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明細書 :イノシン酸を有効成分としたグリコーゲン蓄積促進用組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-203713 (P2018-203713A)
公開日 平成30年12月27日(2018.12.27)
発明の名称または考案の名称 イノシン酸を有効成分としたグリコーゲン蓄積促進用組成物
国際特許分類 A61K  31/708       (2006.01)
A61P  21/00        (2006.01)
A23L  33/13        (2016.01)
A23L  33/28        (2016.01)
FI A61K 31/708
A61P 21/00
A23L 33/13
A23L 33/28
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2018-084740 (P2018-084740)
出願日 平成30年4月26日(2018.4.26)
優先権出願番号 2017106080
優先日 平成29年5月30日(2017.5.30)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】檜垣 靖樹
【氏名】中島 志穂子
【氏名】後藤 里奈
出願人 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100174791、【弁理士】、【氏名又は名称】川口 敬義
審査請求 未請求
テーマコード 4B018
4C086
Fターム 4B018LB08
4B018MD44
4B018ME14
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA18
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA94
要約 【課題】より簡易に筋グリコーゲン蓄積を促進しうる化合物の提供。
【解決手段】イノシン酸を有効成分として,筋グリコーゲン蓄積を促進することを特徴とするグリコーゲン蓄積促進用組成物。イノシン酸は,鰹節等に含まれるうまみ成分として身近なものであり,これを利用するなどにより,イノシン酸を有効成分とした筋グリコーゲン蓄積促進用組成物の提供が可能となる。本発明のグリコーゲン蓄積促進用組成物は,薬剤,サプリメント,食品,飲料として形成することが可能である。
【選択図】図5
特許請求の範囲 【請求項1】
イノシン酸を有効成分として,筋グリコーゲン蓄積を促進することを特徴とするグリコーゲン蓄積促進用組成物。

【請求項2】
前記グリコーゲン蓄積促進用組成物が,薬剤,サプリメント,食品,飲料として形成されていることを特徴とする請求項1に記載のグリコーゲン蓄積促進用組成物。

【請求項3】
イノシン酸を摂取することにより,筋グリコーゲン蓄積を促進することを特徴とする筋グリコーゲン蓄積促進方法。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は,イノシン酸を有効成分とするグリコーゲン蓄積促進用組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
グリコーゲンは,グルコースがグリコシド結合により重合してなる高分子化合物である。グリコーゲンは,生体内において主に肝臓と骨格筋において合成され,余剰なグルコースを一時的に貯蔵する役割を果たす。このうち,貯蔵された筋グリコーゲンは,筋肉が活動を行う際のエネルギーとして,グルコースに変換された後,消費される。
【0003】
このように生体内における筋グリコーゲンは,エネルギーとして保存されていることから,生体内におけるグリコーゲン貯蔵量は,アスリートの持久的パフォーマンスを決定する要因の一つとされている。加えて,筋グリコーゲンは,筋肉の働きを円滑なものとし,疲労回復や運動能力向上などの役割も果たす。このことから,生体内における筋グリコーゲン貯蔵を促進するための技術が開示されている(特許文献1)。
【0004】
一方,イノシン酸は,主に鰹節に含まれるうまみ成分として知られている化合物である(特許文献2)。
これまで,イノシン酸とグリコーゲンの関連性については,十分に解明されていなかった。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2015-059103
【特許文献2】特開2016-086718
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には,筋グリコーゲン蓄積促進剤に関する技術が開示されている。この先行技術は,ウコギ科トチバニンジン属植物の加工粉末を有効成分とするものであり,筋グリコーゲン蓄積を促進しうる点において有用である。
しかるに先行技術は,ウコギ科トチバニンジン属植物という比較的特殊な植物を用いるものであり,また,植物の酸処理などが必要な点において,加工を行うにも煩雑である。
【0007】
上記事情を背景として,本発明では,より簡易に筋グリコーゲン蓄積を促進しうる化合物ないし組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明者らは,鋭意研究の結果,イノシン酸が筋管細胞において,グリコーゲンの蓄積を促進することを見出し,発明を完成させたものである。
【0009】
本発明は,以下の構成からなる。
本発明の第一の構成は,イノシン酸を有効成分として,筋グリコーゲン蓄積を促進することを特徴とするグリコーゲン蓄積促進用組成物である。
本発明の第二の構成は,前記グリコーゲン蓄積促進用組成物が,薬剤,サプリメント,食品,飲料として形成されていることを特徴とする第一の構成に記載のグリコーゲン蓄積促進用組成物である。
本発明の第三の構成は,イノシン酸を摂取することにより,筋グリコーゲン蓄積を促進することを特徴とする筋グリコーゲン蓄積促進方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明により,より簡易に筋グリコーゲン蓄積を促進しうる化合物ないし組成物の提供が可能となった。
すなわち,イノシン酸は,鰹節等に含まれるうまみ成分として身近なものであり,これを利用するなどにより,イノシン酸を有効成分としたグリコーゲン蓄積促進用組成物の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化誘導後の細胞の様子を示した写真。各種条件が筋管細胞分化に与える影響を調べ,筋管細胞の走行性の評価を行い,2% HSに50nMインスリンを加えた培地(c)が最も良好であったことを示している。
【図2】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化誘導後の細胞の様子を示した写真。各種濃度のイノシン酸を添加し,イノシン酸により,筋管細胞の走化性が良好なものとなることを示している。
【図3】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化において,イノシン酸が与える細胞数への影響を調べた結果を示した図。10μMのイノシン酸の添加により,細胞数がより増加していることを示している。
【図4】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化において,イノシン酸が与える単位細胞あたりのタンパク量への影響を調べた結果を示した図。分化誘導4日目,7日目,いずれにおいても,イノシン酸添加の有無で,単位細胞あたりのタンパク量に有意な差がないことを示している。
【図5】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化において,イノシン酸が与える単位細胞あたりのグリコーゲン量への影響を調べた結果を示した図。分化誘導4日目,7日目,いずれにおいても,イノシン酸添加により,単位細胞あたりのグリコーゲン量が有意に増加していることを示している。
【図6】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化において,イノシン酸が与える単位タンパクあたりのグリコーゲン量への影響を調べた結果を示した図。分化誘導4日目,7日目,いずれにおいても,イノシン酸添加により,単位タンパクあたりのグリコーゲン量が有意に増加していることを示している。
【図7】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化において,インスリンが与える単位細胞あたりのタンパク量への影響を調べた結果を示した図。検討培地として用いたインスリン濃度50nMならびに10nMでは,単位細胞あたりのタンパク量への影響は見られなかったことを示している。
【図8】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化において,インスリンが与える単位細胞あたりのグリコーゲン量への影響を調べた結果を示した図。検討培地として用いたインスリン濃度50nMならびに10nMでは,単位細胞あたりのグリコーゲン量への影響は見られなかったことを示している。
【図9】マウス筋芽細胞から筋管細胞への分化において,インスリンが与える単位タンパクあたりのグリコーゲン量への影響を調べた結果を示した図。検討培地として用いたインスリン濃度50nMならびに10nMでは,単位細胞あたりのグリコーゲン量への影響は見られなかったことを示している。
【図10】筋管細胞において,イノシン酸の酸素消費速度(OCR)に与える影響を調べた結果を示した図。イノシン酸添加により,OCRが増加する傾向にあり,イノシン酸がミトコンドリア機能を高める可能性を有することを示している。
【図11】マウスにおいて,イノシン酸によるグリコーゲン蓄積促進効果を調べた結果を示した図。イノシン酸添加ならびに自発運動負荷により,骨格筋においてグリコーゲン蓄積促進効果が確認されたことを示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のグリコーゲン蓄積促進用組成物等について説明を行う。

【0013】
本発明のグリコーゲン蓄積促進用組成物は,発明者らにより見出された下記知見に基づくものである。
(1) 筋芽細胞から筋管細胞への分化誘導において,イノシン酸は,筋管細胞への走行性を良好なものとするとともに,細胞数を増加させる。
(2) イノシン酸は,筋管細胞1個あたりのタンパク量には影響を及ぼさず,単位細胞あたりもしくは単位タンパク量あたりのグリコーゲン量を,有意に増加させる。
(3) さらにイノシン酸は,筋管細胞のミトコンドリア機能を高める可能性を有する。
(4) イノシン酸によるグリコーゲン蓄積促進効果は,インビボにおいても確認された。

【0014】
上記知見より本発明のグリコーゲン蓄積促進用組成物は,イノシン酸を有効成分とするものである。同様に,本発明のグリコーゲン蓄積促進方法は,イノシン酸を摂取することにより,筋グリコーゲン蓄積を促進することを特徴とする。
本発明により,筋組織におけるグリコーゲン蓄積を促進することが可能となる。さらには,筋管細胞の走行性を良好なものとするとともに,細胞数を増加させることから,運動機能を向上させる効果が期待できる。

【0015】
本発明のグリコーゲン蓄積促進用組成物は,イノシン酸を有効成分とする限り特に限定する必要はなく,種々の形態ないし組成とすることができる。加えて,本発明のグリコーゲン蓄積促進用組成物の摂取方法については,生体内への取り込みが可能な限り特に限定する必要はなく,経口,経皮,静脈注射など,種々の方法を採用することができる。

【0016】
グリコーゲン蓄積促進用組成物の形態として,例えば,薬剤,サプリメント,食品,飲料などが挙げられる。加えて,これら薬剤等については,使用を行う際の目的等を勘案して,固形状,ゲル状,液体状など種々の形状とすることができる。また,イノシン酸については,化学合成したものを用いてもよいし,イノシン酸をもとから含む天然由来の材料などを用いて,薬剤等を作製してもよい。
本発明のグリコーゲン蓄積促進用組成物は,好適には,健康飲料(スポーツドリンク)や健康食品として用いることができる。すなわち,持久力を必要とするスポーツにおいて,イノシン酸を有効成分として含む健康飲料や健康食品を事前に摂取することにより,カーボローディングをより効率良く行うことが可能であり,記録の向上などが期待できる。

【0017】
グリコーゲン蓄積促進用組成物の組成としては,イノシン酸を有効成分とし,かつ,ヒトの摂取に際し安全性を担保しうる限り特に限定する必要はなく,他の任意の成分を含むことができる。このような成分として,賦形剤,安定化剤,可溶化剤となる成分などが挙げられる。

【0018】
なお,本発明のグリコーゲン蓄積促進用組成物は,イノシン酸を有効成分とするものであるが,組成物としてイノシン酸そのものを含む場合に限定されるものではない。
すなわち,本発明の趣旨に鑑み,ヒト体内に摂取された際,生体内における代謝を受けてイノシン酸に変換される,いわゆるDDS化されたイノシン酸を含むものとして本発明においては定義されるものである。
【実施例】
【0019】
本発明について,実験を基に説明を行う。
【実施例】
【0020】
<<実験1>>
マウス筋芽細胞(以下,「C2C12細胞」)は,培地中の血清濃度を下げると,筋管細胞への分化が誘導されることが知られている。ここでは,C2C12細胞の分化誘導にあたり,各種血清を用いるとともに,インスリン添加による分化誘導への影響を調べることを目的に検討を行った。
【実施例】
【0021】
<実験方法>
1.C2C12細胞について,ウシ胎児血清(FBS)もしくはウマ胎児血清(HS)をそれぞれ2%加えたDMEM培地中で筋管細胞への分化を誘導し,筋管細胞の様子を調べた。
2.同様に,2%ウマ胎児血清ならびにインスリン(50nM)存在下における筋管細胞の様子を調べた。
【実施例】
【0022】
<実験結果>
1.分化誘導4日目の細胞の様子を示した結果を図1に示す。
2.いずれの血清を用いた場合もC2C12細胞から筋管細胞への分化誘導は可能であったが(a,b),HSの方が分化効率の点において優れていた。
3.また,HSに加えて,インスリンを合わせて用いることにより,筋管細胞の走行性がより優れることが分かった(c)。
4.これらの検討から,以降の検討では,2% HSと50nM インスリンを含んだDMEM培地(以降,「検討培地」)を用いることとした。
【実施例】
【0023】
<<実験2>>
C2C12細胞から筋管細胞への分化誘導において,イノシン酸がどのような影響を及ぼすかを調べることを目的に検討を行った。
【実施例】
【0024】
<実験方法>
検討培地に,各種濃度のイノシン酸を加えたうえで,C2C12細胞から筋管細胞への分化誘導を行い,筋管細胞の様子やグリコーゲン量,タンパク量を調べた。
【実施例】
【0025】
<実験結果>
1.分化誘導4日目の筋管細胞の様子を示した結果を図2に示す。
2.イノシン酸なし(d)と比較して,イノシン酸を添加した方(e,f,g)が,筋管細胞の走行性を,より良好なものとすることが分かった。
【実施例】
【0026】
3.細胞数の変化を調べた結果を図3に示す。
4.分化誘導開始以降,イノシン酸添加により,細胞数は,イノシン酸なしと比較して,より増加していた。
5.これより,イノシン酸添加により,細胞数が増加することが分かった。
【実施例】
【0027】
6.細胞あたりのタンパク量を調べた結果を図4に示す。
7.分化誘導4日目,7日目,いずれにおいても,筋管細胞1個あたりのタンパク量は,イノシン酸の添加により,有意な差はなかった。
8.これより,イノシン酸添加は,細胞へのタンパク量には影響を及ぼさないことが分かった。
【実施例】
【0028】
9.細胞あたりのグリコーゲン量を調べた結果を図5に示す。
10.分化誘導4日目,7日目,いずれにおいても細胞1個あたりのグリコーゲン量は,イノシン酸添加群の方が,有意に増加していた。
11.また,タンパク1μgあたりのグリコーゲン量を調べた結果を図6に示す。
12.分化誘導4日目,7日目,いずれにおいてもタンパク1μgあたりのグリコーゲン量は,イノシン酸添加群の方が,有意に増加していた。
13.これらの結果から,イノシン酸添加により,筋管細胞内のグリコーゲン量が,有意に増加することが分かった。
【実施例】
【0029】
<<実験3>>
実験2の結果を踏まえ,検討培地に含まれるインスリンの影響を確認することを目的に検討を行った。
【実施例】
【0030】
<実験方法>
2%HS-DMEM培地に各濃度のインスリンもしくはイノシン酸を添加したうえで,C2C12細胞から筋管細胞への分化誘導を行い,筋管細胞の様子やグリコーゲン量,タンパク量を調べた。
【実施例】
【0031】
<実験結果>
1.インスリンのタンパク発現への影響を調べた結果を図7に示す。
2.インスリンの濃度を10nM,50nMと変化させても,単位細胞あたりのタンパク量は,インスリンを添加しない場合と比較して,変化はなかった。
3.これより,インスリン添加によるタンパク量への影響がないことが確認された。
【実施例】
【0032】
4.インスリンのグリコーゲン発現への影響を調べた結果を図8,図9に示す。
5.図8において,インスリンの濃度を10nM,50nMと変化させても,単位細胞あたりのグリコーゲン量は,インスリンを添加しない場合と比較して,変化はなかった。
6.また,図9において,インスリンの濃度を10nM,50nMと変化させても,単位タンパク量あたりのグリコーゲン量は,インスリンを添加しない場合と比較して,変化はなかった。
7.これらの結果から,インスリン添加によるグリコーゲン量への影響がないことが確認された。
【実施例】
【0033】
8.これらの結果から,検討培地におけるインスリンは,タンパク量,グリコーゲン量,いずれにおいても影響を及ぼさず,実験2で得られた結果は,イノシン酸によるものであることが確認された。
【実施例】
【0034】
<<実験4>>
ミトコンドリア機能の指標である酸素消費速度(OCR)を調べ,イノシン酸が細胞機能に及ぼす影響を調べることを目的に検討を行った。
【実施例】
【0035】
<実験方法>
イノシン酸を各濃度添加し,実験2の方法に準じて検討を行った。OCRについては,分化誘導4日目に,細胞外フラックスアナライザーを用いて測定を行った。
【実施例】
【0036】
<実験結果>
1.結果を図10に示す。
2.イノシン酸を添加しない場合と比較して,イノシン酸を添加した方がOCRの値が高い傾向にあった。
3.これより,イノシン酸添加は,筋管細胞のミトコンドリア機能を向上させる可能性があることが分かった。
【実施例】
【0037】
<<実験5>>
インビトロにおいて,C2C12細胞で観察されたイノシン酸添加によるグリコーゲン蓄積促進効果が,インビボでみられるかを調べることを目的に検討を行った。
【実施例】
【0038】
<実験方法>
1.被験動物として,C57BL/6Jマウス(4週齢,雄性20匹)を用いた。これらを下記の4群に分けた。
実験例1;自発運動なし,イノシン酸なし
実験例2;自発運動なし,イノシン酸あり
実験例3;自発運動あり,イノシン酸なし
実験例4;自発運動あり,イノシン酸あり
2.被験動物を,下記に従い,グリコーゲン量の測定を行った。
(1) 1週間の予備飼育後,自発運動なしの群と自発運動ありの群に分類した。自発運動ありの群には,3週間の自発運動(回転ホイールを飼育ゲージに設置)を実施した。
(2) 3週間後,4群すべてを,回転ホイールのない飼育ゲージへ移行した。その際,イノシン酸が体重1gあたり0.2mgとなるように調整したイノシン酸溶液,あるいは生理食塩水を腹腔内投与した。その後は24時間ごとに投与し,投与は合計3回,行った。
(3) 3回目のイノシン酸溶液あるいは生理食塩水の投与24時間後に解剖を行い,骨格筋(足底筋)を採取し,骨格筋のグリコーゲン量を測定した。
【実施例】
【0039】
<実験結果>
1.結果を,図11に示す。図中,各実験例のカッコ書きは,イノシン酸投与の有無を示す。
(1) マウス足底筋のグリコーゲン量は,コントロールである実験例2と比較して,実験例4において,有意な増加を示した。
(2) なお,自発運動が無い場合は,イノシン酸の有無によって有意な差は確認できなかった。
2.この結果から,イノシン酸を有効成分とするグリコーゲン蓄積促進作用は,自発運動を課したマウスの骨格筋において認められた。
【実施例】
【0040】
<まとめ>
これらの結果より,下記の知見が得られた。
(1) 筋芽細胞から筋管細胞への分化誘導において,イノシン酸は,筋管細胞への走行性を良好なものとするとともに,細胞数を増加させる。
(2) イノシン酸は,筋管細胞1個あたりのタンパク量には影響を及ぼさず,単位細胞あたりもしくは単位タンパク量あたりのグリコーゲン量を,有意に増加させる。
(3) イノシン酸は,筋管細胞のミトコンドリア機能を高める可能性を有する。
(4) イノシン酸によるグリコーゲン蓄積促進効果は,インビボにおいても確認された。
【産業上の利用可能性】
【0041】
イノシン酸添加により,筋管細胞内のグリコーゲン量が増加することが確認できた。これより,持久力を必要とするスポーツにおいて,カーボローディングをより効率良く行うことができるような薬剤,サプリメント,健康食品,健康飲料への応用が期待できる。

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10