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明細書 :超短パルスレーザーで繊維表面に周期構造を形成する方法,及びその繊維

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-066824 (P2020-066824A)
公開日 令和2年4月30日(2020.4.30)
発明の名称または考案の名称 超短パルスレーザーで繊維表面に周期構造を形成する方法,及びその繊維
国際特許分類 D06M  10/00        (2006.01)
B23K  26/382       (2014.01)
B23K  26/352       (2014.01)
FI D06M 10/00 K
B23K 26/382
B23K 26/352
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2018-201607 (P2018-201607)
出願日 平成30年10月26日(2018.10.26)
発明者または考案者 【氏名】山口 昌樹
出願人 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100118706、【弁理士】、【氏名又は名称】青山 陽
審査請求 未請求
テーマコード 4E168
4L031
Fターム 4E168AB01
4E168AD11
4E168AD18
4E168DA32
4E168DA40
4E168DA46
4E168DA47
4E168EA06
4E168JA17
4L031AA14
4L031AA26
4L031AA27
4L031AB01
4L031CB09
4L031DA00
要約 【課題】レーザー照射によって容易に繊維表面にナノ領域からマイクロメートル領域の微細な周期構造を形成することが可能であり,しかも繊維の破断,溶着や繊維内部の変質が生じ難い製造方法及び表面に微細な周期構造を有する繊維を提供することを目的とする。
【解決手段】超短パルスレーザーを繊維の長手方向に相対移動させつつ該繊維の表面に照射して繊維表面に微細な周期構造を形成させる。周期構造は表面波干渉及び/又はパーカッション加工によって形成することができる。超短パルスレーザーのパルス幅は20ピコ秒以下100フェムト秒以上であることが好ましい。これにより,周期構造は100マイクロメートル以下100ナノメートル以上のピッチを有する周期的構造とすることができる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
超短パルスレーザーを,繊維の長手方向に相対移動させつつ該繊維の表面に照射してパーカッション加工を行い,繊維表面に周期構造を形成する方法。
【請求項2】
前記超短パルスレーザーのパルス幅は,20ピコ秒以下100フェムト秒以上であることを特徴とする請求項1に記載の繊維表面に周期構造を形成する方法。
【請求項3】
前記繊維は,化学繊維,炭素繊維,ガラス繊維であることを特徴とする請求項1又は2記載の繊維表面に周期構造を形成する方法。
【請求項4】
前記パーカッション加工は,パルス発振したレーザーを所定の距離間隔及び所定の時間間隔で照射することにより行い,レーザーのスポット径のオーバーラップ率を調整することで表面波干渉の発生度合を調整し,その結果として周期的構造を調整することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の繊維表面に周期構造を形成する方法。
【請求項5】
前記周期構造は,超短パルスレーザーの波長とほぼ等しい長さの構造が繰り返し形成された周期的構造,及びパーカッション加工の所定の距離間隔に等しい周期的構造であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の繊維表面に周期構造を形成する方法。
【請求項6】
前記長手方向に相対移動させる工程は,長辺と短辺を有する楕円軌道を描きながらパーカッション加工することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の繊維表面に周期構造を形成する方法。
【請求項7】
表面に超短パルスレーザーの波長とほぼ等しい長さの構造が繰り返し形成された周期的構造,及びパーカッション加工の所定の距離間隔に等しい周期的構造が設けられた繊維。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は,表面に周期構造を有する繊維の製造方法,及びその繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
Birnbaum は,レーザー加工痕の底面に波長サイズの周期構造が「瞬時に」できることを1965年に偶然発見した (非特許文献1)。この周期構造は,入射光と表面にできるプラズマ波もしくは散乱光との干渉によりできる定常波が,物質表面を選択的に昇華するアブレーション現象であることが解明され,表面波干渉法と呼ばれる。つまり,レーザーによる物質の加工原理には,それまでの熱加工と,新しく発見されたアブレーション (昇華) の2種類がある。レーザーのパワーが十分であればアブレーションのみが起こり熱は発生しない。レーザーのパワーが足りないと,アブレーションと熱加工の両方が発生することになる。そして,レーザーのパワーが低いと,熱加工のみが起こることになる。このいずれかの状況になるかは,パルスレーザーにおいては後述するようにパルス幅に依存する。
【0003】
繊維分野においても,従来からこのような原理を応用し,レーザーを繊維に照射して繊維表面を改質し,新たな機能を付与するという技術が知られている。例えば特許文献1では,ポリエステル繊維やアラミド繊維に対し,Nd-YAGレーザー光を照射する繊維の表面改質法について記載されている。この繊維の表面改質方法によれば,ポリエステル繊維やアラミド繊維の表面層の化学構造を変化させ,構成元素割合を変化させたり,官能基を生成させて活性を高めたりすることができる。
【0004】
また,非特許文献2では,パルス紫外線レーザー(エキシマレーザー)を合成繊維に照射し,繊維表面に微細構造を形成させるという技術が記載されている。さらに,非特許文献3では,20nsのパルス紫外線レーザ(エキシマレーザ)をPET樹脂繊維に照射し,レーザーアブレーションによる表面微細構造の形成や表面化学構造の変化について記載されている。また,非特許文献4では,ポリエステルフィルムやポリエステル繊維にパルス紫外線レーザ(エキシマレーザ)を照射し,染色性や濡れ性についてプラズマ処理や電子線処理との違いを検討している。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開平8-60534号公報
【0006】

【非特許文献1】Birnbaum M.: Semiconductor surface damage produced by ruby lasers, J. Appl. Phys., 36(11), 3688-3689 (1965)
【非特許文献2】Thomas Bahners ,Eckhard Schollmeyer:Die A ngewandte Makromolekulare Chemie 151 (1987) 19 -37 (Nr, 2509)
【非特許文献3】渡辺博佐・高田忠彦・都解・圭郎,「Surface Changes of Poly(ethylene terefuthalate)Fibers by Laser Ablation」SEN-I GAKKAISHI Vol.49,No.4(1993)p.157-162
【非特許文献4】榎本一郎・伊藤寿・吉田英敏・吉田博一・栗田征彦,「Efect of surface modification of polyester fabrics」,東京都立産業技術研究所報告 第5号(2002)p.105-108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら,特許文献1によるレーザーを利用した繊維の表面改質法では,レーザーを繊維に連続的に照射しているため,熱加工となっていた。また,非特許文献3では,パルス幅が数十 ns 領域である。パルス発振レーザーにおいて,パルスパワーPp (W) は,1ショットのエネルギ— E (J) をパルス幅 t (s) で割ることで得られる。つまり,パルス幅が数十 ns 程度ではパルスパワーが足りず,被加工物にアブレーションだけでなく熱加工も加えられてしまう。よってこれら従来の加工法では,光解離性の高い一部の高分子材料のみで加工に成功したものの,繊維表面のみならず繊維の内部にまで熱が伝導して繊維が破断したり,繊維どうしが溶着したり,繊維が変質して強度が弱くなったりするなどの諸問題があった。
【0008】
また,表面波干渉法では,波長に等しい周期性 (ピッチ) を有する微細構造を一気に形成できる。逆に考えれば,表面波干渉法だけでは周期構造のピッチが波長で決まってしまう。アブレーション現象を起こしうるレーザーの波長は 1,080 nm 程度以下であるため,マイクロメートル領域の周期性を有する微細な周期構造を形成することができなかった。
【0009】
本発明は,上記従来の実情に鑑みてなされたものであり,レーザー照射によって容易に繊維表面にナノ領域からマイクロメートル領域の微細な周期構造を形成することが可能であり,しかも繊維の切断・溶着や繊維内部の変質が生じ難い製造方法,及び表面に微細な周期構造を有する繊維を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は,まず上記従来の1つ目の課題,すなわち繊維の切断,溶着及び変質を解決する方法として,超短パルスレーザーを繊維に照射することを考えた(本明細書において「超短パルスレーザー」とは,パルス幅が20ピコ秒以下のパルスレーザーのことをいう)。このように短いパルス幅のレーザーでは,繊維を構成している分子を昇華させるため,熱が発生することなく,レーザーが照射された繊維の表面近傍のみの物質が除去される。このため,熱影響層を著しく小さくすることができ,熱に起因する繊維の切断,溶着,変質のおそれが極めて小さい。また,超短パルスレーザーを用いているため,繊維表面に表面波干渉を起こさせることができ,これによって繊維表面の周期構造をレーザーの波長に応じて100マイクロメートル以下100ナノメートル以上のピッチを有する周期的構造とすることができる。
【0011】
次に,本発明者は上記従来の2つ目の課題,すなわちマイクロメートル領域の周期性を有する微細な周期構造の形成を解決する方法として,超短パルスレーザーを用いたパーカッション加工の併用を考えた。パーカッション加工法とは,パルス加工を被加工物 (ワーク) に対して時間間隔,もしくは一定距離間隔,及びこれらを併用したショットを,連続的に繰り返す加工法である。表面波干渉では,最初の加工の加工痕がトリガーとなって,次の周期構造が連続的に生じる。そこで,パーカッション加工法において,レーザースポット径 (1 ~ 100μm) に対して加工距離間隔を変化することで,加工範囲のオーバーラップ率を微調整し,その結果として逆に表面波干渉の発生度合を抑制する。このようにして,パーカッション加工の加工ピッチであるマイクロメートル領域のピッチを有し,かつそれ以下のピッチの微細パターンも同時発生した微細周期構造を形成する。
【0012】
すなわち,本発明の繊維表面に周期構造を形成させる方法は,超短パルスレーザーを繊維の長手方向に相対移動させつつ該繊維の表面に照射してパーカッション加工を行い,繊維表面に周期構造を形成させることを特徴とする。
【0013】
超短パルスレーザーを繊維の長手方向に相対移動させる方法としては,繊維を移動させたり,超短パルスレーザーの照射位置を鏡によって移動させたりする方法や,繊維及び超短パルスレーザーの照射位置の双方を移動させたりする方法を採用することができる。これらの操作により,繊維の長手方向に表面波干渉を生じさせることによって微細な周期構造を容易に形成することができる。また,パルス幅が20ピコ秒以下という超短パルスレーザーを照射するため,繊維どうしの溶着がし難く,繊維のごく表面のみの加工が可能で,繊維内部までの変質は生じ難くなる。このため,太さが数 μm という細い繊維の表面形状加工を行うこともできる。
【0014】
本発明において超短パルスレーザーを照射する繊維の種類としては特に制限はなく,ポリエステルやポリプロピレンなどの合成繊維,セルロース系繊維やたんぱく質系繊維などの半合成繊維,レーヨンなどの再生繊維,ガラス繊維,炭素繊維などの無機繊維であっても表面に微細な周期構造を形成させることができる。
【0015】
また,超短パルスレーザーのパルス幅は20ピコ秒以下100フェムト秒以上であることが好ましい。このような超短パルスレーザーであれば,高いピークパワーを有するパルスを比較的容易に得ることができるため,利用し易くなる。
【0016】
本発明の繊維表面に周期構造を形成させる方法において,超短パルスレーザーは所定の距離間隔及び所定の時間間隔で照射されるパーカッション加工法によって照射することができる。これにより,繊維表面に形成される周期構造をレーザーのスポット径のオーバーラップ率を容易に調整することが可能となり,表面波干渉を制御したり,周期的構造のピッチを制御したりすることが容易となる。
【0017】
本発明の繊維表面に周期構造を形成させる方法において,周期構造は,超短パルスレーザーの波長とほぼ等しい長さの構造が繰り返し形成された周期的構造,及びパーカッション加工の所定の距離間隔に等しい周期的構造とすることができる。なお,表面波干渉法によって生じる周期構造のピッチ a は,レーザーの波長λと入射角θに依存して a =λ/ (1 ± sinθ) の関係で変化することが理論的に示されている(下記論文参照)。
Campbell EEB, Ashkenasi D, Rosenfeld A: Ultra-short-pulse laser irradiation and ablation of dielectrics, Materials Science Forum, 301, 123-144 (1999)
Sakabe S, Hashida M, Tokita S, Namba S, Okamuro K: Mechanism for self-formation of periodic grating structures on a metal surface by a femtosecond laser pulse, Physical Review B, 79, 33409-1-33409-4 (2009)
【0018】
また.長手方向に相対移動させる工程は,長辺と短辺を有する楕円軌道を描きながらパーカッション加工することができる。
【0019】
本発明の繊維表面に周期構造を形成させる方法において得られる繊維は,表面に超短パルスレーザーの波長とほぼ等しい長さの構造が繰り返し形成された周期的構造,及びパーカッション加工の所定の距離間隔に等しい周期的構造が設けられた繊維とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば,超短パルスレーザーの照射によって繊維表面にナノ領域からマイクロメートル領域の微細な周期構造を容易に形成することが可能となる。しかも繊維の破断,溶着や繊維内部の変質を抑えることができる。このため,例えば,超親水性や超撥水性を有する繊維を提供することができる。また,これにより防水,防汚,保温,保温,通気性,高染色性,高クッション性等に優れた布帛を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】ポリプロピレン1,2及びポリエステルのSEM写真である。
【図2】様々な条件で超短パルスレーザー加工を行ったポリプロピレンのSEM写真である。
【図3】実施例1における表面微細構造及びその測定結果を示す図である。
【図4】実施例2における表面微細構造及びその測定結果を示す図である。
【図5】実施例3における表面微細構造及びその測定結果を示す図である。
【図6】楕円軌道を描きながら行うパーカッション加工の模式図である。
【図7】ビームスプリッターを用い,超短パルスレーザーを繊維に対して様々な周方向から行う場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下,本発明を具体化した実施例について説明する。ただし,本発明はこの実施例に限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず,当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。

【0023】
<実施例>
実施例ではポリプロピレン (PP) 製繊維の表面へ,超短パルスレーザーを繊維の長手方向に移動させて間欠的に照射した(すなわちパーカッション加工を行った)。実施例で用いた繊維は次に示す繊維束である。
ポリプロピレン (PP)
三菱レーヨン製W0056T30 75d(84T)10fil, 繊維直径75デニール,単一繊維の直径60-90 μm
上記ポリプロピレンの詳細な仕様を表1に,SEM写真を図1に示す。

【0024】
【表1】
JP2020066824A_000003t.gif

【0025】
また,超短パルスレーザーには,Light Conversion社製のPHAROS SPを用いて行った。この装置の仕様を表2に示す。

【0026】
【表2】
JP2020066824A_000004t.gif

【0027】
超短パルスレーザーの照射条件については実施例1~9に示す条件で行った(下記表3及び表4参照)。
ここで,パーカッション加工において,超短パルスレーザーを繊維の円周方向に移動させて照射したときの距離間隔を径方向ピッチとし,繊維の長手方向に移動させて照射したときの距離間隔を長手方向ピッチとする。

【0028】
【表3】
JP2020066824A_000005t.gif

【0029】
【表4】
JP2020066824A_000006t.gif

【0030】
-結 果-
以上のようにして超短パルスレーザーによる加工を行った繊維について,SEM写真撮影を行った。結果を図2に示す。

【0031】
まず,図2を基に,パルスパワー (W) を中心に表面波干渉の発生度合を検討する。超短パルスレーザーのスポット径が 30 μm なので,長手方向ピッチが 40 μm のときオーバーラップ率は 0%,長手方向ピッチが 20 μm のときオーバーラップ率は 33%,長手方向ピッチが 10 μm のときオーバーラップ率は 67%となる。今回の実験条件においては,オーバーラップ率 67% ではパルスパワーによらずすべての加工で,オーバーラップ率 33% ではパルスパワー 50MW 以上で,超短パルスレーザーの波長とほぼ等しい直径 1,000 nm ほどのファイバー形状の微細構造が観察され,これは表面波干渉で生じたものと考えられた。一方で,オーバーラップ率 0% では,いずれのパルスパワーにおいてもファイバー形状の微細構造は観察されなかった。よって,好適にはパルスパワー50MW 以上でかつオーバーラップ率 33% 以上であれば,繊維表面全体に連続した表面波干渉が生じ,それ以下のパルスパワーでも,パルスパワーとオーバーラップ率の両条件が満たせば (25MWでかつ67%),表面波干渉が生じると考えられた。
一方で,オーバーラップ率 0%においては,隣り合う加工痕がトリガーとはならず,長手方向ピッチ 40 μm に等しい微細周期構造が形成された。その場合でも,パルスパワー50MW 以上では,上面から見て円形状に生じた加工痕の内側に,直径 1,000 nm ほどのファイバー形状の微細構造が観察された。よって,オーバーラップ率を低く調整することによって,ミクロンメートル領域の基本微細周期構造を作成することができ,かつその内側にナノメートル領域の微細構造が複合的に形成されることが判った。

【0032】
これら微細周期構造の寸法形状の絶対値について,レーザー顕微鏡 (OLS4000,オリンパス株式会社製) によって測定した結果を図3~図5に示す。ピークパワー147MW (170 fs), 長手方向ピッチ 10 μm において,微細周期構造のピッチは長手方向でτ1= 10-42 μm,円周方向でτ2 = 6-22 μm であった。これらの微細周期構造は,平均直径 1,010 nm のファイバー形状が寄り集まって形成されていた。ピークパワー147MW (170 fs), 長手方向ピッチ 20 μm では,凹の幅がf2 = 11.8 μm の穴 (ウェル) 構造が形成されていた。ピークパワー147MW (170 fs), 長手方向ピッチ 40 μmでは,微細周期構造のピッチは,長手方向でτ1= 40.1 μm,円周方向でτ2 = 20.4 μm となり,パーカッション加工のピッチと一致した。

【0033】
以上の結果から,超短パルスレーザーのパワーやパーカッション加工における周期を制御することにより,容易に繊維表面にナノメートル領域からマイクロメートル領域の微細な周期構造を形成することが可能となることが判った。また,超短パルスレーザーの出力を制御することにより,繊維どうしの溶着や繊維内部の変質を抑えることができることが判った。すなわち,本発明の加工法を利用することにより,例えば,繊維に微細な凹凸を形成することにより,保温性,通気性,高染色性,高クッション性,肌触り等に優れた布帛を提供することができる。

【0034】
上記実施例では,前記長手方向に相対移動させる工程は直線的な走査を繰り返したが,長辺と短辺を有する楕円軌道を描きながらパーカッション加工しても良い(図6参照)。これによって,先の加工痕をトリガーとして次の微細周期構造形成につなげることがより確実となり,繊維表面全体に微細周期構造を形成することが可能となる。

【0035】
また.上記実施例では,超短パルスレーザーの照射の軸方向は繊維に対して一方向からでのみであったが,図7に示すように.ビームスプリッター等を用いて繊維に対して様々な周方向から照射しても良い(図7参照)。これによって,繊維に対して周方向全体に微細な形状加工を施すことが可能となる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6