-rFc2を含むPBS、pH7.4)100μLを滴下し、プレートシールをして、4℃にて8時間~24時間反応させた。固相蛋白液を除去後、洗浄液(0.05体積%Tween20を含むPBS、pH7.2)400μLで1回洗浄した。次いで、ブロック剤(Super Block、Scy Laboratories社製)150μLを加え、正確に5分間放置した。ブロック剤を除去後、洗浄液400μLで2回洗浄した。
【実施例】
【0052】
得られたリコンビナントCLEC-2をコートしたELISAプレートの各ウェルに、前記低分子化合物ライブラリーの各化合物の溶液(10μg/mL)100μLを滴下し、前記溶液を除去後、洗浄液400μLで3回洗浄した。次いで、検出蛋白液(1μg/100mLのヒトポドプラニン-hFc2-Biotinを含むPBS、pH7.4)100μLを滴下して、室温(25℃)にて1時間反応させた。検出蛋白液を除去後、洗浄液400μLで3回洗浄した。検出試薬(streptoAvidin-HRP、Vector Laboratories,CA社製)100μLを滴下して1時間反応させた。検出試薬を除去後、洗浄液400μLで3回洗浄した。次いで、TBM液(T0440、SIGMA-ALDRICH社製)を100μL滴下し、暗室にて3分間~5分間反応させた後、反応停止液(0.5MのHCl)を50μL加え、マイクロプレートリーダー(装置名:マルチラベルカウンター、ARV0mx-U1 1420-050J、Perkin Elmer社製)にて450nmでの吸光度を測定した。
【実施例】
【0053】
なお、陰性コントロールとして、各化合物の溶液、及び検出蛋白液に代えて、それぞれPBSを用いた。また、陽性コントロールとして、各化合物の溶液に代えてPBSを用いた。
各化合物の吸光度から、下記式1により、結合抑制率を算出した。結合抑制率が40%以上の化合物を、CLEC-2に対する結合活性を有する化合物と判断した。
〔式1〕
結合抑制率(%)=100-(各化合物の吸光度—陰性コントロールの吸光度)/(陽性コントロールの吸光度-陰性コントロールの吸光度)
【実施例】
【0054】
図1に、実施例1における一次スクリーニングのフロー、及び結果を説明する図を示す。陽性コントロールにおいては、CLEC-2とポドプラニンとの結合に由来する波長450nmのシグナルが観察される。これに対して、図1に示す通り、CLEC-2に結合する化合物Aを投与した場合、CLEC-2とポドプラニンとの結合が抑制され、前記陽性コントロールで観察されたシグナルが低減される。一方、CLEC-2に結合しない(又は、ポドプラニンとの結合を抑制しない)化合物Bを投与した場合、CLEC-2とポドプラニンとの結合が抑制されないため、前記陽性コントロールで観察されたシグナルは変化しない。
【実施例】
【0055】
以上の通り、リコンビナントCLEC-2とリコンビナントポドプラニンとの結合に対して、前記低分子化合物ライブラリーの各化合物がその結合を抑制するか否かを指標として、CLEC-2に結合する低分子化合物リガンドを探索した。その結果、ポルフィリン骨格を有する化合物であるプロトポルフィリンIX(「H-PP」と称することがある。)を含む、64種類の化合物が得られた。
【実施例】
【0056】
<CLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価(二次スクリーニング)>
一次スクリーニングにおいて得られた64種類の化合物について、次いで、CLEC-2発現培養細胞を用いたフローサイトメーターによって二次スクリーニングを行った。
【実施例】
【0057】
-CLEC-2発現培養細胞の調製-
CLEC-2発現培養細胞として、文献「J Virol. 2003;77(7):4070-4080」に記載の方法にしたがって、ヒトCLEC-2発現293TREx細胞を調製した。
なお、この細胞は、Tet onシステムにより、ドキシサイクリン添加でCLEC-2を発現する細胞であり、フローサイトメーターによる測定の24時間前に、終濃度1μg/mLのドキシサイクリンを添加することによってCLEC-2の発現を誘導した。
【実施例】
【0058】
-ヒトポドプラニン-ヒトFc2の調製-
リコンビナントポドプラニンとして、文献「JBC,2007;282(36):25993-26001」に記載の方法にしたがって、ヒトポドプラニン-ヒトFc2を調製した。
【実施例】
【0059】
-CLEC-2発現培養細胞を用いたフローサイトメーターによる測定-
ヒトCLEC-2発現293TREx細胞2.5×10細胞を含むPBS50μLを1.5mLマイクロチューブに加えた。20μg/mLの各化合物を終濃度5μg/mLとなるように前記マイクロチューブに加えて4℃で30分間静置した。次いで、5μg/mLとなるようにヒトポドプラニン-ヒトFc2又はヒトFc2を添加して(ただし、検出モードFL1で自家蛍光が出る化合物に関しては、ビオチン標識したヒトポドプラニン-ヒトFc2又はビオチン標識したヒトFc2を添加して)4℃で30分間静置した。更に、1mLのPBSを加えて洗浄し、余分な化合物やリコンビナント蛋白質を除き、0.1mLのPBSを加えて再懸濁した。その後、抗ヒトIgG抗体-FITCを添加して(ただし、検出モードFL1で自家蛍光が出る化合物に関しては、APCラベルavidinを添加して)4℃で20分間静置した。得られた試料に300μLのPBSを加えてフローサイトメーター(装置名:BD Accuri(登録商標)C6、BD Bioscience社製)の検出モードFL1で解析した(ただし、検出モードFL1で自家蛍光が出る化合物に関しては、検出モードFL4で解析した)。
なお、陰性コントロールとして、各化合物の溶液に代えて1μLのDMSOを添加した試料を用いた。また、別の陰性コントロールとして、ヒトポドプラニン-ヒトFc2に代えてヒトFc2を添加した試料を用いた。陽性コントロールとして、各化合物の溶液に代えて終濃度50nMのロドサイチンを添加した試料を用いた。
【実施例】
【0060】
図2に、実施例1における二次スクリーニングの結果を説明する図を示す。化合物非存在下では(図2の左パネル参照)、陰性コントロールであるヒトFc2をヒトポドプラニン-ヒトFc2に置換することにより、CLEC-2とポドプラニンとの結合に由来するピークシフトが観察される。一方、CLEC-2に結合する化合物を投与した場合(図2の右パネル参照)、CLEC-2とポドプラニンとの結合が完全に抑制されると、CLEC-2とポドプラニンとの結合に由来するピークシフトが全く観察されず、陰性コントロールに由来するピークに完全に重なるピークが観察される。また、CLEC-2とポドプラニンとの結合が部分的に抑制された場合(図示せず)、抑制の程度に依存して、陰性コントロールに由来するピークと、CLEC-2とポドプラニンとの結合に由来するピークとの間のピークが観察される。
【実施例】
【0061】
下記式2により、結合抑制率を算出した。結合抑制率が40%以上の化合物を、CLEC-2に対する結合活性を有する化合物と判断した。
〔式2〕
結合抑制率(%)=100-100×(T-N)/(P-N)
ただし、前記式中、P、N、及びTは以下の通りである。
P:化合物の陽性コントロール(ヒトポドプラニン-ヒトFc2、DMSO)に由来するmean fluorescent intensity(MFI)
N:結合の陰性コントロール(ヒトFc2、DMSO)に由来するMFI
T:化合物を投与した場合に由来するMFI
【実施例】
【0062】
以上の通り、CLEC-2発現細胞とリコンビナントポドプラニンとの結合に対して、一次スクリーニングにて同定した各化合物がその結合を抑制するか否か(結合抑制率40%以上)を指標として、CLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物を探索した。
その結果、ポルフィリン骨格を有する化合物であるプロトポルフィリンIX(H-PP)が得られた。実施例1におけるプロトポルフィリンIX(H-PP)のフローサイトメーターによる評価結果を図3に示す。プロトポルフィリンIXの結合抑制率は、86.2%であった。
【実施例】
【0063】
以下の実施例2~5及び7~9に示す通り、実施例1の二次スクリーニングにおいて得られたプロトポルフィリンIXを最適化するため、プロトポルフィリンIXの類似物質として、プロトポルフィリン金属錯体及びヘマトポルフィリン金属錯体を製造した。
また、以下の実施例2~11では、評価対象の化合物として、実施例2~11のプロトポルフィリンIXの類似物質を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価及び最適化を行った。
【実施例】
【0064】
(実施例2:プロトポルフィリン亜鉛錯体)
<プロトポルフィリン亜鉛錯体(Zn-PP)の合成及び同定>
プロトポルフィリン 二ナトリウム塩(東京化成工業株式会社製、100mg、0.165mmol)にジメチルスルホキシド(DMSO)20mL、蒸留水5mLを加えて溶解したところに酢酸亜鉛(390mg、1.78mmol)加え、80℃で2時間加熱撹拌した。その後、室温(25℃)まで冷却し、エタノールを加えて結晶化させ、得られた沈殿を蒸留水で洗浄し、収率98%で紫色沈殿(109mg)を得た。
得られた化合物の同定を、H-NMR、紫外線-可視光吸収スペクトル(UV-visスペクトル)、及び蛍光スペクトルにより行った結果、プロトポルフィリン亜鉛錯体が得られたことが分かった。反応式を下記反応式(1)に示す。実施例2のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を図4に示す。また、実施例2のH-NMRによる測定結果を図5に示す。
なお、UV-visスペクトル測定には、UV-1800(株式会社島津製作所製)、蛍光スペクトル測定には、FP-6300(日本分光株式会社製)を用い、図中、UV-visスペクトルを実線で示し、蛍光スペクトルを破線で示した。H-NMR測定には、AVANCE 400(Bruker社製)を用い、重DMSO中で測定を行った。
【実施例】
【0065】
〔反応式(1)〕
【化23】
JP2017119417A1_000025t.gif
(ただし、前記反応式(1)中、Zn(OAc)は酢酸亜鉛を表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表す。)
【実施例】
【0066】
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのプロトポルフィリン亜鉛錯体を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。プロトポルフィリン亜鉛錯体のフローサイトメーターによる評価結果を図6に示す。プロトポルフィリン亜鉛錯体の結合抑制率は、71.2%であった。
【実施例】
【0067】
(実施例3:プロトポルフィリンニッケル錯体)
<プロトポルフィリンニッケル錯体(Ni-PP)の合成及び同定>
プロトポルフィリン 二ナトリウム塩(東京化成工業株式会社製、100mg、0.165mmol)にDMSO 20mL、蒸留水5mLを加え溶解したところに酢酸ニッケル(610mg、2.47mmol)加え、80℃で8時間加熱撹拌した。その後、室温(25℃)まで冷却し、メタノールを加えて結晶化させ、得られた沈殿を蒸留水で洗浄した。この沈殿を酢酸-蒸留水で再結晶を行うことにより収率65%で深紫色沈殿(71mg)を得た。
得られた化合物の同定を、UV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルにより行った結果、プロトポルフィリンニッケル錯体が得られたことが分かった。反応式を下記反応式(2)に示す。実施例3のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を図7に示す。
【実施例】
【0068】
〔反応式(2)〕
【化24】
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(ただし、前記反応式(2)中、Ni(OAc)は酢酸ニッケルを表し、DMSOはジメチルスルホキシドを表す。)
【実施例】
【0069】
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのプロトポルフィリンニッケル錯体を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。プロトポルフィリンニッケル錯体のフローサイトメーターによる評価結果を図8に示す。プロトポルフィリンニッケル錯体の結合抑制率は、50.4%であった。
【実施例】
【0070】
(実施例4:プロトポルフィリンコバルト錯体)
<プロトポルフィリンコバルト錯体(Co-PP)の合成及び同定>
プロトポルフィリン 二ナトリウム塩(東京化成工業株式会社製、100mg、0.165mmol)に酢酸20mLを加え溶解したところに酢酸コバルト(II)4水和物(410mg、1.65mmol)加え、90℃で24時間加熱撹拌した。その後、室温(25℃)まで冷却した後、蒸留水150mLに反応混合物を加えて約4℃に冷却することにより収率93%で深紫色沈殿(102mg)を得た。
得られた化合物の同定を、UV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルにより行った結果、プロトポルフィリンコバルト錯体が得られたことが分かった。反応式を下記反応式(3)に示す。実施例4のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を図9に示す。
【実施例】
【0071】
〔反応式(3)〕
【化25】
JP2017119417A1_000027t.gif
(ただし、前記反応式(3)中、Co(OAc)は酢酸コバルト(II)を表す。)
【実施例】
【0072】
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのプロトポルフィリンコバルト錯体を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。プロトポルフィリンコバルト錯体のフローサイトメーターによる評価結果を図10に示す。プロトポルフィリンコバルト錯体の結合抑制率は、79.4%であった。
【実施例】
【0073】
(実施例5:プロトポルフィリンパラジウム錯体)
<プロトポルフィリンパラジウム錯体(Pd-PP)の合成及び同定>
プロトポルフィリン 二ナトリウム塩(東京化成工業株式会社製、50mg、0.083mmol)に酢酸10mLを加え溶解したところに酢酸パラジウム(II)(92mg、0.415mmol)加え、90℃で24時間加熱撹拌した。その後、室温(25℃)まで冷却した後、蒸留水50mLに反応混合物を加えて結晶化させ、得られた沈殿をDMSO-メタノール及びDMSO-蒸留水で再結晶を行うことで定量的収率にて深紫色沈殿(65mg)を得た。
得られた化合物の同定を、UV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルにより行った結果、プロトポルフィリンパラジウム錯体が得られたことが分かった。反応式を下記反応式(4)に示す。実施例5のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を図11に示す。
【実施例】
【0074】
〔反応式(4)〕
【化26】
JP2017119417A1_000028t.gif
(ただし、前記反応式(4)中、Pd(OAc)は酢酸パラジウム(II)を表す。)
【実施例】
【0075】
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのプロトポルフィリンパラジウム錯体を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。プロトポルフィリンパラジウム錯体のフローサイトメーターによる評価結果を図12に示す。プロトポルフィリンパラジウム錯体の結合抑制率は、66.7%であった。
【実施例】
【0076】
(実施例6:ヘマトポルフィリン)
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのヘマトポルフィリン(和光純薬工業株式会社製)を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。ヘマトポルフィリンのフローサイトメーターによる評価結果を図13に示す。ヘマトポルフィリンの結合抑制率は、90.2%であった。
【実施例】
【0077】
(実施例7:ヘマトポルフィリン亜鉛錯体)
<ヘマトポルフィリン亜鉛錯体(Zn-HP)の合成及び同定>
ヘマトポルフィリン(和光純薬工業株式会社製、100mg、0.167mmol)にメタノール20mLを加え溶解したところに飽和酢酸亜鉛メタノール溶液2mLを加え、室温(25℃)で一晩(8時間)撹拌した。その後、蒸留水50mLに反応混合物を加えて約4℃に冷却することで定量的収率にて紫色沈殿(116mg)を得た。
得られた化合物の同定を、H-NMR、UV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルにより行った結果、ヘマトポルフィリン亜鉛錯体が得られたことが分かった。反応式を下記反応式(5)に示す。実施例7のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を図14に示す。また、合成例1のH-NMRによる測定結果を図15に示す。
【実施例】
【0078】
〔反応式(5)〕
【化27】
JP2017119417A1_000029t.gif
(ただし、前記反応式(5)中、Zn(OAc)は酢酸亜鉛を表し、MeOHはメタノールを表す。)
【実施例】
【0079】
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのヘマトポルフィリン亜鉛錯体を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。ヘマトポルフィリン亜鉛錯体のフローサイトメーターによる評価結果を図16に示す。ヘマトポルフィリン亜鉛錯体の結合抑制率は、81.3%であった。
【実施例】
【0080】
(実施例8:ヘマトポルフィリン銅錯体)
<ヘマトポルフィリン銅錯体(Cu-HP)の合成及び同定>
ヘマトポルフィリン(和光純薬工業株式会社製、100mg、0.167mmol)に酢酸20mLを加え溶解したところに酢酸銅(II)(300mg、1.65mmol)加え、室温(25℃)で24時間撹拌した。その後、蒸留水150mLに反応混合物を加えて約4℃に冷却することで定量的収率にて紫色沈殿(162mg)を得た。
得られた化合物の同定を、UV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルにより行った結果、ヘマトポルフィリン銅錯体が得られたことが分かった。反応式を下記反応式(6)に示す。実施例8のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を図17に示す。
【実施例】
【0081】
〔反応式(6)〕
【化28】
JP2017119417A1_000030t.gif
(ただし、前記反応式(6)中、Cu(OAc)は酢酸銅(II)を表す。)
【実施例】
【0082】
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのヘマトポルフィリン銅錯体を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。ヘマトポルフィリン銅錯体のフローサイトメーターによる評価結果を図18に示す。ヘマトポルフィリン銅錯体の結合抑制率は、84.0%であった。
【実施例】
【0083】
(実施例9:ヘマトポルフィリンコバルト錯体)
<ヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)の合成及び同定>
ヘマトポルフィリン(和光純薬工業株式会社製、100mg、0.167mmol)に酢酸20mLを加え溶解したところに酢酸コバルト(II)4水和物(410mg、1.65mmol)加え、室温(25℃)で24時間撹拌した。その後、酢酸エチルと蒸留水を加えて抽出操作を行ったところ、沈殿が生じたため、ろ取し、有機相は硫酸ナトリウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。残渣成分と抽出操作で得た沈殿と同一成分であることがTLCによって確認できたため、併せてメタノール-トルエンにより再結晶を行うことにより収率50%で深紫色沈殿(55mg)を得た。
得られた化合物の同定を、UV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルにより行った結果、ヘマトポルフィリンコバルト錯体が得られたことが分かった。反応式を下記反応式(7)に示す。実施例9のUV-visスペクトル、及び蛍光スペクトルによる測定結果を図19に示す。
【実施例】
【0084】
〔反応式(7)〕
【化29】
JP2017119417A1_000031t.gif
(ただし、前記反応式(7)中、Co(OAc)は酢酸コバルト(II)を表す。)
【実施例】
【0085】
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのヘマトポルフィリンコバルト錯体を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。ヘマトポルフィリンコバルト錯体のフローサイトメーターによる評価結果を図20に示す。ヘマトポルフィリンコバルト錯体の結合抑制率は、101.1%であった。
【実施例】
【0086】
(実施例10:5,10,15,20-テトラキス(p-スルホフェニル)-21H,23H-ポルフィリン)
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのプロトポルフィリンIXに代えて、下記構造式C1で表される、5,10,15,20-テトラキス(p-スルホフェニル)-21H,23H-ポルフィリン(東京化成工業株式会社製、「TPPS」と称することがある。)を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。TPPSのフローサイトメーターによる評価結果を図21に示す。TPPSの結合抑制率は、89.8%であった。
【実施例】
【0087】
〔構造式C1〕
【化30】
JP2017119417A1_000032t.gif
【実施例】
【0088】
(実施例11:α,β,γ,δ-テトラキス(1-メチルピリジニウム-4-イル)ポルフィリンのp-トルエンスルホナート)
<CLEC-2とポドプラニンとの結合抑制評価>
実施例1の二次スクリーニングにおいて、評価対象の化合物として、終濃度5μg/mLのプロトポルフィリンIXに代えて、下記構造式C2で表される、α,β,γ,δ-テトラキス(1-メチルピリジニウム-4-イル)ポルフィリン(「TMPyP」と称することがある。)のp-トルエンスルホナート(東京化成工業株式会社製、「TMPyP4OTs」と称することがある。)を用いた以外は、実施例1の二次スクリーニングと同様にしてCLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制する化合物の評価を行った。TMPyP4OTsのフローサイトメーターによる評価結果を図22に示す。TMPyP4OTsの結合抑制率は、54.4%であった。
【実施例】
【0089】
〔構造式C2〕
【化31】
JP2017119417A1_000033t.gif
【実施例】
【0090】
実施例2~11の結果、評価したプロトポルフィリンIXの類似物質の全てが、40%以上の結合抑制活性を示し、CLEC-2とポドプラニンとの結合を抑制することが分かった。中でも、Co-HPの結合抑制活性が高く、実施例1の二次スクリーニングの評価系(化合物を終濃度5μg/mLで用いた場合)において、ほぼ完全に結合を抑制することが分かった。
【実施例】
【0091】
<ヒト血小板凝集に対する血小板凝集抑制効果の評価>
ヒト由来の血小板(PLT:20×10/μL)を用い、ロドサイチン、コラーゲン、又はトロンビンにより血小板凝集を惹起した際の、プロトポルフィリンIX(H-PP)及びヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)による血小板凝集抑制効果を、文献「Blood 2003:102(4):1367-1373」に記載の方法にしたがって評価した。
【実施例】
【0092】
ヒト血小板凝集に対する血小板凝集抑制効果の評価結果を、図23に示す。
その結果、1.0μg/mL(1.5μM)のH-PP又はCo-HP投与により、ロドサイチン惹起血小板凝集が特異的に抑制され、特に、Co-HP投与によりほぼ完全に抑制されることが分かった。
【実施例】
【0093】
<マウス血小板凝集に対する血小板凝集抑制効果の評価>
マウス由来の血小板(PLT:20×10/μL)を用い、ロドサイチン、コラーゲン、又はトロンビンにより血小板凝集を惹起した際の、プロトポルフィリンIX(H-PP)及びヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)による血小板凝集抑制効果を、文献「Blood 2003:102(4):1367-1373」に記載の方法にしたがって評価した。
【実施例】
【0094】
マウス血小板凝集に対する血小板凝集抑制効果の評価結果を、図24に示す。
その結果、1.0μg/mL(1.5μM)のH-PP又はCo-HP投与により、ロドサイチン惹起血小板凝集が抑制され、特に、1.0μg/mL(1.5μM)のCo-HP投与が最もロドサイチン惹起血小板凝集を抑制することが分かった。
【実施例】
【0095】
<マウス肺転移モデルを用いた転移抑制効果の評価>
高転移性を示し、ポドプラニンを発現する細胞株であるメラノーマ細胞株B16F10細胞を移植したマウス肺転移モデルを用いて、ヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)による転移抑制効果を下記の方法により評価した。
【実施例】
【0096】
C57BL/6系統マウス(8週齢、雄、日本チャールズ・リバー株式会社より購入、各群n=5)に対し、0日目にB16F10-GFP細胞(アンチキャンサージャパン株式会社製)1×10細胞/個体を尾静脈より経静脈的に投与した。0日目に同時に、1質量%DMSO、100μg/mLのCo-HPを眼窩より200μL投与することにより化合物投与を行った(1匹あたり20μg、循環血液量2mLとして、10μg/mL)。以後、2日ごとの2日目、4日目、6日目、8日目、10日目及び12日目に化合物投与を行い、14日目にマウスから肺を摘出して肺重量を測定した。
【実施例】
【0097】
マウス肺転移モデルの化合物投与(DMSO、又はCo-HP)開始から14日目の肺の様子を示す写真を、図25に示す。また、マウス肺転移モデルの化合物投与(DMSO、又はCo-HP)開始から14日目の肺の重量を示すグラフを、図26に示す。
その結果、メラノーマ細胞株B16F10細胞の移植により、肺に腫瘍ができ(図25、左パネル参照)、肺重量が増加するのに対し、Co-HPでは、腫瘍の発生が抑制され(図25、右パネル参照)、また肺重量の増加も抑制された(図26、p=0.0144;Dunn多重比較検定)。
【実施例】
【0098】
<マウスin vivo塩化鉄血栓形成モデルを用いた血管閉塞時間延長効果の評価>
塩化鉄により血栓を形成させた、血栓形成モデルマウスを用いて、ヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)による血管閉塞時間延長効果を下記の方法により評価した。
【実施例】
【0099】
C57BL/6系統マウス(8週齢、雄、日本チャールズ・リバー株式会社より購入、各群n=3)に3質量%セボフルラン(丸石製薬株式会社製)をプラスチックボックスに0.5L/分間で気化させ、マウスをボックス内に入れて麻酔を導入した。実験が終了するまでこの麻酔条件下で麻酔状態を維持した。1質量%DMSO、又は100μg/mLのCo-HPを眼窩より200μL投与することにより化合物投与を行った(1匹あたり20μg、循環血液量2mLとして、10μg/mL)。次いで、四肢をビニールテープで固定し、左大腿動脈を露出させた後、先細ピンセットを用いて他の組織から左大腿動脈を剥離し、パラフィルムを挟んで組織液の浸潤を防止した。レーザー血流計(装置名:ALF21RD、株式会社アドバンス製)を用い、血流60mL/分間/100g以上を目安として血流量の最も高い位置を探してセンサーを固定し、2分間~3分間血流を測定することにより、障害(塩化鉄投与による血栓形成刺激)前の安定した各パラメータを測定した。
10質量%塩化鉄の水溶液を浸漬させたろ紙を、露出させた左大腿動脈の上に載せることにより、血栓の形成を惹起した。血栓が形成され、血管が閉塞する基準として、血流5mL/分間/100g以下が1分間以上継続した時点まで、レーザー血流計による測定を続けた。なお、血管閉塞時間は、塩化鉄投与から、血流5mL/分間/100g以下が1分間以上継続した際の、閉塞開始時刻までに要した時間とした。
【実施例】
【0100】
マウスin vivo塩化鉄血栓形成モデルを用いた血管閉塞時間延長効果を、図27に示す。
その結果、DMSOを投与した対照と比較して、Co-HP投与により、顕著に血管閉塞時間が延長することが分かった。
【実施例】
【0101】
<マウスin vivoにおける出血時間への影響の評価>
一般的な抗血栓薬の副作用として、血液が固まりにくくなる作用(出血傾向)があり、出血のリスクがあることが知られている。そこで、ヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)の投与が、出血してから止血するまでの時間(出血時間)に与える影響を下記の方法により評価した。
【実施例】
【0102】
C57BL/6系統マウス(8週齢、雄、日本チャールズ・リバー株式会社、各群n=8)に3質量%セボフルラン(丸石製薬株式会社製)をプラスチックボックスに0.5L/分間で気化させ、マウスをボックス内に入れて麻酔を導入した。実験が終了するまでこの麻酔条件下で麻酔状態を維持した。1質量%DMSO、又は100μg/mLのCo-HPを眼窩より200μL投与することにより化合物投与を行った(1匹あたり20μg、循環血液量2mLとして、10μg/mL)。10分間後に、マウス尾部を先端より2mmカミソリで切断し、断端を37℃の生理食塩水に浸し、出血時間を記録した。
なお、止血の基準を、30秒間以上再出血が起こらないこととし、出血時間は、尾部切断から、止血の開始時刻までに要した時間とした。
【実施例】
【0103】
マウスin vivoにおける出血時間への影響を、図28に示す。
その結果、Co-HP投与群における出血時間(平均±標準偏差:212.0±86.4秒間)は、DMSOを投与した対照の出血時間(152.0±52.6秒間)に対して、統計的有意差が観察されず、したがって、出血の副作用が少ない抗血栓薬などとして有用であることが分かった。
【実施例】
【0104】
<K/BxNマウス血清移入関節炎モデルを用いた関節炎への影響の評価>
CLEC-2欠損骨髄キメラマウスに、関節炎抑制作用があることを本発明者らは新たに見出した。そこで、ヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)の投与が、リウマチ様関節炎に与える影響を下記の方法により評価した。
【実施例】
【0105】
関節炎誘発性K/BxNマウス血清(山梨大学にて繁殖の上、血清を採取)100μL/Bodyを、処置当日(Day0)と処置後2日目(Day2)に、レシピエントマウスへと腹腔投与した(図29~30中、黒矢頭)。前記レシピエントマウスとして、野生型骨髄キメラマウス(野生型マウス胎仔肝臓を放射線照射した野生型マウスに移植した15週齢の骨髄キメラC57BL/6雄マウス、図29、n=5;野生型マウスはC57BL/6系統マウス、8週齢、雄、日本チャールズ・リバー株式会社より購入した。)、又はCLEC-2欠損骨髄キメラマウス(血小板特異的CLEC-2欠損マウス胎仔肝臓を移植した15週齢の骨髄キメラC57BL/6雄マウス、図29、n=5;野生型マウスはC57BL/6系統マウス、8週齢、雄、日本チャールズ・リバー株式会社より購入した。)を用いた。
更に、野生型マウスにおいて、200μg/mLのCo-HPを100μL/Bodyで、Day0、2、4、及び6に眼窩静脈叢より投与した(図30、Co-HP投与群n=5)。一方、対照としてPBSを同様に投与した(図30、対照群n=6)。
処置後10日目(Day10)まで1日1回、前足の厚み、前足首の厚み、踵の厚み、後足の厚みをデジタルノギスにて測定した。各個体において、これらの測定値の合計を関節炎の程度の指標とした。結果を平均値±標準偏差で示し、Student’s t-testにより有意差検定を行った。
【実施例】
【0106】
野生型マウス(WT)、及びCLEC-2欠損骨髄キメラマウス(CLEC-2 KO)をレシピエントマウスとするK/BxNマウス血清移入関節炎モデルにおけるリウマチ様関節炎の炎症の程度を、図29に示す。また、野生型マウスをレシピエントマウスとするK/BxNマウス血清移入関節炎モデルにおけるリウマチ様関節炎に対するCo-HP投与による影響を、図30に示す。
図29の結果から、野生型マウスに比べて、CLEC-2欠損骨髄キメラマウスにおいてリウマチ様関節炎の炎症の程度は有意に抑制された。したがって、リウマチ様関節炎にCLEC-2が関与することが示唆された。
図30の結果から、Co-HP投与によって、リウマチ様関節炎の炎症の程度は有意に抑制された。おそらく、関節内滑膜細胞上に発現しているポドプラニンと血小板CLEC-2の結合で血小板が活性化され、炎症が促進される可能性があるのではないかと考えられる。
これらの結果から、Co-HPを始めとするCLEC-2拮抗剤は、抗リウマチ薬などの抗関節炎薬として使用できる可能性が示唆された。
【実施例】
【0107】
<リンパ管内皮上の血栓形成への影響の評価>
血管内皮上のみならず、リンパ管内皮上でも血栓が形成されることが知られている。そこで、リンパ管内皮上で形成された血栓に対する、ヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)の投与による影響を、下記の方法により評価した。
【実施例】
【0108】
ヒトリンパ管上皮細胞(LEC)をパラレルプレートフローチャンバー(ibidi μ-スライドVI0.1、ibiTreat、ibidi社製)上で単層状に培養し、1質量%ウシ血清アルブミン(BSA)を含有する内皮細胞成長培地(商品名:;EGM-2、Lonza社製)を用いてLECのブロッキングを2時間行った。
健康なボランティアからのヒト全血を、100ng/mLアルガトロバン(商品名:ノバスタン、田辺三菱製薬株式会社製)、及び5U/mLヘパリン(商品名:ヘパリンNa注、持田製薬株式会社製)を用いて採取した。血液を5μMの3-ジヘキシルオキシカルボシアニンヨウ化物(DiOC、Thermo Fisher Scientific社製)、及び化合物(Co-HP)又は対照溶媒(DMSO)を含有する内皮細胞成長培地で10分間の前処理を行った。得られた血液サンプルを400s-1のせん断速度で10分間、前記パラレルプレートフローチャンバーに灌流した。蛍光ビデオ顕微鏡を用いて、血小板接着を視覚化し、灌流開始から、1、3、5、7、及び10分間経過後に静止画を撮影した。10分間経過後の静止画を、血小板接着面積を画像処理ソフトウェアImage J(URL:https://imagej.nih.gov/ij/)を用いて定量した。
【実施例】
【0109】
ヒトリンパ管上皮細胞(LEC)の血小板接着を視覚化した写真、及び血小板接着面積を定量化したグラフを、それぞれ図31及び図32に示す。
その結果、ヘマトポルフィリンコバルト錯体(Co-HP)の投与により、リンパ管内皮上での血栓形成が著しく抑制されることが示唆された。
【実施例】
【0110】
悪性腫瘍手術においてリンパ節郭清を施行後、リンパ浮腫が生じることがある。日本における上肢リンパ浮腫患者が5万人、下肢リンパ浮腫患者が7万人となっており、この数は年々増加している。リンパ浮腫が慢性化すると、象皮化、線維化と進み、感染を繰り返したり、QOLが著しく低い状態となる。リンパ浮腫の治療の一つとして、リンパ管静脈吻合術を行い、リンパ管内のリンパ液を静脈に灌流させるという治療法がある。これは有効な治療法であるが、長期の開存率は40%しかない。吻合部が閉塞してしまう原因の一つに吻合部での血栓形成がある。おそらく、血液がリンパ管内に逆流する際、血小板CLEC-2とリンパ管内皮のポドプラニンが結合して血栓が形成されるものと考えられる。CLEC-2とポドプラニンの結合を抑制することができれば、リンパ管血管吻合術後の閉塞をある程度予防できると考える。
本実験の結果から、リンパ管内皮上での血栓形成がCo-HPで著しく抑制されることが明らかとなった。このことは、Co-HPを始めとするCLEC-2拮抗剤がリンパ管血管吻合部などの血管以外の部位においても、抗血栓薬として使用できることを示唆する。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
15
【図17】
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【図18】
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【図19】
18
【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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