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明細書 :アクチュエータシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-143686 (P2020-143686A)
公開日 令和2年9月10日(2020.9.10)
発明の名称または考案の名称 アクチュエータシステム
国際特許分類 F15B  21/06        (2006.01)
F15B  15/14        (2006.01)
F15B  15/12        (2006.01)
FI F15B 21/06
F15B 15/14 345A
F15B 15/12 G
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2019-038184 (P2019-038184)
出願日 平成31年3月4日(2019.3.4)
発明者または考案者 【氏名】亀▲崎▼ 允啓
【氏名】大槻 健史郎
【氏名】▲張▼ 裴之
【氏名】菅野 重樹
出願人 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114524、【弁理士】、【氏名又は名称】榎本 英俊
審査請求 未請求
テーマコード 3H081
3H082
Fターム 3H081AA03
3H081AA28
3H081BB05
3H081CC29
3H081HH10
3H082AA30
3H082CC05
3H082DC05
3H082DC08
3H082EE06
要約 【課題】従来の固体シールに対して低い摺動抵抗を実現しつつ、摺動抵抗を変化させてバックドライバビリティを調整可能にする。
【解決手段】アクチュエータシステム10は、作動流体が収容される作動流体室30と、作動流体室30を複数の室空間30A,30Bに分割するとともに、作動流体室30内への作動流体の供給による各室空間30A,30Bの圧力差により、駆動力を外部に伝達する回転ユニット17と、磁場を発生させる磁場発生手段37,38,39とを備える。回転ユニット17は、作動流体室30に対して隙間35を介して摺動可能に設けられ、隙間35には、磁場が作用するとともに、磁場強度に応じて粘性が変化する磁気粘性流体が介装され、磁場発生手段37,38,39は、磁場強度を調整可能に設けられ、隙間35内の磁気粘性流体の粘性を変化させることで、作動流体室30に対する回転ユニット17の摺動抵抗を可変にする。
【選択図】 図3
特許請求の範囲 【請求項1】
作動流体の流体圧により駆動力を発生させるアクチュエータ本体と、当該アクチュエータ本体に前記作動流体を供給する流体供給手段とを備えたアクチュエータシステムにおいて、
前記アクチュエータ本体は、前記流体供給手段に繋がって前記作動流体が収容される作動流体室と、当該作動流体室を複数の室空間に分割するとともに、前記作動流体室内への前記作動流体の供給による前記各室空間の圧力差により、前記駆動力を外部に伝達する動作部と、磁場を発生させる磁場発生手段とを備え、
前記動作部は、前記作動流体室に対して隙間を介して摺動可能に設けられ、
前記隙間には、前記磁場が作用するとともに、磁場強度に応じて粘性が変化する磁気機能性流体が介装され、
前記磁場発生手段は、前記磁場強度を調整可能に設けられ、前記隙間内の前記磁気機能性流体の粘性を変化させることで、前記作動流体室に対する前記動作部の摺動抵抗を可変にすることを特徴とするアクチュエータシステム。
【請求項2】
前記作動流体は前記磁気機能性流体であり、
前記隙間は、前記各室空間に対して前記磁気機能性流体を流出入可能に設けられ、前記隙間内の前記磁気機能性流体を前記作動流体とは別の流体シールとして機能させることを特徴とする請求項1記載のアクチュエータシステム。
【請求項3】
前記アクチュエータ本体は、前記動作部の摺動方向にほぼ直交する向きで前記磁場を前記隙間内に作用させる磁気回路を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のアクチュエータシステム。
【請求項4】
前記磁気回路は、前記磁場発生手段から前記室空間への磁場の漏れを抑制し、前記隙間内に集中して磁場を作用させる構造をなすことを特徴とする請求項3記載のアクチュエータシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体の流体圧により駆動力を発生させるアクチュエータシステムに係り、更に詳しくは、摺動部分に介装されたシールの耐圧性や摩擦力を調整可能にするアクチュエータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の生活空間で共存するヒューマノイドロボットや介護支援用ロボット、或いは手術支援ロボット等は、その動作中に人間との間で予期しない衝突や接触が発生した際に、これら状況を考慮した駆動を行うコンプライアンス性能(柔軟性)が要求される。従来では、当該コンプライアンス性能を確保するために、サーボシステムが適用されたアクチュエータが用いられている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
しかしながら、前記サーボシステムにあっては、システムの複雑性や、制御器固有の周波数応答の限界により、突然の衝撃的入力への対応が不十分である。このため、人間と共存するロボットについては、予期しない外力の付与に対して迅速に応答可能な柔軟性を有する新たなアクチュエータが要請されている。そこで、本発明者らは、このような要請に基づき、流体圧シリンダを用いた直動型のコンプライアントアクチュエータと、ベーン型のロータリアクチュエータを用いた回転型のコンプライアントアクチュエータとを既に提案している(特許文献2、3参照)。
【0004】
前記直動型のコンプライアントアクチュエータは、磁場強度に応じて粘性が変化する磁気機能性流体の圧力により駆動力を発生させる動作部となる流体圧シリンダと、流体圧シリンダの内部に磁気機能性流体を供給する流体供給手段と、流体圧シリンダの作動を制御するとともに、流体供給手段による流体圧シリンダへの磁気機能性流体の供給を制御する制御手段とを備えている。流体圧シリンダは、中空のシリンダチューブと、シリンダチューブの内部空間を移動可能に配置され、当該移動によって前記駆動力を発生させるピストンとを有する。ここで、シリンダチューブの内部空間は、ピストンにより、それぞれ磁気機能性流体が充填された第1及び第2の室空間に仕切られる。更に、ピストンには、第1及び第2の室空間を連通する連通流路が形成されるとともに、当該連通流路の内部に磁場を発生させる電磁石が設けられている。また、制御手段では、流体供給手段により各室空間内に供給される磁気機能性流体の流量制御を行うとともに、連通流路内の磁場の状態を制御し、磁気機能性流体の粘性を変化させて連通流路を通過する磁気機能性流体の流量調整を行うことにより、ピストンの駆動状態を変化させる。
【0005】
前記回転型のコンプライアントアクチュエータは、前記磁気機能性流体の圧力により駆動力を発生させる動作部となるロータリアクチュエータと、ロータリアクチュエータに磁気機能性流体を供給する流体供給手段と、ロータリアクチュエータの作動を制御するとともに、流体供給手段によるロータリアクチュエータへの磁気機能性流体の供給を制御する制御手段とを備えている。ロータリアクチュエータは、磁気機能性流体が収容される作動流体室を内部に有するハウジングと、作動流体室内で回転可能に設けられた回転ユニットと、作動流体室内に固定配置されるとともに、回転ユニットの回転を規制するストッパとを備えている。ここで、回転ユニットは、ハウジング内で回転可能に配置されて駆動力を発生させる駆動軸と、駆動軸と一体回転可能に駆動軸に固定され、作動流体室を2つの第1及び第2の室空間に分割するとともに、これら室空間を連通する連通流路が設けられたベーンと、連通流路の内部に集中して磁場を発生させる磁場発生手段とを備えている。また、制御手段では、流体供給手段により各室空間内に供給される磁気機能性流体の流量制御を行うとともに、連通流路内の磁場の状態を制御し、磁気機能性流体の粘性を変化させて連通流路を通過する磁気機能性流体の流量調整を行うことにより、回転ユニットの駆動状態を変化させる。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2013-212564号公報
【特許文献2】特開2016-142320号公報
【特許文献2】特開2018-71776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1で提案した直動型のコンプライアントアクチュエータでは、シリンダチューブの内部空間をピストンが移動するが、機械効率を高める上で、シリンダチューブの内周面とピストンの外周面との間の摺動部分には、当該摺動部分からの磁気機能性流体の漏れを阻止するために、ゴム等からなるシール材やリング類等の固体シールが介装されている。同様に、特許文献2で提案した回転型のコンプライアントアクチュエータにおいても、ハウジングの内壁部分やストッパの外面部分と回転ユニットとの間の摺動部分に固体シールが介装され、摺動部分からの磁気機能性流体の漏れが阻止される。
【0008】
しかしながら、アクチュエータの作動流体となる磁気機能性流体を高圧環境下で使用する際に、摺動部分からの磁気機能性流体の漏れを阻止するために設計された固体シールを用いると、ピストンや回転ユニットが動作時における固体シールの大きな摺動抵抗が生じてしまう。この場合、大きいレンジでの出力用として適用する場合にはさほど問題はないが、人間共存ロボットや、環境適用性が必要となる作業支援ロボット等では、このような大きな摺動抵抗が安全性や制御性を低下させる原因となる。また、アクチュエータの動作部に小さな外力が作用した際に、前述の大きな摺動抵抗によってバックドライバビリティが低下する。これらの問題は、連通流路のサイズや当該連通流路に発生させる磁場を調整しても改善されない。
【0009】
本発明は、このような課題に基づいて案出されたものであり、その目的は、従来の固体シールに対して低い摺動抵抗を実現しつつ、摺動抵抗を変化させてバックドライバビリティをアクティブに調整することで、所望のコンプライアンス性能を得ることができる低摺動型のアクチュエータシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するため、本発明は、主として、作動流体の流体圧により駆動力を発生させるアクチュエータ本体と、当該アクチュエータ本体に前記作動流体を供給する流体供給手段とを備えたアクチュエータシステムにおいて、前記アクチュエータ本体は、前記流体供給手段に繋がって前記作動流体が収容される作動流体室と、当該作動流体室を複数の室空間に分割するとともに、前記作動流体室内への前記作動流体の供給による前記各室空間の圧力差により、前記駆動力を外部に伝達する動作部と、磁場を発生させる磁場発生手段とを備え、前記動作部は、前記作動流体室に対して隙間を介して摺動可能に設けられ、前記隙間には、前記磁場が作用するとともに、磁場強度に応じて粘性が変化する磁気機能性流体が介装され、前記磁場発生手段は、前記磁場強度を調整可能に設けられ、前記隙間内の前記磁気機能性流体の粘性を変化させることで、前記作動流体室に対する前記動作部の摺動抵抗を可変にする、という構成を採っている。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、磁気機能性流体が流動性を有する流体シールとして機能することで、従来の固体シールを使用した場合に比べ、当該シールを介した摺動部材間の摩擦抵抗を大幅に低減させ、従来構造よりも高いバックドライバビリティを得ることができる。また、磁気機能性流体に作用する磁場の強さを変化させることで、磁気機能性流体からなるシール部分の耐圧性や摩擦力をアクティブに調整できる。これにより、例えば、動作部に繋がるロボットアーム等の外部の部材を通じたダイレクトティーチング時に、シール部分に磁場を作用させないようにし、当該シール部分の摺動抵抗を少なくしてバックドライバビリティを高めることができる。また、人間協調ロボットに実装するような場合には、磁気機能性流体に作用する磁場強度を変化させて磁気機能性流体の降伏応力を調整し、メカニカルシール等のリリーフ機構のように、前記降伏応力を超える外力が動作部に作用したときに、当該外力に応じて動作部を動作させるコンプライアンス制御が可能となる。この際、弁やタンク等を含む複雑なリリーフ機構や回路構成等が不要となり、システム全体の小型化が可能になり、アクチュエータの配置自由度の向上が期待できる。また、本発明者らの実証実験によれば、本発明では、磁界制御を主とした摺動抵抗の調整によりコンプライアンス性能が制御されるため。ポンプを使った作動流体の供給制御を主としたコンプライアンス性能の制御に比べ、高い応答性を有することにもなる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態に係るアクチュエータシステムの概略構成を表したブロック図。
【図2】アクチュエータ本体の概略斜視図。
【図3】カバーを外した状態のアクチュエータ本体の内部構造を他の一部構成とともに表した概略正面図。
【図4】ベースの概略断面正面図。
【図5】図3に対して磁場の移動状態を表す線図を模式的に付した説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。

【0014】
図1には、本実施形態に係るアクチュエータシステムの概略構成を表したブロック図が示されている。この図において、前記アクチュエータシステム10は、作動流体の流体圧により駆動力を発生させるアクチュエータ本体11と、アクチュエータ本体11に作動流体を供給する流体供給手段12と、アクチュエータ本体11の作動状態を制御する制御手段13とを備えている。

【0015】
前記作動流体としては、作用する磁場の強さに応じて粘性(粘度)が変化する磁気機能性流体としての磁気粘性流体(MR流体)が利用される。このMR流体は、粒子径が数十ナノメートルオーダとなるフェライト粒子等の強磁性を有する磁性粒子を非コロイド有機溶液に分散させてなる機能性流体の一種であり、当該磁性粒子が磁場の影響下で拘束されることで、液体の見かけ上の粘性を変えるようになっている。このMR流体は、ある程度のせん断力を与えないと流れが発生せず、一旦流れが生じると、ニュートン流体のようにせん断応力とせん断速度が比例関係となる性質を有する。なお、流れ始めに影響を与えるMR流体の降伏応力は、所定の磁場強度までの範囲において、磁場が強くなる程増大する。

【0016】
前記アクチュエータ本体11は、ベーン型のロータリアクチュエータとして構成されており、図2及び図3に示されるように、平面視方形状をなすベース15と、ベース15の内部に埋設される埋設部材16と、ベース15の内部で回転動作可能に配置される回転ユニット17と、ベース15の側方に付設されたコイルユニット18とを備えている。

【0017】
前記ベース15は、図3及び図4に示されるように、中央付近に形成された平面視ほぼ扇形の外形をなす凹部20と、凹部20の内部空間の2箇所から外部に開放してコイルユニット18に繋がる溝部21と、凹部20の内部空間の他の2箇所から外部に開放して流体供給手段12に繋がる第1及び第2のポート22,23とが形成されている。このベース15における凹部20の開放側の表面には、図2に示されるように、凹部20を被うようにカバー24が取り付けられる。

【0018】
前記埋設部材16は、図3に示されるように、凹部20の内部空間を形成する内縁部分のうち円弧状の外周領域に沿って固定配置される外周埋設部材26と、凹部20の内部空間のうち扇型の中心付近に固定配置される中心埋設部材27と、外周埋設部材26及び中心埋設部材27に当接するとともに、コイルユニット18に当接するように各溝部21内に固定配置される接続埋設部材28とからなる。

【0019】
ここで、凹部20の内部空間のうち、外周埋設部材26及び中心埋設部材27を配置した状態で形成された残りの空間は、流体供給手段12からのMR流体が充填される作動流体室30となっている。ここで、作動流体室30には、前記第1及び第2のポート22,23が常時連通するようになっており、流体供給手段12による作動流体室30に対するMR流体の供給及び排出が可能となっている。

【0020】
前記回転ユニット17は、作動流体室30内に配置され、外周埋設部材26と中心埋設部材27に対し、作動流体室30内で回転摺動しながら駆動力を外部に伝達する動作部として機能する。この回転ユニット17は、中心埋設部材27を軸受けとして中心埋設部材27付近で回転可能にベース15の取付穴15A(図4参照)に一端側が嵌め込まれた駆動軸32と、駆動軸32に一体的に固定されて駆動軸32を中心に回転可能に設けられるとともに、作動流体室30を2つの第1及び第2の室空間30A,30Bに分割する回転部材33とを備えている。

【0021】
ここで、作動流体室30のうち、図3中右上側の第1の室空間30Aは、前記第1のポート22に繋がっており、同図中左下側の第2の室空間30Bは、前記第2のポート23に繋がっている。そこで、流体供給手段12から何れか一方のポート22,23にMR流体が供給されると、当該ポート22,23に繋がる一方の室空間30A,30Bの圧力が増大する。そして、これら室空間30A,30Bの圧力差により、当該一方の室空間30A,30Bの容積を増大させる方向に回転部材33を回転駆動させ、容積が減少する他方の室空間30A,30Bから、MR流体を外部に排出するようになっている。

【0022】
前記駆動軸32は、回転部材33の回転に伴って自転するとともに、図2に示されるように、ベース15にカバー24が取り付けられた状態でカバー24から外部に突出し、当該突出部分に接続された部材等(図示省略)に対して、アクチュエータ本体11の出力となる回転駆動力を伝達する。

【0023】
前記回転部材33は、図3に示されるように、外周埋設部材26と中心埋設部材27の間に形成された僅かな隙間35を介して摺動可能に配置されており、当該隙間35には、各室空間30A,30B内に対するMR流体の流出入が可能となっている。

【0024】
前記コイルユニット18は、各溝部21内に埋設された接続埋設部材28にそれぞれ当接するように配置された側面視ほぼコ字状のコア部材37と、当該コア部材37に巻回されるコイル38とからなる。コイル38は、アクチュエータ本体11の外部に配置された電力供給装置39から外部電力が供給され、コイル38の通電によって任意の強さの磁場を発生させるようになっている。従って、コア部材37、コイル38及び電力供給装置39は、後述する構造により、隙間35内に磁場を発生させる磁場発生手段として機能する。

【0025】
以上の構成のアクチュエータ本体11において、ベース15は、アルミニウム等の透磁率の低い非磁性材料によって形成されており、埋設部材16、回転ユニット17及びコア部材37は、電磁ステンレス鋼、鉄等の透磁率の高い磁性材料で形成されている。従って、コイル38の通電によって発生する磁場は、図5中に破線で示されるように、コア部材37、接続埋設部材28、外周埋設部材26、回転部材33、中心埋設部材27を通るルートのみとなり、これら部材により磁気回路が形成されることになる。この際、回転部材33と、外周埋設部材26及び中心埋設部材27との間の摺動部分にそれぞれ形成された隙間35には、MR流体が介装された状態となり、隙間35に交わる方向から磁場が作用する。従って、前記磁場発生手段で磁場強度を変化させ、隙間35に介装された状態のMR流体の粘性を変化させることで、回転部材33が回転する際に、外周埋設部材26と中心埋設部材27に対する摺動抵抗が可変となる。

【0026】
換言すると、前記磁気回路は、隙間35に介装された状態のMR流体に対し、回転部材33の摺動方向に対してほぼ直交する方向に磁場を作用させる構造になっている。このため、当該磁場が作用すると、その作用方向に沿ってMR流体中の磁性粒子が配置されることで、隙間35での前記摺動方向に沿うMR流体の流れが規制される。従って、この際の磁性粒子の配置密度を磁場強度で調整することにより、前記隙間内の前記MR流体は、回転部材33を回転動作させる作動流体とは別に、摺動部分の耐圧性や摩擦力を可変とする流体シールとして機能する。

【0027】
なお、前記磁気回路としては、前記磁場発生手段から前記各室空間30A,30Bへの磁場の漏れを抑制し、隙間35内に集中して磁場を作用させる構造にすることが好ましい。例えば、回転部材33の外周面に、その外側への磁気放出を抑制する非磁性材料からなるカバーを設けると良い。これにより、隙間35に所望の強さの磁場を集中的に作用させることができる他、回転部材33の摺動抵抗を変化させるための磁場強度の調整の際に、第1及び第2の室空間30A,30B内のMR流体に与える影響を低減できる。

【0028】
前記流体供給手段12は、図示省略しているが、第1及び第2のポート22,23に繋がる管路と、当該管路の途中に適宜配置されたバルブ類と、管路内にMR流体を供給するポンプユニットと、アクチュエータ本体に供給されるMR流体の流量を検出する流量センサと、第1及び第2のポート22,23の差圧を検出する圧力センサ等を含んで構成されている。前記ポンプユニットや前記バルブ類の作動は、前記制御手段13によって制御され、この制御に基づき、前記ポンプユニットが駆動すると、第1若しくは第2のポート22,23の何れか一方から、MR流体が何れか一方の室空間30A,30Bに供給され、他方の室空間30A,30BのMR流体が、第1若しくは第2のポート22,23の何れか他方を通じてアクチュエータ本体11の外部に排出される。また、前記ポンプユニットが停止しているときは、外部からアクチュエータ本体11内にMR流体が流入されず、また、アクチュエータ本体11の外部にMR流体が排出されないことになる。

【0029】
前記制御手段13では、予め要求されるアクチュエータ本体11の性能や仕様と、前述した各種センサからの検出結果に基づいて、流体供給手段12の前記ポンプユニットの作動が制御され、アクチュエータ本体11に供給されるMR流体の流量調整により、回転ユニット17を通じて出力される駆動力が調整される。加えて、制御手段13では、前記磁気回路を流れる磁場強度を変化させる磁場制御が行われ、隙間35に介装されたMR流体の粘性を変化させて、回転部材33の摺動抵抗が調整される。

【0030】
従って、このような実施形態によれば、外周埋設部材26及び中心埋設部材27と、それらに対して摺動する回転部材33との間に僅かな隙間35を設け、当該隙間35にMR流体を介装し、このMR流体に作用する磁場強度を可変とする構造になっているため、固体シールを用いた場合に比べて摺動抵抗を低くしつつ、当該摺動抵抗の調整が可能となる。例えば、隙間35内に磁場が作用していないときには、駆動軸32に外力が働いた際に回転部材33がほぼフリーで回転可能になり、高いバックドライバビリティを発揮できる。一方、隙間35内に作用させる磁場の強さを調整することで、回転部材33の摺動時におけるMR流体の降伏応力が調整され、当該降伏応力未満の外力が駆動軸32に作用した際には、当該外力の影響で回転部材33が動作することがなく、使用状況に応じた所望のコンプライアンス性能を得ることができる。以上により、固体シールを採用した場合に比べ低摺動状態で回転部材33を回転させることが可能になり、安全性や制御性の向上に資するとともに、流体供給手段12から作動流体室30内へのMR流体の供給制御を併せることで、比較的簡単な装置構成で所望のコンプライアンス性能を得ることができる。

【0031】
なお、前記磁場発生手段で磁場が発生したときには、前記回転ユニット17内に常時磁場が存在することになるため、例えば、凹部20の外周に沿って散点的となるベース15の位置に、ホール効果センサ等の磁気センサを設けることで、別途角度センサを設けることなく、回転ユニット17の回転角度の検出が可能となる。

【0032】
また、前記磁場発生手段として、永電磁石を使った構造を採用することもでき、このようにすることで、エネルギー効率の向上が期待でき、停電時においても、駆動軸32に接続された部材等を所定姿勢で保持可能になる。

【0033】
更に、前記実施形態では、アクチュエータ本体11をベーン型のロータリアクチュエータとした場合について図示説明したが、本発明はこれに限らず、直動型の液圧アクチュエータ等に適用し、駆動力を発生させる際の摺動部分に隙間を設けてMR流体を介装し、当該MR流体に付加する磁界強度を調整することで、摺動抵抗を可変にする構造としてもよい。

【0034】
また、本発明では、前述と同様の作用効果を奏する限りにおいて、MR流体(MRF)に代えて、磁性流体(MF)や磁気混合流体(MCF)等の他の磁気機能性流体を適用することも可能である。

【0035】
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0036】
10 アクチュエータシステム
11 アクチュエータ本体
12 流体供給手段
17 回転ユニット(動作部)
30 作動流体室
30A 第1の室空間
30B 第2の室空間
35 隙間
37 コア部材(磁場発生手段)
38 コイル(磁場発生手段)
39 電力供給装置(磁場発生手段)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4