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明細書 :アクアポリン4機能促進剤及び神経疾患用の医薬組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年12月27日(2018.12.27)
発明の名称または考案の名称 アクアポリン4機能促進剤及び神経疾患用の医薬組成物
国際特許分類 A61K  31/155       (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61P  25/28        (2006.01)
A61P   9/10        (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  25/00        (2006.01)
A61K  31/44        (2006.01)
A61K  31/4439      (2006.01)
A61K  31/443       (2006.01)
C07D 213/76        (2006.01)
C07D 401/12        (2006.01)
C07D 405/12        (2006.01)
FI A61K 31/155
A61P 43/00 111
A61P 25/28
A61P 9/10
A61P 35/00
A61P 25/00
A61K 31/44
A61K 31/4439
A61K 31/443
C07D 213/76
C07D 401/12
C07D 405/12
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 34
出願番号 特願2018-503417 (P2018-503417)
国際出願番号 PCT/JP2017/008485
国際公開番号 WO2017/150704
国際出願日 平成29年3月3日(2017.3.3)
国際公開日 平成29年9月8日(2017.9.8)
優先権出願番号 2016042766
優先日 平成28年3月4日(2016.3.4)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】中田 力
【氏名】フーバー ビンセント
【氏名】五十嵐 博中
【氏名】鈴木 雄治
【氏名】クィー イングリッド
出願人 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100149548、【弁理士】、【氏名又は名称】松沼 泰史
【識別番号】100141139、【弁理士】、【氏名又は名称】及川 周
審査請求 未請求
テーマコード 4C055
4C063
4C086
4C206
Fターム 4C055AA01
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4C206ZC41
要約 アクアポリン4機能促進剤は、下記一般式(1)若しくは(2)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。
[化1]
JP2017150704A1_000018t.gif
(式中、n11は1~10の整数である。R21は炭素数1~10のアルキル基、脂環式複素環基、芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基である。)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有することを特徴とするアクアポリン4機能促進剤。
【化1】
JP2017150704A1_000016t.gif
(式中、n11は1~10の整数である。)
【請求項2】
前記化合物が2-グアニジノ-1-エタンスルホン酸である請求項1又は2に記載のアクアポリン4機能促進剤。
【請求項3】
請求項1~3のいずれか一項に記載のアクアポリン4機能促進剤、並びに薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする神経疾患用の医薬組成物。
【請求項4】
前記神経疾患がアルツハイマー病、脳梗塞及び脳腫瘍からなる群から選ばれるいずれか一つである、請求項4に記載の神経疾患用の医薬組成物。
【請求項5】
下記一般式(2)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有することを特徴とするアクアポリン4機能促進剤。
【化2】
JP2017150704A1_000017t.gif
(式中、R21は炭素数1~10のアルキル基、脂環式複素環基、芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基である。)
【請求項6】
前記R21がメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-ピロリジニル基、3-ピロリジニル基、2-テトラヒドロフラニル基、3-テトラヒドロフラニル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、2-フラニル基、又は3-フラニル基である、請求項6に記載のアクアポリン4機能促進剤。
【請求項7】
前記化合物が2-フェニルスルホアミド-3-ベンジルオキシピリミジンである請求項6又は7に記載のアクアポリン4機能促進剤。
【請求項8】
請求項6~8のいずれか一項に記載のアクアポリン4機能促進剤、並びに薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含むことを特徴とする神経疾患用の医薬組成物。
【請求項9】
前記神経疾患がアルツハイマー病、脳梗塞及び脳腫瘍からなる群から選ばれるいずれか一つである、請求項9に記載の神経疾患用の医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アクアポリン4機能促進剤及び神経疾患用の医薬組成物に関する。
本願は、2016年3月4日に、日本に出願された特願2016-042766号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【0002】
脳内における細胞内外の水の輸送は、アクアポリン(Aquaporin;AQP)及びアクアグリセロポリン(Aquaglyceroporin)よりなるアクアポリンファミリーと呼ばれる膜貫通の水チャネルにより、調整されている。アクアポリン4(AQP4) は、水選択性のきわめて高いアクアポリンファミリーの一つであり、脳内の水の輸送に関与する主要なAQPである。また、AQP4は、脳、特に基底膜と接する星状膠細胞のエンドフィート(end-feet)膜に多く存在する。
【0003】
脳内に分布する血管と脳組織との間に存在する血管周囲腔は、発見者の名前にちなんで「Virchow-Robin腔(ウィルヒョウ-ロビン腔)」と呼ばれている。近年、タンパク質の分解産物及びその他の細胞における老廃物は、大静脈内に再吸収され得るように、ウィルヒョウ-ロビン腔を介して輸送され、脳室中の脳脊髄液(cerebrospinal fluid;CSF)に流れ込むことが示唆された。この輸送はリンパ系に類似しており、血管周囲腔を介して脳から老廃物を排出する仕組みは、Glymphatic system(グリンパティックシステム)と呼ばれている。
【0004】
AQP4を遺伝的に欠失させたマウスでは、水を第1及び第2の血管周囲腔を介して脳室へ排出する能力が落ちており、グリンパティックシステムはAQP4の発現レベルに依存することが見出された(例えば、非特許文献1参照。)。
【0005】
また、アルツハイマー病の病理学的特徴の一つである老人斑の主要構成成分であるアミロイドβタンパク質(Aβ)とその切断副産物は、グリンパティックシステムを介して排出されることが知られている。アルツハイマー病モデル遺伝子改変マウスにおいて、水を第1及び第2の血管周囲腔を介して脳室へ排出する能力が落ちており、Aβが蓄積することが示唆された(例えば、非特許文献2参照。)。
【0006】
また、アルツハイマー病患者の脳において、CSFへの血管周囲腔からの老廃物の流れ込みが有意に減少していることが示唆された(例えば、非特許文献3参照。)。
よって、脳におけるAQP4による水の輸送を促進することにより、加齢とともに低下するCSFの流れ及びグリンパティックシステムによる排出機能を促進させ、アルツハイマー病の発症及び進行を遅らせることを期待できる。
【0007】
特許文献1には、主にAQP2又は3の機能を亢進することを目的として、ヒアルロン酸を有効成分とするアクアポリン機能亢進剤が記載されている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2015-96493号公報
【0009】

【非特許文献1】Igarashi, H. et al., “Water influx into cerebrospinal fluid is primarily controlled by aquaporin-4, not by aquaporin-1: 17O JJVCPE MRI studyin knockout mice”, NeuroReport, Vol.25, No.1, pp39-43, 2014.
【非特許文献2】Igarashi, H. et al., “Water influx into cerebrospinal fluid is significantly reduced in senile plaque bearing transgenic mice, supporting beta-amyloid clearance hypothesis of Alzheimer’s disease”, Neurol. Res., Vol.36, No.12, pp1094-1098, 2014.
【非特許文献3】Suzuki, Y. et al., “Reduced CSF Water Influx in Alzheimer’s Disease Supporting the β-Amyloid Clearance Hypothesis”, PLOS ONE, DOI:10.1371/journal.pone.0123708, 2015.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に記載のアクアポリン機能亢進剤は、主にAQP2又は3をターゲットにしており、AQP4の機能を促進することについては検証されていない。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、AQP4を直接促進する作用を有し、疾患の治療に有用な新規のアクアポリン4機能促進剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係るアクアポリン4機能促進剤は、下記一般式(1)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。
【0013】
【化1】
JP2017150704A1_000003t.gif

【0014】
(式中、n11は1~10の整数である。)
【0015】
前記化合物が2-グアニジノ-1-エタンスルホン酸であってもよい。
【0016】
本発明の第2態様に係る神経疾患用の医薬組成物は、上記第1態様に係るアクアポリン4機能促進剤、並びに薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含む。
【0017】
前記神経疾患がアルツハイマー病、脳梗塞及び脳腫瘍からなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【0018】
本発明の第3態様に係るアクアポリン4機能促進剤は、下記一般式(2)で表される化合物、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。
【0019】
【化2】
JP2017150704A1_000004t.gif

【0020】
(式中、R21は炭素数1~10のアルキル基、脂環式複素環基、芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基である。)
【0021】
前記R21がメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-ピロリジニル基、3-ピロリジニル基、2-テトラヒドロフラニル基、3-テトラヒドロフラニル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、2-フラニル基、又は3-フラニル基であってもよい。
前記化合物が2-フェニルスルホアミド-3-ベンジルオキシピリミジンであってもよい。
【0022】
本発明の第4態様に係る神経疾患用の医薬組成物は、上記第3態様に係るアクアポリン4機能促進剤、並びに薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含む。
【0023】
前記神経疾患がアルツハイマー病、脳梗塞及び脳腫瘍からなる群から選ばれるいずれか一つであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
上記態様によれば、AQP4を直接促進する作用を有し、疾患の治療に有用な新規のアクアポリン4機能促進剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施例1におけるAQP4機能促進剤候補化合物を評価するためのアフリカツメガエルの卵母細胞を用いたin vitroアッセイの結果を示すグラフである。
【図2A】試験例1におけるインドメタシンを投与したマウス脳内でのAQP4の機能の変化を測定した結果を示すグラフである。
【図2B】試験例1における化合物2Aを投与したマウス脳内でのAQP4の機能の変化を測定した結果を示すグラフである。
【図3】試験例2における化合物1Aを投与したマウス脳内でのAQP4の機能の変化を測定した結果を示すグラフである。
【図4A】試験例2における無投薬群、化合物1A投与群、及び化合物2A投与群の脳切片を用いてAβ42を染色した画像である。
【図4B】試験例2における無投薬群、化合物1A投与群、及び化合物2A投与群の脳切片を用いてAβ42を染色した画像での老人班の定量結果を示すグラフである。
【図5A】試験例2における無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてトータルAβを染色した画像である。
【図5B】試験例2における無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてトータルAβを染色した画像での老人班の定量結果を示すグラフである。
【図6A】試験例2における無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてAβ40を染色した画像である。
【図6B】試験例2における無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてAβ40を染色した画像での老人班の定量結果を示すグラフである。
【図7A】試験例2における無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてAβ42を染色した画像である。
【図7B】試験例2における無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてAβ42を染色した画像での老人班の定量結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<<アクアポリン4機能促進剤>>
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係るアクアポリン4(Aquaporin 4;AQP4)機能促進剤は、下記一般式(1)で表される化合物(本明細書において、「化合物(1)」と称することがある。)、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。

【0027】
【化3】
JP2017150704A1_000005t.gif

【0028】
(式中、n11は1~10の整数である。)

【0029】
本実施形態のAQP4機能促進剤は、AQP4を直接促進する作用を有し、主に神経疾患を治療することができる。

【0030】
本発明者らは、これまで2-グアニジノ-1-エタンスルホン酸(Guanidinoethyl Sulfonate;GES)が脳内pHのアルカリシフターであることを明らかにした(参考文献:Nakada T., et al., “Guanidinoethane sulfate: brain pH alkaline shifter”, Neurochemistry, vol.4, no.8, 1993.)。今回、後述の実施例に示すとおり、アルツハイマー病モデルマウスを用いた試験により、GES及びその類縁体である上記化合物(1)が優れたAQP4の機能促進効果を有することを見出した。

【0031】
本明細書において、「AQP4の機能促進」とは、AQP4を介した水の輸送が促進されることを意味する。AQP4を介した水の輸送が促進されることにより、CSFの流れ及びグリンパティックシステムによる排出機能を促進させ、これらの機能低下が引き起こす疾患を予防又は治療することができる。

【0032】
本実施形態のAQP4機能促進剤を用いて、予防又は治療可能な疾患としては、主に神経疾患が挙げられ、より具体的には、脳浮腫、脳虚血、脳梗塞、脳腫瘍、脱髄疾患、てんかん、神経因性疼痛、片頭痛、躁鬱病、大鬱病性障害、統合失調症、パーキンソン病、アルツハイマー病、及びこれらの疾病に起因する合併症等が挙げられる。

【0033】
[化合物(1)]
化合物(1)はグアニジノ基、及びスルホ基を有する化合物であり、APQ4に直接結合する。

【0034】
(n11
11は1~10の整数である。n11はアルキレン基の繰り返し数である。n11は、親水性が高いことから、1~8の整数が好ましく、1~6の整数がより好ましく、1~4の整数がさらに好ましく、1~2の整数が特に好ましい。

【0035】
化合物(1)で好ましいものとしては、例えば、以下に示す化合物等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましい化合物(1)の一例に過ぎず、好ましい化合物(1)はこれらに限定されない。

【0036】
【化4】
JP2017150704A1_000006t.gif

【0037】
中でも、化合物(1)は、NHC(NH)NH(CHSOH、すなわち、2-グアニジノ-1-エタンスルホン酸(Guanidinoethyl Sulfonate;GES)であることが好ましい。GESは公知の化合物であって、すでに多くの臨床研究がなされており、安全性の面から好適である。

【0038】
本実施形態のAQP4機能促進剤は、化合物(1)の薬学的に許容できる塩を含んでいてもよい。

【0039】
本明細書において、「薬学的に許容できる」とは、被検動物に適切に投与された場合に、概して、副作用を起こさない程度を意味する。
塩としては、薬学的に許容できる酸付加塩又は塩基性塩が好ましい。
酸付加塩としては、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸等の無機酸との塩;酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の有機酸との塩が挙げられる。
塩基性塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基との塩;カフェイン、ピペリジン、トリメチルアミン、ピリジン等の有機塩基との塩が挙げられる。

【0040】
本実施形態のAQP4機能促進剤は、他の成分として、PBS、Tris-HCl等の緩衝液、アジ化ナトリウム、グリセロール等の添加剤を含んでいてもよい。

【0041】
本実施形態のAQP4機能促進剤を用いて、疾患(特に、神経疾患)の治療方法を提供することができる。
治療対象として限定はされず、ヒト又はヒト以外の哺乳動物が挙げられ、ヒトが好ましい。

【0042】
[化合物(1)の製造方法]
化合物(1)は、例えば、亜硫酸ナトリウムと、所望のR11を有するハロゲン化物と、グアニジノ基を有する脂肪族炭化水素とを、公知の反応を用いて反応させることで製造できる。より具体的には以下のとおりである。

【0043】
化合物(1)は、例えば、以下の2つの工程を有する製造方法により、製造できる。
第1工程:下記一般式(1a)で表される化合物(以下、「化合物(1a)」と略記することがある。)と、亜硫酸ナトリウムと、を反応させて、下記一般式(1b)で表される化合物(以下、「化合物(1b)」と略記することがある。)を得る工程(以下、「化合物(1)製造工程」と略記することがある。)
第2工程:化合物(1b)と、下記一般式(1c)で表される化合物(以下、「化合物(1c)」と略記することがある。)と、を反応させて、化合物(1)を得る工程(以下、「化合物(1)製造工程」と略記することがある。)
以下、各工程について、詳細に説明する。

【0044】
【化5】
JP2017150704A1_000007t.gif

【0045】
(式中、Xはハロゲン原子である。Zはハロゲン原子又は脱離基(例えば、メタンスルフォニルオキシ基、p-トルエンスルフォニルオキシ基等)である。n11はそれぞれ上記と同じである。)

【0046】
[化合物(1b)製造工程]
前記化合物(1b)製造工程においては、化合物(1a)と亜硫酸ナトリウムとを反応させて化合物(1)を得る。

【0047】
(化合物(1a))
化合物(1a)は公知化合物である。
化合物(1a)において、n11は1~10の整数である。n11はアルキレン基の繰り返し数である。n11は、親水性が高いことから、1~8の整数が好ましく、1~6の整数がより好ましく、1~4の整数がさらに好ましく、1~2の整数が特に好ましい。

【0048】
(化合物(1b)
化合物(1b)は公知化合物である。
化合物(1b)において、n11は、化合物(1a)におけるn11と同じである。

【0049】
(反応条件)
化合物(1b)製造工程においては、例えば、適当な有機溶媒、又は前記有機溶媒及び水の混合溶媒等の水性溶媒を反応溶媒として用いることが好ましい。
化合物(1b)製造工程において使用可能な有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、アセトン、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、トリフルオロメチルベンゼン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、メチル-tert-ブチルエーテル等が挙げられ、これらに限定されない。
前記溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。

【0050】
化合物(1b)製造工程において、亜硫酸ナトリウムの使用量は、例えば、化合物(1a)の使用量の0.5~2倍モル量であることが好ましく、1~1.5倍モル量であることがより好ましい。

【0051】
化合物(1b)製造工程においては、さらに添加剤を用いて反応を行うことが好ましい。
前記添加剤としては、例えば、ヨウ化ナトリウム等が挙げられ、これらに限定されない。
化合物(1b)製造工程において、添加剤の使用量は、例えば、化合物(1a)の使用量の0.1~1倍モル量であることが好ましく、0.2~0.5倍モル量であることがより好ましい。

【0052】
化合物(1b)製造工程において、反応温度は、例えば、15~40℃であることが好ましく、20~30℃であることがより好ましい。
化合物(1b)製造工程において、反応時間は、例えば、48~96時間であることが好ましく、60~84時間であることがより好ましい。

【0053】
化合物(1b)製造工程において、反応終了後は、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(1b)を取り出せばよい。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(1b)を取り出せばよい。また、取り出した化合物(1b)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて1回以上行うことで、精製してもよい。
化合物(1b)製造工程においては、反応終了後、化合物(1b)を取り出さずに、次工程で用いてもよいが、目的物である化合物(1)の収率が向上する点から、化合物(1b)を上述の方法で取り出すことが好ましい。

【0054】
[化合物(1)製造工程]
前記化合物(1)製造工程においては、化合物(1b)と化合物(1c)とを反応させて、化合物(1)を得る。
化合物(1)を得る前記反応は、公知の置換反応である。

【0055】
(化合物(1c))
化合物(1c)は公知のハロゲン化水素である。具体的には、例えば、HF、HCl、HBr、HI等が挙げられ、これらに限定されない。

【0056】
(反応条件)
化合物(1)製造工程においては、例えば、適当な有機溶媒、又は前記有機溶媒及び水の混合溶媒等の水性溶媒を反応溶媒として用いることが好ましい。
化合物(1)製造工程において使用可能な有機溶媒としては、上述の[化合物(1b)製造工程]において例示されたものと同じものである。
前記溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。

【0057】
化合物(1)製造工程において、化合物(1c)の使用量は、例えば、化合物(1b)の使用量の0.5~2倍モル量であることが好ましく、1~1.5倍モル量であることがより好ましい。

【0058】
化合物(1)製造工程においては、さらに酸を用いて反応を行うことが好ましい。
前記酸としては、例えば、塩酸等の無機酸;酢酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。
前記酸は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
化合物(2)製造工程において、例えば、酸の使用量は、化合物(1b)の使用量の1~5倍モル量であることが好ましく、2~4倍モル量であることがより好ましい。

【0059】
化合物(1)製造工程において、反応温度は、例えば、15~40℃であることが好ましく、20~30℃であることがより好ましい。
化合物(1)製造工程において、反応時間は、例えば、48~96時間であることが好ましく、60~84時間であることがより好ましい。

【0060】
化合物(1)製造工程において、反応終了後は、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(1)を取り出せばよい。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(1)を取り出せばよい。また、取り出した化合物(1)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて1回以上行うことで、精製してもよい。

【0061】
化合物(1)、化合物(1a)、化合物(1b)、化合物(1c)等の各化合物は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。

【0062】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るアクアポリン4(Aquaporin 4;AQP4)機能促進剤は、下記一般式(2)で表される化合物(本明細書において、「化合物(2)」と称することがある。)、又はその薬学的に許容できる塩を有効成分として含有する。

【0063】
【化6】
JP2017150704A1_000008t.gif

【0064】
(式中、R21は、炭素数1~10のアルキル基、脂環式複素環基、芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基である。)

【0065】
本実施形態のAQP4機能促進剤は、AQP4を直接促進する作用を有し、主に神経疾患を治療することができる。

【0066】
本発明者らは、コンピュータ利用によるシミュレーションであるin silico screening(イン・シリコ・スクリーニング)を用いて、AQP4機能促進剤候補を低分子化合物ライブラリーより探索した。さらに、後述の実施例で示す通り、AQP4を発現するようにAQP4mRNAがトランスフェトされたアフリカツメガエル(Xenopuslaevis) 卵母細胞における60~80mOsmの低浸透圧条件下の体積が増加する能力に基づいた化合物の選別を行った。これらのことから、上記化合物(2)が優れたAQP4の機能促進効果を有することを見出した。

【0067】
[化合物(2)]
化合物(2)は、2-スルホンアミド-3-ベンジルオキシピリジン骨格を有する化合物であり、AQP4に直接結合する。

【0068】
(R21
一般式(2)中、R21は、炭素数1~10のアルキル基、脂環式複素環基、芳香族炭化水素基、又は芳香族複素環基である。

【0069】
21における前記炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。そして、前記アルキル基は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~8であることがより好ましく、1~6であることがさらに好ましく、1~4であることが特に好ましい。

【0070】
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、n-ヘキシル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、2,2-ジメチルペンチル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、3-エチルペンチル基、2,2,3-トリメチルブチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられる。
直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基は、炭素数が1~10であることが好ましく、1~8であることがより好ましく、1~6であることがさらに好ましく、1~4であることが特に好ましい。

【0071】
より具体的には、R21における直鎖状又は分岐鎖状の前記アルキル基はメチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基又はn-ヘキシル基であることが好ましい。

【0072】
環状の前記アルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1-アダマンチル基、2-アダマンチル基、トリシクロデシル基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、又は直鎖状、分岐鎖状或いは環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換するハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のアルキル基としては、R21におけるアルキル基として例示した上記のものが挙げられる。

【0073】
環状の前記アルキル基は、単環状であることが好ましい。また、環状の前記アルキル基は、炭素数が3~10であることがより好ましく、3~8であることがさらに好ましく、3~6であることがより好ましい。

【0074】
より具体的には、R21における環状の前記アルキル基はシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基であることが好ましい。

【0075】
21における前記脂環式複素環基は、炭素及びその他の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄等)により構成される。前記脂環式複素環基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。

【0076】
前記脂環式複素環基としては、例えば、エチレンイミノ基、アザシクロブチル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、ヘキサメチレンイミノ基、ヘプタメチレンイミノ基、オクタメチレンイミノ基、ノナメチレンイミノ基、1,3,5,7-テトラアザアダマンチル基等の窒素含有脂環式複素環基;エポキシ基、トリメチレンオキシド基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ヘキサメチレンオキシド基、ヘプタメチレンオキシド基、オクタメチレンオキシド基、ノナメチレンオキシド基、2,4,6,8,9,10-ヘキサオキサアダマンチル基等の酸素含有脂環式複素環基;エチレンスルフィド基、トリメチレンスルフィド基、テトラヒドロチエニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ヘキサメチレンスルフィド基、ヘプタメチレンスルフィド基、オクタメチレンスルフィド基、ノナメチレンスルフィド基、2,4,6,8,9,10-ヘキサチアアダマンチル基等の硫黄含有脂環式複素環基;モルホリノ基等の窒素及び酸素含有脂環式複素環基;チオモルホリノ基等の窒素及び硫黄含有脂環式複素環基等が挙げられ、さらに、これら環状のアルキル基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、又は、直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換するハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のアルキル基としては、(R11)において例示されたものが挙げられる。

【0077】
前記脂環式複素環基は、単環状であることが好ましい。また、前記脂環式複素環基は、環を構成する原子数が3~10であることが好ましく、3~8であることがより好ましく、3~6であることがより好ましい。

【0078】
より具体的には、R21における前記脂環式複素環基は2-ピロリジニル基、3-ピロリジニル基、2-テトラヒドロフラニル基、又は3-テトラヒドロフラニル基であることが好ましい。

【0079】
21における前記芳香族炭化水素基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。

【0080】
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、オクタレニル基等が挙げられ、さらに、これら芳香族炭化水素基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、又は、直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換するハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のアルキル基としては、(R11)において例示されたものが挙げられる。

【0081】
前記芳香族炭化水素基は、単環状であることが好ましい。また、前記芳香族炭化水素基は、炭素数が6~14であることが好ましく、6~12であることがより好ましく、6~10であることがより好ましい。

【0082】
より具体的には、R21における前記芳香族炭化水素基はフェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、2-(トリフルオロメチル)フェニル基、3-(トリフルオロメチル)フェニル基又は4-(トリフルオロメチルフェニル基)であることが好ましい。

【0083】
21における前記芳香族複素環基は、炭素及びその他の元素(例えば、窒素、酸素、硫黄等)により構成される。前記芳香族複素環基は、単環状及び多環状のいずれでもよい。

【0084】
前記芳香族複素環基としては、例えば、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、インドリル基、イソインドリル基、インダゾリル基、プリニル基、キノジニル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、β-カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、アンチリジニル基等の窒素含有芳香族複素環基;フラニル基(フリル基)、ピラニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、イソクロメニル基、キサンテニル基等の酸素含有芳香族複素環基;チエニル基、チオピラニル基、チオクロメニル基、イソチオクロメニル基、チオキサンテニル基、イソチオキサンテニル基、チアントレニル基等の硫黄含有芳香族複素環基;オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基等の窒素及び酸素含有芳香族複素環基;チアゾリル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基等の窒素及び硫黄含有芳香族複素環基;フェノキサチイニル基等の酸素及び硫黄含有芳香族複素環基等が挙げられ、さらに、これら芳香族複素環基の1個以上の水素原子が、ハロゲン原子、水酸基、又は、直鎖状、分岐鎖状、若しくは環状のアルキル基で置換されたものが挙げられる。ここで、水素原子を置換するハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。また、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のアルキル基としては、(R11)において例示されたものが挙げられる。

【0085】
前記芳香族複素環基は、単環状であることが好ましい。また、前記芳香族複素環基は、炭素数が5~14であることが好ましく、5~12であることがより好ましく、5~10であることがより好ましい。

【0086】
より具体的には、R21における前記芳香族複素環基は2-ピロリル基、3-ピロリル基、2-フラニル基、又は3-フラニル基であることが好ましい。

【0087】
中でも、化合物(2)においてR21は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-ピロリジニル基、3-ピロリジニル基、2-テトラヒドロフラニル基、3-テトラヒドロフラニル基、2-ピロリル基、3-ピロリル基、2-フラニル基、又は3-フラニル基であることが好ましい。

【0088】
化合物(2)で好ましいものとしては、例えば、R21が炭素数1~10のアルキル基である場合、以下に示す化合物等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましい化合物(2)の一例に過ぎず、好ましい化合物(2)はこれらに限定されない。

【0089】
【化7】
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【0090】
化合物(2)で好ましいものとしては、例えば、R21が脂環式複素環基である場合、以下に示す化合物等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましい化合物(2)の一例に過ぎず、好ましい化合物(2)はこれらに限定されない。

【0091】
【化8】
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【0092】
化合物(2)で好ましいものとしては、例えば、R21が芳香族炭化水素基である場合、以下に示す化合物等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましい化合物(2)の一例に過ぎず、好ましい化合物(2)はこれらに限定されない。

【0093】
【化9】
JP2017150704A1_000011t.gif

【0094】
化合物(2)で好ましいものとしては、例えば、R21が芳香族複素環基である場合、以下に示す化合物等が挙げられる。
なお、これら化合物は、好ましい化合物(2)の一例に過ぎず、好ましい化合物(2)はこれらに限定されない。

【0095】
【化10】
JP2017150704A1_000012t.gif

【0096】
中でも、化合物(2)は、後述の実施例に示すとおり、優れたAQP4機能促進効果を有することから、2-フェニルスルホアミド-3-ベンジルオキシピリミジンであることが好ましい。

【0097】
本実施形態のAQP4機能促進剤は、化合物(2)の薬学的に許容できる塩を含んでいてもよい。

【0098】
本実施形態のAQP4機能促進剤は、他の成分として、PBS、Tris-HCl等の緩衝液、アジ化ナトリウム、グリセロール等の添加剤を含んでいてもよい。

【0099】
本実施形態のAQP4機能促進剤を用いて、疾患(特に、神経疾患)の治療方法を提供することができる。
治療対象として限定はされず、ヒト又はヒト以外の哺乳動物が挙げられ、ヒトが好ましい。

【0100】
[化合物(2)の製造方法]
化合物(2)は、例えば、所望のR21を有する塩化スルホニルと、2-アミノ-3-ベンジルオキシピリジンとを、公知の反応を用いて縮合させることで製造できる。より具体的には以下のとおりである。

【0101】
化合物(2)は、例えば、下記一般式(2a)で表される化合物(以下、「化合物(2a)」と略記することがある。)と、下記一般式(2b)で表される化合物(以下、「化合物(2b)」と略記することがある。)と、を反応させて、化合物(2)を得る工程(以下、「化合物(2)製造工程」と略記することがある。)を有する製造方法により、製造できる。
以下、各工程について、詳細に説明する。

【0102】
【化11】
JP2017150704A1_000013t.gif

【0103】
(式中、R21は、上記と同じである。)

【0104】
[化合物(2)製造工程]
前記化合物(2)製造工程においては、化合物(2a)と化合物(2b)とを反応させて、化合物(2)を得る。
化合物(2)を得る前記反応は、公知の縮合反応である。

【0105】
(化合物(2a))
化合物(2a)は公知化合物である。
化合物(2a)において、R21が炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である場合、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、i-ペンチル基又はn-ヘキシル基であることが好ましい。

【0106】
また、R21が炭素数1~10の環状のアルキル基である場合、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基又はシクロヘキシル基であることが好ましい。

【0107】
また、R21が脂環式複素環基である場合、2-ピロリジニル基、3-ピロリジニル基、2-テトラヒドロフラニル基、又は3-テトラヒドロフラニル基であることが好ましい。

【0108】
また、R21が芳香族炭化水素基である場合、フェニル基、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、2-フルオロフェニル基、3-フルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、2-(トリフルオロメチル)フェニル基、3-(トリフルオロメチル)フェニル基、又は4-(トリフルオロメチルフェニル基)であることが好ましい。

【0109】
また、R21が芳香族複素環基である場合、2-ピロリル基、3-ピロリル基、2-フラニル基、又は3-フラニル基であることが好ましい。

【0110】
(化合物(2b))
化合物(2b)は公知化合物(2-アミノ-3-ベンジルオキシピリジン)である。化合物(2b)は、公知の方法を用いて合成してもよく、市販のものを用いてもよい。

【0111】
(反応条件)
化合物(2)製造工程においては、例えば、適当な有機溶媒、又は前記有機溶媒及び水の混合溶媒等の水性溶媒を反応溶媒として用いることが好ましい。
化合物(2)製造工程において使用可能な有機溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、トリフルオロメチルベンゼン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、メチル-tert-ブチルエーテル等が挙げられ、これらに限定されない。
前記溶媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。

【0112】
化合物(2)製造工程において、化合物(2a)の使用量は、例えば、化合物(2b)の使用量の0.5~2倍モル量であることが好ましく、1~1.5倍モル量であることがより好ましい。

【0113】
化合物(2)製造工程においては、さらに塩基を用いて反応を行うことが好ましい。
前記塩基としては、例えば、ピリジン、2,6-ルチジン、2,6-ビス(tert-ブチル)ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、N-メチルモルホリン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、ナトリウムアミド等の無機塩基;リチウムジイソプロピルアミド、ブチルリチウム等の有機金属塩等が挙げられ、これらに限定されない。
前記塩基は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
化合物(2)製造工程において、塩基の使用量は、例えば、化合物(2b)の使用量の1~5倍モル量であることが好ましく、2~4倍モル量であることがより好ましい。

【0114】
化合物(2)製造工程において、反応温度は、例えば、15~40℃であることが好ましく、20~30℃であることがより好ましい。
化合物(2)製造工程において、反応時間は、例えば、48~96時間であることが好ましく、60~84時間であることがより好ましい。

【0115】
化合物(2)製造工程においては、不活性ガスの雰囲気下で反応を行うことが好ましい。
前記不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス、窒素ガス等が挙げられる。

【0116】
化合物(2)製造工程において、反応終了後は、公知の手法によって、必要に応じて後処理を行い、化合物(2)を取り出せばよい。すなわち、適宜必要に応じて、ろ過、洗浄、抽出、pH調整、脱水、濃縮等の後処理操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて行い、濃縮、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー等により、化合物(2)を取り出せばよい。また、取り出した化合物(2)は、さらに必要に応じて、結晶化、再沈殿、カラムクロマトグラフィー、抽出、溶媒による結晶の撹拌洗浄等の操作をいずれか単独で、又は2種以上組み合わせて1回以上行うことで、精製してもよい。

【0117】
化合物(2)、化合物(2a)、化合物(2b)等の各化合物は、例えば、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析法(MS)、赤外分光法(IR)等、公知の手法で構造を確認できる。

【0118】
<<神経疾患用の医薬組成物>>
本発明の一実施形態に係る神経疾患用の医薬組成物は、上述のアクアポリン4機能促進剤、並びに薬学的に許容できる担体及び希釈剤のうち少なくともいずれかを含む。

【0119】
本実施形態の神経疾患用の医薬組成物によれば、神経疾患を簡便且つ効果的に予防又は治療することができる。神経疾患としては、上述の<<アクアポリン4機能促進剤>>において例示したものと同様のものが挙げられる。中でも、本実施形態の神経疾患用の医薬組成物は、アルツハイマー病、脳梗塞、脳腫瘍、脱髄疾患、てんかん又は神経因性疼痛の予防又は治療に用いられることが好ましい。

【0120】
<投与量>
本実施形態の医薬組成物は、被検動物(ヒト又は非ヒト動物を含む各種哺乳動物、好ましくはヒト)の年齢、性別、体重、症状、治療方法、投与方法、処理時間等を勘案して適宜調節される。

【0121】
本実施形態の神経疾患用の医薬組成物に含まれる上述のAQP4機能促進剤が化合物(1)であるとき、その投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約1から20g、好ましくは約4から12g、より好ましくは約8から10gであると考えられる。
非経口的に投与する場合は、その1回の投与量は症状、投与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重60kgとして)においては、通常、1日当り約0.5gから10g、好ましくは約2から5g、より好ましくは約3から4g程度を静脈注射により投与するのが好都合であると考えられる。

【0122】
本実施形態の神経疾患用の医薬組成物に含まれる上述のAQP4機能促進剤が化合物(2)である場合、その投与量は、症状により差異はあるが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1から3g、好ましくは約0.5から1.5g、より好ましくは約1から1.4gであると考えられる。
非経口的に投与する場合は、その1回の投与量は症状、投与方法によっても異なるが、例えば注射剤の形では通常成人(体重60kgとして)においては、通常、1日当り約0.05から2g、好ましくは約0.3から1.5g、より好ましくは約0.5から0.8g程度を静脈注射により投与するのが好都合であると考えられる。

【0123】
投与回数としては、1週間平均当たり、1回~数回投与することが好ましい。
投与形態としては、例えば、動脈内注射、静脈内注射、皮下注射、鼻腔内的、腹腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、または経口的に当業者に公知の方法が挙げられ、静脈内注射又は腹腔内的投与が好ましい。
注射剤は、非水性の希釈剤(例えば、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類など)、懸濁剤、又は乳濁剤として調製することもできる。このような注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌、殺菌剤等の配合により行うことができる。注射剤は、用事調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって、無菌の固体組成物とし、使用前に注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解して使用することができる。

【0124】
<組成成分>
本実施形態の医薬組成物は、治療的に有効量の上述のキャリア及び生理活性物質、並びに薬学的に許容されうる担体又は希釈剤を含む。薬学的に許容されうる担体又は希釈剤は、賦形剤、稀釈剤、増量剤、崩壊剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、乳化剤、芳香剤、着色剤、甘味料、粘稠剤、矯味剤、溶解補助剤、添加剤等が挙げられる。これら担体の1種以上を用いることにより、注射剤、液剤、カプセル剤、懸濁剤、乳剤、又はシロップ剤等の形態の医薬組成物を調製することができる。

【0125】
また、担体としてコロイド分散系を用いることもできる。コロイド分散系は、上述のAQP4機能促進剤の生体内安定性を高める効果や、特定の臓器、組織、又は細胞へ、上述のAQP4機能促進剤の移行性を高める効果が期待される。コロイド分散系としては、例えばmポリエチレングリコール、高分子複合体、高分子凝集体、ナノカプセル、ミクロスフェア、ビーズ、水中油系の乳化剤、ミセル、混合ミセル、リポソームを包含する脂質を挙げることができ、特定の臓器、組織、又は細胞へ、上述のAQP4機能促進剤を効率的に輸送する効果のある、リポソームや人工膜の小胞が好ましい。

【0126】
本実施形態の医薬組成物における製剤化の例としては、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤として経口的に使用されるものが挙げられる。
または、水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、又は懸濁液剤の注射剤の形で非経口的に使用されるものが挙げられる。更には、薬理学上許容される担体又は希釈剤、具体的には、滅菌水や生理食塩水、植物油、乳化剤、懸濁剤、界面活性剤、安定剤、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、結合剤等と適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化されたものが挙げられる。

【0127】
錠剤、カプセル剤に混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガントガム、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油又はチェリーのような香味剤が用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、上記の材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。

【0128】
本実施形態の医薬組成物が注射剤である場合、無菌組成物は、例えば、注射用蒸留水のようなベヒクルを用いて通常の製剤実施に従って処方することができる。また、注射用の水溶液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液、例えばD-ソルビトール、D-マンノース、D-マンニトール、塩化ナトリウム等が挙げられ、適当な溶解補助剤(例えば、アルコール(具体的には、エタノール)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等))、又は非イオン性界面活性剤(例えばポリソルベート80(TM)、HCO-50等)と併用してもよい。

【0129】
また、油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油等が挙げられ、溶解補助剤として、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等と併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液等)、無痛化剤(例えば、塩酸プロカイン等)、安定剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノール等)、又は酸化防止剤をさらに配合してもよい。調製された注射液は通常、適当なアンプルに充填させる。

【0130】
また、注射剤は、非水性の希釈剤(例えば、ポリエチレングリコール、オリーブ油等の植物油、エタノール等のアルコール類等)、懸濁剤、又は乳濁剤として調製することもできる。このような注射剤の無菌化は、フィルターによる濾過滅菌、殺菌剤等の配合により行うことができる。注射剤は、用事調製の形態として製造することができる。即ち、凍結乾燥法などによって、無菌の固体組成物とし、使用前に注射用蒸留水又は他の溶媒に溶解して使用することができる。

【0131】
本実施形態の医薬組成物は、単独で用いてもよく、その他の神経疾患用の医薬組成物と組み合わせて用いてもよい。

【0132】
<治療方法>
本発明の一側面は、神経疾患の治療のための上述のAQP4機能促進剤を含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、治療的に有効量の上述のAQP4機能促進剤、並びに薬学的に許容されうる担体又は希釈剤を含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、前記医薬組成物を含む、神経疾患の治療剤を提供する。
また、本発明の一側面は、神経疾患の治療剤を製造するための上述のAQP4機能促進剤の使用を提供する。
また、本発明の一側面は、上述のAQP4機能促進剤の有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、神経疾患の治療方法を提供する。
【実施例】
【0133】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0134】
[製造例1]化合物2Aの製造方法
以下に示す経路で、コンピューター・シミュレーションにより選定された化合物の一つである化合物2A(2-(phenylsulfonamido)-3-benzyloxypyridine)を製造した。
【実施例】
【0135】
【化12】
JP2017150704A1_000014t.gif
【実施例】
【0136】
まず、2-アミノ-3-ベンジルオキシピリジン(1.50g、7.50mmol)を乾燥したジクロロメタン(35mL)を添加した50mL容量の丸底フラスコに加えた。続いて、2,6-ルチジン(2.62mL、22.5mmol)水溶液を、シリンジを用いて撹拌中の溶液に加え、反応容器にアルゴンを充填した。続いて、ベンゼンスルホニルクロリド(1.05mL、8.25mmol)を、シリンジを用いて撹拌中の溶液に加えた。続いて、72時間アルゴン雰囲気下、室温で撹拌しながら反応を行った。続いて、得られた黄色の溶液を10%クエン酸溶液(2×25mL)及び飽和炭酸ナトリウム溶液(2×25mL)で洗浄した。続いて、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、濾過し、水分を蒸発させることにより、暗赤色の半固体の結晶を得た。続いて、得られた暗赤色の結晶をヘキサンで洗浄した。続いて、シリカゲル(ワコーゲル300)を用いたフラッシュクロマトグラフィーカラムにより、33%酢酸エチル/ヘキサン用出来で溶出し、白色の結晶(化合物2A)を得た(収量0.309g、収率13.5%)。
【実施例】
【0137】
得られた化合物2Aの高速液体クロマトグラフィー (High performance liquid chromatography;HPLC)、高分解能質量分析(High-resolution mass spectra;HR-MS)及びH-NMRによる分析結果を以下に示す。
HPLC: rt = 1.72 min (DAD), purity >95% (DAD, ELSD).
HR-MS: anal calc'd for C18H17N2O3S+(M+H+), 341.0955; found, 341.0932 (9.4 ppm).
1H NMR: δ5.14 ppm, s, 2H; 6.90 ppm, br-t, 1H; 7.29-7.41 ppm, m, 4H; 7.47-7.64 ppm, m, 6H; 7.96 ppm, br-d, J = 6.6 Hz, 2H.
【実施例】
【0138】
[実施例1]
(1)in vitroアッセイ
in vitroアッセイにおいて使用する試薬は、特記しない限り、Sigma-Aldrich社又は和光純薬社から購入し、そのまま使用した。
改変バース培地(Modified Barth’s Medium;MBS)は、NaCl(88mM)、KCl(1mM)、HEPES(10mM)、MgSO(0.82mM)、NaHCO(2.4mM)、CaCl(0.91mM)、Ca(NO(0.33mM)、ゲンタマイシン(100mg/L)をそれぞれ含有し、pH7.5となるように調製し、調製後最大1週間以内に使用した。
分離用緩衝液は、NaCl(108mM)、KCl(2mM)、EDTA(2mM)、HEPES(10mM)をそれぞれ含有し、pH7.5となるように調製した。
【実施例】
【0139】
(1-1)卵母細胞の準備
アフリカツメガエル卵母細胞の単離、調製、トランスフェクションについては、参考文献(Sakimura, et al. , FEBSLett. , 272, 73-80, 1990.) に記載の方法を用いて、行った。具体的には、アフリカツメガエルの成体メス(重量150g)から卵母細胞を取り出して、MBSに移した。続いて、卵母細胞を単離緩衝液へ部分的に移し、卵胞膜を手作業で除去して卵母細胞を露出させた。続いて、膜を除去した卵母細胞を新鮮なMBSに移し、マイクロインジェクションに先立って、2時間平衡化させた。
【実施例】
【0140】
(1-2)AQP4 mRNA発現ベクターの調製
続いて、ヒトAQP4(hAQP4)-M23アイソフォームをコードするcDNA(配列番号1)は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)によりクローニングし、第1鎖のcDNAはヒト小脳全RNAから、Advantage RT-for-PCR kit(Clontech社製)を用いて、合成した。PCRプライマーは、公知のhAQP4-4M23の塩基配列に基づいて設計した。フォワードプライマー及びリバースプライマーの塩基配列はそれぞれ配列番号2及び3である。また、アフリカツメガエル卵母細胞に導入するために、hAQP4-M23のmRNAをpSP35T発現ベクターにサブクローニングした。
【実施例】
【0141】
(1-3)卵母細胞へのマイクロインジェクション
Drummondマイクロインジェクションシステムを用いて、(1-2)で調製したhAQP4-M23 mRNA発現ベクターのマイクロインジェクションを行った。それぞれ30nLのhAQP4-M23 mRNA発現ベクター(1つの卵母細胞について3ngのmRNA発現ベクターを注入)、又はネガティブコントロールとして水を、卵母細胞に注入した。MBS中において20℃で30分間、注入した卵母細胞を培養した。
【実施例】
【0142】
(1-4)候補化合物の投与
続いて、注入の48時間後、卵母細胞のうち4又は5個を450μL MBSとともに48ウェルプレート(Costar 3526)へ移した。続いて、アッセイの30分前に、1%のDMSO水溶液(Sigma社製、Hibri-Max)中の200μMの候補化合物(製造例1で調製した化合物2A)の溶液(50μL)、又はブランク(1%のDMSO)を分取して卵母細胞に投与した。培養培地の最終濃度は、候補化合物(製造例1で調製した化合物2A)が20μM、DMSOが0.1%であった。
【実施例】
【0143】
続いて、DP26デジタルカメラ(オリンパス社製)に接続されたSZX16顕微鏡(オリンパス社製)を用いて、移された卵母細胞を画像化した。プレートの温度は、MATS-5555温度調整ステージ(東海ヒット社製)を用いて、24℃にセットした。Hypotonic試薬(1000μL)を入れて、アッセイ初期画像(t=3秒)と、15秒間隔の画像を、投与後250秒後まで記録した。250秒より前に死んだ卵母細胞は、分析から除外した。
【実施例】
【0144】
(1-5)卵母細胞の容積の分析
続いて、画像をパーソナルコンピュータへ移し、各卵母細胞の領域をNIH Image-Jを用いて評価した。等しく定められた複数の測定時間における各卵母細胞の断面積値は、球状と仮定した体積に変換した。初期の卵母細胞画像と比較した相対体積は、各時間点において、少なくとも5個体(n=5)の卵母細胞で平均をとり、標準偏差を求めた。化合物2Aを投与した結果を図1に示す。図1において、「Sham」は水をインジェクションした卵母細胞を示し、「Blank」はAQP4のmRNAをインジェクションし、化合物を投与していない卵母細胞を示し、「Compound2A」はAQP4のmRNAをインジェクションし、化合物2Aを投与した卵母細胞を示している。
【実施例】
【0145】
図1から、化合物2Aを投与した卵母細胞において、有意に容積が増加したことが確かめられた。このことから、化合物2AはAQP4の機能を促進することにより、卵母細胞内に水を取り込ませ、容積が増加したものであると推察できる。
【実施例】
【0146】
[試験例1]マウスを用いたAQP4の機能促進確認試験
(1)候補化合物のマウスへの投与
ジャクソン研究所から入手したオス正常B6SJL-Tgマウスを生後8週目まで飼育した。続いて、マウス5匹ずつに、比較例としてインドメタシン、製造例1で調製した化合物2A、又はコントロールとして生理食塩水を腹腔内に投与した。
【実施例】
【0147】
続いて、20%H17Oを含む通常の生理食塩水0.2mLを、各マウスの右大腿静脈に挿入されたPE10チューブを介して、0.04mL/秒の速度で自動注射器を用いて、投与した。続いて、磁気共鳴イメージング(magnetic resonance imaging;MRI)を用いて、マウス脳内(皮質(Cortex)及び脳室(cerebrospinal fluid;CSF))でのH17Oの動態を8秒間隔の画像を、投与後70分後まで記録した。結果を図2A(インドメタシン投与)及び図2B(化合物2A投与)に示す。図2A及び図2Bにおいて、Cortexに対するCSFの相対値(CSF/Cortex)を示している。図2A及び図2Bにおいて、「Vehecle」は無投薬のコントロール群を示し、「Indomethacin」はインドメタシン投与群、「Compound2A」は化合物2A投与群を示す。
【実施例】
【0148】
図2A及び図2Bにおいて、化合物2Aを投与したマウスにおいて、CSF/Cortexの数値が下がっており、水の排出(脳脊髄液の流れ)が良くなっていた。このことから、化合物2AはAQP4に直接作用し、機能を促進することができると推察される。
【実施例】
【0149】
[試験例2]アルツハイマー病モデルマウスを用いたAQP4の機能促進確認試験
(1)候補化合物の準備
製造例1で調製した化合物2A、及び以下の反応式で得られる2-グアニジノ-1-エタンスルホン酸(Guanidinoethyl Sulfonate;GES)(以下、「化合物1A」と称する場合がある。)を委託製造して、用いた。
【実施例】
【0150】
【化13】
JP2017150704A1_000015t.gif
【実施例】
【0151】
(2)候補化合物のマウスへの投与
5×FAD アルツハイマー病モデルマウスを生後4か月齢まで飼育した。続いて、マウスに、化合物1A(50mg/kg)、又は製造例1で調製した化合物2A(200mg/kg)を3か月間経口投与した。また、コントロールとして無投薬群も準備した。
【実施例】
【0152】
(3)MRIを用いたマウス脳内(皮質(Cortex)及び脳室(CSF))でのH17Oの動態
化合物1Aを投与したマウス群、及び無投薬群について、試験例1と同様の方法を用いて、MRIによるマウス脳内(皮質(Cortex)及び脳室(CSF))でのH17Oの動態を8秒間隔の画像を、投与後70分後まで記録した。結果を図3に示す。図3において、「Vehecle」は無投薬群を示し、「Compound1A」は化合物1A投与群を示す。また、Cortexに対するCSFの相対値(CSF/Cortex)を示している。
【実施例】
【0153】
図3から、GESを投与したアルツハイマー病モデルマウスにおいて、AQP4機能促進を惹起することが明らかとなった。このメカニズムとしては、血管周囲腔のイオン緩衝作用によるAQP4の機能が促進亢進されたものと推察された。
【実施例】
【0154】
(4)脳の免疫染色
次いで、各マウスから脳を摘出し、脳組織よりパラフィン包埋切片(4μm厚)を作製し、以下の方法により免疫組織染色を行った。
まず、切片をギ酸処理後、一次抗体として[1]Mouse monoclonal Anti-Human Amyloid β(Total Aβ)(10027、 IBL、Japan)、[2]Rabbit polyclonal Anti-Human Amyloid β1-40(Aβ40)(18580、IBL、Japan)、又は[3]Rabbit polyclonal Anti-Human Amyloid β1-42(Aβ42)(18582、IBL、Japan)を用いて、4℃でOvernight incubationを行った。なお、各抗体の希釈倍率は[1]×50、[2]×200、[3]×200である。二次抗体適用後に、ヒストファインDAB基質キット(ニチレイバイオサイエンス、JAPAN)を用いたポリマー法により可視化した。無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてトータルAβを染色した画像を図5A、無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてAβ40を染色した画像を図6A、無投薬群、化合物1A投与群、及び化合物2A投与群の脳切片を用いてAβ42を染色した画像を図4A、並びに、無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてAβ42を染色した画像を図7Aに示す。
図4A~図7Aにおいて、「Control」は無投薬群、「Compound1A」は化合物1A投与群、「Compound2A」は化合物2A投与群を示す。
【実施例】
【0155】
(5)老人班の定量
次いで、染色後の標本は明視野光学顕微鏡(Olympus BX53、DP73)により組織像を撮影し、TIFFフォーマット(2,400×1,800pixels、3.5×2.6mm、2.13μm/pixel)により画像を保存した。各画像を画像解析処理ソフト(Aquacosmos、浜松ホトニクス、Japan)の粒子解析機能を用いて以下の解析を行った。大脳皮質にROIを設定し、2値化方式による粒子の抽出と抽出した各粒子の面積(pixel数)を自動計算して出力した。出力された粒子データのうち、10pixels以下の粒子はノイズとして除去し定量化した。無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてトータルAβを染色した画像での老人班の定量結果を図5B、無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてAβ40を染色した画像での老人班の定量結果を図6B、無投薬群、化合物1A投与群、及び化合物2A投与群の脳切片を用いてAβ42を染色した画像での老人班の定量結果を図4B、並びに、無投薬群及び化合物1A投与群の脳切片を用いてAβ42を染色した画像での老人班の定量結果を図7Bに示す。
図4B~図7Bにおいて、「Control」は無投薬群、「Compound1A」は化合物1A投与群、「Compound2A」は化合物2A投与群を示す。
アミロイドβ(Aβ)はアルツハイマー病の直接的な障害の原因と考えられており、その障害の中心をなすのが疎水性で凝集しやすいAβ42である。動物実験では親水性のAβ40を低下させた報告は多いが、これまでAβ42を有意に低下させる薬剤の報告は少ない。なお、トータルの老人班数はAβ40及びAβ42の両者を含んだものである。
【実施例】
【0156】
図4A及び図4Bから、化合物1A及び化合物2Aの経口投与により、アルツハイマー病モデルマウスの神経脱落の原因であるAβ42からなる老人班の増加を抑制できることが明らかとなった。
【実施例】
【0157】
まず、図5A、図5B、図6A、図6B、図7A,及び図7Bから、化合物1Aの経口投与により、アルツハイマー病モデルマウスの老人班の増加を有意に抑制できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0158】
本実施形態のアクアポリン4機能促進剤は、AQP4を直接促進する作用を有し、疾患の治療に有用な新規のアクアポリン4機能促進剤である。
図面
【図1】
0
【図2A】
1
【図2B】
2
【図3】
3
【図4A】
4
【図4B】
5
【図5A】
6
【図5B】
7
【図6A】
8
【図6B】
9
【図7A】
10
【図7B】
11