【非特許文献1】ブイ・アイ・コップ、ブイ・エム・チュリコフ、ジェイ・シンガー、エヌ・チャオ、ディー・ニュグロシュル及びエー・ゼット・ジェナック(V. I. Kopp, V. M. Churikov, J. Singer, N. Chao, D. Neugroschl, andA. Z. Genack)、「キラリティファイバグレーティング」(Chiral fiber gratings)、サイエンス(Science)、平成16年(2004)、305、p.74-p.75。 【非特許文献2】エス・オー、ケー・リー、ユー・ペック及びワイ・チャン(S. Oh, K. Lee, U. Paek, and Y. Chung)、「炭酸ガスレーザを用いたらせん長周期ファイバグレーティングの製造」(Fabricationof helical long-period fiber gratings by use of a CO2 laser)、オプティクス・レターズ(Opt.Lett)、平成16年(2004)、29、p.1464-p.1466。 【非特許文献3】ブイ・イワノフ(V. Ivanov)、「捩じりによる長周期ファイバグレーティングを有するシングルモードファイバの製造」(Fabrication of long-period fiber gratings by twisting a standardsingle-mode fiber)、オプティクス・レターズ(Opt. Lett)、平成17年(2005)、30、p.3290-p.3292。 【非特許文献4】ピー・ワン及びエイチ・リー(P. Wang and H. Li)、「薄型ファイバに形成されたヘリカル長周期グレーティングとその屈折率センサへの応用」(Helical long-period grating formed in a thinned fiber and itsapplication to refractometric sensor)、アプライド・オプティクス(Applied Optics)、平成28年(2016)、55、p.1430-p.1434。 【非特許文献5】エイチ・リー、ワイ・シェング、ワイ・リー、及びジェイ・イー・ローゼンバーグ(H. Li, Y. Sheng, Y. Li, and J. E. Rothenberg)、「高チャネル数波長分散補償用の位相をサンプリングしたファイバブラッググレーティング」(Phased-only sampled fiber Bragg gratings for high-channel-countchromatic dispersion compensation)、アイトリプルイー・ジェイ・ライトウエーブテクノロジ(IEEE J. Lightwave Technol)、平成15年(2003)、21、p.2074-p.2083。 【非特許文献6】エイチ・リー、エム・リー、ワイ・シェング及びジェイ・イー・ローゼンバーグ(H. Li, M. Li, Y. Sheng, and J. E. Rothenberg)、「高チャネル数のファイバブラッググレーティングの設計と製造の進歩」(Advances in the design and fabrication of high channel-count fiberBragg gratings)、アイトリプルイー・ジェイ・ライトウエーブテクノロジ(IEEE J. Lightwave Technol)、平成19年(2007)、25、p.2739-p.2749。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 これまでに提唱及び実証されているらせん状長周期ファイバグレーティングは、特定のクラッドモードに対して一つの損失ノッチを有する単一チャンネルである。そこで、当該技術分野では、複数の等間隔かつ等強度吸収波長帯を有する、いわゆる多チャンネルのらせん状長周期ファイバグレーティングを備えた光ファイバデバイスが望まれている。 【0009】 そこで、本発明では、多チャンネル化が可能な多チャンネルファイバグレーティング、多チャンネルファイバグレーティング製造装置及び多チャンネルファイバグレーティングの製造方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0010】 本発明の一形態に係る多チャンネルファイバグレーティングは、互いに異なる2以上のチャンネルを有するグレーティング部を含むコアと、コアの周囲に形成されたクラッドと、を備え、グレーティング部では、コアの光軸を回転中心としてコアが捩じられている。 【0011】 ファイバグレーティングは、コアの光軸を回転中心としてコアが捩じられることにより形成されている。従って、ファイバグレーティングにおいて屈折率をらせん状に分布させることが可能になるので、多チャンネル化を実現する複雑な屈折率の分布を精度よく形成することが可能である。従って、ファイバグレーティングの多チャンネル化が達成できる。 【0012】 上記のグレーティング部は、光軸の方向に沿ってコアの屈折率がらせん状に変化する部分を含んでもよい。また、上記のグレーティング部では、光軸の方向に沿ってらせんのピッチが変化してもよいし、光軸の方向に沿ってらせんのピッチが一定であってもよい。この構成によれば、多チャンネル化を実現する複雑な屈折率の分布を精度よく形成することができる。 【0013】 上記のグレーティング部は、光軸の方向に沿って互いに異なる屈折率を有する領域が交互に設けられた部分をさらに含んでもよい。この構成によっても、多チャンネルを実現する複雑な屈折率の分布を精度よく形成することができる。 【0014】 本発明の別の形態に係るの多チャンネルファイバグレーティング製造装置は、筒状を呈し、コアとコアの周囲に形成されたクラッドとを有する光ファイバが挿通される加熱部と、光ファイバの光軸方向において、光ファイバに対する加熱部の相対的な位置を制御する位置制御部と、光ファイバに対して、光軸方向のまわりにおける所定方向に捩じり力を付与する捩じり力付与部と、位置制御部及び捩じり力付与部を制御する制御部と、を備え、制御部は、互いに異なる2以上のチャンネルを有するファイバグレーティングのための、光軸方向に沿ったコアにおける位置と位置における屈折率の周期と、の関係を示す情報を保持する情報保持部と、情報保持部に保持された情報に基づいて、捩じり力付与部及び位置制御部を制御するための信号を出力する信号出力部と、を有する。この製造装置によれば、上記の多チャンネルファイバグレーティングを確実かつ容易に製造することができる。 【0015】 本発明のさらに別の形態に係る多チャンネルファイバグレーティング製造方法は、位相サンプリング関数を用いて、コアとコアの周囲に形成されたクラッドとを有する光ファイバの光軸方向に沿った、コアにおける位置と位置における屈折率の周期を設定する第1ステップと、光軸の方向に沿ってコアの屈折率がらせん状に変化する部分を含むグレーティング部を光ファイバに形成する第2ステップと、を有し、第2ステップでは、第1ステップで得た光軸方向に沿ったコアの位置と位置における屈折率の周期に応じて、光ファイバを加熱しつつ、加熱される部分を光ファイバの光軸方向へ移動させながら、光ファイバを光軸のまわりに捩じる。この製造方法によれば、多チャンネル化されたファイバグレーティングを容易に得ることができる。 【0016】 上記の製造方法において、第2ステップでは、光軸方向に沿ったコアの位置に対応する屈折率の周期を変化させるように、光ファイバを光軸方向へ移動させながら、光ファイバを光軸のまわりに捩じってもよい。この製造方法によっても、多チャンネル化されたファイバグレーティングを容易に得ることができる。 【0017】 上記の製造方法において、グレーティング部に、光軸の方向に沿って互いに異なる屈折率を有する領域が交互に設けられた部分を形成する第3ステップをさらに含み、第2ステップは、グレーティング部に光軸の方向に沿ってらせんのピッチが第1の値である部分を形成する第1ピッチ形成ステップを含んでもよい。この製造方法によっても、多チャンネル化されたファイバグレーティングを容易に得ることができる。 【0018】 上記の製造方法において、第2ステップは、グレーティング部に光軸の方向に沿ってらせんのピッチが第1の値とは異なる第2の値である部分を形成する第2ピッチ形成ステップをさらに含んでもよい。この製造方法によっても、多チャンネル化されたファイバグレーティングを容易に得ることができる。 【発明の効果】 【0019】 本発明によれば、多チャンネル化が可能な多チャンネルファイバグレーティング、多チャンネルファイバグレーティング製造装置及び多チャンネルファイバグレーティングの製造方法が提供される。 【図面の簡単な説明】 【0020】 【図1】図1は、一形態に係るらせん状長周期ファイバグレーティングを有する光ファイバを模式的に示す図である。 【図2】図2は、一形態に係る多チャンネルファイバグレーティング製造装置を模式的に示す図である。 【図3】図3は、多チャンネルファイバグレーティング製造装置における主要部を拡大して示す図である。 【図4】図4は、3チャンネルサンプリング関数における位相分布を示す。 【図5】図5は、3チャンネルサンプリング関数のフーリエスペクトルを示す。 【図6】図6は、3チャンネルらせん状長周期ファイバグレーティングの局所的な周期を計算した結果である。 【図7】図7は、3チャンネルらせん状長周期ファイバグレーティングの透過スペクトルを示す。 【図8】図8は、9チャンネルサンプリング関数における位相分布を示す。 【図9】図9は、9チャンネルサンプリング関数のフーリエスペクトルを示す。 【図10】図10は、9チャンネルらせん状長周期ファイバグレーティングの局所的な周期を計算した結果である。 【図11】図11は、9チャンネルらせん状長周期ファイバグレーティングの透過スペクトルの計算結果である。 【図12】図12は、第2実施形態の多チャンネルファイバグレーティングを説明するための図である。 【図13】図13は、第2実施形態のファイバグレーティングの製造方法を示すフロー図である。 【図14】図14は、第2実施形態の3チャンネルファイバグレーティングを説明するための図である。 【図15】図15は、第2実施形態の3チャンネルらせん状長周期ファイバグレーティングの測定結果(透過スペクトル)を示す。 【図16】図16は、第2実施形態の9チャンネルらせん状長周期ファイバグレーティングの測定結果(透過スペクトル)を示す。 【発明を実施するための形態】 【0021】 <第1実施形態> 以下、図面とともに多チャンネルファイバグレーティング、多チャンネルファイバグレーティングの設計方法、多チャンネルファイバグレーティングの製造装置及び多チャンネルファイバグレーティングの製造方法について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。具体的には、新しいマルチチャンネルのらせん状長周期ファイバグレーティングを有する多チャンネルファイバグレーティングとその設計方法、製造装置及び製造方法について説明する。