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明細書 :眠気判定装置及びプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-192128 (P2018-192128A)
公開日 平成30年12月6日(2018.12.6)
発明の名称または考案の名称 眠気判定装置及びプログラム
国際特許分類 A61B   5/16        (2006.01)
A61B   5/18        (2006.01)
A61B   5/0245      (2006.01)
A61B   5/0452      (2006.01)
FI A61B 5/16
A61B 5/18
A61B 5/02 710C
A61B 5/04 312U
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2017-100180 (P2017-100180)
出願日 平成29年5月19日(2017.5.19)
発明者または考案者 【氏名】早野 順一郎
【氏名】吉田 豊
【氏名】湯田 恵美
出願人 【識別番号】506218664
【氏名又は名称】公立大学法人名古屋市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
【識別番号】100161207、【弁理士】、【氏名又は名称】西澤 和純
【識別番号】100152272、【弁理士】、【氏名又は名称】川越 雄一郎
審査請求 未請求
テーマコード 4C017
4C038
4C127
Fターム 4C017AA02
4C017AB10
4C017BC11
4C017BC21
4C017BD10
4C017CC01
4C017CC02
4C038KL09
4C038PP05
4C038PQ04
4C038VA15
4C127AA02
4C127EE01
4C127GG02
4C127GG05
4C127GG15
要約 【課題】被験者の眠気を比較的短時間で判定することができる眠気判定装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】眠気判定装置は、被験者の心拍動間隔の時間変化と、予め定められた心拍動間隔の時間変化の判定基準とに基づいて、前記被験者の眠気を判定する判定部と、を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
被験者の心拍動間隔の時間変化と、予め定められた心拍動間隔の時間変化の判定基準とに基づいて、前記被験者の眠気を判定する判定部と、
を備える眠気判定装置。
【請求項2】
前記判定基準は、
心拍動間隔が減少する第1期間と、前記第1期間後に心拍動間隔が増加する第2期間と、前記第2期間後に拍動期間が脈動する第3期間とによって示され、
前記判定部は、
前記判定基準に基づいて、前記被験者が眠気に耐えている状態であることを判定する、
請求項1に記載の眠気判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記被験者の前記心拍動間隔の前記時間変化のグラフ波形の形状と、前記判定基準のグラフ波形の形状との相似性に基づいて、前記被験者が眠気に耐えている状態であることを判定する、
請求項1又は請求項2に記載の眠気判定装置。
【請求項4】
車体に搭載され、被験者の心拍動間隔を検出する検出部
を更に備え、
前記判定部は、
前記検出部が検出した心拍動間隔の時間変化に基づいて、前記被験者の眠気を判定する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の眠気判定装置。
【請求項5】
前記検出部とは、
前記車体のハンドルに配置され、運転者である前記被験者の心拍を検出するグリップセンサである、
請求項4に記載の眠気判定装置。
【請求項6】
前記検出部とは、
運転者である前記被験者が着座するシートに配置され、前記被験者の心拍を検出する着座センサである、
請求項4又は請求項5に記載の眠気判定装置。
【請求項7】
前記検出部とは、
前記被験者によって着用可能であって、前記被験者の心拍を検出するウェアラブルセンサである、
請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の眠気判定装置。
【請求項8】
前記車体に搭載される表示部に、前記判定部が判定した判定結果を示す画像を表示する表示制御部
を更に備える請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の眠気判定装置。
【請求項9】
前記車体に搭載されるスピーカに、前記判定部が判定した判定結果を示す音声を出力する音声出力部
を更に備える請求項4から請求項8のいずれか一項に記載の眠気判定装置。
【請求項10】
コンピュータに、
被験者の心拍動間隔を検出する検出ステップと、
前記検出ステップが検出した前記心拍動間隔と、予め定められた心拍動間隔の判定基準とに基づいて、前記被験者の眠気を判定する判定ステップと、
を実行させるプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、眠気判定装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被験者の心拍数に基づいて眠気を検出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2008-264138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来技術では、眠気を検出する処理に比較的長い時間(例えば、数十秒~数百秒)を要する場合があった。例えば、被験者が自動車を運転している場合などにおいては、比較的短時間(例えば、十秒程度以内)で眠気の判定を行うことが求められる場合がある。しかしながら、上述のような従来技術では眠気の判定時間を短縮することが困難であるという問題があった。
本発明は、上記問題に鑑みて為されたものであり、被験者の眠気を比較的短時間で判定することができる眠気判定装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、被験者の心拍動間隔の時間変化と、予め定められた心拍動間隔の時間変化の判定基準とに基づいて、前記被験者の眠気を判定する判定部と、を備える眠気判定装置である。
【0006】
また、本発明の一態様の眠気判定装置において、前記判定基準は、心拍動間隔が減少する第1期間と、前記第1期間後に心拍動間隔が増加する第2期間と、前記第2期間後に拍動期間が脈動する第3期間とによって示され、前記判定部は、前記判定基準に基づいて、前記被験者が眠気に耐えている状態であることを判定する。
【0007】
また、本発明の一態様の眠気判定装置において、前記判定部は、前記被験者の前記心拍動間隔の前記時間変化のグラフ波形の形状と、前記判定基準のグラフ波形の形状との相似性に基づいて、前記被験者が眠気に耐えている状態であることを判定する。
【0008】
また、本発明の一態様の眠気判定装置は、車体に搭載され、被験者の心拍動間隔を検出する検出部を更に備え、前記判定部は、前記検出部が検出した心拍動間隔の時間変化に基づいて、前記被験者の眠気を判定する。
【0009】
また、本発明の一態様の眠気判定装置において、前記検出部とは、前記車体のハンドルに配置され、運転者である前記被験者の心拍を検出するグリップセンサである。
【0010】
また、本発明の一態様の眠気判定装置において、前記検出部とは、運転者である前記被験者が着座するシートに配置され、前記被験者の心拍を検出する着座センサである。
【0011】
また、本発明の一態様の眠気判定装置において、前記検出部とは、前記被験者によって着用可能であって、前記被験者の心拍を検出するウェアラブルセンサである。
【0012】
また、本発明の一態様の眠気判定装置は、前記車体に搭載される表示部に、前記判定部が判定した判定結果を示す画像を表示する表示制御部を更に備える。
【0013】
また、本発明の一態様の眠気判定装置は、前記車体に搭載されるスピーカに、前記判定部が判定した判定結果を示す音声を出力する音声出力部を更に備える。
【0014】
また、本発明の一態様は、コンピュータに、被験者の心拍動間隔を検出する検出ステップと、前記検出ステップが検出した前記心拍動間隔と、予め定められた心拍動間隔の判定基準とに基づいて、前記被験者の眠気を判定する判定ステップと、を実行させるプログラム。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被験者の眠気を比較的短時間で判定することができる眠気判定装置及びプログラム提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る眠気判定システムの概要を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る眠気判定装置の構成の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る判定基準情報の一例を示すグラフである。
【図4】第1実施形態に係る眠気判定装置の動作の一例を示す流れ図である。
【図5】第1実施形態の眠気判定装置の判定の一例を示すグラフである。
【図6】第2実施形態に係る眠気判定システムの概要を示す図である。
【図7】第2実施形態に係る眠気判定装置の構成の一例を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る眠気判定装置の出力の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1実施形態]
以下、図を参照して本発明の第1実施形態について説明する。

【0018】
[眠気判定システムの概要]
図1は、第1実施形態に係る眠気判定システム1の概要を示す図である。眠気判定システム1は、電極SC1と、眠気判定装置10とを備える。電極SC1は、眠気の判定対象の被験者(以下、被験者EN)の皮膚に貼付される。電極SC1は、被験者ENの皮膚表面に生じる心拍電位を検出する。電極SC1は、検出した心拍電位を示す信号(心拍電位信号)を眠気判定装置10に供給する。

【0019】
眠気判定装置10は、電極SC1から心拍電位信号を取得する。眠気判定装置10は、取得した心拍電位信号に基づいて算出される、被験者ENの心拍の時間間隔の変化に基づいて被験者ENに眠気が生じているか否かを判定する。なお、以下の説明において被験者ENの心拍の時間間隔を単に心拍動間隔とも記載する。つまり、眠気判定装置10は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化に基づいて、この被験者ENに眠気が生じているか否かを判定する。
以下、眠気判定装置10の具体的な構成について説明する。

【0020】
[眠気判定装置について]
図2は、第1実施形態に係る眠気判定装置10の構成の一例を示す図である。
図2に示す通り、眠気判定装置10は、制御部100と、記憶部500とを備える。記憶部500は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部500には、予め判定基準情報CRが記憶される。判定基準情報CRとは、心拍動間隔の時間変化の基準を示す情報である。この判定基準情報CRの一例について、図3を参照して説明する。

【0021】
[判定基準情報について]
図3は、第1実施形態に係る判定基準情報CRの一例を示すグラフである。図3に示すグラフの横軸は時間を示し、縦軸は心拍動間隔を示す。波形WCRは、判定基準情報CRの一例を示す波形である。判定基準情報CRには、被験者ENの眠気を判定する基準である3つの期間(図示する期間T1~T3)が含まれる。

【0022】
第1期間において、心拍動間隔は減少する。同図に示す期間T1(時刻t1から時刻t2まで)は、第1期間の一例である。具体的には、期間T1において、心拍動間隔はR(i-5)からR(i)まで減少する。ここで、(i)は拍動の回数を示す。例えば(i-5)とは(i)から数えて5回前の拍動を示す。つまりこの一例では、期間T1において、5回の拍動が生じている間に心拍動間隔が減少することを示す。この期間T1における心拍動間隔の減少の程度の基準を式(1)に示す。

【0023】
40msec≦R(i-5)-R(i)≦300msec…(1)

【0024】
第2期間は、第1期間の後に生じる。第2期間において、心拍動間隔は増加する。同図に示す期間T2(時刻t2から時刻t3まで)は、第2期間の一例である。具体的には、期間T2において、心拍動間隔は、R(i)からR(i+m)に増加する。この期間T2における心拍動間隔の増加の程度の基準を式(2)に示す。

【0025】
R(i+m)-R(i)≧120msec…(2)

【0026】
第3期間は、第2期間の後に生じる。第3期間において、心拍動間隔は減少した後に増加する。すなわち、第3期間において、心拍動間隔は脈動する。同図に示す期間T3(時刻t3から時刻t4まで)は、第3期間の一例である。具体的には、期間T3において、心拍動間隔はR(i+m)から減少した後に増加してR(i+n)になる。ここで、R(i+m)及びR(i+n)とは、心拍動間隔が脈動している場合における心拍動間隔の極値である。この期間T3における心拍動間隔の極値の変動幅の基準を式(3)に示す。

【0027】
0.9≦R(i+n)/R(i+m)≦1.1…(3)

【0028】
期間T2(第2期間)の継続時間、すなわち(i)と(i+m)との時間差の基準を、式(4)に示す。

【0029】
2sec≦(i+m)-(i)≦5sec …(4)

【0030】
期間T3(第3期間)の継続時間、すなわち(i+m)と(i+n)との時間差の基準を、式(5)に示す。

【0031】
2sec≦(i+n)-(i+m)≦12sec …(5)

【0032】
判定基準情報CRは、上述した波形WCRを式(1)~式(5)の条件式によって示す。
ここで、被験者ENに眠気が生じている場合、心拍動間隔が長くなる(心拍数が減少する)ことがある。また、被験者ENが眠気に耐えるため、瞼が閉じられるのを我慢すると、瞼に力が入ることなどにより心拍動間隔が短くなる(心拍数が増加する)場合がある。
判定基準情報CRのうち、期間T1(第1期間)は、眠気に耐えるために瞼に力が入ることなどにより、心拍動間隔が短くなる期間に相当する。判定基準情報CRのうち、期間T2(第2期間)は、眠気を紛らせた後に再び眠気が生じ、心拍動間隔が長くなる期間に相当する。また、判定基準情報CRのうち、期間T3(第3期間)は、眠気が継続する期間に相当する。
なお、判定基準情報CRは、上述した第1期間、第2期間、及び第3期間をグラフ波形の形状によって示す情報であってもよい。

【0033】
[眠気判定装置について]
図2に戻り、制御部100は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが記憶部500に記憶されたプログラムを実行することによって実現される。制御部100は、例えば、取得部110と、判定部120と、出力部130とをその機能部として備える。これらの機能部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。

【0034】
取得部110は、電極SC1から被験者ENの心拍電位を示す心拍電位信号を取得する。本実施形態の一例では、取得部110は、取得した心拍電位信号と、当該心拍電位信号を取得した時刻とを対応付けて判定部120に供給する。

【0035】
判定部120は、取得部110が取得した心拍電位信号の時間変化に基づいて、被験者ENの心拍動間隔を拍動毎に算出する。以下の説明において、この算出された心拍動間隔を示す情報を、心拍動間隔情報HIとも記載する。
判定部120は、心拍動間隔情報HIが示す被験者ENの心拍動間隔と、当該心拍動間隔が生じた時刻とに基づいて、被験者ENの心拍動間隔の時間変化を算出する。判定部120は、算出した被験者ENの心拍動間隔の時間変化と、判定基準情報CRが示す心拍動間隔の時間変化の基準とが合致するか否かを判定する。判定部120は、例えば、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に、判定基準情報CRが示す第3期間の条件に合致する波形が含まれる場合、被験者ENに眠気が生じている状態であると判定する。判定部120は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に、判定基準情報CRが示す第3期間の条件に合致する波形が含まれていない場合、被験者ENに眠気が生じていない状態であると判定する。また、判定部120は、例えば、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に、判定基準情報CRの第1期間、第2期間、及び第3期間のそれぞれが示す条件に合致する波形が含まれる場合、被験者ENが眠気を耐えている状態であると判定する。判定部120は、判定した判定結果を出力部130に供給する。

【0036】
出力部130は、判定部120が判定した判定結果を示す情報を出力する。出力部130は、例えば、眠気判定装置10と情報の送受信が可能に接続された端末(不図示)に対して判定結果を示す情報を送信してもよく、判定結果を示す情報を記憶部500に出力し記憶させてもよい。

【0037】
[眠気判定装置の動作について]
以下、図4を参照して眠気判定装置10の動作について説明する。
図4は、第1実施形態に係る眠気判定装置10の動作の一例を示す流れ図である。
取得部110は、電極SC1から心拍電位信号を取得する(ステップS110)。
判定部120は、取得部110が取得した心拍電位信号が示す心拍動間隔と、当該心拍動間隔が生じた時刻とに基づいて、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形を算出する。判定部120は、算出した被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に、第3期間の条件に合致する波形が含まれるか否かを判定する(ステップS120)。判定部120は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に、第3期間の条件に合致する波形が含まれない場合(ステップS120;NO)、被験者ENに眠気が生じていない状態であると判定する(ステップS130)。判定部120は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に、第3期間の条件に合致する波形が含まれる場合(ステップS120;YES)、処理をステップS140に進める。判定部120は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に、第1期間、及び第2期間の条件にそれぞれ合致する波形が含まれるか否かを判定する(ステップS140)。判定部120は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に、第1期間、及び第2期間の条件にそれぞれ合致する波形が含まれない場合(ステップS140;NO)、被験者ENに眠気が生じている状態であると判定する(ステップS150)。判定部120は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の波形に第1期間、及び第2期間の条件にそれぞれ合致する波形が含まれる場合(ステップS140;YES)、被験者ENが眠気に耐えている状態であると判定する(ステップS160)。

【0038】
図5は、第1実施形態の眠気判定装置10の判定の一例を示すグラフである。
図5に示すグラフの横軸は時間軸を示し、縦軸は心拍動間隔を示す。また、波形WHIは、ある被験者ENの心拍動間隔情報HI(心拍動間隔)の時間変化を示す波形である。この一例では、波形WHIは、17時9分から17時19分までの心拍動間隔の時間変化を示す。
眠気判定装置10は、17時11分付近と、17時14分付近とにおいて、波形WHIが示す心拍動間隔の時間変化の波形に、第1期間、第2期間、及び第3期間にそれぞれ合致する波形が含まれると判定する。つまり、眠気判定装置10は、17時11分付近と、17時14分付近とにおいて、被験者ENが眠気に耐えている状態であるとそれぞれ判定する。

【0039】
[第1実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の眠気判定システム1は、電極SC1と、眠気判定装置10とを備える。本実施形態の眠気判定装置10は、判定部120が、被験者ENの心拍動間隔と、当該心拍動間隔が生じた時刻と、判定基準情報CRとに基づいて、被験者ENの眠気を判定する。
本実施形態の眠気判定システム1は、被験者ENの眠気を判定し、眠気が生じたまま実施することが困難な業務(例えば、運転業務や監視業務)を被験者ENが行っている場合、被験者ENに対して眠気が生じていることを提示し、業務の中断や休憩を促すことができる。

【0040】
ここで、被験者の心拍動間隔の時間変化の平均特性(例えば、変動量、周波数成分のパワーや振幅、複雑性、フラクタル特性等)に基づいて当該被験者の眠気を判定する従来の技術によると、当該被験者の心拍動間隔の時間変化を比較的長い時間(例えば、400秒程度)計測しなければ、被験者の眠気を判定することができない場合があった。したがって、従来の技術では、被験者に眠気が生じている場合に、眠気を即時に判定することが困難である場合があった。
これに対し、本実施形態の眠気判定装置10は、第1期間~第3期間が取得可能な時間(例えば、十数秒程度)だけ心拍動間隔の時間変化を取得することにより、被験者ENの眠気を判定することができる。つまり、本実施形態の眠気判定装置10は、従来の技術よりも短時間で被験者ENの眠気を判定することができる。

【0041】
また、本実施形態の眠気判定装置10によれば、被験者ENが眠気を耐えている状態であることを判定することができる。これにより、本実施形態の眠気判定装置10は、被験者ENに眠気が生じつつも、被験者ENが眠気を耐えていることを提示し、業務の中断や休憩を促すことができる。

【0042】
[被験者に応じた判定基準情報のキャリブレーションについて]
なお、上述した判定基準情報CRの第1期間、第2期間、及び第3期間の条件は一例であって、これに限られない。例えば、眠気判定装置10は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化の傾向に応じて、判定基準情報CRを変更してもよい。眠気判定装置10は、例えば、被験者ENの心拍動間隔の傾向が取得可能な期間(例えば、数分間)だけ心拍動間隔情報HIを取得する。眠気判定装置10は、取得した心拍動間隔情報HIが示す心拍動間隔の時間変化の特徴に基づいて、判定基準情報CRをキャリブレーションする。

【0043】
例えば、被験者ENの心拍動間隔の減少の程度によっては、期間T1(第1期間)における減少前の心拍動間隔と、減少後の心拍動間隔との差の下限値、及び上限値は、上述した式(1)が示す下限値(40msec)、及び上限値(300msec)と、異なる値であってもよい。具体的には、被験者ENの心拍動間隔の減少の程度が大きい場合、下限値、及び上限値は、式(1)が示す下限値、及び上限値よりも長い時間であってもよい。また、被験者ENの心拍動間隔の減少の程度が小さい場合、下限値、及び上限値は、式(1)が示す下限値、及び上限値よりも短い時間であってもよい。

【0044】
また、被験者ENの心拍動間隔が減少する変化の速度によっては、期間T1(第1期間)において徐々に心拍動間隔が減少する期間が、5回の拍動が生じている間でなくてもよい。具体的には、心拍動間隔が減少する変化の速度が速い場合、徐々に心拍動間隔が減少する期間が、5回より少ない回数の拍動が生じる間であってもよい。心拍動間隔が減少する変化の速度が遅い場合、徐々に心拍動間隔が減少する期間が、5回より多い回数の拍動多い回数の拍動が生じる間であってもよい。

【0045】
また、被験者ENの心拍動間隔の増加の程度によっては、期間T2(第2期間)における増加前の心拍動間隔と、増加後の心拍動間隔との差の下限値は、上述した式(2)の下限値(120msec)と異なる値であってもよい。具体的には、被験者ENの心拍動間隔の増加の程度が小さい場合、下限値は、式(2)が示す下限値よりも短い時間であってもよい。

【0046】
また、被験者ENの心拍動間隔の増加する変化の速度によっては、期間T2(第2期間)の継続時間は、上述した式(4)が示す下限値(2sec)、及び上限値(5sec)と異なる値であってもよい。具体的には、心拍動間隔の増加する変化の速度が速い場合、下限値、及び上限値は、式(4)が示す下限値、及び上限値よりも短い時間であってもよい。また、心拍動間隔の増加する変化の速度が遅い場合、下限値、及び上限値は、式(4)が示す下限値、及び上限値よりも長い時間であってもよい。

【0047】
また、被験者ENの心拍動間隔が減少、及び増加の程度によっては、期間T3(第3期間)における心拍動間隔の極値の変動幅の基準の下限値、及び上限値は、上述した式(3)が示す下限値(0.9)、及び上限値(1.1)と、異なる値であってもよい。具体的には、心拍動間隔の減少、及び増加の程度が大きい場合、下限値、及び上限値は、式(3)が示す下限値、及び上限値よりも大きい値であってもよい。また、心拍動間隔の減少、及び増加の程度が小さい場合、下限値、及び上限値は、式(3)が示す下限値、及び上限値よりも小さい値であってもよい。

【0048】
また、被験者ENの心拍動間隔の減少、及び増加する変化の速度によっては、期間T3(第3期間)の継続時間は、上述した式(5)が示す下限値(2sec)、及び上限値(12sec)と異なる値であってもよい。具体的には、心拍動間隔の増加する変化の速度が速い場合、下限値、及び上限値は、式(5)が示す下限値、及び上限値よりも短い時間であってもよい。また、心拍動間隔の増加する変化の速度が遅い場合、下限値、及び上限値は、式(5)が示す下限値、及び上限値よりも長い時間であってもよい。

【0049】
なお、眠気判定装置10は、被験者ENの心拍動間隔の時間変化に、判定基準情報CRの第1期間、第2期間、及び第3期間を示すグラフ波形の形状と合致、又は相似する波形の形状が含まれる場合、被験者ENに眠気が生じている状態、又は被験者ENが眠気に耐えている状態であると判定してもよい。

【0050】
眠気判定装置10は、被験者EN毎の心拍動間隔の時間変化の特徴に応じて判定基準情報CRをキャリブレーションすることによって、より精度高く被験者ENの眠気を判定することができる。

【0051】
[第2実施形態]
以下、図を参照して本発明の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る眠気判定システム2の概要を示す図である。
第2実施形態では、被験者ENが車両を運転する運転者である場合について説明する。
図6に示す通り、眠気判定システム2は、グリップセンサSC2と、着座センサSC3と、眠気判定装置11とを備える。

【0052】
グリップセンサSC2は、被験者ENが運転する車両のハンドルに配置される。具体的には、グリップセンサSC2は、被験者ENがハンドルを握る位置に配置される。グリップセンサSC2は、被験者ENの手の皮膚表面に生じる心拍電位を検出する。グリップセンサSC2は、検出した心拍電位信号を眠気判定装置11に供給する。
着座センサSC3は、被験者ENが運転する車両のシートであって、被験者ENが着座するシートに配置される。着座センサSC3は、着座センサSC3と、被験者ENとが接する箇所の心拍(脈波)電位を検出する。着座センサSC3は、検出した心拍電位信号を眠気判定装置11に供給する。

【0053】
なお、眠気判定システム2は、グリップセンサSC2と、着座センサSC3とのうち、いずれか一方を備える構成であってもよい。また、眠気判定システム2は、グリップセンサSC2が主として心拍電位を検出し、グリップセンサSC2が心拍電位を検出できない場合(例えば、被験者ENがハンドルから手を放す場合等)、着座センサSC3が心拍電位を検出する構成であってもよい。以下、眠気判定システム2がグリップセンサSC2のみを備える場合について説明する。

【0054】
図7は、第2実施形態に係る眠気判定装置11の構成の一例を示す図である。
図7に示す通り、本実施形態の眠気判定システム2が備える眠気判定装置11には、表示部DPと、スピーカSPとが接続される。表示部DPは、眠気判定装置11の制御に基づいて、各種画像を表示する。スピーカSPは、眠気判定装置11の制御に基づいて、各種音声を出力する。

【0055】
眠気判定装置11は、制御部101と、記憶部500とを備える。
制御部101は、取得部110と、判定部120と、出力部130とを備える。本実施形態の出力部130には、表示制御部131と、音声出力部132とが含まれる。
表示制御部131は、判定部120が判定した判定結果を取得する。表示制御部131は、取得した判定結果を示す画像を表示部DPに表示させる。
音声出力部132は、判定部120が判定した判定結果を取得する。音声出力部132は、取得した判定結果を示す音声をスピーカSPに出力させる。

【0056】
図8は、第2実施形態に係る眠気判定装置11の出力の一例を示す図である。
本実施形態の一例では、被験者ENが運転する車両には、カーナビゲーションが備えられる。表示部DPとは、例えば、カーナビゲーションのディスプレイである。また、スピーカSPとは、カーナビゲーションのスピーカである。

【0057】
図8に示す通り、表示制御部131は、判定部120の判定結果が、被験者ENが眠気に耐えている状態であることを示す場合、判定結果を示す画像(図示する画像GP)を表示部DPに表示させる。画像GPには、例えば、「眠気を耐えている状態です休憩を取りましょう」等の判定結果を示すメッセージが含まれる。
また、音声出力部132は、判定部120の判定結果が、被験者ENが眠気に耐えている状態であることを示す場合、判定結果を示す音声(図示する音声SD)をスピーカSPに出力させる。音声SDには、例えば、「眠気を耐えている状態です休憩を取りましょう」等の判定結果を示すメッセージが含まれる。

【0058】
なお、上述では、カーナビゲーションの表示部DP、及びスピーカSPから判定結果を示す情報を出力する場合について説明したが、これに限られない。表示部DP、及びスピーカSPは、カーナビゲーションとは別途、車両に備えられる構成であってもよい。
また、上述では、判定結果が、被験者ENが眠気に耐えている状態であることを示す場合について説明したが、これに限られない。判定結果が、被験者ENに眠気が生じている状態であることを示す場合、画像GP、及び音声SDには、例えば、「眠気が生じている状態です休憩を取りましょう」等のメッセージが含まれていてもよい。また、被験者ENに眠気が生じていない状態であることを示す場合、画像GPを表示部DPに表示しない、及び音声SDをスピーカSPに出力しない構成であってもよい。また、被験者ENに眠気が生じていない状態であることを示す場合、表示制御部131は、例えば、「眠気が生じていません」等のメッセージを含む画像GPを表示部DPに表示させる構成であってもよい。また、音声出力部132は、例えば、「眠気が生じていません」等のメッセージを含む音声SDをスピーカSPに出力させる構成であってもよい。
また、上述では、眠気判定システム2が表示部DP、及びスピーカSPを備える場合について説明したが、これに限られない。眠気判定システム2は、例えば、表示部DP、及びスピーカSPのうち、いずれか一方を備える構成であってもよい。眠気判定システム2が表示部DPを備えない場合、眠気判定装置11は、表示制御部131を備えていなくてもよい。また、眠気判定システム2がスピーカSPを備えない場合、眠気判定装置11は、音声出力部132を備えていなくてもよい。

【0059】
[第2実施形態のまとめ]
以上説明したように、本実施形態の眠気判定システム2は、グリップセンサSC2と、眠気判定装置11と、表示部DPと、スピーカSPとを備える。本実施形態の眠気判定装置11は、判定部120が判定した判定結果を示す画像GPを表示部DPに表示させる。また、本実施形態の眠気判定装置11は、判定部120が判定した判定結果を示す音声SDをスピーカSPに出力させる。
これにより、本実施形態の眠気判定システム2は、被験者ENの眠気を判定し、眠気が生じたまま、又は眠気を耐えたまま運転している場合、被験者ENに対して眠気が生じていること、又は眠気を耐えていることを画像GPや音声SDによって分かりやすく提示し、運転の停止や休憩を促すことができる。したがって、被験者ENは、居眠り運転による危険を低減することができる。

【0060】
なお、上述では、被験者ENの心拍(心拍電位)を検出する手段が、電極SC1、グリップセンサSC2、及び着座センサSC3である場合について説明したが、これに限られない。例えば、腕時計型や、メガネ型等のウェアラブルセンサなどによって、心拍、又は心拍に相当する情報(例えば、脈拍)を検出してもよい。また、心音を検出するセンサによって心拍を検出してもよい。

【0061】
なお、上記の各実施形態における眠気判定システム1、及び眠気判定システム2が備える各部は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、また、メモリおよびマイクロプロセッサにより実現させるものであってもよい。

【0062】
なお、眠気判定システム1、及び眠気判定システム2が備える各部は、メモリおよびCPU(中央演算装置)により構成され、眠気判定システム1、及び眠気判定システム2が備える各部の機能を実現するためのプログラムをメモリにロードして実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。

【0063】
また、眠気判定システム1、及び眠気判定システム2が備える各部の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。

【0064】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。

【0065】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態に記載の構成を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1、2…眠気判定システム、10、11…眠気判定装置、100、101…制御部、110…取得部、120…判定部、130…出力部、131…表示制御部、132…音声出力部、500…記憶部、CR…判定基準情報、EN…被験者、HI…心拍動間隔情報、SC1…電極、SC2…グリップセンサ、SC3…着座センサ、SD…音声、GP…画像、DP…表示部、SP…スピーカ、T1、T2、T3…期間
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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