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明細書 :電波シールド材、モルタル、融雪装置、電波シールド体、および構造物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年11月29日(2018.11.29)
発明の名称または考案の名称 電波シールド材、モルタル、融雪装置、電波シールド体、および構造物
国際特許分類 H05K   9/00        (2006.01)
E01H   5/00        (2006.01)
E01C  11/26        (2006.01)
E04H   9/16        (2006.01)
E04B   1/92        (2006.01)
FI H05K 9/00 W
E01H 5/00 Z
E01C 11/26 Z
E04H 9/16 H
E04B 1/92
国際予備審査の請求
全頁数 23
出願番号 特願2017-563761 (P2017-563761)
国際出願番号 PCT/JP2017/000191
国際公開番号 WO2017/130652
国際出願日 平成29年1月6日(2017.1.6)
国際公開日 平成29年8月3日(2017.8.3)
優先権出願番号 2016013884
優先日 平成28年1月28日(2016.1.28)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】伊藤 洋介
【氏名】河邊 伸二
【氏名】渡邊 実
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001128、【氏名又は名称】特許業務法人ゆうあい特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 2D051
2E001
2E139
5E321
Fターム 2D051AF03
2D051DA01
2D051GA00
2D051GB00
2D051GC01
2D051GC06
2E001DH01
2E001DH03
2E001FA04
2E001GA01
2E001GA24
2E001HA01
2E001HB01
2E001LA10
2E139AA03
2E139AA21
2E139DA03
5E321AA41
5E321BB21
5E321BB60
5E321CC11
5E321CC16
5E321GG12
5E321GH10
要約 構造物は、複数の電波シールド材2と、複数の電波シールド材2が内部に設置されると共に電波を吸収して発熱するモルタル21と、を備える。複数の電波シールド材の各々は、複数本の細線11と、それら複数本の細線11を連結する連結材13と、を備える。1つの電波シールド材2に含まれる複数本の細線11は、他の電波シールド材2に含まれる複数本の細線11と、電気的に接続していない。複数の電波シールド材2の間には、または、複数の電波シールド材2のうち1つの電波シールド材2に含まれる複数本の細線11の間には、穴が設けられている。複数の電波シールド材2の一方面側から他方面側に、モルタル21が貫通する。
特許請求の範囲 【請求項1】
電界方向に対して略平行に、細線を、特定の周波数の電波に対応した間隔および長さで、複数配設させてなる電波シールド材において、各細線を連結する、細線の幅と同等または幅狭とした連結材を有することを特徴とする電波シールド材。
【請求項2】
電界方向に対して略平行に、細線を、特定の周波数の電波に対応した間隔および長さで、複数配設させてなる電波シールド材において、各細線を連結する、幅を該細線の長さよりも小さくした非導電性の連結材を有することを特徴とする電波シールド材。
【請求項3】
前記連結材は電界方向に対して略垂直であることを特徴とする請求項1または2に記載の電波シールド材。
【請求項4】
複数の請求項1乃至3に記載するいずれか1の電波シールド材を、電界方向に対して略平行に連結する第2連結材を有することを特徴とする電波シールド材。
【請求項5】
前記第2連結材が非導電性であることを特徴とする請求項4に記載する電波シールド材。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載するいずれか1の電波シールド材を有するモルタル材。
【請求項7】
請求項1乃至5に記載するいずれか1の電波シールド材を有する発熱モルタルブロックを有する融雪装置。
【請求項8】
複数の電波シールド材(2)を備え、
前記複数の電波シールド材の各々は、複数本の細線(11)と、前記複数本の細線(11)を連結する連結材(13)と、を備え、
前記複数の電波シールド材のうち1つの電波シールド材に含まれる複数本の細線は、前記複数の電波シールド材のうち他の電波シールド材に含まれる複数本の細線と、電気的に接続しておらず、
前記複数の電波シールド材の間には、または、前記複数の電波シールド材のうち1つの電波シールド材に含まれる複数本の細線の間には、空隙が設けられていることを特徴とする電波シールド体。
【請求項9】
複数の電波シールド材(2)と、
前記複数の電波シールド材が内部に設置されると共に電波を吸収して発熱する構造材(21)と、を備え、
前記複数の電波シールド材の各々は、複数本の細線(11)と、前記複数本の細線(11)を連結する連結材(13)と、を備え、
前記複数の電波シールド材のうち1つの電波シールド材に含まれる複数本の細線は、前記複数の電波シールド材のうち他の電波シールド材に含まれる複数本の細線と、電気的に接続しておらず、
前記複数の電波シールド材の間には、または、前記複数の電波シールド材のうち1つの電波シールド材に含まれる複数本の細線の間には、穴が設けられており、
前記複数の電波シールド材2の一方面側から他方面側に、前記構造材が貫通することを特徴とする構造物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の周波数について顕著な電波シールド効果を発揮する電波シールド材、およびその電波シールド材を有するモルタル、融雪装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、接着材付きの樹脂の非導電性フィルムがガラスに貼付され、この非導電性フィルムの上に導電体の線材等が等間隔に配置された電波シールド材が記載されている。この電波シールド材は、特定の周波数の電波を遮蔽する。
【0003】
現状の降雪地域では、図15に示すように、公道X1は自治体が除雪を行い、または融雪装置を設置して降雪の対策がなされている。一方、私有地である個人の敷地内X2では住民が行なわなければならず、特に家屋と公道までの通路が長い場合、住民にとって大きな負担となっている。
【0004】
ここで、融雪手段として、融雪剤の散布、電熱線または地下水を用いた融雪がある。しかし、融雪剤はコンクリートや植物への塩害や鉄骨への腐食の原因となる。また、電熱線を用いた融雪装置は、断線や漏電の恐れ、メンテナンス性、消費電力の大きさ、立ち上がりの遅さなどの問題がある。地下水による融雪は、地盤劣化の恐れや地下水に含まれる鉱物による路面の汚損などの問題がある。
【0005】
非特許文献1には、降雪地域の融雪に対応する電波発振器および発熱モルタルブロックを用いる融雪装置が記載されている。発熱モルタルブロックの表面付近には、電波漏れの防止、発熱効率の向上、およびモルタルの強度確保として金網が設置されている。この金網は、電波シールド材に該当する。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平10-335877号公報
【0007】

【非特許文献1】日本建築学会構造系論文集、第586号、1-5、2004年12月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の非導電性フィルムは、1枚の穴の無いシートなので、空間に設置して特定の周波数の電波を遮蔽した場合、以下の不具合が発生する。1室の中間に本シールド材を設置して2室に仕切り、一方の空間で特定の周波数の電波を発生させ、他方の空間への特定の周波数の電波を遮蔽した場合、同時に空気も遮蔽してしまう。よって、空調設備の気流も遮蔽することになり、温度や気流の制御が適正にできなくなる可能性がある。
【0009】
一方、非特許文献1で用いられる金網は、高周波になると、網目を密にすることが要求されるため、コストが高くなり、モルタルと組み合わせた際の施工性が低くなる。よって、電波遮蔽効果を高めることが困難である。また、特定の周波数を選択的に遮蔽することができない。
【0010】
発明者は、特許文献1に記載の電波シールド材を、発熱モルタルブロックのモルタル内に設置することについて検討した。しかし、この場合、非導電性フィルムによりモルタルが仕切られてしまうと共に、非導電性フィルムとモルタルとの接着性が悪いので強度が確保できず構造物として使用することができない。このことは、モルタルに限らず、一般的なコンクリート、セメントペースト等、セメントを含むモルタル以外の構造材でも同じ事が言える。ここでいうセメントは、ボルドランドセメントでもよく、他のセメントでもよい。また、セメントを含む構造材に限らず、アスファルト等の構造材についても同じことが言える。
【0011】
本発明の課題は、上記のような特定の周波数について顕著な電波シールド効果を発揮する電波シールド材が、空気中においては空気を通し、構造材内においては構造材の強度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決する電波シールド材、モルタルを提供することであり、以下の通りである。
【0013】
発明1は、電界方向に対して略平行に、細線を、特定の周波数の電波に対応した間隔および長さで、複数配設させてなる電波シールド材において、各細線を連結する、細線の幅と同等または幅狭とした連結材を有することを特徴とする電波シールド材である。
【0014】
発明2は、電界方向に対して略平行に、細線を、特定の周波数の電波に対応した間隔および長さで、複数配設させてなる電波シールド材において、各細線を連結する、幅を該細線の長さよりも小さくした非導電性の連結材を有することを特徴とする電波シールド材である。
【0015】
発明3は、連結材は電界方向に対して略垂直であることを特徴とする発明1または2記載の電波シールド材である。
【0016】
発明4は、複数の発明1乃至3に記載するいずれか1の電波シールド材を、電界方向に対して略垂直に連結する、第2連結材を有することを特徴とする電波シールド材である。
【0017】
発明5は、第2連結材が非導電性であることを特徴とする発明4に記載する電波シールド材である。
【0018】
発明6は、発明1乃至5に記載するいずれか1の電波シールド材を有するモルタル材である。
【0019】
発明7は、発明1乃至5に記載するいずれか1の電波シールド材を有する発熱モルタルブロックを有する融雪装置である。
【0020】
発明8は、複数の電波シールド材(2)を備え、前記複数の電波シールド材の各々は、複数本の細線(11)と、前記複数本の細線(11)を連結する連結材(13)と、を備え、前記複数の電波シールド材のうち1つの電波シールド材に含まれる複数本の細線は、前記複数の電波シールド材のうち他の電波シールド材に含まれる複数本の細線と、電気的に接続しておらず、前記複数の電波シールド材の間には、または、前記複数の電波シールド材のうち1つの電波シールド材に含まれる複数本の細線の間には、空隙が設けられていることを特徴とする電波シールド体である。
【0021】
発明9は、複数の電波シールド材(2)と、前記複数の電波シールド材が内部に設置されると共に電波を吸収して発熱する構造材(21)と、を備え、前記複数の電波シールド材の各々は、複数本の細線(11)と、前記複数本の細線(11)を連結する連結材(13)と、を備え、前記複数の電波シールド材のうち1つの電波シールド材に含まれる複数本の細線は、前記複数の電波シールド材のうち他の電波シールド材に含まれる複数本の細線と、電気的に接続しておらず、前記複数の電波シールド材の間には、または、前記複数の電波シールド材のうち1つの電波シールド材に含まれる複数本の細線の間には、穴が設けられており、前記複数の電波シールド材2の一方面側から他方面側に、前記構造材が貫通することを特徴とする構造物である。
【発明の効果】
【0022】
特定の周波数についてのみ電波シールド効果を発揮したい場合、導電性の細線を、特定の周波数を遮蔽するように配列され、連結材で固定された発明1の電波シールド材を用いることにより、容易に設置することができ、施工が容易となる。また、空間に設置した場合は空気の通過を可能として空調効果を損なわないようにすることができる。
【0023】
また、モルタル内に設置した場合、電波シールド材の空間を介してモルタルが固まることにより、モルタルとしての強度が低下しにくく構造物として使用することできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】アンテナからの電波の電界面に略直交する面に設置される第1実施形態の電波シールド体を示す。
【図2A】第1実施形態の電波シールド体の平面図である。
【図2B】第1実施形態の電波シールド体の正面図である。
【図2C】細線と連結材の幅を示す図である。
【図3A】細線の間隔および電波の周波数に対する電波遮蔽量を示すグラフである。
【図3B】欠損の長さおよび電波の周波数に対する電波遮蔽量を示すグラフである。
【図4】実験値と算定値における、補正前のピーク周波数とMの関係を示す図である。
【図5】実験値と算定値の関係を示す図である。
【図6】実験値と算定値における、補正後のピーク周波数とMの関係を示す図である。
【図7】遮蔽したい周波数に対する細線の長さ、細線の間隔、および欠損の長さの選定のフローを示す。
【図8A】第2実施形態の電波シールド体の平面図である。
【図8B】第2実施形態の電波シールド体の正面図である。
【図8C】細線と連結材の幅を示す図である。
【図9A】第3実施形態の電波シールド体の平面図である。
【図9B】第3実施形態の電波シールド体の正面図である。
【図10】欠損金網の正面図である。
【図11A】第4実施形態においてモルタル内に設置された電波シールド材の平面図である。
【図11B】第4実施形態においてモルタル内に設置された電波シールド材の正面図である。
【図12】第4実施形態(モルタル挟み込み)と従来例について、周波数に対する電波遮蔽量を示すグラフである。
【図13】欠損金網をモルタルブロックに埋め込んだ例について、周波数に対する電波遮蔽量を示すグラフである。
【図14A】第5実施形態の融雪用の発熱モルタルブロックを用いた融雪装置の構成図である。
【図14B】第5実施形態の融雪用の発熱モルタルブロックの構成図である。
【図15】降雪地域の融雪の現状を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0026】
(第1実施形態)
図1は、アンテナ31からの電波の電界面35に略直交する面37に設置される複数の電波シールド材2を備える電波シールド体1を示す。電界面35は、アンテナ31から放射される電波の電界方向33と電波の伝搬方向とを含む面である。略直交は、厳密な直交に対する±15°の誤差を許容することを意味する。面37は、平面でなくてもよい。

【0027】
面37に電波シールド体1を設置するために、電波シールド体1を保持する基材として、コンクリート、モルタル、アスファルト、ガラス、樹脂板、布、紙等の、電波を吸収して発熱する構造材が用いられてもよい。

【0028】
電波シールド材2の各々は、電界方向33に対して略平行に配置された複数本の細線11と、電界方向33に対して略直交して配置された1本以上の連結材13から成る。略平行は、厳密な平行に対する±15°の誤差を許容することを意味する。

【0029】
第1の観点によれば、複数の電波シールド材2中の複数本の細線11は、電界方向33に対して略平行に、特定の周波数の電波に対応した間隔および長さで、配設されている。そして、電波シールド材2の各々において、当該電波シールド材2中の連結材13の各々は、当該電波シールド材2中の細線11を連結する。連結材13の各々の幅13dは、同じ電波シールド材2中の細線11の幅11dと同等または幅狭である。電波シールド材2の各々が有する連結材13は1本であってもよいし、2本以上であってもよい。なお、連結材13の幅は、連結材13の長手方向に直交する方向の長さである。また、細線の幅11dは、細線11の長手方向に直交する方向の長さである。

【0030】
第2の観点によれば、複数の電波シールド材2中の複数本の細線11は、電界方向33に対して略平行に、特定の周波数の電波に対応した間隔および長さで、配設されている。そして、電波シールド材2の各々において、当該電波シールド材2中の連結材13の各々は、非導電性であり、当該電波シールド材2中の細線11を連結する。連結材13の各々の幅13dは、同じ電波シールド材2中の細線11の長手方向の長さより短い。

【0031】
連結材13の各々の幅は、同じ電波シールド材2中の細線11の長さより小さければどのような幅でもよいが、当該細線11の長さの半分または半分の長さよりも小さくすることがより好適である。

【0032】
第3の観点によれば、各連結材13は電界方向33に対して略垂直である。第1~第3の観点によれば、同じ電波シールド材2中で隣り合う2本の細線11の間に空間を有するように細線11を連結する連結材13を用いることにより、特定の周波数についてのみ電波シールド効果を発揮する電波シールド体1を提供することができる。これにより、電波シールド体1が空間に設置された場合は空気の通過を可能として空調効果を損なわないようにすることができる。また、モルタル21等の構造材内に設置した場合、電波シールド体1の隙間を介して構造材が固まることにより、構造材としての強度が低下しにくく構造物として使用することできる。また、構造材内に複数個の電波シールド材2をまとめて面の状態で配置できるので、電波シールド材2の配置の手間が低減される。

【0033】
また、第3の観点において、特に連結材13が導電性材料によるものであった場合、連結材13の長手方向が電界方向33に対して略垂直であるため、電波シールド体1の電波遮蔽効果に連結材13が影響を及ぼしにくい。

【0034】
図2A、図2B、図2Cは、第1実施形態の電波シールド体1を示す。図2Aは電波シールド体1の平面図、図2Bは電波シールド体1の正面図、図2Cは細線11と連結材13の幅を示す図である。

【0035】
まず、細線11と連結材13で構成した梯子形状の電波シールド材2を説明する。図2Bに示すように、電波シールド材2の各々においては、同じ長さLの導電性の複数の細線11が等しい間隔Mで配置され、細線11の長手方向両端部の2カ所が、2本の連結材13で固定される。

【0036】
細線11は、導電性の材料、例えば、鉄、ステンレス、銅、銅合金などを有する。鉄は、表面をフッ素樹脂で加工する等表面処理したものであってもよい。細線11の各々は、形状として針金、ワイヤー、ひも、糸など屈曲可能な形状の他、棒状の材でもよく、長さLでカットして製作される。これは、他の実施形態においても同様である。

【0037】
連結材13は、導電性材料または非導電性材料から構成される。例えば、鉄、ステンレス、銅、銅合金、樹脂、綿、ウールなどで構成される。鉄は、表面をフッ素樹脂で加工する等表面処理したものであってもよい。連結材13の各々は、形状として針金、ワイヤー、ひも、糸など屈曲可能な形状の他、棒状の材でもよい。これは、他の実施形態においても同様である。

【0038】
細線11と連結材13との接合方法は、連結材13を細線11に巻き付けて機械的に接合する方法でもよいし、溶接または接着剤を用いて接合する方法でも良い。また、細線11と連結材13に同一材料を用いる場合は、板状のものを切り欠いて細線11と連結材13を一体として形成してもよい。また、各電波シールド材2が、連結材13を2本、3本、または4本以上の複数本有し、これら連結材13が同じ電波シールド材2中の各細線11の複数箇所を連結しても良い(図9B参照)。

【0039】
なお、異なる電波シールド材2に属するどの2本の細線11も、互いに電気的に接続されていない。そして、各電波シールド材2において、隣り合う細線11の間には、隣り合う連結材13に挟まれた四角形の空隙が形成されている。これらの空隙は、電波シールド材2の一方面側から他方面側に貫通する。また、隣り合う電波シールド材2の間には、空隙が形成されている。これらの空隙は、電波シールド体1の一方面側から他方面側に貫通する。

【0040】
したがって、電波シールド体1が空間中に配置されたときには、これらの空隙を、電波シールド材2の周囲の空気が通ることができる。また、電波シールド体1が構造材(例えば後述するモルタル)中に配置されたときには、これらの空隙を介して、電波シールド材2の一方面側の構造材と他方面側の構造材が連結することができる。

【0041】
電波シールド体1においては、複数の電波シールド材2が、欠損の長さNの間隔をおいて、互いに略平行に、電界面35に略直交する面37に設置されている(図2B参照)。ここで、間隔Nは、各電波シールド材2中の各細線11の長手方向一方側端部から、その隣の電波シールド材2において最も当該細線11に近い細線11の長手方向他方側端部までの間隔である。また、間隔Nは、電界方向33に平行な方向の間隔であり、かつ、細線11の長手方向の間隔でもある。

【0042】
電波は、図2Aの平面図で示されるように、電波シールド体1に入射する。図2Cに、細線11の幅11dと連結材13の幅13dを示す。幅13dは、幅11dと同等であるか、幅11dより小さい。同等とは、幅11dの3倍程度から1/3程度までを指すが、略同一であることが最も好適である。

【0043】
図3A、図3Bは、細線11の長手方向の長さL、細線11の間隔M、および欠損の長さNの空気中における電波の周波数に対する電波遮蔽量を示す。図3Aは間隔Mの影響を示し、図3Bは欠損の長さNの影響を示す。ここで、間隔Mは、各電波シールド材2中の各細線11と、同じ電波シールド材2において当該細線と隣り合う細線11との間隔である。また、間隔Mは、電界面35に直交する方向の間隔であると共に、細線11の長手方向に直交する方向の間隔である。

【0044】
細線11の長さLを短くすることによって、より高周波の電波を反射でき、細線11の長さLを長くすることによって、より低周波の電波を反射できる。また、細線11の間隔Mを狭くすることによって、より高周波の電波を反射でき、細線11の間隔Mを広くすることによって、より低周波の電波を反射できる。よって、細線11の長さLと細線11の間隔Mを調整することによって、任意の電波を選択的に反射することができる。例えば空気中において2.45GHzの電波を反射する場合は細線11の長さLが60mm、細線11の間隔Mが35mmとすればよく、普通ポルトランドセメントによるモルタル21中において2.45GHzの電波を反射する場合は細線11の長さLが60mm、細線11の間隔Mが10mmとするのが好適である。

【0045】
なお、欠損の長さNは反射する電波の周波数に応じて狭くする必要があり、例えば空気中において2.45GHzの電波を反射する場合は35mm以下が望ましく、10mmが最も良い。

【0046】
電波シールド体1における周波数とその周波数の電波遮蔽量の関係を電波遮蔽量の周波数特性という。この周波数特性のピーク周波数をfa、電波シールド体1のインダクタンスをLa、電波シールド体1のインダクタンスをCaとすると、これらの関係は以下の式(1)で表される。

【0047】
【数1】
JP2017130652A1_000003t.gif

【0048】
なお、ピーク周波数は、電波遮蔽量が最大となる周波数である。各細線11の自己インダクタンスをLs、細線11間の相互インダクタンスをLmとすると、Laは以下の式(2)で表される。

【0049】
【数2】
JP2017130652A1_000004t.gif

【0050】
細線11の周囲の透磁率をμ、細線11の幅をr、細線の長さをLとすると、Lsは以下の式(3)で表される。

【0051】
【数3】
JP2017130652A1_000005t.gif

【0052】
細線11をその長手方向に対して垂直に切った断面は、長方形や正方形等多角形でもよく、必ずしも円形である必要は無いが、ここでは円形の場合について述べる。また、Lmは、以下の式(4)で示される。

【0053】
【数4】
JP2017130652A1_000006t.gif

【0054】
仮にCaを0.100とすると、ピーク周波数の実験値と式1による算定値について、ピーク周波数とMとの関係は図4のようになる。なお、この実験値は、本願発明者が行った所定の実験である。実験値と算定値にずれが生じているが、これはCaの値が実際には0.100でないことを意味する。ここで、算定値と実験値の関係を相関係数Rとともに図5に示す。図5中直線は切片を0とした時の近似直線である。実験値をfraとしたときの近似式は、以下の式(5)で表される。

【0055】
【数5】
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【0056】
近似式の傾き0.953をKa、0.100と仮定したキャパシタンスをCpとすると、実際のキャパシタンスCaは以下の式(6)により推定される。

【0057】
【数6】
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【0058】
これをCaについて解くと、以下の式(7)となる。

【0059】
【数7】
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【0060】
この式(7)により、Caは0.110と推測される。このCaの値を用いたピーク周波数をMの関係は、図6のようになる。図6では、ピーク周波数の算定値が実験値とほぼ同じになっている。なお、式(2)、(3)、(4)より、Lが長くなるほどインダクタンスが大きくなることがわかる。したがって、式(1)より、Lが長くなるほどピーク周波数が低周波方向に推移することがわかる。この算定値を活用し、L、M、rを適宜調整することにより種々のピーク周波数を容易に実現することができる。

【0061】
図7は、遮蔽したい周波数に対する細線11の長さL、細線11の間隔M、および欠損の長さNの選定のフローチャートを示す。ステップ101には、遮蔽したいピーク周波数を選定する。ここでは、2.45GHzとする。ステップ103では、電波シールド体1の仕様である、細線11の長さL、細線11の間隔M、および欠損の長さNを選定する。ここでは、細線11の長さL=63.5mm、細線11の間隔M=6.35mm、および欠損の長さN=6.35mmである。

【0062】
ステップ105では、欠損の長さNが許容値にあるか否かを判定する。許容値でない場合、ステップ103にて再度選定を行う。許容値の場合、電波シールド体1の仕様の仕様は決定される。

【0063】
なお、従来において細線11が配置される非導電性フィルムは、ガラスに貼付されるので、透明性を有する有機系材料である。このような従来の電波シールド体は屋外に暴露されるので紫外線による劣化が避けられない。この劣化によって、電波シールド体による電波の遮蔽効率が低下するので、定期的な張り替え等の手間やコストがかかる。

【0064】
また、発明者の検討によれば、モルタルの施工時に、細線を1本1本モルタル内に埋め込むことは工数、時間がかかり現実的では無い。

【0065】
(第2実施形態)
図8A、図8B、図8Cは、第2実施形態の電波シールド体1を示す。図8Aは平面図、図8Bは正面図、図8Cは細線11と連結材15の幅を示す。

【0066】
まず、図8Bを用いて、細線11と幅の大きい連結材15で構成した形状の電波シールド材2を説明する。電波シールド体1に属する複数の電波シールド材2の各々においては、同じ長さLの導電性の複数本の細線11が等しい間隔Mで配置される。そして、これら複数本の細線11の中央部の1カ所が、幅の大きい1本の連結材15で固定される。連結材13は、非導電性材料を用いる。細線11と連結材15との接合方法としては、連結材15と細線11を接着剤により接合する方法を採用してもよいし、連結材15に切込をいれ細線11をくぐらせて、あたかも連結材15の布を細線11の糸で縫うように機械的に接合する方法を採用してもよいし。

【0067】
また、細線11へ連結材15を接合する位置は、細線11の長手方向中心部でなくても良く、細線11の長手方向両端のいずれかにオフセットした位置でも良い。

【0068】
電波シールド体1では、図8Bに示すように、複数の電波シールド材2が、欠損の長さNの間隔をおいて略平行に、電界面35に略直交する面37に設置されている。電波は、図8Aの平面図で示されるように、電波シールド体1に入射する。

【0069】
図8Cに、細線11の幅11dと連結材15の幅15dを示す。連結材15の幅15dは、細線11の長さLよりも小さい。幅15dは、細線11の長さLよりも小さければ良いが、細線11の長さLの半分の長さと同じ幅であるか、細線11の長さLの半分の長さより小さければより好適である。

【0070】
なお、異なる電波シールド材2に属するどの2本の細線11も、互いに電気的に接続されていない。また、そして、各電波シールド材2において、隣り合う細線11の間には、空隙が形成されている。これらの空隙は、電波シールド材2の一方面側から他方面側に貫通する。また、隣り合う電波シールド材2の間には、空隙が形成されている。これらの空隙は、電波シールド体1の一方面側から他方面側に貫通する。

【0071】
したがって、電波シールド体1が空間中に配置されたときには、これらの空隙を、電波シールド材2の周囲の空気が通ることができる。また、電波シールド体1が構造材(例えば後述するモルタル)中に配置されたときには、これらの空隙を介して、電波シールド材2の一方面側の構造材と他方面側の構造材が連結することができる。

【0072】
(第3実施形態)
図9A、図9Bは、第3実施形態の電波シールド体1を示す。図9Aは平面図、図9Bは正面図を示す。電波シールド体1は、複数の電波シールド材を有する。これら電波シールド材の各々は、図9Bに示すように、細線11と連結材13で構成した梯子形状を有している。これら電波シールド材2の各々では、同じ長さLの導電性の複数本の細線11が等しい間隔Mで配置され、細線11の長手方向両端部の複数カ所が、複数本の連結材13で固定される。連結材13は、導電性材料または非導電性材料から成る。細線11と連結材13との接合方法は、第1実施形態と同様ある。例えば、連結材13を細線11に巻き付けて機械的に接合しても良いし、溶接または接着剤を用いて接合しても良い。また、細線11と連結材13に同一材料を用いる場合は、板状のものを切り欠いて細線11と連結材13を一体として形成してもよい。

【0073】
図9Bに示すように、電波シールド体1は、複数の電波シールド材2が、欠損の長さNの間隔をおいて略平行に、電界面35に略直交する面37に設置されている。ここで、短冊状の第2連結材17で、隣り合う電波シールド材2を接合する。ただし、第2連結材17は短冊状でなくても良く、例えば線状であっても良い。ここでは、隣り合う電波シールド材2の細線11同士を5本に1本のピッチで、第2連結材17で接合されている。第2連結材17は、非導電性材料から成っていてもよいが、導電性材料から成っていてもよい。

【0074】
第2連結材17の接合のピッチは、細線11の5本に1本のピッチでなくても良く、また2本乃至それより多くをまとめて第2連結材17と接合しても良い。ただし、電波シールド体1が空間に吊るして配置される場合およびモルタル21内に配置される場合に、欠損の長さNの間隔が保持可能なように、第2連結材17の接合のピッチが選定される。

【0075】
更に、第2連結材17は、導電性材料を用いることも可能であるが、非導電性材料を用いることが好ましい。導電性材料を用いる場合は、電波遮蔽への影響を検討して接合する細線11のピッチを選定したり、電波遮蔽効果を期待しない部位に用いたりする必要がある。

【0076】
第2連結材17と細線11との接合方法としては、接着剤により接合する方法を採用してもよいが、導電性材料を用いる方法を採用する場合は、溶接等の方法を用いることができる。また、細線11と連結材13に同一材料を用いる場合は、板状のものを切り欠いて細線11と連結材13を一体として形成してもよい。

【0077】
また、1つの第2連結材17と複数の細線11とが接合しても良い。また、第2連結材17と、連結材13の一部とが接合しても良い。連結材13は、図2A、図2B、図2Cと同じものであってもよいし、図8A、図8B、図8Cの連結材15と同じものであってもよい。

【0078】
電波は、図9Aの平面図で示されるように、電波シールド体1に入射する。ここで、第4の観点によれば、1個または複数個の第2連結材17は、上記第1、第2、第3の観点の複数の電波シールド材2を、電界方向33に対して略平行に連結する。また、第5の観点によれば、第2連結材17は非導電性である。

【0079】
これら第4、第5の観点によれば、電波シールド体1において、複数の電波シールド材2が第2連結材17によって互いに連結される。したがって、電波シールド体1を任意の場所に大きな面として設置が可能となるため、電波シールド体1を有する装置の施工性を高めることができる。

【0080】
ここで、連結材13は2本以上でも良いので、電波シールド体1として、長さMを有する正方形の網目(すなわち空隙)を有する金網を用いることができる。この場合、図10に示すように、細線11の間隔M(ピッチ)=6.35mmとなるよう、金網を選定し、この金網を細線11の長さL=63.5mmの長さでカットすることで、複数の電波シールド材2を有する電波シールド体1を作成してもよい。この際、間隔Nは例えば6.35mmとする。このようにしてできた電波シールド体1は、欠損金網という。

【0081】
欠損金網において、カットされた複数の電波シールド材2は、欠損の長さN=6.35mmの間隔で配置される。必要に応じて、隣り合う電波シールド材2同士を、第2連結材17を用いて接合しても良い。また、金網の一部を切り欠き、細線11となる部分、連結材13となる部分を残して電波シールド材2、更に第2連結材17となる部分を残して電波シールド体1としても良い。

【0082】
更に、パンチングメタルの様に金属薄板を打ち抜いて金網形状として、細線11と連結材13を一体とした複数の電波シールド材2を製作してもよい。あるいは、細線11、連結材13、および第2連結材17が一体となった電波シールド体1を製作しても良い。

【0083】
なお、異なる電波シールド材2に属するどの2本の細線11も、互いに電気的に接続されていない。また、そして、各電波シールド材2において、隣り合う細線11の間には、空隙が形成されている。これらの空隙は、電波シールド材2の一方面側から他方面側に貫通する。また、隣り合う電波シールド材2の間には、空隙が形成されている。これらの空隙は、電波シールド体1の一方面側から他方面側に貫通する。

【0084】
したがって、電波シールド体1が空間中に配置されたときには、これらの空隙を、電波シールド材2の周囲の空気が通ることができる。また、電波シールド体1が構造材(例えば後述するモルタル)中に配置されたときには、これらの空隙を介して、電波シールド材2の一方面側の構造材と他方面側の構造材が連結することができる。

【0085】
(第4実施形態)
図11A、Bは、第4実施形態であるモルタル21内に電波シールド体1を設置したモルタル電波シールド装置3を示す。図11Aは、モルタル21内に電波シールド体1を設置した例の平面図、図11Bは正面図である。

【0086】
図11Aにおいて、電波シールド体1は、モルタル21の中央部に設置されているが、いずれかの表面側にオフセットさせて設置されても良い。図11Bに示すように、電波シールド体1に含まれる複数の電波シールド材2の各々は、副数本の細線11と複数本の連結材13で構成された梯子形状を有する。各電波シールド材2においては、同じ長さLの導電性の複数本の細線11が等しい間隔Mで配置される。そして、これら細線11の長手方向両端部の複数カ所が、複数本の連結材13で固定される。連結材13は、導電性材料または非導電性材料で構成される。細線11と連結材13との接合方法としては、第1実施形態と同様で、例えば、連結材13を細線11に巻き付けて機械的に接合する方法を採用してもよいし、溶接または接着剤を用いて接合する方法を採用してもよい。また、細線11と連結材13に同一材料を用いる場合は、板状のものを切り欠いて細線11と連結材13を一体として形成してもよい。また、第2実施形態の連結材13とその接合方法を用いることもできる。

【0087】
本実施形態の電波シールド体1としては、第1、第2実施形態のものを用いても良い。また、本実施形態の電波シールド体としては、第3実施形態の欠損金網等が用いられてもよい。連結材13は、図11Bに示すよりも多くても良い。モルタル21内に、電波シールド体1が配置されると、電波シールド体1に開けられた空隙を介してモルタル21が固まる。これにより、モルタル21としての強度が低下しにくく、モルタル21を構造物として使用するのに好適である。また、モルタル21内に電波シールド体1をまとめた面の状態で配置できるので、電波シールド体1の配置の手間がかからない。

【0088】
電波は、図11Aの平面図で示されるように、電波シールド体1に入射する。よって、モルタル21によって建築物の壁を構成した場合、特定の周波数の電波を遮蔽することができる。

【0089】
また、空気とモルタル21の誘電率の違いにより、モルタル21中の細線11の長さLはより短く、細線11の間隔M、および欠損の長さNはより狭くした方が好適となりやすい。空気よりもモルタル21の誘電率は高く、モルタル21中に存在する電波の波長は空気中に存在する電波の波長よりも短くなるためと考える。

【0090】
第6の観点によれば、モルタル21は、上記第1-第5の観点における電波シールド体1を有する。

【0091】
図12は、第3実施形態で説明した欠損金網を、縦300mm×横300mm×厚さ10mmの硬化させた2枚の普通ボルトランドセメントモルタルの間に挟んだときの、当該欠損金網の周波数に対する電波遮蔽量を示す。また、図12は、比較例として、従来の金網を当該2枚の普通ボルトランドセメントモルタルの間に挟んだときの、当該金網の周波数に対する電波遮蔽量を示す。横軸が周波数、縦軸が電波遮蔽量(dB)を示す。従来例である金網の特性は「ひし形のシンボル+実線」で表され、欠損金網の特性は「正方形シンボル+破線」で表される。電波遮蔽量(dB)は、対象の周波数である2.45GHzにおいて、従来の金網の場合の約7dBに対して、欠損金網の方は約30dBと大きく向上している。

【0092】
図13は、第3実施形態の欠損金網がモルタル21の中央部に埋め込まれた場合の、当該欠損金網の周波数に対する電波遮蔽量を、丸印および実線で示す。また、図13は、比較例として、従来の金網がモルタル21の中央部に埋め込まれた場合の、当該金網の周波数に対する電波遮蔽量を、四角印および実線で示す。 また、図13は、比較例として、電波シールド体がモルタル21に埋め込まれていない場合の、当該金網の周波数に対する電波遮蔽量を、菱形印および実線で示す。ただし、N=20mmとする。この図13に示すように、欠損金網が入っているモルタル21は、最も電波遮蔽量が多い。

【0093】
なお、異なる電波シールド材2に属するどの2本の細線11も、互いに電気的に接続されていない。また、そして、各電波シールド材2において、隣り合う細線11の間には、穴が形成されている。これらの穴を通って、電波シールド材2の一方面側から他方面側に、モルタル21が貫通する。また、隣り合う電波シールド材2の間には、穴が形成されている。これらの穴を通っては、電波シールド体1の一方面側から他方面側に、モルタル21が貫通する。つまり、これらの穴を介して、電波シールド体1の一方面側のモルタルと他方面側のモルタルとが結合する。したがって、モルタル21の強度が低下しにくく、電波シールド体1が内部に設置された発熱モルタルブロックを、強固な構造物として使用することできる。なお、モルタルを、電波を吸収して発熱する他の構造材に置き換えても同じことが言える。

【0094】
(第5実施形態)
図15は、降雪地域の融雪の現状を示す。現状の降雪地域では、公道X1は自治体が除雪を行い、または融雪装置を設置して降雪の対策がなされている。一方、私有地である個人の敷地内X2では住民が行なわなければならず、特に家屋と公道までの通路が長い場合、住民にとって大きな負担となっている。

【0095】
ここで、融雪手段として、融雪剤の散布、電熱線または地下水を用いた融雪がある。しかし、融雪剤はコンクリートや植物への塩害や鉄骨への腐食の原因となる。また、電熱線を用いた融雪装置は、断線や漏電の恐れ、メンテナンス性、消費電力の大きさ、立ち上がりの遅さなどの問題がある。地下水による融雪は、地盤劣化の恐れや地下水に含まれる鉱物による路面の汚損などの問題がある。

【0096】
ここで、非特許文献1には、降雪地域の融雪に対応する電波発振器41および発熱モルタルブロック45を用いる融雪装置が記載されている。発熱モルタルブロックの表面付近には、電波漏れの防止、発熱効率の向上、およびモルタルの強度確保として金網が設置されている。ここで、金網は、ここで、金網は、高周波になると、網目を密にすることが要求されるため、コストが高くなり、モルタルと組み合わせた際の施工性が低くなる問題がある。よって、電波遮蔽効果を高めることが困難である。また、図12に示したように、特定の周波数のみを遮蔽することができない。また、特許文献1による電波シールド材は、発熱モルタルブロックのモルタル内に設置した場合、非導電性フィルムによりモルタルが仕切られてしまうと共に、非導電性フィルムとモルタルとの接着性が悪いので強度が確保できず構造物として使用することが困難である。

【0097】
図14A、図14Bは、第5実施形態の融雪用の発熱モルタルブロック45に電波シールド体1を埋め込んだ融雪装置5を示す。図14Aは、融雪装置5を示す。電波発振器41で生成された電波は、導波管43に導かれる。導波管43の上面にはスリット44があり、導波管43の上部に配置される発熱モルタルブロック45に導かれる。

【0098】
図14Bは、発熱モルタルブロック45の構成を示す。モルタル21の中に、発熱体47その上に電波シールド体1が配置される。発熱体47は、導波管43のスリット44から導かれた電波を吸収して熱に変換する。発熱体47は、カーボン、フェライト(Fe)等である。電波シールド体1は、発熱体47で熱に変換されないで通過してきた電波を反射することで遮蔽する。反射された電波は、再度発熱体47で吸収され熱に変換される。

【0099】
発熱モルタルブロック45内において、発熱体47および電波シールド体1は、地表面の近傍に設置されるほうが良い。発生した熱が地表に伝わりやすく、融雪に寄与するからである。

【0100】
よって、図12、図13で示される電波遮蔽量の向上された効果は、電波の漏れを防止すると共に、地表面付近で発熱させることができることによる融雪の効率向上に繋げることができる。第7の観点によれば、融雪装置5は、第1-第5の観点における電波シールド体1が設置された発熱モルタルブロック45を有する。

【0101】
なお、上記実施形態では、異なる電波シールド材2に属するどの2本の細線11も、互いに電気的に接続されていないが、一部の複数の細線11が、異なる電波シールド材2に属し、かつ互いに電気的に接続されていてもよい。その場合は、そのような一部の細線11以外の細線が、上述と同様、特定の周波数選択性を有する電波遮蔽効果を実現する。

【0102】
つまり、一部の複数の細線11が、異なる電波シールド材2に属し、かつ互いに電気的に接続されていても、特定の周波数選択性を有する電波遮蔽効果に寄与する細線11に着目すれば、異なる電波シールド材2に含まれるどのような組み合わせの2つの細線11も、電気的に接続していない。請求の範囲で特定している「複数本の細線」は、このような、特定の周波数選択性を有する電波遮蔽効果に寄与する細線11である。

【0103】
なお、特許文献1に記載の窓ガラスのうち、隣り合う線状アンテナ素子の間に配置される部分に、貫通孔を開けても、本開示と同様の効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、細線11との間に空間を有するように細線11を連結する連結材13を用いることにより、特定の周波数についてのみ電波シールド効果を発揮する電波シールド体1を提供することである。これにより電波シールド体1を空間に設置した場合は空気の通過を可能として空調効果を損なわないようにすることができる。また、電波シールド体1をモルタル21内に設置した場合、電波シールド体1の空間を介してモルタル21が固まることにより、モルタル21としての強度が低下しにくく構造物として使用することできる。また、モルタル21内に電波シールド体1をまとめた面の状態で配置できるので設置の手間がかからない。
【0105】
また、融雪装置5の電波を発熱体47に設置されることにより、電磁波の漏れを防止すると共に、地表面付近で発熱させることができることによる融雪の効率アップに繋げることができる。
【符号の説明】
【0106】
1 電波シールド体
2 電波シールド材
5 融雪装置
11 細線
11d 細線の幅
13 連結材
13d 連結材の幅
15 連結材
15d 連結材の幅
17 第2連結材
21 モルタル
31 アンテナ
33 電界方向
35 電界面
37 電界面に直交する面
41 電波発振器
43 導波管
44 スリット(開口部)
45 発熱モルタルブロック
47 発熱体
L 細線の長さ
M 細線の間隔
N 欠損の長さ
図面
【図1】
0
【図2A】
1
【図2B】
2
【図2C】
3
【図3A】
4
【図3B】
5
【図4】
6
【図5】
7
【図6】
8
【図7】
9
【図8A】
10
【図8B】
11
【図8C】
12
【図9A】
13
【図9B】
14
【図10】
15
【図11A】
16
【図11B】
17
【図12】
18
【図13】
19
【図14A】
20
【図14B】
21
【図15】
22