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明細書 :ポリマー及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成30年11月22日(2018.11.22)
発明の名称または考案の名称 ポリマー及びその製造方法
国際特許分類 C08G  61/10        (2006.01)
C01B  32/184       (2017.01)
FI C08G 61/10
C01B 32/184
国際予備審査の請求
全頁数 73
出願番号 特願2017-563871 (P2017-563871)
国際出願番号 PCT/JP2017/003037
国際公開番号 WO2017/131190
国際出願日 平成29年1月27日(2017.1.27)
国際公開日 平成29年8月3日(2017.8.3)
優先権出願番号 2016014380
優先日 平成28年1月28日(2016.1.28)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】伊丹 健一郎
【氏名】伊藤 英人
【氏名】矢野 裕太
【氏名】宮内 雄平
【氏名】三苫 伸彦
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G146
4J032
Fターム 4G146AA01
4G146AB07
4G146AC03A
4G146BA11
4G146BA20
4G146BB04
4G146BB07
4G146BB08
4G146BB09
4G146BB11
4G146BB13
4G146BC01
4G146BC02
4G146BC32B
4G146BC37B
4G146BC42
4G146BC43
4G146BC47
4G146CA02
4G146CA06
4G146CA11
4G146CA15
4J032CA12
4J032CB01
4J032CB12
4J032CC01
4J032CD02
4J032CE03
4J032CG01
要約 多環芳香族化合物を繰り返し単位とし、該繰り返し単位としての多環芳香族化合物は、前記多環芳香族化合物中のベンゼン環を構成する1つの結合を共有するように、隣接する繰り返し単位としての多環芳香族化合物と結合している、ポリマー。前記ポリマーは、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、又はK領域を有する多環芳香族化合物とシロール骨格を有する多環芳香族化合物とを原料として(共)重合しており、少ない工程且つ副反応を抑制した方法で得られ、幅及び長さを制御したGNRを構成することができる。前記繰り返し単位は、一般式:
JP2017131190A1_000075t.gif
[式中、*は繰り返し部位を示す。mは1以上の整数を示す。AはK領域を有する芳香族環を示す。mが2以上の整数である場合、複数のAは同一でも異なってもよい。R1及びR3は水素原子を示す。R2及びR4は同一又は異なって、分岐鎖アルキル基、又は一般式:
JP2017131190A1_000076t.gif
(式中、*、m、A、R1及びR3は前記に同じである。R2aは分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。)
で表される基を示す。R1とR2、R3とR4、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。]
で表される繰り返し単位が好ましい。
特許請求の範囲 【請求項1】
多環芳香族化合物を繰り返し単位とし、該繰り返し単位としての多環芳香族化合物は、前記多環芳香族化合物中のベンゼン環を構成する1つの結合を共有するように、隣接する繰り返し単位としての多環芳香族化合物と結合している、ポリマー。
【請求項2】
K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、又はK領域を有する多環芳香族化合物とシロール骨格を有する多環芳香族化合物とを原料として(共)重合している、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
一般式(1):
【化1】
JP2017131190A1_000068t.gif
[式中、*は繰り返し部位を示す。mは1以上の整数を示す。AはK領域を有する芳香族環を示す。mが2以上の整数である場合、複数のAは同一でも異なってもよい。R1及びR3は水素原子を示す。R2及びR4は同一又は異なって、分岐鎖アルキル基、又は一般式(2):
【化2】
JP2017131190A1_000069t.gif
(式中、*、m、A、R1及びR3は前記に同じである。R2aは分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。)
で表される基を示す。R1とR2、R3とR4、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。]
で表される繰り返し単位を有する、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
前記繰り返し単位が、一般式(1A)~(1F):
【化3】
JP2017131190A1_000070t.gif
[式中、*、R2a及びR4aは前記に同じである。Yは同一又は異なって、CH又はNを示す。R2b及びR4bは同一又は異なって、分岐鎖アルキル基を示す。]
のいずれかで表される繰り返し単位である、請求項1~3のいずれかに記載のポリマー。
【請求項5】
数平均分子量が10000以上である、請求項1~4のいずれかに記載のポリマー。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかに記載のポリマーからなるグラフェンナノリボン。
【請求項7】
幅が0.5~10.0 nm、長さが10 nm以上である、請求項6に記載のグラフェンナノリボン。
【請求項8】
請求項1~5のいずれかに記載のポリマーの製造方法であって、
(1)パラジウム化合物及びo-クロラニルの存在下、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物を反応させる工程、又は
(2)パラジウム化合物及びo-クロラニルの存在下、K領域を有する多環芳香族化合物と、シロール骨格を有する多環芳香族化合物とを反応させる工程
を備える、製造方法。
【請求項9】
前記工程(1)において、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物が、一般式(3A)又は(3B):
【化4】
JP2017131190A1_000071t.gif
[式中、Aは同一又は異なって、K領域を有する芳香族環を示す。R1及びR3は水素原子を示す。R2a及びR4aは同一又は異なって、分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R3とR4a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。R5及びR6は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。]
で表される化合物である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記工程(2)において、K領域を有する多環芳香族化合物が、一般式(4):
【化5】
JP2017131190A1_000072t.gif
[式中、Aは同一又は異なって、K領域を有する芳香族環を示す。R1及びR3は水素原子を示す。R2及びR4は同一又は異なって、分岐鎖アルキル基、又は一般式(4A):
【化6】
JP2017131190A1_000073t.gif
(式中、A、R1及びR3は前記に同じである。R2aは分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。)
で表される基を示す。R1とR2、R3とR4、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。]
で表される化合物である、請求項8又は9に記載の製造方法。
【請求項11】
前記工程(2)において、シロール骨格を有する多環芳香族化合物が、一般式(5):
【化7】
JP2017131190A1_000074t.gif
[式中、Bは同一又は異なって、シロール骨格を有する芳香族環を示す。R1及びR3は水素原子を示す。R2a及びR4aは同一又は異なって、分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R3とR4a、R1とB、及びR3とBの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。R5及びR6は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。]
で表される化合物である、請求項8~10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記工程(1)及び(2)が、銀化合物の存在下に行われる、請求項8~11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記銀化合物が、AgSbF6又はAgBF4を含有する、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記銀化合物の使用量が、前記K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、前記K領域を有する多環芳香族化合物、又は前記シロール骨格を有する多環芳香族化合物1モルに対して、0.5~5.0モルである、請求項12又は13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記パラジウム化合物の使用量が、前記K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、前記K領域を有する多環芳香族化合物、又は前記シロール骨格を有する多環芳香族化合物1モルに対して、0.07~5.0モルである、請求項8~14のいずれかに記載の製造方法。
【請求項16】
導電材料の上に、請求項6又は7に記載のグラフェンナノリボンが配置されている、積層体。
【請求項17】
前記導電材料がグラフェンである、請求項16に記載の積層体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
グラフェンナノリボン(GNR)は、高いホール移動度、半導体的性質、透明性、機械的強度、柔軟性等を有していることから、半導体、太陽電池、透明電極、高速トランジスタ、有機EL素子等への応用が期待されている。
【0003】
GNRの物理的性質は、その幅、長さ及びエッジ構造に依存することから、所望の性質の発現のためには、nmオーダーで幅、長さ及びエッジ構造を制御した精密合成が必要不可欠である。GNRの合成方法としては、大別してトップダウン法とボトムアップ法の2種類が存在する。特に、後者はエッジ構造及び幅を精密に制御して大量にGNRを合成できる点で魅力的である。ただし、長さの短いGNRは溶解性が乏しいため、長さの短いGNRを合成してからそれを中間体として用いてさらに反応させる手法は採用できない。このため、溶解性の高い基質化合物から短い工程数で重合反応を引き起こして長さの長いGNRを合成する方法が求められている。
【0004】
一般的なナノグラフェンの合成としては、芳香環成分のカップリング反応、Diels-Alder反応を駆使し、最後に脱水素環化反応によるグラフェン化を行っている(例えば、非特許文献1参照)。GNRの合成においても同様の方法が採用さえている。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Nat. Chem. 2014, 6, 126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記非特許文献1の方法は多段階反応であるために収率が低く、また、副反応が発生するために、必ずしも汎用性の高い方法とは言えない。
【0007】
このため、本発明は、少ない工程且つ副反応を抑制した方法で、幅及び長さを制御したGNRを構成するポリマーを合成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、銀化合物及びo-クロラニル、並びに必要に応じてパラジウム化合物の存在下、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物を反応させることで、1工程のみで、副反応が発生することなく、幅、長さ及びエッジ構造が制御されたGNRを構成するポリマーを合成できることを見出した。この反応は、基質としてK領域を有する多環芳香族化合物及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物を用いた場合も同様にGNRを構成するポリマーを合成できる。このポリマーは、複数のK領域を有する多環芳香族構造を繰り返し単位とし、該繰り返し単位が有するK領域同士が縮合してなるポリマーである。本発明者らは、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
【0009】
項1.多環芳香族化合物を繰り返し単位とし、該繰り返し単位としての多環芳香族化合物は、前記多環芳香族化合物中のベンゼン環を構成する1つの結合を共有するように、隣接する繰り返し単位としての多環芳香族化合物と結合している、ポリマー。
【0010】
項2.K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、又はK領域を有する多環芳香族化合物とシロール骨格を有する多環芳香族化合物とを原料として(共)重合している、項1に記載のポリマー。
【0011】
項3.一般式(1):
【0012】
【化1】
JP2017131190A1_000003t.gif

【0013】
[式中、*は繰り返し部位を示す。mは1以上の整数を示す。AはK領域を有する芳香族環を示す。mが2以上の整数である場合、複数のAは同一でも異なってもよい。R1及びR3は水素原子を示す。R2及びR4は同一又は異なって、分岐鎖アルキル基、又は一般式(2):
【0014】
【化2】
JP2017131190A1_000004t.gif

【0015】
(式中、*、m、A、R1及びR3は前記に同じである。R2aは分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。)
で表される基を示す。R1とR2、R3とR4、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。]
で表される繰り返し単位を有する、項1又は2に記載のポリマー。
【0016】
項4.前記繰り返し単位が、一般式(1A)~(1F):
【0017】
【化3】
JP2017131190A1_000005t.gif

【0018】
[式中、*、R2a及びR4aは前記に同じである。Yは同一又は異なって、CH又はNを示す。R2b及びR4bは同一又は異なって、分岐鎖アルキル基を示す。]
のいずれかで表される繰り返し単位である、項1~3のいずれかに記載のポリマー。
【0019】
項5.数平均分子量が10000以上である、項1~4のいずれかに記載のポリマー。
【0020】
項6.項1~5のいずれかに記載のポリマーからなるグラフェンナノリボン。
【0021】
項7.幅が0.5~10.0 nm、長さが10 nm以上である、項6に記載のグラフェンナノリボン。
【0022】
項8.項1~5のいずれかに記載のポリマーの製造方法であって、
(1)パラジウム化合物及びo-クロラニルの存在下、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物を反応させる工程、又は
(2)パラジウム化合物及びo-クロラニルの存在下、K領域を有する多環芳香族化合物と、シロール骨格を有する多環芳香族化合物とを反応させる工程
を備える、製造方法。
【0023】
項9.前記工程(1)において、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物が、一般式(3A)又は(3B):
【0024】
【化4】
JP2017131190A1_000006t.gif

【0025】
[式中、Aは同一又は異なって、K領域を有する芳香族環を示す。R1及びR3は水素原子を示す。R2a及びR4aは同一又は異なって、分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R3とR4a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。R5及びR6は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。]
で表される化合物である、項8に記載の製造方法。
【0026】
項10.前記工程(2)において、K領域を有する多環芳香族化合物が、一般式(4):
【0027】
【化5】
JP2017131190A1_000007t.gif

【0028】
[式中、Aは同一又は異なって、K領域を有する芳香族環を示す。R1及びR3は水素原子を示す。R2及びR4は同一又は異なって、分岐鎖アルキル基、又は一般式(4A):
【0029】
【化6】
JP2017131190A1_000008t.gif

【0030】
(式中、A、R1及びR3は前記に同じである。R2aは分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。)
で表される基を示す。R1とR2、R3とR4、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。]
で表される化合物である、項8又は9に記載の製造方法。
【0031】
項11.前記工程(2)において、シロール骨格を有する多環芳香族化合物が、一般式(5):
【0032】
【化7】
JP2017131190A1_000009t.gif

【0033】
[式中、Bは同一又は異なって、シロール骨格を有する芳香族環を示す。R1及びR3は水素原子を示す。R2a及びR4aは同一又は異なって、分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R3とR4a、R1とB、及びR3とBの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。R5及びR6は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。]
で表される化合物である、項8~10のいずれかに記載の製造方法。
【0034】
項12.前記工程(1)及び(2)が、銀化合物の存在下に行われる、項8~11のいずれかに記載の製造方法。
【0035】
項13.前記銀化合物が、AgSbF6又はAgBF4を含有する、項12に記載の製造方法。
【0036】
項14.前記銀化合物の使用量が、前記K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、前記K領域を有する多環芳香族化合物、又は前記シロール骨格を有する多環芳香族化合物1モルに対して、0.5~5.0モルである、項12又は13に記載の製造方法。
【0037】
項15.前記パラジウム化合物の使用量が、前記K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、前記K領域を有する多環芳香族化合物、又は前記シロール骨格を有する多環芳香族化合物1モルに対して、0.07~5.0モルである、項8~14のいずれかに記載の製造方法。
【0038】
項16.導電材料の上に、項6又は7に記載のグラフェンナノリボンが配置されている、積層体。
【0039】
項17.前記導電材料がグラフェンである、項16に記載の積層体。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、多環芳香族化合物を繰り返し単位とし、該繰り返し単位としての多環芳香族化合物は、前記多環芳香族化合物中のベンゼン環を構成する1つの結合を共有するように、隣接する繰り返し単位としての多環芳香族化合物と結合しているポリマーを提供することができるため、幅及び長さを制御したグラフェンナノリボンを製造することも可能である。本発明によれば、銀化合物及びo-クロラニル、並びに必要に応じてパラジウム化合物の存在下、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物を反応させることで、1工程のみで、副反応が発生することなく、幅、長さ及びエッジ構造が制御されたGNRを構成するポリマーを合成できる。この反応は、基質としてK領域を有する多環芳香族化合物及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物を用いた場合も同様にGNRを構成するポリマーを合成できる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】試験例1の1H-NMRの結果を示すグラフである。
【図2】試験例1のUV/Vis吸収及び蛍光スペクトルである。
【図3】試験例1のFT-ATR-IR分析の結果を示すグラフである。
【図4】試験例1のラマンスペクトルである。
【図5】試験例2の1H-NMRの結果を示すグラフである。
【図6A】試験例2のUV/Vis吸収及び蛍光スペクトルである。
【図6B】THF溶液中のピレンのUV/Vis吸収及び蛍光スペクトルである。
【図7】試験例2のFT-ATR-IR分析の結果を示すグラフである。
【図8】試験例2のラマンスペクトルである。
【図9】試験例3のHPLC分析の結果を示すグラフである。
【図10】試験例3のUV/Vis吸収及び蛍光スペクトルである。
【図11】実施例12で得たポリマーのIRスペクトルである。
【図12】実施例12で得たポリマーのUV/Vis吸収スペクトルである。
【図13】実施例13で得たポリマーのIRスペクトルである。
【図14】実施例13で得たポリマーのUV/Vis吸収スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図15】試験例4で配列を観察したポリマーのAFM像である。
【図16】試験例5のGNRの溶液滴下前後におけるグラフェン電界効果トランジスタの直流抵抗率の測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
1. ポリマー
本発明のポリマーは、多環芳香族構造を繰り返し単位とし、該繰り返し単位としての多環芳香族化合物は、前記多環芳香族化合物中のベンゼン環を構成する1つの結合を共有するように、隣接する繰り返し単位としての多環芳香族化合物と結合しているポリマーである。このような本発明のポリマーは、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、又はK領域を有する多環芳香族化合物とシロール骨格を有する多環芳香族化合物とを原料として(共)重合(重合又は共重合)することにより得ることができる。なお、K領域とは、以下のように、多環芳香族化合物が有するアームチェア端の凸部分を意味する。つまり、多環芳香族化合物の凸部同士が縮合することによって本発明のポリマーが構成されている。

【0043】
【化8】
JP2017131190A1_000010t.gif

【0044】
このような本発明のポリマーは、繰り返し単位が有するK領域同士がベンゼン環を構成する1つの結合を共有するように結合しているため、繰り返し単位同士が結合している箇所において、以下の構造を有する。

【0045】
【化9】
JP2017131190A1_000011t.gif

【0046】
[式中、点線で示した部位は繰り返し単位同士の縮合部位を意味する。*はいずれも結合手を意味する。隣接する*同士は互いに結合して環を形成することもある。]
このようなポリマーが有する繰り返し単位としては、フェナントレン骨格を有する多環芳香族構造を繰り返し単位とし、該繰り返し単位同士が縮合してなるポリマーであるが、フェナントレン骨格を有する多環芳香族構造のみならず、フェナントレンに芳香環又は複素芳香環が縮合した構造も挙げられる。このような繰り返し単位としては、例えば、一般式(1):

【0047】
【化10】
JP2017131190A1_000012t.gif

【0048】
[式中、*は繰り返し部位を示す。mは1以上の整数を示す。AはK領域を有する芳香族環を示す。mが2以上の整数である場合、複数のAは同一でも異なってもよい。R1及びR3は水素原子を示す。R2及びR4は同一又は異なって、分岐鎖アルキル基、又は一般式(2):

【0049】
【化11】
JP2017131190A1_000013t.gif

【0050】
(式中、*、m、A、R1及びR3は前記に同じである。R2aは分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。)
で表される基を示す。R1とR2、R3とR4、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。]
で表される繰り返し単位が挙げられる。

【0051】
つまり、一般式(1)におけるR2としては、R2a(分岐鎖アルキル基)である場合と、一般式(2)で表される基である場合が挙げられ、一般式(1)におけるR4としては、R4a(分岐鎖アルキル基)である場合と、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。

【0052】
本発明のポリマーは、上記繰り返し単位中の環Aから伸びる2本の結合手が、隣接する繰り返し単位の2個のベンゼン環と結合してベンゼン環を形成する。つまり、本発明のポリマーは、一般式(6):

【0053】
【化12】
JP2017131190A1_000014t.gif

【0054】
[式中、m、A、R1、R2、R3及びR4は前記に同じである。点線は同様の構造が続くことを意味する。]
で表される構造を有する。

【0055】
一般式(1)、(2)及び(6)において、mは1以上の整数である。mの数によって、結果的に得られるポリマーからなるグラフェンナノリボンの幅が異なる。つまり、mを調整することにより、結果的に得られるポリマーからなるグラフェンナノリボンの幅を調整することができる。本発明のポリマーの合成の容易さ、分子量を大きくすることができる(繰り返し数を大きくすることができる)観点からは、mは1~3が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。

【0056】
一般式(1)、(2)及び(6)において、AはK領域(つまり、アームチェア端部又は凸部)を有する芳香族環である。なお、Aは、R1及びR3の少なくとも1つと結合して環を形成する場合もあるが、この場合は、K領域を有するようにR1及びR3の少なくとも1つと結合して環を形成することが好ましい。

【0057】
このような環Aとしては、例えば、

【0058】
【化13】
JP2017131190A1_000015t.gif

【0059】
[式中、R2及びR4は前記に同じである。Yは同一又は異なって、CH又はNを示す。]
等が挙げられる。

【0060】
R1及びR3は水素原子である。なお、R1及び/又はR3は、Aと結合して環を形成してもよい。この際形成される環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。

【0061】
R2及びR4で示される分岐鎖アルキル基としては、基質の種類によって適宜選択され得るが、後述の繰り返し単位(1A)、(1C)、(1E)、(1F)等を採用する場合や、後述の繰り返し単位(1D)のR2aは、溶解性の観点から、一般式(7):

【0062】
【化14】
JP2017131190A1_000016t.gif

【0063】
[式中、R7は同一又は異なって、C1-4アルキル基を示す。R8はC6-10アルキル基を示す。]
で表される基が好ましい。

【0064】
一般式(7)におけるR7としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基等のC1-4アルキル基が挙げられる。これらアルキル基は、立体的環境を考慮し、上記繰り返し単位間の距離にあわせた基を選択することが好ましい。例えば、上記環Aがベンゼン環である場合、つまり、上記繰り返し単位がピレン骨格を有する構造である場合には、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、R7はいずれもエチル基であることが好ましい。

【0065】
一般式(7)におけるR8としては、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基等のC7-10アルキル基が挙げられる。これらアルキル基は、使用する溶媒の溶解性を考慮し、適宜選択することができる。

【0066】
このため、R2及びR4で示される分岐鎖アルキル基としては、例えば、一般式(7A)~(7C):

【0067】
【化15】
JP2017131190A1_000017t.gif

【0068】
[式中、R7は前記に同じである。]
で表される基が好ましく、一般式(7B)で表される基がより好ましい。

【0069】
なお、後述の繰り返し単位(1D)のR4aについては、溶解性の観点から、一般式(8):

【0070】
【化16】
JP2017131190A1_000018t.gif

【0071】
[式中、R7は同一又は異なって、C1-8アルキル基を示す。]
で表される基が好ましい。

【0072】
一般式(8)におけるR9としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等のC1-8アルキル基が挙げられる。これらアルキル基は、立体的環境を考慮し、上記繰り返し単位間の距離にあわせた基を選択することが好ましい。例えば、後述の繰り返し単位(1D)のR4aについては、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、R9はいずれもn-ペンチルであることが好ましい。

【0073】
R2及びR4が一般式(2)で表される基である場合、R2aで示される分岐鎖アルキル基としては、上記した分岐鎖アルキル基が好ましい。

【0074】
なお、R1とR2、R3とR4は互いに結合し、環を形成してもよい。また、R1とR2aは互いに結合し、環を形成してもよい。この際形成される環としては、例えば、

【0075】
【化17】
JP2017131190A1_000019t.gif

【0076】
[式中、R2aは前記に同じである。]
等が挙げられる。

【0077】
以上のような条件を満たす繰り返し単位としては、例えば、一般式(1A)~(1F):

【0078】
【化18】
JP2017131190A1_000020t.gif

【0079】
[式中、*、Y、R2a及びR4aは前記に同じである。R2b及びR4bは同一又は異なって、分岐鎖アルキル基を示す。]
で表される繰り返し単位が挙げられる。これらのなかでも、より高分子量のポリマーが得やすい観点から、一般式(1A)で表される繰り返し単位が好ましい。

【0080】
このため、本発明のポリマーは、一般式(6A)~(6F):

【0081】
【化19】
JP2017131190A1_000021t.gif

【0082】
【化20】
JP2017131190A1_000022t.gif

【0083】
[式中、Y、R2a及びR4aは前記に同じである。]
等で表される構造を有することが好ましい。

【0084】
本発明のポリマーにおいて、上記繰り返し単位数(つまり、重合度)は、特に制限されず、必要特性に応じて適宜選択することができ、例えば、10~1000が好ましく、30~500がより好ましい。本発明のポリマーの繰り返し単位数は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で測定した数平均分子量から算出する。

【0085】
本発明のポリマーにおいて、数平均分子量は、特に制限されず、必要特性に応じて適宜選択することができ、例えば、10000以上が好ましく、15000~300000がより好ましく、20000~200000がさらに好ましく、30000~180000が特に好ましい。本発明のポリマーの数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーにより、ポリスチレン換算で測定する。

【0086】
このような本発明のポリマーの幅は、0.5~2.0nmが好ましく、0.7~1.5nmがより好ましい。なお、ポリマーの幅は、主骨格である多環芳香族骨格部分の幅を意味し、原子間力顕微鏡観察により測定する。基質として後述の一般式(3A1)、(4A)、(5A)等で表される化合物を使用した場合は幅が約0.7nmのポリマーが生成されやすく、基質として後述の一般式(3A2)、(3B)、(5B)等で表される化合物を使用した場合は幅が約1.2nmのポリマーが生成されやすく、基質として後述の一般式(4B)等で表される化合物を使用した場合は幅が約1.5nmのポリマーが生成されやすい。

【0087】
2. ポリマーの製造方法
上記した本発明のポリマーは、例えば、
(1)パラジウム化合物及びo-クロラニルの存在下、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物を反応させる工程、又は
(2)パラジウム化合物及びo-クロラニルの存在下、K領域を有する多環芳香族化合物と、シロール骨格を有する多環芳香族化合物とを反応させる工程
を備える製造方法により合成することができる。

【0088】
このような方法を採用することにより、工程(1)においては、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物におけるK領域とシロール骨格との間で、位置選択的且つ連続的な一段階π拡張重合(以下、「APEX重合」と言うこともある)が進行する。また、工程(2)においては、K領域を有する多環芳香族化合物におけるK領域と、シロール骨格を有する多環芳香族化合物におけるシロール骨格との間で、位置選択的且つ連続的なAPEX重合が進行する。この重合反応が進行するのは、シロール骨格がπ拡張反応剤として機能するためである。このため、本発明のポリマーを、わずか一段階の反応により精密に合成することが可能であり、工程数の大幅な短縮が可能である。

【0089】
(2-1)基質
K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物
本発明の製造方法において、基質として使用できるK領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物としては、片側の端部にK領域を有し、反対側の端部にシロール骨格を有する多環芳香族化合物であれば特に制限されない。例えば、一般式(3A)又は(3B):

【0090】
【化21】
JP2017131190A1_000023t.gif

【0091】
[式中、A、R1、R2a及びR3は前記に同じである。R4aは分岐鎖アルキル基を示す。R1とR2a、R3とR4a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。R5及びR6は同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を示す。]
で表される化合物が好ましい。

【0092】
R4aで示される分岐鎖アルキル基としては、上記した分岐鎖アルキル基が好ましい。

【0093】
R5及びR6で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基等のC1-4アルキル基が挙げられる。

【0094】
R1とR2a、R3とR4a、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つが互いに結合し、環を形成する場合、形成される環は、上記説明したものが挙げられる。

【0095】
以上のような条件を満たすK領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物としては、例えば、一般式(3A1)、(3A2)、(3B1):

【0096】
【化22】
JP2017131190A1_000024t.gif

【0097】
[式中、R2a、R4a、R5及びR6は前記に同じである。]
で表される化合物が挙げられる。具体的には、K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物としては、例えば、

【0098】
【化23】
JP2017131190A1_000025t.gif

【0099】
等が挙げられる。これらのなかでも、より高分子量のポリマーが得やすい観点から、一般式(3A1)で表される化合物が好ましい。

【0100】
K領域を有する多環芳香族化合物
本発明の製造方法において、基質として使用できるK領域を有する多環芳香族化合物としては、両側の端部にK領域を有する多環芳香族化合物であれば特に制限されない。例えば、一般式(4):

【0101】
【化24】
JP2017131190A1_000026t.gif

【0102】
[式中、A、R1、R2、R3及びR4は前記に同じである。R1とR2、R3とR4、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。]
で表される化合物が挙げられる。

【0103】
R1とR2、R3とR4、R1とA、及びR3とAの少なくとも1つが互いに結合し、環を形成する場合、形成される環は、上記説明したものが挙げられる。

【0104】
以上のような条件を満たすK領域を有する多環芳香族化合物としては、例えば、一般式(4A)~(4B):

【0105】
【化25】
JP2017131190A1_000027t.gif

【0106】
[式中、Y、R2a及びR4aは前記に同じである。]
で表される化合物が挙げられる。具体的には、K領域を有する多環芳香族化合物としては、例えば、

【0107】
【化26】
JP2017131190A1_000028t.gif

【0108】
等が挙げられる。

【0109】
シロール骨格を有する多環芳香族化合物
本発明の製造方法において、基質として使用できるシロール骨格を有する多環芳香族化合物としては、両側の端部にシロール骨格を有する多環芳香族化合物であれば特に制限されない。例えば、一般式(5):

【0110】
【化27】
JP2017131190A1_000029t.gif

【0111】
[式中、R1、R2a、R3、R4a、R5及びR6は前記に同じである。Bは同一又は異なって、シロール骨格を有する芳香族環を示す。R1とR2a、R3とR4a、R1とB、及びR3とBの少なくとも1つは互いに結合し、環を形成してもよい。]
で表される化合物が好ましい。

【0112】
一般式(5)において、Bはシロール骨格を有する芳香族環である。このような環Bとしては、例えば、

【0113】
【化28】
JP2017131190A1_000030t.gif

【0114】
[式中、R5及びR6は前記に同じである。]
等が挙げられる。

【0115】
なお、R1及び/又はR3は、Bと結合して環を形成してもよい。また、R1とR2a、R3とR4aは互いに結合し、環を形成してもよい。この際形成される環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。

【0116】
以上のような条件を満たすシロール骨格を有する多環芳香族化合物としては、例えば、一般式(5A)~(5B):

【0117】
【化29】
JP2017131190A1_000031t.gif

【0118】
[式中、R2a、R4a、R5及びR6は前記に同じである。]
で表される化合物が挙げられる。具体的には、シロール骨格を有する多環芳香族化合物としては、例えば、

【0119】
【化30】
JP2017131190A1_000032t.gif

【0120】
等が挙げられる。

【0121】
本発明の製造方法において、工程(2)を採用する場合、つまり、K領域を有する多環芳香族化合物と、シロール骨格を有する多環芳香族化合物とを反応させる場合、シロール骨格を有する多環芳香族化合物の使用量は、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、K領域を有する多環芳香族化合物1モルに対して、0.2~3.0モルが好ましく、0.3~2.0モルがより好ましく、0.5~1.5モルがさらに好ましい。

【0122】
(2-2)パラジウム化合物
本発明の製造方法では、触媒としてパラジウム化合物を使用する。なお、パラジウム化合物を使用しない場合は、重合反応はほとんど進行せず、本発明のポリマーが得られにくい。

【0123】
パラジウム化合物としては、高分子化合物等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられ、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、2価パラジウム化合物が好ましい。使用できるパラジウム化合物としては、例えば、Pd(OH)2、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、Pd(acac)2、PdCl2、PdBr2、PdI2、Pd(NO3)2、Pd(CH3CN)4(SbF6)2等が挙げられる。なお、acacはアセチルアセトネートを意味する。本発明においては、弱いカチオン性のパラジウム化合物を使用することで基質のシロール骨格を崩壊させにくく、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、Pd(OH)2、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、PdBr2、PdI2、Pd(CH3CN)4(SbF6)2等が好ましく、Pd(OCOCH3)2、Pd(OCOCF3)2、PdBr2、PdI2、Pd(CH3CN)4(SbF6)2等がより好ましく、Pd(OCOCF3)2がさらに好ましい。

【0124】
パラジウム化合物の使用量は、基質の種類により適宜選択することが可能であり、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、例えば、基質である前記K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、前記K領域を有する多環芳香族化合物、又は前記シロール骨格を有する多環芳香族化合物1モルに対して、0.07~5.0モルが好ましく、0.15~4.0モルがより好ましく、0.3~3.0モルがさらに好ましく、0.6~2.0モルが特に好ましい。

【0125】
(2-3)o-クロラニル
本発明の製造方法では、酸化剤としてo-クロラニルを使用する。なお、o-クロラニルを使用しない場合は、重合反応はほとんど進行せず、本発明のポリマーが得られない。また、o-クロラニルの代わりに、他の酸化剤(p-クロラニル、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、3,5-ジ-t-ブチル-1,2-ベンゾキノン、CuCl2等)を用いた場合も同様に、重合反応はほとんど進行せず、本発明のポリマーが得られない。

【0126】
o-クロラニルの使用量は、基質の種類により適宜選択することが可能であり、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、例えば、基質である前記K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、前記K領域を有する多環芳香族化合物、又は前記シロール骨格を有する多環芳香族化合物1モルに対して、0.5~5.0モルが好ましく、1.0~3.0モルがより好ましく、1.5~2.5モルがさらに好ましい。

【0127】
(2-4)銀化合物
本発明の製造方法において、工程(1)及び(2)は、銀化合物の存在下で行うことが好ましい。銀化合物を使用することにより、より高分子量のポリマーを得やすい。

【0128】
銀化合物としては、特に制限されず、酢酸銀、ピバル酸銀(AgOPiv)、トリフルオロメタンスルホン酸銀(AgOTf)、安息香酸銀(AgOCOPh)等の有機銀化合物;硝酸銀、フッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、硫酸銀、酸化銀、硫化銀、テトラフルオロホウ酸銀(AgBF4)、ヘキサフルオロリン酸銀(AgPF6)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀(AgSbF6)等の無機銀化合物等が挙げられ、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、無機銀化合物が好ましく、テトラフルオロホウ酸銀(AgBF4)、ヘキサフルオロリン酸銀(AgPF6)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀(AgSbF6)等がより好ましく、テトラフルオロホウ酸銀(AgBF4)、ヘキサフルオロアンチモン酸銀(AgSbF6)等がさらに好ましく、ヘキサフルオロアンチモン酸銀(AgSbF6)が特に好ましい。これらの銀化合物は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。

【0129】
銀化合物の使用量は、基質の種類により適宜選択することが可能であり、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、例えば、基質である前記K領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物、前記K領域を有する多環芳香族化合物、又は前記シロール骨格を有する多環芳香族化合物1モルに対して、0.5~5.0モルが好ましく、1.0~3.0モルがより好ましく、1.5~2.5モルがさらに好ましい。なお、複数の銀化合物を使用する場合には、合計使用量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0130】
(2-5)その他
本発明の製造方法において、工程(1)及び(2)は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン(DCE)、クロロホルム(CHCl3)、四塩化炭素、トリクロロエチレン(TCE)等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ブロモベンゼン(PhBr)、1,3,5-トリブロモベンゼン(PhBr3)等の芳香族ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。これらのうち、本発明では、より高分子量のポリマーを得やすい観点から、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族ハロゲン化炭化水素等が好ましく、ジクロロエタン(DCE)、クロロホルム(CHCl3)、トリクロロエチレン(TCE)、ブロモベンゼン(PhBr)、1,3,5-トリブロモベンゼン(PhBr3)等がより好ましく、ジクロロエタン(DCE)、トリクロロエチレン(TCE)、1,3,5-トリブロモベンゼン(PhBr3)等がさらに好ましく、ジクロロエタン(DCE)が特に好ましい。

【0131】
本発明の製造方法においては、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜添加剤を使用することもできる。

【0132】
本発明の製造方法は、無水条件下且つ不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、40~110℃程度が好ましく、50~100℃程度がより好ましく、60~90℃がさらに好ましい。反応時間は、重合反応が十分に進行する時間とすることができ、通常、10分~72時間が好ましく、1~48時間がより好ましい。

【0133】
反応終了後は、通常の単離及び精製工程(シリカゲルカラムクロマトグラフィーによる金属の除去、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によるポリマーの分離又は分取等)を経て、目的ポリマーを得ることができる。

【0134】
3. グラフェンナノリボン
本発明のグラフェンナノリボン(GNR)は、上記した本発明のポリマーからなる。本発明のポリマーは、上記のとおり、工程(1)においてはK領域及びシロール骨格を有する多環芳香族化合物におけるK領域とシロール骨格との間で、工程(2)においてはK領域を有する多環芳香族化合物におけるK領域とシロール骨格を有する多環芳香族化合物におけるシロール骨格との間で、APEX重合が進行する。

【0135】
このため、本発明のGNRの幅は、上記製造方法において使用する基質の長さに依存する。また、本発明のGNRの長さは、本発明のポリマーの重合度(繰り返し単位数)に依存する。なお、基質の長さとは、一般式(3A)、(3B)及び(5)においてはR2aからR4aまでの長さ、一般式(4)においてはR2からR4までの長さを意味する。このため、基質の種類を変えることによってGNRの幅を制御することができ、反応条件を変えることによってGNRの長さを制御することができる。このような本発明のGNRは、幅及び長さが均一なGNRであることから、幅及び長さが均一なGNRを大量合成することも可能である。このように、本発明によれば、GNRの幅及び長さを精密に制御することが可能であることから、細かな電子物性の調節等も可能である。

【0136】
このような本発明のGNRの幅は、0.5~10.0nmが好ましく、0.6~2.0nmがより好ましく、0.7~1.5nmがさらに好ましい。なお、GNRの幅は、GNRの中心部分と、隣接するGNRの中心部分との距離を意味し、原子間力顕微鏡観察により測定する。

【0137】
また、このような本発明のGNRの長さは、10nm以上が好ましく、20~500nmがより好ましく、50~400nmがさらに好ましく、100~300nmが特に好ましい。例えば、本発明の製造方法において、パラジウム化合物及びo-クロラニル以外に銀化合物を使用すれば、より長さの長いGNRが生成されやすく、パラジウム化合物及びo-クロラニル以外に銀化合物を使用しない場合は、より長さの短いGNRが生成されやすい。なお、重合度の高いポリマーからなる長さの長いGNRは半導体、太陽電池等への応用が期待されるが、重合度の低いポリマーからなる長さの短いGNRであっても有機EL素子等への応用が期待される。

【0138】
このような本発明のGNRは、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル等の有機溶媒への溶解性が高いことから成膜性にも優れる。また、ペリレンビスイミドオリゴマーは有機色素太陽電池のアクセプター分子として、フラーレン以外の分子群のなかで最高の発電効率(変換効率約8 %)を示すことが知られている(Nat. Commun. 2015, 6, 9242)ため、OLED、OFET、有機薄膜太陽電池等の各種電荷輸送材料等として期待される。特に、有機薄膜太陽電池の高効率電子ドナー分子群及び高効率電子アクセプター分子群の創成につながることが期待される。

【0139】
また、本発明のGNRは、導電材料の抵抗率を上昇させることができる。例えば、導電材料としてグラフェンの上でGNRを配置させることにより、グラフェンの抵抗率(特に直流抵抗率)を上昇させることができる。このため、本発明のGNRを使用することで、所望の抵抗率を有するグラフェン電界効果トランジスタを得られると期待できる。
【実施例】
【0140】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0141】
1H NMR(600 MHz, 400 MHz)スペクトル及び13C NMR(151 MHz)スペクトルは、JEOL ECA-600分光計で、CDCl3中で記録した。1H NMRの化学シフト(δ)はテトラメチルシラン(δ0.00 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。マススペクトルはJEOL JMS-700により得た。なお、HPLCチャートは、より左側にピークが存在するほど、より高分子量のポリマーが合成できていることを示す。全ての反応は、標準的な真空ライン技法を用いて、フレームドライしたガラス容器中で、アルゴン(Ar)ガス雰囲気下に乾燥溶媒を用いて行った。
【実施例】
【0142】
[合成例1:化合物2の合成]
【実施例】
【0143】
【化31】
JP2017131190A1_000033t.gif
【実施例】
【0144】
まず、ジエチルケトン(化合物1; 1.06 mL, 10 mmol)と1-ブロモオクタン及びMgから合成したグリニャール試薬(1.5当量, 15 mmol)とをTHF中で-20℃で撹拌し、その後室温で撹拌することで反応させた。反応溶液に水を加えることで反応を停止し、ジエチルエーテルを用いて抽出を行い溶媒留去した。その後、対応するアルコールを、ヘキサンを展開溶媒としたクロマトグラフィーで単離した(69%)。
【実施例】
【0145】
次に、得られたアルコール(3-エチル-ウンデカン-3-オール)を濃塩酸中で1時間激しく攪拌することで反応させた。反応溶液に水を加えることで反応を停止し、ジエチルエーテルを用いて抽出を行い溶媒留去した。その後、化合物2(3-クロロ-3-エチルウンデカン)を、ヘキサンを展開溶媒としたクロマトグラフィーで単離し目的化合物が得られたことを1H-NMRで確認した(99%)。
1H-NMR(400MHz, CDCl3): 0.88 (t, 9H), 0.96 (t, 4H), 1.26 (s, 14H)。
【実施例】
【0146】
[合成例2:化合物11の合成]
【実施例】
【0147】
【化32】
JP2017131190A1_000034t.gif
【実施例】
【0148】
フルオレン(166 mg, 1 mmol)及び合成例1で得た化合物2(2.5 mmol)に対して、AlCl3(2.0 mmol)をCH3NO2中で、40℃で24時間作用させることでFriedel-Craftsアルキル化反応を行った。反応溶液にメタノールを加えることで反応を停止し、水を用いて有機相を洗浄したのち溶媒留去した。化合物11を、ヘキサンを展開溶媒としたクロマトグラフィーで単離し、目的の化合物が得られたことを1H-NMR、FAB-MSで確認した(50%)。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) 0.86-0.88 (m, 18), 1.06-1.32 (m, 36H), 3.85 (s, 2H), 7.31-7.39 (m, 2H), 7.41-7.45 (m, 2H), 7.66 (d, 2H). MS(FAB): m/z (%)= 530 [M・+] (100)。
【実施例】
【0149】
[合成例3:化合物7の合成]
【実施例】
【0150】
【化33】
JP2017131190A1_000035t.gif
【実施例】
【0151】
合成例2で得た化合物11(120 mg, 0.22 mmol)に対して、n-ブチルリチウム(n-BuLi; 1.0当量)をTHF中、0℃で3分間反応させ、リチエーション反応を引き起こした後、パラホルムアルデヒド((CH2O)n; 1.1当量)をTHF中、100℃で20分間反応させた。反応溶液に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止し、ジエチルエーテルを用いて抽出を行い溶媒留去した。さらに、得られた化合物に対して、P2O5(5.0当量)をトルエン中、室温で1時間反応させ、ピナコール転位を行った。反応溶液に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止し、ジエチルエーテルを用いて抽出を行い溶媒留去した。反応を完了させて対応する化合物7をヘキサンを展開溶媒としたクロマトグラフィーで単離し、目的の化合物が得られたことを1H-NMR、FAB-MSで確認した(60mg, 47%, 2 step)。
1H-NMR(400 MHz, CDCl3): 0.81-0.83 (m, 18H) , 1.23-126 (m, 36H), 7.53-7.96 (m, 2H), 8.23-8.25 (m, 2H), 8.55-8.57 (m, 2H), 8.83-8.85 (m, 2H). MS(FAB): m/z (%)= 542 [M・+] (100)。
【実施例】
【0152】
[合成例4:化合物8の合成]
【実施例】
【0153】
【化34】
JP2017131190A1_000036t.gif
【実施例】
【0154】
合成例3で得た化合物7に対して、t-ブチルリチウム(t-BuLi; 4.0当量)をTMEDA(4.0当量)中、60℃で3時間反応させ、リチエーション反応を引き起こした後、得られた化合物とジメチルジクロロシラン(Me2SiCl2; 2.0当量)をTHF中、-78℃で撹拌した後に室温で24時間反応させた。反応溶液に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止し、ジエチルエーテルを用いて抽出を行い溶媒留去した。反応を完了させて対応する化合物8をヘキサンを展開溶媒としたクロマトグラフィーで単離し、目的化合物8が得られたことを1H-NMR、FAB-MSで確認した(35%)。
1H-NMR (600 MHz, CDCl3) 0.53 (s, 6H), 0.80-0.85 (m, 18H), 1.20-1.24 (m, 36H), 7.63-7.65 (m, 2H), 7.70 (s, 2H), 7.84-7.85 (m, 2H). MS(FAB): m/z (%)= 599 [M + H・+] (100)。
【実施例】
【0155】
[実施例1]
合成例4で得た化合物8に対して、Pd(CH3CN)4(SbF6)2(5mol%)及びo-クロラニル(2.0当量)を用いて、ジクロロエタン(DCE)中、80℃で所定時間(2時間、4時間又は12時間)反応させた。クロマトグラフィーを用いて金属を除去したのち、HPLCにより分子量測定を行った。結果を表1に示す。標準反応条件でAPEX重合を行おうとしたところ、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS)により、ダイマー及びトリマーを検出した(YN-049)。次に、反応時間を長くし、全てのo-クロラニルを消費したところ、14量体及び16量体も検出した(YN-050)。反応混合物を12時間撹拌する間に、全てのモノマーが消費しなかったことから、より多くの触媒を投入することが好ましいことが示唆される。
【実施例】
【0156】
【表1】
JP2017131190A1_000037t.gif
【実施例】
【0157】
[実施例2]
次に、反応時間を12時間とし、Pd(CH3CN)4(SbF6)2の使用量を5 mol%~1.0当量の所定量としたこと以外は実施例1と同様の処理を行った。なお、5mol%の試料は、実施例1のYN-050である。結果を表2に示す。触媒の使用量を10mol%、20mol%、50mol%と増大させるに従い、モノマーは完全に消費され、より分子量の大きなポリマーが検出した(YN-054, 055, 057)。触媒の使用量が1.0当量の場合には、1%以上のポリマーの数平均分子量が25000以上であった(YN-057)。これらの結果から、触媒の使用量は1.0当量が最も効果的であることが理解できる。
【実施例】
【0158】
【表2】
JP2017131190A1_000038t.gif
【実施例】
【0159】
[実施例3]
次に、Pd(CH3CN)4(SbF6)2の使用量を50mol%とし、反応時間を6時間又は12時間としたこと以外は実施例2と同様の処理を行った。なお、12時間の試料は、実施例2のYN-055である。結果を表3に示す。この結果、特に大きな違いは見られなかったことから、反応中に生成物の分解、酸化等は起こらないことが理解できる。
【実施例】
【0160】
【表3】
JP2017131190A1_000039t.gif
【実施例】
【0161】
[実施例4]
次に、Pd(CH3CN)4(SbF6)2の使用量を1.0当量とし、合成例4で得た化合物8の濃度が50mM~0.5Mの所定濃度となるようにDCEを添加したこと以外は実施例2と同様の処理を行った。なお、50mMの試料は、実施例2のYN-057である。結果を表4に示す。基質の濃度が増加するに従い、より分子量の大きなポリマーがHPLCで検出されたものの、溶解性の観点から、0.1Mが最も効果的であることが理解できる。
【実施例】
【0162】
【表4】
JP2017131190A1_000040t.gif
【実施例】
【0163】
[実施例5]
次に、合成例4で得た化合物8の濃度が0.1Mとなるように各種溶媒を添加したこと以外は実施例4と同様の処理を行った。なお、DCEの試料は、実施例4のYN-060である。結果を表5に示す。この結果、DCEが最も効果的であることが理解できる。
【実施例】
【0164】
【表5】
JP2017131190A1_000041t.gif
【実施例】
【0165】
[実施例6]
次に、合成例4で得た化合物8の濃度が0.1 MとなるようにDCEを添加し、加熱条件を種々変更したこと以外は実施例4と同様の処理を行った。なお、80℃及び12時間の試料は、実施例4のYN-060である。結果を表6に示す。この結果、80℃及び12時間が最も効果的であることが理解できる。
【実施例】
【0166】
【表6】
JP2017131190A1_000042t.gif
【実施例】
【0167】
[実施例7]
次に、合成例4で得た化合物8の濃度が0.1MとなるようにDCEを添加し、o-クロラニルの代わりに種々の酸化剤を使用したこと以外は実施例4と同様の処理を行った。なお、o-クロラニルの試料は、実施例4のYN-060である。結果を表7に示す。この結果、o-クロラニル以外の酸化剤を使用した場合は、十分に重合反応が進行せず、本発明のポリマーは得られない。
【実施例】
【0168】
【表7】
JP2017131190A1_000043t.gif
【実施例】
【0169】
[実施例8]
次に、合成例4で得た化合物8の濃度が0.1MとなるようにDCEを添加し、種々のパラジウム化合物及び種々の銀化合物を使用したこと以外は実施例4と同様の処理を行った。なお、Pd(CH3CN)4(SbF6)2及びnoneの試料は、実施例4のYN-060である。結果を表8に示す。
【実施例】
【0170】
【表8】
JP2017131190A1_000044t.gif
【実施例】
【0171】
[実施例9]
次に、パラジウム化合物としてPdCl2、銀化合物としてAgSbF6を使用し、パラジウム化合物及び銀化合物の使用量を種々変更したこと以外は実施例8と同様の処理を行った。なお、1eq.及び2eq.の試料は、実施例8のYN-092である。結果を表9に示す。この結果、パラジウム化合物は1当量、銀化合物は2当量が最も効果的であることが理解できる。
【実施例】
【0172】
【表9】
JP2017131190A1_000045t.gif
【実施例】
【0173】
[実施例10]
次に、銀化合物としてAgSbF6を使用し、パラジウム化合物として種々の化合物を使用したこと以外は実施例8と同様の処理を行った。なお、PdCl2の試料は、実施例8のYN-092である。結果を表10に示す。この結果、パラジウム化合物はPd(OCOCF3)2が最も効果的であることが理解できる。
【実施例】
【0174】
【表10】
JP2017131190A1_000046t.gif
【実施例】
【0175】
[実施例11]
次に、パラジウム化合物としてPd(OCOCF3)2を使用し、銀化合物の使用量を種々変更したこと以外は実施例10と同様の処理を行った。なお、2.0eq.の試料は、実施例10のYN-104である。結果を表11に示す。
【実施例】
【0176】
【表11】
JP2017131190A1_000047t.gif
【実施例】
【0177】
以上から、ポリマー化のために最も好ましい条件は以下の条件であることが理解できる。
【実施例】
【0178】
【化35】
JP2017131190A1_000048t.gif
【実施例】
【0179】
[試験例1]
実施例4(表4)のYN-060と同様の方法で、75mg(1.3mmol)の基質を用いて、本発明のポリマーを得た。その後、GPCで単離したところ、数平均分子量が30000程度のポリマー、5~16量体のポリマー、4量体、トリマー及びダイマーが得られ、いずれもシロール骨格が消滅していた。
【実施例】
【0180】
また、APEX重合の結果、1H-NMRの結果から、4量体以下の化合物のピークが顕著にブロードになっており、1Hシグナルが8.00ppmから9.80ppmに遷移しており、凹型部位の存在を示唆している。このため、上記の全ての実施例において、APEX重合が進行して本発明のポリマーが得られていることが示唆される。結果を表12及び図1に示す。
【実施例】
【0181】
【表12】
JP2017131190A1_000049t.gif
【実施例】
【0182】
上記Entry 1(ダイマー)、3(4量体)及び5(分子量30000程度)について、THF溶液中のUV/Vis吸収及び蛍光スペクトルを表13及び図2に示す。図2において、実線が吸収スペクトル、破線が蛍光スペクトルである。いずれのEntryも、THF、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機溶媒に対して十分な溶解性を有していることから測定が可能であった。Entry 3及び5の主な吸収バンドは、Entry 1及び2と比較して赤色シフトしていた。Entry 1及び2のUV/Vis吸収スペクトルは、ほとんど同じ特徴を有していた。また、Entry 1, 2, 3及び5のバンドギャップは、UV/Vis吸収スペクトルの立ち上がり(onset)を意味しており、それぞれ4.5, 3.9, 3.7及び3.2eVである。これらの結果は、共役長の増加にともないバンドギャップが減少することを意味する。さらに、Entry 1, 2, 3及び5の蛍光スペクトルから、THF溶液中での最大蛍光波長は、それぞれ486, 497, 493, 506nmであった。
【実施例】
【0183】
【表13】
JP2017131190A1_000050t.gif
【実施例】
【0184】
また、それぞれのEntryのFT-ATR-IR分析を行った。その結果、いずれのEntryにおいても、APEX重合を示差する凹型部位における芳香族C-H結合の865 cm-1の位置にピークが見られた。結果を図3に示す。
【実施例】
【0185】
次に、Entry 5の532 nmにおけるラマンスペクトルの結果から、蛍光のために明確ではないものの、1352 cm-1の位置にDバンド(disorderバンド)、1524 cm-1の位置にGバンド(graphiteバンド)を有していた。この結果は、GNRの文献値とも整合する。結果を図4に示す。
【実施例】
【0186】
これらの測定結果は、APEX重合によりGNRが合成できていることを意味している。
【実施例】
【0187】
[試験例2]
実施例11(表11)のYN-111と同様の方法で、75mg(1.3mmol)の基質を用いて、本発明のポリマーを得た。その後、GPCで単離したところ、数平均分子量が1000000程度のポリマー、数平均分子量が150000程度のポリマー、トリマー及びダイマーが得られ、いずれもシロール骨格が消滅していた。
【実施例】
【0188】
また、APEX重合の結果、1H-NMRの結果から、9.80ppmのピークが極端にブロードになっており、凹型部位の存在を示唆している。このため、上記の全ての実施例において、APEX重合が進行して本発明のポリマーが得られていることが示唆される。結果を表14及び図5に示す。
【実施例】
【0189】
【表14】
JP2017131190A1_000051t.gif
【実施例】
【0190】
上記で得られた各Entryについて、THF溶液中のUV/Vis吸収及び蛍光スペクトルを表15及び図6Aに示す。図6Aにおいて、上図が吸収スペクトル、下図が蛍光スペクトルである。参考までに、THF溶液中のピレンの光学スペクトルを図6Bに示す。いずれのEntryも、THF、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機溶媒に対して十分な溶解性を有していることから測定が可能であった。Entry 1(分子量1000000以上)及び2(分子量150000程度)の主な吸収バンドは、Entry 3(トリマー)と比較して赤色シフトしていた。Entry 1及び2のUV/Vis吸収スペクトルは、ほとんど同じ特徴を有していた。また、Entry 1, 2, 3及び4のバンドギャップは、UV/Vis吸収スペクトルの立ち上がり(onset)を意味しており、それぞれ2.5, 2.8, 3.2及び3.9eVである。これらの結果は、共役長の増加にともないバンドギャップが減少することを意味する。さらに、各Entryの蛍光スペクトルから、THF溶液中での最大蛍光波長は、それぞれ451, 440, 416, 431nmであった。
【実施例】
【0191】
【表15】
JP2017131190A1_000052t.gif
【実施例】
【0192】
また、それぞれのEntryのFT-ATR-IR分析を行った。その結果、いずれのEntryにおいても、APEX重合を示差する凹型部位における芳香族C-H結合の865cm-1の位置にピークが見られた。結果を図7に示す。
【実施例】
【0193】
次に、Entry 1の532nmにおけるラマンスペクトルの結果から、蛍光のために明確ではないものの、1352cm-1の位置にDバンド(disorderバンド)、1524cm-1の位置にGバンド(graphiteバンド)を有していた。この結果は、GNRの文献値とも整合する。結果を図8に示す。
【実施例】
【0194】
これらの測定結果は、APEX重合によりGNRが合成できていることを意味している。
【実施例】
【0195】
[試験例3]
実施例11(表11)のYN-111と同様の方法で、150mg(2.6mmol)の基質を用いて、本発明のポリマーを得た。その後、GPCで単離したところ、数平均分子量が150000程度のポリマー、数平均分子量が60000~70000程度のポリマー、数平均分子量が50000程度のポリマー、トリマー及びダイマーが得られ、いずれもシロール骨格が消滅していた。
【実施例】
【0196】
また、APEX重合の結果、1H-NMRの結果から、9.80ppmのピークが極端にブロードになっており、凹型部位の存在を示唆している。このため、上記の全ての実施例において、APEX重合が進行して本発明のポリマーが得られていることが示唆される。結果を表16及び図9に示す。
【実施例】
【0197】
【表16】
JP2017131190A1_000053t.gif
【実施例】
【0198】
上記で得られた各Entryについて、THF溶液中のUV/Vis吸収及び蛍光スペクトルを表17及び図10に示す。図10において、上図が吸収スペクトル、下図が蛍光スペクトルである。いずれのEntryも、THF、ジクロロメタン、クロロホルム等の有機溶媒に対して十分な溶解性を有していることから測定が可能であった。Entry 1(分子量150000程度)及び2(分子量60000~70000程度)の主な吸収バンドは、Entry 4(トリマー)と比較して赤色シフトしていた。Entry 1及び2のUV/Vis吸収スペクトルは、ほとんど同じ特徴を有していた。また、Entry 1, 2, 3, 4及び5のバンドギャップは、UV/Vis吸収スペクトルの立ち上がり(onset)を意味しており、それぞれ2.5, 2.8, 3.2, 3.9及び3.9eVである。これらの結果は、共役長の増加にともないバンドギャップが減少することを意味する。さらに、各Entryの蛍光スペクトルから、THF溶液中での最大極大蛍光波長は、それぞれ473, 473, 443, 442及び430nmであった。
【実施例】
【0199】
【表17】
JP2017131190A1_000054t.gif
【実施例】
【0200】
また、それぞれのEntryのFT-ATR-IR分析を行った。その結果、いずれのEntryにおいても、APEX重合を示差する凹型部位における芳香族C-H結合の865cm-1の位置にピークが見られた。
【実施例】
【0201】
次に、Entry 1の532nmにおけるラマンスペクトルの結果から、蛍光のために明確ではないものの、1352cm-1の位置にDバンド(disorderバンド)、1524cm-1の位置にGバンド(graphiteバンド)を有していた。この結果は、GNRの文献値とも整合する。
【実施例】
【0202】
これらの測定結果は、APEX重合によりGNRが合成できていることを意味している。
【実施例】
【0203】
[合成例5:化合物10の合成]
【実施例】
【0204】
【化36】
JP2017131190A1_000055t.gif
【実施例】
【0205】
化合物9(12mL, 59mmol)に対して、酢酸アンモニウム(NH4OAc; 519mmol)及びNaBH3CN(35mmol)をメタノール中で、室温で54時間作用させることで還元的アミノ化反応を行った。反応溶液に濃塩酸を加えることで反応を停止し、溶媒留去した。粗生成物を水中に分散させ、1M NaOH水溶液を用いてpH = 10に調整した。この溶液にクロロホルムを加え抽出を行った後、溶媒を留去することで目的化合物10を単離し、目的の化合物が得られたことを1H-NMRで確認した(96%)。
1H-NMR (400MHz, CDCl3) 0.98 (s, 6H), 1.30-1.32 (m, 16H), 2.65 (s, 2H), 3.24 (m, 1H)。
【実施例】
【0206】
[合成例6:化合物12の合成]
【実施例】
【0207】
【化37】
JP2017131190A1_000056t.gif
【実施例】
【0208】
化合物11(5.0g, 13mmol)に対してBr2(28mmol)及びI2(6mmol)を硫酸中で、85℃で24時間作用させることで臭素化反応を行った。反応後、反応溶液を室温まで冷却し、生成した沈殿物を濾取した。この沈殿物を水で洗浄したのち、乾燥させることで目的化合物12を得た(96%, Crude)。本化合物は、あらゆる有機溶媒に不溶であるため、化合物の同定及び精製を行っていない。
【実施例】
【0209】
[合成例7:化合物13の合成]
【実施例】
【0210】
【化38】
JP2017131190A1_000057t.gif
【実施例】
【0211】
合成例6で得た化合物12(6.9g, 12mmol)に対して合成例5で得た化合物10(39mmol)をNMP中で、150℃で4時間反応させた。室温に冷却した反応溶液を希塩酸に加えることで生成物を沈殿させ濾取した。この沈殿物を水で洗浄したのち、乾燥させることで目的化合物13の粗生成物を得た。その後、クロマトグラフィー及び再結晶を行うことで目的化合物を単離し、目的化合物13が得られたことを1H-NMR、FAB-MSで確認した(39%)。
1H-NMR (400MHz, CDCl3): 0.83 (t, 12H), 1.25-1.27 (m, 16H), 1.84-186 (m, 2H), 1.87 (m, 4H), 2.24 (m, 4H), 5.18 (m, 2H), 8.61-8.63 (m, 6H). MS(FAB): m/z (%)= 854 [M・+] (100), 699[M-alkyl・+](43)。
【実施例】
【0212】
[合成例8:化合物14の合成]
【実施例】
【0213】
【化39】
JP2017131190A1_000058t.gif
【実施例】
【0214】
合成例7で得た化合物13(0.015mmol)に対して、t-ブチルリチウム(t-BuLi; 4.0当量)をテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA; 4.0当量)中、60℃で3時間反応させ、リチエーション反応を引き起こした後、得られた化合物とジメチルクロロシラン(Me2SiHCl; 2.2当量)をジエチルエーテル中、-78℃で撹拌した後に室温で24時間反応させた。反応溶液に飽和NaHCO3水溶液を加えることで反応を停止し、ジエチルエーテルを用いて抽出を行い溶媒留去した。反応を完了させて対応する化合物14をPTLCで精製し、目的化合物14が得られたことをFAB-MSで確認した(30%)。
MS(FAB): m/z (%)= 813 [M・+] (100)。
【実施例】
【0215】
[合成例9:化合物15の合成]
【実施例】
【0216】
【化40】
JP2017131190A1_000059t.gif
【実施例】
【0217】
合成例8で得た化合物14(30mg; 0.04mmol)に対してクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(RhCl(PPh3)3; 5mol%)を1,4-ジオキサン中で、135℃で3時間反応させた。溶媒を留去することで反応を停止し、PTLCによって精製を行った。目的の化合物15が得られたことをFAB-MSで確認した(30%)。
m/z (%)= 810 [M・+] (100)。
【実施例】
【0218】
[実施例12]
【実施例】
【0219】
【化41】
JP2017131190A1_000060t.gif
【実施例】
【0220】
次に、基質として市販の化合物16(2mg, 0.004mmol)、合成例9で得た化合物15(3mg, 0.004mmol)を用い、パラジウム化合物としてPd(OCOCF3)2を2.0当量使用し、銀化合物としてAgSbF6を4.0当量使用し、o-クロラニルを4.0当量使用すること以外は実施例11と同様の処理を行った。結果を表18に示す。
【実施例】
【0221】
【表18】
JP2017131190A1_000061t.gif
【実施例】
【0222】
以上から、単独重合のみならず、共重合の場合も反応が進行し、本発明のポリマーを得ることができた。得られたポリマーのIRスペクトルを図11に示す。その結果、カルボニル基と凹型部位の存在が示唆され、本発明のポリマーが得られたことを示唆している。また、得られたポリマーのUV/Vis吸収スペクトルを図12に示す。その結果、200~600nmの位置に吸収バンドを有していることが示唆されている。
【実施例】
【0223】
[合成例10:化合物16の合成]
【実施例】
【0224】
【化42】
JP2017131190A1_000062t.gif
【実施例】
【0225】
化合物11(3.2g, 8mmol)に対して合成例5で得た化合物10(16mmol)をイミダゾール中で、150℃で4時間反応させた。室温に冷却した反応溶液を希塩酸に加えることで生成物を沈殿させ濾取した。この沈殿物を水で洗浄したのち、乾燥させることで目的化合物16の粗生成物を得た。その後、ジクロロメタンを展開溶媒としたクロマトグラフィーを行うことで目的化合物を単離し、目的化合物16が得られたことを1H NMR、13C NMR 、FAB-MSで確認した(96%)。
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ0.83(t, 12H), 1.23-1.35 (m, 24H), 1.83-1.85(m, 4H), 2.21-2.27(m, 4H), 5.18-5.19 (m, 2H), 8.61-8.68 (m, 8H). 13C NMR(150 MHz, CDCl3) δ164.54, 134.24, 131.72, 120.96, 129.45, 126.22, 122.86, 54.83, 32.39, 31.86, 26.78, 22.68, 14.16. HRMS (FAB) m/z calcd for C46H54N2O4+[M]+: 698.4038, found 698.4042。
【実施例】
【0226】
[合成例11:化合物17の合成]
【実施例】
【0227】
【化43】
JP2017131190A1_000063t.gif
【実施例】
【0228】
合成例10で得た化合物16(0.6g, 0.9 mmol)に対してBr2(257mmol)をジクロロメタン中で、室温で2日作用させることで臭素化反応を行った。反応溶液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加えることで反応を停止し、ジクロロメタンを用いて抽出を行い溶媒留去することで目的化合物17の粗生成物を得た。その後、ジクロロメタンを展開溶媒としたクロマトグラフィーを行うことで目的化合物を単離し、目的化合物17が得られたことを1H NMR、13C NMR 、FAB-MSで確認した(96%)。
1H NMR(400MHz, CDCl3) δ0.84(t, 12H), 1.22-1.30(m, 24H), 1.82-1.84(m, 4H), 2.21-2.27(m, 4H), 5.18-5.19 (m, 2H), 8.69(d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.92(d, J = 7.6 Hz, 2H), 9.49-9.51(m, 2H). 13C NMR(150 MHz, CDCl3) δ164.27, 163.79, 163.13, 162.59, 138.58, 137.91, 133.11, 132.98, 132.83, 132.63, 130.62, 130.50, 129.86, 129.39, 128.56, 128.20, 128.10, 127.30, 126.98, 123.88, 123.46, 123.15, 122.75, 121.6, 120.88, 55.28, 55.08, 54.90, 32.45, 31.84, 26.70, 22.69, 14.18. HRMS (FAB) m/z calcd for C46H52N2O4Br2+[M]+: 854.2293, found 854.2291。
【実施例】
【0229】
[合成例12:化合物18の合成]
【実施例】
【0230】
【化44】
JP2017131190A1_000064t.gif
【実施例】
【0231】
合成例11で得た化合物17(0.4g, 0.4mmol)に対して、トリメチルシリルアセチレン(4.0mmol)、Pd(Ph3)4(10mol%)及びCuI(10mol%)をTHF・ジイソプロピルアミン混合溶媒中で、60℃で20時間反応させた。室温に冷却した反応溶液に水に加えることで反応を停止し、ジクロロメタンを用いて抽出を行い溶媒留去することで目的化合物18の粗生成物を得た。その後、ジクロロメタンを展開溶媒としたクロマトグラフィーを行うことで目的化合物を単離し、目的化合物18が得られたことを1H-NMR、13C-NMR 、FAB-MSで確認した(90%)。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ0.37(s, 18H), 0.84(t, 12H), 1.24-1.33(m, 24H), 1.80-1.84(m, 4H), 2.21-2.28(m, 4H), 5.18 (m, 2H), 8.14(d, J = 7.6 Hz, 2H), 8.81(d, J = 7.6 Hz, 2H), 10.18-10.26(m, 2H). 13C NMR(150MHz, CDCl3) δ164.90, 164.64, 163.82, 163.55, 139.42, 139.12, 138.44, 137.22, 134.53, 124.36, 131.47, 130.60, 128.43, 128.42, 128.00, 127.96, 127.79, 127.79, 124.34, 123.61, 123.03, 122.45, 120.78, 120.20, 107.06, 106.76, 106.39, 106.33, 55.36, 32.89, 32.36, 27.26, 23.20, 14.67, 0.23, 0.09. HRMS (FAB) m/z calcd for C56H70N2O4Si2+[M]+: 890.4874, found 890.4871。
【実施例】
【0232】
[合成例13:化合物19の合成]
【実施例】
【0233】
【化45】
JP2017131190A1_000065t.gif
【実施例】
【0234】
合成例12で得た化合物18(0.15g, 0.1mmol)に対してテトラブチルアンモニウムフルオライド(TBAF; 3.1当量)をジクロロメタン中、0℃で15分反応させ、脱保護を行った。得られた化合物とPtCl2(30mol%)及び1M塩化水素水溶液(20mol%)をトルエン溶媒中で、90℃で12時間反応させた。室温に冷却した反応溶液を溶媒留去することで目的化合物19の粗生成物を得た。その後、クロロホルム/ヘキサン1: 1の混合溶媒を展開溶媒としたクロマトグラフィーを行うことで目的化合物を単離し、目的化合物19が得られたことを1H NMR、13C NMR、 FAB-MSで確認した(12%)。
1H NMR (400MHz, CDCl3) δ0.84(t, 12H), 1.24-1.31(m, 24H), 1.88-1.94(m, 4H), 2.33-2.36(m, 4H), 5.31 (brs, 2H), 8.77(s, 4H), 9.46(s, 4H). 13C NMR (150MHz, CDCl3) δ164.78, 131.67, 129.38, 128.95, 128.88, 122.81, 122.80, 120.04, 55.33, 32.73 32.74, 27.03, 22.82, 14.25. HRMS (FAB) m/z calcd for C50H54N2O4+[M]+: 746.4083, found 746.4081。
【実施例】
【0235】
[実施例13]
【実施例】
【0236】
【化46】
JP2017131190A1_000066t.gif
【実施例】
【0237】
合成例13で得た化合物19(20mg, 0.027mmol)に対して、化合物20(7.1mg, 0.0027mmol)、パラジウム化合物としてPd(OCOCF3)2を2.0当量使用し、銀化合物としてAgSbF6を4.0当量使用し、o-クロラニルを4.0当量使用して、ジクロロエタン中80℃で12時間反応を行った。クロマトグラフィーと金属スカベンジャーを用いて金属を除去したのち、HPLCにより分子量測定を行った。結果を表19に示す。この結果、共重合の場合も反応が進行し、本発明のポリマーを得ることができた。得られたポリマーのIRスペクトルを図13に示す。また、得られたポリマーのUV/Vis吸収スペクトル及び蛍光スペクトルを図14に示す(左側が吸収スペクトル、右側が蛍光スペクトルである)。その結果、350-550nmの位置に吸収バンドを有していることが示唆され、450-700nmの位置に発光バンドを有していることが示唆される。
【実施例】
【0238】
【表19】
JP2017131190A1_000067t.gif
【実施例】
【0239】
[試験例4:グラフェンナノリボンの配列]
試験例2のEntry 2で得られたポリマー(GNR; Mn= 155032, Mw/Mn= 1.20, ca. 300mer, 幅約0.7nm, 長さ約135nm)をグラフェン上に並べた。なお、ポリマーの幅は、試験例2で得られたポリマーにおけるピレン骨格の幅を意味する。具体的には、熱酸化膜付きシリコン基板上に粘着テープによりグラフェンを剥離し、GNRの溶液を20μL滴下した。溶液は0.002mgのGNRを1mLの1,2,4-トリクロロベンゼンに溶かしたものである。溶液を滴下した基板を空気中にて100℃で10分間加熱を行い、液滴を乾燥させた。
【実施例】
【0240】
GNRの溶液を滴下したグラフェン試料表面を、原子間力顕微鏡(AFM)により観察した。表面の観察は、Dimension FastScan AFM(Bruker社製)を用い、タッピングモードにより行った。得られた位相像を図15に示す。図15から、グラフェン上にて選択的にGNRが配向し、リボン幅はおよそ4nmであった。なお、リボン幅は、リボンの中心部分と、隣接するリボンの中心部分との距離を意味する。
【実施例】
【0241】
[試験例5:直流抵抗率の測定]
熱酸化膜付きシリコン基板状に剥離したグラフェンへ微細加工により厚さ60nmの金電極を取り付け、電界効果トランジスタに加工した。このグラフェン上に、上記試験例4と同様の手順により試験例2のEntry 2で得られたポリマー(GNR; Mn= 155032, Mw/Mn= 1.20, ca. 300mer, 幅約0.7nm, 長さ約135nm)の溶液を滴下して乾燥させた。これにより作製したGNR-グラフェン複合体の直流抵抗率の測定を行った。具体的には、試料電極及び基板にSP-0型プローバー(ESSテック社製)を用いて探針を取り付け、10mVの電圧をソース-ドレイン間に印加し、ゲート電圧を-40Vから40Vまで掃引し、抵抗率の変化を測定した。電圧印加及び直流抵抗率の測定には4200-SCS型半導体パラメーター・アナライザー(ケースレーインスツルメンツ社製)を用いた。GNRの溶液滴下前後におけるグラフェン電界効果トランジスタの直流抵抗率の測定結果を図16に示す。
【実施例】
【0242】
図16から、グラフェン電界効果トランジスタは、グラフェン上でGNRを配向させることにより直流抵抗率が上昇した。さらに、GNR配向前のグラフェンの抵抗率は電荷中性点において8kΩであったのに対し、GNR配向後は10kΩであり、電気抵抗率が1.25倍上昇した。このことから、グラフェン表面にGNR分子が配向することにより、電気抵抗率が上昇する材料が得られることが分かった。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6A】
5
【図6B】
6
【図7】
7
【図8】
8
【図9】
9
【図10】
10
【図11】
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【図12】
12
【図13】
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【図14】
14
【図15】
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【図16】
16