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明細書 :ターゲットの分析方法及びターゲット分析チップ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年11月29日(2018.11.29)
発明の名称または考案の名称 ターゲットの分析方法及びターゲット分析チップ
国際特許分類 C12Q   1/6813      (2018.01)
C12Q   1/6825      (2018.01)
C12M   1/00        (2006.01)
G01N  35/00        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
G01N  21/64        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C12Q 1/6813 ZNAZ
C12Q 1/6825 Z
C12M 1/00 A
G01N 35/00 D
G01N 37/00 101
G01N 21/64 F
C12N 15/09 Z
国際予備審査の請求
全頁数 42
出願番号 特願2017-562811 (P2017-562811)
国際出願番号 PCT/JP2017/001280
国際公開番号 WO2017/126479
国際出願日 平成29年1月16日(2017.1.16)
国際公開日 平成29年7月27日(2017.7.27)
優先権出願番号 2016011018
優先日 平成28年1月22日(2016.1.22)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】村上 章
【氏名】小堀 哲生
【氏名】山吉 麻子
【氏名】野田 雄一郎
出願人 【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100079049、【弁理士】、【氏名又は名称】中島 淳
【識別番号】100084995、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 和詳
【識別番号】100099025、【弁理士】、【氏名又は名称】福田 浩志
審査請求 未請求
テーマコード 2G043
2G058
4B029
4B063
Fターム 2G043AA03
2G043BA16
2G043CA03
2G043EA01
2G043FA02
2G043KA02
2G043KA03
2G058AA09
2G058BA05
2G058BA06
2G058BA10
2G058CF02
2G058DA01
2G058DA07
2G058GA01
4B029AA07
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4B029CC13
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4B029FA15
4B063QA13
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4B063QR32
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4B063QR50
4B063QS07
4B063QS34
4B063QS39
4B063QX02
要約 PCRを行うことなく、マイクロRNAをはじめとするターゲットを直接的に検出するための新たなターゲットの分析方法及びターゲット分析チップを提供する。
本発明のターゲットの分析方法は、試料中のターゲットと、前記ターゲットに結合する標識プローブと、前記ターゲット及び担体に結合する担体結合用プローブとを接触させ、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合反応させ、第1の結合体を形成する工程、前記第1の結合体と前記担体とを接触させ、前記第1の結合体と前記担体とを結合反応させ、第2の結合体を形成する工程、前記担体を濃縮する工程、及び前記濃縮された担体に結合した前記標識プローブの標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程を含むことを特徴とする。
特許請求の範囲 【請求項1】
試料中のターゲットと、前記ターゲットに結合する標識プローブと、前記ターゲット及び光透過性を有する素材で形成された担体に結合する担体結合用プローブとを液体溶媒中で接触させ、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合反応させ、第1の結合体を形成する工程である第1反応工程、
前記第1の結合体と前記担体とを接触させ、前記第1の結合体と前記担体とを結合反応させ、比重が前記液体溶媒より大きい第2の結合体を形成する工程である第2反応工程、
前記第2の結合体を含む前記液体溶媒を遠心し、前記第2の結合体を濃縮する工程である濃縮工程、並びに
前記濃縮された状態で、前記第2の結合体中に含まれる前記標識プローブの標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程である分析工程を含むことを特徴とする、ターゲットの分析方法。
【請求項2】
前記担体結合用プローブが、第1結合物質を含み、
前記担体が、前記第1結合物質と結合する第2結合物質を含み、
前記担体結合用プローブが、前記第1結合物質と前記第2結合物質との結合を介して前記担体と結合する、請求項1記載のターゲットの分析方法。
【請求項3】
前記ターゲットが、ターゲット核酸である、請求項1又は2記載のターゲットの分析方法。
【請求項4】
前記ターゲット核酸が、マイクロRNAである、請求項3記載のターゲットの分析方法。
【請求項5】
前記標識プローブが、蛍光標識プローブである、請求項3又は4記載のターゲットの分析方法。
【請求項6】
前記蛍光標識プローブが、前記担体結合用プローブと比較して、前記ターゲット核酸の5’端側に結合する、請求項5記載のターゲットの分析方法。
【請求項7】
前記蛍光標識プローブが、前記ターゲット核酸の5’端から連続する塩基に結合し、
前記担体結合用プローブが、前記ターゲット核酸の3’端から連続する塩基に結合する、請求項6記載のターゲットの分析方法。
【請求項8】
前記蛍光標識プローブの蛍光標識が、前記蛍光標識プローブが前記ターゲット核酸に結合することにより、シグナル変化する物質である、請求項5から7までのいずれか一項に記載のターゲットの分析方法。
【請求項9】
前記蛍光標識が、ピレンを含む物質である、請求項8記載のターゲットの分析方法。
【請求項10】
前記標識プローブが、さらにソラレンで修飾され、
紫外線を照射することにより、前記ソラレンと前記ターゲット核酸とを結合させる工程を含む、請求項3から9までのいずれか一項に記載のターゲットの分析方法。
【請求項11】
反応部、検出部、及び前記反応部と前記検出部とを連通する流路を備えた基板を有するターゲット分析チップを使用し、
前記反応部は、前記ターゲット、前記標識プローブ、前記担体結合用プローブ及び前記担体が結合反応する部位であり、
前記検出部は、前記第2の結合体が濃縮される部位であり、
前記流路は、前記第2の結合体の前記反応部から前記検出部への移動を制御する移動制御手段としての疎水性の内壁を有し、
前記移動制御手段により、前記第2の結合体は、前記流路の疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)を負荷された場合、前記流路を介して前記検出部に移動でき、
前記反応部に前記ターゲットを含む試料が導入された後、前記反応部にて前記第1反応工程が行われ、
さらに前記反応部にて前記第2反応工程が行われ、
前記反応部から前記流路を介して前記検出部までに至る間で前記濃縮工程が行われ、
前記検出部において、前記分析工程が行われる、請求項1から10までのいずれか一項に記載のターゲットの分析方法。
【請求項12】
前記検出部の高さが、1~500μmである、請求項11記載のターゲットの分析方法。
【請求項13】
前記担体が、ビーズである、請求項1から12までのいずれか一項に記載のターゲットの分析方法。
【請求項14】
前記ビーズの直径が、100nm~4μmである、請求項13記載のターゲットの分析方法。
【請求項15】
反応部、検出部、及び前記反応部と前記検出部とを連通する流路を備えた基板を有し、
前記反応部は、試料中のターゲット、前記ターゲットに結合する標識プローブ、前記ターゲット及び光透過性を有する素材で形成された担体に結合する担体結合用プローブ並びに前記担体が結合反応する部位であり、
前記検出部は、前記ターゲット、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブが結合した第1の結合体と、前記担体結合用プローブを介して前記担体と、が結合することにより形成された第2の結合体が濃縮される部位であり、
前記流路は、前記第2の結合体の前記反応部から前記検出部への移動を制御する移動制御手段としての疎水性の内壁を有し、
前記移動制御手段により、液体溶媒中において、比重が前記液体溶媒より大きい前記第2の結合体は、前記流路の疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)を負荷された場合、前記流路を介して前記検出部に移動できることを特徴とする、ターゲットの分析チップ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ターゲットの分析方法及びターゲット分析チップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血中マイクロRNA等のRNAと疾患との関連性が注目されており、前記RNAの検出を、疾患の早期発見等のため医療に利用することが試みられている。
【0003】
マイクロRNAの定量方法としては、例えば、ターゲットのマイクロRNAをポリメラーゼチェーンリアクション(PCR)により特異的に増幅して検出する方法が報告されている(特許文献1)。しかしながら、PCRが必須であるため、温度コントロールを行う装置、DNAへの逆転写等が必要であり、操作が煩雑となる。また、前記方法では、少量の試料に含まれるRNAから、逆転写によりDNAを得て、さらにPCRを行うことで増幅させている。しかし、このような逆転写PCRは、前記試料中のRNAの間接的な検出であって、直接的な検出ではないため、定量分析の場合、精度が十分ではないという問題がある。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許5192229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、PCRを必須とすることなく、マイクロRNAをはじめとするターゲットを直接的に検出するための新たなターゲットの分析方法及びターゲット分析チップの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記本発明の課題を解決するために、本発明のターゲットの分析方法は、試料中のターゲットと、前記ターゲットに結合する標識プローブと、前記ターゲット及び光透過性を有する素材で形成された担体に結合する担体結合用プローブとを液体溶媒中で接触させ、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合反応させ、第1の結合体を形成する工程である第1反応工程、
前記第1の結合体と前記担体とを接触させ、前記第1の結合体と前記担体とを結合反応させ、比重が前記液体溶媒より大きい第2の結合体を形成する工程である第2反応工程、
前記第2の結合体を含む前記液体溶媒を遠心し、前記第2の結合体を濃縮する工程である濃縮工程、並びに
前記濃縮された状態で、前記第2の結合体中に含まれる前記標識プローブの標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程である分析工程を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明のターゲット分析チップは、反応部、検出部、及び前記反応部と前記検出部とを連通する流路を備えた基板を有し、
前記反応部は、試料中のターゲット、前記ターゲットに結合する標識プローブ、前記ターゲット及び光透過性を有する素材で形成された担体に結合する担体結合用プローブ並びに前記担体が結合反応する部位であり、
前記検出部は、前記ターゲット、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブが結合した第1の結合体と、前記担体結合用プローブを介して前記担体と、が結合することにより形成された第2の結合体が濃縮される部位であり、
前記流路は、前記第2の結合体の前記反応部から前記検出部への移動を制御する移動制御手段としての疎水性の内壁を有し、
前記移動制御手段により、液体溶媒中において、比重が前記液体溶媒より大きい前記第2の結合体は、前記流路の疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)を負荷された場合、前記流路を介して前記検出部に移動できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、PCRを使用することなく、試料中のターゲットを直接的に分析できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のターゲット分析チップの一例を示す概略図であり、(A)は、斜視図、(B)は、平面図、(C)は、(A)のI-I方向の断面図である。
【図2】遠心装置の一例を示す断面図である。
【図3】遠心装置にターゲット分析チップを配置した状態の一例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施例1におけるガラスボトムディッシュ上のアビジン修飾ビーズを測定した写真である。
【図5】本発明の実施例1における蛍光シグナルのスペクトルを示すグラフである。
【図6】(A)は、実施例2における平均蛍光強度を示すグラフであり、(B)は、実施例2における吸光度を示すグラフである。
【図7】実施例3において使用した分析チップの内部の平面図である。
【図8】実施例3における総蛍光量の相対値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のターゲットの分析方法は、先述の通り、試料中のターゲットと、前記ターゲットに結合する標識プローブと、前記ターゲット及び光透過性を有する素材で形成された担体に結合する担体結合用プローブとを液体溶媒中で接触させ、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合反応させ、第1の結合体を形成する工程である第1反応工程、
前記第1の結合体と前記担体とを接触させ、前記第1の結合体と前記担体とを結合反応させ、比重が前記液体溶媒より大きい第2の結合体を形成する工程である第2反応工程、
前記第2の結合体を含む前記液体溶媒を遠心し、前記第2の結合体を濃縮する工程である濃縮工程、並びに
前記濃縮された状態で、前記第2の結合体中に含まれる前記標識プローブの標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程である分析工程を含むことを特徴とする。

【0011】
本発明のターゲットの分析方法では、例えば、前記担体結合用プローブが、第1結合物質を含み、
前記担体が、前記第1結合物質と結合する第2結合物質を含み、
前記担体結合用プローブが、前記第1結合物質と前記第2結合物質との結合を介して前記担体と結合する。

【0012】
本発明のターゲットの分析方法は、前記ターゲットが、ターゲット核酸である。

【0013】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記ターゲット核酸が、ターゲットRNAである。前記ターゲットRNAは、例えば、マイクロRNAである。

【0014】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記標識プローブが、蛍光標識プローブである。

【0015】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記蛍光標識プローブが、前記担体結合用プローブと比較して、前記ターゲット核酸の5’端側に結合する。

【0016】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記蛍光標識プローブが、前記ターゲット核酸の5’端から連続する塩基に結合し、
前記担体結合用プローブが、前記ターゲット核酸の3’端から連続する塩基に結合する。

【0017】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記蛍光標識プローブの蛍光標識が、前記蛍光標識プローブが前記ターゲット核酸に結合することにより、シグナル変化する物質である。

【0018】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記蛍光標識が、ピレンを含む物質である。

【0019】
本発明のターゲットの分析方法は、前記標識プローブが、さらにソラレンで修飾され、
紫外線を照射することにより、前記ソラレンと前記ターゲット核酸とを結合させる工程を含む。

【0020】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、波長450~510nmの蛍光シグナルを検出することにより、前記蛍光を検出する。

【0021】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記担体の直径が、100μm未満、より望ましくは、100nm~4μmである。

【0022】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、反応部、検出部、及び前記反応部と前記検出部とを連通する流路を備えた基板を有するターゲット分析チップを使用し、
前記反応部は、前記ターゲット、前記標識プローブ、前記担体結合用プローブ及び前記担体が結合反応する部位であり、
前記検出部は、前記第2の結合体が濃縮される部位であり、
前記流路は、前記第2の結合体の前記反応部から前記検出部への移動を制御する移動制御手段としての疎水性の内壁を有し、
前記移動制御手段により、前記第2の結合体は、前記流路の疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)を負荷された場合、前記流路を介して前記検出部に移動でき、
前記反応部に前記ターゲットを含む試料が導入された後、前記反応部にて前記第1反応工程が行われ、
さらに前記反応部にて前記第2反応工程が行われ、
前記反応部から前記流路を介して前記検出部までに至る間で前記濃縮工程が行われ、
前記検出部において、前記分析工程が行われる。

【0023】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記検出部の高さが、1~500μmである。

【0024】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記担体が、ビーズである。また、前記担体が、例えば、シリカ製である。

【0025】
本発明のターゲットの分析方法は、例えば、前記ビーズの直径が、100nm~4μmである。

【0026】
<ターゲット分析方法>
本発明のターゲット分析方法(以下、「分析方法」ともいう。)は、前述のように、試料中のターゲットと、前記ターゲットに結合する標識プローブと、前記ターゲット及び光透過性を有する素材で形成された担体に結合する担体結合用プローブとを液体溶媒中で接触させ、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合反応させ、第1の結合体を形成する工程(第1反応工程)、前記第1の結合体と前記担体とを接触させ、前記第1の結合体と前記担体とを結合反応させ、比重が前記液体溶媒より大きい第2の結合体を形成する工程(第2反応工程)、前記第2の結合体を含む前記液体溶媒を遠心し、前記第2の結合体を濃縮する工程(濃縮工程)、並びに前記濃縮された状態で、前記第2の結合体中に含まれる前記標識プローブの標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程(分析工程)を含むことを特徴とする。本発明の分析方法は、前記第1反応工程、前記第2反応工程、前記濃縮工程及び前記分析工程を含むことが特徴であり、その他の工程及び条件は、特に制限されない。本発明の分析方法は、前記第1反応工程及び前記第2反応工程において、前記ターゲット、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブの第1の結合体を、前記担体結合用プローブを介して前記担体に濃縮でき、かつ前記濃縮工程において、前記担体を濃縮できる。このため、本発明の分析方法は、例えば、前記分析工程において、前記ターゲットを含む第1の結合体が濃縮して結合された担体(第2の結合体)を高濃度の状態で分析できる。したがって、本発明の分析方法によれば、例えば、優れた感度及び精度を実現でき、例えば、供する試料が微量であっても、分析可能である。また、本発明の分析方法は、例えば、前記担体を高濃度の状態で分析できるため、前記ターゲットに結合していない前記標識プローブによる分析への影響を避けることができる。このため、本発明の分析方法は、例えば、バックグラウンドが低減されている。さらに、本発明の分析方法は、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとが、分散された状態で結合反応を行うことができ、さらに、得られた第1の結合体中の前記担体結合用プローブを介して、前記第1の結合体と前記担体とを結合させることができる。このため、本発明の分析方法は、例えば、第1反応工程において、反応液中に分散された前記標識プローブと前記ターゲットとの結合反応が起こる確率が高くなるため、前記標識プローブを固定化した前記担体を使用して前記ターゲットを分析する方法、又は前記担体結合用プローブと前記担体とが先に結合した結合体を使用して前記ターゲットを分析する方法と比較して、結合反応の時間をより短縮でき、また、感度をより向上できる。

【0027】
本発明の分析方法は、例えば、前記試料中のターゲットの有無を分析する定性分析であってもよいし、前記試料中のターゲットの程度を分析する定量分析であってもよい。本発明のターゲットの分析方法は、PCR工程を含まない。

【0028】
本発明の分析試料において、前記試料は、液体試料である。前記液体試料は、例えば、生体由来の検体が挙げられ、また、前記検体の希釈液、懸濁液等でもよい。前記検体は、例えば、血液、尿、胃液、喀痰、羊水、腹膜液等の体液、大腸、肺等の組織、口腔内細胞、生殖細胞、爪、毛等の細胞等が挙げられる。前記血液は、例えば、全血、血漿、血清、溶血液等が挙げられる。前記液体試料は、例えば、前処理したものを使用してもよい。前記前処理は、特に制限されず、例えば、前記検体に含まれる細胞からターゲット(例えば、RNA又はDNAの核酸等)を放出させる処理等が挙げられる。本発明の分析方法において、前記試料は、例えば、ターゲットを含む試料でもよいし、ターゲットを含まない試料でもよいし、ターゲットを含むか不明の試料であってもよい。

【0029】
本発明の分析方法において、前記ターゲットの種類は、特に制限されず、例えば、ターゲット核酸等が挙げられる。前記ターゲット核酸は、例えば、ターゲットRNA、ターゲットDNA等が挙げられる。前記ターゲットRNAは、特に制限されず、例えば、マイクロRNA、ウィルス由来RNA、メッセンジャーRNA等が挙げられる。前記ターゲットDNAは、特に制限されず、例えば、ゲノムDNA又はその断片、cDNA、血中遊離DNA、血中循環腫瘍細胞に含まれるDNA等が挙げられる。

【0030】
前記標識プローブは、標識物質により修飾(以下、「標識」ともいう。)されたプローブである。前記プローブは、例えば、RNA又はDNAが挙げられ、好ましくは、RNAである。前記RNAは、例えば、非修飾RNAでもよいし、修飾RNAでもよいし、両者を含んでもよい。前記修飾RNAは、例えば、2’-O-メチルRNA等が挙げられる。また、前記DNAは、例えば、修飾DNAでもよいし、非修飾DNAでもよいし、両者を含んでもよい。前記プローブは、例えば、人工核酸モノマーを含んでもよい。前記人工核酸モノマーは、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’-O,4’-C-Ethylenebridged Nucleic Acids)等が挙げられる。前記標識物質による前記プローブの修飾方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。前記標識プローブの配列は、例えば、分析対象のターゲットに基づいて、適宜設計できる。前記ターゲットが前記ターゲット核酸の場合、前記標識プローブの配列は、例えば、前記ターゲット核酸に部分的又は完全に相補的な配列が挙げられる。前記標識プローブの標識位置は、特に制限されず、例えば、前記標識プローブの3’末端の塩基でもよいし、5’末端の塩基でもよいし、それ以外の塩基でもよい。

【0031】
前記標識物質は、特に制限されず、例えば、蛍光標識物質、放射性標識物質等が挙げられる。前記蛍光標識物質は、特に制限されず、例えば、蛍光団等の蛍光物質等が挙げられる。前記蛍光標識物質は、例えば、フルオレセイン、リン光体、ローダミン、ポリメチン色素誘導体等が挙げられ、市販の蛍光標識物質は、例えば、Pacific Blue(登録商標、モレキュラー・プローブ社製)、BODIPY FL(登録商標、モレキュラー・プローブ社製)、FluorePrime(商品名、アマシャムファルマシア社製)、Fluoredite(商品名、ミリポア社製)、FAM(登録商標、ABI社製)、Cy3及びCy5(商品名、アマシャムファルマシア社製)、TAMRA(登録商標、モレキュラー・プローブ社製)等が挙げられる。

【0032】
前記標識プローブが前記蛍光標識物質で標識された蛍光標識プローブの場合、前記蛍光標識プローブの蛍光標識物質は、例えば、前記蛍光標識プローブが前記ターゲット(例えば、ターゲット核酸)に結合することにより、シグナル変化する物質であることが好ましい。前記シグナルは、例えば、蛍光シグナルである。このような蛍光標識物質であれば、例えば、前記ターゲットが結合した前記蛍光標識プローブと、前記ターゲットが未結合の前記蛍光標識プローブとを分離する必要がなく、分析精度をさらに向上でき、また、さらに簡便である。

【0033】
前記蛍光標識物質の具体例としては、例えば、ピレンを含む物質(以下、「ピレン含有物質」ともいう)が挙げられる。前記蛍光標識物質は、例えば、ピレンを含むものでもよいし、ピレンそのものでもよい。前記蛍光標識物質がピレン含有物質の場合、前記蛍光標識プローブの設計は、例えば、日本国特許第4238381号の記載を援用できる。前記ピレン含有物質は、例えば、ウリジン残基及び/又はシチジン残基を修飾することが好ましく、具体的には、ウリジン残基の2’位の水酸基及び/又はシチジン残基の2’位の水酸基に共有結合していることが好ましい。前記蛍光標識プローブは、例えば、前記ピレン含有物質が共有結合したウリジンを含むRNA、又は前記ピレン含有物質が共有結合したウリジン及び/又はシチジンを含むDNAであることが好ましい。前記ピレン含有物質で修飾した前記蛍光標識プローブは、例えば、前記ターゲット核酸(例えば、ターゲットRNA)と結合し、二重鎖構造を形成することで蛍光を発する。このため、前記蛍光のシグナルを検出することで、前記ターゲット核酸の分析が可能である。前記蛍光は、例えば、紫外光照射で励起することで、発光させることができる。前記照射光(励起光)の波長は、例えば、325~350nm(望ましくは、340nm)であり、蛍光の検出波長は、例えば、450~510nm(望ましくは、480nm)である。

【0034】
前記蛍光標識プローブは、例えば、さらにソラレンで修飾されていることが好ましい。前記蛍光標識プローブがソラレンを有する場合、例えば、前記蛍光標識プローブと前記ターゲット核酸との二重鎖に紫外光を照射すると、前記二重鎖において、前記蛍光標識プローブのソラレンが、前記ターゲット核酸におけるウラシル残基と共有結合する。このため、前記ターゲット核酸と前記蛍光標識プローブとの二重鎖結合を、より安定化でき、例えば、前記分析チップに対して、後述するような様々な処理を施している間においても、前記蛍光標識プローブから前記ターゲット核酸が解離することを十分に防止でき、また、感度もより向上できる。

【0035】
前記標識プローブの長さは、特に制限されず、例えば、前記ターゲットの種類に応じて、適宜決定できる。前記ターゲットが前記ターゲット核酸の場合、前記標識プローブの長さは、例えば、前記ターゲット核酸の長さに応じて適宜設定できる。前記ターゲット核酸がマイクロRNAの場合、前記標識プローブの長さは、例えば、7~15塩基長である。

【0036】
本発明の分析方法において、前記担体結合用プローブは、前記担体に結合可能な標識(結合用標識)により修飾されたプローブである。前記プローブは、例えばRNA又はDNAが挙げられる。前記RNAは、例えば、非修飾RNAでもよいし、修飾RNAでもよいし、両者を含んでもよい。前記修飾RNAは、例えば、2’-O-メチルRNA等が挙げられる。また、前記DNAは、例えば、修飾DNAでもよいし、非修飾DNAでもよいし、両者を含んでもよい。前記担体結合用プローブは、例えば、前記人工核酸モノマーを含んでもよい。前記結合用標識による前記担体結合用プローブの修飾方法は、特に制限されず、前記結合用標識の種類に応じて、公知の方法が採用できる。前記担体結合用プローブの配列は、例えば、分析対象のターゲットに基づいて、適宜設計できる。前記ターゲットが前記ターゲット核酸の場合、前記担体結合用プローブの配列は、例えば、前記ターゲット核酸に部分的又は完全に相補的な配列が挙げられる。前記担体結合用プローブにおける前記結合用標識の数は、特に制限されず、前記結合用標識の種類に応じて、適宜設定できる。

【0037】
前記結合用標識は、例えば、前記担体に特異的に結合する標識である。このような標識であれば、例えば、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとが、分散された状態で結合反応を行うことができ、さらに、得られた第1の結合体中の前記担体結合用プローブを介して、前記第1の結合体と前記担体とを結合させることができる。このため、本発明の分析方法は、例えば、前記標識プローブが固定化された前記担体を使用して前記ターゲットを分析する方法、又は前記担体結合用プローブと前記担体とを先に結合反応させた第1の結合体を使用して前記ターゲットを分析する方法と比較して、結合反応時に、反応系(例えば、反応液)に分散された前記標識プローブと前記ターゲットとの結合反応が起こる確率が高くなるため、結合反応の時間をより短縮でき、また、感度をより向上できる。また、前記標識プローブを固定化した前記担体を使用して前記ターゲットを分析する方法は、例えば、前記ターゲットが存在しない場合においても標識が検出されるため、バックグラウンドが高い。しかしながら、本発明の分析方法は、例えば、前記第1の結合体と結合した前記担体において、前記標識の検出が可能である。このため、本発明の分析方法は、例えば、前記標識プローブが固定化された前記担体を使用して前記ターゲットを分析する方法と比較して、バックグラウンドが低い。

【0038】
前記結合用標識の具体例としては、例えば、前記担体に結合可能な官能基、前記担体又は前記担体の標識に特異的に結合する物質等が挙げられる。前記担体結合用プローブにおける標識位置は、特に制限されず、例えば、前記プローブの5’末端の塩基、前記プローブの3’末端の塩基、それ以外の塩基等が挙げられ、好ましくは、前記プローブの5’末端の塩基である。前記担体結合用プローブにおける前記結合用標識の数は、特に制限されず、前記結合用標識の種類に応じて設定できる。

【0039】
前記担体結合用プローブの長さは、特に制限されず、例えば、前記ターゲットの種類に応じて、適宜決定できる。前記ターゲットが前記ターゲット核酸の場合、前記担体結合用プローブの長さは、例えば、前記ターゲット核酸の長さに応じて適宜設定できる。前記ターゲット核酸がマイクロRNAの場合、前記担体結合用プローブの長さは、例えば、7~25塩基長、望ましくは7~15塩基長である。

【0040】
前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブにおける前記ターゲットと結合する結合塩基数は、特に制限されず、例えば、前記ターゲットに応じて、適宜設定できる。前記ターゲットが前記ターゲット核酸の場合、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブの結合塩基数は、例えば、前記ターゲット核酸の長さに応じて、適宜設定できる。前記標識プローブの結合塩基数は、例えば、7~15塩基である。前記担体結合用プローブの結合塩基数は、例えば、7~25塩基、望ましくは7~15塩基である。

【0041】
前記標識プローブの結合塩基数は、例えば、前記担体結合用プローブの結合塩基数より少なくてもよいし、多くてもよいし、同じでもよい。

【0042】
本発明の分析方法において、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブの前記ターゲットにおける結合位置は、特に制限されず、例えば、異なる位置である。前記ターゲットが前記ターゲット核酸の場合、前記標識プローブは、例えば、前記担体結合用プローブと比較して、前記ターゲット核酸の5’端側に結合してもよいし、前記ターゲット核酸の3’端側に結合してもよいが、好ましくは、5’端側である。具体例として、前記標識プローブが、前記ターゲット核酸の5’端から連続する塩基に結合し、前記担体結合用プローブが、前記ターゲット核酸の3’端から連続する塩基に結合することが好ましい。

【0043】
前記ターゲットが前記ターゲット核酸の場合、前記標識プローブは、例えば、前記ターゲット核酸に対して相補的な塩基配列からなるプローブでもよいし、前記ターゲット核酸に対して相補的な塩基配列を含むプローブでもよい。後者の場合、前記標識プローブは、例えば、付加配列及び/又はリンカーを含む。前記標識プローブが付加配列を含む場合、例えば、前記標識プローブの付加配列が、前記標識物質により標識されてもよい。

【0044】
前記ターゲットが前記ターゲット核酸の場合、前記担体結合用プローブは、例えば、前記ターゲット核酸に対して相補的な塩基配列からなるプローブでもよいし、前記ターゲット核酸に対して相補的な塩基配列を含むプローブでもよい。後者の場合、前記担体結合用プローブは、例えば、付加配列及び/又はリンカーを含んでもよい。前記担体結合用プローブが付加配列を含む場合、例えば、前記担体結合用プローブの付加配列が前記結合用標識により標識されてもよい。前記リンカーは、特に制限されず、例えば、炭素数6~16の直鎖又は分枝アルキル鎖、アミド結合を含むリンカー、ポリエチレンオキシ構造を含むリンカー等が挙げられ、具体例として、アミド結合を含む炭素数6のアルキル鎖からなるリンカーが挙げられる。前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブが付加配列及び/又はリンカーを有する場合、両者の付加配列及び/又はリンカーは、例えば、同じでもよいし、異なってもよく、また、その長さは、例えば、同じでもよいし、異なってもよい。

【0045】
前記付加配列の塩基配列は、特に制限されない。前記付加配列を含む場合、前記付加配列の長さは、特に制限されず、例えば、1~10塩基長である。前記付加配列は、例えば、RNA又はDNAが挙げられる。

【0046】
本発明の分析方法において、前記担体は、例えば、前記担体結合用プローブに結合可能な標識(担体用標識)により修飾された担体である。前記担体は、特に制限されず、例えば、比重が1より大きく、かつ光透過性を有する素材で形成された担体が挙げられる。具体例として、前記担体は、例えば、シリカ製担体、シリカゲル製担体、アガロース製担体、ガラス(例えば、ホウケイ酸ガラス、ライムガラス)製担体、ポリスチレン製担体、アクリル樹脂担体、ポリビニルアルコール樹脂製担体、ポリカーボネート製担体等が挙げられる。前記担体の大きさは、特に制限されない。前記担体の形状は、特に制限されず、例えば、楕円、真円等の球状が挙げられ、具体例として、球状のビーズが挙げられる。前記担体が前記ビーズの場合、その直径は、下限が、例えば、0.1μm(100nm)、200nm、250nm、又は300nmであり、上限が、例えば、100μm未満であって、より望ましくは10μm、5μm、4μm、1μm、800nm、又は400nmであり、その範囲は、例えば、100nm~4μm、100~800nm、200nm~800nm、又は250~400nmである。ここで、光透過性を有する素材とは前記検出部で濃縮された際にターゲットを分析する際に、十分な光透過性を有する素材をいう。

【0047】
前記担体用標識による前記担体の修飾方法は、特に制限されず、前記担体用標識の種類に応じて、公知の方法が採用できる。前記担体用標識は、例えば、前記担体結合用プローブに特異的に結合する標識である。前記担体用標識の具体例としては、前記担体結合用プローブに結合可能な官能基、前記担体結合用プローブ又は前記結合用標識に特異的に結合する物質等が挙げられる。前記担体における前記担体用標識の数は、特に制限されず、前記担体用標識の種類に応じて、適宜設定できる。前記担体用標識と前記担体との結合は、直接的な結合でもよいし、間接的な結合でもよい。後者の場合、前記担体用標識は、例えば、前記リンカーを介して前記担体と結合する。

【0048】
前記担体結合用プローブと前記担体との結合は、例えば、直接的な結合でもよいし、間接的な結合でもよい。前者の場合、前記結合は、例えば、前記担体結合用プローブの官能基と前記担体の官能基との反応による結合等が挙げられる。後者の場合、前記結合は、例えば、前記担体結合用プローブの前記結合用標識を介した前記担体との結合、前記担体の前記担体用標識を介した前記担体結合用プローブとの結合、前記担体結合用プローブの前記結合用標識と前記担体の担体用標識との結合等が挙げられる。

【0049】
本発明の分析方法において、前記担体結合用プローブが、第1結合物質を含み、前記担体が、前記第1結合物質と結合する第2結合物質を含み、前記担体結合用プローブが、前記第1結合物質と前記第2結合物質との結合を介して前記担体と結合することが好ましい。前記第1結合物質と前記第2結合物質とは、少なくとも一方が他方に結合する物質の組合せであればよく、例えば、前記第1結合物質が、前記第2結合物質に結合してもよいし、前記第2結合物質が前記第1結合物質に結合してもよい。前記第1結合物質と前記第2結合物質との組合せは、特に制限されず、例えば、ビオチンとアビジンとの組合せ、抗原と前記抗原特異的な抗体との組合せ等が挙げられる。また、前記第1結合物質と前記第2結合物質とは、例えば、前記組合せの例示において、逆の組合せとしてもよい。

【0050】
本発明の分析方法において、以下の各工程は、例えば、反応系で行なってもよい。前記反応系は、液体系であり、前記反応系が含む試薬に応じて、例えば、前記試料、前記標識プローブ、及び前記担体結合用プローブを含む第1反応系、前記試料、前記標識プローブ、前記担体結合用プローブ及び前記担体を含む第2反応系等ということもできる。

【0051】
前記第1反応工程は、前述のように、前記試料中のターゲットと、前記ターゲットに結合する標識プローブと、前記ターゲット及び担体に結合する担体結合用プローブとを液体溶媒中で接触させ、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合反応させ、第1の結合体を形成する工程である。前記接触の順序は、特に制限されず、例えば、前記試料に、前記標識プローブ、及び前記担体結合用プローブを添加し、接触させる。そして、前記接触後の混合物(第1反応系)を、例えば、混合、撹拌することにより、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合させる。前記混合は、例えば、転倒混和、振動等の公知の方法が挙げられる。前記撹拌は、例えば、撹拌素子を用いた方法が挙げられる。前記第1反応工程において、前記試料と、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとの接触条件(例えば、温度、時間等)は、特に制限されない。前記接触温度は、例えば、室温(25℃前後)が挙げられる。

【0052】
前記第1反応工程において、前記標識プローブの数は、特に制限されず、例えば、前記試料中のターゲットの数に応じて、適宜決定できる。前記標識プローブの数は、例えば、前記ターゲットの数以上である。前記第1反応系における標識プローブの濃度は、特に制限されず、例えば、0.01~1nmol/Lである。前記標識プローブの濃度は、例えば、1種類の標識プローブの濃度でもよいし、2種類以上の標識プローブの濃度の合計の濃度でもよい(以下、同様)。

【0053】
前記第1反応工程において、前記担体結合用プローブの数は、特に制限されず、例えば、前記担体用標識の数に応じて適宜決定できる。前記担体結合用プローブの数は、例えば、前記担体用標識の数以下である。前記第1反応系における前記担体結合用プローブの濃度は、例えば、0.1~100pmol/Lである。前記担体結合用プローブの濃度は、例えば、1種類の担体結合用プローブの濃度でもよいし、2種類以上の担体結合用プローブの濃度の合計の濃度でもよい(以下、同様)。

【0054】
次に、前記第2反応工程は、前述のように、前記第1の結合体と前記担体とを接触させ、前記第1の結合体と前記担体とを結合反応させ、比重が前記液体溶媒より大きい第2の結合体を形成する工程である。前記接触の順序は、特に制限されず、例えば、前記第1の結合体を含む前記第1反応系に、前記担体を添加し、接触させる。そして、前記接触後の混合物(第2反応系)を、例えば、前記第1反応工程と同様に、混合、撹拌することにより、前記第1の結合体中の前記担体結合用プローブを介して、前記第1の結合体と前記担体とを結合させる。前記第2反応工程における混合、撹拌、及び接触条件(例えば、温度、時間等)は、例えば、前記第1反応工程の説明を援用できる。

【0055】
前記第2反応工程において、前記担体の数は、特に制限されない。前記第2反応系において、前記担体の体積(C)と、前記第2反応系の体積(R)との体積比の値(C/R)は、例えば、1/10~1/10、望ましくは1/10前後である。前記担体の体積は、例えば、1種類の担体の体積でもよいし、2種類以上の担体の体積の合計の体積でもよい(以下、同様)。

【0056】
前記濃縮工程は、前述のように、前記第2の結合体を含む前記液体溶媒を遠心し、前記第2の結合体を濃縮する工程である。前記濃縮工程において、濃縮される担体は、例えば、前記第2の結合体を形成している担体でもよいし、前記第2の結合体を形成している担体及び前記第2の結合体を形成していない担体の混合物でもよい。

【0057】
次に、前記分析工程は、前記濃縮された状態で、前記第2の結合体中に含まれる前記標識プローブの標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程である。前記標識の検出は、特に制限されず、例えば、前記標識の種類に応じて、適宜決定できる。具体例として、前記標識が蛍光標識物質の場合、前記標識の検出は、例えば、前記蛍光標識物質に起因する蛍光シグナルの検出である。前記蛍光シグナルの検出条件は、例えば、前記蛍光標識物質の種類に応じて、適宜設定できる。前記標識プローブが前記蛍光標識プローブの場合、前記蛍光標識プローブの前記蛍光標識は、例えば、前述のように、前記蛍光標識プローブが前記ターゲット核酸に結合することにより、シグナル変化する物質であることが好ましい。この場合、前記分析工程では、例えば、前記蛍光標識のシグナル変化を検出する。具体例として、前記蛍光標識が、前記ピレン含有物質の場合、前記検出部に紫外光を照射して、ピレンに起因する蛍光シグナルを検出する。前記ピレンに起因する蛍光シグナルの検出条件は、例えば、前述の通りである。

【0058】
本発明の分析方法は、例えば、ターゲット分析チップ(以下、「分析チップ」ともいう。)を使用して実施してもよい。前記分析チップは、例えば、前記第1反応工程、前記第2反応工程、前記濃縮工程及び前記分析工程を実施できる分析チップであればよく、その構成は、特に制限されない。前記分析チップは、例えば、反応部、検出部、及び前記反応部と前記検出部とを連通する流路を備えた基板を有し、前記反応部は、試料中のターゲット、前記ターゲットに結合する標識プローブ、前記ターゲット及び光透過性を有する素材で形成された担体に結合する担体結合用プローブ並びに前記担体が結合反応する部位であり、前記検出部は、前記ターゲット、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブが結合した第1の結合体と、前記担体結合用プローブを介して前記担体と、が結合することにより形成された第2の結合体が濃縮される部位であり、前記流路は、前記第2の結合体の前記反応部から前記検出部への移動を制御する移動制御手段としての疎水性の内壁を有し、前記移動制御手段により、液体溶媒中において、比重が前記液体溶媒より大きい前記第2の結合体は、前記流路の疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)を負荷された場合、前記流路を介して前記検出部に移動できる、分析チップが挙げられる。本発明の分析方法は、例えば、前記分析チップを使用し、実施することにより、簡便に実施することができる。また、前記分析チップは、例えば、前記反応工程における結合反応、及び前記濃縮工程における濃縮を効果的に実施可能である。このため、本発明の分析方法は、前記分析チップを使用し、実施することにより、より優れた感度及び精度を実現できる。前記分析チップの説明は、例えば、後述する本発明のターゲット分析チップの説明を援用できる。

【0059】
前記分析チップを使用する場合、前記分析方法は、例えば、前記反応部に前記試料を導入する工程(試料導入工程)、前記試料中のターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを接触させ、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合反応させ、第1の結合体を形成する工程(第1反応工程)、前記反応部に前記担体を導入する工程(担体導入工程)、前記第1の結合体と前記担体とを接触させ、前記第1の結合体と前記担体とを結合反応させ、第2の結合体を形成する工程(第2反応工程)、前記反応部における第2の結合体を、前記疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)によって、前記検出部に移動させ、前記担体を濃縮する工程(濃縮工程)、及び、前記検出部において、前記濃縮された担体に結合した前記標識プローブの標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程(分析工程)を含む。

【0060】
前記試料導入工程は、例えば、前述のように、前記反応部に、前記試料を導入する工程である。前記試料の導入方法は、特に制限されない。前記試料は、例えば、前記反応部の開口から導入する。前記反応部において、後述するように、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブが固定化されている場合、前記試料が導入されることによって、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブの固定化が解除され遊離する。また、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブが固定化されていない場合、前記試料導入工程と同時に、あるいはその前後に、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブを前記反応部に導入する工程を設けることとしてもよい。

【0061】
前記第1反応工程は、例えば、前記試料中のターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを接触させ、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとを結合反応させ、第1の結合体を形成する工程である。この際、前記反応部において、前記試料と、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとの混合物を、撹拌することが好ましい。前記撹拌の方法は、特に制限されない。

【0062】
前記撹拌方法としては、例えば、前記撹拌素子を用いた方法が挙げられる。この場合、前記分析チップの前記反応部が、さらに、前記撹拌素子を有し、前記撹拌素子によって、前記反応部において前記混合物を撹拌することが好ましい。前記撹拌素子を用いた撹拌は、例えば、前記分析チップの外部に磁石を配置し、前記磁石により前記撹拌素子を動かすことで行える。前記撹拌素子は、例えば、自転させてもよいし、公転させてもよいし、ランダムに動かしてもよい。

【0063】
また、前記撹拌方法としては、例えば、遠心装置を利用する方法が挙げられる。前記分析チップは、後述するように、前記反応部から前記検出部への前記担体の移動に遠心力を利用することから、例えば、遠心装置にセットして使用できる。このため、前記反応工程において、前記分析チップを遠心することで撹拌することもできる。前記遠心は、例えば、同一方向の遠心でもよいし、交互に逆回転させる遠心でもよい。

【0064】
前記担体導入工程は、例えば、前記反応部に前記担体を導入する工程である。前記担体の導入方法は、特に制限されない。前記担体は、例えば、前記反応部の開口から導入する。

【0065】
なお、前記担体をあらかじめ前記反応部に固定化しておくことも可能である。その場合、この担体導入工程は省略できる。

【0066】
前記第2反応工程は、例えば、前記第1の結合体と前記担体とを接触させ、前記第1の結合体と前記担体とを結合反応させ、第2の結合体を形成する工程である。この際、前記反応部において、前記第1の結合体と前記担体との混合物を、撹拌することが好ましい。前記撹拌の方法は、例えば、前述の撹拌方法が挙げられる。

【0067】
次に、前記濃縮工程は、例えば、前記反応部における前記第2の結合体を、前記疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)によって、前記検出部に移動させ、前記担体を濃縮する工程である。前記濃縮工程において、濃縮される担体は、前述のように、例えば、前記第2の結合体を形成している担体でもよいし、前記第2の結合体を形成している担体及び前記第2の結合体を形成していない担体の混合物でもよい。

【0068】
前記抵抗力(R)は、例えば、前記流路の内壁の疎水性の程度に応じて、適宜算出できる。具体例として、前記抵抗力(R)は、例えば、前記試料、前記試薬及び前記担体の混合物の表面張力、前記流路の内壁と、前記試料、前記試薬及び前記担体の混合物との接触角、前記分析チップの流路の幅及び高さ等から算出することができ、具体的には、下記式(1)で表される。前記流路の内壁と、前記試料、前記試薬及び前記担体の混合物との接触角(θ)が90°以上の場合、前記抵抗力(R)は、例えば、下記式(1)により好適に算出できる。

【0069】
R=-2whγcosθ(1/w+1/h) ・・・(1)
R:抵抗力(N)
γ:試料、試薬及び担体の混合物の表面張力(N/m)
θ:流路の内壁と、試料、試薬及び担体の混合物との接触角
w:流路の幅(m)
h:流路の高さ(m)

【0070】
前記遠心力(C)は、特に制限されず、例えば、前記第2の結合体を前記検出部に移動できればよい。本発明の分析方法において、前記試料、前記試薬及び前記担体の混合物は、例えば、前記遠心力(C)によって、前記流路に導入される。さらに、前記遠心力(C)によって、前記混合物における前記担体(例えば、第2の結合体)が、例えば、前記分析チップの検出部における前記流路の反対端側に集積する。このとき、前記担体(第2の結合体)が前記検出部に集積するのに要する時間(Δt)は、例えば、前記混合物の粘度及び密度、前記担体の密度、前記担体の半径、遠心時の回転速度、回転半径の始点及び終点等から算出することができ、具体的には、下記式(2)で表される。下記式(2)によれば、例えば、所望の遠心時間内に前記担体を前記検出部に集積をする場合の担体の密度及び半径、遠心力(C)、すなわち、回転半径及び回転速度(回転の角速度)を算出(推定)することができる。

【0071】
Δt=[18μ/(4ω(ρ-ρ))]ln(r/r) ・・・(2)
Δt:回転半径の始点rから回転半径の終点rに担体が移動するのに要する時間(sec)
μ:試料、試薬及び担体の混合物の粘度(Pa・sec)
ρ:試料、試薬及び担体の混合物の密度(kg/m
ρ:担体の密度(kg/m
R:担体の半径(m)
ω:回転の角速度(rad/sec)
:回転半径の始点(遠心時の軸から反応部までの最短距離)(m)
:回転半径の終点(軸から検出部までの最長距離)(m)

【0072】
本発明の分析方法において、前記分析チップへの遠心力は、例えば、遠心装置を使用することにより付与できる。この場合、前記分析チップは、例えば、さらに、前記遠心装置への配置部位を有することが好ましい。そして、例えば、前記配置部位において、前記分析チップを前記遠心装置に配置し、前記遠心装置により、前記分析チップに遠心力をかけることができる。

【0073】
そして、前記分析工程は、前述のように、例えば、前記検出部において、前記濃縮された担体に結合した前記標識プローブの標識を検出することにより、前記試料中のターゲットを分析する工程である。前記標識の検出は、例えば、前述のように実施できる。

【0074】
<ターゲット分析チップ>
本発明のターゲット分析チップ(以下、「分析チップ」ともいう。)は、前述のように、反応部、検出部、及び前記反応部と前記検出部とを連通する流路を備えた基板を有し、前記反応部は、試料中のターゲット、前記ターゲットに結合する標識プローブ、前記ターゲット及び光透過性を有する素材で形成された担体に結合する担体結合用プローブ並びに前記担体が結合反応する部位であり、前記検出部は、前記ターゲット、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブが結合した第1の結合体と、前記担体結合用プローブを介して前記担体と、が結合することにより形成された第2の結合体が濃縮される部位であり、前記流路は、前記第2の結合体の前記反応部から前記検出部への移動を制御する移動制御手段としての疎水性の内壁を有し、前記移動制御手段により、液体溶媒中において、比重が前記液体溶媒より大きい前記第2の結合体は、前記流路の疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)を負荷された場合、前記流路を介して前記検出部に移動できることを特徴とする。

【0075】
本発明の分析チップは、前記流路が、前記移動制御手段として前記疎水性の内壁を有することで、前記反応部から前記検出部への前記担体の移動を制御できることにより、例えば、前記反応部から前記検出部への自発的な毛管現象が発生せず、所定の遠心力によって、毛管現象が発生する。このため、本発明の分析チップは、例えば、前記反応部から前記検出部方向への自発的な毛管現象が発生せず、所定の遠心力によって、毛管現象が発生するチップということもできる。本発明の分析チップにおいて、前記反応部から前記検出部への移動を制御される担体は、例えば、前記第2の結合体を形成している担体及び前記第2の結合体を形成していない担体の一方であってもよいし、混合物であってもよく、好ましくは、混合物である。本発明の分析チップは、前記本発明の分析方法に使用するチップであり、前述の本発明の分析方法の説明を援用できる。

【0076】
本発明のターゲット分析チップにおいて、前記担体は、前記基板の前記反応部にあらかじめ固定化されていてもよいし、また、別個に包装され前記基板と同梱されていてもよい。後者の場合、本発明のターゲット分析チップは、例えば、ターゲット分析キットということもできる。

【0077】
本発明の分析チップにおいて、前記反応部及び前記検出部は、例えば、一方向に向いて順に配置されている。本発明の分析チップにおいて、この分析チップを水平面上に載置した状態において、同水平面に平行で、かつ、前記反応部から前記検出部に向かう方向を、「長手方向」、又は前記試料及び前記担体の「移動方向」ともいい、同水平面に平行で、かつ、前記長手方向に対する垂直方向を、「幅方向」ともいい、また、同水平面に対して垂直方向(前記長手方向及び前記幅方向に対して垂直方向)を、「厚み方向」又は「深さ方向」ともいう。本発明の分析チップにおいて、前記担体を、以下、「分析用担体」ともいう。

【0078】
本発明の分析チップにおいて、前記基板は、例えば、下基板と上基板とを含んでもよい。この場合、例えば、前記下基板と前記上基板とを積層することで、前記反応部、前記流路及び前記検出部が形成されることが好ましい。

【0079】
第1の具体例として、例えば、前記下基板の上表面(前記上基板との積層表面)が、平らであり、前記上基板が、前記反応部へ試料を導入する開口となる貫通孔を有し、前記上基板の下表面(前記下基板との積層表面)が、前記反応部、前記流路及び前記検出部となる凹部を有し、前記貫通孔と前記凹部とがつながっている形態が挙げられる。この場合、前記下基板と前記上基板とを積層することで、前記上基板の貫通孔と前記下基板の上表面とにより、前記開口が形成され、前記上基板の凹部と前記下基板の上表面とにより、前記反応部、前記流路及び前記検出部が連通して形成される。

【0080】
第2の具体例として、例えば、前記上基板の下表面(前記下基板との積層表面)が、平らであり、前記上基板が、前記反応部へ試料を導入する開口となる貫通孔を有し、前記下基板の上表面(前記上基板との積層表面)が、前記反応部、前記流路及び前記検出部となる凹部を有し、前記貫通孔と前記凹部のうち前記反応部に当たる部分とが同一の平面位置となっている形態が挙げられる。この場合、前記下基板と前記上基板とを積層することで、前記上基板の貫通孔により前記開口が形成され、前記下基板の凹部と、前記上基板の貫通孔及び下表面とにより、前記反応部、前記流路及び前記検出部が連通して形成される。

【0081】
本発明の分析チップにおいて、前記反応部の大きさ及び形状は、特に制限されない。

【0082】
前記反応部は、例えば、その底面が、前記下基板の上表面によって形成され、その上面が、前記上基板の下表面により形成された形態である。前記反応部は、例えば、中空の柱状(筒状ともいう)であり、具体的には、前記分析チップの厚み方向を軸方向とする柱状が好ましい。前記柱状は、例えば、円柱状、角柱状等である。前記反応部は、例えば、空気孔を有してもよく、前記空気孔は、例えば、前記反応部の上面側において、前記上基板に貫通孔として形成できる。

【0083】
本発明の分析チップにおいて、前記流路は、例えば、その底面が、前記下基板の上表面によって形成され、その上面が、前記上基板の下表面により形成された形態である。前記流路は、中空であり、具体的には、前記分析チップの長手方向を軸方向とする中空である。前記流路は、前記軸方向に垂直な断面(中空の断面)が、例えば、真円、楕円等の円形又は正方形、長方形等の多角形である。

【0084】
前記流路は、例えば、前記反応部側から前記検出部側に向かう前記分析用担体の移動を促進する移動促進手段を有することが好ましい。前記移動促進手段を有することで、例えば、効率良く前記分析用担体を移動させ、前記検出部において前記分析用担体を回収することができる。前記流路における前記移動促進手段は、特に制限されず、例えば、後述するように、前記反応部側から前記検出部側に向かって、断面積が小さくなる構造でもよい。

【0085】
前記流路は、例えば、前記反応部側から前記検出部側に向かって、断面積が小さくなる構造が挙げられる。前記構造は、例えば、前記反応部側から前記検出部側に向かって、狭窄する構造ということもできる。前記流路の断面積は、例えば、前記分析チップの長手方向に垂直な断面の面積であり、前記流路における中空の断面の面積である。

【0086】
前記断面積は、前記反応部側から前記検出部側に向かって、例えば、連続的に断面積が小さくなってもよいし、非連続的に(段階的に)断面積が小さくなってもよい。具体例として、前記流路は、例えば、軸方向に平行な断面の形状が、前記反応部側から前記検出部側に向かって、テーパー状に狭まっている形状でもよい。具体的には、前記流路は、例えば、前記分析チップの側面から見た断面の形状が、反応部側から前記検出部側に向かって、テーパー状に狭まっている形状でもよいし、前記分析チップの上表面(又は下表面)から見た断面の形状が、反応部側から前記検出部側に向かって、テーパー状に狭まっている形状でもよいし、両方であってもよい。

【0087】
前記流路の側面が、例えば、前記反応部から前記検出部側に向かってテーパー状に狭まる曲面であることが好ましい。前記流路の側面をこのような形状とすることで、効率良く前記分析用担体を移動させ、前記検出部において前記分析用担体を回収することができる。前記曲面の曲率半径Rは、より効率良く前記分析用担体を前記検出部に回収できることから、例えば、1~5mm、1.5~4.5mm又は3mm前後(例えば、2.5~3.5mm)である。前記曲面の曲率半径Rは、例えば、前記テーパー状に狭まる曲面の曲率半径である。

【0088】
前記流路は、前述のように、前記分析用担体の前記反応部から前記検出部への移動を制御する移動制御手段を有する。前記移動制御手段により、前記反応部における第2の結合体は、比重が前記液体溶媒より大きく、前記流路の疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)を負荷された場合、前記流路を介して前記検出部に移動できる。具体的には、前記流路が、前記移動制御手段として、疎水性の内壁を有することで、前記第2の結合体に、前記流路の疎水性により生じる抵抗力(R)より大きい遠心力(C)が負荷されない場合、例えば、前記反応部から前記検出部への自発的な毛管現象が発生しないため、前記第2の結合体を前記反応部に維持でき、前記第2の結合体に、前記抵抗力(R)より大きい遠心力(C)が負荷された場合、前記反応部から前記検出部への毛管現象が発生するため、前記第2の結合体を前記反応部から前記検出部に移動させることができる。このため、本発明の分析チップにおいて、疎水性とは、例えば、自発的な毛管現象による前記反応部から前記検出部への液体画分の移動が発生しない程度の疎水性を意味する。本発明において、前記第2の結合体に加え、前記第2の結合体を形成していない分析用担体が、例えば、前記遠心力(C)が負荷された場合、前記流路を介して前記検出部に移動できてもよい。前記流路の疎水性の内壁は、例えば、後述する疎水性部材により形成できる。前記流路において、例えば、上下面及び側面の全ての内壁が、疎水性でもよいし、一部の内壁が、疎水性でもよい。具体例として、前記分析チップが上基板と下基板とによって形成される場合、例えば、前記上基板により形成される流路の内壁が、疎水性であってもよいし、前記下基板により形成される流路の内壁が、疎水性であってもよいし、前記上基板及び前記下基板により形成される流路の内壁が、疎水性であってもよい。本発明の分析チップにおいて、さらに、前記検出部の内壁を疎水性とし、前記移動制御手段が、前記検出部の疎水性の内壁を含んでもよい。前記抵抗力(R)及び遠心力(C)については、前述の説明を援用できる。

【0089】
前記流路の内部空間の大きさは、特に制限されない。前記流路の高さ(深さ)は、例えば、1~3,000μm、望ましくは100~500μmである。前記流路の幅は、例えば、1~3,000μm、望ましくは100~500μmである。前記流路の高さ及び幅は、例えば、それぞれ、前記流路の内部空間における高さ及び幅である。

【0090】
本発明の分析チップにおいて、前記検出部の形状は、特に制限されない。前記検出部は、例えば、中空であり、前記流路の延長であってもよい。すなわち、本発明の分析チップにおいて、前記検出部は、例えば、前記反応部に連通する前記流路において、前記反応部と反対側の末端領域であってもよい。前記検出部の形状は、特に制限されず、前記軸方向に垂直な断面(例えば、中空の断面)が、例えば、真円若しくは楕円等の円形又は正方形若しくは長方形等の多角形である。

【0091】
前記検出部の内部空間の容積は、例えば、前記試料の体積よりも小さいことが好ましい。このように、前記検出部の容積を、例えば、前記試料と比較して相対的に小さく設計することで、前記検出部における前記分析用担体の濃度を相対的に高く設定することができる。前記検出部の内部空間の容積は、前記試料の体積に対して、例えば、10-2倍~10-6倍である(例えば、10-4倍)。また、前記検出部の容積は、下限が、例えば、前記反応部に配置されている前記分析用担体全量の体積を超えることが好ましい。前記検出部の内部空間の容積は、例えば、前記反応部の内部空間の容積よりも小さいことが好ましい。このように、前記検出部の容積を、例えば、前記反応部の内部空間の容積と比較して相対的に小さく設計することで、前記検出部における前記分析用担体の濃度を相対的に高く設定することができる。前記検出部の内部空間の容積は、前記反応部の内部空間の容積に対して、例えば、10-1倍~10-6倍、望ましくは10-2倍~10-5倍である(より望ましくは、10-4倍)。前記検出部の高さ(深さ)は、特に制限されず、例えば、1~3,000μm、10~300μm、又は100μm前後(望ましくは、50~150μm)等が挙げられる。前記検出部をこのような高さにすることで、例えば、前記検出部に移動した担体において、検出できる標識の割合がより増加する。前記検出部の幅は、特に制限されず、例えば、1~3,000μm、望ましくは10~300μmである。前記検出部の高さ及び幅は、例えば、それぞれ、前記検出部の内部空間における高さ及び幅である。前記検出部の高さが1~500μmの場合、前記検出部に移動する前記担体の割合が向上し、かつ検出できる標識の割合がより増加することから、前記担体の直径は、例えば、100nm~4μm、100~800nm、又は250~400nmであることが好ましい。このように検出部の高さ(深さ)を設定すれば、シリカ製ビーズのような担体であっても、前記検出部で光透過性を有することができる。

【0092】
本発明の分析チップにおいて、前記反応部は、前述のように、前記ターゲットに結合する標識プローブと、前記ターゲット及び担体に結合する担体結合用プローブとを有する。前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブの説明は、例えば、前述の説明を援用できる。

【0093】
本発明の分析チップにおいて、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブは、例えば、前記反応部において遊離状態でもよい。また、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブは、例えば、前記反応部(前記反応部の内壁)において、遊離可能なように固定化された状態でもよい。後者の場合、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブは、例えば、水溶性材料によって、前記反応部に固定化されていることが好ましい。この場合、例えば、前記反応部の開口から導入された試料により、前記反応部(前記反応部の内壁)から、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブが遊離される。前記水溶性材料は、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、ポリアクリル酸系ポリマー、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、デンプン、ゼラチン等の水溶性ポリマー、スクロース、トレハロース、マンニトール、ラクトース等の少糖類等が挙げられる。なお、前記分析用担体も、上記と同様に、前記反応部(前記反応部の内壁)において、遊離可能なように固定化された状態としてもよい。

【0094】
本発明の分析チップは、例えば、前記反応部に、試薬として、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブの他に、さらにその他の物質を含んでいてもよい。前記その他の物質は、特に制限されず、例えば、界面活性剤、緩衝剤、塩類、水溶性高分子、糖類等が挙げられる。前記界面活性剤は、例えば、非イオン系界面活性剤、イオン系界面活性剤等が挙げられ、前記ターゲットと前記標識プローブとの反応を促進することから、好ましくは、非イオン系界面活性剤である。前記非イオン系界面活性剤は、例えば、Tween20(登録商標)、Triton(商標)X-100、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が挙げられる。前記その他の物質は、例えば、前記分析用担体とともに含んでもよい。

【0095】
本発明の分析チップにおいて、前記反応部は、さらに、撹拌素子を有してもよい。この場合、前記撹拌素子によって、前記反応部において、前記試料と前記反応部に配置された前記試薬との混合液、又は、前記第1の結合体と前記分析用担体との混合液を撹拌し、前記試料中のターゲット及び前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブ、又は前記第1の結合体及び前記分析用担体を、効率よく接触させることができる。前記撹拌素子は、例えば、磁性撹拌素子が使用でき、具体例として、例えば、磁性ビーズ等のスターラー等が挙げられる。前記撹拌素子の材料は、特に制限されず、例えば、SUS等の磁性体が好ましい。前記撹拌素子の形状は、例えば、球形であり、その大きさは、例えば、直径0.1~5mm(例えば、1mm)である。

【0096】
本発明の分析チップにおいて、前記基板の材質は、特に制限されず、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス又はPDMS(ポリジメチルシロキサン)、ポリスチレン、アクリル樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂等が使用でき、後述する疎水性部材を使用することが好ましい。また、前記基板が、前述のように、前記下基板と前記上基板とを有する場合、前記両基板は、例えば、同じ部材でもよいし、異なる部材でもよい。

【0097】
本発明の分析チップにおいて、前記検出部は、例えば、光透過性部材で形成されており、好ましくは、紫外光透過性部材である。前記光透過性部材は、例えば、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス等のガラス、PDMS等の樹脂等が挙げられる。

【0098】
本発明の分析チップにおいて、前記流路の内壁は、前述のように、疎水性である。前記疎水性の内壁は、例えば、前記基板として疎水性部材を使用することにより構成してもよいし、前記基板の表面に、疎水性部材を積層することにより構成してもよいし、前記基板の表面を疎水性に改変することにより構成してもよい。前記疎水性部材としては、例えば、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、ポリスチレン、アクリル樹脂、シクロオレフィン系樹脂等の疎水性樹脂等が挙げられる。また、疎水性への改変方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。

【0099】
本発明の分析チップは、前述のように、例えば、遠心装置にセットして、遠心力をかけることから、さらに、前記遠心装置への配置部位を有することが好ましい。

【0100】
本発明の分析チップに導入する試料は、ターゲットを含む試料であるが、本発明はこれに限定されず、前記試料は、例えば、ターゲットを含まない試料、ターゲットを含むか不明の試料等であってもよい。前記試料の形態は、特に制限されず、例えば、前述の説明を援用できる。

【0101】
本発明の分析チップに導入する試料の量は、特に制限されず、前記分析チップ1個あたり、例えば、1~100μL(例えば、50μL)である。

【0102】
以下に、本発明の実施形態として、本発明のターゲット分析チップ及びこれを用いた本発明のターゲット分析方法の前記標識プローブとして、前記蛍光標識プローブを用い、前記ターゲットとしてターゲットRNAを分析する場合の具体例について、図面を用いて説明する。なお、本発明は、これらの例示には限定されない。

【0103】
図1は、本発明の分析チップの一例を示す概略図であり、(A)は、斜視図、(B)は、平面図、(C)は、前記(A)のI-I方向断面図である。

【0104】
図1に示すように、分析チップ1は、下基板10aと上基板10bとからなる基板10を有する。上基板10bは、貫通孔12と、下表面における凹部13、14、15とを有している。上基板10bと下基板10aとの積層により、前記貫通孔12は反応部の開口12を構成し、前記凹部13は反応部13を構成し、前記凹部14は流路14を構成し、及び前記凹部15は検出部15を構成している。反応部13と検出部15は、流路14で連通する。図1(C)において、矢印Xは、分析チップ1における試料の移動方向(分析チップ1の長手方向)を示す。

【0105】
分析チップ1の大きさは、特に制限されず、以下の条件が例示できる。
反応部13
直径1~30mm(例えば、8mm)
導入する試料の体積1~1,000μL(例えば、50μL)
流路14
長さ10~5,000μm(例えば、2,500μm)
反応部13端の幅 100~5,000μm(例えば、1,000μm)
反応部13端の深さ100~5,000μm(例えば、2,000μm)
検出部15端の幅 10~1,000μm(例えば、150μm)
検出部15端の深さ10~1,000μm(例えば、150μm)
検出部15
長さ10~1,000μm(例えば、220μm)
幅 10~1,000μm(例えば、150μm)
深さ10~1,000μm(例えば、150μm)
容積0.001~1,000nL(例えば、5nL)

【0106】
流路14は、図1に示すように、反応部13側から検出部15側に向かって、狭まっていく狭窄形状である。具体的には、分析チップ1の上表面から見た場合、図1(B)に示すように、反応部13側から検出部15側に向かって、両側からテーパー状に狭まっており、また、分析チップ1の側面から見た場合、図1(C)に示すように、反応部13側から検出部15側に向かって、上面がテーパー状に狭まっていく形状である。

【0107】
分析チップ1の反応部13には、前記分析用担体が配置されている(図示せず)。前記分析用担体は、前述のように、前記水溶性材料により固定化されていることが好ましい。

【0108】
分析チップ1を用いた試料中のRNAの分析は、例えば、以下のようにして行うことができる。以下の実施形態では、前記蛍光標識プローブの蛍光標識がピレン含有物質であり、反応部13に前記磁性撹拌素子として直径1mmのSUS製ビーズのスターラーが同様に前記水溶性材料により固定化されている場合の一例とする。

【0109】
まず、分析チップ1の反応部13に、前記開口12から試料を導入する。この試料の液体溶媒によって、水溶性材料により反応部13に固定化されていた前記分析用担体及び前記磁性撹拌素子が遊離する。そして、分析チップ1の外部に配置された磁石により、反応部13における前記磁性撹拌素子を自転させることにより、反応部13において、試料と前記分析用担体とを接触させる。これによって、前記試料中のターゲットRNAと前記分析用担体における前記蛍光標識プローブとが結合する。

【0110】
次に、分析チップ1を遠心し、遠心力(C)により、反応部13から、流路14を介して検出部15に、前記分析用担体を移動させる。そして、検出部15に、分析チップ1の上方向から紫外光(例えば、340nm)を照射し、ターゲットRNAと前記蛍光標識プローブとの結合により発するピレン由来の蛍光を、所定の波長(例えば、480nm)で光検出器により検出する。ピレンで修飾された前記蛍光標識プローブは、ターゲットRNAと結合した状態でのみ蛍光を発するため、ピレンに由来する蛍光の有無及び量は、ターゲットRNAの有無及び量と相関関係を示す。このため、前記蛍光の検出により、ターゲットRNAを定性分析又は定量分析できる。

【0111】
本発明において、前記分析チップに対する遠心力は、前述のように、例えば、遠心装置を使用することができる。図2及び図3に、遠心装置の一例の概略図を示す。

【0112】
図2は、遠心装置の断面図であり、遠心装置2は、基板20と、モーター21と、軸22と、ステージ23とを有する。ステージ23には、配置した前記分析チップを固定化するための固定部24a、24bを有する。図3は、遠心装置2のステージ23の上面の平面図である。

【0113】
遠心装置2への前記分析チップの配置は、例えば、以下のように行える。まず、ステージ23上に分析チップ1を配置する。この際、分析チップ1の反応部13側(図1参照)が、軸22側となるように配置する。そして、分析チップ1を固定部24a、24bでステージ23に固定する。次に、モーター21を駆動させ、軸22を中心として、ステージ23を回転させる。これによって、分析チップ1の反応部13側から検出部15側に向かって矢印Y方向の遠心力がかかり、分析チップ1において矢印X方向に前記試料の移動又は前記分析用担体の移動を行うことができる。
【実施例】
【0114】
次に、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例により制限されない。
【実施例】
【0115】
(実施例1)
本発明の分析方法により、ターゲットRNAを分析できることを確認した。
【実施例】
【0116】
(1)アビジン修飾ビーズの調製及び評価
NHS-活性化セファロースビーズ(NHS-activated Sepharose 4 Fast Flow、GE-ヘルスケア社製)の原液20μLに、10mmol/L HCl水溶液を200μL添加後、撹拌した。前記撹拌後、混合液を2,840gで遠心分離し、上清200μLを除去した。さらに、得られた沈殿にHCl水溶液の添加及び遠心分離を2回行ない、前記ビーズを洗浄した。
【実施例】
【0117】
前記洗浄後のビーズに、アビジン結合反応液180μLを添加した。前記アビジン結合反応液は、0.8μmolアビジン、0.2mol/L NaHCO、及び0.5mol/Lを含む水溶液とした。前記添加後、4℃の条件下で14時間、得られた反応液を撹拌した。次に、前記反応液を2,840gで遠心分離し、上清180μLを除去した。さらに、得られた沈殿に、ブロッキング溶液180μLを添加した。前記ブロッキング溶液は、0.2mol/L 2-アミノエタノール(エタノールアミン)、0.2mol/L NaHCO、及び0.5mol/L NaClを含む水溶液とした。そして、前記添加後、20℃の条件下で30分間、得られた反応液を撹拌した。前記撹拌後、2,840gで遠心分離し、上清180μLを除去した。
【実施例】
【0118】
得られた沈殿に、0.1mol/L NaClを含む10mmol/L リン酸緩衝液(PBS、pH7.0)380μLを添加した。次に、2,840gで遠心分離し、上清380μLを除去した。前記リン酸緩衝液の添加及び遠心分離を2回行ない、前記ビーズを洗浄した。前記洗浄後のビーズに、前記リン酸緩衝液380μLを添加し、400μLのアビジン修飾ビーズ分散液を調製した。前記ビーズ分散液において、前記アビジン修飾ビーズの濃度は、約25粒/μLであった。
【実施例】
【0119】
次に、前記ビーズ分散液50μLに、0.67mol/L ビオチン修飾DNAを含む水溶液150μLを添加した。前記添加後、20℃の条件下で、30分間、得られた混合液を撹拌した。さらに、2,840gで遠心分離し、上清を回収した。そして、前記上清について、吸光光度計(UV1800、島津製作所社製)を用いて、スペクトルを測定した。また、前記ビオチン修飾DNA溶液についても、同様にしてスペクトルを測定した。そして、前記上清及び前記ビオチン修飾DNA溶液のスペクトルに基づき、常法により、アビジン修飾ビーズ1粒に対して結合可能なビオチンのモル数を算出した。その結果、前記アビジン修飾ビーズ1粒に対し結合可能なビオチンのモル数は、約40fmolであった。このようなアビジン修飾ビーズを、後述する分析に使用した。
【実施例】
【0120】
(2)核酸試薬
ターゲットRNAとして、下記配列番号1の塩基配列からなるターゲットRNA分子を合成した。また、蛍光標識プローブとして、下記配列番号2の塩基配列からなるピレン標識プローブを合成した。前記ピレン標識プローブは、2’-O-メチルRNAを用い合成し、下記配列番号2の塩基配列において、下線を引いたnは、2’の水酸基をピレン標識したシチジンを用いた。さらに、前記担体結合用プローブとして、5’末端がビオチン化された下記配列番号3の塩基配列からなるビオチン化プローブを合成した。なお、前記ビオチン化プローブにおいて、5’末端側の4塩基は、付加配列である。前記ピレン標識プローブは、前記ターゲットRNA分子の5’端側から連続する14塩基に結合し、前記ビオチン化プローブは、前記ターゲットRNA分子の前記ピレン標識プローブが結合しない塩基に結合する。
【実施例】
【0121】
ターゲットRNAモデル (配列番号1)5’-agucaauagggugugugagagacuuaacug-3’
ピレン標識プローブ (配列番号2)5’-acacnnuauugacu-3’
ビオチン化プローブ (配列番号3)5’-cagccagttaagtctctcac-3’
【実施例】
【0122】
(3)分析
1.25μmol/L ターゲットRNA分子、1.25mol/L ピレン標識プローブ、及び1.25mol/L ビオチン化プローブを含む12.5mmol/L PBS(pH7.00)120μLを調製した。前記調製後、15℃の条件下で4時間、得られた反応液をインキュベートし、前記ターゲットRNA分子、前記ピレン標識プローブ、及び前記ビオチン化プローブを結合させた。次に、前記ビーズ分散液40μLを前記反応液に添加し、15℃の条件下で1時間、得られた混合液を撹拌し、前記ターゲットRNA分子、前記ピレン標識プローブ、及び前記ビオチン化プローブの第1の結合体と、前記アビジン修飾ビーズとを結合させた。
【実施例】
【0123】
前記結合後、前記混合液を、2,840gで遠心分離し、上清を回収した。そして、前記上清の一部で前記遠心分離後の沈殿を分散した。そして、得られた分散液100μLについて、ガラスボトムディッシュ(松浪ガラス工業社製)に滴下した。そして、前記ガラスボトムディッシュ上のアビジン修飾ビーズの蛍光シグナルについて、位相差/蛍光顕微鏡(ECLIPSE TE300、Nicon社製)を用いて測定した。なお、励起光は、340±10nmとし、400nm以上の蛍光シグナルについて測定した。写真の測定時の露光時間は、2秒とした。また、比較例1A~Cは、それぞれ、前記ビオチン化プローブ、前記ターゲットRNA分子、及び前記ピレン標識プローブを添加しなかった以外は同様にして測定した。さらに、比較例1Dは、前記ビオチン化プローブ、前記ターゲットRNA分子、及び前記ピレン標識プローブを添加しなかった以外は同様にして、蛍光シグナルを測定した。
【実施例】
【0124】
この結果を図4に示す。図4は、ガラスボトムディッシュ上のアビジン修飾ビーズを測定した写真である。図4において、(A)は、位相差画像を示し、(B)は、蛍光画像を示す。図4において、各写真は、左から、実施例1及び比較例1A~Dの結果を示し、図中の矢印は、蛍光シグナルを発するビーズを示す。図4(A)に示すように、いずれのサンプルにおいてもアビジン修飾ビーズが観察された。また、図4A(A)及び(B)に示すように、比較例1A~Dでは、前記位相差画像において前記アビジン修飾ビーズが観察された領域において、蛍光シグナルが観察されなかった。これに対し、実施例1では、前記位相差画像において前記アビジン修飾ビーズが観察された領域において、矢印で示すように、蛍光シグナルが観察された。
【実施例】
【0125】
次に、実施例1の分散液及び比較例1Bの分散液について、顕微分光器(ECLIPSE TE300、Nicon社製)を用いて、励起光を340±10nmとした際の400nm以上の蛍光シグナルのスペクトルを測定した。また、コントロールとして、前記PBSを用いた以外は同様にしてスペクトルを測定した。
【実施例】
【0126】
この結果を図5に示す。図5は、蛍光シグナルのスペクトルを示すグラフである。図5において、横軸は、波長を示し、縦軸は、蛍光強度を示す。図5に示すように、比較例1Bでは、ピレンの蛍光シグナルである450~510nmにおいて、蛍光シグナルはコントロールと同程度であった。これに対し、実施例1では、500nm弱に明確な蛍光シグナルのピークが観察された。
【実施例】
【0127】
(実施例2)
異なる深さの検出部を有する分析チップを作製し、異なる直径を有するビーズを前記検出部に回収できることを確認した。
【実施例】
【0128】
(1)流路構造体の製造
以下に示す方法により、図1の分析チップ1の上基板10bを作製した。なお、前記分析チップについて、各部位の大きさ及び材質は、以下の通りとした。
反応部13:深さ2mm、直径8mm、円形、直径6mmの円形貫通孔
検出部15:幅0.15mm、深さ0.15mm、長さ0.3mm、直方体形状
流路14:長さ3.3mm、幅0.5mm、上流側から下流側に向かって、深さが1mmから0.15mmにスロープ状に変化
材質:ポリジメチルシロキサン(PDMS)製
【実施例】
【0129】
まず、前記構造の流路構造体を製造するために、鋳型となるアルミ製の流路金型を切削加工により作製した。そして、PDMSプレポリマー溶液を、前記流路金型に流し入れ、70℃のオーブンに1時間入れて熱硬化させた。熱硬化後、硬化したPDMS成型体を、静かに前記流路金型から引き剥がし、前記流路構造体を得た。前記PDMSプレポリマー混合液は、PDMSのプレポリマーと硬化剤(商品名シルポット(東レダウコーニング製)の主剤と硬化剤)を、重量比10:1で均一になるまで混合した後、その混合液をデシケータに入れて減圧処理し、混合時に発生した気泡を除去して調製した。
【実施例】
【0130】
(2)反応試薬液の調製
ローダミン標識シリカ製ビーズ(micromod Partikeltechnologie GmbH社製)、マンニトール、ウシ血清アルブミンを、それぞれ、蒸留水に、0.05w/v%、2w/v%、及び1w/v%となるように混合して、反応試薬液を調製した。なお、使用したビーズの平均直径は、300nm、800nm、5μm及び10μmの4通りとした。
【実施例】
【0131】
(3)前記反応試薬の固定化
厚み0.17mmのホウケイ酸ガラス板の表面に、前記反応試薬液5μLを滴下し、さらに、滴下した前記反応試薬液の上に、直径0.5mmのステンレス球を載せた後、前記ガラス板を、温度25℃、湿度0%の恒温恒湿器内で24時間インキュベートし、前記反応試薬液を乾燥させるとともに、前記ステンレス球を前記ガラス板上に固定した。
【実施例】
【0132】
(4)分析チップ
前記(1)の前記流路構造体について、流路の形成面(前記ガラス板との貼り合わせ面)を酸素プラズマ処理した。そして、処理後の前記流路構造体と前記ガラス板とを貼り合せ、分析チップを作製した。前記両者の貼り合わせは、前記流路構造体の反応部と前記ガラス基板上の前記反応試薬との位置が対向するようにして、行った。また、検出部15の深さを40、70、又は150μmとした以外は、同様にして異なる深さの検出部15を有する分析チップを作製した。
【実施例】
【0133】
(5)分析
リン酸緩衝液50μLを、前記分析チップの反応部13に滴下した後、前記分析チップを図2に示す遠心装置2のステージ23に固定化した。
【実施例】
【0134】
前記分析チップの反応部13内の前記ステンレス球を、磁力で回転(200rpm)させ、前記サンプルにより前記反応試薬を溶解した。この操作を、10分間行った。次に、前記分析チップを、4,000rpm(回転半径50mm)で60秒間回転させ、反応部13内の前記ビーズを検出部15に移動させた。
【実施例】
【0135】
そして、蛍光顕微鏡を用い、前記分析チップの検出部15の先端に集積した前記ビーズに、波長510~560nmの励起光を照射し、波長490nm以上の平均蛍光強度及び吸光度を測定した。
【実施例】
【0136】
これらの結果を図6に示す。図6は、平均蛍光強度又は吸光度を示すグラフである。図6において、(A)は、平均蛍光強度の結果を示し、(B)は吸光度の結果を示し、図中の三角(△)は、300nmビーズの結果を示し、菱形(◇)は、800nmのビーズの結果を示し、丸(○)は、5μmのビーズの結果を示し、バツ(×)は、10μmのビーズの結果を示す。また、図6(A)において、横軸は、検出部15の深さを示し、縦軸は、平均蛍光強度を示し、(B)において、横軸は、検出部15の深さを示し、縦軸は、吸光度を示す。図6(A)に示すように、いずれの直径のビーズにおいても、検出部15の深さが増加するについて、平均蛍光強度が増加した。また、各ビーズの中でも、300nmのビーズは、検出部15の深さが増加する際の平均蛍光強度の増加割合が高く、かつ増加割合が一定であり、前記担体として特に好適に使用できることが分かった。また、図6(B)に示すように、いずれの直径のビーズにおいても、検出部15の深さが増加するにつれて、吸光度が増加した。また、300nm、5μm、及び10μmのビーズは、検出部15の深さがいずれの深さの場合においても、吸光度が低減されており、例えば、光学的な方法により標識を検出する際に、検出漏れが低減できることが分かった。
【実施例】
【0137】
(実施例3)
流路14の側面が、反応部13から検出部15側に向かってテーパー状に狭まる曲面であり、前記曲面の曲率半径が異なる分析チップと異なる濃度の界面活性剤を使用し、前記ビーズを前記検出部に回収できることを確認した。
【実施例】
【0138】
(1)分析チップ
図7(A)~(C)に示すように、流路14の側面を、反応部13から検出部15側に向かってテーパー状に狭まる曲面とし、検出部15の深さを100μmとし、平均直径300μm及び5μmの2通りのローダミン標識シリカ製ビーズを用いた以外は、前記実施例2(1)~(4)と同様に、分析チップを作製した。なお、図7(A)~(C)の分析チップにおいて、テーパー状に狭まる曲面における各曲面の曲率半径Rは、それぞれ、1.5、3、及び4.5mmとした。
【実施例】
【0139】
(2)分析
0.5%Tween20(登録商標)又はTriton(商標)X-100を含む10mmol/L リン酸緩衝液(pH7.4)50μLを前記分析チップの反応部13に滴下後、前記実施例2(5)と同様にして、検出部15に前記ビーズを集積させた。そして、蛍光顕微鏡を用い、前記分析チップの検出部15の先端に集積した前記ビーズに、波長510-560nmの励起光を照射し、前記ビーズの集積部分の波長490nm以上の蛍光強度の総和(総蛍光量)を算出した。また、前記ビーズ添加前に、同様にして、総蛍光量を算出し、前記ビーズ添加後に算出された総蛍光量から前記ビーズ添加前に算出された総蛍光量を除くことで、総蛍光量を補正した(補正後の総蛍光量)。
【実施例】
【0140】
この結果を図8に示す。図8は、補正後の総蛍光量を示すグラフであり、(A)は、5μmのビーズを用いた場合の結果であり、(B)は、300nmのビーズを用いた場合の結果である。図8において、横軸は、界面活性剤の種類を示し、縦軸は、補正後の総蛍光量を示す。図8に示すように、流路14の側面がいずれの曲率半径を有する曲面であっても、補正後の総蛍光量が高く、効率良く前記ビーズが回収できることが分かった。また、図8に示すように、界面活性剤(Tween20又はTriton X-100)を含む場合は、界面活性剤を含まない場合(PBS)に対して、補正後の総蛍光量が有意に増加した。すなわち、前記試薬として界面活性剤を用いることで、効率良く前記ビーズが回収できることが分かった。
【実施例】
【0141】
(実施例4)
ターゲット核酸としてのマイクロRNA(miR-1246)を含む異なる血清試料A、B及びCそれぞれ300μLを、汎用の遺伝子抽出キットを使用して各々30μLに濃縮してRNAを抽出した。その抽出液30μLのうち3μLを測定試料とし、これに、適宜調整したピレン標識プローブ及びビオチン化プローブその他適宜の緩衝液等を含む試薬27μLを加えた合計30μLを、前記実施例1に記載するようなターゲット分析方法によって定量的に分析した。当該定量分析は、各血清試料3サンプルについて、観察された蛍光シグナルの強度(図5参照)を、あらかじめ既知のターゲット核酸を用いて作成した検量線へ当てはめることによって得た値の平均値を求めることで実施した。
【実施例】
【0142】
その結果、抽出液中のターゲット核酸濃度は、前記血清試料A、B及びCについてそれぞれ2.2pmol/L、2.5pmol/L及び1.3pmol/Lであった。
【実施例】
【0143】
以上の実施例4の結果の通り、本発明のターゲット分析方法によって微量の試料中からもターゲット核酸を高感度で検出できることがわかった。
【実施例】
【0144】
これらの結果から、本発明の分析方法によれば、PCRを使用することなく、試料中のターゲットを直接的に分析できることがわかった。
【実施例】
【0145】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明によれば、PCRを使用することなく、試料中のターゲットを直接的に分析できる。また、本発明の分析方法は、前記第1反応工程及び前記第2反応工程において、前記ターゲット、前記標識プローブ及び前記担体結合用プローブの第1の結合体を、前記担体結合用プローブを介して前記担体に濃縮でき、かつ前記濃縮工程において、前記担体を濃縮できる。このため、本発明の分析方法は、例えば、前記分析工程において、前記ターゲットを含む第1の結合体が濃縮して結合された担体(第2の結合体)を高濃度の状態で分析できる。したがって、本発明の分析方法によれば、例えば、優れた感度及び精度を実現でき、例えば、供する試料が微量であっても、分析可能である。また、本発明の分析方法は、例えば、前記担体を高濃度の状態で分析できるため、前記ターゲットに結合していない前記標識プローブによる分析への影響を避けることができる。このため、本発明の分析方法は、例えば、バックグラウンドが低減されている。さらに、本発明の分析方法は、前記ターゲットと、前記標識プローブと、前記担体結合用プローブとが、分散された状態で結合反応を行うことができ、さらに、得られた第1の結合体中の前記担体結合用プローブを介して、前記第1の結合体と前記担体とを結合させることができる。このため、本発明の分析方法は、例えば、第1反応工程において、反応液中に分散された前記標識プローブと前記ターゲットとの結合反応が起こる確率が高くなるため、前記標識プローブを固定化した前記担体を使用して前記ターゲットを分析する方法、又は前記担体結合用プローブと前記担体とが先に結合した結合体を使用して前記ターゲットを分析する方法と比較して、結合反応の時間をより短縮でき、また、感度をより向上できる。したがって、本発明は、例えば、マイクロRNAをはじめとするターゲットの分析が行われる医療分野等において有用といえる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7