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Specification :(In Japanese)新規機能タンパク質及びそれを用いた老化抑制方法及び薬剤、並びに老化抑制薬剤候補物質スクリーニング方法

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2018-203679A
Date of publication of application Dec 27, 2018
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)新規機能タンパク質及びそれを用いた老化抑制方法及び薬剤、並びに老化抑制薬剤候補物質スクリーニング方法
IPC (International Patent Classification) C07K  14/47        (2006.01)
G01N  33/50        (2006.01)
G01N  33/15        (2006.01)
C12Q   1/02        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
A61K  38/16        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI (File Index) C07K 14/47 ZNA
G01N 33/50 Z
G01N 33/15 Z
C12Q 1/02
A61P 43/00 111
A61K 38/16
A61P 43/00
C12N 15/00 A
Number of claims or invention 10
Filing form OL
Total pages 17
Application Number P2017-112165
Date of filing Jun 7, 2017
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】長内 智宏
Applicant (In Japanese)【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100130111、【弁理士】、【氏名又は名称】新保 斉
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 2G045
4B063
4C084
4H045
F-term 2G045AA25
4B063QA01
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4H045AA10
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4H045CA40
4H045EA20
4H045EA50
Abstract (In Japanese)【課題】老化を抑制する薬剤及び方法、並びに老化を抑制する薬剤となる候補物質をスクリーニング方法の提供。
【解決手段】NM_026333タンパク質は、NCX1(Na+-Ca2+exchanger 1)チャンネルを阻害する機能を有し、オートファジーの障害を抑制する機能を有する。また、核膜またはクロマチン構造の変化、細胞内タンパクの融解を抑制する機能を有し、テロメアの長さの減少を抑制する機能を有する方法。該タンパク質を生体の老化を抑制する作用を有する薬剤、生体の老化を抑制、または生体の老化を抑制する作用を有する薬剤の候補物質をスクリーニングに使用する方法。
【選択図】図3
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
NM_026333タンパク質から成り、
NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)チャンネルを阻害する機能を有する
ことを特徴とするタンパク質。
【請求項2】
NM_026333タンパク質から成り、
オートファジーの障害を抑制する機能を有する
ことを特徴とするタンパク質。
【請求項3】
NM_026333タンパク質から成り、
核膜またはクロマチン構造の変化、または細胞内タンパクの融解を抑制する機能を有する
ことを特徴とするタンパク質。
【請求項4】
NM_026333タンパク質から成り、
テロメアの長さの減少を抑制する機能を有する
ことを特徴とするタンパク質。
【請求項5】
NM_026333タンパク質から成り、
ゲノムまたはエピゲノムの変化を抑制する機能を有する
ことを特徴とするタンパク質。
【請求項6】
NM_026333タンパク質を主成分とし、生体の老化を抑制する作用を有する
ことを特徴とする薬剤。
【請求項7】
NM_026333タンパク質を生体に導入し、生体の老化を抑制する
ことを特徴とする方法。
【請求項8】
生体の老化を抑制する作用を有する薬剤の候補物質をスクリーニングする方法であって、
候補物質が、NM_026333タンパク質の発現を誘導し得るか否か、または、NM_026333タンパク質の活性を誘導し得るか否かを評価する工程と、
候補物質を被験体に導入する工程と、
被験体における老化シグナルが低減し得るか否かを評価する工程と、を有する
ことを特徴とする薬剤候補物質スクリーニング方法。
【請求項9】
生体の老化を抑制する作用を有する薬剤の候補物質をスクリーニングする方法であって、
候補物質が、NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)チャンネルを阻害し得るか否かを評価する工程と、
候補物質を被験体に導入する工程と、
被験体における老化シグナルが低減し得るか否かを評価する工程と、を有する
ことを特徴とする薬剤候補物質スクリーニング方法。
【請求項10】
老化シグナルが、オートファジーの障害、核膜またはクロマチン構造の変化、または細胞内タンパクの融解、テロメアの長さの減少、ゲノムまたはエピゲノムの変化のうちの少なくとも一つである
請求項8または9に記載の薬剤候補物質スクリーニング方法。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な機能を有するタンパク質と、それを用いた老化抑制方法及び薬剤、並びに、老化抑制薬剤候補物質のスクリーニング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞内の遊離Ca2+は、心筋や平滑筋の収縮、神経伝達物質の放出、遺伝子発現の制御などに関与する重要なイオンであり、このCa2+濃度は、細胞膜や筋小胞体膜のCa2+Ca2+ポンプ、Ca2+チャンネル、NCX(Na+ - Ca2+ exchanger)チャンネルにより調節されている。
【0003】
NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)チャンネルは、NaとCa2+を交換輸送する細胞膜イオントランスポーターであり、心血管系疾病や糖尿病などとの関係については報告があり、その阻害剤についても報告がある(特許文献1~5、非特許文献1~4)。
【0004】
しかし、NCX1チャンネルと老化との関係については知られていない。
アンチエイジングに対する需要は大きく、その医薬が期待されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】WO2003/068263
【特許文献2】特開2006-45142
【特許文献3】特表2008-510150
【特許文献4】特表2010-520759
【特許文献5】特表2016-511266
【0006】

【非特許文献1】日薬理誌(Folia Pharmacol.Jpn.)129,2007,262-265
【非特許文献2】DIABETES,VOL.60,AUGUST 2011,2076-2085
【非特許文献3】DIABETES,VOL.59,JULY 2010,1693-1688
【非特許文献4】THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY VOL.285, NO. 29,22291-22298, July 16,2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、老化を抑制する薬剤及び方法、並びに、老化を抑制する薬剤となる候補物質をスクリーニング方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の新規な機能を有するタンパク質は、NM_026333タンパク質から成り、NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)チャンネルを阻害する機能を有することを特徴とする。
【0009】
また、NM_026333タンパク質から成り、オートファジーの障害を抑制する機能を有するタンパク質でもよい。
【0010】
NM_026333タンパク質から成り、核膜またはクロマチン構造の変化、または細胞内タンパクの融解を抑制する機能を有するタンパク質でもよい。
【0011】
NM_026333タンパク質から成り、テロメアの長さの減少を抑制する機能を有するタンパク質でもよい。
【0012】
NM_026333タンパク質から成り、ゲノムまたはエピゲノムの変化を抑制する機能を有するタンパク質でもよい。
【0013】
本発明の薬剤は、NM_026333タンパク質を主成分とし、生体の老化を抑制する作用を有することを特徴とする。
【0014】
本発明の老化抑制方法は、NM_026333タンパク質を生体に導入し、生体の老化を抑制することを特徴とする。
【0015】
本発明の薬剤候補物質スクリーニング方法は、生体の老化を抑制する作用を有する薬剤の候補物質をスクリーニングする方法であって、候補物質が、NM_026333タンパク質の発現を誘導し得るか否か、または、NM_026333タンパク質の活性を誘導し得るか否かを評価する工程と、候補物質を被験体に導入する工程と、被験体における老化シグナルが低減し得るか否かを評価する工程と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、生体の老化を抑制する作用を有する薬剤の候補物質をスクリーニングする方法であって、候補物質が、NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)チャンネルを阻害し得るか否かを評価する工程と、候補物質を被験体に導入する工程と、被験体における老化シグナルが低減し得るか否かを評価する工程と、を有する方法でもよい。
【0017】
ここで、老化シグナルを、オートファジーの障害、核膜またはクロマチン構造の変化、または細胞内タンパクの融解、テロメアの長さの減少、ゲノムまたはエピゲノムの変化のうちの少なくとも一つとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)チャンネルを阻害し、Ca2+の流入を抑制できるので、生体の老化の抑制に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】野性型細胞(WT)、老化促進モデル細胞(TG)、NM_026333タンパク質を導入した老化促進モデル細胞(TG NM_026333)の蛍光免疫染色写真(左)及びウエスタンブロット写真(右)
【図2】NM_026333タンパク質を導入した老化促進モデル細胞(TG NM_026333)によるクロマチン構造の回復を示すDAPI染色写真
【図3】白血球の野性型細胞(WT)及び老化促進モデル細胞(TG)のテロメア長を示すグラフ(左)と、線維芽細胞の老化促進モデル細胞(TG)及びNM_026333タンパク質を導入した老化促進モデル細胞(TG NM_026333)のテロメア長を示すグラフ(右)
【図4】NM_026333タンパク質によるHEK-293細胞内Caイオン濃度の変化を示すグラフ
【図5】NM_026333タンパク質によるA7r5細胞内Caイオン濃度の変化を示すグラフ
【図6】NM_026333タンパク質を過剰発現させたHEK-293細胞の染色写真
【図7】NM_026333タンパク質を過剰発現させたA7r5細胞の染色写真
【図8】Hisタグ付きNM_026333タンパク質の相互作用を示すウエスタンブロット写真
【図9】NCX1阻害薬によるHEK-293細胞内Caイオン濃度の変化を示すグラフ
【図10】NCX1阻害剤SN-6による作用を示す下段の図を、図1に等しい上段の図に加えた写真
【図11】NCX1阻害剤SN-6を投与した老化促進モデル細胞(TG SN-6 10-5M)によるクロマチン構造の回復を示すDAPI染色写真
【図12】マウス線維芽細胞の老化促進モデル細胞(TG)及びNCX1阻害剤を投与した老化促進モデル細胞(TG SN-6 10-5M)のテロメア長を示すグラフ(左)と、ヒトHEK-293細胞の老化促進モデル細胞(CF6)及びNCX1阻害剤を投与した老化促進モデル細胞(CF6 SN-6 10-5M)のテロメア長を示すグラフ(右)

【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態を説明する。実施形態は、上記の先行技術文献や従来公知の技術を援用して適宜設計変更可能である。
【0021】
老化促進モデルマウス及び高食塩摂取マウスの心臓及び腎臓から組織を採取し、マイクロアレー法により、共通して発現が低下しているタンパク質のスクリーニングを行った。
老化促進モデルマウスとしては、7週齢の雄性C57BL/6Jの野生型と7週齢の雄性human coupling factor 6 (CF6) 過剰発現マウス(ヒトCF6+human elongation factor 1 プロモーターのDNA断片を作成し、2系統のTG(老化促進モデル)マウスを確立し、そのうちの1系統を使用)を用い、高食塩摂取マウスとしては、食塩負荷を4週齢の雄性C57BL/6Jの野生型に普通食または高塩食(8% NaCl)を3週間摂取させた7週齢マウスを用いた。
【0022】
RNA単離には、組織及び細胞を氷冷リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で手早くすすぎ、製造者の説明書に従ってRNeasy(登録商標)ミニキット(Qiagen)を使用することにより行った。RNA品質は分光光度分析(OD260/280)により保証された。RNAは、分光光度分析により260nmで定量した。全RNAからのmRNAの直線的増幅は、Amino Allyl MessageAmp(商標)aRNAキット(Ambion、TX、USA)を用い、製造者の推奨に従って2回の連続増幅工程で得た。2つの異なる供給源からのRNAサンプルをCy3結合デオキシリボヌクレオチドまたはCy5結合デオキシリボヌクレオチド(Amersham Biosciences、ドイツ)のいずれかで標識した異なるマイクロアレイスライドを用いて各2反復の実験を行った。実験的aRNAに由来するプローブ上の蛍光色素はCy5であり、対照プローブ上の色素はCy3であった。
【0023】
cDNAマイクロアレイには、TGマウスとWT(野性型)マウスまたは高食塩摂取マウスの間の心臓及び腎臓で、また、10-7Mの共役因子6に24時間曝した初代HUVECで変化した遺伝子を同定するために、DNAマイクロアレイAceGene-Mouse Oligo Chip 30K 1 Chip Version(日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社、神奈川、日本)を用いた。標識されたプローブをハイブリダイゼーション溶液(5×塩化ナトリウム及びクエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、4×デンハート液、20%ハイブリダイゼーション溶液、0.1mg/ml変性サケ精子DNA及び10%ホルムアミド)と混合し、46℃で14時間のハイブリダイゼーション後、これらのスライドを5×SSC及び0.1%SDS中、室温で2分、5×SSC及び0.1%SDS中、30℃で10分、0.5×SSC中、室温で2分洗浄した。スライドのCy3蛍光及びCy5蛍光を、428アレイスキャナー(AFFYMETRIX)でスキャンし、蛍光をDNASISアレイソフトウエアバージョン2.6(日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社、神奈川、日本)で定量した。現行の分析では強度依存グローバルノーマライゼーション(平均:10,000)を使用した。強度依存ノーマライゼーションは、このような2色試験において色素関連のアーチファクトを消去するために使用される。各遺伝子に関する結果を3つのスライドから得られた平均とした。データはCy5(共役因子6+の場合)とCy3(共役因子6-の場合)のノーマライズ後の比とし、2000以上の強度を使用した。
4種類のマイクロアレーで安定した発現があり安定して発現抑制が認められ、機能が特定されていないcDNAのみが報告されている遺伝子を探索した結果、NM_026333の269個のアミノ酸配列から成るタンパク質が同定された。TGマウスの心臓で0.375±0.042、腎臓で0.430±0.209、高食塩摂取マウスの心臓で0.655±0.138、腎臓で0.204±0.408であり、野生型マウスに比較して有意な安定した発現低下が認められた。
【0024】
図1は、野性型細胞(WT)、老化促進モデル細胞(TG)、NM_026333タンパク質を導入した老化促進モデル細胞(TG NM_026333)の蛍光免疫染色の写真(左)及びウエスタンブロットの写真(右)である。
蛍光免疫染色では、マウス心臓からexplant 法で採取したfibroblastを使用し、スライドグラスつきのペトリディッシュに細胞を培養し、NM_026333タンパク質をEffectene Transfection Reagent(QIAGEN, Valencia, CA, USA)で導入し48時間後に、serum-free DMEM中で4~6時間培養後、各抗体で染色した。
ウエスタンブロットでは、6cmのペトリディッシュに細胞を培養し、上記と同様の時間経過後、細胞を採取しRIPA Lysis buffer に溶解し、その上清に同量のLaemmli (5% βメルカプト添加)を加え、攪拌後95℃で5分処理後、BioRadの5%-20%ゲルにアプライし膜に転写後、各抗体で染色した。
【0025】
タンパク質発現の測定には、組織及び細胞サンプルをRIPA溶解バッファー(20mmol/lトリス-HCl pH7.5、150mmol/l NaCl、1mmol/l EDTA、1mmol/l EGTA、1%トリトンX-100、1%グリセロール、1mmol/lジチオトレイトール及び0.5mmol/lフェニルメチルスルホニルフルオリド)中でホモジナイズし、サンプルを、5%β-メルカプトエタノールを含んだLaemmliバッファーと混合し、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動にロードした。タンパク質をポリビニリデンジフルオリドメンブレンに電気泳動的に転写し、LC3II、p62、Atg7、HHAC1-4、パン-アセチルH3、パン-アセチルH4、H4K5、H4K8、H4K12、H3K4me3、H3K9me3、H3K27me3、H4K20me3、NCX1、TRPC3及び6、Cav1.2、エメリン、ラミンA/C、ヘテロクロマチンタンパク質1α(HP1α)、high-mobility group box 1(HMGB1)、barrier-to-autointegration factor(BAF)、及びGAPDHに対する一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした。タンパク質バンドをECL Plus(登録商標;GEヘルスケア、米国)検出システムにより検出し、デンシトメトリー分析を、Scionイメージソフトウエアを用いて行い、各サンプルにおいてタンパク質バンドに対する相対比を計算した。
【0026】
蛍光免疫染色によると、野性型細胞(WT)では、核の周辺にLC3IIとリソソームが強く染色され、よくマージし、正常のオートファゴソーム形成、すなわち正常のオートファジーが観察された。老化促進モデル細胞(TG)では、LC3IIとリソソームが細胞質に一様に染色され、一部マージしなかった。
この老化促進モデル細胞(TG)に、NM_026333タンパク質を導入し過剰発現させた細胞(TG NM_026333)では、野性型細胞(WT)と同様の染色形態になり、オートファジーの障害の消失が観察された。
【0027】
オートファジー関連タンパク質と核膜ラミナタンパク質のウエスタンブロットによると、老化促進モデル細胞(TG)で認められたLC3IIの増加と、核膜ラミナタンパク質であるラミン及びエメリンの減少と、クロマチンモデリングに関連するヘテロクロマチンタンパク質1αの減少が認められた。しかし、NM_026333タンパク質を導入した老化促進モデル細胞(TG NM_026333)では、これらの老化シグナルが消失し、野性型細胞(WT)と同様になった。
【0028】
図2は、図1のオートファジーで用いた細胞の核をDAPIで染色した写真である。
老化促進モデル細胞(TG)は10%FBS-DMEMで培養し、NCX1阻害剤SN-6(10-5M)を投与した48時間後に、serum-free DMEM中で4~6時間培養し、DAPIで核染色した。
老化促進モデル細胞(TG)では、核クロマチンのヘテロクロマチン構造が消失しているが、NM_026333タンパク質を導入した老化促進モデル細胞(TG NM_026333)では、ヘテロクロマチン構造の回復が観察された。
【0029】
図3は、白血球の野性型細胞(WT)及び老化促進モデル細胞(TG)のテロメア長を示すグラフ(左)、並びに、線維芽細胞の老化促進モデル細胞(TG)及びNM_026333タンパク質を導入した老化促進モデル細胞(TG NM_026333)のテロメア長を示すグラフ(右)である。
100週齢の雄性・雌性マウスC57BL/6Jの7匹の野性型細胞(WT)と5匹の野性型細胞(WT)、老化促進モデル細胞(TG)から採血し、QIAamp DNA Blood Mini Kitを用いて白血球ゲノムDNAを抽出した。
同様に、線維芽細胞の老化促進モデル細胞(TG)と、NM_026333タンパク質を導入し48時間経過後の老化促進モデル細胞(TG NM_026333)からゲノムDNAを抽出した。
【0030】
テロメア長は、CFX384リアルタイムPCR検出システム(Bio-Rad Laboratories、デンマーク)にて、改良型モノクロマルチプレックス定量PCR法(1)を用いて測定した。二重鎖PCRにおいて、アルブミンをコードするシングルコピー遺伝子γ-グロビンを同じウェルでテロメア鋳型と同時に増幅し、異なるサンプルで異なるDNA量を調整するための参照として使用した。PCR試薬の終濃度は、容量10μL中、1×QuantiFast SYBR Green Master Mix(Qiagen)、20ng DNA、300nmol/lフォワードテロメアプライマー(5’-ACACTAAGGTTTGGGTTTGGGTTTGGGTTTGGGTTAGTGT-‘3)、300nmol/lリバーステロメアプライマー(5’-TGTTAGGTATCCCTATCCCTATCCCTATCCCTATCCCTAACA-‘3)、350nmol/lフォワード36B4 γ-グロビンプライマー(5’-ACTGGTCTAGGACCCGAGAAG-‘3)、及び350nmol/lリバース36B4 γ-グロビンプライマー(5’-TCAATGGTGCCTCTGGAGATT-‘3)であった。本温度サイクルプロフィールは次の通りであった:ステージ1:95℃で15分;ステージ2:94℃で15秒、49℃で15秒の2サイクル;及びステージ3:94℃で15秒、62℃で10秒、シグナルの取得を伴って73℃で15秒、84℃で10秒、シグナルの取得を伴って87℃で15秒の40サイクル;ステージ4:シグナルの取得を伴って65℃で0.05秒の1サイクル。QuantiFast中のSYBR Green Iが二本鎖DNAに結合して蛍光シグナルを生じる。73℃での読み取りをテロメア鋳型の増幅のCt値とした(初期サイクルで36B4 γ-グロビンシグナルがまだベースラインにある場合)。87℃での読み取りを36B4 γ-グロビン鋳型の増幅のCt値とした(この温度でテロメア鋳型は完全に融解される)。ステージ4の65℃でのシグナル取得を、再実行のためにプライマーが二量体を形成したウェルを同定するために使用した。
2回の「T」実行(テロメア反復配列のコピー数のため)及び2回の「S」実行(シングルコピー遺伝子のコピー数のため)。この試験で用いた参照シングルコピー遺伝子は齧歯類36B4 γ-グロビンであった。2つのT測定値の平均を2つのS測定値の平均で割って平均T/S比を算出した。なおこの比は、サザンブロット末端制限断片分析(2)によるテロメア長の独立した測定値と極めてよく一致していることが従前に判明している。
【0031】
図3(左)に示すように、老化促進モデル細胞(TG)のテロメア長は、野性型細胞(WT)に比べて有意に短かったが、図3(右)に示すように、NM_026333タンパク質を導入した老化促進モデル細胞(TG NM_026333)では、老化促進モデル細胞(TG)に比べて有意に回復していた。なお、グラフの縦軸は、36B4(変化倍率)を示す。
【0032】
以上により、老化促進モデル細胞(TG)に認められたNM_026333タンパク質の発現減少は、ベクター導入により補充すると、オートファジーの障害、核膜またはクロマチン構造の変化、または細胞内タンパクの融解、テロメアの長さの減少、ゲノムまたはエピゲノムの変化などの老化シグナルが低減することから、NM_026333タンパク質は生体の老化を抑制する作用を有すると言える。なお、ベクターとしては、NM_026333塩基配列に従い合成された人工合成遺伝子でクローニングされたpBApo-CMV Neoベクター(タカラバイオ株式会社、京都)を用いた。
【0033】
次に、NM_026333タンパク質の細胞内局在とCaイオンチャンネルに及ぼす影響について検討を行った。
【0034】
図4は、NM_026333タンパク質によるHEK-293細胞内Caイオン濃度の変化を示すグラフである。
前記の線維芽細胞と同様に、HEK-293細胞を10%FBS-DMEMで培養し、NM_026333タンパク質プラスミドをTransIT-293 Transfection Reagent (Mirus Bio LLC, Madison, WI, USA)を用いて導入し、48時間後にFura-2 AMをloadし440/480nmの2波長法で測定した。
【0035】
左上図のように、HEK-293細胞にアセチルコリン10-4 Mを投与すると、細胞内Caイオン濃度は、スパイク状に上昇した後、徐々に低下した。
左下図のように、NM_026333タンパク質過剰発現細胞では、アセチルコリン10-4 Mを投与すると、細胞内Caイオン濃度は、スパイク状に上昇した後、速やかに低下し、Caイオンの流入阻害が認められた。
右図のように、細胞外Caイオンを除いた液でアセチルコリン10-4 Mを投与すると、細胞内貯蔵部位からのCaイオンは遊離は起こるが、NM_026333タンパク質が過剰発現されてるか否かでの差異は認められなかった。
【0036】
図5は、NM_026333タンパク質によるA7r5細胞内Caイオン濃度の変化を示すグラフである。
前記と同様に、A7r5細胞(ラット大動脈血管平滑筋細胞)を10%FBS-DMEMで培養し、NM_026333タンパク質プラスミドをEffectene Transfection Reagentを用いて導入し、48時間後にFura-2 AMをloadし440/480nmの2波長法で測定した。
【0037】
左下図のように、NM_026333タンパク質過剰発現細胞では、アセチルコリン10-6 Mを投与による細胞内Caイオン濃度のスパイク状上昇は、顕著に低下し、正常細胞にジルチアゼムを前投与した右上図と同様の結果となった。
右下図のように、NM_026333タンパク質過剰発現細胞においては、アセチルコリン10-6 Mを投与による細胞内Caイオン濃度のスパイク状上昇も顕著な低下は、ジルチアゼムの前投与の影響を受けなかった。
【0038】
図6は、NM_026333タンパク質を過剰発現させたHEK-293細胞の染色写真である。
前記の線維芽細胞と同様に、HEK-293細胞を10%FBS-DMEMで培養し、スライドグラスつきのペトリディッシュに細胞を培養し、Hisタグが付いたNM_026333タンパク質プラスミドをTransIT-293 Transfection Reagentを用いて導入し、48時間後にHisタグ抗体で染色した。二次抗体はTexas Red-Goat-Anti-rabbit IgGを使用した。
その結果、細胞膜での強い染色が観察され、NM_026333タンパク質の細胞内移行が認められた。
【0039】
図7は、NM_026333タンパク質を過剰発現させたA7r5細胞の染色写真である。
前記と同様に、、A7r5細胞を10%FBS-DMEMで培養し、スライドグラスつきのペトリディッシュに細胞を培養し、Hisタグが付いたNM_026333タンパク質プラスミドをEffectene Transfection Reagentを用いて導入し、48時間後にHisタグ抗体で染色した。二次抗体はTexas Red-Goat-Anti-rabbit IgGを使用した。
その結果、細胞膜での強い染色が観察され、NM_026333タンパク質の細胞内移行が認められた。
【0040】
以上により、NM_026333タンパク質は、生体の老化を抑制する作用を有する膜性タンパク質と言える。
【0041】
次に、NM_026333タンパク質の標的分子について検討を行った。
【0042】
図8は、Hisタグ付きNM_026333タンパク質の相互作用を示すウエスタンブロット写真である。縦軸は分子量を示す。
前記の線維芽細胞と同様に、HEK-293細胞を10%FBS-DMEMで培養し、ペトリディッシュに細胞を培養し、Hisタグが付いたNM_026333タンパク質プラスミドまたはempty vectorをTransIT-293 Transfection Reagentを用いて導入し、48時間後に細胞ペレットを採取し、Talon magnetic beads (コバルトレジン)で精製後、ウエスタンブロット法でNM_026333タンパク質を検索した。
NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)に対するラビットポリクローナル抗体(Alomone 社、イスラエル)を使用した。100 kD周辺にNCX1のバンド、50 kD周辺に非特異的バンドが認められた。なお、非特異的陽イオンチャネルTRPC(transient receptor potential-canonical)3並びに6抗体(Alomone 社、イスラエル)と電位依存性カルシウムチャネルCav1.2抗体(Alomone 社、イスラエル)を使用したウエスタンブロットでは、バンドは検出されなかった。
【0043】
Hisタグ付き蛋白質の精製には、TALON磁性ビーズ(カタログ番号635636及び635637)を、マグネチックセパレーターでのHisタグ付きタンパク質のマイクロスケール精製に使用した。トラクターバッファーを細胞ペレットに加え、ピペットで数回出し入れすることにより穏やかに混合した。サンプルを4℃にて10,000~12,000xgで20分間遠心分離して不溶性材料を除去した後、ペレットを乱すことなく上清を透明な試験管に移した。少量のこの明澄化サンプルをSDS-PAGE分析のために氷上に取っておき、TALON磁性ビーズ精製プロトコールを進めた。ビーズのアリコートをマイクロ遠沈管に加え、保存バッファーを除去した後に脱イオン水で洗浄した。これらのビーズを平衡化/洗浄バッファーで平衡化した後、細胞溶解液をビーズに加え、室温で30分間、ロータリーシェーカー上で混合した。これらのビーズを平衡化/洗浄バッファーで3回洗浄し、1回目、2回目、3回目の洗液をそれぞれ回収した。蛋白質を溶出させるために、溶出バッファーをビーズ懸濁液に加え、5分間混合し、溶出液をその後のウエスタンブロット解析のために回収した。
【0044】
以上から、NM_026333タンパク質が、NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)チャンネルとタンパク質間相互作用をすること、NM_026333タンパク質が、NCX1(Na+ - Ca2+ exchanger 1)チャンネルを阻害し、Caイオンの流入を抑制することがわかった。
【0045】
図9は、NCX1阻害薬によるHEK-293細胞内Caイオン濃度の変化を示すグラフである。
前記の線維芽細胞と同様に、HEK-293細胞を10%FBS-DMEMで培養し、NCX1阻害剤であるSN-6及びジルチアゼム(各10-5M)をアセチルコリン投与2分前に投与し、Fura-2 AMをloadし440/480nmの2波長法で測定した。
【0046】
その結果、HEK-293細胞にアセチルコリンを投与すると、Caイオンの流入が生じるが、NCX1阻害剤を前投与すると、Caイオンの流入が抑制され、前記のNM_026333タンパク質導入と同様の作用であることがわかった。
【0047】
図10は、NCX1阻害剤SN-6による作用を示す下段の図を、図1に等しい上段の図に加えた写真である。その下段の図では、NCX1阻害剤SN-6を投与した老化促進モデル細胞(TG SN-6 10-5M)の蛍光免疫染色写真(左)及びウエスタンブロット写真(右)を示す。
図1での条件と比べると、オートファジーの染色は同じであるが、CF6の老化促進モデル細胞(TG)は10%FBS-DMEMで培養し、NCX1阻害剤SN-6(10-5M)の投与48時間後に、serum-free DMEM中で4~6時間培養し、各抗体で染色した。ウエスタンブロットでは、老化促進モデル細胞(TG)及びHEK-293細胞を10%FBS-DMEMで培養し、NCX1阻害剤SN-6(10-5M)の投与48時間後に、serum-free DMEM中で4~6時間培養し、細胞を採取しRIPA Lysis buffer に溶解した。その上清に同量のLaemmli (5% βメルカプト添加)を加え、攪拌後95℃で5分処理後、BioRadの5~20%ゲルにアプライし膜に転写後、各抗体で染色した。
【0048】
オートファジーに及ぼす影響としては、老化促進モデル細胞(TG)にNCX1阻害剤SN-6(10-5M)を投与することにより、蛍光免疫染色ではLC3IIとLAMP1の細胞質での染色が回復し、ウエスタンブロットではLC3II、エメリン、Atg7の回復が観察され、この回復反応は、前記のNM_026333タンパク質導入と同様であった。ウエスタンブロットでは特に、ヒト細胞であるHEK-293細胞におけるCF6添加によるオートファジー抑制は、NCX1阻害剤SN-6投与によりマウス細胞と同様な回復が認められた。
【0049】
図11は、NCX1阻害剤SN-6を投与した老化促進モデル細胞(TG SN-6 10-5M)によるクロマチン構造の回復を示すDAPI染色写真である。
老化促進モデル細胞(TG)は10%FBS-DMEMで培養し、NCX1阻害剤SN-6(10-5M)を投与した48時間後に、serum-free DMEM中で4~6時間培養し、DAPIで核染色した。
クロマチン構造は、老化促進モデル細胞(TG)にNCX1阻害剤SN-6(10-5M)を投与することで、ヘテロクロマチン構造への回復が観察された。
【0050】
図12は、マウス線維芽細胞の老化促進モデル細胞(TG)及びNCX1阻害剤を投与した老化促進モデル細胞(TG SN-6 10-5M)のテロメア長を示すグラフ(左)、並びに、ヒトHEK-293細胞の老化促進モデル細胞(CF6)及びNCX1阻害剤を投与した老化促進モデル細胞(CF6 SN-6 10-5M)のテロメア長を示すグラフ(右)である。
老化促進モデル細胞(TG)及びHEK-293細胞は10%FBS-DMEMで培養し、HEK-293細胞ではCF6(10-7M)を添加し、老化促進モデル細胞(TG)ではCF6を添加せず、それぞれにNCX1阻害剤SN-6(10-5M)を投与し48時間後に、QIAamp DNA Blood Mini Kitを用いてゲノムDNAを抽出した。テロメア長の測定は、前記と同様にPCR法で行い、controlに対する相対値で示した。
【0051】
その結果、マウス線維芽細胞の老化促進モデル細胞(TG)にNCX1阻害剤を投与した場合と、ヒトHEK-293細胞の老化促進モデル細胞(CF6)にNCX1阻害剤を投与した場合に、テロメアの伸長が認められた。
【0052】
以上により、CF6はヒト細胞においてもNCX1チャンネルを介するCaイオン流入増加により老化シグナルを発現させ、NCX1チャンネルの阻害は老化シグナルを抑制することがわかった。
【0053】
上述の知見によって、NM_026333タンパク質から成り、NCX1チャンネルを阻害する機能を有するタンパク質を、新規な機能を有するタンパク質として提供可能である。
【0054】
同様に、NM_026333タンパク質から成り、オートファジーの障害を抑制する機能を有するタンパク質、NM_026333タンパク質から成り、核膜またはクロマチン構造の変化、または細胞内タンパクの融解を抑制する機能を有するタンパク質、NM_026333タンパク質から成り、テロメアの長さの減少を抑制する機能を有するタンパク質、NM_026333タンパク質から成り、ゲノムまたはエピゲノムの変化を抑制する機能を有するタンパク質も、新規な機能を有するタンパク質として提供可能である。
【0055】
また、NM_026333タンパク質を主成分とし、生体の老化を抑制する作用を有する薬剤を、新規な薬剤として提供可能である。
【0056】
また、NM_026333タンパク質を生体に導入し、生体の老化を抑制する方法を、新規な方法として提供可能である。
【0057】
更に、生体の老化を抑制する作用を有する薬剤の候補物質をスクリーニングする方法も提供可能である。
すなわち、候補物質が、NM_026333タンパク質の発現を誘導し得るか否か、または、NM_026333タンパク質の活性を誘導し得るか否かを評価する工程と、候補物質を被験体に導入する工程と、被験体における老化シグナルが低減し得るか否かを評価する工程とを設けるか、或いは、候補物質が、NCX1チャンネルを阻害し得るか否かを評価する工程と、候補物質を被験体に導入する工程と、被験体における老化シグナルが低減し得るか否かを評価する工程とを設ける。
ここで、老化シグナルとしては、オートファジーの障害、核膜またはクロマチン構造の変化、または細胞内タンパクの融解、テロメアの長さの減少、ゲノムまたはエピゲノムの変化のうちの少なくとも一つが使用可能である。
【0058】
被験物質としては、任意の公知化合物や新規化合物が使用でき、例えば、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、核酸(ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドなど)、糖質(単糖、二糖、オリゴ糖、多糖など)、脂質(飽和または不飽和の直鎖、分岐鎖、環を含む脂肪酸など)、アミノ酸、蛋白質(オリゴペプチド、ポリペプチドなど)、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分等が挙げられる。非ヒト動物としては、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、サル等の哺乳動物などが挙げられる。
【0059】
非ヒト動物が用いられる場合、候補物質の非ヒト動物への投与には従来公知の方法が利用できる。例えば、経口投与、非経口投与(静脈注射、皮下注射、腹腔内注射、局所注入など)が挙げられる。投与量、投与間隔、投与期間等は、用いる候補物質や動物の種類等に応じて適宜設定される。
【0060】
候補物質の有効性の評価には、従来公知の方法が利用でき、例えば、候補物質を投与した非ヒト動物から骨髄や血液等の生体試料を採取し、老化シグナルの低減量を測定することによって行える。
【0061】
また、本発明によって提供される薬剤においては、各種循環器系疾患(例えば、末梢循環障害、冠循環障害、及び、脳循環障害による循環器系障害)の治療薬として使用する場合は、一般的な医薬製剤として調製される。例えば、本発明薬剤を製剤上許容しうる担体(例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、矯味剤、乳化剤、希釈剤、溶解補助剤)と混合して得られる医薬組成物または錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、注射剤、座剤、吸入剤、経皮吸収剤等の製剤として経口または非経口に適した形態で処方される。
【0062】
このような製剤を製造するには、従来公知の溶剤、可溶化剤、当張化剤、保存剤、抗酸化剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定化剤等を添加することができる。溶剤としては、例えば、水、生理食塩水、可溶化剤としては、例えば、エタノール、ポリソルベート類、クレモルファ、賦形剤としては、例えば、乳糖、デンプン、結晶セルロース、マンニトール、マルトース、リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸、炭酸カルシウム、結合剤としては、例えば、デンプン、ポリビニルピロリド、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ケルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、崩壊剤としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、硬化油が、安定化剤としては、例えば、乳糖、マンニトール、マルトース、ポリソルベート類、マクロゴール類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。
また、必要に応じて、グリセリン、ジメチルアセトアミド、70%乳酸ナトリウム、界面活性剤、塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム、エチレンジアミン、エタノールアミン、炭酸ナトリウム、アルギニン、メグルミン、トリスアミノメタン)などが添加可能である。
【0063】
本発明薬剤の投与量は、動物実験の結果及び種々の状況を勘案して、単回及び反復投与したときに総投与量が一定量を超えないように定められる。具体的な投与量は、投与方法、患者または被処理動物の状況、例えば0.1mg-1000mgの範囲内で、年齢、体重、性別、感受性、食事、投与時間、併用する薬剤、患者またはその病気の程度に応じて変化し、一定の条件のもとにおける適量と投与回数は、上記指針をもととして専門医の適量決定試験によって決定される。
【0064】
本発明薬剤による末梢循環改善作用、冠循環改善作用(例えば、抗狭心症作用)及び脳循環改善作用は、血管収縮抑制作用及び血流量増加作用等によって確認することができる。
血管収縮抑制作用を確認する場合には、例えば哺乳動物の胸部大動脈を摘出した後、Caイオン流入増加物質で処理し、Caイオン流入増加物質による動脈の収縮を誘発させ、その後、NCX1阻害薬で処理した場合のCaイオン流入増加物質による動脈の収縮を測定し、NCX1阻害薬を投与していない時の収縮を基準とすることで血管収縮の抑制作用を確認することができる。
【0065】
また、血流量の増加作用を確認する場合には、例えば、哺乳動物にCaイオン流入増加物質を投与し、Caイオン流入増加物質によって高血圧が誘発された哺乳動物を作製し、NCX1阻害薬を高血圧動物に腹腔内投与した後、皮膚血流量を測定し、投与前の血流量と比較することで血流量の増加作用を確認することができる。
【0066】
さらに、本発明薬剤を利用して、Caイオン流入増加物質または老化シグナルと関連する循環器系疾患の診断をすることも可能である。 例えば、各種循環器系疾患患者にNCX1阻害薬を投与し、血管収縮の抑制作用及び血流量の増加作用等を測定することによってCaイオン流入増加物質と関連する循環器系疾患かどうか判断することができる。これによると、生体内に多種類存在し微量であるCaイオン流入増加物質を特異抗体やHPLCを用いて定量する必要がなくなるため、簡便で短時間に疾患の診断を行える。また例えば、NCX1阻害薬を患者に対して経口又は外用(塗布等)的に投与し、レーザードップラー式血流画像化装置を用いて患者の手指等の皮膚血流量を測定することにより、Caイオン流入増加物質または老化シグナルと関連する循環器系疾患の診断をすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によると、生体の老化抑制に寄与するため、産業上有用である。
Drawing
(In Japanese)【図1】
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(In Japanese)【図2】
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(In Japanese)【図3】
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(In Japanese)【図4】
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(In Japanese)【図5】
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(In Japanese)【図6】
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(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
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(In Japanese)【図11】
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(In Japanese)【図12】
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