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明細書 :書き換え型ホログラム記録材料、並びに、ホログラムの記録・消去方法およびホログラム記録装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年12月6日(2018.12.6)
発明の名称または考案の名称 書き換え型ホログラム記録材料、並びに、ホログラムの記録・消去方法およびホログラム記録装置
国際特許分類 G03H   1/02        (2006.01)
G03H   1/04        (2006.01)
G02B   5/30        (2006.01)
C08F 220/34        (2006.01)
FI G03H 1/02
G03H 1/04
G02B 5/30
C08F 220/34
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 28
出願番号 特願2017-566546 (P2017-566546)
国際出願番号 PCT/JP2016/089023
国際公開番号 WO2017/138277
国際出願日 平成28年12月28日(2016.12.28)
国際公開日 平成29年8月17日(2017.8.17)
優先権出願番号 2016025264
優先日 平成28年2月12日(2016.2.12)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】堤 直人
【氏名】木梨 憲司
【氏名】藪原 侑樹
【氏名】元石 さつき
出願人 【識別番号】504255685
【氏名又は名称】国立大学法人京都工芸繊維大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査請求 未請求
テーマコード 2H149
2K008
4J100
Fターム 2H149AA20
2H149AB11
2H149DA04
2H149EA03
2K008AA02
2K008AA04
2K008DD13
2K008EE01
2K008FF17
2K008FF24
2K008HH14
4J100AL03P
4J100AL08Q
4J100BA03Q
4J100BA04Q
4J100BA29Q
4J100BA40Q
4J100BA41Q
4J100BA45Q
4J100BC43Q
4J100BC65Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA61
4J100DA66
4J100JA32
4J100JA37
要約 速い応答性、および長期のメモリ性を両立した特性を有する書き換え型ホログラム記録材料であって、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体、および、上記カルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子を含有することを特徴とする書き換え型ホログラム記録材料。
特許請求の範囲 【請求項1】
アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体、および、
上記カルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子を含有することを特徴とする、書き換え型ホログラム記録材料。
(ここで、カルバゾールアゾベンゼンは、以下の式(1)にて表される。)
【化1】
JP2017138277A1_000006t.gif

【請求項2】
上記カルバゾールアゾベンゼンが、上記式(1)におけるXがシアノ基、ニトロ基またはメトキシ基であるカルバゾールアゾベンゼンである、請求項1に記載の書き換え型ホログラム記録材料。
【請求項3】
上記共重合体の側鎖に導入されているカルバゾールアゾベンゼンと、上記カルバゾールアゾベンゼン分子とが同種である、請求項1または2に記載の書き換え型ホログラム記録材料。
【請求項4】
上記アクリル系ポリマーが、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートおよびポリメチルアクリレートからなる群から少なくとも1種選択される、請求項1~3の何れか1項に記載の書き換え型ホログラム記録材料。
【請求項5】
上記書き換え型ホログラム記録材料に含有される上記共重合体と上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計重量に対する、上記共重合体に含まれる上記カルバゾールアゾベンゼンに由来する基と上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計のモル濃度が、5×10-4mol/g以上、2.0×10-3mol/g以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の書き換え型ホログラム記録材料。
【請求項6】
上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基に対する、上記カルバゾールアゾベンゼン分子のモル比率が、0.5以上、2.0以下である、請求項1~5の何れか1項に記載の書き換え型ホログラム記録材料。
【請求項7】
上記共重合体の重量平均分子量が10,000以上、200,000以下である、請求項1~6の何れか1項に記載の書き換え型ホログラム記録材料。
【請求項8】
ホログラム記録素子を有する記録媒体であって、
上記ホログラム記録素子は、請求項1~7の何れか1項に記載の書き換え型ホログラム記録材料を含有することを特徴とする、記録媒体。
【請求項9】
書き換え型ホログラム記録材料を含有するホログラム記録素子内で、空間光変調器(SLM)上の縞模様のパターンを1光束のレーザー光を用いて、あるいは、可干渉な物体光および参照光を干渉させること(2光束干渉)により、当該ホログラム記録素子内に干渉縞を形成させ、上記ホログラム記録素子にホログラムを記録する工程および上記ホログラム記録素子に対して偏光を照射することによって当該ホログラムを消去する工程を含むホログラムの記録・消去方法であって、
上記書き換え型ホログラム記録材料が、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体、および、
上記共重合体に導入されている上記カルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子をさらに含有する材料からなるホログラム記録素子に対して、
少なくとも当該ホログラムを消去する工程を円偏光の照射によって行うことを特徴とする、ホログラムの記録・消去方法。
【請求項10】
上記記録する工程における上記物体光および上記参照光が、円偏光である、請求項9に記載のホログラムの記録・消去方法。
【請求項11】
ホログラムを記録した上記ホログラム記録素子に対して、上記参照光と同位相の偏光を照射することによって、記録したホログラムを再生する工程をさらに含む、請求項9または10に記載のホログラムの記録・消去方法。
【請求項12】
上記記録したホログラムを再生する工程において、ホログラムを記録した上記ホログラム記録素子に対して照射する偏光が、円偏光である、請求項11に記載のホログラムの記録・消去方法。
【請求項13】
請求項9~12の何れか1項に記載のホログラムの記録・消去方法を行うために、2光束干渉によるホログラムの記録・消去方法を使用するためのホログラム記録装置であって、
少なくとも上記消去する工程において、円偏光用素子を通して、上記ホログラム記録素子に対して、円偏光を得るための機構を備えることを特徴とする、ホログラム記録装置。
【請求項14】
上記円偏光を得るための機構が、λ/4板である、請求項13に記載のホログラム記録装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、書き換え型ホログラム記録材料および記録媒体に関する。また、本発明は、ホログラムの記録・消去方法および上記方法に使用するためのホログラム記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の物質は良好な電荷輸送能を有することが知られており、その応用事例としてフォトリフラクティブ効果がある。フォトリフラクティブ効果とは、レーザー光などを照射するとポッケルス効果によって物質の屈折率が変化することである。具体的には2本のコヒーレントなレーザー光を交差させて媒体に照射する場合が挙げられる。交差したビームは互いに干渉し、媒体に周期的な干渉縞が形成される。この干渉縞においては、交互に明所と暗所が現れ、明所では媒体が光励起されて電荷キャリアが生成され、生成された電荷キャリアは、媒体に印加された外部電場によって明所からドリフト移動し、暗所でトラップされる。これにより、媒体には、周期的な電荷密度の分布が生じる。この周期的な電荷密度の分布は、ポッケルス効果を介して媒体に屈折率の周期的な変化を誘起する。
【0003】
このようなフォトリフラクティブ効果を備える物質は、そのフォトリフラクティブ効果を利用して、歪曲した物体のイメージング、実時間ホログラフィー、超多重ホログラム記録、3Dディスプレイ、3Dプリンター、さらには光増幅、光ニューラルネットワークを含む非線形光情報処理、パターン認識、光リミッティング、高密度光データの記憶等、多くの分野にて活用されている。
【0004】
しかしながら、従来のフォトリフラクティブ効果を用いたデバイスでは、フォトリフラクティブ素子に数十V/μm(数MV/cm、例えば100μmの厚さの素子では数kVの電圧に相当)の高電場を印加することが必要であり、高電場での絶縁破壊を生じるおそれが高いという欠点がある。
【0005】
上記欠点を克服する材料として、光異性化(ある分子が光を吸収することによって異性体に変化する現象)により、無電場で、屈折率の周期的な変化を誘起することができる、フォトクロミック性(ある物質が,光の照射によって着色されるか、あるいは色調が変化し、その後、熱または、当該着色または当該色調の変化をもたらした光とは異なる波長の光によってもとに戻る性質をもつこと)を備える物質から構成される材料の開発が進められている。ここで、上記フォトクロミック性を備える物質は、通常、安定性に問題があり短時間で記録した情報が消えてしまうという欠点を有している。
【0006】
そこで、上記欠点を克服した材料として、高分子アゾベンゼン液晶や液晶成分とフォトクロミック成分を有するポリマーからなる書き換え型ホログラム材料が開示されている(特許文献1、2)。
【0007】
また、特許文献1、2に開示された高分子型ホログラム材料と異なる、低分子型ホログラム材料として、カルバゾールアゾベンゼン部位を骨格に有し、ベンゼンのパラ位にニトロ基、シアノ基などの置換基が導入された低分子化合物からなる材料が開示されている(特許文献3)。さらに、書き換え型ホログラムディスプレイ用の材料として、ベンゼンのパラ位の置換基がニトロ基であるカルバゾールアゾベンゼン(3-[(4-nitrophenyl)azo]-9H-carbazole-9-ethanol (NACzE))をポリメチルメタクリレート(PMMA)に分散・溶解させた材料をフォトリフラクティブ材料として用いてホログラムの記録を行うことが開示されている(特許文献4、5、非特許文献1、2、3)。しかし、上述のカルバゾールアゾベンゼンを分散・溶解させた材料には、記録されたホログラムの情報が時間経過とともに消えていく、メモリ性の欠如という欠点を有している。
【0008】
そこで、上記欠点を解決する手段として、カルバゾールアゾベンゼンを側鎖に備え、PMMA等のアクリル系ポリマーを主鎖とする共重合体を含む、メモリ性が改善された書き換え型ホログラム材料の開発が進められている。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】日本国公開特許公報「特開2001-265199号公報(2001年9月28日公開)」
【特許文献2】日本国公開特許公報「特開2004-252327号公報(2004年9月9日公開)」
【特許文献3】日本国公開特許公報「特開2014-142393号公報(2014年8月7日公開)」
【特許文献4】国際公開公報「WO2013/080883号(2013年6月6日公開)」
【特許文献5】日本国公開特許公報「特開2014-240861号公報(2014年12月25日公開)」
【0010】

【非特許文献1】Opt. Mater. Express 2(8), 1003-1010 (2012)
【非特許文献2】Opt. Express 21 (17), 19880-19884 (2013)
【非特許文献3】J. Phys. Chem. C, 18567-18572 (2015)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の共重合体を含む材料は、メモリ性は改善されるものの、光応答性が低く、立ち上がりに必要な光照射時間が長いという問題を有する。
【0012】
また、上述の共重合体からなる材料のように、メモリ性が良好な材料では、記録したホログラム情報を消去するのに時間がかかるという問題がある。すなわち、記録時の応答性とメモリ性とを両立し、また、記録データの消去を迅速に行えるという課題を解決したという報告はない。例えば、上記消去は、通常、直線偏光の照射により行われるが、上述の消去では、消去後に再度ホログラム情報を記録し、再び消去することを繰り返し行った場合に回折効率が低下する、並びに、当該ホログラム情報の消去に時間が必要となり、再度の記録までに必要な時間および再記録時の応答速度が低下する、などの問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記の問題を解決するために、鋭意研究を行い、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入した共重合体、および、上記共重合体に導入されているカルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子を含有することによって、メモリ性を保ちつつ、光応答性を改善することができることを見出し、本発明に想到した。また、本発明者らは、記録されたホログラム情報の消去に、円偏光を使用することによって、消去後に再度ホログラム情報を記録し、再び消去することを繰り返し行った場合においても、回折効率が低下せず、消去に必要な時間も短くすることができ、再度記録できるまでの時間も短縮できることを見出し、本発明に想到した。
【0014】
本発明は、以下の〔1〕~〔14〕に記載の書き換え型ホログラム記録材料、記録媒体、ホログラムを記録・消去する方法およびホログラム記録装置を含む。
〔1〕アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体、および、上記共重合体に導入されている上記カルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子を含有することを特徴とする、書き換え型ホログラム記録材料。
(ここで、カルバゾールアゾベンゼンは、以下の式(1)にて表される。)
【0015】
【化1】
JP2017138277A1_000002t.gif

【0016】
〔2〕上記カルバゾールアゾベンゼンが、上記式(1)におけるXがシアノ基、ニトロ基またはメトキシ基であるカルバゾールアゾベンゼンである、〔1〕に記載の書き換え型ホログラム記録材料。
〔3〕上記共重合体の側鎖に導入されているカルバゾールアゾベンゼンと、上記カルバゾールアゾベンゼン分子とが同種である、〔1〕または〔2〕に記載の書き換え型ホログラム記録材料。
〔4〕上記アクリル系ポリマーが、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレートおよびポリメチルアクリレートからなる群から少なくとも1種選択される、〔1〕~〔3〕の何れか1つに記載の書き換え型ホログラム記録材料。
〔5〕上記書き換え型ホログラム記録材料に含有される上記共重合体と上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計重量に対する、上記共重合体に含まれる上記カルバゾールアゾベンゼンに由来する基と上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計のモル濃度が、5×10-4mol/g以上、2.0×10-3mol/g以下である、〔1〕~〔4〕の何れか1つに記載の書き換え型ホログラム記録材料。
〔6〕上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基に対する、上記カルバゾールアゾベンゼン分子のモル比率が、0.5以上、2.0以下である、〔1〕~〔5〕の何れか1つに記載の書き換え型ホログラム記録材料。
〔7〕上記共重合体の重量平均分子量が10,000以上、200,000以下である、〔1〕~〔6〕の何れか1つに記載の書き換え型ホログラム記録材料。
〔8〕ホログラム記録素子を有する記録媒体であって、
上記ホログラム記録素子は、〔1〕~〔7〕の何れか1つに記載の書き換え型ホログラム記録材料を含有することを特徴とする、記録媒体。
〔9〕書き換え型ホログラム記録材料を含有するホログラム記録素子内で、空間光変調器(SLM)上の縞模様のパターンを1光束のレーザー光を用いて、あるいは、可干渉な物体光および参照光を干渉させること(2光束干渉)により、当該ホログラム記録素子内に干渉縞を形成させ、上記ホログラム記録素子にホログラムを記録する工程および上記ホログラム記録素子に対して偏光を照射することによって当該ホログラムを消去する工程を含むホログラムの記録・消去方法であって、
上記書き換え型ホログラム記録材料が、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体、および、
上記共重合体に導入されている上記カルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子をさらに含有する材料からなるホログラム記録素子に対して、
少なくとも当該ホログラムを消去する工程を円偏光の照射によって行うことを特徴とする、ホログラムの記録・消去方法。
〔10〕上記記録する工程における上記物体光および上記参照光が、円偏光である、〔9〕に記載のホログラムの記録・消去方法。
〔11〕ホログラムを記録した上記ホログラム記録素子に対して、上記参照光と同位相の偏光を照射することによって、記録したホログラムを再生する工程をさらに含む、〔9〕または〔10〕に記載のホログラムの記録・消去方法。
〔12〕上記記録したホログラムを再生する工程において、ホログラムを記録した記録素子に対して照射する偏光が、円偏光である、〔11〕に記載のホログラムの記録・消去方法。
〔13〕〔9〕~〔12〕の何れか1つに記載のホログラムの記録・消去方法を行うために、2光束干渉によるホログラムの記録・消去方法を使用するためのホログラム記録装置であって、
少なくとも上記消去する工程において、円偏光用素子を通して、上記ホログラム記録素子に対して、円偏光を照射する機構を備えることを特徴とする、ホログラム記録装置。
〔14〕上記円偏光を照射する機構が、λ/4板である、〔13〕に記載のホログラム記録装置。
【発明の効果】
【0017】
本発明の書き換え型ホログラム記録材料は、記録データの長時間保持が可能な優れたメモリ性を保ちつつ、あるいは、メモリ性をより向上させつつ、優れた光応答性を有し、ホログラムの記録の立ち上がり時間を短縮することができるという効果を奏する。
【0018】
また、本発明のホログラムの記録・消去方法は、ホログラムの消去に必要な時間を短縮することができ、通常は低下する、当該消去後の再度の記録における応答速度、回折効率の低下を防ぐことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施例1~3、比較例1、2における、書き込み光:300mW/532nm、読み出し光(プローブ光):1mW/640nmにて、空間光変調器(SLM)上の縞模様のパターンを1光束のレーザー光を用いて書き換え型ホログラム記録材料に照射した際の回折光の立ち上がりを計測した結果である、光照射開始から短時間の立ち上がりにおける、回折効率と光照射開始からの時間との関係を示す図である。
【図2】実施例1~3、比較例1、2における、書き込み光:300mW/532nm、読み出し光(プローブ光):1mW/640nmにて、空間光変調器(SLM)上の縞模様のパターンを1光束のレーザー光を用いて書き換え型ホログラム記録材料に照射した際の回折光の立ち上がりを計測した結果である、光照射開始から長時間が経過したときの、回折効率と光照射開始からの時間との関係を示す図である。なお、実施例1~3、比較例1、2においては、格子間隔が格子厚みに対して広いために、ラマン-ナス回折となり、理論上の最大回折効率は16%である。
【図3】実施例4における、書き込み光(物体光と参照光):25mW/532nm、読み出し光(プローブ光):<1mW/632.8nmにて、2光束干渉を用いて、回折格子を作製し、その回折格子からの回折強度の時間プロフィールを測定した結果である、最初の光照射からの時間と、回折効率との関係を示す図である。なお、実施例4においては、格子間隔が格子厚みに対して狭いために、ブラッグ回折となり、理論上の最大回折効率は100%である。
【図4】実施例5における、書き込み光(物体光と参照光):25mW/532nm、読み出し光(プローブ光):<1mW/632.8nmにて、2光束干渉を用いて、回折格子を作製し、その回折格子からの回折強度の時間プロフィールを測定した結果である、最初の光照射からの時間と、回折効率との関係を示す図である。なお、実施例5においては、格子間隔が格子厚みに対して狭いために、ブラッグ回折となり、理論上の最大回折効率は100%である。
【図5】比較例3における、書き込み光(物体光と参照光):25mW/532nm、読み出し光(プローブ光):<1mW/632.8nmにて、2光束干渉を用いて、回折格子を作製し、その回折格子からの回折強度の時間プロフィールを測定した結果である、最初の光照射からの時間と、回折効率との関係を示す図である。なお、比較例3においては、格子間隔が格子厚みに対して狭いために、ブラッグ回折となり、理論上の最大回折効率は100%である。
【図6】比較例4における、書き込み光(物体光と参照光):25mW/532nm、読み出し光(プローブ光):<1mW/632.8nmにて、2光束干渉を用いて、回折格子を作製し、その回折格子からの回折強度の時間プロフィールを測定した結果である、最初の光照射からの時間と、回折効率との関係を示す図である。なお、比較例4においては、格子間隔が格子厚みに対して狭いために、ブラッグ回折となり、理論上の最大回折効率は100%である。
【図7】本発明のホログラム記録装置の概略の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[実施形態1:書き換え型ホログラム記録材料]
本発明の実施形態1に係る書き換え型ホログラム記録材料は、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼン(NACzE)を導入してなる共重合体、および、上記共重合体に導入されている上記カルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子を含有することを特徴とする。

【0021】
なお、本明細書にて、共重合体に導入されているカルバゾールアゾベンゼン以外の、共重合体に導入されておらず、分子の形態にて本発明の書き換え型ホログラム記録材料に含有されるカルバゾールアゾベンゼンを、「カルバゾールアゾベンゼン分子」とも称する。

【0022】
本発明の書き換え型ホログラム記録材料に含まれる上記共重合体および上記カルバゾールアゾベンゼン分子は、フォトクロミック性を備える。上記共重合体および上記カルバゾールアゾベンゼン分子がフォトクロミック性を備えることによって、本発明の書き換え型ホログラム記録材料全体もまた、フォトクロミック性を備えることとなる。

【0023】
上記共重合体において、上記カルバゾールアゾベンゼンに由来する構成要素は、上記共重合体の側鎖の一部を構成している。上記カルバゾールアゾベンゼンは、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。

【0024】
本発明の書き換え型ホログラム記録材料におけるアクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体(以下、「本発明における共重合体A」とも称する)は、以下の式(2)に示すように、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンが導入された構造を備える。

【0025】
【化2】
JP2017138277A1_000003t.gif

【0026】
本発明における共重合体Aを構成するアクリル系ポリマーは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを単量体(以下、「アクリル系分子」とも称する)として、当該単量体が重合してなる重合体である。上記単量体は、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレート(MA)、メチルメタクリレート(MMA)、エチルメタクリレート(EMA)などを挙げることができる。すなわち、本発明における共重合体を構成するアクリル系ポリマーとしては、例えば、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチルメタクリレート(PEMA)などを挙げることができる。なお、本発明における共重合体を構成するアクリル系ポリマーは、1種類の単量体を重合してなる重合体でもよく、2種類以上の単量体が重合してなる共重合体でもよい。

【0027】
本発明における共重合体Aの側鎖に導入されている、あるいは、本発明の書き換え型ホログラム記録材料に分子の形態にて含有されているカルバゾールアゾベンゼン(以下、「カルバゾールアゾベンゼン分子」とも称する)は、以下の式(1)に示す骨格構造を備える。

【0028】
【化3】
JP2017138277A1_000004t.gif

【0029】
上記カルバゾールアゾベンゼンは、上記式(1)に表される骨格構造を備えていればよく、特に限定されないが、例えば、上記式(1)におけるXが、ニトロ基(-NO)、シアノ基(-CN)、メトキシ基(-OCH)、アミノ基(-NH)、ヒドロキシ基(-OH)、である構造を備えるカルバゾールアゾベンゼンが挙げられ、そのうち、当該Xが、ニトロ基、シアノ基またはメトキシ基である構造を備えるカルバゾールアゾベンゼンが好ましく、当該Xが、シアノ基またはメトキシ基である構造を備えるカルバゾールアゾベンゼンがより好ましい。なお、上記カルバゾールアゾベンゼンは、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。

【0030】
また、本発明における共重合体の側鎖に導入されているカルバゾールアゾベンゼンと、本発明の書き換え型ホログラム記録材料に分子の形態にて含有されているカルバゾールアゾベンゼン(カルバゾールアゾベンゼン分子)とは、同種であってもよく、あるいは異種であってもよいが、本発明の書き換え型ホログラム記録材料における上記共重合体と上記カルバゾールアゾベンゼン分子との相溶性の面から、同種であることが好ましい。従って、本発明の書き換え型ホログラム記録材料において、本発明における共重合体の側鎖に導入されているカルバゾールアゾベンゼンおよび上記カルバゾールアゾベンゼン分子は、1種類のカルバゾールアゾベンゼンであることが特に好ましい。

【0031】
本発明の書き換え型ホログラム記録材料において、上記書き換え型ホログラム記録材料に含有される上記共重合体と上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計重量に対する、上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基と、上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計のモル濃度は、5×10-4mol/g以上、2.0×10-3mol/g以下であり、より好ましくは、7×10-4mol/g以上、1.5×10-3mol/g以下であり、さらに好ましくは1×10-3mol/g以上、1.3×10-3mol/g以下である。

【0032】
本発明の書き換え型ホログラム記録材料において、上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基に対する上記カルバゾールアゾベンゼン分子のモル比率は、0.5以上、2.0以下であり、好ましくは、0.7以上、1.6以下であり、さらに好ましくは0.9以上、1.2以下である。

【0033】
本発明における共重合体の重量平均分子量(Mw)は、10,000~100,000であることが好ましく、20,000~100,000であることがより好ましい。本発明における共重合体の重量平均分子量を上述の範囲とすることは、本発明の書き換え型ホログラム記録材料を、書き換え型ホログラム記録材料として好適な、後述する好ましい厚さを有するフィルム状にする面において好ましい。

【0034】
また、本発明における共重合体の分子量分布の分散度(重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn))の値は、本発明の書き換え型ホログラム記録材料の均一性の面において、小さい方が好ましく、具体的には、Mw/Mnの値は1~3が好ましい。

【0035】
本発明の書き換え型ホログラム記録材料は、フィルム状(薄膜状)であることが好ましい。また、その膜厚は、10μm~200μmであることがより好ましく、20μm~100μmであることがさらに好ましい。

【0036】
本発明の書き換え型ホログラム記録材料は、上記共重合体および上記カルバゾールアゾベンゼン分子の他に、種々の添加剤を含有し得る。上記添加剤は、ホログラム記録材料にて、一般に使用し得る添加剤であればよく、特に限定されない。上記添加剤は、例えば、(光)増感剤、非線形光学色素、可塑剤、光感光性色素などを挙げることができる。

【0037】
上記共重合体を含有する書き換え型ホログラム記録材料が、メモリ性に優れる理由としては、上記共重合体の側鎖に導入されたカルバゾールアゾベンゼンが、遊離のカルバゾールアゾベンゼン分子よりも、配向性がより制限されていることから、光配向したカルバゾールアゾベンゼンが、時間経過しても光照射前の配向に戻り難くなっていることが考えられる。しかし、詳細なことは、これからのより詳細な動作解明を待たねばならない。

【0038】
本発明の書き換え型ホログラム記録材料は、本発明における共重合体およびカルバゾールアゾベンゼン分子を含有していることによって、メモリ性がさらに向上し、加えて、光応答性が向上し、ホログラムの記録の立ち上がり時間が短縮される。

【0039】
上述のメモリ性がさらに向上する理由としては、光配向したカルバゾールアゾベンゼン分子が、共重合体の側鎖に導入されているカルバゾールアゾベンゼンとフリーのカルバゾールアゾベンゼン分子とが分子間相互作用したメソフェーズを形成し、エネルギー的に安定な状態になる(ピン止め効果)ことによって、光配向したカルバゾールアゾベンゼンが、時間経過により、光照射前の配向に戻ることが阻害されることが考えられる。

【0040】
また、カルバゾールアゾベンゼン分子の配向の自由度が、上記共重合体の側鎖に導入されたカルバゾールアゾベンゼンよりも大きく、光照射により上記カルバゾールアゾベンゼン分子の光配向が、上記共重合体の側鎖に導入されたカルバゾールアゾベンゼンよりも優先して発生する。上述の事項から、短時間の光照射でも、上記カルバゾールアゾベンゼン分子が光配向することにより、本発明の書き換え型ホログラム記録材料のホログラムの記録の立ち上がりが高速となると考えられる。しかし、詳細なことは、これからのより詳細な動作解明を待たねばならない。

【0041】
[書き換え型ホログラム記録材料の製造方法]
本発明の書き換え型ホログラム記録材料の製造方法は、当業者にとって既知の方法を使用することができ、特に限定されない。本発明の書き換え型ホログラム記録材料は、例えば、以下の工程(1)および工程(2)を含む方法によって製造することができる。なお、以下に示す各工程における操作は、当業者にとって既知の方法にて実施することができる。

【0042】
<工程(1)共重合体の調製>
本発明の書き換え型ホログラム記録材料に含有されるアクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体を調製する方法は、特に限定されないが、例えば、以下の工程を含む方法を挙げることができる。

【0043】
工程(i):カルバゾールアゾベンゼンをテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、0℃に冷却した状態で撹拌し、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)およびトリエチルアミンを加える工程;
工程(ii):工程(i)にて得られた溶液にアクリル酸塩またはメタクリル酸塩を各1mLずつ、0℃以下の温度にて、例えば15分毎に4回滴下し、反応混合液を攪拌しながら室温まで戻し、一晩撹拌する工程;
工程(iii):工程(ii)にて得られた溶液から、減圧乾燥により溶媒を除去し、得られる粗体をクロロホルムに溶解させる工程;
工程(iv):工程(iii)にて得られたクロロホルム溶液を、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および蒸留水で数回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、カルバゾールアゾベンゼン-(メタ)アクリル酸の化合物を得る工程;
工程(v):工程(iv)にて得られたカルバゾールアゾベンゼン-(メタ)アクリル酸の化合物を乾燥ジメチルフラン(DMF)に溶解させ、さらにアクリル酸またはメタクリル酸、および重合開始剤としてアゾイソブチルニトリル(AIBN)を加え、共重合反応を開始し、凍結脱気を行った後、60℃で15時間攪拌し、室温まで液温を戻して共重合反応を停止させる工程;
工程(vi):工程(v)にて得られた、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体が溶解している溶液から、当該共重合体を再沈澱させ、ろ別し、乾燥させることによって、当該共重合体を回収する工程。

【0044】
<工程(2):書き換え型ホログラム記録材料の調製>
工程(1)にて調製された当該共重合体と、カルバゾールアゾベンゼン分子とを用いて、本発明の書き換え型ホログラム記録材料を調製することができる。その調製方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を使用することができる。

【0045】
工程(vii):工程(vi)にて得られた当該共重合体およびカルバゾールアゾベンゼン分子を含む本発明の書き換え型ホログラム記録材料の各成分を、沸点が100℃以上の溶媒に溶解させ、塗付溶液を得る工程;
工程(viii):工程(vii)にて得られた塗付溶液を基板上に塗布し、当該溶媒を除去することによって、薄膜状の書き換え型ホログラム記録材料を調製する工程。ここで、溶媒を除去する方法としては、特に限定されないが、例えば板材上でキャストフィルムを得るようにする方法、具体的には、ガラス板上に各成分が溶解された溶液を流延し、その後室温で溶媒を蒸発させ、続いてこれを一晩自然乾燥させ、その後、真空乾燥器等を使用して高温にて減圧乾燥させ、当該溶媒をさらに蒸発させる方法が挙げられる。

【0046】
また、溶媒を留去した後、例えば四隅にスペーサー(例えばポリイミド、厚さ:50μm)を配置して、その後もう一枚のガラス基材を上に乗せ、適度な熱(温度)をかけながら真空プレス機で圧着することによって、サンドイッチ型の書き換え型ホログラム記録材料を調製することもできる。

【0047】
[実施形態2:記録媒体]
本発明の実施形態2に係る記録媒体は、ホログラム記録素子を有する記録媒体であって、上記ホログラム記録素子は、本発明の実施形態1に係る書き換え型ホログラム記録材料を含有することを特徴とする。具体的には、本発明の実施形態2に係る記録媒体は、本発明の実施形態1に係る書き換え型ホログラム記録材料を、ガラスなどの透明板により挟み込む形でシート状に膜化して形成したホログラム記録素子を含有する。従って、本発明の記録媒体は、光応答性およびメモリ性の双方に優れる書き換え型ホログラム記録材料をホログラム記録素子として含有しており、ホログラムを記録するときの立ち上がり時間が短く、かつ、ホログラム記録の長期保存が可能である。なお、本発明の記録媒体の製造方法としては、ホログラム記録素子として、本発明の実施形態1に係る書き換え型ホログラム記録材料を使用すること以外は、当業者にとって一般的な方法、例えばダイ、ドクターブレード等によるシート形成法によって製造され得る。

【0048】
[実施形態3:ホログラムの記録・消去方法]
本発明の実施形態3に係るホログラムの記録・消去方法は、書き換え型ホログラム記録材料を含有するホログラム記録素子内で、空間光変調器(SLM)上の縞模様のパターンを1光束のレーザー光を用いて、あるいは、可干渉な物体光および参照光を干渉させること(2光束干渉)により、当該ホログラム記録素子内に干渉縞を形成させ、上記ホログラム記録素子にホログラムを記録する工程および偏光照射によって当該ホログラムを消去する工程を含むホログラムの記録・消去方法であって、上記書き換え型ホログラム記録材料が、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体、および、上記共重合体に導入されている上記カルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子をさらに含有する材料からなるホログラム記録素子に対して、少なくとも当該ホログラムを消去する工程を円偏光の照射によって行うことを特徴とする。

【0049】
上記アクリル系ポリマーは、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。

【0050】
上記カルバゾールアゾベンゼンは、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。また、上記カルバゾールアゾベンゼン分子もまた、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。

【0051】
本発明のホログラムの記録・消去方法における、空間光変調器(SLM)は、“光変調素子”と呼ばれる微小素子を2次元的に複数並べて、光源からの光の振幅、位相、偏光などの空間的な分布を電気的に制御することにより、光を変調させる機器である。上記空間光変調器(SLM)としては、例えば、Holoeye社やHamatsu Photonicsの製品などが挙げられる。

【0052】
本発明のホログラムの記録・消去方法において、記録されたホログラムの消去は、ホログラムの記録に使用する物体光および参照光のいずれか一方と位相が同一の円偏光を、当該ホログラムが記録された記録素子に照射することによって行われる。

【0053】
本発明のホログラムの記録・消去方法において、書き換え型ホログラム記録材料は、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体と、上記共重合体の側鎖に導入されている上記カルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子をさらに含有する材料からなるホログラム記録素子であり、すなわち、本発明の実施形態1に係る書き換え型ホログラム記録材料である。

【0054】
なお、上述のアクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体およびカルバゾールアゾベンゼン分子については、本発明の実施形態1に係る書き換え型ホログラム記録材料における共重合体およびカルバゾールアゾベンゼン分子と同様の共重合体および分子であり得る。

【0055】
また、上述のアクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体は、上記[書き換え型ホログラム記録材料の製造方法]における工程(1)に記載された工程にて調製され得る。さらに、上述のアクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入してなる共重合体およびカルバゾールアゾベンゼン分子を含有する書き換え型ホログラム記録材料は、上の[書き換え型ホログラム記録材料の製造方法]に記載の方法に従って、製造され得る。

【0056】
本発明のホログラムの記録・消去方法は、少なくともホログラムを消去する工程を円偏光の照射によって行うことによって、ホログラムの消去に必要な時間を短縮し、当該消去後の再度の記録における応答速度、回折効率の低下を防ぐことができる。

【0057】
記録したホログラムの消去を直線偏光の照射により行う場合、消去のための直線偏光の照射によりホログラム記録材料中のフォトクロミック性を有する分子または基の配向が固定されてしまい、当該消去と再度の記録を繰り返すことにより、回折効率が徐々に低下して、応答速度が低下し、再記録可能な状態にするためには長時間の光照射や熱を加えることが必要となると考えられる。

【0058】
一方、記録したホログラムの消去を円偏光の照射により行う場合には、ホログラム記録材料中のフォトクロミック性を有する分子または基の配向がランダム化し、当該配向が固定化されないことから、上述のような回折効率の低下、応答速度の低下を防ぎ、再記録が可能な状態となるまでの時間を短縮させることができると考えられる。しかし、詳細なことは、これからのより詳細な動作解明を待たねばならない。

【0059】
本発明のホログラムの記録・消去方法においては、ホログラムの消去だけでなく、ホログラムの記録においても、円偏光の照射により行うことが好ましい。ホログラムの記録を円偏光の照射により行うことは、同じ時間の直線偏光の照射によるホログラムの記録と比較して、回折効率を約2~5倍に向上させることができるため、より明るく、より明確なホログラムを記録することができる面において好ましい。

【0060】
また、本発明のホログラムの記録・消去方法は、記録したホログラムを再生する工程を含み得る。上記記録したホログラムを再生する工程は、ホログラムを記録した記録素子に対して、上記参照光と同位相の読み取り光(偏光)を照射することによって行われる。上記読み取り光は、円偏光であることが好ましい。上記再生する工程において生じるホログラムの像を表す回折光の回折点の数が、直線偏光を使用する場合は複数確認されるのに対して、円偏光を使用する場合には1つのみ確認され、当該回折光の強度も、円偏光を使用した場合の方が大きくなる。従って、上記読み取り光が円偏光であることは、再生されるホログラムがより明るく、より明確となる面において好ましい。

【0061】
[実施形態4:ホログラム記録装置]
本発明の実施形態4に係るホログラム記録装置は、本発明の実施形態3に係るホログラムの記録・消去方法を行うために、2光束干渉によるホログラムの記録・消去方法を使用するためのホログラム記録装置であって、少なくとも上記消去する工程において、円偏光用素子を通して、上記ホログラム記録素子に対して、円偏光を照射する機構を備えることを特徴とする。

【0062】
本発明のホログラム記録装置は、少なくとも記録したホログラムを消去する工程において、円偏光用素子を通して、ホログラム記録素子に対して、円偏光を照射する機構を備える以外は、本発明の属する分野において通常使用されるホログラム記録装置と同様のホログラム記録装置であり得る。

【0063】
すなわち、本発明のホログラム記録装置は、書き換え型ホログラム記録材料からなるホログラム記録素子、当該ホログラム記録素子に対して、可干渉な物体光および参照光を照射して、当該ホログラム記録素子内に干渉縞を形成し、当該ホログラムを記録する機構、当該ホログラムが記録された記録素子に円偏光を照射することによって当該ホログラムを消去する機構を含む。また、本発明のホログラム記録装置は、当該ホログラムが記録された記録素子に読み取り光を照射して記録された当該ホログラムを再生する機構をさらに含み得る。

【0064】
上記記録されたホログラムを消去する機構は、直線偏光のレーザー光源などを円偏光に変換し、円偏光を得るための部材を備える。上記円偏光を得るための部材は、特に限定されないが、例えば、λ/4板(1/4波長板)、位相差板などが挙げられ、設置の簡易性などの観点からλ/4板が好ましい。

【0065】
また、本発明のホログラム記録装置は、ホログラムを記録する機構においても、ホログラム記録素子に対して、円偏光を得るための部材を備え得る。なお、ホログラムを記録する機構における円偏光を得るための部材は、記録したホログラムを消去する機構における円偏光を得るための部材と同様の部材を使用することができる。

【0066】
さらに、本発明のホログラム記録装置は、ホログラムが記録された記録素子に読み取り光(偏光)を照射して、記録されたホログラムを再生する機構を備え得る。さらに加えて、上記記録されたホログラムを再生する機構において、上記読み取り光として円偏光を得るための部材を備えることが好ましい。なお、記録したホログラムを再生する機構における円偏光を得るための部材も、記録したホログラムを消去する機構における円偏光を得るための部材と同様の部材を使用することができる。

【0067】
なお、上述の各機構における、光を照射する部材などの各部材は、本発明の属する分野において一般的な部材を使用することができる。

【0068】
本発明のホログラム記録装置におけるホログラムを記録する機構は、例えば、直線偏光または円偏光を使用して2光束干渉を行う機構が挙げられる。

【0069】
本発明のホログラム記録装置における記録したホログラムを消去する機構は、例えば、1光束の円偏光を照射する機構が挙げられる。

【0070】
本発明のホログラム記録装置における記録したホログラムを再生する機構は、例えば、1光束の、直線偏光または円偏光を照射する機構が挙げられる。

【0071】
ここで、本発明のホログラム記録装置の構成に関して、図7を挙げて具体的に説明する。図7は、本発明のホログラム記録装置の概略の構成を示す図である。

【0072】
本発明のホログラム記録装置の一例である、ホログラム記録・再生・消去装置は、ホログラム像を記録かつ表示させるホログラフィック表示デバイス(Sample)と、物体光および参照光をホログラフィック表示デバイスに照射することによりホログラム像を記録する記録手段(消去手段)と、プローブ光をホログラフィック表示デバイスに照射することにより、記録手段で記録されたホログラム像を再生する再生手段とで主に構成されている。なお、本明細書において「手段」は「装置」または「機構」を意図している。

【0073】
ホログラム像を記録する記録手段は、レーザーを発振するレーザー発振器1と、このレーザー発振器1から発振されたレーザービームを反射させる第1の固定ミラー2と、この第1の固定ミラー2で反射したレーザービームの光軸上に配置された第1の半波長板3と、この第1の半波長板3を通過したレーザービームを分割してp-偏光とs-偏光の第1および第2の偏光レーザービームとするビームスプリッター4と、第1の偏光レーザービームの光軸上に配置された第2の半波長板5と、1/4波長板6と、この第2の半波長板と第1の1/4波長板6を通過して円偏光された第1の偏光レーザービームを反射させる第2の固定ミラー7とを含み、上記ホログラム像を記録する記録手段において、当該第2の固定ミラー7により反射された、円偏光された第1の偏光レーザービームが、物体光としてホログラフィック表示デバイス(Sample)に照射される。また、上記ホログラム像を記録する記録手段は、第2の偏光レーザービームの光軸上に第2の1/4波長板8と、当該第2の1/4波長板8を通過して円偏光された第2の偏光レーザービームを反射させる第3の固定ミラー9を含み、上記ホログラム像を記録する記録手段において、当該第3の固定ミラー9にて反射された、円偏光された第2の偏光レーザービームが、参照光としてホログラフィック表示デバイス(Sample)に照射される。すなわち、レーザー発振器1から発振されたレーザービームは円偏光された第1の偏光レーザービーム(物体光)と円偏光された第2の偏光レーザービーム(参照光)に分割される。

【0074】
そして、物体光が参照光と共にホログラフィック表示デバイスに照射され、物体光に含まれる空間的な強度分布及び位相分布を干渉縞として、物体光の空間情報が、ホログラフィック表示デバイスに記録される。

【0075】
記録されたホログラム像を再生する再生手段は、レーザーを発振するレーザー発振器10と、レーザー発振装置10から発振されたレーザービームの光軸上に配置されたプローブ光用半波長板11と、プローブ光用半波長板11を通過したレーザービームを反射させる第4の固定ミラー12とで構成されている。レーザー発振器10から発振されたレーザービームは、プローブ光用半波長板11でp-偏光に変換され、第4の固定ミラー12で反射される。そして、記録手段によって書き込まれた(記録された)空間情報は、p-偏光のプローブ光でホログラム像として読み出され、再生される。

【0076】
ホログラムの消去時には、メカニカルシャッターが閉じることによって物体光を遮断し、円偏光された参照光が消去光として用いられる。また、次に書き込む上書き用のホログラム像の物体光と参照光を、消去光として用いてもよい。

【0077】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0078】
[A:書き換え型ホログラム記録材料]
[製造例1]
以下のスキームに従って、ベンゼン環のパラ位にシアノ基が配位したカルバゾールアゾベンゼン(CACzE)(下記スキームの左図を参照)を、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の側鎖の一部に導入した共重合体(Poly(CACzE-MMA))(下記スキームの右図を参照)を調製した。
【実施例】
【0079】
【化4】
JP2017138277A1_000005t.gif
【実施例】
【0080】
具体的な方法は以下の通りである。
【実施例】
【0081】
・アクリル酸-2-[3-(4-シアノ-フェニラゾ)-カルバゾール-9-イル]-エチルエステル(CACzE-MMA)(上記スキームの中央図を参照)の合成
CACzE1.97g(5.79mmol)をTHF80mLに溶解し、0℃に冷却した状態で撹拌し、DMAP0.042g(0.34mmol)およびトリエチルアミン1.26g(12.45mmol)を加えた。そこにアクリロイルクロライド1mL(12.36mmol)を0℃以下に保ちながら、15分毎に4回滴下した。反応混合液を攪拌しながら室温(20~25℃付近)まで戻し、一晩撹拌した。撹拌終了後、減圧下で反応混合液から溶媒を除去し、得られた粗体をクロロホルムに溶解した。これを飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および蒸留水で数回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた.その後、吸引濾過を行い、減圧下で濾液から溶媒を留去し、橙色の粉末(収率87.6%)を得た。
【実施例】
【0082】
得られた橙色の粉末に対して、NMR測定(核磁気共鳴装置AV-300製を使用)を行い、分子構造の同定を行った。その結果、CACzE-MMAが合成されたことが確認された。
NMR測定:使用溶媒CDCl、磁場300MHz
測定結果:8.73 (bs, 1H, carbazole ring), 8.16 (m, 2H, carbazole ring), 8.02 (m, 2H, PhCN ring), 7.82 (m, 2H, PhCN ring), 7.55 (m, 3H, carbazole ring), 7.32 (m, 1H, carbazole ring), 4.00-4.82 (m, 4H, CH2CH2O), 3.47-3.99 (m, 3H,COOCH3), 1.71-2.00 (m, 3H, CH3)ppm] 。
【実施例】
【0083】
・Poly(CACzE-MMA)の合成
CACzE-MMA0.5gを乾燥DMF20mlに溶解させ、この溶液にMMA1.17gおよびAIBN0.03gを加えた。この混合溶液中の酸素を取り除くため、液体窒素を用いて凍結脱気を4回行った。凍結脱気後、60℃で15時間攪拌し、室温(20~25℃)まで液温を戻して共重合反応を停止させた。得られたDMF溶液を500mlのメタノールに滴下し、共重合物を再沈澱させて濾別回収した。この操作を再度(合計2回)繰り返し、乾燥を行い共重合物0.81g(収率66.4%)を得た。
【実施例】
【0084】
DSC測定より得られた共重合体のガラス転移温度は103℃、GPC測定より重量平均分子量は18,660g/mol、分散度は1.58であった。なお、DSC測定は、TAインスツルメンツ社製のDSC2920を使用して行い、GPC測定は、昭和電工製のショウデックスGPC KF-805を使用して行った。
【実施例】
【0085】
ここではベンゼン環のパラ位にシアノ基が配位したものを調製しているが、上述したように、ベンゼン環のパラ位に配位する置換基として、シアノ基(-CN)以外には、ニトロ基(-NO)、メトキシ基(-OCH)、アミノ基(-NH)、ヒドロキシ基(-OH)などを用いることができる。上記カルバゾールアゾベンゼンとしては、上記置換基が、ニトロ基、シアノ基またはメトキシ基である構造を備えるカルバゾールアゾベンゼンが好ましく、シアノ基またはメトキシ基である構造を備えるカルバゾールアゾベンゼンがより好ましい。なお、上記カルバゾールアゾベンゼンは、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
【実施例】
【0086】
また、ここではアクリル系ポリマーとして、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いたが、上述したようにポリエチルメタクリレート(PEMA)およびポリメチルアクリレート(PMA)等のうちの1種類以上のアクリル系ポリマーを用いることもできる。
【実施例】
【0087】
[実施例1]
[書き換え型ホログラム記録材料の調製]
製造例1にて得られたPoly(CACzE-MMA)と、CACzEとを、重量比50:5にて混合し、得られた混合物をTHFに溶解させてキャスト溶液を得た。当該キャスト溶液をシャーレ(製品名:TOP製ガラスシャーレ)上に流延し、その後、室温(25℃)にて48時間放置し、溶媒(THF)を蒸発させ、均一な膜を得た。続いて、上記均一な膜をさらに一晩自然乾燥させた後、減圧乾燥器内において、約80℃の温度にて、減圧乾燥を行い、さらに溶媒(THF)を蒸発させた。その後、得られた膜の四隅にスペーサー(例えばポリイミド、厚さ:50μm)を配置して、その後もう一枚のガラス基材(ガラス板(製品名:テンパックス耐熱ガラス))をその上に乗せ、適度な熱(温度)をかけながら真空プレス機で圧着して、均一な膜厚を有するサンドイッチ型の書き換え型ホログラム記録材料1を調製した。上記書き換え型ホログラム記録材料1の膜厚を、マイクロメーターを用いて測定した結果、当該膜厚は、80μmであった。
【実施例】
【0088】
また、得られた書き換え型ホログラム記録材料1における、上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基と、上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計のモル濃度が、9.7×10-4mol/gであった。また、上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基に対する上記カルバゾールアゾベンゼン分子のモル比率は、0.38であった。
【実施例】
【0089】
[立ち上がり速度、メモリ性の測定]
得られた書き換え型ホログラム記録材料をホログラム記録素子として使用し、ホログラム記録装置を使用して、以下の条件にて光を20秒間照射して、ホログラムの記録を行い、回折効率を、フォト検出器を用いて測定した。光照射を開始してからの時間と回折効率との関係を図1に示す。また、回折効率と記録ホログラムの保持特性(メモリ特性)の時間経過推移を図2に示す。
・測定条件
用いたレーザー:25mW/532nm
物体光、参照光:波長532nm、強度0.535W/cm
【実施例】
【0090】
[実施例2]
製造例1にて得られたPoly(CACzE-MMA)と、CACzEとを重量比50:10にて混合した以外は、実施例1と同様にして書き換え型ホログラム記録材料2を調製し、その膜厚を測定した。また、当該書き換え型ホログラム記録材料2を使用して、実施例1と同様の方法にて、回折効率を測定した。光照射を開始してからの時間と回折効率およびメモリ特性との関係を図1、2に示す。
【実施例】
【0091】
書き換え型ホログラム記録材料2の膜厚は、80μmであった。得られた書き換え型ホログラム記録材料2における、上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基と、上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計のモル濃度が、1.1×10-3mol/gであった。また、上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基に対する上記カルバゾールアゾベンゼン分子のモル比率は、0.76であった。
【実施例】
【0092】
[実施例3]
製造例1にて得られたPoly(CACzE-MMA)と、CACzEとを、MMAに由来する成分:CACzEに由来する成分=70:30となるように混合した以外は、実施例1と同様にして書き換え型ホログラム記録材料3を調製し、その膜厚を測定した。また、当該書き換え型ホログラム記録材料3を使用して、実施例1と同様の方法にて、回折効率を測定した。光照射を開始してからの時間と回折効率およびメモリ特性との関係を図1、2に示す。
【実施例】
【0093】
書き換え型ホログラム記録材料3の膜厚は、80μmであった。得られた書き換え型ホログラム記録材料3における、上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基と、上記カルバゾールアゾベンゼン分子との合計のモル濃度が、1.4×10-3mol/gであった。また、上記共重合体に含まれるカルバゾールアゾベンゼンに由来する基に対する上記カルバゾールアゾベンゼン分子のモル比率は、1.52であった。
【実施例】
【0094】
[比較例1]
製造例1にて得られたPoly(CACzE-MMA)と、CACzEとの混合物の代わりに、製造例1にて得られたPoly(CACzE-MMA)を単独で使用した以外は、実施例1と同様にして書き換え型ホログラム記録材料4を調製し、その膜厚を測定した。また、当該書き換え型ホログラム記録材料4を使用して、実施例1と同様の方法にて、回折効率を測定した。光照射を開始してからの時間と回折効率およびメモリ特性との関係を図1、2に示す。
【実施例】
【0095】
書き換え型ホログラム記録材料4の膜厚は、82μmであった。得られた書き換え型ホログラム記録材料4における、上記共重合体に含まれる上記カルバゾールアゾベンゼンに由来する基のモル濃度は、7×10-4mol/gであった。
【実施例】
【0096】
[比較例2]
製造例1にて得られたPoly(CACzE-MMA)の代わりに、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を使用し、PMMAとCACzEとの重量比を70:30として混合した以外は、実施例1と同様にして書き換え型ホログラム記録材料5を調製し、その膜厚を測定した。また、当該書き換え型ホログラム記録材料5を使用して、実施例1と同様の方法にて、回折効率を測定した。光照射を開始してからの時間と回折効率およびメモリ特性との関係を図1、2に示す。
【実施例】
【0097】
書き換え型ホログラム記録材料5の膜厚は、80μmであった。得られた書き換え型ホログラム記録材料5における、上記アルバゾールアゾベンゼン分子のモル数は、上記アクリル系ポリマーを構成するアクリル系分子に由来する基のモル濃度は、8.8×10-4mol/gであった。
【実施例】
【0098】
[結果]
図1の記載から、実施例1~3にて調製された、CACzE/(CACzE-MMA)共重合体からなる書き換え型ホログラム記録材料は、比較例における、(CACzE-MMA)共重合体単独からなるホログラム記録材料(比較例1)、および、CACzE分散型ホログラム記録材料(比較例2)よりも、光応答性が高く、ホログラムの記録における立ち上がり時間がより短いことが分かった。
【実施例】
【0099】
また、図2の記載から、(CACzE-MMA)共重合体単独からなるホログラム記録材料(比較例1)、および、CACzE分散型ホログラム記録材料(比較例2)は、光照射から長時間が経過すると、回折効率が低下している一方、実施例1~3にて調製された、CACzE/(CACzE-MMA)共重合体からなる書き換え型ホログラム記録材料においては、長時間が経過しても回折効率がほぼ減衰せず、メモリ性により優れていることが分かった。
【実施例】
【0100】
[結論]
上述の実施例1~3、および比較例1、2の結果から、アクリル系ポリマーの側鎖の一部に、カルバゾールアゾベンゼンを導入した共重合体、および、上記共重合体に導入されているカルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子を含有する書き換え型ホログラム記録材料は、光応答性が高く、ホログラムの記録における立ち上がり時間がより短く、かつ、メモリ性により優れていることが分かった。
【実施例】
【0101】
[B:円偏光による消去]
[実施例4]
2光束干渉ホログラム記録装置を使用して、以下の条件において、ホログラム記録用の光(物体光および参照光)を記録素子であるホログラム記録材料3に50秒間照射してホログラムを記録する工程を行った後、ホログラム消去用の円偏光を当該ホログラム記録材料3に50秒間照射して、記録したホログラムを消去する工程を行った。
・測定条件
記録用の光
用いたレーザー:25mW/532nm
物体光、参照光:波長532nm、強度0.535W/cm
消去用の光:波長532nm、強度0.268W/cm
【実施例】
【0102】
続けて、上記ホログラムを記録する工程と、上記ホログラムを消去する工程とをセットとして、上記セットを最初の1セットを含めて計5回繰り返して行い、回折効率の測定を行った。その結果得られた、最初の光照射からの時間と、回折効率との関係を図3に示す。
【実施例】
【0103】
[実施例5]
ホログラム消去用の円偏光を照射する時間を450秒間に延長し、上記セットを繰り返す回数を計2回とした以外は、実施例4と同様にして、回折効率の測定を行った。その結果得られた、最初の光照射からの時間と、回折効率との関係を図4に示す。
【実施例】
【0104】
[比較例3、4]
ホログラム記録用の光およびホログラム消去用の光を以下に示す直線偏光とした以外は、実施例4、5と同様の方法において、回折効率の測定を行った。その結果得られた、最初の光照射からの時間と、回折効率との関係を図5、6に示す。
・測定条件
記録用の光
用いたレーザー:25mW/532nm
物体光、参照光:波長532nm、強度0.535W/cm
消去用の光:波長532nm、強度0.268W/cm
【実施例】
【0105】
[結果]
図3と図5との比較から、ホログラムの消去に直線偏光を使用した場合は、上記記録と消去のセットを繰り返し行うと回折効率が徐々に低下する一方、ホログラムの消去に円偏光を使用した場合には、上記記録と消去のセットを繰り返し行った場合においても、上述の回折効率の低下が発生しないことが分かった。
【実施例】
【0106】
また、図4と図6との比較から、ホログラムの消去に直線偏光を使用した場合は、消去用の光を長時間照射すると、再度ホログラムを記録するときの回折効率が低下する一方、ホログラムの消去に円偏光を使用した場合には、消去用の光を長時間照射しても、再度ホログラムを記録するときの回折効率は低下しないことが分かった。従って、ホログラムの消去に直線偏光を使用した場合は、消去用の光を長時間照射した後、1回目と同様の性能にてホログラムの再記録を行うために記録素子を長時間放置したり、加熱したりすることが必要であるが、一方、ホログラムの消去に円偏光を使用した場合には、消去用の光を長時間照射した直後から、1回目と同様の性能にてホログラムの再記録を行うことができることが分かった。
【実施例】
【0107】
[結論]
実施例4、5および比較例3、4の結果から、アクリル系ポリマーの側鎖の一部にカルバゾールアゾベンゼンを導入した共重合体、および、上記共重合体に導入されているカルバゾールアゾベンゼンと同種または異種のカルバゾールアゾベンゼン分子を含有する書き換え型ホログラム記録材料を含有するホログラム記録素子を使用するホログラムの記録・消去方法において、ホログラムの消去に円偏光を使用することによって、ホログラムの消去に必要な時間を短縮することができ、かつ、通常は低下する、当該消去後の再度の記録における応答速度、回折効率の低下を防ぐことができることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明のホログラム記録材料およびホログラムの記録・消去方法は、ホログラムの記録における立ち上がり速度を好適に向上させることができ、ホログラムの記録におけるメモリ性を改善することができる。また、ホログラムを消去した後の再記録を容易にすることができる。従って、ホログラムを記録するときの立ち上がり時間が短く、かつ、ホログラム記録の長期保存が可能であり、ホログラムの記録と消去を繰り返し好適に行うことができるホログラム記録装置を製造するために、好適に活用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 レーザー発振器
2 第1の固定ミラー
3 第1の半波長板
4 ビームスプリッター
5 第2の半波長板
6 第1の1/4波長板
7 第2の固定ミラー
8 第2の1/4波長板
9 第3の固定ミラー
10 レーザー発振器
11 プローブ光用半波長板
12 第4の固定ミラー
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6