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明細書 :白内障の予防剤および治療剤、並びに、これらを製造するための、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤の使用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-203708 (P2018-203708A)
公開日 平成30年12月27日(2018.12.27)
発明の名称または考案の名称 白内障の予防剤および治療剤、並びに、これらを製造するための、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤の使用
国際特許分類 A61K  45/00        (2006.01)
A61P  27/12        (2006.01)
A61K  31/4184      (2006.01)
A61K  31/165       (2006.01)
A61K  31/4965      (2006.01)
A61K  31/5377      (2006.01)
FI A61K 45/00
A61P 27/12
A61K 31/4184
A61K 31/165
A61K 31/4965
A61K 31/5377
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 25
出願番号 特願2017-181752 (P2017-181752)
出願日 平成29年9月21日(2017.9.21)
優先権出願番号 2017108523
優先日 平成29年5月31日(2017.5.31)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】沖 昌也
【氏名】金田 文人
【氏名】▲高▼村 佳弘
【氏名】三宅 誠司
【氏名】稲谷 大
【氏名】内田 博之
【氏名】甲斐田 大輔
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
【識別番号】305060567
【氏名又は名称】国立大学法人富山大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査請求 未請求
テーマコード 4C084
4C086
4C206
Fターム 4C084AA17
4C084MA58
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZC201
4C084ZC411
4C086AA10
4C086BC39
4C086BC48
4C086BC73
4C086GA04
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZA33
4C206AA10
4C206GA09
4C206MA01
4C206MA04
4C206NA20
4C206ZA33
要約 【課題】従来とは作用機序が異なる白内障の予防剤および治療剤、並びに、これらを製造するための、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤の使用を提供する。
【解決手段】DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤を有効成分として含有している、白内障の予防剤または治療剤を用いる。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤を有効成分として含有している、白内障の予防剤または治療剤。
【請求項2】
上記阻害剤は、PLK3阻害剤、ATM阻害剤、ATR阻害剤、p53阻害剤、CHK1阻害剤、CHK2阻害剤、WEE1阻害剤、Plk1阻害剤、オーロラAキナーゼ阻害剤、DNA複製阻害剤、DNA合成阻害剤、有糸分裂阻害剤、CDC25a阻害剤、CDC25c阻害剤、および、DNA-PK阻害剤からなる群より選択される1つ以上である、請求項1に記載の白内障の予防剤または治療剤。
【請求項3】
上記阻害剤は、構造中に単素環を含んでいる化合物、構造中に複素環を含んでいる化合物、構造中に単素環および複素環の両方を含んでいる化合物、および、構造中にアミド結合を含んでいる化合物からなる群より選択される1つ以上である、請求項2に記載の白内障の予防剤または治療剤。
【請求項4】
点眼剤である、請求項1~3の何れか1項に記載の白内障の予防剤または治療剤。
【請求項5】
上記白内障は、糖尿病白内障である、請求項1~4の何れか1項に記載の白内障の予防剤または治療剤。
【請求項6】
白内障の予防剤または治療剤を製造するための、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤の使用。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、白内障の予防剤および治療剤、並びに、これらを製造するための、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤の使用、に関する。
【背景技術】
【0002】
白内障は、水晶体が混濁(例えば、白濁)することによって、視力が低下する疾患である。白内障の罹患者では、一般的に、水晶体の、核、皮質、または、後嚢などに混濁が生じる。
【0003】
白内障の種類としては、加齢白内障、および、糖尿病白内障などが挙げられる。加齢白内障は、罹患者の数が最も多い白内障である。加齢白内障の場合、加齢に伴って罹患者の数が増加し、60歳代の日本人の略66~85%、70歳代の日本人の略84~97%、80歳以上の日本人の略100%が加齢白内障を患っているという報告がある。一方、糖尿病白内障の場合、60歳以下の罹患者が多く、糖尿病白内障は、若年層でも発症し得る疾患である。
【0004】
白内障の治療方法としては、外科手術、および、予防剤または治療剤の投与、を挙げることができる。当該予防剤および治療剤の一例としては、グルタチオン、またが、ピレノキシンを含む薬剤を挙げることができる(非特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Matensson.J et.al. (1989) Glutathione ester prevents buthionine sulfoximine-induced cataracts and lens epithelial cell damage, Proc Natl Acad Sci U S A, vol.86, pp.8727-8731.
【非特許文献2】Ciuffi.M et.al. (1999) Protective Effect of Pirenoxine and U74389F on Induced Lipid Peroxidation in Mammalian Lenses. An in vitro, ex vivo and in vivo study, EXPERIMENTAL EYE RESEARCH, vol.68, pp.347-359.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような従来技術は、白内障の予防効果および治療効果において改善の余地があり、従来とは作用機序が異なる、白内障の予防剤および治療剤の開発が望まれている。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、従来とは作用機序が異なる白内障の予防剤および治療剤、並びに、これらを製造するための、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤の使用を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路(換言すれば、DNA損傷によって活性化される細胞内シグナル伝達経路および/または細胞外シグナル伝達経路)が白内障の発症および重篤化に関与しているとの独自の仮説に基づいて検討を重ね、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤によって白内障を予防および治療できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一実施形態は、以下の構成からなるものである。
【0009】
<1>DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤を有効成分として含有している、白内障の予防剤または治療剤。
【0010】
<2>上記阻害剤は、PLK3阻害剤、ATM阻害剤、ATR阻害剤、p53阻害剤、CHK1阻害剤、CHK2阻害剤、WEE1阻害剤、Plk1阻害剤、オーロラAキナーゼ阻害剤、DNA複製阻害剤、DNA合成阻害剤、有糸分裂阻害剤、CDC25a阻害剤、CDC25c阻害剤、および、DNA-PK阻害剤からなる群より選択される1つ以上である、<1>に記載の白内障の予防剤または治療剤。
【0011】
<3>上記阻害剤は、構造中に単素環を含んでいる化合物、構造中に複素環を含んでいる化合物、構造中に単素環および複素環の両方を含んでいる化合物、および、構造中にアミド結合を含んでいる化合物からなる群より選択される1つ以上である、<2>に記載の白内障の予防剤または治療剤。
【0012】
<4>点眼剤である、<1>~<3>の何れかに記載の白内障の予防剤または治療剤。
【0013】
<5>上記白内障は、糖尿病白内障である、<1>~<4>の何れかに記載の白内障の予防剤または治療剤。
【0014】
<6>白内障の予防剤または治療剤を製造するための、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤の使用。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、従来とは作用機序が異なる、白内障の予防剤および治療剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤の、作用機序の例を表すモデル図である。
【図2】本発明の実施例に係る白内障の予防剤または治療剤の白内障に対する効果を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る白内障の予防剤または治療剤の白内障に対する効果を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る白内障の予防剤または治療剤の白内障に対する効果を示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る白内障の予防剤または治療剤の白内障に対する効果を示す図である。
【図6】本発明の実施例に係る白内障の予防剤または治療剤の白内障に対する効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態及び実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態及び実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。本明細書中、数値範囲に関して「A~B」と記載した場合、当該記載は「A以上B以下」を意図する。

【0018】
〔1.本発明の基本原理〕
図1を用いて、本発明の基本原理を説明する。

【0019】
本発明者は、従来から、ガラクトース添加培地を用いたex vivoの糖尿病白内障モデルを利用して、白内障に関する試験を行ってきた。しかしながら、ガラクトースが白内障を発症させるメカニズム、および、ガラクトースが白内障を重篤化させるメカニズムに関しては、不明であった。

【0020】
研究の過程において、本発明者は、図1に簡単に記載しているメカニズムによって、ガラクトースが白内障を発症、および/または、重篤化させているのではないか、との独自の仮説を立てるに至った。

【0021】
当該メカニズムでは、まず、ガラクトースによって、活性酸素(ROS:Reactive Oxygen Species)、ガラクチトール、および、終末糖化産物(AGEs:Advanced Glycation End Products)が発生し、活性酸素、ガラクチトール、および、終末糖化産物によって、DNA(例えば、染色体DNA)の損傷が引き起こされる。

【0022】
DNAの損傷が引き起こされると、細胞内および/または細胞外で、様々なシグナル伝達経路が活性化される。なお、当該シグナル伝達経路には様々な物質(例えば、タンパク質)が関与しており、図1には、その一例として、ATM(ataxia telangiectasia mutated(protein kinase))、PLK3(Polo-like kinase 3)、および、p53が記載されている。しかしながら、現在までに、DNAの損傷に応答するシグナル伝達経路に関与する、多くの物質が報告されている。それ故に、後述する白内障の予防剤または治療剤に含まれる有効成分は、DNAの損傷に応答するシグナル伝達経路に関与するあらゆる物質の阻害剤を包含する。

【0023】
上述したDNA損傷に応答するシグナル伝達経路の下流には、白内障を発症および重篤化させるための更なるシグナル伝達経路が存する。それ故に、ガラクトースによって、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路、および、白内障を発症および重篤化させるための更なるシグナル伝達経路が活性化し、その結果、白内障が発症および重篤化することになる。

【0024】
上述した独自の仮説が正しいことを確認するために、本発明者は、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤が白内障の予防または治療に有効であるか否か、試験を行った。

【0025】
そして、後述する実施例に示すように、本発明者の仮説が正しいことが明らかになり、その結果、本発明者は、本発明を完成させるに至った。

【0026】
〔2.用語の定義〕
[2-1.白内障]
本明細書において「白内障」とは、水晶体に混濁(例えば、白濁)を生じる疾患を意図する。白内障によって水晶体に生じる混濁には、例えば、皮質混濁;核混濁;後嚢下混濁;皮質スポーク状混濁;前嚢下混濁;線維ひだ、水隙、または、核周囲の徹照下点状混濁;水疱;点状混濁;冠上混濁などの類型がある。また、本明細書における「白内障」には、加齢白内障、および、併発白内障(例えば、糖尿病白内障、先天白内障、外傷性白内障、アトピー白内障、放射線白内障、および、ステロイド白内障)などが包含される。

【0027】
本明細書において「糖尿病白内障」とは、血液中または血漿中のグルコース濃度が持続的に上昇している状態によって特徴づけられる疾患(例えば、高血糖症、または、糖尿病(例えば、一型糖尿病、または、二型糖尿病))の罹患者に発症している、水晶体の混濁を意図する。糖尿病白内障では、水晶体の皮質または後嚢下に混濁が生じることが多いことが大規模疫学調査で知られているが、混濁の生じる箇所はこれらに限定されない。

【0028】
[2-2.予防剤]
本明細書において「予防剤」とは、予防効果をもたらす薬剤を意図する。当該予防効果とは、以下に例示される効果を意図するが、これらに限定されるものではない。
(1)予防剤を投与しなかった場合と比較して、予防剤を投与した場合には、疾患に係る1つ以上の症状の発症を防止する、または、発症のリスクを低減する。
(2)予防剤を投与しなかった場合と比較して、予防剤を投与した場合には、疾患に係る1つ以上の症状の再発を防止する、または、再発のリスクを低減する。
(3)予防剤を投与しなかった場合と比較して、予防剤を投与した場合には、疾患に係る1つ以上の症状の兆候が生じることを防止する、または、兆候が生じるリスクを低減する。

【0029】
なお、疾患に係る1つ以上の症状は、全身的なものであってもよいし、局所的なものであってもよい。

【0030】
[2-3.治療剤]
本明細書において「治療剤」とは、治療効果をもたらす薬剤を意図する。当該治療効果とは、以下に例示される効果を意図するが、これらに限定されるものではない。
(1)治療剤を投与しなかった場合と比較して、治療剤を投与した場合には、疾患に係る1つ以上の症状の重症度を低減する。
(2)治療剤を投与しなかった場合と比較して、治療剤を投与した場合には、疾患に係る1つ以上の症状の重症度の増加、または、重症度の進行を防止する。
(3)治療剤を投与しなかった場合と比較して、治療剤を投与した場合には、疾患に係る1つ以上の症状の重症度の増加速度、または、重症度の進行速度を低減する。

【0031】
なお、疾患に係る1つ以上の症状は、全身的なものであってもよいし、局所的なものであってもよい。

【0032】
〔3.DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤〕
DNA(例えば、染色体DNA)は、外来性の要因(例えば、放射線、紫外線、および、薬物など)および/または内在性の要因(例えば、フリーラジカル、および、細胞内代謝物など)によって、損傷を受け得る。DNAが損傷を受けると、細胞内および/または細胞外で様々なシグナル伝達経路が活性化され、これによって、DNAの修復がなされる。「DNA損傷に応答するシグナル伝達経路」には、DNAの修復がなされる過程で活性化される、あらゆるシグナル伝達経路が包含され、「DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤」には、DNAの修復がなされる過程で活性化される、あらゆるシグナル伝達経路におけるシグナルの伝達を阻害する、あらゆる阻害剤が包含される。

【0033】
上記阻害剤は、DNAの修復がなされる過程で活性化されるシグナル伝達経路を構成するタンパク質の機能を阻害するものであってもよい。

【0034】
より具体的に、上記阻害剤としては、PLK3(Polo-like kinase 3)阻害剤、ATM(ataxia telangiectasia mutated(protein kinase))阻害剤、ATR(ATM and Rad3-related(protein kinase))阻害剤、p53阻害剤、CHK1(Checkpoint kinase 1)阻害剤、CHK2(Checkpoint kinase 2)阻害剤、WEE1(Wee1 kinase)阻害剤、PLK1(Polo-like kinase 1)阻害剤、オーロラAキナーゼ阻害剤、DNA複製阻害剤、DNA合成阻害剤、有糸分裂阻害剤、CDC25a(Cell division cycle 25 A)阻害剤、CDC25c(Cell division cycle 25 C)阻害剤、および、DNA-PK(DNA-dependent protein kinase)阻害剤からなる群より選択される1つ以上を挙げることができる。上記阻害剤は、複数種類のタンパク質の機能を阻害し得るものであってもよい。上記阻害剤は、例えば、(i)ATM阻害剤としての機能とATR阻害剤としての機能とを兼ね備えた阻害剤、(ii)CHK1阻害剤としての機能とWEE1阻害剤としての機能とを兼ね備えた阻害剤、CHK1阻害剤としての機能とCHK2阻害剤としての機能とを兼ね備えた阻害剤、であってもよい。

【0035】
上記阻害剤は、構造中に単素環を含んでいる化合物、構造中に複素環を含んでいる化合物、構造中に単素環および複素環の両方を含んでいる化合物、および、構造中にアミド結合を含んでいる化合物からなる群より選択される1つ以上であってもよい。

【0036】
上記単素環を構成する元素の種類は、特に限定されない。より高く所望の効果を実現するという観点からは、当該単素環は、炭素のみによって形成されていることが好ましい。また、上記複素環を構成する元素の種類は、特に限定されない。より高く所望の効果を実現するという観点からは、当該複素環は、(i)炭素、および、(ii)硫黄、窒素および酸素からなる群より選択される少なくとも1つ、のみによって形成されていることが好ましい。上記単素環および複素環を構成する元素の数は、特に限定されない。より高く所望の効果を実現するという観点からは、当該単素環および複素環は、3~20個の元素、3~15個の元素、または、3~10個の元素によって形成されていることが好ましい。

【0037】
アミド結合を有する化合物の場合、化合物に含まれるアミド結合の数は、特に限定されない。より高く所望の効果を実現するという観点からは、化合物中に含まれるアミド結合の数は、1~10個であることが好ましく、1~5個であることがより好ましい。

【0038】
以下に、各阻害剤の詳細について、更に説明する。

【0039】
本明細書において「PLK3阻害剤」とは、PLK3の機能を阻害する物質を意図する。このとき、PLK3は、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、PLK3は、ヒト由来のPLK3と比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。PLK3阻害剤は、PLK3に結合するなどして、「直接的に」PLK3の機能を阻害するものであってもよいし、PLK3の機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」PLK3の機能を阻害するものであってもよい。

【0040】
PLK3阻害剤の具体例としては、GW843682X(IUPAC名:5-(5,6-dimethoxy-1H-benzimidazole-1-yl)-3-{[2-(trifluoromethyl)-benzyl]oxy}thiophene-2-carboxamide)、TC-S7005(IUPAC名:3-(1,3-Benzodioxol-5-yl)-N-[(1S)-1-phenylethyl]-isoxazolo[5,4-c]pyridin-5-amine)、BI2536(IUPAC名:(R)-4-((8-cyclopentyl-7-ethyl-5-methyl-6-oxo-5,6,7,8-tetrahydropteridin-2-yl)amino)-3-methoxy-N-(1-methylpiperidin-4-yl)benzamide)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0041】
本明細書において「ATM阻害剤」とは、ATMの機能を阻害する物質を意図する。このとき、ATMは、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、ATMは、ヒト由来のATMと比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。ATM阻害剤は、ATMに結合するなどして、「直接的に」ATMの機能を阻害するものであってもよいし、ATMの機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」ATMの機能を阻害するものであってもよい。

【0042】
ATM阻害剤の具体例としては、CGK733(IUPAC名:2,2-diphenyl-n-(2,2,2-trichloro-1-[3-(4-fluoro-3-nitrophenyl)thioureide] ethyl) acetamide)、KU55933(IUPAC名:2-(4-Morpholinyl)-6-(1-thianthrenyl)-4H-Pyran-4-one, 2-(Morpholin-4-yl)-6-(thianthren-1-yl)-4H-pyran-4-one)、CP466722(IUPAC名:2-(6,7-Dimethoxy-quinazolin-4-yl)-5-pyridin-2-yl-2H-[1,2,4]triazol-3-ylamine)、KU60019(IUPAC名:2-((2S,6R)-2,6-dimethylmorpholino)-N-(5-(6-morpholino-4-oxo-4H-pyran-2-yl)-9H-thioxanthen-2-yl)acetamide)、AZD0156(IUPAC名:8-[6-[3-(dimethylamino)propoxy]-3-pyridyl]-3-methyl-1-tetrahydropyran-4-yl-imidazo[4,5-c]quinolin-2-one)、Mirin(IUPAC名:(5Z)-2-amino-5-[(4-hydroxyphenyl)methylidene]-1,3-thiazol-4-one)、KU59403(IUPAC名:3-(4-methylpiperazin-1-yl)-N-(6-(6-morpholino-4-oxo-4H-pyran-2-yl)thianthren-2-yl)propanamide)、Torin2(IUPAC名:9-(6-aminopyridin-3-yl)-1-[3-(trifluoromethyl)phenyl]benzo[h][1,6]naphthyridin-2-one)、Caffeine(IUPAC名:1,3,7-Trimethylpurine-2,6-dione)、LY294002(IUPAC名:2-morpholin-4-yl-8-phenylchromen-4-one)、Wortmannin(IUPAC名:(1S,6bR,9aS,11R,11bR)-1-(Methoxymethyl)-9a,11b-dimethyl-3,6,9-trioxo-1,6,6b,7,8,9,9a,10,11,11b-decahydro-3H-furo[4,3,2-de]indeno[4,5-h]isochromen-11-yl acetate)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0043】
本明細書において「ATR阻害剤」とは、ATRの機能を阻害する物質を意図する。このとき、ATRは、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、ATRは、ヒト由来のATRと比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。ATR阻害剤は、ATRに結合するなどして、「直接的に」ATRの機能を阻害するものであってもよいし、ATRの機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」ATRの機能を阻害するものであってもよい。

【0044】
ATR阻害剤の具体例としては、CGK733(IUPAC名:2,2-diphenyl-n-(2,2,2-trichloro-1-[3-(4-fluoro-3-nitrophenyl)thioureide] ethyl) acetamide)、VE-821(IUPAC名:3-Amino-6-(4-(methylsulfonyl)phenyl)-N-phenylpyrazine-2-carboxamide, 3-Amino-6-[4-(methylsulfonyl)phenyl]-N-phenyl-2-pyrazinecarboxamide)、DACTOLISIB(IUPAC名:2-methyl-2-(4-(3-methyl-2-oxo-8-(quinolin-3-yl)-2,3-dihydroimidazo[4,5-c]quinolin-1-yl)phenyl)propanenitrile)、AZD6738(IUPAC名:4-[4-[1-[[S(R)]-S-methylsulfonimidoyl]cyclopropyl]-6-[(3R)-3-methyl-4-morpholinyl]-2-pyrimidinyl]-1H-pyrrolo[2,3-b]pyridine)、VE-822(IUPAC名:5-(4-(isopropylsulfonyl)phenyl)-3-(3-(4-((methylamino)methyl)phenyl)isoxazol-5-yl)pyrazin-2-amine)、AZ-20(IUPAC名:(R)-4-(2-(1H-indol-4-yl)-6-(1-(methylsulfonyl)cyclopropyl)pyrimidin-4-yl)-3-methylmorpholine)、Torin2(IUPAC名:9-(6-aminopyridin-3-yl)-1-[3-(trifluoromethyl)phenyl]benzo[h][1,6]naphthyridin-2-one)、Caffeine(IUPAC名:1,3,7-Trimethylpurine-2,6-dione)、LY294002(IUPAC名:2-morpholin-4-yl-8-phenylchromen-4-one)、Wortmannin(IUPAC名:(1S,6bR,9aS,11R,11bR)-1-(Methoxymethyl)-9a,11b-dimethyl-3,6,9-trioxo-1,6,6b,7,8,9,9a,10,11,11b-decahydro-3H-furo[4,3,2-de]indeno[4,5-h]isochromen-11-yl acetate)、Schisandrin B(IUPAC名:(6R,7S)-1,2,3,13-Tetramethoxy-6,7-dimethyl-5,6,7,8-tetrahydrobenzo[3',4']cycloocta[1',2':4,5]benzo[1,2-d][1,3]dioxole)、NU6027(IUPAC名:4-{[4-Amino-6-(cyclohexylmethoxy)-5-nitroso-2-pyrimidinyl]amino}benzamide)、NVP-BEZ235(IUPAC名:2-Methyl-2-{4-[3-methyl-2-oxo-8-(quinolin-3-yl)-2,3-dihydro-1H-imidazo[4,5-c]quinolin-1-yl]phenyl}propanenitrile)、ETP46464(IUPAC名:2-methyl-2-{4-[2-oxo-9-(quinolin-3-yl)-4H-[1,3]oxazino[5,4-c]quinolin-1-yl]phenyl}propanenitrile)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0045】
本明細書において「p53阻害剤」とは、p53の機能を阻害する物質を意図する。このとき、p53は、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、p53は、ヒト由来のp53と比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。p53阻害剤は、p53に結合するなどして、「直接的に」p53の機能を阻害するものであってもよいし、p53の機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」p53の機能を阻害するものであってもよい。

【0046】
p53阻害剤の具体例としては、PFTα(IUPAC名:2-(2-imino-4,5,6,7-tetrahydrobenzothiazole-3-yl)-1-p-tolylethanone hydrobromide)、Pifithrin-μ(IUPAC名:2-Phenylacetylenesulfonamide)、Nutlin-3(IUPAC名:4-{[(4R,5S)-4,5-Bis(4-chlorophenyl)-2-(2-isopropoxy-4-methoxyphenyl)-4,5-dihydro-1H-imidazol-1-yl]carbonyl}-2-piperazinone)、Ellipticine(IUPAC名:5,11-Dimethyl-6H-pyrido[4,3-b]carbazole)、Roscovitine(IUPAC名:(2R)-2-{[6-(Benzylamino)-9-isopropyl-9H-purin-2-yl]amino}-1-butanol)、Pifithrin-α(IUPAC名:2-Amino-3-[2-(4-methylphenyl)-2-oxoethyl]-2,3,4,5,6,7-hexahydro-1,3-benzothiazol-2-ylium bromide)、9-Hydroxyellipticine(IUPAC名:5,11-Dimethyl-6H-pyrido[4,3-b]carbazol-9-ol hydrochloride)、Cyclic Pifithrin-α hydrobromide(IUPAC名:4-(4-methylphenyl)-7-thia-2,5-diazatricyclo[6.4.0.02,6]dodeca-1(8),3,5-triene hydrobromide)、SJ 172550(IUPAC名:Methyl 2-(2-chloro-6-ethoxy-4-((3-methyl-5-oxo-1-phenyl-1H-pyrazol-4(5H)-ylidene)methyl)phenoxy)acetate)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0047】
本明細書において「CHK1阻害剤」とは、CHK1の機能を阻害する物質を意図する。このとき、CHK1は、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、CHK1は、ヒト由来のCHK1と比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。CHK1阻害剤は、CHK1に結合するなどして、「直接的に」CHK1の機能を阻害するものであってもよいし、CHK1の機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」CHK1の機能を阻害するものであってもよい。

【0048】
CHK1阻害剤の具体例としては、PD407824(IUPAC名:9-Hydroxy-4-phenylpyrrolo[3,4-c]carbazole-1,3(2H,6H)-dione)、AZD7762(IUPAC名:5-(3-Fluorophenyl)-3-ureidothiophene-2-carboxylic acid N-[(S)-piperidin-3-yl]amide hydrochloride)、CHIR-124(IUPAC名:(S)-3-(1H-benzo[d]imidazol-2-yl)-6-chloro-4-(quinuclidin-3-ylamino)quinolin-2(1H)-one)、LY2603618(IUPAC名:(S)-1-(5-bromo-4-methyl-2-(morpholin-2-ylmethoxy)phenyl)-3-(5-methylpyrazin-2-yl)urea)、UCN01(IUPAC名:(9S,10R,11R,13R)-2,3,10,11,12,13-Hexahydro-10-methoxy-9-methyl-11-(methylamino)-9,13-epoxy-1H,9H-diindolo[1,2,3-gh:3',2',1'-lm]pyrrolo[3,4-j][1,7]benzodiazonin-1-one)、MK8776(IUPAC名:6-bromo-3-(1-methylpyrazol-4-yl)-5-[(3R)-piperidin-3-yl]pyrazolo[1,5-a]pyrimidin-7-amine)、PF477736(IUPAC名:(R)-2-Amino-2-cyclohexyl-N-[2-(1-methyl-1H-pyrazol-4-yl)-6-oxo-5,6-dihydro-1H-[1,2]diazepino[4,5,6-cd]indol-8-yl]- acetamide )、SB218078(IUPAC名:9,10,11,12-Tetrahydro-9,12-epoxy-1H-diindolo[1,2,3-fg:3',2',1'-kl]pyrrolo[3,4-i][1,6]benzodiazocine-1,3(2H)-dione)、TCS2312(IUPAC名:4'-[5-[[3-[(Cyclopropylamino)methyl]phenyl]amino]-1H-pyrazol-3-yl]-[1,1'-biphenyl]-2,4-diol)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0049】
本明細書において「CHK2阻害剤」とは、CHK2の機能を阻害する物質を意図する。このとき、CHK2は、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、CHK2は、ヒト由来のCHK2と比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。CHK2阻害剤は、CHK2に結合するなどして、「直接的に」CHK2の機能を阻害するものであってもよいし、CHK2の機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」CHK2の機能を阻害するものであってもよい。

【0050】
CHK2阻害剤の具体例としては、AZD7762(IUPAC名:5-(3-Fluorophenyl)-3-ureidothiophene-2-carboxylic acid N-[(S)-piperidin-3-yl]amide hydrochloride)、Chk2 inhibitor II(IUPAC名:2-(4-(4-Chlorophenoxy)phenyl)-1H-benzimidazole-5-carboxamide hydrate)、CCT241533(IUPAC名:(3R,4S)-4-[[2-(5-Fluoro-2-hydroxyphenyl)-6,7-dimethoxy-4-quinazolinyl]amino]-α,α-dimethyl-3-pyrrolidinemethanol dihydrochloride)、PV1019(IUPAC名:7-nitro-1H-indole-2-carboxylic acid{4-[1-(guanidinohydrazone)-ethyl]-phenyl}-amide)、Debromohymenialdisine(IUPAC名:(4Z)-4-(2-Amino-5-oxo-1,5-dihydro-4H-imidazol-4-ylidene)-4,5,6,7-tetrahydropyrrolo[2,3-c]azepin-8(1H)-one)、VRX0466617(IUPAC名:5-[4-(4-Bromoanilino)anilino]-N'-(1-hydroxypropan-2-yl)-3-oxo-1,2-thiazole-4-carboximidamide)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0051】
本明細書において「WEE1阻害剤」とは、WEE1の機能を阻害する物質を意図する。このとき、WEE1は、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、WEE1は、ヒト由来のWEE1と比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。WEE1阻害剤は、WEE1に結合するなどして、「直接的に」WEE1の機能を阻害するものであってもよいし、WEE1の機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」WEE1の機能を阻害するものであってもよい。

【0052】
WEE1阻害剤の具体例としては、PD407824(IUPAC名:9-Hydroxy-4-phenylpyrrolo[3,4-c]carbazole-1,3(2H,6H)-dione)、MK1775(IUPAC名:2-allyl-1-(6-(2-hydroxypropan-2-yl)pyridin-2-yl)-6-(4-(4-methylpiperazin-1-yl)phenylamino)-1,2-dihydropyrazolo[3,4-d]pyrimidin-3-one)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0053】
本明細書において「PLK1阻害剤」とは、PLK1の機能を阻害する物質を意図する。このとき、PLK1は、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、PLK1は、ヒト由来のPLK1と比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。PLK1阻害剤は、PLK1に結合するなどして、「直接的に」PLK1の機能を阻害するものであってもよいし、PLK1の機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」PLK1の機能を阻害するものであってもよい。

【0054】
PLK1阻害剤の具体例としては、BI2536(IUPAC名:(R)-4-((8-cyclopentyl-7-ethyl-5-methyl-6-oxo-5,6,7,8-tetrahydropteridin-2-yl)amino)-3-methoxy-N-(1-methylpiperidin-4-yl)benzamide)、VOLASERTIB(IUPAC名:N-((1r,4r)-4-(4-(cyclopropylmethyl)piperazin-1-yl)cyclohexyl)-4-((R)-7-ethyl-8-isopropyl-5-methyl-6-oxo-5,6,7,8-tetrahydropteridin-2-ylamino)-3-methoxybenzamide)、GSK461364(IUPAC名:5-(6-((4-methylpiperazin-1-yl)methyl)-1H-benzo[d]imidazol-1-yl)-3-((R)-1-(2-(trifluoromethyl)phenyl)ethoxy)thiophene-2-carboxamide)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0055】
本明細書において「オーロラAキナーゼ阻害剤阻害剤」とは、オーロラAキナーゼ阻害剤の機能を阻害する物質を意図する。このとき、オーロラAキナーゼ阻害剤は、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、オーロラAキナーゼ阻害剤は、ヒト由来のオーロラAキナーゼ阻害剤と比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。オーロラAキナーゼ阻害剤阻害剤は、オーロラAキナーゼ阻害剤に結合するなどして、「直接的に」オーロラAキナーゼ阻害剤の機能を阻害するものであってもよいし、オーロラAキナーゼ阻害剤の機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」オーロラAキナーゼ阻害剤の機能を阻害するものであってもよい。

【0056】
オーロラAキナーゼ阻害剤阻害剤の具体例としては、MLN8237(IUPAC名:4-{[9-Chloro-7-(2-fluoro-6-methoxyphenyl)-5H-pyrimido[5,4-d][2]benzazepin-2-yl]amino}-2-methoxybenzoic acid)、AURORA A INHIBITOR I(IUPAC名:N-(2-chlorophenyl)-4-(2-(4-(2-(4-ethylpiperazin-1-yl)-2-oxoethyl)phenylamino)-5-fluoropyrimidin-4-ylamino)benzamide)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0057】
本明細書において「DNA複製阻害剤」とは、DNA(具体的には、染色体DNA)を複製するための複数の工程のうちの何れかの工程が行われることを妨げる物質を意図する。DNA複製阻害剤は、DNAを複製するために必要な複数のタンパク質の何れかに結合するなどして、「直接的に」当該タンパク質の機能を阻害するものであってもよいし、DNAを複製するために必要な複数のタンパク質の何れかの機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」当該タンパク質の機能を阻害するものであってもよい。

【0058】
DNA複製阻害剤の具体例としては、Etoposide(IUPAC名:4'-dimethylepipodophyllotoxin 9-(4,6-O-ethylidene-β-D-glucopyranoside))、ELLIPTICINE(IUPAC名:5,11-Dimethyl-6H-pyrido[4,3-b]carbazole)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0059】
本明細書において「DNA合成阻害剤」とは、DNA(具体的には、染色体DNA)を合成するための複数の工程のうちの何れかの工程が行われることを妨げる物質を意図する。DNA合成阻害剤は、DNAを合成するために必要な複数のタンパク質の何れかに結合するなどして、「直接的に」当該タンパク質の機能を阻害するものであってもよいし、DNAを合成するために必要な複数のタンパク質の何れかの機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」当該タンパク質の機能を阻害するものであってもよい。

【0060】
DNA合成阻害剤の具体例としては、HU(IUPAC名:Hydroxycarbamide)、5-FU(IUPAC名:5-Fluorouracil)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0061】
本明細書において「有糸分裂阻害剤」とは、有糸分裂を行うための複数の工程のうちの何れかの工程が行われることを妨げる物質を意図する。有糸分裂阻害剤は、有糸分裂に必要な複数のタンパク質の何れかに結合するなどして、「直接的に」当該タンパク質の機能を阻害するものであってもよいし、有糸分裂に必要な複数のタンパク質の何れかの機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」当該タンパク質の機能を阻害するものであってもよい。

【0062】
有糸分裂阻害剤の具体例としては、Taxol(IUPAC名:(2α,4α,5β,7β,10β,13α)-4,10-bis(acetyloxy)-13-{[(2R,3S)-3-(benzoylamino)-2-hydroxy-3-phenylpropanoyl]oxy}-1,7-dihydroxy-9-oxo-5,20-epoxytax-11-en-2-yl benzoate)、NOCODAZOLE(IUPAC名:Methyl [5-(2-thienylcarbonyl)-1H-benzimidazol-2-yl]carbamate)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0063】
本明細書において「CDC25a阻害剤」とは、CDC25aの機能を阻害する物質を意図する。このとき、CDC25aは、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、CDC25aは、ヒト由来のCDC25aと比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。CDC25a阻害剤は、CDC25aに結合するなどして、「直接的に」CDC25aの機能を阻害するものであってもよいし、CDC25aの機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」CDC25aの機能を阻害するものであってもよい。

【0064】
CDC25a阻害剤の具体例としては、PM-20(IUPAC名:1-[1,1'-Biphenyl]-4-yl-3,4-bis[(2-hydroxyethyl)thio]-1H-Pyrrole-2,5-dione)、NSC95397(IUPAC名:2,3-bis[(2-Hydroxyethyl)thiol]-1,4-naphthoquinone)、NSC663284(IUPAC名:6-Chloro-7-[[2-(4-morpholinyl)ethyl]amino]-5,8-quinolinedione)、K-252a(IUPAC名:(9S-(9α,10β,12α))-2,3,9,10,11,12-hexahydro-10-hydroxy-10-(methoxycarbonyl)-9-methyl-9,12-epoxy-1H-diindolo[1,2,3-fg:3',2',1'-kl]pyrrolo[3,4-i][1,6]benzodiazocin-1-one)、CDC25 Phosphatase Inhibitor I,BN82002(IUPAC名:4-(dimethylamino)-2-methoxy-6-[[methyl-[2-(4-nitrophenyl)ethyl]amino]methyl]phenol)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0065】
本明細書において「CDC25c阻害剤」とは、CDC25cの機能を阻害する物質を意図する。このとき、CDC25cは、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、CDC25cは、ヒト由来のCDC25cと比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。CDC25c阻害剤は、CDC25cに結合するなどして、「直接的に」CDC25cの機能を阻害するものであってもよいし、CDC25cの機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」CDC25cの機能を阻害するものであってもよい。

【0066】
CDC25c阻害剤の具体例としては、NSC95397(IUPAC名:2,3-bis[(2-Hydroxyethyl)thiol]-1,4-naphthoquinone)、NSC663284(IUPAC名:6-Chloro-7-[[2-(4-morpholinyl)ethyl]amino]-5,8-quinolinedione)、K-252a(IUPAC名:(9S-(9α,10β,12α))-2,3,9,10,11,12-hexahydro-10-hydroxy-10-(methoxycarbonyl)-9-methyl-9,12-epoxy-1H-diindolo[1,2,3-fg:3',2',1'-kl]pyrrolo[3,4-i][1,6]benzodiazocin-1-one)、CDC25 Phosphatase Inhibitor I,BN82002(IUPAC名:4-(dimethylamino)-2-methoxy-6-[[methyl-[2-(4-nitrophenyl)ethyl]amino]methyl]phenol)、mpV(pic)(IUPAC名:hydrogen peroxide;5-hydroxypyridine-2-carboxylic acid;oxovanadium)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0067】
本明細書において「DNA-PK阻害剤」とは、DNA-PKの機能を阻害する物質を意図する。このとき、DNA-PKは、ヒト由来のものであってもよいし、ヒト以外の生物(例えば、非ヒトである哺乳動物)由来のものであってもよい。例えば、DNA-PKは、ヒト由来のDNA-PKと比較して、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上のアミノ酸レベルの同一性を有するものであり得る。DNA-PK阻害剤は、DNA-PKに結合するなどして、「直接的に」DNA-PKの機能を阻害するものであってもよいし、DNA-PKの機能に必要な物質を捕捉するなどして、「間接的に」DNA-PKの機能を阻害するものであってもよい。

【0068】
DNA-PK阻害剤の具体例としては、PIK-75 HCL(IUPAC名:(E)-N'-((6-bromoH-imidazo[1,2-a]pyridin-3-yl)methylene)-N,2-dimethyl-5-nitrobenzenesulfonohydrazide hydrochloride)、NU7441(IUPAC名:8-(4-Dibenzothienyl)-2-(4-morpholinyl)-4H-1-benzopyran-4-one)、PI-103(IUPAC名:3-(4-Morpholin-4-ylpyrido[2,3]furo[2,4-b]pyrimidin-2-yl)phenol)、NU9056(IUPAC名:2-morpholin-4-ylbenzo[h]chromen-4-one)、KU-0060648(IUPAC名:2-(4-ethylpiperazin-1-yl)-N-[4-(2-morpholin-4-yl-4-oxochromen-8-yl)dibenzothiophen-1-yl]acetamide)、CC-115(IUPAC名:1-ethyl-7-(2-methyl-6-(1H-1,2,4-triazol-5-yl)pyridin-3-yl)-3,4-dihydropyrazino[2,3-b]pyrazin-2(1H)-one)、DMNB(IUPAC名:2,3-Dimethyl-2,3-dinitrobutane)、IC86621(IUPAC名:1-[2-hydroxy-4-(morpholin-4-yl)phenyl]ethan-1-one)、DNA-PK inhibitor V(IUPAC名:2-benzoyl-5-(morpholin-4-yl)phenol)、および、これらの誘導体または塩、を挙げることができる。勿論、本発明は、これらの具体例に限定されない。

【0069】
以下に、上述した阻害剤の代表例について、その構造を記載する。しかしながら、本発明は、これらの阻害剤に限定されない。

【0070】
【化1】
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【0071】
【化2】
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【0072】
【化3】
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【0073】
【化4】
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【0074】
【化5】
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【0075】
【化6】
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【0076】
【化7】
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【0077】
【化8】
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【0078】
【化9】
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【0079】
【化10】
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【0080】
【化11】
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【0081】
【化12】
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【0082】
【化13】
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【0083】
一実施形態の阻害剤では、上述した物質の誘導体または塩を用いてもよい。上述した物質の誘導体または塩を用いることにより、(1)白内障の予防効果および/または治療効果を増大できる、(2)物質の人体に対する安全性を増大できる、(3)扱いやすい物質を用いて製剤できる、などの効果を得ることができる。

【0084】
本明細書において、「誘導体」とは、特定の化合物に対して、当該化合物の分子内の一部が、他の官能基または他の原子と置換されることにより生じる化合物群を意図する。

【0085】
上記他の官能基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリル基、アミノ基、置換アミノ基、シリル基、置換シリル基、シリルオキシ基、置換シリルオキシ基、アリールスルフォニルオキシ基、アルキルスルフォニルオキシ基、ニトロ基などが挙げられる。上記他の原子の例としては、炭素原子、水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子、ハロゲン原子などが挙げられる。

【0086】
本明細書において、「塩」とは、被験体に投与することが生理学的に許容されうる塩を意図する。塩の例としては、アルカリ金属塩(カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アンモニウム塩、有機塩基塩(トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン塩など)、有機酸塩(酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、蟻酸塩、トルエンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩など)、無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、燐酸塩など)が挙げられる。

【0087】
上述した阻害剤は、公知の手法にしたがって製造することができる。また、上述した阻害剤としては、市販のものを用いることも可能である。

【0088】
〔4.白内障の予防剤または治療剤〕
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤は、上述したDNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤を有効成分として含有しているものである。以下に、本実施の形態の白内障の予防剤または治療剤について説明する。

【0089】
[4-1.投与形態および剤型]
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤は、被験体に対して投与される。一実施形態において、上記被験体は、ヒトである。他の実施形態において、上記被験体は、ヒト以外の動物である。上記ヒト以外の動物の例としては、ヒト以外の哺乳類(ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス、ラットなど)が挙げられる。

【0090】
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤は、任意の投与経路によって被験体に投与され得る。上記投与経路の例としては、経口投与、非経口投与、経皮投与、経粘膜投与、経静脈投与が挙げられる。したがって、上記白内障の予防剤または治療剤の剤型は、内服薬、外用薬、注射剤、坐剤、吸入剤、点眼剤などであり得る。

【0091】
上述した投与経路の中でも、非経口投与が好ましく、点眼投与、結膜能内投与、硝子体内投与、結膜下投与、および、テノン嚢下投与がより好ましく、点眼投与が更に好ましい。したがって、上述した剤型の中でも、点眼剤または注射剤が好ましく、点眼剤がより好ましい。点眼剤が好ましい理由としては、有効成分を水晶体に送達するまでの経路が短いこと、他の器官を刺激し難いこと、侵襲がほとんどないこと、全身への影響が小さいこと(点眼後の涙点圧迫によりさらに全身への影響を抑えることができる)、投与が簡便であること、反復投与が可能であること、患者が自己管理できること、などが挙げられる。上記構成であれば、白内障の予防効果または治療効果を、より迅速にすること、より増大させることなどが期待できる。

【0092】
[4-2.含有成分]
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤は、有効成分としてDNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤を含んでいる。本明細書において、「有効成分」とは、1つ以上の症状に対して予防効果または治療効果をもたらすことのできる物質を意図する。

【0093】
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤に含まれる阻害剤の濃度は、阻害剤の種類、予防剤または治療剤の投与経路、および、予防剤または治療剤の剤型などによって異なり得る。

【0094】
一例において、予防剤または治療剤における阻害剤の濃度の下限は、0.001μM以上、0.002μM以上、0.005μM以上、0.01μM以上、0.02μM以上、0.05μM以上、0.1μM以上、0.2μM以上、0.5μM以上、1μM以上、2μM以上、3μM以上、4μM以上、5μM以上、6μM以上、7μM以上、8μM以上、9μM以上、10μM以上、20μM以上、30μM以上、40μM以上、50μM以上、60μM以上、70μM以上、80μM以上、90μM以上、100μM以上、200μM以上、300μM以上、400μM以上、500μM以上、または、1000μM以上である。

【0095】
一例において、予防剤または治療剤における阻害剤の濃度の上限は、0.01μM以下、0.02μM以下、0.05μM以下、0.1μM以下、0.2μM以下、0.5μM以下、1μM以下、2μM以下、3μM以下、4μM以下、5μM以下、6μM以下、7μM以下、8μM以下、9μM以下、10μM以下、20μM以下、30μM以下、40μM以下、50μM以下、60μM以下、70μM以下、80μM以下、90μM以下、100μM以下、200μM以下、300μM以下、400μM以下、500μM以下、1000μM以下、2000μM以下、または、5000μM以下である。

【0096】
一例において、予防剤または治療剤における上記阻害剤の濃度は、0.001μM~5000μM、0.001~0.01μM、0.002~0.02μM、0.005~0.05μM、0.01~0.1μM、0.02~0.2μM、0.05~0.5μM、0.1~1μM、0.2~2μM、0.3~3μM、0.4~4μM、0.5~5μM、0.6~6μM、0.7~7μM、0.8~8μM、0.9~9μM、1~10μM、2~20μM、3~30μM、4~40μM、5~50μM、6~60μM、7~70μM、8~80μM、9~90μM、10~100μM、20~200μM、30~300μM、40~400μM、50~500μM、60~600μM、70~700μM、80~800μM、90~900μM、100~1000μM、200~2000μM、または、500~5000μMである。

【0097】
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤は、阻害剤以外の成分を含有していてもよい。

【0098】
上記阻害剤以外の成分としては、緩衝剤、pH調整剤、等張化剤、防腐剤、抗酸化剤、高分子量重合体、賦形剤、担体、希釈剤、溶媒、可溶化剤、安定剤、充填剤、結合剤、界面活性剤、および、安定化剤などを挙げることができる。

【0099】
上記緩衝剤の例としては、リン酸、リン酸塩、ホウ酸、ホウ酸塩、クエン酸、クエン酸塩、酢酸、酢酸塩、炭酸、炭酸塩、酒石酸、酒石酸塩、ε-アミノカプロン酸、および、トロメタモールなどが挙げられる。上記リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウムなどが挙げられる。上記ホウ酸塩としては、ホウ砂、ホウ酸ナトリウム、および、ホウ酸カリウムなどが挙げられる。上記クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、および、クエン酸三ナトリウムなどが挙げられる。上記酢酸塩としては、酢酸ナトリウム、および、酢酸カリウムなどが挙げられる。上記炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、および、炭酸水素ナトリウムなどが挙げられる。上記酒石酸塩としては、酒石酸ナトリウム、および、酒石酸カリウムなどが挙げられる。

【0100】
pH調整剤の例としては、塩酸、リン酸、クエン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、および、水酸化カリウムなどが挙げられる。

【0101】
上記等張化剤の例としては、イオン性等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、および、塩化マグネシウムなど)、および、非イオン性等張化剤(グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、および、マンニトールなど)が挙げられる。

【0102】
上記防腐剤の例としては、ベンザルコニウム塩化物、ベンザルコニウム臭化物、ベンゼトニウム塩化物、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、および、クロロブタノールなどが挙げられる。

【0103】
上記抗酸化剤の例としては、アスコルビン酸、トコフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル、および、亜硫酸ナトリウムなどが挙げられる。

【0104】
上記高分子量重合体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、および、アテロコラーゲンなどが挙げられる。

【0105】
特に、本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤がアテロコラーゲンを含有していれば、阻害剤の吸収率が上がるため、好ましい。

【0106】
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤に含まれる阻害剤以外の成分の濃度は、特に限定されず、例えば、予防剤または治療剤における上記阻害剤以外の成分の濃度は、0μM、0.001μM~5000μM、0.001~0.01μM、0.002~0.02μM、0.005~0.05μM、0.01~0.1μM、0.02~0.2μM、0.05~0.5μM、0.1~1μM、0.2~2μM、0.3~3μM、0.4~4μM、0.5~5μM、0.6~6μM、0.7~7μM、0.8~8μM、0.9~9μM、1~10μM、2~20μM、3~30μM、4~40μM、5~50μM、6~60μM、7~70μM、8~80μM、9~90μM、10~100μM、20~200μM、30~300μM、40~400μM、50~500μM、60~600μM、70~700μM、80~800μM、90~900μM、100~1000μM、200~2000μM、または、500~5000μMであってもよい。

【0107】
[4-3.製剤および処方]
上述した阻害剤、および、上述した阻害剤以外の成分を原料として、公知の手法により、本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤を製剤することができる。

【0108】
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤を投与する場合(例えば、点眼剤として投与する場合)、所望の効果が得られるならば、投与間隔に制限はない。上記投与間隔は、例えば、1時間~6箇月間に1回であり、好ましくは1時間に1回、2時間に1回、3時間に1回、6時間に1回、12時間に1回、1日間に1回、2日間に1回、3日間に1回、4日間に1回、5日間に1回、6日間に1回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、1箇月間に1回、2箇月間に1回、3箇月間に1回、4箇月間に1回、5箇月間に1回、6箇月間に1回であり、より好ましくは少なくとも1日に1回、少なくとも2日間に1回、少なくとも3日間に1回、少なくとも4日間に1回、少なくとも5日間に1回、少なくとも6日間に1回、少なくとも1週間に1回である。

【0109】
本発明の一実施形態に係る白内障の予防剤または治療剤を、白内障および/または他の疾患を予防または治療するための薬剤と併用して処方してもよい。

【0110】
また、本発明の一態様は、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤を有効成分として含有している白内障の予防剤または治療剤を用いる、白内障の予防方法または治療方法である。また、本発明の一態様は、DNA損傷に応答するシグナル伝達経路を阻害する阻害剤を有効成分として含有している白内障の予防剤または治療剤を被験体に投与する工程を有する、白内障の予防方法または治療方法である。
【実施例】
【0111】
以下の実施例では、ガラクトース添加培地を用いた、ex vivoの糖尿病白内障モデルを利用して、各薬剤の効果を試験した。
【実施例】
【0112】
<実施例1>
6週齢のSDラット(三協ラボサービス社製)の左右の眼球から、水晶体を摘出した。右眼から摘出した水晶体は、M199培地(SIGMA社製)に30mMのガラクトースを添加した培地を用いて培養した。一方、左眼から摘出した水晶体は、M199培地に、30mMのガラクトース、および、1μMのPLK3阻害剤(具体的には、GW843682X)を添加した培地を用いて培養した。
【実施例】
【0113】
各水晶体の培養にはインキュベーターを使用し、当該インキュベーター内の温度を37℃に保った。培養開始から4日後に、培地から各水晶体を取り出し、SZX12(Olympas社製)を用いて顕微鏡観察を行った。
【実施例】
【0114】
上述した試験を、合計3回行った。
【実施例】
【0115】
図2に、顕微鏡観察の試験結果を示す。図2から明らかなように、PLK3阻害剤が添加されていない培地を用いて培養された、右眼から摘出された水晶体では、培養開始から培養4日後にかけて、皮質部の白濁化が進んでいた。一方、PLK3阻害剤が添加されている培地を用いて培養された、左眼から摘出された水晶体では、右眼から摘出された水晶体と比較して、皮質部の白濁化が抑制されていた。
【実施例】
【0116】
<実施例2>
6週齢のSDラット(三協ラボサービス社製)の左右の眼球から、水晶体を摘出した。右眼から摘出した水晶体は、M199培地(SIGMA社製)に30mMのガラクトースを添加した培地を用いて培養した。一方、左眼から摘出した水晶体は、M199培地に、30mMのガラクトース、および、10μMのATMおよびATRの阻害剤(具体的には、CGK733)を添加した培地を用いて培養した。
【実施例】
【0117】
各水晶体の培養にはインキュベーターを使用し、当該インキュベーター内の温度を37℃に保った。培養開始から4日後に、培地から各水晶体を取り出し、SZX12(Olympas社製)を用いて顕微鏡観察を行った。
【実施例】
【0118】
上述した試験を、合計3回行った。
【実施例】
【0119】
図3に、顕微鏡観察の試験結果を示す。図3から明らかなように、ATMおよびATRの阻害剤が添加されていない培地を用いて培養された、右眼から摘出された水晶体では、培養開始から培養4日後にかけて、皮質部の白濁化が進んでいた。一方、ATMおよびATRの阻害剤が添加されている培地を用いて培養された、左眼から摘出された水晶体では、右眼から摘出された水晶体と比較して、皮質部の白濁化が抑制されていた。
【実施例】
【0120】
<実施例3>
6週齢のSDラット(三協ラボサービス社製)の左右の眼球から、水晶体を摘出した。右眼から摘出した水晶体は、M199培地(SIGMA社製)に30mMのガラクトースを添加した培地を用いて培養した。一方、左眼から摘出した水晶体は、M199培地に、30mMのガラクトース、および、20μMのATR阻害剤(具体的には、VE-821)を添加した培地を用いて培養した。
【実施例】
【0121】
各水晶体の培養にはインキュベーターを使用し、当該インキュベーター内の温度を37℃に保った。培養開始から4日後に、培地から各水晶体を取り出し、SZX12(Olympas社製)を用いて顕微鏡観察を行った。
【実施例】
【0122】
図4に、顕微鏡観察の試験結果を示す。図4から明らかなように、ATR阻害剤が添加されていない培地を用いて培養された、右眼から摘出された水晶体では、培養開始から培養4日後にかけて、皮質部の白濁化が進んでいた。一方、ATR阻害剤が添加されている培地を用いて培養された、左眼から摘出された水晶体では、右眼から摘出された水晶体と比較して、皮質部の白濁化が抑制されていた。
【実施例】
【0123】
<実施例4>
6週齢のSDラット(三協ラボサービス社製)の左右の眼球から、水晶体を摘出した。右眼から摘出した水晶体は、M199培地(SIGMA社製)に30mMのガラクトースを添加した培地を用いて培養した。一方、左眼から摘出した水晶体は、M199培地に、30mMのガラクトース、および、10μMのATM阻害剤(具体的には、KU55933)を添加した培地を用いて培養した。
【実施例】
【0124】
各水晶体の培養にはインキュベーターを使用し、当該インキュベーター内の温度を37℃に保った。培養開始から4日後に、培地から各水晶体を取り出し、SZX12(Olympas社製)を用いて顕微鏡観察を行った。
【実施例】
【0125】
図5に、顕微鏡観察の試験結果を示す。図5から明らかなように、ATM阻害剤が添加されていない培地を用いて培養された、右眼から摘出された水晶体では、培養開始から培養4日後にかけて、皮質部の白濁化が進んでいた。一方、ATM阻害剤が添加されている培地を用いて培養された、左眼から摘出された水晶体では、右眼から摘出された水晶体と比較して、皮質部の白濁化が抑制されていた。
【実施例】
【0126】
<実施例5>
6週齢のSDラット(三協ラボサービス社製)の眼球から、水晶体を摘出した。摘出した水晶体は、M199培地(SIGMA社製)に30mMのガラクトースを添加した培地を用いて培養した。
【実施例】
【0127】
各水晶体の培養にはインキュベーターを使用し、当該インキュベーター内の温度を37℃に保った。培養開始から2日後に、培地から各水晶体を取り出し、SZX12(Olympas社製)を用いて顕微鏡観察を行ったところ、皮質部の白濁化が進んでいた。
【実施例】
【0128】
その後、M199培地に30mMのガラクトースを添加した培地で培養した水晶体は、M199培地に、30mMのガラクトース、および、10、20または40μMのATM阻害剤(具体的には、AZD0156)を添加した培地を用いて培養した。最初の培養開始から4日後(阻害剤を添加した培地での培養開始から2日後)に、培地から各水晶体を取り出し、SZX12(Olympas社製)を用いて顕微鏡観察を行った。
【実施例】
【0129】
図6に、顕微鏡観察の試験結果を示す。図6から明らかなように、阻害剤を加える前の最初の培養開始から2日後の水晶体では、皮質部の白濁が見られたものの、ATM阻害剤を加えた後の最初の培養開始から4日後の水晶体では、皮質部の白濁の消滅および希薄化が確認された。このことは、本発明の薬剤が、白内障の予防効果のみならず、白内障の治療効果をも有していることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明は、白内障の予防剤または治療剤に利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5