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明細書 :カテコールセグメントを含むブロック共重合体及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子、並びに、カテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6270179号 (P6270179)
登録日 平成30年1月12日(2018.1.12)
発行日 平成30年1月31日(2018.1.31)
発明の名称または考案の名称 カテコールセグメントを含むブロック共重合体及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子、並びに、カテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子の製造方法
国際特許分類 C08F 293/00        (2006.01)
C08F   2/38        (2006.01)
C08F   8/00        (2006.01)
C09C   1/00        (2006.01)
FI C08F 293/00
C08F 2/38
C08F 8/00
C09C 1/00
請求項の数または発明の数 10
全頁数 37
出願番号 特願2016-505316 (P2016-505316)
出願日 平成27年2月27日(2015.2.27)
国際出願番号 PCT/JP2015/055769
国際公開番号 WO2015/129846
国際公開日 平成27年9月3日(2015.9.3)
優先権出願番号 2014039963
優先日 平成26年2月28日(2014.2.28)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年9月8日(2016.9.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】国立研究開発法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】藪 浩
【氏名】齊藤 祐太
個別代理人の代理人 【識別番号】100167689、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 征二
審査官 【審査官】藤本 保
参考文献・文献 特開2014-221868(JP,A)
特表2009-504852(JP,A)
国際公開第2007/127225(WO,A2)
特表2010-501027(JP,A)
調査した分野 C08F293/00
C08F2/38
C08F8/00-8/50
C08L53/00
C09C1/00-1/68
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)で表されるカテコールセグメントを含むブロック共重合体。
【化1】
JP0006270179B2_000025t.gif
(式中、R1は炭素数1~18の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計数3~18の1価の複素環式基を示す。前記R1の炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基、合計数3~18の1価の複素環式基の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。Zは水素原子、塩素原子、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基、炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~20の1価の複素環式基、-OH、-SR7、—N(R72、—OC(=O)R7、-C(=O)OR7、-C(=O)N(R72、-P(=O)(OR72、または-P(=O)(R72を示す。上記R7は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の1価芳香族炭化水素基、炭素原子と異項原子との合計数3~20の1価の複素環式基、-OR’、-SR’、-N(R’)2または重合体鎖を有する1価の基を示す。各R’は炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~18の1価の複素環式基を示す。上記Zの炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素、合計原子数3~20の1価の複素環式基、カルボキシル基、R7の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。nは3~1000の整数、mは3~1000の整数、tは3~1000の整数を表すが、n及びtの一方は含まれていなくてもよい。Rは炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表すが、含まれていなくてもよい。R8は、H又はR3を示し、R9はH又はR4を示す。R3及びR4は保護基を示す。R8+R9のHの割合は60%以上である。R5は、H又はCH3を示し、R6も、H又はCH3を示す。)
【請求項2】
前記R8及びR9が、Hである請求項1に記載のブロック共重合体。
【請求項3】
前記n、m、tが、m/(n+t)≦1である請求項1又は2に記載のブロック共重合体。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載のブロック共重合体で被覆されている無機ナノ粒子。
【請求項5】
請求項4に記載の無機ナノ粒子が有機溶媒に分散している液体組成物。
【請求項6】
請求項4に記載の無機ナノ粒子を含むフィルム。
【請求項7】
下記式(2)で表される付加解裂型連鎖移動反応(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer)に用いられる化合物を含む有機溶媒下で、
(a)下記式(3)で表されるラジカル重合可能な疎水性ビニル系モノマーをリビングラジカル重合させる工程、
(b)下記式(4)で表されるラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビングラジカル重合させる工程、
(c)得られたリビングポリマーのR3及びR4を脱保護し、ヒドロキシ基を形成する工程、
を含むカテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法。
【化2】
JP0006270179B2_000026t.gif
(式中、R1は炭素数1~18の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計数3~18の1価の複素環式基を示す。前記R1の炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基、合計数3~18の1価の複素環式基の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。Zは水素原子、塩素原子、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基、炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~20の1価の複素環式基、-OH、-SR7、—N(R72、—OC(=O)R7、-C(=O)OR7、-C(=O)N(R72、-P(=O)(OR72、または-P(=O)(R72を示す。上記R7は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の1価芳香族炭化水素基、炭素原子と異項原子との合計数3~20の1価の複素環式基、-OR’、-SR’、-N(R’)2または重合体鎖を有する1価の基を示す。各R’は炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~18の1価の複素環式基を示す。上記Zの炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素、合計原子数3~20の1価の複素環式基、カルボキシル基、R7の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。)
【化3】
JP0006270179B2_000027t.gif
(式中、R2は、炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。R5は、H又はCH3を示す。)
【化4】
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(式中、R3及びR4は、保護基を表す。R6は、H又はCH3を示す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表すが、含まれていなくてもよい。)
【請求項8】
前記(b)工程と前記(c)工程の間に、前記(a)工程を再度実施する請求項7に記載のカテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法。
【請求項9】
前記(a)工程及び前記(b)工程の順序を入れ替える請求項7に記載のカテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法。
【請求項10】
請求項7~9の何れか一項に記載のカテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法の後に、
(d)無機塩又は無機塩を溶解した溶液を添加する工程、
を更に含むカテコールセグメントを含むブロック共重合体で被覆されている無機ナノ粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、カテコールセグメントを含むブロック共重合体及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子、並びに、カテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子の製造方法に関する。従来は、有機溶媒に金属、半導体化合物等の無機ナノ粒子を分散できるようにするため無機ナノ粒子を樹脂で被覆してきたが、本発明は、樹脂で被覆された金属、半導体化合物等の無機ナノ粒子を製造する際に用いられてきた還元剤を使用することなく、樹脂で被覆された無機ナノ粒子を製造することができるカテコールセグメントを含むブロック共重合体及び該共重合体の製造方法、並びに、該共重合体で被覆された無機ナノ粒子及び該無機ナノ粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、科学技術における高精度・高密度・小型・軽量化が求められる中で、ナノ粒子は、量子サイズ効果、比表面積の増大等のため、バルクとは異なった物理的・化学的特性を示すことが知られており、例えば、溶融温度・焼成温度の大幅な低下、蛍光発光、触媒の高効率化・新規反応を示すことが挙げられる。そのため、ナノ粒子は、二次電池・燃料電池用材料、蛍光材料、電子部品材料、磁気記録材料、磁性流体、セラミックスのナノ構造改質剤、薄膜合成、コーティング材、センサー、研摩材料、顔料、化粧品材料、ドラッグデリバリー、新規造影剤、蛍光標識、人工組織などの技術分野への応用が期待されている。
【0003】
しかしながら、金属や半導体あるいは酸化物などの無機微粒子のサイズがナノ領域になってくると、凝集し易くなることが知られている。また、無機ナノ粒子は基本的に親水性であるので有機溶媒には分散しにくいことも知られている。そのため、上記技術分野へ無機ナノ粒子を応用するためには、有機溶媒中への無機ナノ粒子の分散が課題となっている。
【0004】
無機ナノ粒子を有機溶媒に分散するための技術としては、ポリ(スチレン-ブロック-2-ビニルピリジン)(Poly(styrene-b-2-vinylpyridine))をトルエンに添加して逆ミセルを形成し、次いで、塩化金酸(HAuCl4)を添加した後でヒドラジン(N24)を添加して金イオンを還元することで、ポリ(スチレン-ブロック-2-ビニルピリジン)で被覆された金ナノ粒子を製造することが知られている(非特許文献1参照)。
【0005】
また、チオール末端ポリスチレン(Thiol terminated polystyrene)の溶媒に塩化金酸(HAuCl4)を添加した後で、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を添加して金イオンを還元することで、チオール末端ポリスチレンで被覆された金ナノ粒子を製造することが知られている(非特許文献2参照)。
【0006】
また、磁性ナノ粒子と配位結合できるカテコール骨格を有する分散剤を用いて、磁性ナノ粒子を分散することも知られている(特許文献1参照)。
【0007】
ところで、カテコール基は、還元剤を用いずに金属イオンを還元し、粒子化できることが知られている(非特許文献3参照)。カテコール基の還元能を利用して金属イオンを還元することができる樹脂としては、例えば、3,4-ヒドロキシスチレンモノマーとスチレンモノマーをランダム共重合した樹脂が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2008-111703号公報
【特許文献2】国際公開第2007/127225号
【0009】

【非特許文献1】J.P.Spatz, et al., Langmuir, 16, 407 (2000)
【非特許文献2】M. Brust, et al., J.Chem.Soc.Chem.Commn., 801 (1994)
【非特許文献3】Ball, et al., J.Colloids and Interf. Sci.,2011,364,359-365
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非特許文献1及び2に記載されている方法は、還元剤を添加することで、金イオンを還元してナノ粒子化している。しかしながら、還元剤を添加する方法では、副産物も生成されることから精製工程が必要となり、製造工程が煩雑化するとともに、収率も低下するという問題がある。また、特許文献1に記載されているのは水分散性の磁性粒子であり、有機溶媒に分散することができないという問題がある。更に、特許文献2に記載されている共重合体を用いて金属イオンを還元してナノ粒子を作製しても、粒子のサイズが揃わないという問題がある。その為、実際の製品に応用すると、製品毎の品質にバラツキが生じてしまうという問題がある。
【0011】
本発明は上記問題点を解決するために、鋭意研究を行ってなされた発明であるところ、
(1)親水性のカテコール基と疎水性のスチレン基がランダム共重合した共重合体は、無機イオンを還元する際に必要な逆ミセルのサイズを制御することができず、その結果、無機イオンを還元して得られる無機ナノ粒子のサイズがばらついてしまうこと、及び、
(2)下記式(1)に示すカテコールセグメントと疎水性のセグメントを含むブロック共重合体を用いると、
(i)カテコールセグメントと疎水性のセグメントの比率を調整することで逆ミセルのサイズを制御することができ、その結果、無機ナノ粒子のサイズも制御できること、
(ii)カテコール基で無機イオンを還元することから、還元剤の精製工程が不要で、生産性が向上すること、
を新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
【化1】
JP0006270179B2_000002t.gif
(式中、R1は炭素数1~18の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計数3~18の1価の複素環式基を示す。前記R1の炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基、合計数3~18の1価の複素環式基の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。Zは水素原子、塩素原子、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基、炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~20の1価の複素環式基、-OH、-SR7、—N(R72、—OC(=O)R7、-C(=O)OR7、-C(=O)N(R72、-P(=O)(OR72、または-P(=O)(R72を示す。上記R7は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の1価芳香族炭化水素基、炭素原子と異項原子との合計数3~20の1価の複素環式基、-OR’、-SR’、-N(R’)2または重合体鎖を有する1価の基を示す。各R’は炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~18の1価の複素環式基を示す。上記Zの炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素、合計原子数3~20の1価の複素環式基、カルボキシル基、R7の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。nは3~1000の整数、mは3~1000の整数、tは3~1000の整数を表すが、n及びtの一方は含まれていなくてもよい。Rは炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表すが、含まれていなくてもよい。R8は、H又はR3を示し、R9はH又はR4を示す。R3及びR4は保護基を示す。R8+R9のHの割合は60%以上である。R5は、H又はCH3を示す。R6も、H又はCH3を示す。)
【0013】
すなわち、本発明の目的は、カテコールセグメントを含むブロック共重合体及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子、並びに、カテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、以下に示す、カテコールセグメントを含むブロック共重合体及び該ブロック共重合体で被覆された粒子径のそろった無機ナノ粒子、並びに、カテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子の製造方法に関する。
【0015】
(1)下記式(1)で表されるカテコールセグメントを含むブロック共重合体。
【化2】
JP0006270179B2_000003t.gif
(式中、R1は炭素数1~18の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計数3~18の1価の複素環式基を示す。前記R1の炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基、合計数3~18の1価の複素環式基の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。Zは水素原子、塩素原子、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基、炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~20の1価の複素環式基、-OH、-SR7、—N(R72、—OC(=O)R7、-C(=O)OR7、-C(=O)N(R72、-P(=O)(OR72、または-P(=O)(R72を示す。上記R7は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の1価芳香族炭化水素基、炭素原子と異項原子との合計数3~20の1価の複素環式基、-OR’、-SR’、-N(R’)2または重合体鎖を有する1価の基を示す。各R’は炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~18の1価の複素環式基を示す。上記Zの炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素、合計原子数3~20の1価の複素環式基、カルボキシル基、R7の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。nは3~1000の整数、mは3~1000の整数、tは3~1000の整数を表すが、n及びtの一方は含まれていなくてもよい。Rは炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表すが、含まれていなくてもよい。R8は、H又はR3を示し、R9はH又はR4を示す。R3及びR4は保護基を示す。R8+R9のHの割合は60%以上である。R5は、H又はCH3を示し、R6も、H又はCH3を示す。)
(2)前記R8及びR9が、Hである請求項1に記載のブロック共重合体。
(3)前記n、m、tが、m/(n+t)≦1である上記(1)に記載のブロック共重合体。
(4)上記(1)~(3)の何れか一に記載のブロック共重合体で被覆されている無機ナノ粒子。
(5)上記(4)に記載の無機ナノ粒子が有機溶媒に分散している液体組成物。
(6)上記(4)に記載の無機ナノ粒子を含むフィルム。
(7)下記式(2)で表される付加解裂型連鎖移動反応(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer)に用いられる化合物を含む有機溶媒下で、
(a)下記式(3)で表されるラジカル重合可能な疎水性ビニル系モノマーをリビングラジカル重合させる工程、
(b)下記式(4)で表されるラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビングラジカル重合させる工程、
(c)得られたリビングポリマーのR3及びR4を脱保護し、ヒドロキシ基を形成する工程、
を含むカテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法。
【化3】
JP0006270179B2_000004t.gif
(式中、R1は炭素数1~18の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計数3~18の1価の複素環式基を示す。前記R1の炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基、合計数3~18の1価の複素環式基の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。Zは水素原子、塩素原子、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基、炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~20の1価の複素環式基、-OH、-SR7、—N(R72、—OC(=O)R7、-C(=O)OR7、-C(=O)N(R72、-P(=O)(OR72、または-P(=O)(R72を示す。上記R7は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の1価芳香族炭化水素基、炭素原子と異項原子との合計数3~20の1価の複素環式基、-OR’、-SR’、-N(R’)2または重合体鎖を有する1価の基を示す。各R’は炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~18の1価の複素環式基を示す。上記Zの炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素、合計原子数3~20の1価の複素環式基、カルボキシル基、R7の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。)
【化4】
JP0006270179B2_000005t.gif
(式中、R2は、炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、又は炭素数7~20のアラルキル基を表す。Xは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。R5は、H又はCH3を示す。)
【化5】
JP0006270179B2_000006t.gif
(式中、R3及びR4は、保護基を表す。R6は、H又はCH3を示す。Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表すが、含まれていなくてもよい。)
(8)前記(b)工程と前記(c)工程の間に、前記(a)工程を再度実施する上記(7)に記載のカテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法。
(9)前記(a)工程及び前記(b)工程の順序を入れ替える上記(7)に記載のカテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法。
(10)上記(7)~(9)の何れか一に記載のカテコールセグメントを含むブロック共重合体の製造方法の後に、
(d)無機塩又は無機塩を溶解した溶液を添加する工程、
を更に含むカテコールセグメントを含むブロック共重合体で被覆されている無機ナノ粒子の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカテコールセグメントを含むブロック共重合体は、カテコールセグメントと疎水性のセグメントの比率を調整することで逆ミセルのサイズを制御することができ、その結果、サイズ制御されることで粒子径のそろった有機溶媒に分散する無機ナノ粒子を得ることができる。
また、本発明のブロック共重合体は、カテコール基で無機イオンを還元して粒子化できるので、還元剤を用いる必要は無い。したがって、還元剤添加による副生成物が生産されることが無いので精製工程が不要となり、粒子径のそろった副生成物のないきれいな無機ナノ粒子溶媒液を得ることができる。本発明は、収率の向上及び製造工程が簡略化できるので、生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、実施例1で合成したブロック共重合体のNMR測定結果を示している。
【図2】図2は、実施例3で作製したAgナノ粒子のUV-Visの測定結果及び再分散溶液を示している。
【図3】図3は、図面代用写真で、図3Aは実施例3で作製したAgナノ粒子のTEMにより撮像した写真で、図3Bは、図3Aを更に拡大した写真である。
【図4】図4は、実施例3で作製したAgナノ粒子の再分散溶液中のミセルの粒径分布を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例4で作製したAg/Auナノ粒子のUV-Visの測定結果及び再分散溶液を示している。
【図6】図6は、図面代用写真で、実施例4で作製したAg/Auナノ粒子のTEMにより撮像した写真である。
【図7】図7は、図面代用写真で、図7Aは実施例10、図7Bは実施例8、図7Cは実施例9で作製した銀ナノ粒子を分散させた粒子の写真及びTEM像を表す。
【図8】図8は、実施例8~10で作製した分散液のUV-Vis測定結果を表す。
【図9】図9は、実施例8~10で作製した銀ナノ粒子の測定結果のヒストグラムを表す。
【図10】図10は、図面代用写真で、比較例2で作製した銀ナノ粒子のTEM像を表す。
【図11】図11は、比較例2で作製した銀ナノ粒子の粒度分布のヒストグラム(参考のため、実施例9のヒストグラムを重ねて表示。)を表す。
【図12】図12は、マクロRAFT剤 PMMA-RAFTの1H NMR測定結果を表す。
【図13】図13は、PMMA-b-PDMSt-RAFTの1H NMR測定結果を表す。
【図14】図14は、PMMA-b-PDMSt-b-PSt-RAFTの1H NMR測定結果を表す。
【図15】図15は、トリブロック共重合体の各重合段階におけるGPCの測定結果をまとめたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明のカテコールセグメントを含むブロック共重合体(以下、単に「ブロック共重合体」と記載することがある。)及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子、並びに、ブロック共重合体の製造方法及び該ブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子の製造方法についてさらに具体的に説明する。

【0019】
本発明のブロック共重合体は、下記式(1)で表される。

【0020】
【化6】
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【0021】
前記式(1)中、R1は炭素数1~18の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計数3~18の1価の複素環式基を示す。前記R1の炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基、合計数3~18の1価の複素環式基の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。

【0022】
前記式(1)中、Zは水素原子、塩素原子、カルボキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素基、炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~20の1価の複素環式基、-OH、-SR7、—N(R72、—OC(=O)R7、-C(=O)OR7、-C(=O)N(R72、-P(=O)(OR72、または-P(=O)(R72を示す。上記R7は、炭素数1~20のアルキル基、炭素数3~20の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数6~20の1価芳香族炭化水素基、炭素原子と異項原子との合計数3~20の1価の複素環式基、-OR’、-SR’、-N(R’)2または重合体鎖を有する1価の基を示す。各R’は炭素数1~18のアルキル基、炭素数2~18のアルケニル基、炭素数6~18の1価の芳香族炭化水素基または炭素原子とN、S、O、Se、Teから選択される異項原子との合計原子数3~18の1価の複素環式基を示す。上記Zの炭素数1~20のアルキル基、炭素数6~20の1価の芳香族炭化水素、合計原子数3~20の1価の複素環式基、カルボキシル基、R7の水素は、それぞれ、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1~20のアルキル基に置換されてもよい。

【0023】
nは3~1000の整数、mは3~1000の整数、tは3~1000の整数を表すが、n及びtの一方は含まれていなくてもよい。つまり、本発明のブロック共重合体は、R1基から順に、n-m-tブロック共重合体、n-mブロック共重合体、m-tブロック共重合体の何れのブロック共重合体であってもよい。

【0024】
本発明のブロック共重合体は、有機溶媒中で、カテコール基を含むmセグメントが内側に集まり、疎水性のn及び/又はtセグメントが外側に向く逆ミセルの構造になる。そして、内側のカテコール基で無機イオンを還元することで、疎水性のn及び/又はtセグメント部分が外側に向いたブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子を製造することができる。逆ミセル構造を形成する為には、疎水性セグメントが多い方が好ましいことから、m/(n+t)≦1であることが好ましく、m/(n+t)≦0.4がより好ましい。

【0025】
mが3より小さいと、無機イオンを還元するカテコール基が少なくなり、無機ナノ粒子が得られ難くなるので好ましくない。nセグメントを長くすることで、得られる無機ナノ粒子のサイズも大きくなることから、例えば、mを5以上、10以上、15以上にする等、所望とする無機ナノ粒子のサイズとなるように適宜調整すればよい。一方、mが1000より大きくなると、分子間の相互作用が強くなるので架橋体が形成される可能性があり、その結果有機溶媒に対するブロック共重合体の溶解性が悪くなるので好ましくない。溶解度及び所望の無機ナノ粒子のサイズを考慮し、例えば、mを800以下、500以下としてもよい。n及び/又はtは、3~1000の範囲内で、mのサイズに応じて、m/(n+t)≦1、好ましくはm/(n+t)≦0.4となるように適宜選択すればよい。

【0026】
8は、H又はR3を示し、R9はH又はR4を示す。R3及びR4は保護基を示す。本発明においては、mセグメントのヒドロキシ基で無機イオンを還元することから、R8+R9のHの割合は、少なくとも60%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上が更に好ましい。脱保護は、脱保護条件を厳密に設定すれば全ての保護基を脱保護することができるので、R8+R9のHの割合が、100%が特に好ましい。なお、上記のとおり、R8+R9の一部が脱保護されず、保護基が残っていても無機イオンを還元できるので、本明細書における「カテコール基」との用語は、—OH基のHの一部が保護基で保護されているものも含む。

【0027】
Xは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。

【0028】
2は、疎水性であれば特に制限はなく、例えば、炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基、炭素数6~20のアリール基、炭素数7~20のアラルキル基等が挙げられる。

【0029】
炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基の具体例としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、2-プロピル、n-ブチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、1-エチルプロピル、tert-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、1-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2-メチルペンタン-3-イル、3,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシル等が挙げられる。前記したアルキル基の中では、炭素数1~12のアルキル基が好ましい。

【0030】
炭素数6~20のアリール基の具体例としては、フェニル、インデニル、ペンタレニル、ナフチル、アズレニル、フルオレニル、フェナントレニル、アントラセニル、アセナフチレニル、ビフェニレニル、ナフタセニル又はピレニル等が挙げられる。

【0031】
炭素数7~20のアラルキル基の具体例としては、ベンジル、フェネチル、1-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、3-フェニルプロピル、1-フェニルブチル、2-フェニルブチル、3-フェニルブチル、4-フェニルブチル、1-フェニルペンチルブチル、2-フェニルペンチルブチル、3-フェニルペンチルブチル、4-フェニルペンチルブチル、5-フェニルペンチルブチル、1-フェニルヘキシルブチル、2-フェニルヘキシルブチル、3-フェニルヘキシルブチル、4-フェニルヘキシルブチル、5-フェニルヘキシルブチル、6-フェニルヘキシルブチル、1-フェニルヘプチル、1-フェニルオクチル、1-フェニルノニル、1-フェニルデシル、1-フェニルウンデシル、1-フェニルドデシル、1-フェニルトリデシル又は1-フェニルテトラデシル等が挙げられる。

【0032】
Yは、アミド又はエステルを表すが、含まれていなくてもよい。pは1~10の整数を表すが、含まれていなくてもよい。

【0033】
5は、H又はCH3を示す。R6も、H又はCH3を示す。

【0034】
上記式(1)で表されるブロック共重合体は、例えば、下記式(2)で表される付加解裂型連鎖移動反応(Reversible Addition-Fragmentation Chain Transfer:RAFT法)に用いられる化合物(以下、「RAFT剤」と記載することがある。)を含む有機溶媒下で、
(a)下記式(3)で表されるラジカル重合可能な疎水性ビニル系モノマーをリビングラジカル重合させる工程、
(b)下記式(4)で表されるラジカル重合可能なビニル系モノマーをリビングラジカル重合させる工程、
(c)得られたリビングポリマーのR3及びR4を脱保護し、ヒドロキシ基を形成する工程、
により製造することができる。

【0035】
【化7】
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【0036】
式(2)中、R1は式(1)のR1と同じで、Zも式(1)のZと同じである。

【0037】
【化8】
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【0038】
式(3)中、R2は式(1)のR2と同じで、R5は式(1)のR5と同じで、Xも式(1)のXと同じである。

【0039】
【化9】
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【0040】
式(4)中、R3及びR4は、ヒドロキシ基の保護基を表す。R6は式(1)のR6と同じで、Yは式(1)中のYと同じで、pも式(1)中のpと同じである。

【0041】
保護基としては、ヒドロキシ基を保護し、脱保護できるもので有れば特に制限はなく、例えば、炭素数2~15のアシル型保護基、炭素数1~15のエーテル型保護基、炭素数3~15のアセタール型保護基、炭素数3~15のシリルエーテル型保護基、炭素数7~15のアラルキル型保護基、または炭素数3~15のアリル型保護基などが挙げられる。アシル型の保護基としては、アセチル基、ビバロイル基、ベンゾイル基等が挙げられ、エーテル型保護基としては、メチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、tert-ブチル基等が挙げられ、アセタール型保護基としては、メトキシメチル、2-テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基等が挙げられ、シリルエーテル型保護基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert-ブチルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。R3及びR4は、同じ保護基であっても異なっていてもよい。

【0042】
上記式(2)で表わされるRAFT剤としては、2-シアノ-2-ベンゾジチオエート、4-シアノ-4-(フェニルカルボノチオイルチオ)ペンタン酸、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボネート、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸、シアノメチルドデシルトリチオカルボネート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオエート、ビス(チオベンゾイル)ジスルフィド、ビス(ドデシルスルファニルチオカルボニル)ジスルフィド、クミルジチオベンゾエート、[1-(O-エチルザンチル)エチル]ベンゼン、2-フェニル-2-プロピルベンゾジチオエート、ベンジルベンゾジチオエート等のジチオエステル化合物が挙げられる。

【0043】
上記式(3)で表されるモノマーは、疎水性ビニル系モノマーであり、Xがアミド又はエステルでRが炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基の場合、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、n-プロピル(メタ)アクリルアミド、2-プロピル(メタ)アクリルアミド、n-ブチル(メタ)アクリルアミド、1-メチルプロピル(メタ)アクリルアミド、2-メチルプロピル(メタ)アクリルアミド、tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、n-ペンチル(メタ)アクリルアミド、1-メチルブチル(メタ)アクリルアミド、1-エチルプロピル(メタ)アクリルアミド、tert-ペンチル(メタ)アクリルアミド、2-メチルブチル(メタ)アクリルアミド、3-メチルブチル(メタ)アクリルアミド、2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、n-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、1-メチルペンチル(メタ)アクリルアミド、1-エチルブチル(メタ)アクリルアミド、2-メチルペンチル(メタ)アクリルアミド、3-メチルペンチル(メタ)アクリルアミド、4-メチルペンチル(メタ)アクリルアミド、2-メチルペンタン-3-イル(メタ)アクリルアミド、3,3-ジメチルブチル(メタ)アクリルアミド、2,2-ジメチルブチル(メタ)アクリルアミド、1,1-ジメチルブチル(メタ)アクリルアミド、1,2-ジメチルブチル(メタ)アクリルアミド、1,3-ジメチルブチル(メタ)アクリルアミド、2,3-ジメチルブチル(メタ)アクリルアミド、1-エチルブチル(メタ)アクリルアミド、2-エチルブチル(メタ)アクリルアミド、ヘプチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ノニル(メタ)アクリルアミド、デシル(メタ)アクリルアミド、ウンデシル(メタ)アクリルアミド、ドデシル(メタ)アクリルアミド、トリデシル(メタ)アクリルアミド、テトラデシル(メタ)アクリルアミド、ペンタデシル(メタ)アクリルアミド、ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド、ヘプタデシル(メタ)アクリルアミド、オクタデシル(メタ)アクリルアミド、ノナデシル(メタ)アクリルアミド、イコシル(メタ)アクリルアミド、シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、シクロブチル(メタ)アクリルアミド、シクロペンチル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(メタ)アクリルアミド類、及びメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、2-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、1-メチルプロピル(メタ)アクリレート、2-メチルプロピル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、1-メチルブチル(メタ)アクリレート、1-エチルプロピル(メタ)アクリレート、tert-ペンチル(メタ)アクリレート、2-メチルブチル(メタ)アクリレート、3-メチルブチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルプロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、1-メチルペンチル(メタ)アクリレート、1-エチルブチル(メタ)アクリレート、2-メチルペンチル(メタ)アクリレート、3-メチルペンチル(メタ)アクリレート、4-メチルペンチル(メタ)アクリレート、2-メチルペンタン-3-イル(メタ)アクリレート、3,3-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、2,2-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1,1-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1,2-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1,3-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、2,3-ジメチルブチル(メタ)アクリレート、1-エチルブチル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、イコシル(メタ)アクリレート、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。

【0044】
Xがアミド又はエステルでRが炭素数6~20のアリール基の場合、フェニル(メタ)アクリルアミド、インデニル(メタ)アクリルアミド、ペンタレニル(メタ)アクリルアミド、ナフチル(メタ)アクリルアミド、アズレニル(メタ)アクリルアミド、フルオレニル(メタ)アクリルアミド、フェナントレニル(メタ)アクリルアミド、アントラセニル(メタ)アクリルアミド、アセナフチレニル(メタ)アクリルアミド、ビフェニレニル(メタ)アクリルアミド、ナフタセニル(メタ)アクリルアミド又はピレニル(メタ)アクリルアミド等のアリール(メタ)アクリルアミド類、及びフェニル(メタ)アクリレート、インデニル(メタ)アクリレート、ペンタレニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、アズレニル(メタ)アクリレート、フルオレニル(メタ)アクリレート、フェナントレニル(メタ)アクリレート、アントラセニル(メタ)アクリレート、アセナフチレニル(メタ)アクリレート、ビフェニレニル(メタ)アクリレート、ナフタセニル(メタ)アクリレート又はピレニル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート類が挙げられる。

【0045】
また、Xがアミド又はエステルでRが炭素数7~20のアラルキル基の場合、ベンジル(メタ)アクリルアミド、フェネチル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルプロピル(メタ)アクリルアミド、2-フェニルプロピル(メタ)アクリルアミド、3-フェニルプロピル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルブチル(メタ)アクリルアミド、2-フェニルブチル(メタ)アクリルアミド、3-フェニルブチル(メタ)アクリルアミド、4-フェニルブチル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリルアミド、2-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリルアミド、3-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリルアミド、4-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリルアミド、5-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリルアミド、2-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリルアミド、3-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリルアミド、4-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリルアミド、5-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリルアミド、6-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルヘプチル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルオクチル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルノニル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルデシル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルウンデシル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルドデシル(メタ)アクリルアミド、1-フェニルトリデシル(メタ)アクリルアミド又は1-フェニルテトラデシル(メタ)アクリルアミド等のアラルキル(メタ)アクリルアミド類、及びベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート、1-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、2-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、3-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、1-フェニルブチル(メタ)アクリレート、2-フェニルブチル(メタ)アクリレート、3-フェニルブチル(メタ)アクリレート、4-フェニルブチル(メタ)アクリレート、1-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリレート、2-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリレート、3-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリレート、4-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリレート、5-フェニルペンチルブチル(メタ)アクリレート、1-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリレート、2-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリレート、3-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリレート、4-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリレート、5-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリレート、6-フェニルヘキシルブチル(メタ)アクリレート、1-フェニルヘプチル(メタ)アクリレート、1-フェニルオクチル(メタ)アクリレート、1-フェニルノニル(メタ)アクリレート、1-フェニルデシル(メタ)アクリレート、1-フェニルウンデシル(メタ)アクリレート、1-フェニルドデシル(メタ)アクリレート、1-フェニルトリデシル(メタ)アクリレート又は1-フェニルテトラデシル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。

【0046】
一方、上記式(3)でXが含まれないモノマーとしては、Rが炭素数1~20の直鎖状、分岐状あるいは環状アルキル基の場合、プロピルレン、2-メチル-1-プロピレン、1-ブテン、2-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3,3-ジメチル-1-ブテン、3-メチル-2-エチル-1-ブテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-tert-ブチル-3,3-ジメチル-1-ブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、2-メチル-3-エチル-1-ペンテン、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、2-エチル-1-ヘキセン、2-ブチル-1-ヘキセン、3,3-ジメチル-1-ヘキセン、5-メチル-1-ヘキセン、4-メチル-1-ヘキセン、3-メチル-1-ヘキセン、2,3-メチル-1-ヘキセン、4,5-ジメチル-1-ヘキセン、3,4,5-トリメチル-1-ヘキセン、3,3,5-トリメチル-1-ヘキセン、2,4-ジメチル-1-ヘキセン、2,4,4-トリメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、2,3-ジメチル-1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-イコセン、シクロプロピレン、シクロブテン、シクロペンテン又はシクロヘキセン等が挙げられる。

【0047】
上記式(3)でXが含まれないモノマーとしては、Rが炭素数6~20のアリール基の場合、ビニルベンゼン(スチレン)、1-ビニルインデン、5-ビニルインデン、1-ビニルペンタレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、2-ビニルアズレン、9-ビニル-9H-フルオレン、2-ビニル-9H-フルオレン、1-ビニルフェナントレン、2-ビニルフェナントレン、3-ビニルフェナントレン、6-ビニルフェナントレン、8-ビニルフェナントレン、1-ビニルアントラセン、2-ビニルアントラセン、9-ビニルアントラセン、1-ビニルアセナフチレン、2-ビニルビフェニレン、1-ビニルナフタセン、2-ビニルナフタセン、1-ビニルピレン、4-ビニルピレン等のビニルアリール類が挙げられる。

【0048】
上記式(3)でXが含まれないモノマーとしては、Rが炭素数7~20のアラルキル基の場合、3-フェニル-1-プロピレン、2-フェニル-1-プロピレン、4-フェニル-1-ブテン、3-フェニル-1-ブテン、2-フェニル-1-ブテン、5-フェニル-1-ペンテン、4-フェニル-1-ペンテン、3-フェニル-1-ペンテン、2-フェニル-1-ペンテン、6-フェニル-1-ヘキセン、5-フェニル-1-ヘキセン、4-フェニル-1-ヘキセン、3-フェニル-1-ヘキセン、2-フェニル-1-ヘキセン、7-フェニル-1-ヘプテン、6-フェニル-1-ヘプテン、5-フェニル-1-ヘプテン、4-フェニル-1-ヘプテン、3-フェニル-1-ヘプテン、2-フェニル-1-ヘプテン、8-フェニル-1-オクテン、7-フェニル-1-オクテン、6-フェニル-1-オクテン、5-フェニル-1-オクテン、4-フェニル-1-オクテン、3-フェニル-1-オクテン、2-フェニル-1-オクテン、9-フェニル-1-ノネン、8-フェニル-1-ノネン、7-フェニル-1-ノネン、6-フェニル-1-ノネン、5-フェニル-1-ノネン、4-フェニル-1-ノネン、3-フェニル-1-ノネン、2-フェニル-1-ノネン、10-フェニル-1-デセン、9-フェニル-1-デセン、8-フェニル-1-デセン、7-フェニル-1-デセン、6-フェニル-1-デセン、5-フェニル-1-デセン、4-フェニル-1-デセン、3-フェニル-1-デセン、2-フェニル-1-デセン、11-フェニル-1-ウンデセン、10-フェニル-1-ウンデセン、9-フェニル-1-ウンデセン、8-フェニル-1-ウンデセン、7-フェニル-1-ウンデセン、6-フェニル-1-ウンデセン、5-フェニル-1-ウンデセン、4-フェニル-1-ウンデセン、3-フェニル-1-ウンデセン、2-フェニル-1-ウンデセン、12-フェニル-1-ドデセン、11-フェニル-1-ドデセン、10-フェニル-1-ドデセン、9-フェニル-1-ドデセン、8-フェニル-1-ドデセン、7-フェニル-1-ドデセン、6-フェニル-1-ドデセン、5-フェニル-1-ドデセン、4-フェニル-1-ドデセン、3-フェニル-1-ドデセン、2-フェニル-1-ドデセン、13-フェニル-1-トリデセン、12-フェニル-1-トリデセン、11-フェニル-1-トリデセン、10-フェニル-1-トリデセン、9-フェニル-1-トリデセン、8-フェニル-1-トリデセン、7-フェニル-1-トリデセン、6-フェニル-1-トリデセン、5-フェニル-1-トリデセン、4-フェニル-1-トリデセン、3-フェニル-1-トリデセン、2-フェニル-1-トリデセン、14-フェニル-1-テトラデセン、13-フェニル-1-テトラデセン、12-フェニル-1-テトラデセン、11-フェニル-1-テトラデセン、10-フェニル-1-テトラデセン、9-フェニル-1-テトラデセン、8-フェニル-1-テトラデセン、7-フェニル-1-テトラデセン、6-フェニル-1-テトラデセン、5-フェニル-1-テトラデセン、4-フェニル-1-テトラデセン、3-フェニル-1-テトラデセン、2-フェニル-1-テトラデセン等が挙げられる。

【0049】
上記式(4)で表されるモノマーとしては、以下の(i)~(ii)で挙げられるカテコール基を含むモノマーを、前記保護基で保護したモノマーが挙げられる。保護基による保護化は、各々の保護基を公知の方法で保護すればよい。

【0050】
(i)Yがアミド場合、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチル](メタ)アクリルアミド、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)エチル](メタ)アクリルアミド(ドーパミン(メタ)アクリルアミド)、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ブチル](メタ)アクリルアミド、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ペンチル](メタ)アクリルアミド、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ヘキシル](メタ)アクリルアミド、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ヘプチル](メタ)アクリルアミド、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)オクチル](メタ)アクリルアミド、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ノニル](メタ)アクリルアミド、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)デシル](メタ)アクリルアミドが挙げられる。
また、Yがエステルの場合、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチル](メタ)アクリレート、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)エチル](メタ)アクリレート(ドーパミン(メタ)アクリレート)、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)プロピル](メタ)アクリレート、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ブチル](メタ)アクリレート、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ペンチル](メタ)アクリレート、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ヘキシル](メタ)アクリレート、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ヘプチル](メタ)アクリレート、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)オクチル](メタ)アクリレート、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)ノニル](メタ)アクリレート、N-[2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)デシル](メタ)アクリレート、が挙げられる。

【0051】
(ii)Yが含まれない場合は、3,4-ジヒドロキシスチレン、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-プロペン、4-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-ブテン、5-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-ペンテン、6-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-ヘキセン、7-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-ヘプテン、8-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-オクテン、9-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-ノネン、10-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-1-デセン、3-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-メチル-1-プロペン、4-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-メチル-1-ブテン、5-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-メチル-1-ペンテン、6-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2-メチル-1-ヘキセン、7-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2メチル-1-ヘプテン、8-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2メチル-1-オクテン、9-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2メチル-1-ノネン、10-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-2メチル-1-デセン等が挙げられる。

【0052】
上記式(4)で表されるモノマーの具体例としては、ジメトキシスチレン、オイゲノール等が挙げられる。

【0053】
上記式(1)で表されるブロック重合体を製造するための有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ミネラルターペンなどの脂肪族炭化水素;ジエチルエ-テル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジフェニルエ-テル、アニソ-ル、ジメトキシベンゼンなどのエ-テル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどのアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレンカ-ボネ-ト、プロピレンカ-ボネ-トなどのエステル化合物またはカ-ボネ-ト化合物;メタノ-ル、エタノ-ル、プロパノ-ル、イソプロパノ-ル、n-ブチルアルコ-ル、t-ブチルアルコ-ル、イソアミルアルコ-ルなどのアルコ-ル類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;クロロベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ベンゾトリフルオライドなどハロゲン化炭化水素類が挙げられる。

【0054】
上記式(3)及び(4)で表されるモノマーをリビングラジカル重合(RAFT重合)させるためのラジカル重合開始剤は、モノマーをラジカル重合することができれば特に制限されず、例えば、過酸化水素、イソブチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムなどの過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)などのアゾ化合物;過酸化水素-アスコルビン酸、過酸化水素-塩化第一鉄、過硫酸塩-亜硫酸水素ナトリウムなどのレドックス開始剤;などが挙げられる。ラジカル重合開始剤の使用量は、RAFT剤1モルに対して、通常、0.01~1モル、好ましくは、0.1~0.5モル程度加えればよい。

【0055】
脱保護剤は、用いた保護基に応じた脱保護剤を使用すればよく、例えば、メチル基の場合は三臭化ホウ素などの強いルイス酸;ベンジル基の場合はパラジウムを触媒とした水素添加反応又はバーチ還元;p-メトキシベンジル基の場合はベンジル基と同様な条件の他、2,3-ジシアノ-5,6-ジクロロ-p-ベンゾキノンや硝酸セリウムアンモニウムなどによる酸化条件;tert-ブチル基の場合はトリフルオロ酢酸や、4mol/L塩酸-酢酸エチル溶液などの強酸性条件;メトキシメチル基、2-テトラヒドロピラニル基、エトキシエチル基などのアセタール系の場合は酸性条件下水との反応;アセチル基の場合はメタノール中炭酸カリウム;ピバロイル基の場合はアセチル基よりも強い塩基性条件;ベンゾイル基の場合は強塩基条件または強いヒドリド還元条件;トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル、トリイソプロピルシリル、tert-ブチルジフェニルシリルなどのシリルエーテル系の場合は酸性条件またはフッ化物イオンを作用;させることで、脱保護することができる。

【0056】
本発明のブロック共重合体のより具体的な製造方法は、以下の工程のとおりである。
(a)ジオキサン等の有機溶媒に、上記式(2)で表されるRAFT剤及び上記式(3)で表される疎水性ビニル系モノマー、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤を溶解させ液体窒素等を用いて凍結脱気を行う。次に、この溶液を50~100℃に加熱してリビングラジカル重合反応させ、反応後の溶液をヘキサン等に滴下して遠心分離により未反応モノマーを取り除き真空乾燥することで、上記式(3)のモノマーが重合したセグメントを含むポリマーを得る。
(b)得られたポリマー、上記式(4)で表されるビニル系モノマー、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤をジオキサン等の有機溶媒に入れ凍結脱気を行う。次に、この溶液を50~100℃に加熱してリビングラジカル重合反応させ、反応後の溶液をヘキサン等に滴下して遠心分離により未反応モノマーを取り除き真空乾燥することで、本発明のブロック共重合体のカテコール基が保護基で保護されている前駆ブロック共重合体が得られる。

【0057】
上記式(3)で表されるモノマーが重合したセグメント、上記式(4)で表されるモノマーが重合したセグメントの長さは、有機溶媒中に添加するモノマーの量及び反応時間を調整することで制御することができる。

【0058】
上記のブロック共重合体は、RAFT剤に由来するR1基側から順に、上記式(3)で表されるモノマーが重合したセグメント、上記式(4)で表されるモノマーが重合したセグメントを含むブロック共重合体であるが、上記(b)工程の後に、再度(a)工程を行うことで、上記式(4)で表されるモノマーが重合したセグメントの後に、上記式(3)で表されるモノマーが重合したセグメントを更に含むブロック共重合体としてもよい。

【0059】
また、上記(a)工程と上記(b)工程の順序を入れ替えることで、RAFT剤に由来するR1基側から順に、上記式(4)で表されるモノマーが重合したセグメント、上記式(3)で表されるモノマーが重合したセグメントを含むブロック共重合体としてもよい。

【0060】
そして、上記(a)-(b)工程、(a)-(b)—(a)工程、又は(b)—(a)工程の後に、
(c)得られたブロック共重合体を、ジクロロメタン等の有機溶剤に溶解し、使用した保護基に応じた試薬を用いてR3及びR4を脱保護してヒドロキシ基を形成する、
ことで、本発明のブロック共重合体を得ることができる。

【0061】
上記の方法により得られるブロック共重合体としては、例えば、以下に示すブロック共重合体が挙げられる。なお、以下のブロック共重合体のmセグメントは全てカテコール基を含む例を示しているが、上記のとおり、Hの一部が脱保護されずに保護基が残っていてもよい。

【0062】
【化10】
JP0006270179B2_000011t.gif

【0063】
【化11】
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【0064】
【化12】
JP0006270179B2_000013t.gif

【0065】
【化13】
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【0066】
【化14】
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【0067】
【化15】
JP0006270179B2_000016t.gif

【0068】
本発明のブロック共重合体で被覆されている無機ナノ粒子は、溶媒中でミセルを形成しているものであり、
(d)上記(c)工程で得られたブロック共重合体を、テトラヒドロフランとクロロホルムの混合溶液等の有機溶媒に溶解してブロック共重合体の逆ミセルを形成し、次いで無機塩又は無機塩を溶解した溶液を添加する、
ことでミセルを製造することができる。

【0069】
なお、本発明において、「ミセル」とは、本発明のブロック共重合体で被覆されている無機ナノ粒子を意味するもので、その粒径は、3~5000nmである。「無機ナノ粒子」とは、無機イオンがカテコールのヒドロキシ基から電子を供与されることで還元されて粒子化したものを意味する。本発明における「無機ナノ粒子」の粒径は、無機物質の種類に応じて変わるが、各無機物の原子サイズ~約100nm程度(カテコールセグメントの長さbが1000の場合)である。また、本発明における「無機塩」とは、水又は有機溶媒に添加することで無機イオンを形成し上記「無機ナノ粒子」を作製することができるものを意味する。

【0070】
本発明の無機ナノ粒子としては、上記のとおり、カテコールのヒドロキシ基から電子を供与されることで還元されて粒子化されるものであれば特に制限は無いが、例えば、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、銅(Cu)などの金属;CdS、CeSe、CeTe、ZnSなどの金属化合物;Feなどのフェリ磁性材料、Ag/Au、Au/Ptなどの合金などを挙げることができる。

【0071】
なお、本発明では、無機イオンがカテコールのヒドロキシ基から電子を供与されることで還元されて無機ナノ粒子となるが、その後に、よりイオン化傾向の小さな無機イオンが添加されると、無機ナノ粒子は再度イオン化し、添加されたイオン化傾向の小さな無機イオンが還元されて無機ナノ粒子となる。本発明における「合金」とは、上記イオン化傾向を利用したもので、本発明のブロック共重合体の逆ミセル中で、イオン化傾向の異なる金属粒子が混在しているものを意味する。Feなどの酸化物は、無機イオンを還元した後に、酸素をバブリングすることで酸化すれよい。また、CdS等の硫化物は、無機イオンを還元した後に硫化水素ガスをバブリングすれことで硫化すればよい。CeTe等の金属化合物は、各イオンを共存した状態で還元すればよい。なお、上記「合金」についても、イオン化傾向が近い場合は、各イオンが共存した状態で還元することで、逆ミセル中で、イオン化傾向の異なる金属粒子が混在するようにしてもよい。

【0072】
上記無機ナノ粒子を製造するための無機塩としては、上記のとおり、水又は有機溶媒でイオン化するものであれば特に制限は無いが、例えば、塩化金(III)(AuCl3)、テトラクロロ金(III)酸(塩化金酸)(HAuCl4)、硝酸銀(I)(AgNO3)、ヘキサクロリド白金(IV)酸H(H2[PtCl6]・(H2O)6)、塩化パラジウム(PdCl2)、硫酸ロジウム(O4Rh2S)、ヘキサクロロイリジウム酸カリウム(Cl6IrK2)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(C374 RuO4)、四酸化オスミウム(O4Os)、硫酸銅(CuSO4)、塩化カドミウム(CdCl2)、酸セリウム(III)八水和物(Ce2(SO43・8H2O)、四塩化セレン(SeCl4)、硫化テルル(TeS)、硫酸亜鉛(ZnSO4)、塩化鉄(FeCl2)等が挙げられる。これらの塩は、上記(c)工程で使用する溶媒に溶解する場合は直接無機塩の状態で添加してもよいし、上記(c)工程で使用する溶媒に溶解しない場合は、適当な水又は有機溶媒で溶解した後で添加すればよい。

【0073】
製造したブロック共重合体で被覆された無機ナノ粒子は、例えば、真空乾燥等の方法により有機溶媒を蒸発することで、無機ナノ粒子をミセル内に内包した状態のバルクフィルムとすることができる。また、加熱して有機溶媒を蒸発させると、無機ナノ粒子をミセル内に内包した状態のプラスチックフィルム(以下、「バルクフィルム」及び「プラスチックフィルム」を単に「フィルム」と記載することがある。)を作製することもできる。

【0074】
上記(d)工程で作製した無機ナノ粒子を遠心分離により分離し、所望の有機溶剤に分散し、更に必要に応じて、顔料、ポリマー、架橋剤などを加えることで、無機ナノ粒子を含む各種用途に応じた液体組成物を作製することができる。また、上記のフィルムは、有機溶媒に添加することで再分散することから、有機溶剤にフィルム、更に必要に応じて、顔料、ポリマー、架橋剤などを添加することで、液体組成物を作製してもよい。

【0075】
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例】
【0076】
<実施例1>
〔保護基で保護されたカテコールセグメントを含むブロック共重合体の合成〕
・下記式(11)で表されるジメトキシスチレン(DMSt;アルドリッチ社製154466)を300mg、
・下記式(12)で表される2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボネート(アルドリッチ社製723037)を6.3mg、
・アゾビスイソブチロニトリル(AIBN;和光純薬工業株式会社製019-04932)を1.0mg、
・ジオキサン(和光純薬工業株式会社製042-03766)を500mg、
を試験管内に投入し、液体窒素を用いて溶液を凍結させポンプで吸引後、溶液を溶解させ内部を窒素で置換した。この操作を2回繰り返した後、70℃で20時間反応させた。反応後の溶液をヘキサン中に滴下し、その後遠心分離機において1500rpm、10分の条件で遠心しモノマーを取り除き、真空乾燥した。乾燥後のポリマーはGPCにより分子量を測定した。GPCの測定結果よりポリマーの重量平均分子量(Mw)は4800であった。
次に、
・乾燥後のポリマーを110mg、
・下記式(13)で表されるスチレン(St;和光純薬工業株式会社製191-08206)を1000mg、
・アゾビスイソブチロニトリルを1.6mg、
・ジオキサンを500mg、
を試験管内に投入し液体窒素を用いて溶液を凍結させ、ポンプで吸引後溶液を溶解させ内部を窒素で置換した。この操作を2回繰り返した後、70℃で61時間反応させた。反応後の溶液をヘキサン中に滴下し、その後遠心分離機において1500rpm、10分の条件で遠心しモノマーを取り除き、真空乾燥した。乾燥後のブロック共重合体はGPCにより分子量を測定し、ブロック共重合体の化学構造をNMRにより決定した。
GPCの結果より、合成したブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は32000であ、重合比はSt:DMSt=8.5:1であった。また、図1はブロック共重合体のNMR測定結果を示しており、ベンゼン環およびメトキシ基に由来するピークが確認できた。このピーク比より、重合比はSt:DMSt=9.7:1であり、GPCの結果とほぼ一致した。
なお、本発明における「ブロック共重合体の分子量」とは、東ソー製HLC-8320GPCを用いてポリスチレン換算で測定したときの重量平均分子量を意味する。図1中のトリクロロメタンは重溶媒中に含まれる水素交換されたものであり、アセトンはNMR管を洗浄した際に残ってしまったものであると考えられる。
【実施例】
【0077】
【化16】
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【実施例】
【0078】
【化17】
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【実施例】
【0079】
【化18】
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【実施例】
【0080】
〔カテコールセグメントを含むブロック共重合体の合成〕
上記の手順で得られた乾燥ブロック共重合体100mgを、ジクロロメタン(和光純薬工業株式会社製135-02446)5mlに溶解させ、窒素バブリングを行った後、75.7g/lの臭化ホウ素(アルドリッチ社製202207)溶液0.3mlを投入し一晩室温で撹拌した。この溶液に水2.5mlを投入し、その後、2Mの塩化ナトリウム水溶液5mlを10000rpm、15min、5℃の条件で遠心分離を行った。その後メタノール5mlを用いて10000rpm、15min、5℃の条件で遠心分離を行った。得られたブロック共重合体を真空条件で乾燥させることで、下記式(9)で表されるカテコールセグメントを含むブロック共重合体を合成した。
【実施例】
【0081】
【化19】
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【実施例】
【0082】
<実施例2>
スチレンの重合時間を14時間とした以外は、実施例1と同様の手順でブロック共重合体を合成した。GPCの結果より合成したブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は13,358で、重合比はSt:DMSt=2.5:1であった。
【実施例】
【0083】
<実施例3>
〔Agナノ粒子の作製〕
実施例1で合成したブロック共重合体を、テトラヒドロフラン(THF:和光純薬工業株式会社製200-00486)1mlとクロロホルム(和光純薬工業株式会社製038-02606)1mlの混合溶液に溶解させた。溶解後10g/LのAgNO水溶液1mlおよび純水1mlと混合・撹拌し、25℃の条件で12時間静置した。溶液0.5mlおよびメタノール0.5mlを加えた後、10000rpm、15min、5℃の条件で遠心分離を行い洗浄した。洗浄後、得られた沈殿物はTHFに再分散させた。再分散溶液に関して、吸収波長をUV-Visを用いて測定(日本分光株式会社製V-670)した。また、形成されたAgナノ粒子はTEMを用いて観察した。
【実施例】
【0084】
図2は、UV-Visの測定結果及び再分散溶液を示している。再分散溶液はオレンジ色を呈しており、UV-Visの測定結果より416nmに吸収極大を有していた。この波長は銀ナノ粒子の吸収波長と一致していた。
【実施例】
【0085】
図3AはTEMにより撮像した写真で、図3Bは、図3Aを更に拡大した写真である。写真から明らかなように、銀ナノ粒子が形成しているのが観察され、銀ナノ粒子の直径は平均16nmであり、粒子径も揃っていた。また、図3AのTEM像より、銀ナノ粒子は有機物中に存在しており(図3Aの白丸中の黒い小さな粒子が銀ナノ粒子で、銀ナノ粒子の周りの濃い灰色部分が有機物を示している。)、合成したブロック共重合体で被覆されている事が示唆された。
【実施例】
【0086】
図4は、再分散溶液中のミセルの粒径分布を示すグラフである。なお、粒径分布は、ミセルをTHFに分散させた状態でガラスセルに投入後、温度25℃の条件下で動的光散乱法により測定(マルバーン社製Nano-ZS)した。本発明のブロック共重合体を用いると、図4に示すように、バラツキの少ない粒径の揃ったミセルを形成することができ、その結果、図3Bに示すように、還元して作製したナノ粒子の粒径も、バラツキが少なくなることが明らかとなった。
【実施例】
【0087】
<実施例4>
〔Ag/Auナノ粒子の作製〕
実施例3で作製した銀ナノ粒子のTHF分散液1mlに、HAuCl(和光純薬工業株式会社製077-00931)を30mg加え25℃の条件で12h静置した。静置後のナノ粒子分散液はTHFを用いて10000rpm、15min、5℃の条件で遠心分離を行い未反応のAuイオンを除去した。洗浄後のナノ粒子分散液の吸収波長をUV-Visにより測定し、TEMを用いて粒子を観察した。
【実施例】
【0088】
図5は、UV-Visの測定結果及び再分散溶液を示している。粒子分散液は紫色を呈しており、UV-Visの測定結果より548nmに吸収極大を有していた。この波長は、粒径約50nmの金ナノ粒子の吸収波長と同程度である。
【実施例】
【0089】
図6はTEMにより撮像した写真である。TEM像よりコントラストの異なる2種類の粒子が観察された。コントラスト差よりコントラストの低い粒子が銀ナノ粒子であり、コントラストの高い粒子が金ナノ粒子であることが示唆されている。
【実施例】
【0090】
〔カテコールセグメントを含むブロック共重合体とナノ粒子の粒径との関係〕
<実施例5>
3,4-ジメトキシスチレン(DMSt, technical grade, 99%)及び2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボネート(CPDTTC,97%)はSigma-Aldrichから購入した。DMSt及びCPDTTCは購入したものをそのまま用いた。アンヒドラス 1,4-ジオキサン(Anhydrous 1,4-dioxane;99.0%)、三臭化ほう素(BBr,99.85%),N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF,99.5%)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN,98.0%)及びジクロロメタン(CHCl99.5%)は仙台和光純薬株式会社から購入した。AIBNは使用する前にメタノールで再結晶を行い、真空乾燥させたものを用いた。スチレン(St,99.0%,和光純薬株式会社)は活性アルミナカラムを通してから使用した。
【実施例】
【0091】
ブロック共重合体の重合はRAFT重合を用い、以下の手順で行った。
【実施例】
【0092】
【化20】
JP0006270179B2_000021t.gif
【実施例】
【0093】
DMSt(2.03g,12.4mmol)及びCPDTTC(27.8mg,8.04×10-2mmol),1,4-ジオキサン(1,4-dioxane;1.03g)、AIBN(7.1mg,4.32×10-2mmol)を試験管に投入後、4回凍結脱気を行い、試験管内を窒素ガスで満たした。その後、凍結脱気した試験管を密閉し60℃のアルミバス中で10時間重合を行った。重合後、液体窒素に投入することで反応液を急冷し反応を停止させた。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行い精製した。真空乾燥後、黄色の粉体を得た。GPCの測定結果より、数平均分子量(M)は7.10×103であり分子量分布(M/M)は1.08であった。1H NMRよりフェニル基およびメトキシ基のプロトンに由来するピークが観察され、マクロRAFT剤(CTA-PDMSt)が重合できたことがわかった。
【実施例】
【0094】
次に重合したマクロRAFT剤(CTA-PDMSt;97.4mg,1.28×10-2mmol)及びStモノマー(3.06g,29.3mmol)、1,4-ジオキサン(3.00g)、AIBN(1.15mg,7×10-3mmol)を試験管に投入し、4回凍結脱気を行った。この試験管を60℃のアルミバス中で50時間重合を行った。反応後、液体窒素で冷却することで反応を停止させた。反応液はメタノールを用いて精製し、遠心分離により回収した。真空下で乾燥後、白色の粉体(PDMSt-b-PSt)を得た。
【実施例】
【0095】
次に、重合した共重合体(PDMSt-b-PSt)の脱保護を行った。PDMSt-b-PSt(150mg)とジクロロメタン(5ml)をガラスバイアル中に投入後、セプタム栓を用いて封止した。溶液を0℃に冷却後、BBrを含むジクロロメタン(0.5ml,1.0M)溶液を滴下した。滴下後の溶液は常温で12時間静置した。反応後1Mの塩酸水溶液中に滴下した。3時間攪拌後、遠心分離により回収し、真空下で乾燥させた。回収した粉体(PDHSt-b-PSt)は1H NMRによってメトキシ基のプロトン由来のピークが消失しているのを確認した。なお、脱保護後の共重合体は有機溶媒への溶解性が低いため分子量の測定は行っていない。
【実施例】
【0096】
<比較例1>
以下の手順により、フリーラジカル重合によりランダム共重合体を合成した。Stモノマー(2.00g,19.2mmol)及びDMSt(1.05g,6.39mmol)、1,4-ジオキサン(3.00g)、AIBN(42.0mg,0.256mmol)を試験管に投入後、4回凍結乾燥を行った。反応液は60℃のアルミバスを用いて重合した。重合後、液体窒素で急冷した。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行い、真空下で乾燥させ、白色の粉体を得た。GPCの測定結果よりMは5.33×104、及びM/Mは1.62であった。1H NMR測定結果より共重合比は2.92(St/DMSt)であった。
得られた白色の粉体を、<実施例5>の「脱保護」と同様の手順で脱保護を行うことで、DHStとStのランダム共重合体を得た。
【実施例】
【0097】
<実施例6>
実施例6は、実施例5のDMStの重合時間を21時間とした以外は実施例5と同様の手順でジメチルスチレンセグメント(脱保護後のカテコールセグメント)とスチレンセグメントの比が異なるブロック共重合体を合成した。
【実施例】
【0098】
<実施例7>
実施例7は、実施例5のDMStの重合時間を5時間とし、Stの重合時間を34時間とした以外は実施例5と同様の手順でジメチルスチレンセグメント(脱保護後のカテコールセグメント)とスチレンセグメントの比が異なるブロック共重合体を合成した。
【実施例】
【0099】
以下に、実施例5~7及び比較例1で合成した共重合体を示す。
【実施例】
【0100】
【表1】
JP0006270179B2_000022t.gif
【実施例】
【0101】
<実施例8>
上記実施例5で合成したブロック共重合体を用い、以下の手順で銀ナノ粒子を作製した。
脱保護した共重合体をクロロホルム(1ml)およびDMFに溶解させ、その溶液にAgNO3水溶液(2mL,102.5mM)を加えた。AgNO3水溶液を加えると溶液は直ぐにオレンジ色に変色した。その溶液を25℃で12時間静置した。反応液にメタノールを加え、遠心分離することにより余分な銀イオンおよび共重合体を取り除いた。遠心分離後DMFを加え再分散させた後、水を加えて凝集させ遠心分離によってナノ粒子を回収した。作製した銀ナノ粒子はTHFに分散させた。
【実施例】
【0102】
<実施例9>
実施例5のブロック共重合体に代え、実施例6のブロック共重合体を用いた以外は実施例8と同様の手順で銀ナノ粒子を作製した。
【実施例】
【0103】
<実施例10>
実施例5のブロック共重合体に代え、実施例7のブロック共重合体を用いた以外は実施例8と同様の手順で銀ナノ粒子を作製した。
【実施例】
【0104】
図7Aは実施例10、図7Bは実施例8、図7Cは実施例9で作製した銀ナノ粒子を分散させた粒子の写真及びTEM像を表す。分散液はオレンジから茶色を呈していた。図8は、実施例8~10で作製した分散液のUV-Vis測定結果を表す。作製した粒子は波長400nmに吸収を有しており、この波長は銀ナノ粒子の表面プラズモンの吸収と一致した。このことから銀ナノ粒子が形成していることがわかった。また、実施例9は600nm付近にも吸収を持っているのが観察された。この波長は銀ナノ粒子のプラズモンのカップリングによる吸収と一致した。
【実施例】
【0105】
粒子の粒径はTEM像からイメージ解析ソフト(Image J)を用いて計測した。図9は、実施例8~10で作製した銀ナノ粒子の測定結果のヒストグラムを表す。実施例8~10を用いて作製した銀ナノ粒子のヒストグラムは単峰性を有しており、平均粒径は、実施例8が8.6nm、実施例9が10.9nm、実施例10が6.6nmであった。粒径はカテコール基を有するセグメントの形成するミセルのサイズに比例すると考えられる。そこでカテコール基を有するセグメントの分子量の三乗根の比を算出した。三乗根の比は、数1に示すように、実施例8~10のPDMStの分子量の三乗根を実施例10のPDMStの分子量の三乗根と比較した際の比率で求めた。そして、求めた比率を実施例10の平均粒子径(測定結果)に積算することで粒子径(計算値)を求めた。表2は算出した結果を示す。算出した銀ナノ粒子の粒子径(計算値)は実際の測定値とおおよそ一致した。以上の結果より、粒子径の計算値と実際の測定値がほぼ一致するため、PDMStの分子量で銀ナノ粒子のサイズが制御可能である。
【実施例】
【0106】
【数1】
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【実施例】
【0107】
【表2】
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【実施例】
【0108】
<比較例2>
比較例1のランダム共重合体を用いた以外は、実施例8と同様の手順で銀ナノ粒子を作製した。図10は、比較例2で作製した銀ナノ粒子のTEM像を表す。また、図11は、比較例2で作製した銀ナノ粒子の粒度分布のヒストグラム(参考のため、実施例9のヒストグラムを重ねて表示。)である。図10及び図11から明らかなように、ランダム共重合体を用いて銀ナノ粒子を作製した場合、粒径が1~25nmと幅広い粒子が形成していた。
【実施例】
【0109】
実施例8~10及び比較例2の結果より、ブロック共重合体を用いることによりランダム共重合体を用いた場合と比較して、均一な粒径のナノ粒子が作製できた。また、カテコールセグメントの分子量を調整することで、ナノ粒子の平均粒子径も調整できた。
【実施例】
【0110】
〔トリブロック共重合体の合成〕
<実施例11>
窒素雰囲気下でメチルメタクリレート(MMA,2000mg,20.0mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(10.8mg,6.58×10-2mmol),2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボネート(34.5mg,9.98×10-2mmol),ジオキサン(1000mg)を試験管に投入した。この試験管を60℃で6h加熱後、液体窒素を用いて急冷し、重合を停止させた。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行った。回収したポリマーは真空下で乾燥させ、薄く黄色味がかった白色の粉末(マクロRAFT剤 PMMA-RAFT)を得た。回収物はGPCを用いて分子量および分子量分散度を、NMRを用いて回収物の同定を行った。GPCの結果よりMnは9.88kg/mol、及びMwは12.6kg/molであり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.27であった。図12はマクロRAFT剤 PMMA-RAFTの1H NMR測定結果を表す。1H NMR測定結果から主鎖のメチル基(-CH2-C(CH3)(COOCH3)-)に由来するピークが0.85および1.02ppmに、側鎖のメチル基のプロトン(-COO-CH3)に由来するピークが3.60ppmに観察された。
【実施例】
【0111】
次に窒素雰囲気下で3,4-ジメトキシスチレン(DMSt,2000mg,12.2mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(6.9mg,4.20×10-2mmol),PMMA-RAFT(633mg,6.41×10-2mmol),ジオキサン(1000mg)を試験管に投入した。この試験管を60℃で6h加熱後、液体窒素を用いて急冷し、重合を停止させた。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行った。回収したポリマーは真空下で乾燥させ、薄く黄色味がかった白色の粉末(ジブロックコポリマーであるPMMA-b-PDMSt-RAFT)を得た。回収物はGPCを用いて分子量および分子量分散度を、NMRを用いて回収物の同定を行った。GPCの結果より、Mnは17.8kg/mol、Mwは21.4kg/molであり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.20であった。図13はPMMA-b-PDMSt-RAFTの1H NMR測定結果を表す。1H NMR測定結果から、3、4-ジメトキシスチレンのメトキシ基(-C63)-(OCH32)のプロトン由来のピークが3.78及び3.57ppmに観察された。またフェニル基(-CH2-CH(C65)(CH32-)のプロトン由来のブロードなピークが5.7-6.8ppmに観察された。MMAに由来する主鎖のメチル基(-CH2-C(CH3)(COOCH3)-)に由来するピークが0.85および1.02ppmに、側鎖のメチル基のプロトン(-COO-CH3)に由来するピークが3.60ppmに、観察された。
【実施例】
【0112】
次に窒素雰囲気下でスチレン(St,2.06g,19.8mmol)及びアゾビスイソブチロニトリル(5.2mg,3.17×10-2mmol),PMMA-b-PDMSt-RAFT(856.4mg,4.81×10-2mmol),ジオキサン(1000mg)を試験管に投入した。この試験管を60℃で6h加熱後、液体窒素を用いて急冷し、重合を停止させた。反応液はメタノールを用いて再沈殿を行った。回収したポリマーは真空下で乾燥させ、薄く黄色味がかった白色の粉末(トリブロック共重合体であるPMMA-b-PDMSt-b-PSt-RAFT)を得た。回収物はGPCを用いて分子量および分子量分散度を、NMRを用いて回収物の同定を行った。GPCの結果より、Mnは28.3kg/mol、Mwは33.0kg/molであり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.16であった。図14はPMMA-b-PDMSt-b-PSt-RAFTの1H NMR測定結果を表す。H NMR測定結果から、StおよびDMStのフェニル基のプロトン由来のピークが5.7-7.2ppmに観察された。3,4-ジメトキシスチレンのメトキシ基(-(C63)-(OCH32)のプロトン由来のピークが3.78及び3.57ppmに観察された。MMAに由来する主鎖のメチル基(-CH2-C(CH3)(COOCH3)-)に由来するピークが0.85および1.02ppmに、側鎖のメチル基のプロトン(-COO-CH3)に由来するピークが3.60ppmに観察された。
【実施例】
【0113】
図15は、トリブロック共重合体の各重合段階におけるGPCの測定結果をまとめたグラフである。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明のカテコールセグメントを含むブロック共重合体は、式(3)及び式(4)のモノマーの濃度及び反応時間により分子量を調整することで逆ミセルのサイズを制御することができ、その分布は分子量分布に依存する。その結果、有機溶媒に分散する無機ナノ粒子のサイズも逆ミセルのサイズにより制御することができるので、粒径のそろった無機ナノ粒子が得られる。更に、本発明は、還元剤を必要としないので無機ナノ粒子と共に副生成物が生成せずきれいな無機ナノ粒子溶媒液を得ることができ、収率の向上及び製造工程が簡略化できるので、生産性を向上することができる。
したがって、本発明は、二次電池・燃料電池用材料、蛍光材料、電子部品材料、磁気記録材料、磁性流体、セラミックスのナノ構造改質剤、薄膜合成、コーティング材、センサー、研摩材料、顔料、化粧品材料、ドラッグデリバリー、新規造影剤、蛍光標識、人工組織などの技術分野に有用である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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