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明細書 :アンチモン含有排水の浄化方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4868411号 (P4868411)
公開番号 特開2009-072670 (P2009-072670A)
登録日 平成23年11月25日(2011.11.25)
発行日 平成24年2月1日(2012.2.1)
公開日 平成21年4月9日(2009.4.9)
発明の名称または考案の名称 アンチモン含有排水の浄化方法
国際特許分類 C02F   1/28        (2006.01)
B01D  21/01        (2006.01)
C02F   1/52        (2006.01)
C02F   1/56        (2006.01)
B01J  20/06        (2006.01)
FI C02F 1/28 ZABB
B01D 21/01 102
B01D 21/01 105
C02F 1/52 K
C02F 1/56 K
B01J 20/06 A
請求項の数または発明の数 6
全頁数 10
出願番号 特願2007-242581 (P2007-242581)
出願日 平成19年9月19日(2007.9.19)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2007年3月29日 社団法人 資源・素材学会発行の「春季大会講演集 2007年 (2)素材編」に発表
審査請求日 平成22年6月14日(2010.6.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000227250
【氏名又は名称】日鉄鉱業株式会社
【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
【識別番号】000224787
【氏名又は名称】DOWAテクノエンジ株式会社
【識別番号】504117958
【氏名又は名称】独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構
発明者または考案者 【氏名】谷村 裕次
【氏名】上岡 洋介
【氏名】藤田 豊久
【氏名】松嶋 英治
【氏名】小坂 邦夫
【氏名】橋本 晃一
【氏名】浅野 英郎
【氏名】増田 信行
個別代理人の代理人 【識別番号】100108741、【弁理士】、【氏名又は名称】渡邉 順之
審査官 【審査官】山本 吾一
参考文献・文献 特開平08-080490(JP,A)
特開昭63-236592(JP,A)
特開平10-290986(JP,A)
特開平11-010170(JP,A)
特開2003-334542(JP,A)
特開2003-181281(JP,A)
特開2005-270933(JP,A)
特開2007-117923(JP,A)
河田諭ら,坑廃水中のアンチモンの吸着除去の検討,資源・素材,日本,2006年,p.27-28
調査した分野 C02F 1/00
B01D 21/00
B01J 20/00
JSTPlus(JDreamII)
CAplus(STN)


特許請求の範囲 【請求項1】
アンチモンを含む排水に、無機凝集剤を混合し、中和し、次いで凝集沈殿によって沈降分離し、上澄水を、親水性で、かつ強酸性領域で溶解しない高分子物質で結合した水酸化第2鉄吸着剤を充填したカラムに通水して、アンチモンを含むイオンを分離することを特徴とするアンチモン含有排水の浄化方法。
【請求項2】
無機凝集剤が、第2鉄化合物である請求項1に記載のアンチモン含有排水の浄化方法。
【請求項3】
第2鉄化合物が、硫酸第2鉄、塩化第2鉄、ポリ硫酸第2鉄である請求項2に記載のアンチモン含有排水の浄化方法。
【請求項4】
中和後のpHが7~8である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のアンチモン含有排水の浄化方法。
【請求項5】
中和後、高分子凝集剤を混合し、次いで凝集沈殿によって沈降分離する請求項1ないし4に記載のいずれか1項に記載のアンチモン含有排水の浄化方法。
【請求項6】
アンチモンを含む排水中のアンチモン濃度が0.5~100ppmである請求項1ないし5のいずれか1項に記載のアンチモン含有排水の浄化方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチモンを含む排水からアンチモンを含むイオンを分離するアンチモン含有排水の浄化方法に関する。
より詳しくは、アンチモンを採掘した休廃止鉱山内の坑内水が流れ込む水量の少ない支流等の河川水には、微量のアンチモンを含む水があり、またアンチモン化合物を製造あるいは使用している無機顔料製造工場、無機触媒製造工場、あるいは染色工場等からの排水中にもアンチモンが含有されており、それら排水からアンチモンを分離するアンチモン含有排水の浄化方法に関する。

【背景技術】
【0002】
我が国には過去にアンチモンを採掘した鉱山がいくつもあり、その休廃止鉱山内で湧出する坑内水に染み込んだ雨水が地下水となって流れ込む水量の少ない支流の河川ではアンチモンを含む排水がある。
また、無機顔料製造工場、無機触媒製造工場、あるいは染色工場等では、アンチモン化合物が製造原料、触媒あるいは製品等として使用されており、これら工場から排出される排水中にもアンチモンが含有されている。
【0003】

【特許文献1】特開昭61-291094号公報
【特許文献2】特開昭63-236592号公報
【特許文献3】特開平8-80490号公報
【特許文献4】特開平10-290986号公報
【特許文献5】特開平11-77039号公報
【特許文献6】特開2000-117268号公報
【特許文献7】特許第2899697号明細書
【特許文献8】特許第3513754号明細書
【特許文献9】特開2005-270933号公報
【0004】
このアンチモン(Sb)は環境汚染物質であり、これを含有する排水は環境汚染防止の観点から浄化処理することが要望されており、このアンチモンは既に要監視項目に指定されていて、指針値0.02mg/Lも定められている。
本発明においては、アンチモンを含む排水とは、水中にアンチモンが溶存した状態で排出又は放出される水をいうが、このアンチモンは、水中では亜アンチモン酸イオン(SbO2-)、又はアンチモン酸イオン(SbO3-)の形態で存在するとされている(特許文献7参照)。
【0005】
このアンチモンの分離・除去処理には鉄塩等の無機凝集剤、典型的には塩化第2鉄を添加し、次いで中和処理することにより、アンチモンを沈降分離する凝集沈殿法が広く知られている(特許文献1、2、3及び4参照)が、この方法では1ppm程度の濃度までしかアンチモンを低減できないとされている(特許文献5参照)。
また、この方法により、アンチモン濃度をより低減しようとすると凝集剤及び中和剤を多量に使用し、その結果多量のスラッジを生成することになり、そのスラッジ処理に多大のコストと労力を要することになるが(特許文献4、5、6参照)、それでも充分に満足することができるほどアンチモン濃度を低減することは困難であるとされている(特許文献5参照)。

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そのようなことから、凝集沈殿法により達成できるアンチモン濃度の1/10である0.1ppm未満に低減する方法(特許文献5、6参照)、あるいはそれより更に一桁低い指針値(0.02ppm)未満に低減する方法も既に提案されている(特許文献7及び8参照)。
本発明者は、各種重金属排水処理を手掛けていることから、このような現状に鑑み、アンチモン濃度を0.1ppm未満に簡便に低減できる処理方法の開発に鋭意努めた。
【0007】
すなわち、本発明者は、アンチモンを含む排水からアンチモン濃度を0.1ppm未満に低減できる簡便、かつ低コストで、しかも処理後生成する廃棄物量を少量化でき、かつその処理の簡便化を達成できる方法を開発すべく鋭意研究開発に努め、その結果開発に成功したのが本発明である。
したがって、本発明は、アンチモン濃度を0.1ppm未満に低減できる、簡便、かつ低コストで、しかも処理後に生成する廃棄物量が少量化でき、かつその簡便化を達成できる方法を開発することを発明の解決すべき課題、すなわち目的とするものである。

【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は前記課題を達成するためのアンチモン含有排水の浄化方法を提供するものであり、その方法は、アンチモンを含む排水に、無機凝集剤を混合し、中和し、次いで凝集沈殿によって沈降分離し、上澄水を、親水性で、かつ強酸性領域で溶解しない高分子物質で結合した水酸化第2鉄吸着剤を充填したカラムに通水して、アンチモンを含むイオンを分離することを特徴とするものである。
【0009】
そして、本発明の浄化方法は以下のことが好ましい。
(1)無機凝集剤が、第2鉄化合物であること。
(2)第2鉄化合物が、硫酸第2鉄、塩化第2鉄又はポリ硫酸第2鉄であること。
(3)中和後pHが7~8であること。
(4)中和後、高分子凝集剤を混合し、次いで凝集沈殿によって沈降分離すること。
(5)アンチモンを含む排水中のアンチモン濃度が0.5~100ppmであること。

【発明の効果】
【0010】
本発明の浄化方法は、以下に記載の卓越した作用効果をまず奏することができる。
(1)本発明の浄化方法では、アンチモンは、凝集沈殿によって沈降分離後に、高分子物質で結合した水酸化第2鉄吸着剤を充填したカラムに通水して分離される。
その結果、アンチモンは、凝集沈殿による沈降分離と、水酸化第2鉄吸着剤による吸着の2段階で分離されることになり、そのため図2に図示する従来技術の1段でアンチモン濃度を低減せしめる場合に比し、凝集剤及び中和剤の使用量を低減することができ、かつスラッジの生成量も低下させることができる。
なお、図2における記号については、図1の同一の装置は図1と共通ものを使用し、図1に存在しないもの関してのみ別の記号を付した。
【0011】
そして、本発明の浄化方法は、更に以下の卓越した作用効果を奏することができる。
(2)アンチモンを吸着した吸着剤はカラム内に充填保持されているので、簡便に再生使用することが可能である。
(3)また、再生せずに廃棄処理する場合にも、吸着剤は水酸化第2鉄で、特段毒性が問題となる物質でもなく、かつアンチモンは吸着剤にしっかり保持されていて溶出することもないので、特段の配慮は必要ない。
(4)さらに、凝集剤にアンチモン含有排水処理の際の典型的な凝集剤である塩化第2鉄等の鉄系凝集剤を使用した場合には、凝集剤が吸着剤のカラムに流入して吸着された場合にも凝集剤と同じ鉄系化合物であることから、その廃棄処理に特段の配慮を必要としない。

【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下において、本発明について発明を実施するための最良の形態を含む実施の形態に関し詳述するが、本発明は、この実施の形態によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
本発明者のうちの谷村、藤田は、水酸化第2鉄を用いた陰イオン用吸着材の研究開発(特許文献9参照)を進めており、その過程において水酸化第2鉄が強酸性下において、砒素含有イオンを選択的に吸着できる吸着剤を開発し(特願2007-46875)、それがアンチモンの吸着分離にも好適に利用できることを本発明者は見出し、その知見を利用して開発に成功したのが本発明である。
【0013】
本発明の最良の形態を含む実施の形態に関し、図1に図示するプロセスを用いて以下において詳述する。
アンチモンを含む排水は外部から原排水槽1に送液され、ここに貯留され、その後凝集剤混合・中和槽2の一端に送液され、この凝集剤混合・中和槽2で排水が一端から他端に移動するようになっている。
【0014】
タンク5からの凝集剤と、タンク6からの水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのアルカリ液とは、前記混合・中和槽2の一端側に添加され、排水は他端側に移動しながらそれらと混合され中和されるが、その際には他端側において必要によりタンク7から高分子凝集剤が添加、混合される。
前記凝集剤混合・中和槽2の他端に到達して中和されたアンチモンを含む排水は上部から流出し、沈降槽3に送液され、中和された排水中に含有される各種重金属は水酸化物を形成し沈降槽3内で沈降する。
【0015】
沈降分離した水酸化物のスラッジを含有する排水は沈降槽3下部から排出され、脱水用供給槽12に送液され、その後フィルタープレス13等の固液分離装置に供給され、固液分離され、分離後の分離排水は濾液受槽11を介して前記凝集剤混合・中和槽2の一端に循環される。
前記沈降槽3の上部に存在する上澄水はそこから排出され、吸着塔4に供給されて、沈降槽3でスラッジとして分離されなかった残る微量のアンチモンは吸着剤で吸着分離され、吸着塔4を通過した上澄水は放流水槽14を経て放出される。
【0016】
本発明において使用する吸着剤は、本発明者が開発したところの前記した強酸性下において砒素含有イオンを選択的に吸着できる吸着剤であり、それは水酸化第2鉄粉を、適切なバインダーを用いて粒状化させたものであり、それに関し以下において詳述する。
その水酸化第2鉄粉としては、第2鉄イオン溶液にアルカリ剤好ましくは水酸化ナトリウムを加えてpH4~8に中和することによって得られる沈澱生成物を60~100℃で乾燥させて得られた微結晶質の水酸化第2鉄粉が好ましい。
【0017】
この製造の際に使用する第2鉄イオン溶液は、特段制限されることなく各種のものが使用でき、それには市販の塩化第二鉄液、硫酸第二鉄液、硝酸第二鉄液又はポリ硫酸第二鉄液が例示できる。
さらに、2価の鉄イオン、例えば塩化第一鉄、硫酸第一鉄又は硝酸第一鉄も酸化することにより使用でき、その場合には、これを過酸化水素等の適宜の酸化剤によって酸化して第二鉄溶液とした後使用すればよい。
【0018】
得られた水酸化第2鉄微粉を粒状化させる際に使用する結合剤、すなわちバインダーとしては、親水性で強い酸性域では溶解しないものであればよい。
天然物としては澱粉、アラビアゴム等、半合成品としてはカルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、リグニンスルホン酸塩類等、合成品としてはポリビニルアルコール(PVA)、スチレンーアクリル共重合物等が挙げられる。
【0019】
その粒状の形状については、吸着剤をカラム(塔)内に充填し、その塔内に被処理水を通過させることにより、被処理水からアンチモン含有イオンを吸着分離するのが水処理上効率的であることから、塔内に充填でき、その塔内に被処理水を通過させる際の圧力損失が低い形状のものが好ましい。
前記のとおりのものであれば形状は特段制約されることはなく、それには球形、立方体、柱状体、中が空洞となった柱状体等種々の形体が例示でき、その径は直径0.5~10mm程度が好ましく、短径、長径がある場合には、それぞれ1~5mm、2~10mm程度であるのが好ましい。
【0020】
本発明における浄化処理対象となるアンチモンを含む排水については、アンチモンを採掘した休廃止鉱山内の坑内水が流れ込む水量の少ない支流等の微量のアンチモンを含む河川水、またアンチモン化合物を製造あるいは使用している無機顔料製造工場、無機触媒製造工場、あるいは染色工場等から排出されるアンチモンを含有する排水が該当する。
それらの排水中のアンチモン濃度は本発明の浄化方法によりアンチモンが分離・除去可能な程度の濃度であればよく、具体的には0.5ppm以上の濃度であればよく、好ましくは0.5~10ppm程度がよい。
【0021】
これらのアンチモンを含む排水は、通常酸性のことが多いが、中性あるいはアルカリ性であってもよく、本発明では、これらの排水にまず無機凝集剤が混合される。
その際には、凝集剤が酸性のため、凝集剤添加後は原排水が中性あるいはアルカリ性の場合にも酸性化するので、中和剤により中和処理を行うことになる。
その中和剤は特に制限されることなく各種アルカリ剤が使用できるが、それには水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウムあるいは水酸化マグネシウム等が例示でき、固体のまま、あるいは液剤化した後に使用の何れでもよいが、後者が好ましい。
【0022】
これらのアンチモンを含む排水と、無機凝集剤及び中和剤との混合には、図1に図示した区画のある混合・中和槽を用いるのが排水を移動しながら両剤を順次添加混合できるので好ましいが、アンチモンを含む排水に両剤を混合できるものであれば特に制限されることはない。
例えば、排水を区画のない単一の槽内に貯留し、その槽内で両剤を同時にあるいは順次添加して混合してもよく、さらに混合槽と中和槽とは別途設置して、それぞれの槽内で順次添加混合してもよい。
【0023】
中和後のスラッジを分離する沈降槽3には各種形状、構造のものが特に制限されることなく使用でき、それには横流式沈降槽、周辺駆動式円形沈降槽あるいは傾斜板挿入沈降槽等が例示できる。 次いで、その沈降槽3下部から排出されたスラッジは、フィルタープレス等の固液分離装置で固液分離されるが、その固液分離装置は特に制限されることなく各種のものが使用できる。
その分離装置には、フィルタープレス、真空濾過器、ベルトプレス、スクリュープレス、遠心脱水機あるいは多重円盤形脱水機等が例示できるが、含水率低下の点でフィルタープレスが好ましい。
【0024】
沈降槽3の上部から排出された上澄水は、吸着塔4に供給され、そこで残留した微量のアンチモンが吸着分離されるが、その吸着塔については、特に制限されることなく各種構造あるいは形状のものが特に制限されることなく使用可能である。
その吸着塔としては、固定床式、移動床式、流動床式、あるいは固定床多段吸着方式等が例示できるが、構造及び処理操作が簡単な点で固定床式が好ましい。
なお、図1には、原排水槽1、無機系凝集剤貯槽5、濾液受槽11、脱水用供給槽12及び放流水槽14が図示されており、これらを設置することは好ましいが、それらは別段設ける必要は無く、必要性に応じ省略しても勿論よい。
【0025】
本発明においては、浄化処理後はアンチモン濃度を0.1ppm未満にするのが好ましい。
また、アンチモンを吸着した吸着剤については、脱着処理により再生し、再度吸着処理に利用することができるが、現状では、再生コスト及び溶離液の処理の点で、そのまま廃棄処理するのが現実的である。
なお、脱着処理には、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム等を用いることができる。
さらにいえば、原排水には、アンチモンの吸着を阻害しない限り、非金属イオンが同時に含有されていてもよく、例えばSO4イオン、Clイオン、その他のイオンを含有する場合についてもその濃度が特段限定されることはない。

【実施例1】
【0026】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこの実施例によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
まず、本発明の実施例で使用する吸着材の製造例を示す。さらに、無機凝集剤を用いて沈降分離する例、及び無機凝集剤と吸着剤とを用いる例を示す。
なお、前記した無機凝集剤と吸着剤とを用いる例が本発明の実施例に該当するものであり、無機凝集剤を用いて沈降分離する例は比較例に該当することになる。
【0027】
[吸着材の製造例]
4wt%の塩化第2鉄溶液に50w%の水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pH7に中和し、水酸化第2鉄として沈殿した沈殿物を5B濾紙で濾別した。
この水酸化第2鉄沈殿物には中和の際に発生した塩化ナトリウムが含まれるため、水で洗浄し、乾燥機で60℃、48時間乾燥させ、乾燥後に水酸化第2鉄を数mmから数十mmの固形物として得た。
【0028】
この固形の水酸化第2鉄を振動ミルで数十μmに粉砕し、粉末状にした。
水酸化鉄粉末を造粒するために乾燥重量として7%のスチレン-アクリル共重合体バインダーを水酸化鉄粉末と混合し、押出造粒器を用いて直径2mmに造粒した。
これをパンペレタイザーにて成形し水酸化鉄ペレットを得、これを乾燥機で60℃、24時間乾燥させたものを吸着剤として用いた。
【0029】
[無機凝集剤を用いた沈降分離例]
試薬SbCl5をイオン交換水に溶解してSb(V)濃度2.2mg/Lの模擬排水を調製した。
この模擬排水1Lに対して無機凝集剤として塩化第2鉄(FeCl3)溶液を100mg/L~400mg/Lの間で、表1に示すように50mg/Lずつ増加して添加した試料を調製し、各試料に濃度10%のNaOHを用いてpHを6.9~7.1に調整した。
次いで、各試料を30分攪拌後、アニオン系高分子凝集剤2mg/L添加し、その後2分間緩速攪拌し静置後、上澄水をサンプリングし、0.45μmのシリンジフィルターで濾過し、Sb濃度を分析した。
【0030】
その結果は表1に示すとおりであり、この結果によれば、該凝集沈殿処理だけで、Sb排水基準値に設定される可能性がある、0.2mg/L以下を達成するには、無機凝集剤である塩化第2鉄を用いる場合には、その使用量は300mg/L以上必要であることが判る。
また、各試料の凝集沈殿物を0.45μmのシリンジフィルターで全量濾過し、得られた固形物を100℃で一昼夜乾燥した後、その重量を測定し、その結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
JP0004868411B2_000002t.gif

【0032】
[無機凝集剤と吸着剤とを用いた例]
無機凝集剤を用いた沈降分離例の場合と同様に塩化第2鉄を用いて凝集沈殿処理をするが、その使用量を150mg/Lとし、それを添加して凝集沈殿処理し、処理後の上澄水(Sb濃度:0.45mg/L)を500L作製した(以下、「吸着原水」という)。
直径25mmのガラス製カラムに前記した「吸着材の製造例」で作製した吸着剤100mL充填し、これに吸着原水を500mL/hの速度で通水して、通水前と通水後のSb濃度を測定した。
【0033】
その結果を図3に示すが、その図から吸着原水を通水開始後約100時間まではSb濃度0.1mg/L以下に低減でき、さらに500時間までは処理水は排水基準値に設定される可能性がある0.2mg/L以下に吸着処理できることがわかった。
これらの結果から、無機凝集剤と吸着剤とを用いた場合には、無機凝集剤を用いた沈降分離の場合と比較して、前段階(凝集沈殿処理の段階)で用いる無機凝集剤の使用量はSbの排水基準値に設定される可能性がある0.2mg/L以下を達成する場合で1/2以下、Sbの環境基準値に設定される可能性がある0.02mg/L以下を達成する場合で約1/3程度に低減できることがわかる。
その結果、中和剤として用いるNaOH量及び汚泥発生量の大幅に低減できることもわかる。

【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明処理方法の好ましい態様を図示する。
【図2】従来における処理方法を図示する。
【図3】「無機凝集剤と吸着剤とを用いた例」、すなわち本発明の実施例における、「吸着原水」の吸着剤への通水前と通水後のSb濃度を測定した結果を示す図。
【符号の説明】
【0035】
1 原排水槽
2 凝集剤混合・中和槽
3 沈降槽
4 吸着塔
5 タンク
6 タンク
7 タンク
8 砂濾過槽
9 逆洗排水槽
11 濾液受槽
12 脱水用供給槽
13 フィルタープレス
14 放流水槽
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2