TOP > 国内特許検索 > ジチエノホスホリン化合物及びそれを用いた蛍光色素 > 明細書

明細書 :ジチエノホスホリン化合物及びそれを用いた蛍光色素

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成31年1月17日(2019.1.17)
発明の名称または考案の名称 ジチエノホスホリン化合物及びそれを用いた蛍光色素
国際特許分類 C07F   9/6578      (2006.01)
C09B  57/00        (2006.01)
FI C07F 9/6578 CSP
C09B 57/00 N
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 40
出願番号 特願2018-504589 (P2018-504589)
国際出願番号 PCT/JP2017/009490
国際公開番号 WO2017/155042
国際出願日 平成29年3月9日(2017.3.9)
国際公開日 平成29年9月14日(2017.9.14)
優先権出願番号 2016046257
優先日 平成28年3月9日(2016.3.9)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】中 愛子
【氏名】山口 茂弘
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H050
Fターム 4H050AA01
4H050AA03
4H050AB20
4H050AB92
要約 高い波長に吸収極愛及び蛍光極大を有し、且つ、高い蛍光量子収率を有し、光に対する安定性が高く、様々な置換基を導入できる蛍光色素を提供する。
一般式(1):
JP2017155042A1_000031t.gif
[式中、R2は一般式(3A)、(3B)又は(3C):
JP2017155042A1_000032t.gif
で表される基を示す。]
のように、ローダミン色素のベンゼン環部位をチオフェン骨格に置き換えるとともに、骨格内酸素原子をリン含有基に置き換える。
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
【化1】
JP2017155042A1_000028t.gif
[式中、R1は一般式(2A)又は(2B):
【化2】
JP2017155042A1_000029t.gif
(式中、R7は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。)
で表される基を示す。R2は一般式(3A)、(3B)又は(3C):
【化3】
JP2017155042A1_000030t.gif
(式中、R8は同一又は異なって、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。R9は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。Yは酸素原子又は硫黄原子を示す。)
で表される基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、スルホニル基、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。Xはアニオンを示す。nは1又は2を示し、R2が一般式(3A)又は(3C)で表される基の場合は1、R2が一般式(3B)で表される基の場合は2である。]
で表される、ジチエノホスホリン化合物。
【請求項2】
前記一般式(1)において、R1が一般式(2A)で表される基である、請求項1に記載のジチエノホスホリン化合物。
【請求項3】
前記一般式(1)において、R7が置換されていてもよいアリール基である、請求項2に記載のジチエノホスホリン。
【請求項4】
前記一般式(1)において、R2が一般式(3A)で表される基であり、nが1である、請求項1~3のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【請求項5】
前記一般式(1)において、Yが酸素原子である、請求項4に記載のジチエノホスホリン化合物。
【請求項6】
前記一般式(1)において、R8が置換されていてもよいアリール基である、請求項4又は5に記載のジチエノホスホリン化合物。
【請求項7】
前記一般式(1)において、R3及びR4がいずれも水素原子である、請求項1~6のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【請求項8】
前記一般式(1)において、R5及びR6がいずれも同一又は異なって、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基である、請求項1~7のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【請求項9】
650~850nmに吸収極大波長を有する、請求項1~8のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【請求項10】
750~1000nmに蛍光極大波長を有する、請求項1~9のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物を含有する蛍光色素。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ジチエノホスホリン化合物及びそれを用いた蛍光色素に関する。
【背景技術】
【0002】
赤色から近赤外領域の光は高い組織浸透性があるため、この領域(620nm以上)に吸収及び蛍光極大波長を有する有機分子(色素)が、生体組織の深部観察において注目されている。この近赤外領域に蛍光を示す有機分子は、バイオイメージング用蛍光プローブ、有機EL素子用蛍光材料等、応用の枠組みを超えて高い重要性を有する。これまでにシアニン色素、スクアリン色素、ポルフィリン色素、フタロシアニン色素等の古典的な蛍光色素の骨格をもとに、多くの近赤外蛍光性の有機分子が知られている。特に、蛍光プローブという観点で現在最も広く用いられている近赤外蛍光色素として、インドシアニングリーン(ICG)が挙げられる。また、近年では、ローダミン色素の骨格内酸素原子をケイ素原子等に置き換えることで、従来は可視領域に位置するローダミン色素の蛍光を近赤外領域にまで高くすることができることが示されている。
【0003】
例えば、フルオレセイン系色素は、吸収極大波長は491nm、蛍光極大波長は510nm、量子収率は0.85である(非特許文献1)が、バイオイメージングのためは、深赤色~近赤外領域の波長に対して吸収及び蛍光を示す必要があることから、吸収極大波長及び蛍光極大波長をさらに高くすることが求められている。
【0004】
このフルオレセイン系色素のキサンテン骨格の酸素原子をケイ素原子に置換すると、吸収極大波長は582nm、蛍光極大波長は598nm、量子収率0.42と、長波長側にシフトさせることができることが知られている(非特許文献2)。しかしながら、その効果は不十分であり、さらなる長波長シフトが必要である。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】JACS, 2005, 127, 4888.
【非特許文献2】Chem. Commun. 2011, 47, 4162.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、依然として、近赤外領域において高効率での蛍光は困難である。このため、さらに長波長領域に吸収極大及び蛍光極大を有し、高い蛍光量子収率を有する色素が求められている。さらに、近赤外蛍光プローブの代表格であるインドシアニングリーン(ICG)は光照射に対する安定性に乏しく、機能性を付与するために様々な置換基を導入することが困難である。そこで、本発明は、高い波長に吸収極愛及び蛍光極大を有し、且つ、高い蛍光量子収率を有し、光に対する安定性が高く、様々な置換基を導入できる蛍光色素を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を鑑み、鋭意検討した結果、本発明者らは、ローダミン色素のベンゼン環部位をチオフェン骨格に置き換えるとともに、骨格内酸素原子をリン含有基に置き換えることで、高い波長に吸収極大及び蛍光極大を有し、且つ、高い蛍光量子収率を有し、光に対する安定性が高く、様々な置換基を導入できることを見出した。本発明は、このような知見に基づきさらに研究を重ね、完成させたものである。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
【0008】
項1.一般式(1):
【0009】
【化1】
JP2017155042A1_000003t.gif

【0010】
[式中、R1は一般式(2A)又は(2B):
【0011】
【化2】
JP2017155042A1_000004t.gif

【0012】
(式中、R7は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。)
で表される基を示す。R2は一般式(3A)、(3B)又は(3C):
【0013】
【化3】
JP2017155042A1_000005t.gif

【0014】
(式中、R8は同一又は異なって、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。R9は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。Yは酸素原子又は硫黄原子を示す。)
で表される基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、スルホニル基、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。Xはアニオンを示す。nは1又は2を示し、R2が一般式(3A)又は(3C)で表される基の場合は1、R2が一般式(3B)で表される基の場合は2である。]
で表される、ジチエノホスホリン化合物。
【0015】
項2.前記一般式(1)において、R1が一般式(2A)で表される基である、項1に記載のジチエノホスホリン化合物。
【0016】
項3.前記一般式(1)において、R7が置換されていてもよいアリール基である、項2に記載のジチエノホスホリン。
【0017】
項4.前記一般式(1)において、R2が一般式(3A)で表される基であり、nが1である、項1~3のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【0018】
項5.前記一般式(1)において、Yが酸素原子である、項4に記載のジチエノホスホリン化合物。
【0019】
項6.前記一般式(1)において、R8が置換されていてもよいアリール基である、項4又は5に記載のジチエノホスホリン化合物。
【0020】
項7.前記一般式(1)において、R3及びR4がいずれも水素原子である、項1~6のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【0021】
項8.前記一般式(1)において、R5及びR6が同一又は異なって、水素原子又は置換されていてもよいアルキル基である、項1~7のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【0022】
項9.650~850nmに吸収極大波長を有する、項1~8のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【0023】
項10.750~1000nmに蛍光極大波長を有する、項1~9のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物。
【0024】
項11.項1~10のいずれかに記載のジチエノホスホリン化合物を含有する蛍光色素。
【発明の効果】
【0025】
本発明の含チオフェン化合物は、ローダミン色素のベンゼン環部位をチオフェン骨格に置き換えるとともに、骨格内酸素原子をリン含有基に置き換えることで、高い波長に吸収極大及び蛍光極大を有し、且つ、高い蛍光量子収率を有し、光に対する安定性が高い。しかも、要求特性に応じて、様々な基を導入することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】pH4.0において、実施例1のジチエノホスホリン化合物(化合物1+・TFA-)の紫外可視近赤外吸光スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図2】pH4.0において、実施例2のジチエノホスホリン化合物(化合物6+・TFA-)の紫外可視近赤外吸光スペクトルである。
【図3】pH7.4において、実施例3のジチエノホスホリン化合物(化合物8a+・TFA-)の紫外可視近赤外吸光スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図4】pH7.4において、実施例3のジチエノホスホリン化合物(化合物8b+・TFA-)の紫外可視近赤外吸光スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図5】pH7.4において、実施例3のジチエノホスホリン化合物(化合物8c+・TFA-)の紫外可視近赤外吸光スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図6】pH7.4において、実施例3のジチエノホスホリン化合物(化合物8d+・TFA-)の紫外可視近赤外吸光スペクトル及び蛍光スペクトルである。
【図7】pH4.0において、実施例4のジチエノホスホリン化合物(化合物11+・TFA-)の紫外可視近赤外吸光スペクトルである。
【図8】実施例1のジチエノホスホリン化合物(化合物1+・TFA-)と、ICGの照射時間による相対吸光度の推移を示すグラフである。
【図9】実施例3のジチエノホスホリン化合物(化合物8a+・TFA-、8b+・TFA-、8c+・TFA-、及び8d+・TFA-)と、ICGの照射時間による相対吸光度の推移を示すグラフである。
【図10】実施例1のジチエノホスホリン化合物(化合物1+・TFA-)のpHによる吸光度の変化を示すグラフである。(a)はpHによる吸収スペクトルの変化、(b)はpHによる吸光度の変化を示す。
【図11】実施例2のジチエノホスホリン化合物(化合物6+・TFA-)のpHによる吸光度の変化を示すグラフである。(a)はpHによる吸収スペクトルの変化、(b)はpHによる吸光度の変化を示す。
【図12】実施例3のジチエノホスホリン化合物(化合物8a+・TFA-)のpHによる吸光度の変化を示すグラフである。(a)はpHによる吸収スペクトルの変化、(b)はpHによる吸光度の変化を示す。
【図13】実施例4のジチエノホスホリン化合物(化合物11+・TFA-)のpHによる吸光度の変化を示すグラフである。(a)はpHによる吸収スペクトルの変化、(b)及び(c)はpHによる吸光度の変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
1.含チオフェン化合物
本発明の含チオフェン化合物は、一般式(1):

【0028】
【化4】
JP2017155042A1_000006t.gif

【0029】
[式中、R1は一般式(2A)又は(2B):

【0030】
【化5】
JP2017155042A1_000007t.gif

【0031】
(式中、R7は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。)
で表される基を示す。R2は一般式(3A)、(3B)又は(3C):

【0032】
【化6】
JP2017155042A1_000008t.gif

【0033】
(式中、R8は同一又は異なって、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。R9は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。Yは酸素原子又は硫黄原子を示す。)
で表される基を示す。R3及びR4は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、スルホニル基、置換されていてもよいアルキル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。R5及びR6は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、又は置換されていてもよいアリール基を示す。Xはアニオンを示す。nは1又は2を示し、R2が一般式(3A)又は(3C)で表される基の場合は1、R2が一般式(3B)で表される基の場合は2である。]
で表されるジチエノホスホリン化合物である。この一般式(1)で表されるジチエノホスホリン化合物は、文献未記載の新規化合物である。

【0034】
一般式(1)において、R1は、一般式(2A)又は(2B):

【0035】
【化7】
JP2017155042A1_000009t.gif

【0036】
[式中、R7は水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。Arは置換されていてもよい芳香族炭化水素環又は置換されていてもよい複素芳香環を示す。]
で表される基である。

【0037】
R7で示されるアルキル基としては、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基のいずれも採用できる。直鎖アルキル基としては、炭素数1~6(特に1~4)の直鎖アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。分岐鎖アルキル基としては、炭素数3~6(特に3~5)の分岐鎖アルキル基が好ましく、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、ネオペンチル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基等が挙げられる。

【0038】
R7で示されるアルキル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、後述のハロゲン原子、後述のアルコキシ基、後述のアルケニル基、後述のアルキニル基、後述のアリール基、後述のヘテロアリール基、カルボキシ基、アミド基(ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、アセトアミド基等)、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基を有する場合の数は、特に制限されず、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0039】
R7で示されるアルケニル基としては、炭素数2~6(特に2~4)のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基等が挙げられる。

【0040】
R7で示されるアルケニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、後述のハロゲン原子、上記アルキル基、後述のアルコキシ基、上記アルケニル基、後述のアルキニル基、後述のアリール基、後述のヘテロアリール基、カルボキシ基、アミド基(ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、アセトアミド基等)、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基を有する場合の数は、特に制限されず、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0041】
R7で示されるアルキニル基としては、炭素数2~6(特に2~4)のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、1-プロピニル基、プロパルギル基、1-ブチニル基、2-ブチニル基等が挙げられる。

【0042】
R7で示されるアルキニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、後述のハロゲン原子、上記アルキル基、後述のアルコキシ基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、後述のアリール基、後述のヘテロアリール基、カルボキシ基、アミド基(ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、アセトアミド基等)、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基を有する場合の数は、特に制限されず、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0043】
R7で示されるアリール基としては、単環アリール(フェニル基)基及び多環アリール基のいずれも採用することができ、例えば、フェニル基、オリゴアリール基(ナフチル基、アントリル基等)、フェナンスレニル基、フルオレニル基、ピレニル基、トリフェニレニル基、ビフェニル基等が挙げられる。

【0044】
R7で示されるアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、後述のハロゲン原子、上記アルキル基、後述のアルコキシ基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アリール基、後述のヘテロアリール基、カルボキシ基、アミド基(ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、アセトアミド基等)、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基を有する場合の数は、特に制限されず、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0045】
R7で示されるヘテロアリール基としては、例えば、チエニル基、フリル基、ピリジル基等が挙げられる。

【0046】
R7で示されるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、後述のハロゲン原子、上記アルキル基、後述のアルコキシ基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アリール基、上記ヘテロアリール基、カルボキシ基、アミド基(ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、アセトアミド基等)、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基を有する場合の数は、特に制限されず、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0047】
なかでも、R7としては、より高い蛍光量子収率を有し、バイオイメージングの際により認識しやすくする観点から、置換されていてもよいアリール基が好ましく、置換されていてもよい単環アリール基(置換されていてもよいフェニル基)がより好ましく、オルト位に置換基を有する単環アリール基(オルト位に置換基を有するフェニル基)がさらに好ましく、o-トリル基、2,6-ジメトキシフェニル基等が特に好ましい。なお、中性領域における水に対する安定性の観点からは、より嵩高い基とすることが好ましい。

【0048】
Arで示される芳香族炭化水素環としては、単環芳香族炭化水素環(ベンゼン環)及び多環芳香族炭化水素環のいずれも採用でき、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、ピレン環、トリフェニレン環等が挙げられる。

【0049】
Arで示される芳香族炭化水素環が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、後述のハロゲン原子、上記アルキル基、後述のアルコキシ基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アリール基、上記ヘテロアリール基、カルボキシ基、アミド基(ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、アセトアミド基等)、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基を有する場合の数は、特に制限されず、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0050】
Arで示される複素芳香環としては、例えば、チオフェン環、フラン環、ピリジン環等が挙げられる。

【0051】
Arで示される複素芳香環が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、後述のハロゲン原子、上記アルキル基、後述のアルコキシ基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アリール基、上記ヘテロアリール基、カルボキシ基、アミド基(ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、アセトアミド基等)、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基を有する場合の数は、特に制限されず、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0052】
なかでも、Arとしては、より高い蛍光量子収率を有し、バイオイメージングの際により認識しやすくする観点から、置換されていてもよい芳香族炭化水素環が好ましく、置換されていてもよい単環芳香族炭化水素環(置換されていてもよいベンゼン環)がより好ましい。

【0053】
これらのなかでも、R1としては、合成がより容易である観点から、一般式(2A)で表される基が好ましい。なお、R1が一般式(2B)で表される基である場合には、開環及び閉環による蛍光特性のスイッチング(on/off)機能が現れることが期待される。

【0054】
一般式(1)において、R2は、一般式(3A)、(3B)又は(3C):

【0055】
【化8】
JP2017155042A1_000010t.gif

【0056】
[式中、R8は同一又は異なって、ヒドロキシ基、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいアルキニル基、置換されていてもよいアリール基、又は置換されていてもよいヘテロアリール基を示す。R9は水素原子又は置換されていてもよいアルキル基を示す。Yは酸素原子又は硫黄原子を示す。]
で表される基である。

【0057】
R8で示されるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基及びヘテロアリール基としては、上記したものを採用できる。置換基の種類及び数も同様である。

【0058】
R8で示されるアルコキシ基としては、炭素数1~6(特に1~4)のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基、n-ペントキシ基、n-ヘキトキシ基等が挙げられる。

【0059】
R8で示されるアルコキシ基が有していてもよい置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、後述のハロゲン原子、上記アルキル基、上記アルコキシ基、上記アルケニル基、上記アルキニル基、上記アリール基、上記ヘテロアリール基、カルボキシ基、アミド基(ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、アセトアミド基等)、エステル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)等が挙げられる。置換基を有する場合の数は、特に制限されず、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0060】
このR8の種類によっては、電子構造の微調整や物理特性(溶解性、細胞透過性等)の調整を行うことも可能である。特に、合成上の観点から、置換されていてもよいアリール基が好ましく、置換されていてもよい単環アリール基(置換されていてもよいフェニル基)がより好ましく、非置換フェニル基がさらに好ましい。

【0061】
R9で示されるアルキル基としては、上記したものを採用できる。置換基の種類及び数も同様である。

【0062】
Yとしては、酸素原子及び硫黄原子のいずれでもよいが、水溶性がより高く、バイオイメージングの際により利用しやすくする観点から、酸素原子が好ましい。

【0063】
これらのなかでも、R2としては、吸収極大波長及び蛍光極大波長をより長波長にすることができ、さらに、より電子求引性が高く、HOMO準位(最高被占有軌道のエネルギー準位)及びLUMO準位(最低空軌道のエネルギー準位)をより低減させやすいために光に対する安定性をより向上させやすい観点から、一般式(3A)又は(3B)で表される基が好ましく、一般式(3A)で表される基がより好ましい。

【0064】
上記一般式(1)において、R3及びR4で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、耐光性をより高くする観点から、フッ素原子が好ましい。

【0065】
一般式(1)において、R3及びR4で示されるスルホニル基としては、スルホ基(-SO3Hで表される基)のみならず、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、フェニルスルホニル基、p-トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等も挙げられる。

【0066】
一般式(1)において、R3及びR4で示されるアルキル基及びアリール基としては、上記したものを採用できる。置換基の種類及び数も同様である。

【0067】
これらのなかでも、R3及びR4としては、合成がより容易である観点から、水素原子が好ましい。

【0068】
一般式(1)において、R5及びR6で示されるアルキル基、アルケニル基及びアリール基としては、上記したものを採用できる。置換基の種類及び数も同様である。

【0069】
これらのなかでも、R5及びR6としては、合成しやすいとともに、カチオン化させやすく、より幅広い pH の範囲で高い安定性を獲得することができ、吸収極大波長及び蛍光極大波長をより長波長にしやすい観点から、水素原子又はアルキル基がより好ましい。特に、R5及びR6をアルキル基とした場合、R5及びR6が水素原子の場合と比較しても、吸収極大波長及び蛍光極大波長をさらに長波長とすることができ、さらに、幅広いpHの範囲で分解せずに高い安定性を有する。このため、R5及びR6をアルキル基とした場合には、バイオイメージングに通常採用される中性領域(pH6~8程度)であっても分解せずに高い安定性を有するため、高い吸光度を維持することができる。したがって、本発明のジチエノホスホリン化合物において、R5及びR6をアルキル基とした化合物は、バイオイメージング用途に特に有用である。

【0070】
一般式(1)において、Xで示されるアニオンとしては、例えば、ハロゲンイオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、シアン化物イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン等が挙げられる。このアニオンのモル数であるnは、R2が一般式(3A)又は(3C)で表される基の場合は1、R2が一般式(3B)で表される基の場合は2である。

【0071】
このような条件を満たす本発明のジチエノホスホリン化合物としては、合成がより容易であるとともに、耐光性及び水溶性がより高く、より高い蛍光量子収率を有し、より幅広い pH の範囲で高い安定性を獲得することができ、吸収極大波長及び蛍光極大波長をより高くしやすく、バイオイメージングの際により認識しやすくする観点から、一般式(1A):

【0072】
【化9】
JP2017155042A1_000011t.gif

【0073】
[式中、R2、R3、R4、R5、R6、R7、X及びnは前記に同じである。]
で表されるジチエノホスホリン化合物が好ましく、一般式(1A1):

【0074】
【化10】
JP2017155042A1_000012t.gif

【0075】
[式中、R2、R3、R4、R7、X及びnは前記に同じである。R5a及びR6aは同一又は異なって、置換されていてもよいアルキル基を示す。]
で表されるジチエノホスホリン化合物がより好ましい。

【0076】
このような本発明のジチエノホスホリン化合物としては、例えば、

【0077】
【化11】
JP2017155042A1_000013t.gif

【0078】
[式中、Phはフェニル基を示す。Etはエチル基を示す。以下同様である。]
等で表されるジチエノホスホリン化合物等が挙げられ、

【0079】
【化12】
JP2017155042A1_000014t.gif

【0080】
等で表されるジチエノホスホリン化合物が好ましく、

【0081】
【化13】
JP2017155042A1_000015t.gif

【0082】
等で表されるジチエノホスホリン化合物がより好ましい。

【0083】
なお、本発明のジチエノホスホリン化合物は、吸収極大波長が好ましくは650~850nm、より好ましくは700~800nmに有することができ、蛍光極大波長を750~1000nm、より好ましくは800~950nmに有することができるとともに、pHが3~12程度の範囲において、従来の蛍光色素よりも耐光性を飛躍的に向上させることが可能である。このため、吸収極大波長及び蛍光極大波長を、従来のICGと同程度にまで長くしつつ、耐光性をICGよりも飛躍的に向上させることが可能である。このため、従来の蛍光色素と比較しても、より吸収極大波長及び蛍光極大波長を高くすることが可能であり、バイオイメージング用蛍光プローブ、有機EL素子用蛍光材料等の用途に有用である。特に、上記のとおり、R5及びR6をアルキル基とした場合、R5及びR6が水素原子の場合と比較しても、吸収極大波長及び蛍光極大波長をさらに長波長とすることができ、さらに、幅広いpHの範囲で分解せずに高い安定性を有する。このため、R5及びR6をアルキル基とした場合には、バイオイメージングに通常採用される中性領域(pH6~8程度)であっても分解せずに高い安定性を有するため、高い吸光度を維持することができる。したがって、本発明のジチエノホスホリン化合物において、R5及びR6をアルキル基とした化合物は、バイオイメージング用途に特に有用である。

【0084】
なお、本発明のジチエノホスホリン化合物は、水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらの物質はいずれも本発明の範囲に包含される。

【0085】
2.ジチエノホスホリン化合物の製造方法
本発明のジチエノホスホリン化合物は、特に制限されず、様々な方法で合成することが可能である。例えば、R1が一般式(2A)で表される基である本発明のジチエノホスホリン化合物(1A)のうち、R5及びR6が水素原子であるジチエノホスホリン化合物(1A2)は、以下の反応式1:

【0086】
【化14】
JP2017155042A1_000016t.gif

【0087】
[式中、R2、R7、X及びnは前記に同じである。X1は同一又は異なって、ハロゲン原子を示す。R10は同一又は異なって、置換されていてもよいアリール基を示す。]
にしたがって合成することができる。

【0088】
反応式1において、X1で示されるハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、収率の観点から、臭素原子が好ましい。

【0089】
反応式1において、R10で示されるアリール基としては、上記したものを採用できる。置換基の種類及び数も同様である。

【0090】
また、R1が一般式(2A)で表される基であり、R5及びR6が置換されていてもよいアルキル基である本発明のジチエノホスホリン化合物(1A1)は、以下の反応式2:

【0091】
【化15】
JP2017155042A1_000017t.gif

【0092】
[式中、R2、R3、R4、R5a、R6a、R7、X、X1及びnは前記に同じである。]
にしたがって合成することができる。

【0093】
なお、R1が一般式(2A)で表される基であり、R5が置換されていてもよいアルキル基、R6が水素原子である本発明のジチエノホスホリン化合物(1A3)は、以下の反応式3:

【0094】
【化16】
JP2017155042A1_000018t.gif

【0095】
[式中、R2、R3、R4、R5a、R7、R10、X、X1及びnは前記に同じである。]
にしたがって合成することができる。

【0096】
(2-1)化合物(4)→化合物(5)
本工程では、化合物(4)を有機リチウム化合物と反応させた後に、求電子性ハロゲン化剤と反応させ、次いで酸を添加することで、化合物(5)を得ることができる。

【0097】
化合物(4)は、例えば、既報(Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 52, 8990-8994.)にしたがって合成することができる。

【0098】
有機リチウム化合物としては、例えば、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム等のアルキルリチウム;シクロヘキシルリチウム等のシクロアルキルリチウム;フェニルリチウム等のアリールリチウム等の1種又は2種以上が挙げられる。これらのうち、本工程では、収率の観点から、アルキルリチウムが好ましく、sec-ブチルリチウムがより好ましい。有機リチウム化合物の使用量は、合成の容易さ、収率等の観点から、通常、化合物(4)1モルに対して、1~10モルが好ましく、2~5モルがより好ましい。

【0099】
求電子性ハロゲン化剤としては、例えば、ヨウ素(I2)、臭素(Br2)、一塩化ヨウ素(ICl)、N-ヨードスクシンイミド(NIS)、N-ブロモスクシンイミド(NBS)、1,2-ジヨードエタン(ICH2CH2I)、1,2-ジブロモエタン(BrCH2CH2Br)、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(BrCl2CCCl2Br)等の1種又は2種以上が挙げられる。求電子性ハロゲン化剤の使用量は、通常、化合物(4)1モルに対して、1~10モルが好ましく、2~5モルがより好ましい。

【0100】
酸としては、例えば、塩化水素(塩酸)、硫酸、過酸化水素、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、無水トリフルオロ酢酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸等の1種又は2種以上が挙げられる。酸の使用量は、合成の容易さ、収率等の観点から、化合物(4)1モルに対して、0.2~3.0モルが好ましく、0.5~1.5モルがより好ましい。酸が液体である場合は過剰量、例えば溶媒量とすることも可能である。

【0101】
反応は通常反応溶媒の存在下で行うことができる。使用できる反応溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジグライム、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、アニソール等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、合成の容易さ、収率等の観点から、エーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。これらの反応溶媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。

【0102】
反応雰囲気は、通常、不活性ガス雰囲気(アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等)を採用し得る。反応温度は、加熱下、常温下及び冷却下のいずれでも行うことができ、通常、有機リチウム化合物及び求電子性ハロゲン化剤との反応は-150~0℃(特に-100~-50℃)で行い、酸との反応は-50~100℃(特に0~50℃)で行うことが好ましい。反応時間は特に制限されず、反応が十分に進行する時間とすることが好ましい。

【0103】
反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理をすることもできる。また、精製処理を施さずに次の工程を行うこともできる。

【0104】
(2-2)化合物(5)→化合物(6)、化合物(10)→化合物(11)
本工程では、化合物(5)又は化合物(10)と、一般式(8):

【0105】
【化17】
JP2017155042A1_000019t.gif

【0106】
[式中、R10は前記に同じである。]
で表される化合物とを、鈴木-宮浦カップリング反応により反応させることで、化合物(6)又は化合物(11)を得ることができる。

【0107】
化合物(8)の使用量は、通常、化合物(5)又は化合物(10)1モルに対して、1.5~5.0モル(特に2.0~3.0モル)使用することが好ましい。

【0108】
本工程では、鈴木-宮浦カップリングに通常使用されるパラジウム触媒が使用される。具体的には、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)、トリフルオロ酢酸パラジウム、塩化パラジウム、臭化パラジウム、ヨウ化パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd2(dba)3)等が挙げられ、本工程では、合成の容易さ、収率等の観点から、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2)が好ましい。パラジウム触媒の使用量は、合成の容易さ、収率等の観点から、通常、化合物(5)又は化合物(10)1モルに対して、0.02~0.50モルが好ましく、0.05~0.20モルがより好ましい。

【0109】
本工程では、必要に応じて配位子化合物を使用することもできる。使用できる配位子化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメトキシホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(n-ブチル)ホスフィン、トリイソプロポキシホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、2,2’-ビピリジル、ジフェニルホスフィノメタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,5-シクロオクタジエン、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)等の1種又は2種以上が挙げられる。なかでも、本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(BINAP)が好ましい。配位子化合物の使用量は、合成の容易さ、収率等の観点から、通常、パラジウム触媒1モルに対して、0.5~5.0モルが好ましく、1.0~3.0モルがより好ましい。

【0110】
本工程では、必要に応じて、塩基を使用することもできる。塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、リン酸カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられ、本工程では、収率及び合成の容易さの観点から、炭酸セシウムが好ましい。塩基を使用する場合の使用量は、合成の容易さ、収率等の観点から、化合物(5)又は化合物(10)1モルに対して、1~5モルが好ましく、1.5~3モルがより好ましい。

【0111】
反応は通常反応溶媒の存在下で行うことができる。使用できる反応溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジグライム、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、アニソール等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;アセトニトリル等のニトリル系溶媒;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒等が挙げられ、合成の容易さ、収率等の観点から、芳香族炭化水素が好ましく、トルエンがより好ましい。これらの反応溶媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。

【0112】
反応雰囲気は、通常、不活性ガス雰囲気(アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等)を採用し得る。反応温度は、加熱下、常温下及び冷却下のいずれでも行うことができ、通常、0~150℃(特に50~100℃)で行うことが好ましい。反応時間は特に制限されず、反応が十分に進行する時間とすることが好ましい。

【0113】
反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理をすることもできる。また、精製処理を施さずに次の工程を行うこともできる。

【0114】
(2-3)化合物(5)→化合物(9)、化合物(10)
本工程では、化合物(5)とジアルキルアミン化合物とを反応させることで、化合物(9)又は化合物(10)を得ることができる。

【0115】
ジアルキルアミン化合物としては、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A1)又はジチエノホスホリン化合物(1A3)において、所望のR5a及び必要に応じてR6aを導入できるものが好ましく、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ(n-プロピル)アミン、ジイソプロピルアミン、ジ(n-ブチル)アミン、ジイソブチルアミン、ジ(sec-ブチル)アミン、ジ(tert-ブチル)アミン、メチルエチルアミン、イソプロピルエチルアミン等の1種又は2種以上が挙げられ、合成の容易さの観点から、ジエチルアミンが好ましい。ジアルキルアミン化合物の使用量は、収率等の観点から、化合物(5)に対して過剰量とすることが好ましく、溶媒量とすることも可能である。

【0116】
反応は通常反応溶媒の存在下で行うことができる。使用できる反応溶媒としては、例えば、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジグライム等のエーテル;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒等が挙げられ、合成の容易さ、収率等の観点から、アミド系溶媒が好ましく、ジメチルホルムアミドがより好ましい。これらの反応溶媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。

【0117】
反応雰囲気は、通常、不活性ガス雰囲気(アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等)を採用し得る。反応温度は、加熱下、常温下及び冷却下のいずれでも行うことができ、通常、50~150℃(特に80~130℃)で行うことが好ましい。なお、高温(100~150℃等)で反応させた場合は化合物(9)が得られ、低温(50~100℃等)で反応させた場合は化合物(10)が得られる。反応時間は特に制限されず、反応が十分に進行する時間とすることが好ましい。

【0118】
反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製処理をすることもできる。また、精製処理を施さずに次の工程を行うこともできる。

【0119】
(2-4)化合物(6)→化合物(1A2)、化合物(11)→化合物(1A3)
本工程では、化合物(6)又は化合物(11)と有機金属求核剤(グリニャール試薬、有機リチウム化合物等)及び酸試薬とを反応させることで、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A2)又はジチエノホスホリン化合物(1A3)を得ることができる。この際、酸試薬中に含まれるアニオンが、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A2)又はジチエノホスホリン化合物(1A3)のアニオンXを構成する。

【0120】
グリニャール試薬としては、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A2)又はジチエノホスホリン化合物(1A3)において所望のR7を導入できるものが好ましく、R7MgX2(R7は前記に同じである。X2はハロゲン原子を示す。)で表される有機マグネシウム化合物が好ましい。

【0121】
X2で示されるハロゲン原子としては、上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。

【0122】
このような条件を満たすグリニャール試薬としては、例えば、

【0123】
【化18】
JP2017155042A1_000020t.gif

【0124】
等が挙げられる。

【0125】
有機リチウム化合物としては、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A2)又はジチエノホスホリン化合物(1A3)において所望のR7を導入できるものが好ましく、R7Li(R7は前記に同じである。)で表される有機リチウム化合物が好ましい。

【0126】
このような条件を満たす有機リチウム化合物としては、例えば、

【0127】
【化19】
JP2017155042A1_000021t.gif

【0128】
等が挙げられる。

【0129】
有機金属求核剤の使用量は、収率等の観点から、化合物(6)又は化合物(11)1モルに対して、0.2~30.0モル(特に0.5~15.0モル)使用することが好ましい。化合物(1A2)を得ようとする場合は多め(5.0~30.0モル等)に使用することが好ましく、化合物(1A3)を得ようとする場合は少なめ(0.2~5.0モル等)に使用することが好ましい。

【0130】
酸試薬としては、例えば、塩化水素(塩酸)、硫酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、無水トリフルオロ酢酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、トリフルオロメタンスルホン酸等を使用することができる。酸試薬の使用量は、合成の容易さ、収率等の観点から、化合物(6)1モルに対して、0.2~3.0モルが好ましく、0.5~1.5モルがより好ましい。酸試薬が液体である場合は過剰量、例えば溶媒量とすることも可能である。

【0131】
反応は通常反応溶媒の存在下で行うことができる。使用できる反応溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジグライム、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、アニソール等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、合成の容易さ、収率等の観点から、エーテルが好ましく、テトラヒドロフランがより好ましい。これらの反応溶媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。

【0132】
反応雰囲気は、通常、不活性ガス雰囲気(アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等)を採用し得る。反応温度は、加熱下、常温下及び冷却下のいずれでも行うことができ、通常、-50~150℃(特に0~100℃)で行うことが好ましい。反応時間は特に制限されず、反応が十分に進行する時間とすることが好ましい。

【0133】
反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製し、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A2)又はジチエノホスホリン化合物(1A3)を得ることができる。

【0134】
なお、本工程は、上記のみに限定されず、化合物(6)又は化合物(11)と第一酸試薬(塩酸等)とを反応させて一般式(7)又は(12):

【0135】
【化20】
JP2017155042A1_000022t.gif

【0136】
[式中、R2、R3、R4及びR5aは前記に同じである。]
で表される化合物を得た後に、化合物(7)又は化合物(12)とグリニャール試薬とを反応させ、その後、第二酸試薬(塩酸、トリフルオロ酢酸等)と反応させることで、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A2)又はジチエノホスホリン化合物(1A3)を得ることも可能である。この際、第二酸試薬中に含まれるアニオンが、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A2)又はジチエノホスホリン化合物(1A3)のアニオンXを構成する。

【0137】
(2-5)化合物(9)→化合物(1A1)
本工程では、化合物(9)と有機ハロゲン化合物とを反応させた後に、有機金属求核剤(グリニャール試薬、有機リチウム化合物等)及び酸試薬と反応させることで、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A1)を得ることができる。この際、酸試薬中に含まれるアニオンが、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A1)のアニオンXを構成する。

【0138】
有機ハロゲン化合物としては、例えば、トリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリフェニルクロロシラン等のハロゲン化シランの1種又は2種以上が挙げられる。有機ハロゲン化合物の使用量は、合成の容易さ、収率等の観点から、化合物(9)1モルに対して、2.0~20.0モルが好ましく、3.0~10.0モルがより好ましい。

【0139】
グリニャール試薬及び有機リチウム化合物としては、上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。

【0140】
有機金属求核剤の使用量は、収率等の観点から、化合物(9)1モルに対して、1.0~30.0モル(特に2.0~15.0モル)使用することが好ましい。

【0141】
酸試薬としては、上記したものを採用できる。好ましい具体例も同様である。酸試薬の使用量は、合成の容易さ、収率等の観点から、化合物(9)1モルに対して、0.2~3.0モルが好ましく、0.5~1.5モルがより好ましい。酸試薬が液体である場合は過剰量、例えば溶媒量とすることも可能である。

【0142】
反応は通常反応溶媒の存在下で行うことができる。使用できる反応溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)、ジグライム、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル(TBME)、アニソール等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等が挙げられ、合成の容易さ、収率等の観点から、エーテルが好ましく、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)がより好ましい。これらの反応溶媒は単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。

【0143】
反応雰囲気は、通常、不活性ガス雰囲気(アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等)を採用し得る。反応温度は、加熱下、常温下及び冷却下のいずれでも行うことができ、通常、-50~150℃(特に0~100℃)で行うことが好ましい。反応時間は特に制限されず、反応が十分に進行する時間とすることが好ましい。

【0144】
反応終了後は、必要に応じて常法にしたがって精製し、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A1)を得ることができる。

【0145】
また、上記では、本発明のジチエノホスホリン化合物(1A)の製造方法の一例を示したが、本発明のジチエノホスホリン化合物は、上記方法に限定されず、様々な方法で製造することができる。

【0146】
例えば、R1が一般式(2B)で表される基である本発明のジチエノホスホリン化合物は、例えば、o-ハロゲン化安息香酸アルキル(o-ブロモ安息香酸メチル等)から誘導されるグリニャール試薬を用いること以外は反応式1と同様に処理を行い、安息香酸エステル部位を有するジチエノホスホリン化合物を合成した後、酸性条件又は塩基性条件下にエステル部位を加水分解することで製造することができる。

【0147】
3.蛍光色素
本発明の蛍光色素は、上記の本発明のジチエノホスホリン化合物を含有する。

【0148】
本発明の蛍光色素は、ローダミン色素のベンゼン環部位をチオフェン骨格に置き換えるとともに、骨格内酸素原子をリン含有基に置き換えたため、吸収極大波長が好ましくは650~850nm、より好ましくは700~800nmに有することができ、蛍光極大波長を750~1000nm、より好ましくは800~950nmに有することができるとともに、pHが3~12程度の範囲において、従来の蛍光色素よりも耐光性を飛躍的に向上させることが可能である。このため、吸収極大波長及び蛍光極大波長を、従来のICGと同程度にまで長くし、高い蛍光量子収率を有しつつ、耐光性をICGよりも飛躍的に向上させることが可能である。しかも、要求特性に応じて、R1に所望の基を導入することが可能である。このため、本発明の蛍光色素は、バイオイメージング用蛍光プローブ、有機EL素子用蛍光材料等の用途に特に有用である。特に、本発明のジチエノホスホリン化合物は、吸収極大波長及び蛍光極大波長を高い波長に有しつつも、高波長領域に吸収極大波長及び蛍光極大波長を有する従来の蛍光色素にはなかった高い蛍光量子収率を有し、さらに耐光性を飛躍的に向上させることができるため、バイオイメージングがしやすいとともに、バイオイメージングに必要な蛍光色素濃度を低く抑えることができ、生体へのダメージを大幅に低減でき、生体深部の観測を長時間にわたって行うことが可能である。なかでも、上記のとおり、R5及びR6をアルキル基とした場合、R5及びR6が水素原子の場合と比較しても、吸収極大波長及び蛍光極大波長をさらに長波長とすることができ、さらに、幅広いpHの範囲で分解せずに高い安定性を有する。このため、R5及びR6をアルキル基とした場合には、バイオイメージングに通常採用される中性領域(pH6~8程度)であっても分解せずに高い安定性を有するため、高い吸光度を維持することができる。したがって、本発明のジチエノホスホリン化合物において、R5及びR6をアルキル基とした化合物は、バイオイメージング用蛍光色素として特に有用である。

【0149】
本発明の蛍光色素をバイオイメージング用途に使用する場合、有機溶媒中に溶解させて溶液とすることが好ましく、本発明のジチエノホスホリン化合物の含有量は、1×10-8~1×10-4mol/Lが好ましく、1×10-7~1×10-5mol/Lがより好ましい。このように、本発明では、従来の蛍光色素と比較し、ジチエノホスホリン化合物の含有量を低く抑えることができる。

【0150】
本発明の蛍光色素(ジチエノホスホリン化合物)を溶液とする場合、使用し得る有機溶媒としては、特に制限はなく、極性溶媒及び非極性溶媒のいずれも使用できる。

【0151】
極性溶媒としては、例えば、エーテル化合物(テトラヒドロフラン、アニソール、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル等)、アルコール(メタノール、エタノール、アリルアルコール等)、エステル化合物(酢酸エチル等)、ケトン(アセトン等)、ハロゲン化炭化水素(ジクロロメタン、クロロホルム)、ジメチルスルホキシド、アミド系溶媒(N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、N-メチルピロリドン等)等が挙げられる。

【0152】
非極性溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族有機溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族溶媒等が挙げられる。

【0153】
溶液とする場合、吸収極大波長及び蛍光極大波長を高くしつつも、生理的条件下でもより十分に高い蛍光量子収率としつつ、耐光性にも優れ、細胞中に投入する観点から、pHは3~12程度が好ましい。本発明の細胞検出剤のpHを調整するために、緩衝剤(ヘペス緩衝剤、トリス緩衝剤、トリシン-水酸化ナトリウム緩衝剤、リン酸系緩衝剤、リン酸緩衝生理食塩水等)等を使用することもできる。
【実施例】
【0154】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
【実施例】
【0155】
一般操作
1H NMR、13C NMR及び31P NMRスペクトルは核磁気共鳴装置AL-400(JEOL, 400 MHz for 1H, 162 MHz for 31P)を用いて測定した。1H NMRの化学シフト値は、重クロロホルム又は重メタノールの残留プロトンのシグナル(それぞれδ 7.26ppm, 3.31ppm)を内部標準として決定した。31P NMRの化学シフト値はH3PO4(δ 0.00ppm)を外部標準として決定した。カラムクロマトグラフィーには、シリカゲルPSQ 100B(富士シリシア化学(株))を用いた。分取リサイクルHPLCにはLC-Forte/R(YMCテクノス(株))又は日本分析工業(株)LC-9201を使用した。紫外可視吸収スペクトルの測定には、紫外可視近赤外分光光度計UV-3150((株)島津製作所)を用いた。蛍光スペクトルは、蛍光光度計Fluorolog-3(HORIBA)を用いて測定した。絶対蛍光量子収率は、マルチチャンネル分光器PMA-12を備えた絶対PL量子収率測定装置(浜松ホトニクス(株))を用いて測定した。反応には特に記述のない限り、市販の脱水溶媒(関東化学(株))をGlass Contour有機溶媒精製装置(ニッコー・ハンセン(株))で精製したものを用い、窒素雰囲気下で行った。
【実施例】
【0156】
[実施例1]
【実施例】
【0157】
【化21】
JP2017155042A1_000023t.gif
【実施例】
【0158】
[式中、n-BuLiはn-ブチルリチウムを示す。THFはテトラヒドロフランを示す。Et2Oはジエチルエーテルを示す。PhPCl2はフェニルジクロロホスフィンを示す。sec-BuLiはsec-ブチルリチウムを示す。Ph2C=NHはベンゾフェノンイミンを示す。Pd(OAc)2は酢酸パラジウムを示す。BINAPは2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルを示す。Phはフェニル基を示す。以下同様である。]
【実施例】
【0159】
ジチエノ[2,3-b;3’,2’-e]-4-(2,5-ジオキソラニル)-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物3)の合成
無水テトラヒドロフラン/ジエチルエーテル(THF/Et2O; 1: 3, 66mL)中のビス(2-ブロモチエノ)-2,5-ジオキソラン(化合物2; 1.02g, 2.56mmol)の溶液に、n-ブチルリチウム(n-BuLi; 1.60M, 3.48mL, 5.12mmol)を-78℃で添加した。1時間撹拌した後、ジエチルエーテル(Et2O; 1.65mL)中のフェニルジクロロホスフィン(PhPCl2; 0.41mL, 3.07mmol)の溶液を-78℃でゆっくりと添加した。同じ温度でさらに1時間撹拌した後、室温まで昇温し、34.5%H2O2水溶液(2.0mL)を加えた。混合物を1時間撹拌した後、飽和Na2SO3水溶液及び飽和NH4Cl水溶液でクエンチした。得られた溶液をCHCl3(15mL×4)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過した。揮発物質を減圧下で除去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてCHCl3/酢酸エチル= 5/1, Rf= 0.38)で精製し、白色固体として化合物3を得た(0.640g, 1.77mol, 69%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.80-7.74 (m, 2H), 7.48-7.38 (m, 5H), 7.32 (dd, J = 4.8, 4.8 Hz, 2H), 4.45 (t, J = 6.0 Hz, 3H), 4.35 (t, J = 6.0 Hz, 3H). 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 151.9 (d, JCP = 10.7 Hz), 132.7 (d, JCP = 105.8 Hz), 132.3 (d, JCP = 113.3 Hz), 131.9 (d, JCP = 10.7 Hz), 131.9 (d, JCP = 3.3 Hz), 131.0 (d, JCP = 11.6 Hz), 128.7 (d, JCP = 12.4 Hz), 128.0 (d, JCP = 10.7 Hz), 127.8 (d, JCP = 5.8 Hz), 101.7 (d, JCP = 5.8 Hz), 67.3 (s), 65.3 (s). 31P{1H} NMR(CDCl3, 162 MHz) δ 2.9. HRMS(ESI): m/z calcd. For C17H14O3PS2: 361.0122 ([M+H]+); found. 361.0117。
【実施例】
【0160】
ビス(5-ブロモチエノ)[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物4)の合成
無水テトラヒドロフラン(THF; 20mL)中のジチエノ[2,3-b;3’,2’-e]-4-(2,5-ジオキソラニル)-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物3; 0.802g, 2.23mmol)の溶液に、シクロヘキサン及びヘキサン中のsec-ブチルリチウム(sec-BuLi; 1.05M, 6.34mL, 6.66mmol)を-78℃で添加した。1時間撹拌した後、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(BrCl2CCCl2Br; 2.34g, 7.19mmol) を加えた。同じ温度でさらに1時間撹拌した後、溶液を室温まで昇温し37%HCl水溶液(16mL)を加えた。混合物を11時間撹拌した後、飽和NH4Cl水溶液でクエンチした。得られた溶液をCHCl3(10mL×4)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過した。揮発物質を減圧下で除去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてCHCl3, Rf= 0.23)及びHPLC(silica gel Wakosil-II 5SIL-Prep, 溶離液としてCHCl3)で精製し、淡黄色固体として化合物4を得た(0.583g, 1.23mol, 55%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.70-7.64 (m, 2H), 7.62-7.58 (m, 1H), 7.52-7.48 (m, 2H), 7.36 (d, J = 4.8 Hz, 2H). 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 170.3 (d, JCP = 5.8 Hz), 146.5 (d, JCP = 8.3 Hz), 140.4 (d, JCP = 99.7 Hz), 133.4 (d, JCP = 3.7 Hz), 132.8 (d, JCP = 12.3 Hz), 131.1 (d, JCP = 11.6 Hz), 129.5 (d, JCP = 14.0 Hz), 129.2 (d, JCP = 113.6 Hz), 125.8 (d, JCP = 19.8 Hz). 31P{1H} NMR (CDCl3, 162 MHz) δ -0.5. HRMS(ESI): m/z calcd. For C15H8Br2O2PS2: 472.8070 ([M+H]+); found. 472.8064。
【実施例】
【0161】
ビス{[5-(1,1-ジフェニルメチル)イミノ]チエノ}[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物5)の合成
無水トルエン(16 mL)中のビス(5-ブロモチエノ)[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物4; 200mg, 0.422mmol)に、ベンゾフェノンイミン(Ph2C=NH; 192mg, 1.06mmol)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2; 9.5mg, 0.041mmol)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP; 39.8mg, 0.064mmol)、及びCs2CO3(342mg, 1.05mmol)を添加し、90℃で撹拌した。同じ温度で21時間加熱した後、飽和NH4Cl水溶液でクエンチした。得られた溶液をCHCl3(4mL×8)で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過した。揮発物質を減圧下で除去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてCHCl3/酢酸エチル= 20/1, Rf= 0.30)及びHPLC(silica gel Wakosil-II 5SIL-Prep, 溶離液としてCHCl3/酢酸エチル= 20/1)で精製し、橙色固体として化合物5を得た(0.244g, 0.363mmol, 86%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.75-7.33 (d, J = 7.6 Hz, 4H), 7.62-7.37 (m, 17H), 7.19 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 7.05 (d, J = 5.6 Hz, 2H). 31P{1H} NMR(CDCl3, 162 MHz) δ 1.0。
【実施例】
【0162】
ビス(5-アミノチエノ)[2,3-b;3’,2’-e]-4-(o-トリル)-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド・トリフルオロアセテート(化合物1+・TFA-)の合成
テトラヒドロフラン(THF; 1.2mL)中のビス{[5-(1,1-ジフェニルメチル)イミノ]チエノ}[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物5; 101mg, 0.150mmol)の溶液に、o-トリルマグネシウムブロミド(1.03M, 1.43mL)を室温で滴下し、60℃で撹拌した。16時間撹拌した後、混合物を室温に冷却し、トリフルオロ酢酸(TFA; 0.83mL)及び蒸留水(1.66mL)を添加した。さらに4時間撹拌した後、飽和NaHCO3水溶液でクエンチした。減圧下で溶媒を除去し、得られた固体をCHCl3及び蒸留水で洗浄した。得られた固体を分取 HPLC(YMC-DispoPack AT, 溶離液として30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製し、青緑色固体として化合物1+・TFA-を得た(3.5mg, 6.6μmol, 4%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.81-7.71 (m, 3H), 7.66-7.62 (m, 2H), 7.54-7.50 (m, 1H), 7.45-7.40 (m, 3H), 6.98 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 2.36 (s, 3H). 31P{1H} NMR(CD3OD, 162 MHz) δ 4.6。
【実施例】
【0163】
[実施例2]
【実施例】
【0164】
【化22】
JP2017155042A1_000024t.gif
【実施例】
【0165】
[式中、Meはメチル基を示す。Phはフェニル基を示す。以下同様である。]
ビス(5-アミノチエノ)[2,3-b;3’,2’-e]-4-(2,6-ジメトキシ)-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド・トリフルオロアセテート(化合物6+・TFA-)の合成
テトラヒドロフラン(THF; 2.0mL)中のビス{[5-(1,1-ジフェニルメチル)イミノ]チエノ}[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物5; 95.2mg, 0.141mmol)の溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(18.6μL, 0.148mmol)を-78℃で添加した。40分撹拌した後、2,6-ジメトキシブロモベンゼンから調製した2,6-ジメトキシフェニルリチウムのテトラヒドロフラン(THF)溶液(0.27M, 2.10mL)を添加し、ゆっくりと室温に戻した。2時間撹拌した後、0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液(10mL)を加え、1時間撹拌した。減圧下で溶媒を留去し、得られた組成生物を分取HPLC(YMC-DispoPack AT(ODS: 12g, 50μm)及び(YMC-Actus Triart C18 ExRS, CH3CN/H2O = 2/8 to 10/0 containing 0.1% TFA)により精製し、青緑色固体として化合物6+・TFA-を得た(6.2mg, 7%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.83-7.78 (m, 2H), 7.73-7.69 (m, 1H), 7.64-7.60 (m, 2H), 7.58 (t, J = 8.8 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 6.85 (2d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.86, 3.85 (2s, 6H). 31P{1H} NMR(CD3OD, 162 MHz) δ 4.8。
【実施例】
【0166】
[実施例3]
【実施例】
【0167】
【化23】
JP2017155042A1_000025t.gif
【実施例】
【0168】
[式中、n-BuLiはn-ブチルリチウムを示す。THFはテトラヒドロフランを示す。Et2Oはジエチルエーテルを示す。PhPCl2はフェニルジクロロホスフィンを示す。Phはフェニル基を示す。sec-BuLiはsec-ブチルリチウムを示す。Et2NHはジエチルアミンを示す。DMFはジメチルホルムアミドを示す。CPMEはシクロペンチルメチルエーテルを示す。iPrはイソプロピル基を示す。以下同様である。]
【実施例】
【0169】
ジチエノ[2,3-b;3’,2’-e]-4-(2,5-ジオキソラニル)-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物3)の合成
実施例1と同様に、化合物3を合成した。
【実施例】
【0170】
ビス(5-ブロモチエノ)[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物4)の合成
実施例1と同様に、化合物4を合成した。
【実施例】
【0171】
ビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物7)の合成
ジメチルホルムアミド(DMF; 1.25mL)中のビス(5-ブロモチエノ)[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物4; 255mg, 0.539mmol)の溶液に、ジエチルアミン(2.75mL, 26.9mmol)を添加し、110℃で撹拌した。同じ温度で3日間撹拌した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてCHCl3/ヘキサン= 2/1, Rf= 0.25)及びHPLC(silica gel Wakosil-II 5SIL-Prep, 溶離液としてCHCl3)で精製し、赤色固体として化合物7を得た(83.2mg, 0.280mmol, 52%)。
1H NMR (600 MHz, CDCl3): δ 7.76-7.73 (m, 2H), 7.52-7.49 (m, 1H), 7.24-7.42 (m, 2H), 6.09 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 3.35 (q, J = 7.2 Hz, 8H), 1.20 (t, J = 7.2 Hz, 3H). 13C{1H} NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 170.1 (d, JCP = 6.6 Hz), 164.3 (d, JCP = 19.0 Hz), 140.0 (d, JCP = 102.1 Hz), 132.5 (d, JCP = 109.5 Hz), 132.2 (d, JCP = 3.3 Hz), 130.8 (d, JCP = 10.7 Hz), 128.9 (d, JCP = 13.2 Hz), 127.3 (d, JCP = 9.9 Hz), 102.9 (d, JCP = 13.2 Hz), 47.3 (s), 12.2 (s). 31P{1H} NMR(CDCl3, 162 MHz) δ 3.2. HRMS(ESI): m/z calcd. For C23H28N2O2PS2: 459.1330 ([M+H]+); found. 459.1326。
【実施例】
【0172】
ビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-(o-トリル)-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド・トリフルオロアセテート(化合物8a+・TFA-)の合成(その1)
テトラヒドロフラン(THF; 6.0 mL)中のビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド(化合物7; 98.2mg, 0.214mmol)の溶液に、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(27.0μL, 0.218mmol)を-78℃で添加した。40分撹拌した後、調製したo-トリルリチウム(0.22M, 2.92mL)を添加し、ゆっくりと室温に戻した。2時間撹拌した後、1N塩酸水溶液(10mL)を加え、10分間撹拌した。水層をCH2Cl2(15mL×4)で抽出し、有機層を無水Na2SO4で乾燥後、ろ過した。得られた粗生成物を分取HPLC(YMC-DispoPack AT (ODS: 12g, 50μm), CH3CN/H2O= 2/8 to 10/0 containing 0.1% TFA)、(YMC-Actus SIL, CHCl3/メタノール= 20/1, Rf= 0.35)及び(YMC-Actus Triart C18 ExRS, CH3CN/H2O= 2/8 to 10/0 containing 0.1% TFA)で精製し、緑色固体として化合物8a+・TFA-を得た(8.4mg, 6%)。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): δ 7.80-7.75 (m, 2H), 7.68 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.59-7.51 (m, 3H), 7.45-7.35 (m, 3H), 6.92 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 3.51 (q, J = 7.2 Hz, 8H), 2.38 (s, 3H), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, 12H). 31P{1H} NMR(CD3OD, 162 MHz) δ 5.2. HRMS(ESI): m/z calcd. For C30H34N2OPS2: 533.1850 ([M-CF3CO2]+); found. 533.1851。
【実施例】
【0173】
ビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-(o-トリル)-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド・トリフルオロアセテート(化合物8a+・TFA-)の合成(その2)
トルエン(1mL)中のビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド(化合物7; 40.3mg, 0.0872mmol)の溶液に、トリクロロシラン(44.0μL, 0.436mmol)を加え、室温で撹拌した。6時間撹拌した後、窒素雰囲気下で混合物をシリカゲルパッド(溶離液としてTHF)でろ過した。溶媒を減圧下で除去し、続いて無水シクロペンチルメチルエーテル(CPME; 5mL)を添加した。この混合物を-78℃に冷却し、2-ブロモトルエン(63.0μL, 0.523mmol)、tert-ブチルリチウム(t-BuLi; 1.64M, 0.32mL, 0.523mmol)、及びシクロペンチルメチルエーテル(CPME; 1mL)から調製したo-トリルリチウム溶液を-78℃で添加した。反応混合物を70℃に加熱し、16時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、34.5%H2O2水溶液(0.05mL)を添加した。5分間撹拌した後、Na2SO3水溶液で反応をクエンチした。得られた溶液をCHCl3で抽出し、溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-DispoPack AT, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製した。溶離液をCHCl3で抽出した。合わせた溶液から溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-Actus Triart, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製し、緑色固体として化合物8a+・TFA-を得た(30.8mg, 48.8μmol, 56%)。
1H NMR (400 MHz, CD2Cl2): δ 7.80-7.75 (m, 2H), 7.68 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 7.59-7.51 (m, 3H), 7.45-7.35 (m, 3H), 6.92 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 3.51 (q, J = 7.2 Hz, 8H), 2.38 (s, 3H), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, 12H). 31P{1H} NMR (CD3OD, 162 MHz) δ 5.2. HRMS(ESI): m/z calcd. For C30H34N2OPS2: 533.1850 ([M-CF3CO2]+); found. 533.1851。
【実施例】
【0174】
ビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-(2,6-ジメチルフェニル)-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド・トリフルオロアセテート(化合物8b+・TFA-)の合成
トルエン(2mL)中のビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド(化合物7; 80.5mg, 0.174mmol)の溶液に、トリクロロシラン(90.0μL, 0.890mmol)を加え、室温で撹拌した。15時間撹拌した後、窒素雰囲気下で混合物をシリカゲルパッド(溶離液としてTHF)でろ過した。溶媒を減圧下で除去し、続いて無水シクロペンチルメチルエーテル(CPME; 5mL)を添加した。この混合物を-78℃に冷却し、1-ブロモ-2,6-ジメチルベンゼン(0.140mL, 1.02mmol)、tert-ブチルリチウム(t-BuLi; 1.64M, 0.64mL, 1.04mmol)、及びシクロペンチルメチルエーテル(CPME; 2mL)から調製した2,6-ジメチルフェニルリチウム溶液を-78℃で添加した。反応混合物を70℃に加熱し、18時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、34.5%H2O2水溶液(0.05mL)を添加した。5分間撹拌した後、Na2SO3水溶液で反応をクエンチした。得られた溶液をCHCl3で抽出し、溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-DispoPack AT, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製した。溶離液をCHCl3で抽出した。合わせた溶液から溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-Actus Triart, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製し、緑色固体として化合物8b+・TFA-を得た(40.9mg, 63.4μmol, 36%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.86-7.81 (m, 2H), 7.75-7.71 (m, 1H), 7.66-7.61 (m, 2H), 7.41 (t, J = 8.0 Hz 1H), 7.29-7.26 (m, 4H), 3.62 (q, J = 7.2 Hz 8H), 2.34 and 2.33 (double singlet, 6H), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, 12H). 31P{1H} NMR(CD3OD, 162 MHz) δ 5.3. HRMS(ESI): m/z calcd. For C31H36N2OPS2: 547.2007 ([M-CF3CO2]+); found. 547.2002。
【実施例】
【0175】
ビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-(2,6-ジメトキシフェニル)-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド・トリフルオロアセテート(化合物8c+・TFA-)の合成
トルエン(1mL)中のビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド(化合物7; 42.1mg, 0.0918mmol)の溶液に、トリクロロシラン(45.0μL, 0.445mmol)を加え、室温で撹拌した。5時間撹拌した後、窒素雰囲気下で混合物をシリカゲルパッド(溶離液としてTHF)でろ過した。溶媒を減圧下で除去し、続いて無水シクロペンチルメチルエーテル(CPME; 5mL)を添加した。この混合物を-78℃に冷却し、1-ブロモ-2,6-ジメトキシベンゼン(119mg, 0.546mmol)、tert-ブチルリチウム(t-BuLi; 1.64M, 0.32mL, 0.523mmol)、及びシクロペンチルメチルエーテル(CPME; 5mL)から調製した2,6-ジメトキシフェニルリチウム溶液を-78℃で添加した。反応混合物を70℃に加熱し、13時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、34.5%H2O2水溶液(0.1mL)を添加した。5分間撹拌した後、Na2SO3水溶液で反応をクエンチした。得られた溶液をCHCl3で抽出し、溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-DispoPack AT, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製した。溶離液をCHCl3で抽出した。合わせた溶液から溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-Actus Triart, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製し、緑色固体として化合物8c+・TFA-を得た(42.9mg, 63.4μmol, 69%)。
1H NMR (600 MHz, CD3OD): δ 7.86-7.83 (m, 2H), 7.71-7.69 (m, 1H), 7.63-7.60 (m, 2H), 7.56 (t, J = 9.0 Hz, 1H), 7.15 (d, J = 6.6 Hz, 2H), 6.87 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 6.86 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 3.864 and 3.855 (double singlet, 6H), 3.60 (q, J = 7.2 Hz, 8H), 1.24 (t, 6.6 Hz, 12H). 31P{1H} NMR (CD3OD, 162 MHz) δ 5.2. HRMS(ESI): m/z calcd. For C31H36N2O3PS2: 579.1905 ([M-CF3CO2]+); found. 579.1904。
【実施例】
【0176】
ビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-(2,4,6-トリイソプロピルフェニル)-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド・トリフルオロアセテート(化合物8d+・TFA-)の合成
トルエン(1mL)中のビス[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド(化合物7; 40.3mg, 0.0872mmol)の溶液に、トリクロロシラン(44.0μL, 0.436mmol)を加え、室温で撹拌した。6時間撹拌した後、窒素雰囲気下で混合物をシリカゲルパッド(溶離液としてTHF)でろ過した。溶媒を減圧下で除去し、続いて無水シクロペンチルメチルエーテル(CPME; 5mL)を添加した。この混合物を-78℃に冷却し、1-ブロモ-2,4,6-トリイソプロピルベンゼン(0.13mL, 0.523mmol)、tert-ブチルリチウム(t-BuLi; 1.64M, 0.32mL, 0.523mmol)、及びシクロペンチルメチルエーテル(CPME; 1mL)から調製した2,4,6-トリスイソプロピルフェニルリチウム溶液を-78℃で添加した。反応混合物を70℃に加熱し、16時間撹拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、34.5%H2O2水溶液(0.05mL)を添加した。5分間撹拌した後、Na2SO3水溶液で反応をクエンチした。得られた溶液をCHCl3で抽出し、溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-DispoPack AT, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製した。溶離液をCHCl3で抽出した。合わせた溶液から溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-Actus Triart, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製し、緑色固体として化合物8d+・TFA-を得た(25.5mg, 34.3μmol, 39%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.82-7.72 (m, 3H), 7.67-7.62 (m, 2H), 7.29-7.26 (m, 4H), 3.62 (q, J = 6.8 Hz,8H), 3.02-2.92 (m, 3H), 1.33-1.23 (m, 30H). 31P{1H} NMR(CD3OD, 162 MHz) δ 5.3. HRMS(ESI): m/z calcd. For C38H50N2OPS2: 645.3102 ([M-CF3CO2]+); found. 645.3098。
【実施例】
【0177】
[実施例4]
【実施例】
【0178】
【化24】
JP2017155042A1_000026t.gif
【実施例】
【0179】
[式中、Phはフェニル基を示す。Et2NHはジエチルアミンを示す。DMFはジメチルホルムアミドを示す。Ph2C=NHはベンゾフェノンイミンを示す。Pd(OAc)2は酢酸パラジウムを示す。BINAPは2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチルを示す。THFはテトラヒドロフランを示す。以下同様である。]
【実施例】
【0180】
ジチエノ[2,3-b;3’,2’-e]-4-(2,5-ジオキソラニル)-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物3)の合成
実施例1と同様に、化合物3を合成した。
【実施例】
【0181】
ビス(5-ブロモチエノ)[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物4)の合成
実施例1と同様に、化合物4を合成した。
【実施例】
【0182】
5-(ジエチルアミノ)チエノ[2,3-b]-5’-ブロモチエノ[3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物9)の合成
ジメチルホルムアミド(DMF; 1mL)中のビス(5-ブロモチエノ)[2,3-b;3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物4; 50.9mg, 0.107mmol)の溶液に、ジエチルアミン(0.11mL, 1.05mmol)を添加し、80℃で撹拌した。同じ温度で12時間撹拌した後、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてCHCl3, Rf= 0.21)で精製し、橙色固体として化合物9を得た(42.7mg, 91.6μmol, 89%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.73-7.67 (m 2H), 7.57-7.53 (m, 1H), 7.45-7.44 (m, 2H), 7.28 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 6.16 (d, J = 6.4 Hz, 1H), 3.40 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 1.32 (t, J = 7.2 Hz, 6H). 31P{1H} NMR (CDCl3, 162 MHz) δ 1.4。
【実施例】
【0183】
[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b]-{5’-[(1,1-ジフェニルメチル)イミノ]チエノ}[3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物10)の合成
無水トルエン(25mL)中の5-(ジエチルアミノ)チエノ[2,3-b]-5’-ブロモチエノ[3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物9; 380mg, 0.815mmol)に、ベンゾフェノンイミン(Ph2C=NH; 219mg, 1.21mmol)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2; 20.7mg, 92.2μmol)、2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル(rac-BINAP; 77.7mg, 0.122mmol)、及びCs2CO3(400mg, 1.23mmol)を添加し、90℃で撹拌した。同じ温度で15時間加熱した後、飽和NH4Cl水溶液でクエンチした。得られた溶液をCHCl3で抽出した。合わせた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、ろ過した。揮発物質を減圧下で除去し、得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液としてCHCl3/酢酸エチル= 20/1, Rf= 0.30)及びHPLC(silica gel Wakosil-II 5SIL-Prep, 溶離液としてCHCl3/酢酸エチル= 20/1)で精製し、赤色固体として化合物10を得た(0.244g, 0.701mmol, 86%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 7.73 (d, J = 7.2 Hz, 2H), 7.70-7.65 (m, 2H), 7.54-7.36 (m, 10H), 7.21 (d, J = 6.8 Hz, 2H), 7.09 (d, J = 5.2 Hz, 1H), 6.14 (d, J = 6.0 Hz, 1H), 3.38 (q, J = 7.2 Hz, 4H), 1.21 (t, J = 7.2 Hz, 6H). 31P{1H} NMR (CDCl3, 162 MHz) δ 2.2。
【実施例】
【0184】
[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b]-(5’-アミノチエノ)[3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィニウム-1-オキシド・トリフルオロアセテート(化合物11+・TFA-)の合成
無水テトラヒドロフラン(THF; 1mL)中の2-ブロモトルエン(0.022μL, 0,183mmol)の溶液に、-78℃でtert-ブチルリチウム(t-BuLi; 1.64M, 0.11mL, 0.183mmol)を添加した。混合物を-78℃で1時間攪拌し、無水テトラヒドロフラン(THF; 2mL)中の[5-(ジエチルアミノ)チエノ][2,3-b]-{5’-[(1,1-ジフェニルメチル)イミノ]チエノ}[3’,2’-e]-4-ケト-1-フェニル-2H-ホスフィン-1-オキシド(化合物10; 51.8mg, 0.0914mmol)の溶液を添加した。反応混合物を室温まで昇温し、3時間攪拌した。次いで、トリフルオロ酢酸(TFA; 0.5mL)を添加して反応をクエンチした。1時間攪拌した後、蒸留水を添加した。得られた溶液をCHCl3で抽出し、減圧下で溶媒を除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-DispoPack AT, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製した。溶離液をCHCl3で抽出した。合わせた溶液から溶媒を減圧下で除去した。得られた固体を逆相HPLC(溶離液としてYMC-Actus Triart, 30/80 to 80/20 CH3CN/H2O containing 0.1% TFA)で精製し、緑色固体として化合物11+・TFA-を得た(11.3mg, 19.2μmol, 21%)。
1H NMR (400 MHz, CD3OD): δ 7.84-7.78 (m, 2H), 7.75-7.71 (m, 1H), 7.66-7.61 (m, 2H), 7.55-7.51 (m, 1H), 7.50-7.40 (m, 3H),7.34 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.95 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 3.64 (q, J = 6.8 Hz, 8H), 2.37 (s, 3H), 1.25 (t, J = 7.2 Hz, 12H). 31P{1H} NMR(CDCl3, 162 MHz) δ 4.9。
【実施例】
【0185】
[試験例1:光物性]
実施例1の化合物1+・TFA-、実施例2の化合物6+・TFA-及び実施例4の化合物11+・TFA-について、ジメチルスルホキシド(DMSO)と水(クエン酸/Na2HPO4水溶液)との混合溶媒(DMSO/水 = 1/99体積%)中に、濃度1.10×10-5M(1+・TFA-)、1.24×10-5M(6+・TFA-)、又は1.73×10-5M(11+・TFA-)で溶解させた後、pHを4.0の緩衝液とした場合の紫外可視近赤外吸光スペクトル及び蛍光スペクトル、絶対蛍光量子収率等の測定を行った。また、実施例3の化合物8a+・TFA-、8b+・TFA-、8c+・TFA-、及び8d+・TFA-について、ジメチルスルホキシド(DMSO)と水(Na2HPO4/NaH2PO4水溶液)との混合溶媒(DMSO/水= 1/99体積%)中に、濃度1.78×10-5Mで溶解させた後、pHを7.4の緩衝液とした場合の紫外可視近赤外吸光スペクトル及び蛍光スペクトル、絶対蛍光量子収率等の測定を行った。結果を表1及び図1~6に示す。
【実施例】
【0186】
【表1】
JP2017155042A1_000027t.gif
【実施例】
【0187】
以上の結果から、本発明のジチエノホスホリン化合物は、近赤外蛍光色素の代表格であるICGと同程度に吸収極大波長及び蛍光極大波長を長くすることができ、また、蛍光量子収率も十分に高いことが理解できる。
【実施例】
【0188】
[試験例2:光に対する安定性]
実施例1の化合物1+・TFA-について、ジメチルスルホキシド(DMSO)と水(クエン酸/Na2HPO4水溶液)との混合溶媒(DMSO/水= 1/99体積%)中に、濃度1.10×10-5Mで溶解させた後、pHを4.01の緩衝液とした。この試験液に対して、300Wキセノンランプ(朝日分光(株)MAX-301)を用いて、バンドパスフィルターを使用し、749nmの波長の光を照射し、吸光度の維持率(相対吸光度)を評価した。測定は、照射直後の吸光度(A0)と一定時間経過後の吸光度(A)の測定を行い、A/A0を維持率として評価した。結果を図8に示す。また、実施例3の化合物8a+・TFA-、8b+・TFA-、8c+・TFA-、及び8d+・TFA-について、ジメチルスルホキシド(DMSO)と水(Na2HPO4/NaH2PO4水溶液)との混合溶媒(DMSO/水= 1/99体積%)中に、濃度1.10×10-5Mで溶解させた後、pHを7.4の緩衝液とした。この試験液に対して、300Wキセノンランプ(朝日分光(株)MAX-301)を用いて、バンドパスフィルターを使用し、749nmの波長の光を照射し、吸光度の維持率(相対吸光度)を評価した。測定は、照射直後の吸光度(A0)と一定時間経過後の吸光度(A)の測定を行い、A/A0を維持率として評価した。結果を図9に示す。この結果、近赤外蛍光色素の代表格であるICGは照射直後から吸光度が低下し、約2時間経過後には相対吸光度が0.4程度であるのに対し、本発明のジチエノホスホリン化合物は、光に対する安定性が高く、特に、化合物1+・TFA-は照射開始から8時間以上経過しても吸光度がほとんど低下せず相対吸光度が0.95程度であり、酸性条件下での安定性を飛躍的に向上させることができたことが理解できる。
【実施例】
【0189】
[試験例3:さまざまなpHの水中での安定性]
実施例1の化合物1+・TFA-、実施例2の化合物6+・TFA-、実施例3の化合物8a+・TFA-及び実施例4の11+・TFA-について、ジメチルスルホキシド(DMSO)と種々のpH緩衝液(pH= 3~6: クエン酸/Na2HPO4水溶液、pH= 6~8: NaH2PO4/Na2HPO4水溶液、pH = 8~11: Na2CO3/NaHCO3水溶液、pH= 11~12: Na2HPO4/NaOH水溶液、pH= 12~13.5: NaOH/KCl水溶液)との混合溶媒(DMSO/緩衝液= 1/99体積%)中に、濃度1.10×10-5M(化合物1+・TFA-)、1.24×10-5M(化合物6+・TFA-)、1.78×10-5M(化合物8a+・TFA-)、又は1.73×10-5M(11+・TFA-)で溶解させた場合の紫外可視近赤外吸光スペクトルの測定を行い、750nmにおける吸光度をプロットした。結果を図10~13に示す。この結果、化合物1+・TFA-及び化合物6+・TFA-はpH= 5以上の領域で吸光度が低下し、化合物11+・TFA-はpH= 6以上の領域で吸光度が低下したのに対し、化合物8a+・TFA-はpH= 12まで吸光度がほとんど低下せず、幅広いpH条件での色素の化学的安定性が実現できたことが理解できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12