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明細書 :熱可塑性樹脂組成物の成形機、および製造方法、ならびに複合樹脂組成物の成形品の製造方法、射出成形品

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-128032 (P2020-128032A)
公開日 令和2年8月27日(2020.8.27)
発明の名称または考案の名称 熱可塑性樹脂組成物の成形機、および製造方法、ならびに複合樹脂組成物の成形品の製造方法、射出成形品
国際特許分類 B29B   7/42        (2006.01)
B29C  45/00        (2006.01)
B29B   9/06        (2006.01)
B29C  48/30        (2019.01)
FI B29B 7/42
B29C 45/00
B29B 9/06
B29C 47/12
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 22
出願番号 特願2019-021401 (P2019-021401)
出願日 平成31年2月8日(2019.2.8)
発明者または考案者 【氏名】八尾 滋
【氏名】パントン パチヤ
【氏名】山▲崎▼ 奈都美
【氏名】山下 慶太郎
【氏名】道上 哲吉
出願人 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100182567、【弁理士】、【氏名又は名称】遠坂 啓太
【識別番号】100197642、【弁理士】、【氏名又は名称】南瀬 透
審査請求 未請求
テーマコード 4F201
4F206
4F207
Fターム 4F201AA03
4F201AA50
4F201AR17
4F201AR18
4F201BA01
4F201BA02
4F201BD04
4F201BK33
4F201BK34
4F201BK80
4F201BL08
4F201BL30
4F201BL33
4F206AA03
4F206AA50
4F206AR08
4F206AR17
4F206AR18
4F206JA07
4F206JD03
4F206JM04
4F207AA03
4F207AA50
4F207AR17
4F207AR18
4F207KA01
4F207KL55
要約 【課題】
熱可塑性樹脂組成物の物性を向上させることができる成形機を提供する。
【解決手段】
第一の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融してストランド状に成形する熱可塑性樹脂組成物の成形機10であって、熱可塑性樹脂組成物を供給する供給口1と、供給口1から供給された熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する溶融混練部2と、溶融混練部2で溶融混錬された熱組成樹脂組成物が滞留する樹脂溜り部5と、
樹脂溜り部5で滞留した熱可塑性樹脂組成物をストランド状に吐出する吐出部3とを有し、
樹脂溜り部5が、溶融混練部2から吐出部3に向けて先細り形状を有する熱可塑性樹脂組成物の成形機10。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
第一の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融してストランド状に成形する熱可塑性樹脂組成物の成形機であって、
前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給口と、
前記供給口から供給された前記熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する溶融混練部と、
前記溶融混練部で溶融混錬された前記熱可塑性樹脂組成物が滞留する樹脂溜り部と、
前記樹脂溜り部で滞留した前記熱可塑性樹脂組成物をストランド状に吐出する吐出部とを有し、
前記樹脂溜り部が、前記溶融混練部から前記吐出部に向けて先細り形状を有する熱可塑性樹脂組成物の成形機。
【請求項2】
前記樹脂溜り部の前記先細り形状が、
前記樹脂溜り部と前記溶融混練部との第一の接続部の樹脂の流路の断面積A1に対して、前記樹脂溜り部と前記吐出部との第二の接続部の樹脂の流路の断面積A2の比(A2/A1)が、1%~50%であり、
前記第一の接続部から前記第二の接続部までの長さL1において、前記断面積A1を基準として、前記樹脂溜り部の樹脂の流路の断面積は0.1~2.0%/mmの範囲で減少する形状である請求項1記載の成形機。
【請求項3】
第一の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融してペレット状に成形するペレット化工程であり、
前記熱可塑性樹脂組成物をペレット成形機の供給口に供給し、
前記供給口から供給された前記熱可塑性樹脂組成物を溶融混練部で溶融させながら押し出し、
前記溶融混練部で溶融された前記熱可塑性樹脂組成物を、前記熱可塑性樹脂組成物の押し出し方向に向かって先細り形状を有する樹脂溜り部で滞留させ、
前記樹脂溜り部で滞留した前記熱可塑性樹脂組成物を吐出部からストランド状に吐出させ、
前記吐出部より吐出されたストランド状の前記熱可塑性樹脂組成物を細断することで樹脂ペレットを得るペレット化工程を有する熱可塑性樹脂組成物の成形品の製造方法。
【請求項4】
前記熱可塑性樹脂組成物が、第一の熱可塑性樹脂と、無機物及び/又は前記第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分を含む複合樹脂組成物である請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記ペレット化工程でペレット化された前記樹脂ペレットを、射出成形機で成形する射出成形工程を有し、前記射出成形工程が、前記射出成形機によるバージン樹脂のペレットに対する標準射出成形速度よりも遅い射出成形速度で、前記樹脂ペレットを成形するものである請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記ペレット化工程の温度が、前記バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度+10℃以上であり、
前記ペレット化工程の前記樹脂溜り部における滞留時間が、5秒~600秒であり、
前記射出成形工程における射出成形速度が、前記標準射出成形速度の30%~70%であり、
前記射出成形工程の温度が、前記バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度±20℃以内である請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
前記第一の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である請求項3~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
伸度が300%以上である、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有するリサイクル樹脂組成物の射出成形品。
【請求項9】
第一の熱可塑性樹脂と無機物及び/又は前記第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分を含む複合樹脂組成物を溶融してペレット状に成形するペレット化工程であり、
前記複合樹脂組成物をペレット成形機の供給口に供給し、
前記供給口から供給された前記複合樹脂組成物を溶融混練部で溶融させ、
前記溶融混練部で溶融された前記複合樹脂組成物を樹脂溜り部で滞留させ、
前記樹脂溜り部で滞留した前記複合樹脂組成物を吐出部からストランド状に吐出させ、
前記吐出部より吐出されたストランド状の前記複合樹脂組成物を細断することで樹脂ペレットを得るペレット化工程と、
前記ペレット化工程でペレット化された前記樹脂ペレットを、射出成形機で成形する射出成形工程であり、
前記射出成形機によるバージン樹脂のペレットに対する標準射出成形速度よりも遅い射出成形速度で、前記樹脂ペレットを成形する射出成形工程と、を有する複合樹脂組成物の成形品の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、第一の熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物の成形機および製造方法に関する。また、第一の熱可塑性樹脂と、無機物や第一の熱可塑性樹脂とは異なる他成分の高分子を含む複合樹脂組成物の成形品の製造方法に関する。また、複合樹脂組成物にかかる射出成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂は、単独では用途や目的に十分な特性を持たない場合がある。その用途や目的に応じ、無機物や他の高分子成分を系内に複数含む複合樹脂組成物を作製し、用途や目的に合わせた物性値にすることが多く実施されている。
【0003】
前項のような取り組みにより、弾性率や破断強度などが目的に合致するようにできることは良く知られているが、一方で破断伸びなどの物性値は系内に無機異物や他成分高分子があることで破断の起点ができるために、低下するとされていた。
【0004】
また、熱可塑性樹脂は、資源リサイクルが進められている。特に容器包装材料系に用いられるプラスチック量は近年も増加傾向にあり、その使用量の増加に伴い、そのリサイクルも重要な課題となっている。そして、熱可塑性樹脂の各種リサイクル方法が提案されている。
【0005】
廃棄プラスチックの力学物性低下原因に関しては、従来から化学劣化という常識が蔓延している。この化学劣化は分子鎖切断という再生が不可能な現象であるために、廃棄プラスチックの力学物性を再生することは不可能とされていた。さらに、系内に無機異物や他成分高分子があることで破断の起点ができるために、破断伸びが低下するとされていた。一方、本発明者等は、この力学物性が低下する原因は、高分子の内部構造変異によるものであることを基礎的に明らかにするとともに、物性再生を可能とする新たな成形法に関する知見を提案している(例えば、非特許文献1-6等)。この手法を採用することで、系内にリサイクル樹脂由来の無機異物や、他の高分子がある場合においても、破断伸びが大幅に増加できることを見出している(特許文献2)。
【0006】
特許文献1は、熱可塑性樹脂組成物を溶融してペレット状に成形する樹脂組成物成形機や、樹脂組成物の成形方法に関するものである。特許文献1では、溶融混練部と吐出部との間に設けられる樹脂溜り部を有する樹脂組成物成形機等が開示されている。また、熱可塑性樹脂として、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有する結晶性高分子などが開示されている。
【0007】
特許文献2は、リサイクルポリオレフィンを含有する熱可塑性樹脂組成物の再生方法に関するものである。特許文献2では、溶融成形工程により製品形状とされた溶融樹脂組成物を急冷する急冷工程を有する再生方法が開示されている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2017-148997号公報
【特許文献2】特開2016-49736号公報
【0009】

【非特許文献1】"Advanced recycling process for waste plastics based on physical degradation theory and its stability", Aya Tominaga, Hiroshi Sekiguchi, Ryoko Nakano, Shigeru Yao, Eiichi Takatori, Journal of Material Cycles and Waste Management, accepted.
【非特許文献2】"Relationship between the long period and the mechanical properties of recycled polypropylene", Aya Tominaga, Hiroshi Sekiguchi, Ryoko Nakano, Shigeru Yao, and Eiichi Takatori, Nihon Reoroji Gakkaishi, 45(5), 287-290 (2017)
【非特許文献3】"Creation of Advanced Recycle Process to Waste Container and Packaging Plastic - Polypropylene Sorted Recycle Plastic Case-", Nozomi Takenaka, Aya Tominaga, Hiroshi Sekiguchi, Ryoko Nakano, Eiichi Takatori, Shigeru Yao, Nihon Reoroji Gakkaishi, 45(3), 139-143 (2017)
【非特許文献4】"Thermal Process Dependence of Mechanical Properties and Inner Structure of Pre-consumer Recycled Polypropylene", Aya Tominaga, Hiroshi Sekiguchi, Ryoko Nakano, Shigeru Yao, Eiichi Takatori, Proceedings of PPS-30, AIP Conf. Proc. 1664, 150011-1 - 150011-4, 2015
【非特許文献5】「プレコンシューマリサイクルポリプロピレンの高度再生技術」, 冨永亜矢,関口博史,中野涼子,八尾滋, 高取永一, 高分子論文集, 70(12),712-721(2013).
【非特許文献6】"Inner structure and mechanical properties of recycled polypropylene. ", Shigeru Yao, Aya Tominaga, Youhei Fujikawa, Hiroshi Sekiguchi, and Eiichi Takatori, Nihon Reoroji Gakkaishi(J. Soc. Rheol, Japan), 41(3), 173-178 (2013).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
複合樹脂組成物について溶融混練の条件などを検討することで物性向上を達成しようという試みがなされている。特に、熱可塑性樹脂に、無機物や他の高分子とマトリックスとなる高分子間の界面接着性を改良する添加剤などが提案されてきた。しかし、無機物や他の高分子等を混合した上にさらに添加剤を加えると、高価となる。またそれにもかかわらず十分に物性が発揮されているとは言えず、さらなる改良の余地があった。
【0011】
また、廃棄プラスチックの力学物性等の再生については、実際の射出成形での物性再生に関する製法や条件を検討することが求められていた。特許文献1や2は、リサイクルポリオレフィンを含有する樹脂組成物の成形等において物性を向上させる効果を奏するが、さらなる改良の余地があった。また、複合樹脂組成物等の成形を検討した結果、熱可塑性樹脂組成物に広く適用することで、熱可塑性樹脂組成物の物性を向上させることができる成形手法等を見出した。
係る状況下、本発明の目的は、熱可塑性樹脂組成物の物性を向上させる成形機および製造方法を提供することである。また、バージン樹脂に近い物性を有する複合樹脂組成物の製造方法等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
【0013】
<X1> 第一の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融してストランド状に成形する熱可塑性樹脂組成物の成形機であって、
前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給口と、
前記供給口から供給された前記熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する溶融混練部と、
前記溶融混練部で溶融混錬された前記複合樹脂組成物が滞留する樹脂溜り部と、
前記樹脂溜り部で滞留した前記熱可塑性樹脂組成物をストランド状に吐出する吐出部とを有し、
前記樹脂溜り部が、前記溶融混練部から前記吐出部に向けて先細り形状を有する熱可塑性樹脂組成物の成形機。
<X2> 前記樹脂溜り部の前記先細り形状が、
前記樹脂溜り部と前記溶融混練部との第一の接続部の樹脂の流路の断面積A1に対して、前記樹脂溜り部と前記吐出部との第二の接続部の樹脂の流路の断面積A2の比(A2/A1)が、1%~50%であり、
前記第一の接続部から前記第二の接続部までの長さL1において、前記断面積A1を基準として、前記樹脂溜り部の樹脂の流路の断面積は0.1~2.0%/mmの範囲で減少する形状である<X1>記載の成形機。
【0014】
<Y1> 第一の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融してペレット状に成形するペレット化工程であり、
前記熱可塑性樹脂組成物をペレット成形機の供給口に供給し、
前記供給口から供給された前記熱可塑性樹脂組成物を溶融混練部で溶融させながら押し出し、
前記溶融混練部で溶融された前記熱可塑性樹脂組成物を、前記熱可塑性樹脂組成物の押し出し方向に向かって先細り形状を有する樹脂溜り部で滞留させ、
前記樹脂溜り部で滞留した前記熱可塑性樹脂組成物を吐出部からストランド状に吐出させ、
前記吐出部より吐出されたストランド状の前記熱可塑性樹脂組成物を細断することで樹脂ペレットを得るペレット化工程を有する熱可塑性樹脂組成物の成形品の製造方法。
<Y2> 前記熱可塑性樹脂組成物が、第一の熱可塑性樹脂と、無機物及び/又は前記第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分を含む複合樹脂組成物である前記<Y1>記載の製造方法。
<Y3> 前記ペレット化工程でペレット化された前記樹脂ペレットを、射出成形機で成形する射出成形工程を有し、前記射出成形工程が、前記射出成形機によるバージン樹脂のペレットに対する標準射出成形速度よりも遅い射出成形速度で、前記樹脂ペレットを成形するものである前記<Y2>記載の製造方法。
<Y4> 前記ペレット化工程の温度が、前記バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度+10℃以上であり、
前記ペレット化工程の前記樹脂溜り部における滞留時間が、5秒~600秒であり、
前記射出成形工程における射出成形速度が、前記標準射出成形速度の30%~70%であり、
前記射出成形工程の温度が、前記バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度±20℃以内である前記<Y3>記載の製造方法。
<Y5> 前記第一の熱可塑性樹脂が、ポリオレフィン系樹脂である前記<Y1>~<Y4>のいずれかに記載の製造方法。
<Y6> 前記複合樹脂組成物が、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有するリサイクル樹脂組成物を含む<Y1>~<Y5>のいずれかに記載の製造方法。
【0015】
<Z1> 伸度が300%以上である、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有するリサイクル樹脂組成物の射出成形品。
【0016】
<W1> 第一の熱可塑性樹脂と無機物及び/又は前記第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分を含む複合樹脂組成物を溶融してペレット状に成形するペレット化工程であり、
前記複合樹脂組成物をペレット成形機の供給口に供給し、
前記供給口から供給された前記複合樹脂組成物を溶融混練部で溶融させ、
前記溶融混練部で溶融された前記複合樹脂組成物を樹脂溜り部で滞留させ、
前記樹脂溜り部で滞留した前記複合樹脂組成物を吐出部からストランド状に吐出させ、
前記吐出部より吐出されたストランド状の前記複合樹脂組成物を細断することで樹脂ペレットを得るペレット化工程と、
前記ペレット化工程でペレット化された前記樹脂ペレットを、射出成形機で成形する射出成形工程であり、
前記射出成形機によるバージン樹脂のペレットに対する標準射出成形速度よりも遅い射出成形速度で、前記樹脂ペレットを成形する射出成形工程と、を有する複合樹脂組成物の成形品の製造方法。
<W2> 前記ペレット化工程の温度が、前記バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度+10℃以上であり、
前記ペレット化工程の前記樹脂溜り部における滞留時間が、5秒~600秒であり、
前記射出成形工程における射出成形速度が、前記標準射出成形速度の30%~70%であり、
前記射出成形工程の温度が、前記バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度±20℃以内である前記<W1>記載の製造方法。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、熱可塑性樹脂組成物の破断伸度などの物性を向上させることができる。また、例えば、無機物や他成分の高分子を含んでも、第一の熱可塑性樹脂組成物のバージン品相当の破断伸度などの物性を有する複合樹脂組成物の成形品を製造することができる。
【0018】
また、例えば、本発明によりリサイクル樹脂組成物を成形することで、従来の製造方法により製造されたリサイクル樹脂組成物の成形品よりも優れた物性を示し、バージン樹脂の成形品に近い破断伸度等の物性を有するリサイクル樹脂組成物の成形品が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のペレット化工程に用いるペレット化成形機を示す図である。
【図2】ペレット化成形機の樹脂溜り部の概要を示す図である。
【図3】実施例における引張試験用の成形品の形状を説明するための図である。
【図4】実施例におけるアイゾッド衝撃強さ試験用の成形品の形状を説明するための図である。
【図5】実施例に係る引張試験の応力-ひずみ曲線(S-S曲線)である。
【図6】実施例に係る引張試験の応力-ひずみ曲線(S-S曲線)である。
【図7】実施例に係る引張試験後の試験片の像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。なお、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値を含む表現として用いる。

【0021】
[本発明の成形機]
本発明の成形機は、第一の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融してストランド状に成形する熱可塑性樹脂組成物の成形機であって、前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給口と、前記供給口から供給された前記熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する溶融混練部と、前記溶融混練部で溶融混錬された前記複合樹脂組成物が滞留する樹脂溜り部と、前記樹脂溜り部で滞留した前記熱可塑性樹脂組成物をストランド状に吐出する吐出部とを有し、前記樹脂溜り部が、前記溶融混練部から前記吐出部に向けて先細り形状を有する。
このような成形機で成形される熱可塑性樹脂組成物のストランドは、一般的には細断化されてペレットとして用いられる。このペレットは、従来の成形手段で成形されたペレットを用いる場合よりも破断伸度などの物性に優れた成形品の製造に適している。また、このような成形機で成形される複合樹脂組成物のペレットを用いた成形品は、無機物や他の高分子の複合による破断伸度の低下を抑制し、優れた機械物性を有する。

【0022】
[本発明の第一の製造方法]
本発明の第一の製造方法は、第一の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融してペレット状に成形するペレット化工程であり、前記熱可塑性樹脂組成物をペレット成形機の供給口に供給し、前記供給口から供給された前記熱可塑性樹脂組成物を溶融混練部で溶融させながら押し出し、前記溶融混練部で溶融された前記熱可塑性樹脂組成物を、前記熱可塑性樹脂組成物の押し出し方向に向かって先細り形状を有する樹脂溜り部で滞留させ、前記樹脂溜り部で滞留した前記熱可塑性樹脂組成物を吐出部からストランド状に吐出させ、前記吐出部より吐出されたストランド状の前記熱可塑性樹脂組成物を細断することで樹脂ペレットを得るペレット化工程を有する。
このような製造方法で成形される熱可塑性樹脂組成物のペレットは、従来の成形手段で成形されたペレットを用いる場合よりも破断伸度などの物性に優れた成形品の製造に適している。また、このような製造方法で成形される複合樹脂組成物のペレットを用いた成形品は、無機物や他の高分子の複合による破断伸度の低下を抑制し、優れた機械物性を有する。

【0023】
[本発明の第二の製造方法]
本発明の第二の製造方法は、第一の熱可塑性樹脂と、無機物及び/又は前記第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分を含む複合樹脂組成物を溶融してペレット状に成形するペレット化工程であり、前記複合樹脂組成物をペレット成形機の供給口に供給し、前記供給口から供給された前記複合樹脂組成物を溶融混練部で溶融させ、前記溶融混練部で溶融された前記複合樹脂組成物を樹脂溜り部で滞留させ、前記樹脂溜り部で滞留した前記複合樹脂組成物を吐出部からストランド状に吐出させ、前記吐出部より吐出されたストランド状の前記複合樹脂組成物を細断することで樹脂ペレットを得るペレット化工程と、前記ペレット化工程でペレット化された前記樹脂ペレットを、射出成形機で成形する射出成形工程であり、前記射出成形機によるバージン樹脂のペレットに対する標準射出成形速度よりも遅い射出成形速度で、前記樹脂ペレットを成形する射出成形工程と、を有する。
このような製造方法で成形される複合樹脂組成物の成形品は、無機物や他の高分子の複合による破断伸度の低下を抑制し、優れた機械物性を有する。
なお、本願において、本発明の第一の製造方法と第二の製造方法とを合わせて本発明の製造方法と呼ぶ場合がある。また、本願において、本発明の製造方法は、本発明の成形機を用いて行うことができ、以下、対応する構成は適宜参照して用いることができる。本発明の成形機は、特に本発明の第一の製造方法に適している。

【0024】
本発明の製造方法は、リサイクル樹脂組成物に対しても有効であり、このような製造方法で成形されるリサイクル樹脂組成物の成形品は、従来の製造方法により製造されたリサイクル樹脂組成物の成形品よりも優れた物性を示し、バージン樹脂のペレットの成形品に近い物性を示す。

【0025】
[本発明の成形品]
また、本発明のリサイクル樹脂組成物の成形品は、伸度が300%以上である、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有する。この成形品は、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有するにもかかわらず、特にリサイクル樹脂を用いるときに低下しやすい伸度も高く、広範な用途に利用しやすい。なお、本発明のリサイクル樹脂組成物の成形品は、本発明の製造方法により製造することができ、対応する構成を援用してそれぞれの発明を実施することができる。

【0026】
本発明者らは、第一の熱可塑性樹脂に無機物や他の高分子成分を含む複合樹脂組成物の成形を検討した。その典型例として、無機物や他の高分子成分を含むリサイクル樹脂組成物の射出成形品に対する、成形条件の影響を調べることで、成形品の力学物性はペレットおよび射出成形の各条件に大きく依存することを見出した。従来、リサイクル樹脂組成物の成形にあたっては、その樹脂組成物の成分に対応するバージン樹脂組成物の成形条件と同じ成形条件で成形することが多かった。しかし、このような成形条件で成形されたリサイクル樹脂組成物の成形品はバージン樹脂組成物を用いたものよりも力学特性等が低下する。

【0027】
本発明者らは、複合樹脂組成物の成形条件について、樹脂溜り部を持つペレット成形機(ペレタイザー)でペレットを作製するにあたって、樹脂溜り部の形状を、先細り形状を有するものとすることを検討した。従来のペレット成形においては、溶融混練部から吐出部にかけて急激に押し出し方向における断面積が変化することから、樹脂に大きなせん断変形が生じていると考えられる。ここに、樹脂溜り部を設けると、溶融混錬部のせん断を一定程度は解消することができる。さらに、直管型の樹脂溜り部から吐出部付近で急激に押し出し方向における断面積が変化すると、これも樹脂にせん断変形が生じる理由になると考えた。そこで、樹脂溜り部も、溶融混練部から吐出部にかけて先細り形状にすることで、急激なせん断変形を抑制し、緩やかなせん断変形とすることを検討した。その結果、より優れた物性を有する成形品を得ることができることを見出した。
また、これは、複合樹脂組成物に限らず、熱可塑性樹脂組成物にも適用できることを見出した。熱可塑性樹脂組成物もペレット化などの工程で、二軸混練機などの押出し時に過剰なせん断によるひずみが生じ、それが残存したまま、ペレット化や成形されて、そのひずみにより物性が低下する場合がある。本発明の成形機に設けられた樹脂溜り部により、これらのひずみを解消することができる。

【0028】
また、本発明者らは、このリサイクル樹脂組成物などの複合樹脂組成物の成形条件について、樹脂溜り部を持つペレット成形機(ペレタイザー)でペレットを作製し、射出成形条件をバージン樹脂組成物の成形条件とは異なるものに変更して最適化することで、より優れた物性を有する成形品を得ることができることを見出した。この射出成形条件は、特に、リサイクル樹脂組成物を対象として、バージン樹脂組成物の成形条件よりも、遅い射出成形速度とすることが有効であることを見出した。
これは、樹脂溜り部を持つペレタイザーを用いることにより、複合化する時に与えられるせん断変形により生じた組成物中のマトリックス高分子の内部構造変異を解消し、力の伝達が良好に行える状態に戻し、射出成形時の溶融時においてもその状態をある程度維持するように成形することによって破断伸度の低下を抑制できるためと考えられる。

【0029】
[第一の熱可塑性樹脂]
本発明は、第一の熱可塑性樹脂等を含む熱可塑性樹脂組成物に関する。この第一の熱可塑性樹脂とは、熱可塑性樹脂組成物において、主たる成分となる熱可塑性樹脂である。第一の熱可塑性樹脂は、熱を加えると軟化し、射出成形可能な樹脂である。例えば、ポリオレフィン系樹脂や、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、PMMA等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルサルファイド(PPS)等が挙げられる。

【0030】
これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂を第一の熱可塑性樹脂として用いることが好ましい。ポリオレフィンとは、ポリエチレンやポリプロピレン等のように、1位に二重結合をもつα-オレフィンの重合で得られる結晶性を有する高分子である。

【0031】
[熱可塑性樹脂組成物]
熱可塑性樹脂組成物は、第一の熱可塑性樹脂を含む。この熱可塑性樹脂組成物は、実質的に第一の熱可塑性樹脂からなるものであってもよい。また、一般的に熱可塑性樹脂組成物に含まれる不純物などを含んでいてもよい。また、熱可塑性樹脂組成物と混合して用いられる、各種添加剤等を含むものであってもよい。添加剤としては、各種の物性改善剤を用いることができ、例えば、着色剤や、安定剤、UV吸収材、可塑剤などがあげられる。熱可塑性樹脂組成物に含まれる第一の熱可塑性樹脂は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂組成物に含まれる第一の熱可塑性樹脂の上限は特に定めなくてもよいが、添加剤や微量な不純物を含む場合があるため、99.9質量%以下や、99.5質量%以下、99質量%以下、98質量%以下、95質量%以下のような上限を設けてもよい。

【0032】
[複合樹脂組成物]
熱可塑性樹脂組成物は、第一の熱可塑性樹脂と、無機物及び/又は前記第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分を含む複合樹脂組成物を用いてもよい。複合樹脂組成物は、従来の成形では、第一の熱可塑性樹脂組成物よりも、特に破断伸度が低下する場合がある。本発明によれば、このような破断伸度の低下を抑制することができる。

【0033】
[無機物]
複合樹脂組成物は、無機物を含むことができる。この無機物は、第一の熱可塑性樹脂と組み合わせて用いられ、射出成形等により成形するときに併用したり、不純物として混入される成分である。例えば、いわゆるフィラーとして混合するものなどが挙げられ、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、タルク、硝酸バリウム、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、クレー、顔料等が挙げられる。無機物を含むことで、弾性率や破断強度、耐衝撃性などが向上したり、色や反射率等の光学的特性や耐熱性が変化し所望の物性に調整することができる。

【0034】
[第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分(他の高分子成分)]
複合樹脂組成物は、第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分(以下、「他の高分子成分」)を含むことができる。この他の高分子は、主たる成分として含まれる第一の熱可塑性樹脂以外の熱可塑性樹脂や高分子、熱硬化性樹脂等である。この「他の高分子成分」とは、例えば、第一の熱可塑性樹脂が、ポリプロピレンの場合、ポリプロピレン以外のポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン等)や、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、PMMA等のアクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニルサルファイド(PPS)等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド等の熱硬化性樹脂等である。すなわち、その複合樹脂組成物における第一の熱可塑性樹脂となる主たる成分以外は、他の高分子成分とする。この他の高分子は、1種の樹脂等でもよいし、2種以上の樹脂等でもよい。他の高分子成分を含むことで、弾性率や破断強度、耐衝撃性などの機械特性が向上したり、色や反射率等の光学的特性や耐熱性が変化し所望の物性に調整することができる。

【0035】
複合樹脂組成物は、前述のように、第一の熱可塑性樹脂と、無機物及び/又は前記第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分を含む。複合樹脂組成物において、第一の熱可塑性樹脂は、その複合樹脂組成物において最も質量濃度が高い樹脂である。複合樹脂組成物において、第一の熱可塑性樹脂は、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることがさらに好ましい。

【0036】
複合樹脂組成物は、無機物又は第一の熱可塑性樹脂とは異なる高分子成分(「他の高分子成分」)の少なくとも一方を含む。双方を含むものであってもよい。無機物を含む場合、その濃度は、無機物が主たる成分とならず射出成形可能な範囲で特に制限はない。また、他の高分子成分を含む場合、その濃度は、他の高分子成分が主たる成分とならず射出成形可能な範囲で特に制限はない。
例えば、複合樹脂組成物の全量に対して、無機物及び他の高分子成分の合計量の質量比(「無機物及び他の高分子成分の合計量」/「複合樹脂組成物の全量」)が、60質量%以下や、50質量%以下、30質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、5質量%以下としてもよい。なお、このとき第一の熱可塑性樹脂に対する他の高分子の質量比(「他の高分子成分」/「第一の熱可塑性樹脂」)は、1未満であり、好ましくは0.9以下や0.8以下であり、他の高分子成分は、第一の熱可塑性樹脂よりも少なく、無機物含有量が多い場合がある。
また、複合樹脂組成物の全量に対して、無機物及び他の高分子成分の合計量の質量比(「無機物及び他の高分子成分の合計量」/「複合樹脂組成物の全量」)の下限は、0.1質量%以上や、0.5質量%以上、1.0質量%以上、3.0質量%以上としてもよい。

【0037】
[リサイクル樹脂組成物]
本発明の複合樹脂組成物として、リサイクル樹脂を用いることができる。リサイクル樹脂とは、バージン樹脂のペレットから成形品を成形する工程で生じる廃棄物や不良品のようなプレコンシューマ品や、成形品として市場流通し、消費された後の、容器包装リサイクルプラスチック(いわゆる「容リプラ」)のような廃棄プラスチックとして回収される樹脂の総称である。
本発明では、リサイクル樹脂に由来するポリオレフィン系樹脂を含有するリサイクル樹脂組成物を用いることが好ましい。すなわちポリオレフィン系樹脂を含有するリサイクル樹脂、また適宜リサイクル樹脂にポリオレフィン系樹脂を用いた成形品に用いられる任意の成分を含有するものをリサイクル樹脂組成物として用いることができる。

【0038】
ポリエチレンやポリプロピレン等の複数のポリオレフィンを用いたもののリサイクル樹脂は、はじめから複数のリサイクルポリオレフィンを含有するものとして回収される。また、リサイクル過程で種々の物質が混合される可能性があり、無機粉末、無機フィラー、顔料、ポリスチレン由来物、1,4-付加ブタジエンユニット由来物およびポリエチレンテレフタレート由来物、あるいはその他のプラスチックといったいわゆる不純物も混合されたものとして収集されてもよい。本発明に用いるリサイクル樹脂組成物は、このような複数のポリオレフィンや、各種不純物等も含むものを用いることができる。また、本発明のリサイクル樹脂組成物は、バージン樹脂等を含んでいてもよい。リサイクル樹脂組成物における、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂の含有量は任意の量としてもよい。リサイクル樹脂の活用の観点から、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂が50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましい。また、リサイクルによりポリオレフィン系樹脂以外も含むため、ポリオレフィン系樹脂の上限は99質量%以下や、98質量%以下、95質量%以下、92質量%以下のようなものとしてもよい。

【0039】
リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有するリサイクル樹脂組成物には、ISO18263-1;2015に則った樹脂を用いることができる。リサイクル樹脂組成物は、リッチ品や準リッチ品、ミックス品に分類することができる。リサイクルポリエチレンの場合、ポリエチレンの純度が60質量%以上85質量%未満のものを準リッチ品、85質量%以上のものをリッチ品と呼び分類される。リサイクルポリプロピレンの場合、ポリプロピレンの純度が60質量%以上85質量%未満のものを準リッチ品、85質量%以上のものをリッチ品と呼び分類される。例えば、ポリエチレンを主として含むものとしては、ISO18263-1-PE-M1(REC),NG1(PEリッチ品:PE≧85%の無着色ペレット)、ISO18263-1-PE-M1(REC),NG3(PEリッチ品:PE≧85%の無着色減容品)、ISO18263-1-PE-MPO(REC),NG1(PE準リッチ品:85%>PE≧60%の無着色ペレット)、ISO18263-1-PE-MPO(REC),NG3(PE準リッチ品:85%>PE≧60%の無着色減容品)を用いることができる。
また、ポリエチレンおよびポリプロピレンの混合物を主として含むものとしては、ISO18263-1-MPO(REC),NG1(PE/PPミックス:無着色ペレット)、ISO18263-1-MPO(REC),NG3(PE/PPミックス:無着色減容品)を用いることができる。ここで「ミックス」とは60%>PEまたはPP≧40%である。
また、ポリプロピレンを主として含むものとしては、ISO18263-1-PP-M1(REC),NG1(PPリッチ品:PP≧85%の無着色ペレット)、ISO18263-1-PP-M1(REC),NG3(PPリッチ品:PP≧85%の無着色減容品)、ISO18263-1-PP-MPO(REC),NG1(PP準リッチ品:85%>PP≧60%の無着色ペレット)、ISO18263-1-PP-MPO(REC),NG3(PP準リッチ品:85%>PP≧60%の無着色減容品)を用いることができる。

【0040】
本発明の製造方法には、適宜リサイクル樹脂を粉砕混合した塊状や粉状として用いたり、粉砕混合したものを一般的なペレッターを用いて溶融混練し予めペレットとしておいたものを用いることができる。

【0041】
[ペレット化工程]
本発明の製造方法は、第一の熱可塑性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物を溶融してペレット状に成形するペレット化工程であり、前記熱可塑性樹脂組成物をペレット成形機の供給口に供給し、前記供給口から供給された前記熱可塑性樹脂組成物を溶融混練部で溶融させ、前記溶融混練部で溶融された前記熱可塑性樹脂組成物を樹脂溜り部で滞留させ、前記樹脂溜り部で滞留した前記熱可塑性樹脂組成物を吐出部からストランド状に吐出させ、前記吐出部より吐出されたストランド状の前記熱可塑性樹脂組成物を細断することで樹脂ペレットを得るペレット化工程を有する。

【0042】
[ペレット成形機10]
図1はペレット化工程を行うためのペレット成形機の一例を示すものである。このペレット成形機は、本発明の成形機の第一の実施形態に関し、本発明の第一の製造方法に適している。
図1のペレット成形機10は、供給口1と、溶融混練部2と、樹脂溜り部5と、吐出部3と、ペレタイザー4を有する。このペレット成形機10により、樹脂組成物を溶融してペレット状に成形することができる。得られたペレットは、フレキシブルコンテナバッグ等のコンテナ6に収集される。以下さらに詳しくペレット成形機10を説明する。

【0043】
[供給口1]
供給口1は、ホッパー状の供給口である。この供給口1の上部から塊状や粉状、ペレット状などの熱可塑性樹脂組成物が供給され、溶融混練部2へと移送される。

【0044】
[溶融混練部2]
溶融混練部2は、供給口1から供給された熱可塑性樹脂組成物を溶融混練する。この溶融混練部2は、熱可塑性樹脂組成物の溶融温度に加熱されており、モーターMにシリンダ21により連結されたスクリュー22を回転させることで熱可塑性樹脂組成物が樹脂溜り部5側へと押し出される。また、この配管とスクリューとの間等を通るとき、熱可塑性樹脂組成物にせん断応力がかかり、熱可塑性樹脂組成物は混練される。

【0045】
[樹脂溜り部5]
そして、樹脂溜り部5は、溶融混練部2と吐出部3との間に設けられている。この樹脂溜り部5は、溶融温度を維持するように加熱されており、溶融混練部2で溶融混練された熱可塑性樹脂組成物にかかったせん断応力を解消することができる。

【0046】
この樹脂溜り部5は、溶融混練部2との第一の接続部51側の開口部から、吐出部3との第二の接続部52側の開口部に向けて、熱可塑性樹脂組成物の押し出し方向となり、押し出し方向に向かって先細り形状を有する。

【0047】
図2は、この樹脂溜り部5をさらに詳しく説明するための概要図である。(a)は、樹脂溜り部5の第二の接続部52側から見た左側面図であり、(b)は正面図であり、(c)は第一の接続部51側から見た右側面図である。

【0048】
樹脂溜り部5の第一の接続部51側には、開口部511が設けられており、溶融混練部2の開口部と接続される。第二の接続部52側には、開口部521が設けられており、吐出部3の開口部と接続される。開口部511から開口部52にかけて中空状態となっており、樹脂の流路となる。この開口部511の面積は、第一の接続部51の樹脂の流路の断面積A1に相当する。また、この開口部512の面積は、第二の接続部52の樹脂の流路の断面積A2に相当する。
本発明に用いるペレット成形機は、一般的なペレット成形機の溶融混練部と吐出部との間に、溶融混練部の配管の断面と同じ形状から、吐出部の接続部の断面に合わせて徐々に先細りする配管を接続することで達成することができる。この配管部分は、シリンダによるせん断が行われず樹脂溜り部となる。

【0049】
[接続部の断面積比]
樹脂溜り部5の先細り形状は、断面積A1に対して、断面積A2の比(A2/A1)が、1%~50%であることが好ましい。断面積A1は、開口部511の面積に相当する。また、断面積A2は、開口部521の面積に相当する。この比(A2/A1)が、高すぎる場合、吐出部3付近で大きなせん断が生じて、熱可塑性樹脂組成物の物性が低下する場合がある。この比が低すぎる場合、樹脂溜り部5内でせん断が生じてしまい、熱可塑性樹脂組成物の物性が低下する場合がある。これらの傾向は、複合樹脂組成物のとき特に顕著である。この比(A2/A1)の上限は、40%以下や、30%以下がより好ましい。この比(A2/A1)の下限は、吐出部3の形状により設定されてよいが、3%以上や5%以上、8%以上、10%以上としてもよい。

【0050】
[断面積の減少]
第一の接続部51から第二の接続部52までの長さL1は、樹脂溜り部での滞留時間や、せん断を考慮して設計される。樹脂溜り部5は、断面積A1を基準として、樹脂溜り部5の断面積が0.1~2.0%/mmの範囲で減少する形状であることが好ましい。すなわち、長さL1を設定することで、所定の断面積の変位のものとすることができる。この断面積の減少は、先細り形状の傾斜の角度が一定の連続的なものでもよいし、不連続に段階的に先細るものでもよく、この断面積の変位は、「「「1-断面積の比(A2/A1)」×100」/長さL1」から、平均化した値を用いることができる。例えば、A2/A1が20%であり、長さL1が100mmの場合、「1-0.2/100」=0.8%/mmとなる。なお、樹脂溜り部5が不連続に先細る場合も、少なくとも断面積A1の位置と、断面積A2の位置との中間の長さの位置(接続部51から、L1/2の位置)における断面積(A3)は、断面積A1の断面積よりも狭いものであることが好ましい。例えば、断面積A3/断面積A1の比は、40~80%程度とすることができる。
この断面積が、2.0%/mmを超える範囲で減少する場合、樹脂溜り部5で樹脂に大きなせん断がかかる場合がある。また、0.1%/mm未満の範囲で減少する場合、樹脂溜り部5が長くなりすぎるものとなり、装置の設計が難しくなったり、実質、滞留時間が過剰に長いものとなる場合がある。この断面積の変位は、0.2~1.0%/mmであることがより好ましい。

【0051】
[吐出部3]
吐出部3は、樹脂溜り部5を通り、溶融混練された後の熱可塑性樹脂組成物をストランド状に吐出する。ペレタイザー4は、吐出部3より吐出されたストランド状の熱可塑性樹脂組成物を細断しペレット化する。なお、本発明の成形機は、吐出部から吐出後、直ちに細断するホットカットやアンダーウォーターカットなどによりペレット化してもよく、ストランド状には、短い状態のものも含む。本発明の成形機は、このような吐出部から吐出された熱可塑性樹脂組成物を細断しペレット化する細断部を有する成形機としてもよい。

【0052】
このペレット成形機10により熱可塑性樹脂組成物をペレット化することで得られる樹脂ペレットは、後述する射出成形工程に用いられる。

【0053】
[押し出し条件]
ペレット成形機では、複合樹脂組成物やリサイクル樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物の種類やそのペレット成形機の押出し圧力などに応じて、単位時間の押出し量が所定の範囲で制御されることが好ましい。この押出し量に基づいて、樹脂溜り部として接続する配管の容積を所定の範囲としてせん断応力を解消する大きさに調整する。このせん断応力を解消する大きさは、具体的には、滞留時間を、5~600秒とすることが好ましい。

【0054】
また、ペレット成形機はその滞留時間を達成する容積となる樹脂溜り部を有するものとすることができる。この滞留時間は、押出し量/樹脂溜り部の容積から求められる。なお、この滞留時間は、溶融混練部に相当するスクリューが設けられる長さから求めても良く、吐出部までの配管に対してスクリューが短くされている場合、スクリューが設けられている位置までは配管との間に大きなせん断がかかるため溶融混練部とみなす。一方、スクリューがない配管内ではスクリューによりかかったせん断が解消するため、この体積部分を、樹脂溜り部とみなしてその滞留時間等を管理することもできる。

【0055】
この滞留時間はより好ましくは、30秒以上、さらに好ましくは、60秒以上である。滞留時間を長くするほど、せん断履歴による成形履歴を解消することができ、より初期物性が維持された樹脂組成物を得ることができる。一方、その上限は好ましくは300秒以下や、240秒以下である。滞留時間を長くしてせん断履歴による成形履歴の解消による効果は、一定以上からその変化量が少なくなるため、装置の設計上、一定以上長くする必要性は低い。そして、この滞留時間を容積として設計するときは、そのペレット成形機の最大押出し量に基づいて最小滞留時間を達成できるように設計することができる。または、実質的には、樹脂溜り部として取り付ける配管の長さで滞留時間の制御をできるためその長さを運転条件に併せて適宜取り換えることができる設計として管理しても良い。なお、このペレット化工程は、特開2017-148997号公報の熱可塑性樹脂組成物の成形方法等を適宜参照して実施することができる。

【0056】
ペレット化工程の温度は、バージン樹脂の標準射出成形温度の±50℃以内や、±40℃以内のような範囲で適宜設定してもよい。ペレット化工程の温度は、後述する射出成形工程におけるバージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度よりも高い温度であることが好ましく、標準射出成形温度+10℃以上であることが好ましい。このような温度でペレット化することで、射出成形して得られるリサイクル樹脂組成物等の複合樹脂組成物等の成形品の物性がより向上する。これは、リサイクル樹脂組成物等の複合樹脂組成物等にかかるせん断がより解消しやすいためと考えられる。このペレット化工程の温度は、樹脂溜り部の設定温度である。溶融混練部の設定温度は、樹脂溜り部と同じ温度としてもよいし、供給口側から樹脂溜り部側へ段階的に昇温するものなどに適宜設定してもよい。このペレット化工程の温度は、せん断が解消しやすいように標準射出成形温度+20℃以上がより好ましい。一方、温度が高すぎると、樹脂が劣化するおそれもあるため、標準射出成形温度+60℃以下が好ましく、標準射出成形温度+50℃以下がより好ましい。

【0057】
このように、ペレット成形機10を用いて、リサイクル樹脂組成物等の複合樹脂組成物等をペレット成形機10の供給口1に供給し、溶融混練部2で溶融混練させ、樹脂溜り部5で滞留させ、吐出部3からストランド状に吐出させ、ペレタイザー4で細断することでペレット化させることで、本発明の製造方法のペレット化工程を行うことができる。

【0058】
[射出成形工程]
本発明の製造方法は、ペレット化工程でペレット化された樹脂ペレットを、射出成形機で成形する射出成形工程であり、射出成形機によるバージン樹脂のペレットに対する標準射出成形速度よりも遅い射出成形速度で、樹脂ペレットを成形する射出成形工程を有するものとすることができる。この射出成形により、従来の複合樹脂組成物などの熱可塑性樹脂組成物の成形品よりも優れた物性の成形品を得ることができる。特に、本発明の第二の製造方法では、射出成形機によるバージン樹脂のペレットに対する標準射出成形速度よりも遅い射出成形速度で、樹脂ペレットを成形する射出成形工程が有効である。

【0059】
[バージン樹脂]
本発明の製造方法は、射出成形工程等において、バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形条件等と比較してその製造の工程を設定等行う。このバージン樹脂のペレットは、複合樹脂組成物の組成において第一の熱可塑性樹脂を用いる。例えば、複合樹脂組成物の一例としてリサイクル樹脂組成物を例にして説明する。リサイクル樹脂組成物の主たる成分である第一の熱可塑性樹脂がポリプロピレンの場合、ポリプロピレン樹脂ペレットをバージン樹脂のペレットとして用いる。また、リサイクル樹脂組成物の主たる成分がポリエチレンの場合、ポリエチレン樹脂ペレットをバージン樹脂のペレットとして用いる。バージン樹脂のペレットは、実質的にその第一の熱可塑性樹脂からなることが好ましい。ペレットは一部不純物等を含む場合もあるため、バージン樹脂のペレットにおいて、第一の熱可塑性樹脂組成物の濃度は、例えば98質量%以上や、99質量%以上、99.5質量%以上のような範囲からその樹脂として適した仕様のものを用いることができる。なお、リサイクル樹脂組成物の主たる成分は、リサイクル樹脂組成物において占める割合が最も多い成分である。リサイクル樹脂組成物において主たる成分が占める割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上を占める成分である。

【0060】
[標準射出成形速度]
射出成形においては、スクリュー回転数(rpm)や射出成形速度(mm/s)が成形条件の重要な設定項目とされる。この射出成形速度は、速すぎると溶融樹脂内にエアーを巻き込んでしまいガスが発生しやすくなったりバリやジェッティングなどが生じたり、遅すぎると十分な混練ができず材料品質がばらついたり、充填不良が生じたりなどの問題が生じる。このため、各樹脂や成形装置に応じた、成形に適した成形条件が検討され、樹脂などに応じて好適な条件である標準射出成形速度が把握されている。本発明においては、バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形速度を基準として、複合樹脂組成物の成形条件を設定する。例えば、バージン樹脂のペレットに対する射出成形速度が50~70mm/sが成形に適した成形条件のように、標準射出成形速度の範囲に幅がある場合、その範囲の中央値を標準射出成形速度の代表値(例えば60mm/s)として本発明の製造方法を設定することもできる。

【0061】
[射出成形速度]
本発明の製造方法は、標準射出成形速度よりも遅い射出成形速度で射出成形する。標準射出成形速度よりも遅い場合、通常十分な溶融ができず材料品質がばらついたり、充填不良が生じたりといった問題が懸念されるが、意外にも本発明に係るペレット化工程によりペレット化されたリサイクル樹脂ペレット等の複合樹脂組成物のペレットに対しては遅い射出成形速度でも品質のばらつきを抑えることができ、むしろ引張伸度などの機械特性は向上することが判明した。
この射出成形速度が、標準射出成形速度の30%~70%の速度であることが好ましい。この標準射出成形速度に対する、本発明の複合樹脂組成物の射出成形速度の比率は、標準射出成形速度の代表値に基づいて設定することができる。例えば、標準射出成形速度の代表値が60mm/sの場合、18mm/s(30%の速度)~42mm/s(70%の速度)とすることができる。この速度は、標準射出成形速度の35%以上がより好ましく、40%以上がさらに好ましく、45%以上が特に好ましい。また、標準射出成形速度の65%以下がより好ましく、60%以下がさらに好ましく、55%以下が特に好ましい。より好適な範囲とするほど、複合樹脂組成物を用いた成形において伸度などが向上しやすい。

【0062】
[射出成形温度]
本発明の複合樹脂組成物の射出成形工程の温度は、バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度±20℃以内であることが好ましい。また、この温度は、バージン樹脂のペレットに対する標準射出成形温度±10℃以内であることがより好ましい。この温度は射出成形機のスクリュー部の設定温度で管理することができる。射出成形においては、温度が低すぎると、樹脂の流動性が低すぎて充填不良が生じたり、圧力が高くなり過ぎて装置負荷が大きすぎる。温度が高すぎると、樹脂の流動性が高くなり過ぎて、圧力がかからず充填不良が生じたり成形加工中に樹脂が劣化して着色したりする場合がある。このため、樹脂に適した適正温度を参照したりしながら、樹脂や装置、成形形状に応じた成形温度も標準化される。バージン樹脂のペレットにおいて標準化された温度を標準射出成形温度として、本発明の複合樹脂組成物の射出成形工程の温度を設定することができる。なお、標準射出成形温度に幅がある場合、その範囲の中央値を標準射出成形温度の代表値として、その温度に対して±10℃以内とすることが好ましい。

【0063】
本発明の製造方法により射出成形する成形品の形状は、射出成形に適した成形品の各種形状とすることができる。本発明によれば、バージン樹脂のペレットを用いた射出成形品との物性を比較すると、リサイクル品などの複合樹脂組成物を用いた成形品で最も劣るとされている破断伸度をほぼ同程度とすることができる。またアイゾット衝撃強さはリサイクル品等の複合樹脂組成物の方が良好であり、総じて非常に良好な成形品を作りだすことが可能である。

【0064】
[射出成形品]
本発明のリサイクル樹脂組成物の射出成形品は、伸度が300%以上である、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有する。この成形品は、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有するにもかかわらず、特にリサイクル樹脂を用いるときに低下しやすい伸度も高く、広範な用途に利用しやすい。なお、本発明のリサイクル樹脂組成物の成形品は、本発明の複合樹脂組成物の成形品の製造方法により製造することができ、対応する構成を援用してそれぞれの発明を実施することができる。

【0065】
成形品の伸度は、JIS規格の引張試験 K7161に準じて、試験片寸法は厚さ4mm、幅10mmの試験片としたときの伸度とすることができる。この試験片について、引張り速度:50mm/minとして引張試験によって得られた結果を用いて、応力-ひずみ曲線(S-S曲線)を作製し、求めた破断伸度を求めることができる。この伸度は、「ΔL(引張試験の破断するまでの変位量(mm))/L(試験片の長さ(mm))×100(%)」から求められる。例えば、引張試験部分の長さ(L)が50mmの試験片を、50mm引っ張った長さ(ΔL)で破断する場合、伸度は100%である。

【0066】
伸度は、300%以上が好ましく、340%以上がより好ましい。この伸度のリサイクル樹脂組成物の成形品は、ポリプロピレンを主たる成分として含む、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有するリサイクル樹脂組成物を用いた成形品として達成することが好ましい。通常ポリプロピレンのバージン樹脂の伸度でも360%程度のため、同等の破断伸度である。

【0067】
また、本発明のリサイクル樹脂組成物の成形品は、アイゾッド衝撃強さが、3.5kJ/m2以上であることが好ましく、3.8kJ/m2以上であることが好ましく、4.0kJ/m2以上であることが特に好ましい。アイゾッド衝撃強さが高いほど、衝撃に強い成形品である。このアイゾッド衝撃強さのリサイクル樹脂組成物の成形品は、ポリプロピレンを主たる成分として含む、リサイクル樹脂由来のポリオレフィン系樹脂を含有するリサイクル樹脂組成物を用いた成形品として達成することが好ましい。通常ポリプロピレンのバージン樹脂の伸度でも2.8kJ/m2程度のため、本発明のリサイクル樹脂組成物の成形品の方が優れている。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0069】
[評価項目]
[引張試験]
株式会社東京試験機SHIMADZU製“AG-Xplus 100KN”を用いて、引張試験を行った。引張試験によって得られた結果を用いて、応力-ひずみ曲線(S-S曲線)を作製し、破断伸度を求めた。後述する試験片の成形により得られた厚さ4mm、幅10mmを試験片とした。なお、引張り速度:50mm/minとした。
【実施例】
【0070】
[アイゾッド衝撃強さ]
アイゾット衝撃試験はJIS K7110に従って、評価を行った。「TOYOSEIKI DG-UB」を用いて、ハンマーは2.75Jを使用した。
【実施例】
【0071】
[射出成形]
引張試験用の成形品:東洋機械金属株式会社製 プラスチック射出成形機“SI-80V”を用いて射出成形し、JIS規格の引張試験 K7161に準じて、試験片寸法は厚さ4mm、幅10mmの射出成形品の形状とした。(図3参照 幅(b1):10mm、L0:50mm)
アイゾッド衝撃強さ試験用の成形品:東洋機械金属(株)製 プラスチック射出成形機“SI-80V”を用いて射出成形し、図4に示す形状の射出成形品の形状とした。(図4において、L:80mm、b:4mm、h:10mm、hv:8mm)
【実施例】
【0072】
[実験装置]
・押出機
東芝機械株式会社製の二軸混練押出機「TEM-35B」を用いて溶融し、ペレット作製を行った。
【実施例】
【0073】
・樹脂溜り部(先細り形状型)
押出機の押出しスクリュー内蔵部を溶融混練部(図1における溶融混練部2)とし、吐出部(図1における吐出部3)との間に、溶融混練部から、吐出部に向けて先細り形状の配管を樹脂溜り部(図1における樹脂溜り部5)として設けた。
開口部511における短径5111が約37.2mm、長径5112が約67mmである。また、開口部512における短径5211が約10mm、長径5212が約50mmである。開口部511の面積A1と、開口部521の面積A2の比(A2/A1)は、20%である。
第一の接続部51から、第二の接続部52までの長さ(L1)は、150mmである。
よって、開口部511から、開口部521に向けて、約0.53%/mmで、その開口部の面積(樹脂の流路の断面積)が減少するものとした。
【実施例】
【0074】
・樹脂溜り部(直管型)
押出機の押出しスクリュー内蔵部を溶融混練部(図1における溶融混練部2)とし、吐出部(図1における吐出部3)との間に、溶融混練部の配管断面と同形状の直管型の配管を樹脂溜り部として設けた。
【実施例】
【0075】
・ペレタイザー
前記押出機の吐出部から吐出されたストランドを約5mmの長さのペレット状に細断するペレタイザー(図1におけるペレタイザー4)を設けた。なお、氷冷装置を設けて氷冷する場合、この氷冷装置の後にペレタイザーは並び替えて運転した。
【実施例】
【0076】
[原料]
・複合樹脂組成物(1):ポリプロピレン樹脂組成物として、JM-370S(LOTTE)1質量部、J-750HP(Prime Polypro(登録商標))1質量部、JH-370A(LOTTE)1質量部の比率で混合した。これに、炭酸カルシウムをその濃度が12質量%となるように混合し溶融混錬したペレットを、複合樹脂組成物(1)とした。
・VPP:プライムポリマー社「プライムポリプロ(登録商標) J700GP」
・HRC:ISO18263-1でのPP-MPO(PPの成分比は60~85%。)に相当するリサイクル樹脂ペレット(広島リサイクルセンター社製)。不純物としてポリスチレンや、溶媒に不溶な無機物等を樹脂全体の約8質量%含有。
【実施例】
【0077】
[製造例A1、比較例A1、参考例A1]
樹脂溜り部として、先細り形状型と、直管型のものをそれぞれ用いたときの複合樹脂組成物(1)の成形条件を検討した。
[実験条件]
・温度:溶融混練部および樹脂溜り部、吐出部の温度を210℃に調整した。
・押出し量:スクリュー回転数100rpmに調整した。
なお、スクリュー回転数100rpmのときの押出し量は、フィーダーの供給量が律速となり、0.12kg/minである。
・引取速度:引取速度は、90rpmとした。
・樹脂溜り部(先細り形状型):前述した実験装置の二軸押出しスクリューが内蔵される溶融混練部の出側と同形状の断面積を第一の接続部側に有し、吐出部の入り側と同形状の断面積を第二の接続部側に有し、長さ150mmの押し出し方向に先細り形状を有する配管を、樹脂溜り部(直管型)として、溶融混練部および吐出部の間に設けた。なお、この配管(樹脂溜り部)の温度も、210℃に調整した。樹脂溜り部の滞留時間は、およそ108秒である。
・樹脂溜り部(直管型):直管型の樹脂溜り部は、溶融混練部の出側と同形状の断面積を第一の接続部側に有し、長さ125mmの直管状の配管を、樹脂溜り部として、溶融混練部および吐出部の間に設けた。
【実施例】
【0078】
前述した実験装置、原料および実験条件に基づいて、以下のペレット化を行った後、射出成形を行った。射出成形は、射出成形温度210℃、スクリュー回転数100rpm、射出成形速度90rpmとした。
[比較例A1]
複合樹脂組成物(1)を、そのまま射出成形した。
[参考例A1]
樹脂溜り部(直管型)を用いて複合樹脂組成物(1)のペレット化を行い、その後、射出成形した。
[製造例A1]
樹脂溜り部(先細り形状型)を用いて複合樹脂組成物(1)のペレット化を行い、その後、射出成形した。
【実施例】
【0079】
製造例A1、比較例A1、参考例A1の、シートの引張試験結果を、図5に示す。引張強度は、いずれも約26N/mm2であった。また、アイゾッド衝撃強さは、いずれも約5.5kJ/m2であった。引張伸度は、比較例A1<参考例A1<製造例A1の順に大きくなり、樹脂溜り部を設けることで引張伸度が向上し、特に先細り形状の樹脂溜り部を用いることで、引張伸度が非常に優れたものとなることが確認された。
【実施例】
【0080】
[製造例B1~B4、比較例B1、参考例B1]
樹脂溜り部として、直管型のものを用いて、リサイクル樹脂組成物(HRC)を中心に、製造条件の検討を行った。
【実施例】
【0081】
[実験条件]
・温度:溶融混練部および吐出部の温度を共に200℃、230℃に適宜調整した。なお、この温度を押出温度とする。
・押出し量:スクリュー回転数100rpmに適宜調整した。
なお、スクリュー回転数100rpmのときの押出し量は、フィーダーの供給量が律速となり、0.12kg/minである。
・樹脂溜り部(直管型):前述した実験装置の二軸押出しスクリューが内蔵される溶融混練部と同形状の断面積(約2202mm2)を有し、長さ125mmの直管状の配管を、樹脂溜り部として、溶融混練部および吐出部の間に設けた。なお、この配管(樹脂溜り部)の温度も、溶融混練部および吐出部と同じ温度になるように調整した。
【実施例】
【0082】
前述した実験装置、原料および実験条件に基づいて、以下のペレット化や射出成形を行った。各試験条件の成形条件を表1に示す。ペレット化工程を有する製造例における滞留時間は、前記押出し量、前記樹脂溜り部の容積から、約138秒である。
【実施例】
【0083】
【表1】
JP2020128032A_000003t.gif
【実施例】
【0084】
[試験結果]
参考例B1は、バージン樹脂(VPP)を射出成形したものであり、この射出成形結果から見出された標準射出成形条件で製造したものである。
比較例B1は、ペレット化工程を行うことなく、参考例B1と共通する射出成形条件で成形したものである。一般的にバージン樹脂の射出成形条件と同じ条件で成形品を製造すると伸度が低下する等の物性の低下が生じる。
製造例B1~B4は、比較例B1よりも伸度が向上した。特に、製造例B2は、参考例B1(バージン樹脂)に相当する伸度を有していた。
【実施例】
【0085】
参考例B1、比較例B1、製造例B1、B2の引張試験の応力-ひずみ曲線(S-S曲線)を図6に示す。また、参考例B1、比較例B1、製造例B2の引張試験後の試験片の像を、図7に示す。比較例B1の成形品は、引張試験で伸びが低く、破断して大きく損傷している。一方、製造例B2の成形品は、参考例B1のバージン樹脂の成形品に相当するような状態であった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明によれば、リサイクル樹脂組成物のような複合樹脂組成物等の熱可塑性樹脂組成物の物性を向上させることができる。また、リサイクル樹脂組成物等の複合樹脂組成物の成形品を多様化することができ、産業上有用である。
【符号の説明】
【0087】
1 供給口
10 ペレット成形機
2 溶融混練部
21 シリンダ
22 スクリュー
3 吐出部
4 ペレタイザー
5 樹脂溜り部
51 第一の接続部
52 第二の接続部
6 コンテナ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6