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明細書 :支持体上に単原子が分散した構造体、支持体上に単原子が分散した構造体を製造する方法およびスパッタ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年12月13日(2018.12.13)
発明の名称または考案の名称 支持体上に単原子が分散した構造体、支持体上に単原子が分散した構造体を製造する方法およびスパッタ装置
国際特許分類 B01J  35/02        (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
B01J  37/34        (2006.01)
B01J  23/42        (2006.01)
B01J  23/46        (2006.01)
B01J  23/52        (2006.01)
C01B  32/182       (2017.01)
C01B  32/194       (2017.01)
C01B  32/186       (2017.01)
C23C  14/14        (2006.01)
C23C  14/34        (2006.01)
C23C  16/26        (2006.01)
B82Y  30/00        (2011.01)
B82Y  40/00        (2011.01)
FI B01J 35/02 ZNMH
B01J 37/02 301P
B01J 37/34
B01J 23/42 M
B01J 23/46 M
B01J 23/46 301M
B01J 23/52 M
C01B 32/182
C01B 32/194
C01B 32/186
C23C 14/14 D
C23C 14/34 R
C23C 16/26
B82Y 30/00
B82Y 40/00
国際予備審査の請求
全頁数 33
出願番号 特願2017-565507 (P2017-565507)
国際出願番号 PCT/JP2017/002670
国際公開番号 WO2017/135136
国際出願日 平成29年1月26日(2017.1.26)
国際公開日 平成29年8月10日(2017.8.10)
優先権出願番号 2016016872
2016176829
優先日 平成28年2月1日(2016.2.1)
平成28年9月9日(2016.9.9)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】郷原 一壽
【氏名】前原 洋祐
【氏名】山崎 憲慈
出願人 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100105050、【弁理士】、【氏名又は名称】鷲田 公一
審査請求 未請求
テーマコード 4G146
4G169
4K029
4K030
Fターム 4G146AA01
4G146AB07
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4G146AC01B
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4G146BC23
4G146BC34B
4G146BC38B
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4G169BC33B
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4K030GA14
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4K030JA10
要約 発明は、支持体上に単原子が分散した構造体に関する。上記構造体は、スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成された支持体と、上記アンカーサイトに吸着されて、上記前記支持体上に単原子で分散した、前記スパッタリングが可能な原子と、を含む。上記構造体は、より多様な種類の原子を単原子で分散させることが可能である。
特許請求の範囲 【請求項1】
スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成された支持体と、
前記アンカーサイトに吸着されて、前記支持体上に単原子で分散した、前記スパッタリングが可能な原子と、を含む、
支持体上に単原子が分散した構造体。
【請求項2】
前記支持体は、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した積層体であり、
前記アンカーサイトは、グラフェン上またはナノグラフェンからなる層の表面のうち、その上に形成された前記ナノグラフェンからなる層の端部と接する領域である、
請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記支持体は、活性炭である、請求項1または2に記載の構造体。
【請求項4】
前記原子の90%以上が単原子で分散した分散体である、請求項1~3のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項5】
前記スパッタリングが可能な原子は、遷移金属の原子である、請求項1~4のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項6】
前記スパッタリングが可能な原子は、白金(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)またはルテニウム(Ru)である、請求項1~5のいずれか1項に記載の構造体。
【請求項7】
スパッタリングが可能な原子を含むターゲットと、スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成された支持体と、が配置され、かつ、スパッタガスが導入されたチャンバー内で、
予め求められた、少なくとも前記スパッタリングが可能な原子の一部を単原子で前記支持体上に分散させることが可能なスパッタリング条件で、前記ターゲットと前記支持体との間に電圧を印加して、ターゲットをスパッタする工程を含む、支持体上に単原子が分散した構造体を製造する方法。
【請求項8】
前記支持体は、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した支持体であり、
前記アンカーサイトは、グラフェン上またはナノグラフェンからなる層の表面のうち、その上に形成された前記ナノグラフェンからなる層の端部と接する領域である、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記支持体は、活性炭である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記電圧は、150V以下である、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記電圧は、1.5秒以下印加される、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記スパッタガスは、70体積%以上の窒素(N)を含むガスである、請求項7~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記ターゲットは、遷移金属を含む、請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記ターゲットは、白金(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)またはルテニウム(Ru)である、請求項7~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
さらに、前記ターゲットをスパッタする工程の前に、
送り出しローラに巻かれた銅箔を順次送り出す工程と、
化学気相蒸着法(CVD)によって前記銅箔上にグラフェンを成膜して前記支持体とする工程とを含む、
請求項7~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
密閉可能なチャンバーと、
前記チャンバー内に設けられた、スパッタリングが可能な原子を含むターゲットが配置されるターゲット配置部と、
前記チャンバー内に設けられた、スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成された支持体が配置される支持体配置部と、
前記チャンバー内にスパッタガスを導入するスパッタガス導入部と、
前記ターゲットと前記支持体との間に電圧を印加する、電圧印加部と、
前記スパッタガス導入部および電圧印加部を制御して、予め求められた、少なくとも前記スパッタリングが可能な原子の一部を単原子で前記支持体上に分散させることが可能なスパッタリング条件で、前記ターゲットと前記支持体との間に電圧を印加させる、制御部と、
を備えるスパッタ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、支持体上に単原子が分散した構造体、支持体上に単原子が分散した構造体を製造する方法およびスパッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小サイズの粒子は、バルク状の物質とは異なる性質を有することがある。たとえば、白金(Pt)や金(Au)などの遷移金属は、ナノ粒子にすると様々な触媒能を発現することが知られている。非特許文献1には、上記ナノ粒子の粒径が小さくなるほど、金属原子が有する配位不飽和サイトの数が増加し、その結果として、粒子の触媒能が大きくなると記載されている。
【0003】
このような観点からは、粒子の粒径を小さくしていけば、上記触媒能がより高まると期待される。実際に、究極的に小さい粒径を有する粒子である単原子の分散体を作製し、その触媒能を測定する研究が行われている。非特許文献1、非特許文献2および非特許文献3は、単原子で分散させたPt原子やパラジウム(Pd)原子が様々な反応を選択的かつ高効率に触媒することを報告している。
【0004】
また、より平均粒径が小さい粒子の分散体、特には単原子の分散体、を製造することができれば、高機能な触媒への応用のみならず、膜厚がより小さい薄膜の形成や、化学的または物理的な反応の分子レベルでの研究が可能となるなど、様々な分野への応用が期待される。
【0005】
しかし、非特許文献1および非特許文献2にも記載されているように、粒子サイズが小さくなると、分子の表面自由エネルギーがより高くなり、粒子同士はより凝集しやすくなる。そのため、平均粒径が小さい粒子の分散体(特には単原子の分散体)を製造することは容易ではなく、特別の方法が必要である。たとえば、非特許文献1および非特許文献2では、PtまたはPdを分子内に有する前駆体化合物と表面処理によって炭素原子を部分的に欠損させたグラフェンからなる基板とを化学結合させる方法(原子層堆積法など)によって、基板の表面に単原子のPtまたはPdを分散させている。また、非特許文献3では、成膜速度を1分間あたり0.02層に制御した電子ビーム蒸着法によって、銅(Cu)からなる基板の表面に単原子のPtを分散させている。
【0006】
なお、非特許文献3で採用されている電子ビーム蒸着法は、物理気相成長法の一種であるが、物理気相成長法としては、超高真空下で行われる蒸着法の他に、スパッタガスの存在下で行われるスパッタリングが知られている。ただし、非特許文献4および非特許文献5に記載されているように、スパッタリングでは、ターゲットからはじき飛ばされた原子が、スパッタガスと衝突して電荷を帯びたり、逆にスパッタガスの分子によって軌道を変更させられて原子同士で凝集したりしやすいと考えられていた。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】Yangら、"Single-Atom Catalysis: A New Frontier in Heterogeneous Catalysts"、Accounts of Chemical Research、2013年、 Vol. 46、 No. 8、p.1740 - 1748
【非特許文献2】Yanら、"Single-Atom Pd1/Graphene Catalyst Achieved by Atomic Layer Deposition: Remarkable Performance in Selective Hydrogenation of 1,3-Butadiene"、Journal of the American Chemical Society、2015年、 Vol. 137、 p.10484 - 10487
【非特許文献3】Lucciら、"H2Activation and Spillover on Catalytically Relevant Pt-Cu Single Atom Allays"、the Journal of Physical Chemistry、2015年、 Vol. 19、p.24351 - 24357
【非特許文献4】Pilchら、"Fast growth of nanoparticles in a hollow cathode plasma through orbit motion limited ion collection"、Applied Physics Letters、2013年、 Vol. 103、p.193108-1 - 193108-5
【非特許文献5】Bouchatら、"Carbon nanoparticles synthesized by sputtering and gas condensation inside a nanocluster source of fixed dimension"、Surface and Coatings Technology、2011年、 Vol. 205、 p.S577 - S581
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、非特許文献1および非特許文献2に記載の方法では、用いることができる前駆体化合物の種類が限られており、限られた種類の分子しか用いることができない。また、前駆体化合物を系内に入れて反応させる処理には時間がかかるため、分散体の製造効率が高めにくい。
【0009】
一方で、非特許文献3に記載のような蒸着法は高温環境下で行われるため、蒸発した分子の運動エネルギーが大きくなり、基板に付着する前に凝集しやすい。そのため、特に単原子の分散体を安定して作製することができない。
【0010】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、より多様な種類の原子を単原子で分散させることが可能な、支持体上に原子が分散した構造体、そのような構造体を製造する方法、およびそのような構造体を製造できるスパッタ装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、以下の支持体上に単原子が分散した構造体、支持体上に単原子が分散した構造体を製造する方法およびスパッタ装置に関する。
[1]スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成された支持体と、前記アンカーサイトに吸着されて、前記支持体上に単原子で分散した、前記スパッタリングが可能な原子と、を含む、支持体上に単原子が分散した構造体。
[2]前記支持体は、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した積層体であり、前記アンカーサイトは、グラフェン上またはナノグラフェンからなる層の表面のうち、その上に形成された前記ナノグラフェンからなる層の端部と接する領域である、[1]に記載の構造体。
[3]前記支持体は、活性炭である、[1]または[2]に記載の構造体。
[4]前記原子の90%以上が単原子で分散した分散体である、[1]~[3]のいずれかに記載の構造体。
[5]前記スパッタリングが可能な原子は、遷移金属の原子である、[1]~[4]のいずれかに記載の構造体。
[6]前記スパッタリングが可能な原子は、白金(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)またはルテニウム(Ru)である、[1]~[5]のいずれかに記載の構造体。
[7]スパッタリングが可能な原子を含むターゲットと、スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成された支持体と、が配置され、かつ、スパッタガスが導入されたチャンバー内で、予め求められた、少なくとも前記スパッタリングが可能な原子の一部を単原子で前記支持体上に分散させることが可能なスパッタリング条件で、前記ターゲットと前記支持体との間に電圧を印加して、ターゲットをスパッタする工程を含む、支持体上に単原子が分散した構造体を製造する方法。
[8]前記支持体は、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した支持体であり、前記アンカーサイトは、グラフェン上またはナノグラフェンからなる層の表面のうち、その上に形成された前記ナノグラフェンからなる層の端部と接する領域である、[7]に記載の方法。
[9]前記支持体は、活性炭である、[7]または[8]に記載の方法。
[10]前記電圧は、150V以下である、[7]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]前記電圧は、1.5秒以下印加される、[7]~[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記スパッタガスは、70体積%以上の窒素(N)を含むガスである、[7]~[11]のいずれかに記載の方法。
[13]前記ターゲットは、遷移金属を含む、[7]~[12]のいずれかに記載の方法。
[14]前記ターゲットは、白金(Pt)、金(Au)、イリジウム(Ir)またはルテニウム(Ru)である、[7]~[13]のいずれかに記載の方法。
[15]さらに、前記ターゲットをスパッタする工程の前に、送り出しローラに巻かれた銅箔を順次送り出す工程と、化学気相蒸着法(CVD)によって前記銅箔上にグラフェンを成膜して前記支持体とする工程とを含む、[7]~[14]のいずれかに記載の方法。
[16]密閉可能なチャンバーと、前記チャンバー内に設けられた、スパッタリングが可能な原子を含むターゲットが配置されるターゲット配置部と、前記チャンバー内に設けられた、スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成された支持体が配置される支持体配置部と、前記チャンバー内にスパッタガスを導入するスパッタガス導入部と、前記ターゲットと前記支持体との間に電圧を印加する、電圧印加部と、前記スパッタガス導入部および電圧印加部を制御して、予め求められた、少なくとも前記スパッタリングが可能な原子の一部を単原子で前記支持体上に分散させることが可能なスパッタリング条件で、前記ターゲットと前記支持体との間に電圧を印加させる、制御部と、を備えるスパッタ装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、より多様な種類の原子を単原子で分散させることが可能な、支持体上に単原子が分散した構造体、そのような構造体を製造する方法、およびそのような構造体を製造できるスパッタ装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した積層体である支持体にPtの単原子を分散させた構造体を高角度散乱暗視野・走査透過電子顕微鏡法(HAADF-STEM)によって撮像した画像である。
【図1B】図1Bは、図1Aの点線で囲んだ領域を拡大し、ピクセルの強度が略同一である領域ごとに色分けした図である。
【図2A】図2Aは、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した積層体である支持体に金(Au)を分散させた構造体をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図2B】図2Bは、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した積層体である支持体にイリジウム(Ir)を分散させた構造体をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図2C】図2Cは、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した積層体である支持体にルテニウム(Ru)を分散させた構造体をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図3】図3は、スパッタされた原子が単原子の状態で支持体上に到達し、支持体上を拡散してアンカーサイトに吸着される様子を示す模式図である。
【図4】図4は、支持体がナノグラフェンからなる層がグラフェンからなる基板上に島状に積層した積層体である場合に、スパッタされた原子が単原子の状態で到達し、支持体上を拡散してアンカーサイトに吸着される様子を示す模式図である。
【図5A】図5Aは、ロール・ツー・ロール(RTR)法による、銅箔上に成膜したグラフェンである支持体上に単原子が分散した構造体を製造する方法を示す模式図である。
【図5B】図5Bは、銅箔上に成膜した後に他のシートに転写したグラフェン上に上記構造体を製造する方法を示す模式図である。
【図6】図6は、本発明の一実施形態におけるスパッタ装置を示す模式図である。
【図7A】図7Aは、実施例1において作製した支持体をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示した画像中に設定した領域について、始点からの距離を横軸に、ピクセルごとの強度を縦軸にプロットしたグラフである。
【図7C】図7Cは、図7Aを、ピクセルの強度が略同一である領域ごとに色分けした図である。
【図8A】図8Aは、実施例1において、スパッタリング時間を1秒としたスパッタリング後に、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図8B】図8Bは、実施例1において、スパッタリング時間を2秒としたスパッタリング後に、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図8C】図8Cは、実施例1において、スパッタリング時間を5秒としたスパッタリング後に、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図8D】図8Dは、実施例1において、スパッタリング時間を10秒としたスパッタリング後に、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図8E】図8Eは、実施例1において、スパッタリング時間を30秒としたスパッタリング後に、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図9A】図9Aは、スパッタリング時間を10秒としたときの、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図9B】図9Bは、図9Aと同じ領域をエネルギー分散型X線分析法(EDX)で、Ptに対応する波長の特性X線によって撮像した画像である。
【図10】図10は、スパッタリング時間(単位は秒)を横軸にプロットし、それぞれのスパッタリング時間における基板表面に存在するPt原子の数の相対値を縦軸にプロットしたグラフである。
【図11A】図11Aは、スパッタリング時間を1秒としたときの、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図11B】図11Bは、図11Aをローパスフィルタおよび閾値処理によってノイズ処理して得た画像である。
【図12】図12は、図11Bにおける各点の最近接点間距離の小数点第一位を四捨五入した値ごとに、最近接点間距離がその値である点の個数を求めて、その結果をヒストグラムとして表したものである。
【図13】図13は、図11Bにおける各分散体を構成する点の数ごとに、点の数がその値である分散体の個数を求めて、その結果をヒストグラムとして表したものである。
【図14A】図14Aは、実施例5において、雰囲気ガスをHeとしたスパッタリング後に、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図14B】図14Bは、図14Aの倍率を変更した画像である。
【図14C】図14Cは、実施例5において、雰囲気ガスを大気としたスパッタリング後に、基板表面に設定した領域をHAADF-STEMによって撮像した画像である。
【図14D】図14Dは、図14Cの倍率を変更した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態は、支持体上に単原子が分散した構造体に関する。上記支持体には、スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成されており、上記アンカーサイトには、上記スパッタリングが可能な原子が、少なくともその一部が単原子で吸着されている。

【0015】
また、本発明の別の実施形態は、上記支持体上に単原子が分散した構造体を製造する方法に関する。上記支持体上に単原子が分散した構造体は、スパッタリングが可能な原子を含むターゲットと、スパッタリングが可能な原子を吸着可能なアンカーサイトが形成された支持体と、が配置され、かつ、スパッタガスが導入されたチャンバー内で、少なくとも前記スパッタリングが可能な原子の一部を単原子で前記支持体上に分散させることが可能なスパッタリング条件で、前記ターゲットと前記支持体との間に電圧を印加して、ターゲットをスパッタすることで、製造することができる。

【0016】
なお、単原子で分散しているとは、隣り合う単原子間の距離が、その原子同士が結合しているときの原子間距離(結合距離)よりも大きいことを意味する。たとえば、あるPt原子が単原子で分散しているとは、そのPt原子と、そのPt原子から最短距離にある他のPt原子と、の間の距離が、Pt-Pt間の原子間距離である2.7Åよりも大きいことを意味する。複数種類の原子が単原子で分散しているときは、上記原子間距離は、分散体を構成する原子のすべての組みあわせについて求められる原子間距離のうち最小のものとすることができる。

【0017】
上記スパッタリング条件は、単原子が分散した構造体が製造できる条件として、分散させる原子との組みあわせごとに、予め求めておくことができる。このようにして求めた条件で次回からスパッタリングを行えば、上記構造体を容易に製造することができる。

【0018】
なお、スパッタリングは薄膜を形成する技術であり、スパッタリングで単原子の分散体を形成することは今までに想起すらされていなかった。また、非特許文献4および非特許文献5などに記載されている技術常識に鑑みると、仮にスパッタリングで単原子の分散体を形成しようとしても、安定した分散体(特には単原子の分散体)の形成は、困難であると考えることが通常である。これに対し、本発明者らは、スパッタリングでも、条件を適切に制御することで、スパッタされた原子を単原子の状態で上記支持体に到達させ得ることを見出した。また、本発明者らは、上記アンカーサイトが形成された支持体にスパッタされた原子を到達させることで、上記単原子の状態で支持体に到達した原子を単原子のまま分散させ得ることを見出した。本発明者らは、これらの知見に基づき、さらに検討を加えることで、本発明を完成させた。

【0019】
スパッタされた原子を単原子の状態で支持体に到達させるためのスパッタリングの条件は、原子の種類や、アンカーサイト間の距離、単位時間に支持体に到達する単原子の量、支持体に到達した単原子が支持体上を拡散する速度などによって異なると考えられる。そのため、適切なスパッタリングの条件も、これらの組み合わせに応じて多数存在すると考えられる。しかし、適切な条件を探索して一度見つければ、次回の処理からは条件を変更せずに同様の処理を行えばよいので、過度の負担なく本発明を実施することができる。なお、本発明者らの知見によれば、上記スパッタリングの条件は、電圧を印加する時間がより短い点を除けば、薄膜を形成するために行う通常のスパッタリングの条件から大きくかけ離れることはない。そのため、各原子に適切な上記スパッタリングの条件は、比較的容易に探し出すことができると考えられる。

【0020】
スパッタされた原子を単原子の状態で支持体に到達させるための条件は、たとえば、以下の方法で求めることができる。条件を変更しながらスパッタリングを行ってターゲットを構成する原子を支持体表面に付着させ、それぞれの条件について、支持体表面に付着した原子をエネルギー分散型X線分析法(EDX)などで撮像する。条件ごとに撮像された画像のうち、粒径が数Å程度の粒子が支持体表面にまばらに分散する画像を仮に選択する。選択された画像内で観察される粒子について、粒子の大きさ(粒径)がスパッタした原子の原子半径(通常、数Å程度)と同じ程度であり、かつ、隣り合う粒子との距離が上記原子の原子間距離(結合距離:通常、数Å程度)よりも大きければ、その粒子は単原子であると判断できる。一定の領域(たとえば、50nm×50nmの領域)を観察して、その領域に存在するすべての原子のうち、所定の割合が単原子であれば、その画像が得られた条件では、スパッタされた原子のうち上記所定の割合を単原子の状態で支持体に到達させることができると判断できる。

【0021】
上記所定の割合は、製造しようとする構造体の用途等に応じて定めることができるが、たとえば20%以上、30%以上、50%以上、70%以上、90%以上、95%以上および99%以上などから任意に選択すればよい。

【0022】
また、上記スパッタリングの条件を変更せずに処理を行えば、支持体に到達する原子の数は、電圧を印加する時間に略比例して増加していく。そのため、電圧を印加する時間のみを変更すれば、支持体に到達する原子の数を略正確に制御することができると考えられる。このとき、電圧を印加する時間をより長くすれば、複数の原子が凝集したクラスタの分散体ができてしまうため、単原子で分散している割合が減る事になるが、これにより構造体における単原子として分散している上記単原子の割合を、99%以上、95%以上、90%以上、70%以上、50%以上威。30%以上および20%以上のように制御することができる。

【0023】
なお、電子ビーム蒸着法は超高真空下で行わなければならず、わずかにでも残留ガスが存在すると、高温環境下で蒸発した原子または分子と酸素や水素とが反応してしまい、分散体を構成する分子の組成が変化してしまうおそれがある。これに対し、本発明では、スパッタガスとして不活性ガスを用いれば、スパッタされた原子が支持体に到達する前に反応することもなく、より純度の高い組成を有する分散体を得ることができる。

【0024】
さらには、電子ビーム蒸着法では電子ビームが照射された点状の領域のみからターゲットが蒸発するため、多数の原子を同時に飛行させることが難しく、多数の分散体を形成することが難しいが、スパッタリングではより多数の分散体を同時に形成することが可能になる。

【0025】
(スパッタリングの条件)
上記ターゲットは、製造しようとする分散体を構成する原子を表面近傍に含む、スパッタリング用のターゲットであればよい。なお、表面近傍とは、電圧の印加によってスパッタガスによってスパッタされ得る、ターゲットの表面から厚み方向に規定された三次元の領域を意味する。

【0026】
上記表面近傍におけるターゲットの原子組成は、製造しようとする分散体を構成する原子を含むものであればよい。たとえば、単一種の原子からなる分散体を得ようとする場合は、上記表面近傍における上記原子の割合は99%以上であることが好ましく、99.9%以上であることがより好ましい。一方で、複数種の原子をそれぞれ一定の割合で含む分散体を得ようとする場合は、それぞれの原子を、分散させようとする割合と同じ割合で含むことが好ましい。

【0027】
上記ターゲットの形状や大きさは特に限定されず、スパッタリングを行う装置の構成などに応じて任意に定めることができる。

【0028】
上記分散体を構成する原子は、ターゲットの表面近傍に固体として存在しうる原子であり、かつ、スパッタガスによってスパッタされ得る原子であればよく、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、亜鉛(Zn)および銅(Cu)などを含む金属元素の原子でも、ケイ素(Si)などを含む非金属元素の原子であってもよい。上記分散体を構成する原子は、ターゲットにおいて、酸化物や窒化物として存在してもよい。たとえば、触媒として用いられる分散体を製造する場合は、上記原子は遷移金属の金属原子であることが好ましく、貴金属の金属原子であることがより好ましく、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)または銀(Ag)であることがさらに好ましい。

【0029】
上記スパッタガスは、上記ターゲットから単原子をはじき飛ばすことができ、かつ、上記分散体を構成する原子との反応性を有さないものであればよく、大気、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N)ガスなどの公知のスパッタガスを用いることができる。上記原子とスパッタガスとの反応を生じにくくする観点からは、スパッタガスは、ヘリウム(He)およびアルゴン(Ar)などの希ガスならびに窒素(N)ガスなどを含む不活性ガスが好ましい。また、ターゲットから単原子をはじき飛ばしやすくする観点からは、上記スパッタガスは、分子量が小さい原子を含むものであることが好ましく、一方で、十分な量の単原子を一度にはじき飛ばしやすくする観点からは、上記スパッタガスは、分子量がある程度大きいものを含むものであることが好ましい。このような観点からは、上記スパッタガスは、70体積%以上のNを含むガスであることがより好ましい。70体積%以上のNを含むスパッタガスの例には、大気および窒素ガスが含まれる。

【0030】
上記スパッタガスの圧力は、ターゲットを構成する原子のうち前記所定の割合が単原子の状態で上記原子を支持体に到達させることができる限りにおいて、任意に設定することができる。

【0031】
上記チャンバーは、スパッタリングを行える通常の装置が備えるチャンバーであればよい。たとえば、ターゲットと支持体との距離は、ターゲットを構成する原子のうち前記所定の割合が単原子の状態で上記原子を支持体に到達させることができる限りにおいて、任意に設定することができる。また、チャンバー内の温度も同様に任意に設定することができるが、スパッタされた分子の運動エネルギーを小さくして、飛行中の原子が凝集することを抑制する観点からは、チャンバー内の温度は40℃以下であることが好ましく、常温であることがより好ましい。

【0032】
上記電圧の大きさは、上記ターゲットから単原子をはじき飛ばすことができる強度であればよい。スパッタガスの衝突によりターゲットに付与されるエネルギー量を小さくして、ターゲットからより多くの単分子をはじき飛ばしやすくする観点からは、上記電圧は500V以下であることが好ましく、300V以下であることがより好ましく、150V以下であることがさらに好ましく、50V以下であることがさらに好ましい。

【0033】
上記電圧は、連続して印加し続けてもよいし、所定の時間の印加を繰り返し行ってもよい。なお、上記したように、支持体に到達する原子の数は、電圧を印加する時間に略比例して増加していく。また、支持体に到達する原子の数が増えると、原子同士が凝集してクラスタを形成することがある。そのため、電圧を印加する時間と、支持体に到達する原子の数と、の関係を予め求めておき、所望の割合の原子が単原子として分散する時間だけ、電圧を印加することが好ましい。

【0034】
本発明者らの知見によれば、単原子の分散体を製造するときは、連続して印加し続ける場合および所定の時間の印加を繰り返し行う場合のいずれにおいても、電圧を印加する時間の合計は1.5秒以下であることが好ましい。

【0035】
また、所定の時間の電圧印加を繰り返し行うときは、1回の電圧印加によって支持体に到達する原子の数を少なくしたほうが、単原子の分散体をより製造しやすい。上記観点からは、1回あたりの電圧を印加する時間は、1.5秒以下であることが好ましい。一方で、短時間で分散体を製造する観点からは、1回あたりの電圧を印加する時間は、0.5秒以上であることが好ましい。

【0036】
(支持体)
支持体には、上記スパッタされた原子を吸着可能なアンカーサイトが形成されている。アンカーサイトは、単原子を共有結合によらずに吸着可能なサイトである。アンカーサイトは、ファンデルワールス力などの静電的な相互作用によって原子を吸着できる。

【0037】
たとえば、上記支持体は、ナノグラフェンからなる1または複数の層がグラフェン上に島状に積層した積層体とすることができる。このような支持体にPtの単原子を分散させた構造体を高角度散乱暗視野・走査透過電子顕微鏡法(HAADF-STEM)によって撮像した画像を図1Aに示す。図1Aに示すように、この構造体には、図中白色で示されるPtが単原子で分散している。図1Aの点線で囲んだ領域を拡大し、ピクセルの強度が略同一である領域(ナノグラフェンからなる層)ごとに色分けした図を図1Bに示す。図1Bでは、グラフェン上に島状に積層したナノグラフェンを、層ごとに異なる濃度で示している。図1Bから明らかなように、Ptは、グラフェン上またはナノグラフェンからなる層の表面のうち、その上に形成された前記ナノグラフェンからなる層の端部と接する領域(アンカーサイト)に存在している。

【0038】
なお、グラフェンは炭素からなる6員環の構造が平面方向に連続して構成される。グラフェンのうち、炭素原子が部分的に欠損した空穴(ボイド)の端部や、シート状のグラフェンの端部(これらの端部を、「エッジ」ともいう。)では、原子が吸着しやすいことがわかっている。

【0039】
しかし、本発明者らの知見によれば、上記積層体において、上記ボイドやエッジよりも、グラフェン上またはナノグラフェンからなる層の表面のうち、その上に形成された前記ナノグラフェンからなる層の端部と接する領域(以下、単に「ステップエッジ」ともいう。)に、単原子はより吸着されやすい。これは、ボイドやエッジでは単原子を吸着するために十分な力の相互作用が生じないが、ステップエッジでは下の表面と上に形成された層の端部との2方向から単原子と相互作用できるため、より強い吸着力が生じることによると考えられる。また、ナノグラフェンからなる1または複数の層が島状に積層された積層体では、ステップエッジが多数形成されており、支持体に到達した単原子は上記ステップエッジに吸着されて支持体上に分散すると考えられる。

【0040】
また、図2A~図2Cに示すように、上記積層体に金(Au)(図2A)、イリジウム(Ir)(図2B)およびルテニウム(Ru)(図2C)の単原子を到達させたところ、いずれもステップエッジに吸着されて支持体上に分散した。これらの結果が示すように、上記積層体は、様々な原子をステップエッジに単原子で吸着して支持体上に分散させることができる。

【0041】
上記ナノグラフェンからなる層の、連続する層間の積層方向の距離は、通常、0.33nm以上0.35nm以下である。層の数は特に限定されず、たとえば、2層以上15層以下とすることができ、2層以上7層以下とすることが好ましい。

【0042】
また、上記島状に積層したナノグラフェンの、島間の距離の平均は、分散させる原子の原子間距離よりも長ければよい。ただし、上記島間の距離の平均が短いほど、単位面積中のステップエッジ数が増加し、より多数の単原子を単位面積中に吸着させて分散させることができる。そのため、単位面積中に分散させたい原子の個数に応じて、島間の距離の平均を調整すればよい。なお、上記島間の距離の平均が長くても、以下に示すように支持体上に到達した単原子は支持体上を高速で拡散して瞬時にアンカーサイトに吸着されるので、支持体上での単原子同士の凝集は生じにくいと考えられる。

【0043】
上記アンカーサイトが形成された支持体上に、スパッタされた原子が単原子の状態で到達すると、図3に記載のように、到達した単原子は、支持体100(図3では基板110)上を拡散する。拡散した単原子は、アンカーサイト120に到達して、上記アンカーサイト120に吸着されることにより、上記支持体上に単原子の状態で分散した状態になると考えられる。

【0044】
本発明者らの知見によれば、アンカーサイトが上記原子を吸着する吸着エネルギーは、グラフェンまたはナノグラフェンからなる層の表面が上記原子を吸着する吸着エネルギーよりも格段に強い。そのため、図3において支持体100に到達した上記単原子は瞬時にアンカーサイトに吸着され、上記拡散は瞬時に終了する。そのため、次々に単原子が支持体100上に到達しても、支持体100上で拡散中の単原子同士が凝集することなく、単原子のままでアンカーサイト120に吸着されると考えられる。

【0045】
たとえば、図4に示すように、支持体200が、上記ナノグラフェンからなる層230がグラフェンからなる基板210上に島状に積層した積層体である場合、単原子で到達した原子は基板210上を拡散し、アンカーサイト220である上記ナノグラフェンからなる層230の端部に吸着される。

【0046】
従来、グラフェンは、単一の原子層からなる平膜が平面状に広がるように作製されてきた。これに対し、あえてナノグラフェンからなる層をグラフェン上に形成することで、アンカーサイトである上記ステップエッジが多く形成され、単位面積あたりにより多くの単原子を分散させることができる。ナノグラフェンからなる層の量は、グラフェン成膜時の圧力や温度を調整するほか、成膜したグラフェンに電子ビームを照射するなどの方法によって、調整することができる。

【0047】
また、活性炭などの、上記積層体を有する材料を支持体としてもよい。活性炭は、直径が1nm以上20nm程度の微細孔を多数有し、体積に対する表面積の割合が非常に高い。そのため、活性炭を支持体として用いれば、単位体積あたりの単原子の含有率を飛躍的に増大させることができると考えられる。

【0048】
なお、グラフェンは、ロール・ツー・ロール(RTR)法によって製造されることがある。RTR法とは、図5Aに記載のように、送り出しローラ510に巻かれた銅箔を順次送り出し、化学気相蒸着(CVD)部520によるCVDによってグラフェンを上記銅箔上に成膜し、上記グラフェンが成膜された銅箔を巻き取りローラ530で巻き取る方法である。RTR法によれば、広い面積を有するグラフェンを、連続的に、かつ、大量に製造することができる。なお、CVD部520は、低温でのCVDが可能であり工業的な利用可能性が高いことから、表面波励起マイクロ波プラズマによるグラフェンの成膜が可能なプラズマ発生装置であることが好ましい。

【0049】
このとき、上記RTR法によるグラフェン製造装置500は、CVD部520の下流、かつ、巻き取り部530の上流に、単原子スパッタ部540を設けることができる。

【0050】
単原子スパッタ部540は、上述した予め求めた条件でスパッタリングを行い、CVD部320によって形成されたグラフェン上に上記スパッタリングが可能な原子を到達させて、成膜されたグラフェン上に、上記原子の少なくとも一部を単原子で分散させる。

【0051】
なお、図5Bに記載のように、グラフェン製造装置500’は、CVD部520の下流、かつ、単原子スパッタ部540の上流に、成膜されたグラフェンを他のシート(ポリプロピレンシートなど)に転写する転写部550を有していてもよい。

【0052】
このような構成とすることで、グラフェンからなる支持体上に単原子が分散した構造体を、連続的に、かつ、大量に製造することができる。

【0053】
(スパッタ装置)
上述した支持体上に単原子が分散した構造体は、図6に例示するスパッタ装置600で製造することができる。

【0054】
スパッタ装置600は、チャンバー610と、ターゲット配置部620と、支持体配置部630と、スパッタガス導入部640と、電圧印加部650と、制御部660と、を備える。

【0055】
チャンバー610は、内部を密閉状態とすることが可能なチャンバーであればよい。ターゲット配置部620は、チャンバー610に備えられ、上述したターゲットTを保持する。支持体配置部630は、チャンバー610に備えられ、上述した支持体Sを保持する。このとき、ターゲット配置部620および支持体配置部630は、ターゲットTのスパッタされる面と支持体Sのアンカーサイトが形成された面とが対向して配置されるように、チャンバー610内に備えられる。スパッタガス導入部640は、チャンバー610内に上述したスパッタガスを導入する。スパッタガス導入部640は、チャンバー610内部の圧力を、予め定められた圧力に調整してもよい。電圧印加部650は、ターゲットTと前記支持体Sとの間に電圧を印加する、

【0056】
制御部660は、スパッタガス導入部640および電圧印加部650を制御して、上述した、予め求められた、少なくとも前記スパッタリングが可能な原子の一部を単原子で前記支持体S上に分散させることが可能なスパッタリング条件で、ターゲットTと支持体Sとの間に電圧を印加させる。たとえば、制御部660は、ターゲットTが含む原子の種類、アンカーサイトの種類、スパッタガスなどに応じて定められた電圧および時間を設定して、電圧印加部650に、ターゲットTと支持体Sとの間に電圧を印加させる。電圧が印加されると、スパッタガスの分子MgがターゲットTに衝突して、ターゲットTに含まれる分子Mtがはじき飛ばされ、支持体Sに到達する。支持体Sに到達した分子Mtは、支持体S上を拡散してアンカーサイトに吸着され、単原子の分散体を構成する。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を参照して本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
【実施例】
【0058】
[実施例1]
(支持体)
1cm角の銅箔を1晩以上酢酸に浸漬させて銅箔表面の自然酸化膜を除去し、自然酸化膜が除去された銅箔を純水で複数回リンスした後CVD装置内へ導入した。グラフェンの成長は60kPa、1000℃で行い、炭素源としてアルゴン希釈のメタンガスを使用した。装置内の圧力は電子制御コントローラで設定値から0.1%以下の誤差で制御し、グラフェン成長後はヒーターコイルから銅箔を遠ざけ、サンプルを急冷した。
【実施例】
【0059】
成長したグラフェンを、直径3mmの円柱状をした透過電子顕微鏡用TEMグリッドの上面に転写して、支持体とした。このとき、裏面に成長したグラフェンの転写による多層化を防ぐため、硫酸と過酸化水素水の混合溶液に上記銅箔の裏面を浸漬させた。その後、上記銅箔の裏面だけを100mM過硫酸アンモニウム水溶液に浸漬させ、銅箔を溶解した。銅箔の溶解後、過硫酸アンモニウム水溶液を純水に置換して、直径3mmの円柱状をした透過電子顕微鏡用TEMグリッドで水面に浮かんだグラフェンをすくい取って、上記TEMグリッドの上面に上記グラフェンを転写した。
【実施例】
【0060】
上記転写したグラフェンを、収差補正電子顕微鏡(FEI社製、Titan3 G2 60-300)を用いて、加速電圧80kVで、高角度散乱暗視野・走査透過電子顕微鏡法(HAADF-STEM)で観察した。このとき得られた画像を図7Aに示す。
【実施例】
【0061】
図7Aに示すように、画像中には、白黒の異なるコントラストの領域が存在していた。図7Aに示した画像中に設定した領域(図7A中、点線で示す。)について、始点からの距離を横軸に、ピクセルごとの強度を縦軸にプロットしたグラフを図7Bに示す。強度は0、1、2と記した3つの異なる領域に分かれており、それぞれ、グラフェンが存在しない穴、ナノグラフェンが1層に積層した領域、およびナノグラフェンが2層に積層した領域であることが解析された。
【実施例】
【0062】
図7Aを、ピクセルの強度が略同一である領域ごとに色分けした図を図7Cに示す。図7Cに示すように、上記得られたグラフェンは、島状のナノサイズの領域から全体が構成されていることが分かった。詳細な解析により、一番下に単層のグラフェンがあり、その上にナノサイズのグラフェンが積層した構造をしており、一番多い領域では7層まで積み重なっていることが明らかとなった。
【実施例】
【0063】
(スパッタリング)
スパッタリングターゲットとして、直径57mm、厚さ0.2mmの円柱状をしたPtターゲットを用意した。このPtターゲットの純度は99.99%だった。
【実施例】
【0064】
上記Ptターゲットと上記支持体とを、Ptターゲットと転写されたグラフェンとが対向するように、スパッタリング装置(日本電子株式会社製、JFC-1600)が備えるチャンバーに設置し、上記Ptターゲットと上記支持体との間に以下の条件で電圧を印加して、直流電流を流した。
【実施例】
【0065】
(チャンバー内部の条件)
雰囲気ガス: 大気
圧力: 4.5Pa
温度: 常温
(電流の条件)
電圧: 100V
電流: 10mA
【実施例】
【0066】
上記電圧を1秒間印加して、1秒間のスパッタリングを行ったものとした。2秒間以上のスパッタリングを行うときは、10秒の間隔を空けて上記1秒間のスパッタリングを繰り返した。このとき、スパッタリング時間を積算した値が目標となる時間となるよう、上記1秒間のスパッタリングを繰り返す回数を調整した。
【実施例】
【0067】
上記条件で、スパッタリング時間を1秒、2秒、3秒、4秒、5秒、7秒、10秒、または30秒としてスパッタリングを行った。それぞれの時間のスパッタリングが終了した後、収差補正透過電子顕微鏡(日本電子株式会社製、JEM-ARM200F)を用いて、支持体表面に任意に設定した4か所の領域(それぞれ約50nm×約50nm)を、高角度散乱暗視野・走査透過電子顕微鏡法(HAADF-STEM)およびエネルギー分散型X線分析法(EDX)で撮像した。なお、以下に示す画像について、特に機器名を示さない場合は、日本電子株式会社製、JEM-ARM200Fを用いて撮像した画像を意味する。
【実施例】
【0068】
図8A~図8Eは、いずれも、スパッタリング後に、支持体表面に設定した上記領域をHAADF-STEMによって撮像した画像のうちの1枚である。図8Aはスパッタリング時間を1秒、図8Bはスパッタリング時間を2秒、図8Cはスパッタリング時間を5秒、図8Dはスパッタリング時間を10秒、図8Eはスパッタリング時間を30秒としたときの画像である。図8A~図8Eから、スパッタリング時間が短い(たとえば、1秒または2秒)ときは、孤立した点状の分散体が支持体表面に形成されることがわかった。また、スパッタリング時間をより長くすると、点が凝集したクラスタ状の分散体が形成されることがわかった。
【実施例】
【0069】
図9Aは、スパッタリング時間を10秒としたときの、支持体表面に設定した上記領域(ただし、図8Dとは別の領域)をHAADF-STEMによって撮像した画像のうちの1枚である。図9Bは、図9Aと同じ領域を、エネルギー分散型X線分析法(EDX)で、Ptに対応する波長の特性X線によって撮像した画像である。図9Aの分散状態と図9Bの分散状態が一致していることから、HAADF-STEMによって撮像した画像に存在する点はPt原子であることがわかった。
【実施例】
【0070】
それぞれの時間のスパッタリングを行った後、支持体表面に存在するPt原子の数の相対値を測定した。なお、上記領域から得られたPtに対応する特性X線のうち、M線の積算強度が、上記領域に存在するPt原子の数に比例すると考えられる。そのため、上記4か所の領域をEDXによって撮像して、M線の積算強度をそれぞれ求め、得られた積算強度を、その領域に存在するPt原子の数の相対値とした。図10は、スパッタリング時間(単位は秒)を横軸にプロットし、それぞれのスパッタリング時間における上記支持体表面に存在するPt原子の数の相対値を縦軸にプロットしたグラフである。スパッタリング時間が長くなるにつれて、上記Pt原子の数の相対値は直線的に増加することがわかる。このことから、スパッタリング時間を変更することで、支持体表面に付着するPt原子の数を制御できることがわかった。なお、このことから、Pt原子数と特性X線によって撮像したときのM線の積算強度との関係を予め調べておけば、特性X線によって撮像した領域内に存在するPt原子の総数を求めることができることもわかる。さらに、スパッタリング時間が長くなると、原子が凝集して大きなクラスタを形成するため、スパッタリングされた総原子数に対する単原子として分散している割合が減少することになる。この結果を用いて、単原子として分散している原子の割合を制御することが可能である。
【実施例】
【0071】
図11Aは、スパッタリング時間を1秒としたときの、支持体表面に設定した上記領域(ただし、図8Aとは別の領域)をHAADF-STEMによって撮像した画像のうちの1枚である。図11Aの右上に、特に強い強度を示す2つの点を拡大した画像を示している。図11Aの右上に示す拡大図から明らかなように、それぞれの分散体の直径は2Å以下であり、Ptの原子半径(1.4Å程度)とほぼ同じだった。このことから、点状の分散体は単原子であることが示唆された。また、図8Aおよび図8Bでは孤立した点が多数存在することから、上記条件ではスパッタされたPt原子が単原子で支持体に付着したことがわかった。
【実施例】
【0072】
図11Bは、図11Aをローパスフィルタおよび閾値処理によってノイズ処理して得た画像である。図11Bに示されるそれぞれの点は、Ptの単原子であると推測される。この領域(2690nm)における点の数(Pt原子の数)は、710個だった。
【実施例】
【0073】
さらに、図11Bにおいて、それぞれの点から最も近い位置にある点までの距離(最近接点間距離:単位はÅ)を求めた。なお、Pt原子の原子間距離(結合距離)は2.7Å以下であるため、最近接点間距離が2.7Å以下となる複数の点は互いに結合して凝集しており、最近接点間距離が2.7Å以上の点は孤立して存在すると考えられる。なお、以下では、集計を容易にするため、上記最近接点間距離の小数点第一位を四捨五入した値が3以上の点は孤立しており、2以下の点は凝集しているものとした。
【実施例】
【0074】
図12は、上記最近接点間距離の小数点第一位を四捨五入した値ごとに、最近接点間距離がその値である点の個数を求めて、その結果をヒストグラムとして表したものである。図12から明らかなように、710個の点のうち、704個は最近接点間距離が3Å以上(孤立して存在している)となっていた。最近接点間距離が2Å以下(凝集している)の点は、6個(2個の点からなる組が3つ)のみだった。
【実施例】
【0075】
図13は、最近接点間距離が3Å以上(孤立して存在している)である点は1個の点で分散体を形成し、最近接点間距離が2Å以下の点の組は凝集して分散体を形成しているとして、それぞれの分散体を構成する点の数を求めて、各分散体を構成する点の数ごとに、点の数がその値である分散体の個数を求めて、その結果をヒストグラムとして表したものである。図13から明らかなように、710個の点のうち、704個(約99.2%)は1個の点で分散体を形成していた。
【実施例】
【0076】
図1は、スパッタリング時間を1秒としたときの、支持体表面に設定した上記領域(ただし、図8Aとは別の領域)を、収差補正電子顕微鏡を用いて、加速電圧80kVで、HAADF-STEMによって撮像した画像である。なお、図1は、ピクセルの強度差がより明瞭になるように画像を補正している。図1Bは、図1Aの点線で囲んだ領域を拡大し、ピクセルの強度が略同一である領域(層)ごとに色分けした図である。図1Aに示すように、Ptは、炭素が部分的に欠損した空穴(ボイド:図中黒色部分)には存在せず、グラフェン上またはナノグラフェンからなる層の表面(図中灰色部分)上に存在していた。図1Bから明らかなように、Pt原子(白丸)は、ナノグラフェンからなる層の端部に接する領域(ステップエッジ)に存在していた。
【実施例】
【0077】
[実施例2]
スパッタリングターゲットとして、直径57mm、厚さ0.2mmの円柱状をしたAuターゲットを用意した。このAuターゲットの純度は99.99%だった。
【実施例】
【0078】
上記ターゲットを用い、スパッタリングの条件を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、スパッタリングを行った。
【実施例】
【0079】
(チャンバー内部の条件)
雰囲気ガス: 大気
圧力: 5.0Pa
温度: 常温
(電流の条件)
電圧: 200V
電流: 10mA
【実施例】
【0080】
上記条件での5秒間のスパッタリングが終了した後、支持体表面に任意に設定した領域を、HAADF-STEMによって撮像した画像を図2Aに示す。図2Aと同じ領域を、エネルギー分散型X線分析法(EDX)で、Auに対応する波長の特性X線によって撮像したところ、図2Aの分散状態と一致していることから、図2Aに存在する点はAu原子であることがわかった。
【実施例】
【0081】
[実施例3]
スパッタリングターゲットとして、直径57mm、厚さ0.2mmの円柱状をしたIrターゲットを用意した。このIrターゲットの純度は99.99%だった。
【実施例】
【0082】
上記ターゲットを用い、スパッタリングの条件を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、スパッタリングを行った。
【実施例】
【0083】
(チャンバー内部の条件)
雰囲気ガス: He
圧力: 5.0Pa
温度: 常温
(電流の条件)
電圧: 200V
電流: 10mA
【実施例】
【0084】
上記条件での5秒間のスパッタリングが終了した後、支持体表面に任意に設定した領域を、HAADF-STEMによって撮像した画像を図2Bに示す。図2Bと同じ領域を、エネルギー分散型X線分析法(EDX)で、Irに対応する波長の特性X線によって撮像したところ、図2Bの分散状態と一致していることから、図2Bに存在する点はIr原子であることがわかった。
【実施例】
【0085】
[実施例4]
スパッタリングターゲットとして、直径57mm、厚さ0.2mmの円柱状をしたRuターゲットを用意した。このRuターゲットの純度は99.99%だった。
【実施例】
【0086】
上記ターゲットを用い、スパッタリングの条件を以下のように変更した以外は実施例1と同様にして、スパッタリングを行った。
【実施例】
【0087】
(チャンバー内部の条件)
雰囲気ガス: He
圧力: 5.0Pa
温度: 常温
(電流の条件)
電圧: 200V
電流: 10mA
【実施例】
【0088】
上記条件での5秒間のスパッタリングが終了した後、支持体表面に任意に設定した領域を、HAADF-STEMによって撮像した画像を図2Cに示す。図2Cと同じ領域を、エネルギー分散型X線分析法(EDX)で、Ruに対応する波長の特性X線によって撮像したところ、図2Cの分散状態と一致していることから、図2Cに存在する点はRu原子であることがわかった。
【実施例】
【0089】
[実施例5]
スパッタリング時のチャンバー内部の雰囲気ガスをHeに変更した以外は実施例1と同様にして、スパッタリングを行った。チャンバー内部の雰囲気ガスを大気にして、実施例1と同様にして、再度、スパッタリングを行った。
【実施例】
【0090】
上記条件での1秒間のスパッタリングが終了した後、支持体表面に任意に設定した領域を、HAADF-STEMによって撮像した画像を図14A~図14Dに示す。図14Aおよびその倍率を変更した図14Bは、雰囲気ガスがHeであるときの画像であり、図14Cおよびその倍率を変更した図14Dは、雰囲気ガスが大気であるときの画像である。
【実施例】
【0091】
図14より、雰囲気ガスによらずに、スパッタリングによって支持体上に単原子が分散した構造体を作製できることがわかった。また、分子量が大きい(N:28)雰囲気ガスでスパッタリングを行うほうが、分子量が小さい(He:2)雰囲気ガスでスパッタリングを行うよりも多量の単原子を一度にはじき飛ばして、単原子の分散密度がより高い構造体を製造できることがわかった。
【実施例】
【0092】
以上の結果から、スパッタリングの条件を適切に設定することで、単原子の分散体を作製することができ、かつ、スパッタリングの時間を調整することで、支持体に付着する原子の数を略正確に制御できることがわかった。
本出願は、2016年2月1日出願の日本国出願番号2016-016872号および2016年9月9日出願の日本国出願番号2016-176829号に基づく優先権を主張する出願であり、当該出願の明細書、特許請求の範囲および図面に記載された内容は本出願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明による支持体上に単原子が分散した構造体および本発明による支持体上に単原子が分散した構造体の製造方法は、より薄い膜の形成や、より効率の高い触媒の製造に用いることができると期待される。
【符号の説明】
【0094】
500、500’ グラフェン製造装置
510 送り出しローラ
520 化学気相蒸着(CVD)部
530 巻き取り部
540 単原子スパッタ部
550 転写部
600 スパッタ装置
610 チャンバー
620 ターゲット配置部
630 支持体配置部
640 スパッタガス導入部
650 電圧印加部
660 制御部
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図2A】
2
【図2B】
3
【図2C】
4
【図3】
5
【図4】
6
【図5A】
7
【図5B】
8
【図6】
9
【図7A】
10
【図7B】
11
【図7C】
12
【図8A】
13
【図8B】
14
【図8C】
15
【図8D】
16
【図8E】
17
【図9A】
18
【図9B】
19
【図10】
20
【図11A】
21
【図11B】
22
【図12】
23
【図13】
24
【図14A】
25
【図14B】
26
【図14C】
27
【図14D】
28