(In Japanese)油圧装置の制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルの作成方法、制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルおよび圧力推定方法
IPC (International Patent Classification)
G01F 1/00 (2006.01)
FI (File Index)
G01F 1/00 H
Number of claims or invention
5
Filing form
OL
Total pages
24
Application Number
P2018-199323
Date of filing
Oct 23, 2018
Exceptions to lack of novelty of invention
(In Japanese)特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名:公益社団法人計測自動制御学会制御部門 刊行物名:第5回計測自動制御学会制御部門 マルチシンポジウム カタログ番号18SY0003 発行年月日:平成30年3月8日
Inventor, or creator of device
(In Japanese)【氏名】酒井 悟 【氏名】那花 優将
Applicant
(In Japanese)【識別番号】504180239 【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
Representative
(In Japanese)【識別番号】100090170、【弁理士】、【氏名又は名称】横沢 志郎
Request for examination
(In Japanese)未請求
Theme code
2F030
F-term
2F030CA04 2F030CC03 2F030CE02 2F030CE04
Abstract
(In Japanese)【課題】油圧装置における油圧制御弁から油圧シリンダへの制御流量を精度良く推定でき、実機への搭載も簡単に行える油圧装置の制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルを提案すること。 【解決手段】制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルは、油圧装置1において油圧制御弁3のスプール変位uおよび油圧シリンダのキャップ側圧力p+から、油圧シリンダ2のキャップ側油圧室に流入する非定常流量要素である作動油のキャップ側流量Q+を推定するために用いる。油圧装置を定義する非線形公称モデルを設定し、油圧装置の流量を含まない入出力の計測値をオフライン処理することで、非線形公称モデルからキャップ側流量を推定するためのキャップ側流量行列を求める。次に、ヒルベルトの射影定理を適用して、求めたキャップ側流量行列を低次元化して、ルックアップテーブルとして用いるキャップ側最適流量行列を求める。 【選択図】図1
【非特許文献1】Marc Raibert, Kevin Blankespoor, Gabriel Nelson, Rob Playter and the BigDog Team: BigDog, the Rough-Terrain Quadruped Robot, Proc. IFAC World Congress, pp.10822-10825 (2008) 【非特許文献2】H. Merrit: Hydraulic control systems, Jhon Willey & Sons (1967) 【非特許文献3】前島祐三, 酒井悟, 中西稔, 大須賀公一:油圧アームの基底パラメータ同定法とモデル検証, 日本フルードパワーシステム学会論文集, Vol.43, No.1, pp.16-21 (2012) 【非特許文献4】前島祐三,酒井悟:鉛直多関節油圧マニピュレータのパラメータ同定法とモデル検証,計測自動制御学会論文集,Vol.50, No.1, pp.91-100 (2014) 【非特許文献5】D. Luenberger: Optimization by vector space method, Wiley interscience (1968) 【非特許文献6】A. Kugi and W. kemmetmuller. Newenergy-based nonlinear controller for hydraulic piston actuators. European Journal of Control, 10(2), pages 163-173, 2004. 【非特許文献7】J. L. Walsh: A closed set of normal orthogonal functions. American Journal of Mathmatics, 45(1), pages 5-524, 1923. 【非特許文献8】藤本悠介, 丸田一郎, 杉江俊治, ノンパラメトリック区分的アフィンモデルのl1 最適化に基づく単純化, システム制御情報学会論文誌, 27(4), pages 141-149, 2014. 【非特許文献9】Ichiro Maruta, Henrik: Compression Based Identification of PWA Systems, Proc. of IFAC 2014, pages 4985-4992, 2014. 【非特許文献10】Satoru Sakai, Yusuke Nabana: Optimal Non-Bernoulli modelling method for experimental hydraulic robots, In Proc. of IROS 2016, pages 2954-2959, 2016. 【非特許文献11】Lars E. Bengtsson: Lookup Table Optimization for Sensor Linearization in Small Embedded System, Journal of Sensor Technology, 2, pages 177-184, 2012. 【非特許文献12】S. Sakai and S. Stramigioli: Passivity force control of hydraulic robots. In Proc. of IFAC symposium on Robot Control, pages 20-25, 2009. 【非特許文献13】西海孝雄: 絵とき「油圧」基礎のきそ, 日刊工業新聞社, 2012. 【非特許文献14】L. Ljung, System Identification: Theory for the User. Prentice-Hall, second edition, 1999. 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 建設、農業等の分野で使用される作業機は廉価であることの要求が高い。このためには、作業機の油圧装置の駆動制御系を、なるべく少ないセンサを用いて実現でき、また、実用上の観点からは計算機のCPU負荷が少なく簡単に実装可能な制御系を構築できることが望まれる。 【0009】 本発明の目的は、このような点に鑑みて、油圧装置における油圧制御弁から油圧シリンダに供給される制御流量を精度良く推定でき、実機への搭載も簡単に行える油圧装置の制御流量推定用のルックアップテーブルを提案することにある。 【0010】 また、本発明の目的は、この新しい制御流量推定用のルックアップテーブルを用いて油圧装置の油圧シリンダに作用する圧力を、精度良く推定可能な油圧装置の圧力推定方法を提案することにある。 【課題を解決するための手段】 【0011】 本発明の制御流量推定用のルックアップテーブルの作成方法は、 複動ピストン形の油圧シリンダに対する油圧の供給を制御するスプール形式の油圧制御弁を備えた油圧装置において、油圧制御弁のスプール変位および油圧シリンダのキャップ側圧力およびロッド側圧力から、油圧シリンダのキャップ側油圧室およびロッド側油圧室にそれぞれ流入する作動油のキャップ側流量およびロッド側流量を推定するために用いられ、 ステップ1において、油圧装置を定義する非線形公称モデルを設定し、油圧装置の流量を含まない入出力の計測値をオフライン処理して、非線形公称モデルによる推定値に基づいて、キャップ側流量を推定するためのキャップ側流量行列およびロッド側流量を推定するためのロッド側流量行列を求め、 ステップ2において、ステップ1で求めたキャップ側流量行列およびロッド側流量行列のそれぞれを、ヒルベルトの射影定理に基づき低次元化して、制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルとして用いるキャップ側最適流量行列およびロッド側最適流量行列を求めている。 【0012】 このように、本発明の方法により作成されるルックアップテーブルは、通常のルックアップテーブルとは異なり、モデルベーストになっていることが特徴である。すなわち、従来におけるベルヌーイの式と連続式によるモデリング・同定をホワイトボックスモデリング、従来のルックアップテーブルをブラックボックスモデリングとすれば、本発明の方法は、連続式とルックアップテーブルを用いたグレーボックスモデリングと表現可能である。このような観点から、以下においては、本発明の方法により作成されるルックアップテーブルを、制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルと呼ぶ。 【0013】 本発明者等によるベルヌーイの式を用いる従来の方法との比較を含む検証実験によれば、本発明の制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルを用いて同定される非定常流量要素(キャップ側制御流量、ロッド側制御流量)の有効性が確認された。 【0014】 また、本発明の油圧装置の圧力推定方法は、上記のキャップ側最適流量行列およびロッド側最適流量行列を備えた制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルを用いて、油圧シリンダのキャップ側圧力およびロッド側圧力を推定しており、 油圧制御弁のスプール変位と、油圧シリンダのキャップ側圧力およびロッド側圧力とを用いて、制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルから、キャップ側流量およびロッド側流量を検索出力する流量推定ステップと、 検索出力されたキャップ側流量およびロッド側流量から、油圧シリンダのピストン変位および当該ピストン変位の時間微分と、事前に同定したキャップ側体積弾性率およびロッド側体積弾性率とを用いて、キャップ側圧力変化率およびロッド側圧力変化率を算出して出力する圧力変化率算出ステップと、 算出されたキャップ側圧力変化率およびロッド側圧力変化率をそれぞれ積分して、推定キャップ側圧力および推定ロッド側圧力を算出して出力する推定圧力算出ステップとを有しており、 上記の流量推定ステップでは、スプール変位の値として位置センサによる測定値を用い、初回のキャップ側流量およびロッド側流量の検索出力のために用いるキャップ側圧力およびロッド側圧力の値として、予め定めた任意の初期値を用い、初回以後のキャップ側流量およびロッド側流量の検索出力のために用いるキャップ側圧力およびロッド側圧力の値として、推定圧力算出ステップで得られる前回の推定キャップ側圧力および推定ロッド側圧力を使用している。 【0015】 本発明者等による制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルを用いたオンライン推定を介した検証実験によれば、油圧装置の入力値であるスプール変位に基づき、精度良く、キャップ側圧力およびロッド側圧力を推定でき、圧力センサを用いることなく、精度良く油圧装置を駆動制御可能な制御機構を構築可能なことが確認された。 【0016】 なお、計算機負荷に支障が無い場合などにおいては、制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルとして、キャップ側最適流量行列およびロッド側最適流量行列を用いる代わりに、これらを低次元化する前の段階で得られるキャップ側流量行列およびロッド側流量行列を用いることも可能である。 【図面の簡単な説明】 【0017】 【図1】本発明を適用した1自由度の油圧装置を示す構成図、および圧力推定用オブザーバ機能を示す概略ブロック図である。 【図2A】最適流量行列同定法のSTEP1を示す説明図である。 【図2B】最適流量行列同定法のSTEP2を示す説明図である。 【図3】最適流量行列の同定実験に用いた実験機を示す説明図である。 【図4】実験機の信号の流れを示すブロック図である。 【図5】CaseAの実験結果の一例を示すグラフである。 【図6】同定されたキャップ側流量行列の非定常流量要素の一例を示す説明図である。 【図7】同定されたロッド側流量行列の非定常流量要素の一例を示す説明図である。 【図8】ベルヌーイの式を用いる従来法から計算されるキャップ側流量行列の非定常流量要素を示す説明図である。 【図9】ベルヌーイの式を用いる従来法から計算されるロッド側流量行列の非定常流量要素を示す説明図である。 【図10】入力Aon=2.0V、f={0.5,5.0}Hzにおけるキャップ側圧力およびロッド側圧力を示すグラフである。 【図11】提案法と従来法による流量の推定値をそれぞれ示すグラフである。 【図12】同定に使用された低周波数0.5Hzの検証結果を示すグラフである。 【図13】同定に使用されなかった高周波数5.0Hzの検証結果を示すグラフである。 【発明を実施するための形態】 【0018】 以下に、図面を参照して本発明を適用した油圧装置の制御流量推定用のモデルベーストルックアップテーブルの作成方法および圧力推定方法について説明する。