TOP > 国内特許検索 > マイクロ・ナノバブルの製造方法 > 明細書

明細書 :マイクロ・ナノバブルの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-081972 (P2020-081972A)
公開日 令和2年6月4日(2020.6.4)
発明の名称または考案の名称 マイクロ・ナノバブルの製造方法
国際特許分類 B01F   3/04        (2006.01)
B01F  11/02        (2006.01)
FI B01F 3/04 Z
B01F 11/02
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2018-220598 (P2018-220598)
出願日 平成30年11月26日(2018.11.26)
発明者または考案者 【氏名】三島 健司
【氏名】相田 卓
【氏名】シャーミン タンジナ
【氏名】徳永 真一
出願人 【識別番号】598015084
【氏名又は名称】学校法人福岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100182084、【弁理士】、【氏名又は名称】中道 佳博
【識別番号】100207136、【弁理士】、【氏名又は名称】藤原 有希
審査請求 未請求
テーマコード 4G035
4G036
Fターム 4G035AB04
4G036AB22
要約 【課題】数nm~数十μmの平均粒子径(バブル径)を有するバブルを液体内で高濃度かつ略均一なサイズで得ることができる、マイクロ・ナノバブルの製造方法の提供。
【解決手段】(a)水120と高密度流体140とを加圧セル102内で接触させて二相体を得る工程、(b)該二相体に超音波を照射してミクロ相分離を誘起する工程、および(c)ミクロ相分離後の該二相体から高密度流体140を除去する工程を包含する、マイクロ・ナノバブルの製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
マイクロ・ナノバブルの製造方法であって、
(a)水と高密度流体とを加圧セル内で接触させて二相体を得る工程、
(b)該二相体に超音波を照射してミクロ相分離を誘起する工程、および
(c)ミクロ相分離後の該二相体から該高密度流体を除去する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記二相体を得る工程(a)が、前記水を含有する前記加圧セル内にガスシリンダーを通じて前記高密度流体を導入することにより行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ミクロ相分離を誘起する工程(b)が加圧下で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ミクロ相分離を誘起する工程(b)が、前記二相体に、3MPa~10MPaの圧力条件下にて、前記超音波を20KHzかつ500Wにて70秒間~250秒間照射することにより行われる、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記高密度流体を除去する工程(c)が、前記加圧セル内を減圧して前記高密度流体を分離することにより行われる、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記二相体を得る工程(a)、前記ミクロ相分離を誘起する工程(b)、および前記高密度流体を除去する工程(c)が、前記加圧セル内を15℃~30℃に調節することにより行われる、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記高密度流体が、二酸化炭素、窒素、および酸素からなる群から選択される少なくとも1種の流体である、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記マイクロ・ナノバブルが50μm以下の平均粒子径を有する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ・ナノバブルの製造方法に関し、より詳細には、高濃度かつ略均一なサイズのマイクロ・ナノバブルを得ることができる、マイクロ・ナノバブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水などの液体内で形成されるマイクロバブルやナノバブル(以下、これらを包括して「マイクロ・ナノバブル」という)は、近年、それを用いた工業的な応用や可能性について注目されており、種々の製造方法や製造装置が提案され、かつ開発されている。
【0003】
マイクロ・ナノバブルを用いた技術としては、例えば、洗浄・微生物培養などの分野においてすでに実用化がなされている。こうしたマイクロ・ナノバブルを工業的に利用するためには、高濃度バブルを安定的に製造する技術が所望されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、液体を貯蔵する液体貯蔵部と、液体貯蔵部から供給される液体を気体とともに撹拌剪断してナノバブルを生成する方法を開示している。特許文献1の方法によれば、撹拌剪断によってナノバブル自体の製造は可能であるが、液体内に含まれるナノバブルの濃度が低すぎるため、特に生体系で適用を考慮すると、十分な効果が検出されないことがあった。
【0005】
特許文献2は、高圧下にてマイクロバブルまたはナノバブルを製造するための方法を開示している。特許文献2の方法によれば、高圧水をノズルから噴射させ、それを壁に衝突させることにより当該バブルが生成される。しかし、このような方法では、所望のバブルを均質なものとして生成する確率が低く、工業的な応用は比較困難であるといわざるを得ない。
【0006】
特許文献3は、0.2MPa~2.5MPaの圧力下で加圧撹拌を行うことによって、マイクロ・ナノバブルを生成する技術について開示している。しかし、特許文献3に記載の技術では、高圧容器内において二相を混合する剪断力が小さいために、マイクロ・ナノバブル生成量が少なく、工業的な応用は比較的困難であるといわざるを得ない。
【0007】
非特許文献1は、ポンプ上流側に設置されたエジェクターにより自吸された気体が数気圧程度の吐出圧を有するポンプによって加圧容器内で高濃度溶解し、下流域に設置されたノズルで急減圧することによって、溶解気体をマイクロ・ナノバブルとして析出させる加圧溶解法などの技術を提案している。しかし、こうした加圧溶解法などの技術では、液中に溶解させる気体の量に限界がある。このため、高濃度のマイクロ・ナノバブルを生成することが困難であった。
【0008】
このように、マイクロ・ナノバブルの工業的な応用のニーズに対し、未だ高濃度かつ略均一なサイズのマイクロ・ナノバブルを安定的に製造する技術は十分に確立されているとは言えず、さらなる開発が所望されている。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2015-057951号公報
【特許文献2】特開2009-114059号公報
【特許文献3】特開2018-008230号公報
【0010】

【非特許文献1】柘植秀樹,「マイクロバブル・ナノバブルの基礎」,Bull. Soc.Sea Water Sci.,Jpn.,64,4-10(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記問題の解決を課題とし、その目的とするところは、高濃度かつ略均一なサイズであって、いわゆるマイクロバブルまたはナノバブルに相当する平均粒子径が数nm~数十μmの平均粒子径(バブル径)を有するバブルを液体内で得ることができる、マイクロ・ナノバブルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、マイクロ・ナノバブルの製造方法であって、
(a)水と高密度流体とを加圧セル内で接触させて二相体を得る工程、
(b)該二相体に超音波を照射してミクロ相分離を誘起する工程、および
(c)ミクロ相分離後の該二相体から該高密度流体を除去する工程、
を包含する、方法である。
【0013】
1つの実施形態では、上記二相体を得る工程(a)は、上記水を含有する上記加圧セル内にガスシリンダーを通じて上記高密度流体を導入することにより行われる。
【0014】
1つの実施形態では、上記ミクロ相分離を誘起する工程(b)は加圧下で行われる。
【0015】
1つの実施形態では、上記ミクロ相分離を誘起する工程(b)は、上記二相体に、3MPa~10MPaの圧力条件下にて、上記超音波を20KHzかつ500Wにて70秒間~250秒間照射することにより行われる。
【0016】
1つの実施形態では、上記高密度流体を除去する工程(c)は、上記加圧セル内を減圧して上記高密度流体を分離することにより行われる。
【0017】
1つの実施形態では、上記二相体を得る工程(a)、上記ミクロ相分離を誘起する工程(b)、および上記高密度流体を除去する工程(c)が上記加圧セル内を15℃~30℃に調節することにより行われる。
【0018】
1つの実施形態では、上記高密度流体は、二酸化炭素、窒素、および酸素からなる群から選択される少なくとの1種の流体である。
【0019】
1つの実施形態では、上記マイクロ・ナノバブルは50μm以下の平均粒子径を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高濃度かつ略均一なサイズを有するマイクロ・ナノバブルを安定的に製造することができる。これにより、マイクロ・ナノバブルの工業的利用が一層可能となる。本発明の方法によれば、マイクロ・ナノバブルを得るために特別な有機溶媒等を必要とするものではないため環境負荷に対する懸念も特に生じない。さらに、各工程が比較的単純であることから、マイクロ・ナノバブルを大量に製造することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の方法を用いてマイクロ・ナノバブルを製造することができる、マイクロ・ナノバブル製造装置の一例を説明するための模式図である。
【図2】実施例1および比較例1~3で作製した試料水に含まれるマイクロ・ナノバブル量(二酸化炭素量)を示すグラフである。
【図3】実施例1で作製した試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルを粒径測定機で測定した結果を示すグラフである。
【図4】実施例1で作製した試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルの個数を算出した結果を示すグラフである。
【図5】比較例1で作製した試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルを粒径測定機で測定した結果を示すグラフである。
【図6】比較例2で作製した試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルを粒径測定機で測定した結果を示すグラフである。
【図7】比較例3で作製した試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルを粒径測定機で測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明について詳述する。

【0023】
(マイクロ・ナノバブルの製造方法)
本発明においては、まず水と加圧流体とが加圧セル内で接触させられる。

【0024】
本発明に用いられる水は、超純水、純水、イオン交換水、水道水などであり、得られるマイクロ・ナノバブルの用途に応じて当業者によって任意に選択され得る。水はまた、得られるマイクロ・ナノバブルの濃度がサイズに影響を及ぼさない範囲において、必要に応じてメタノール、エタノールなどの低級アルコールを含有するものであってもよい。

【0025】
本発明に用いられる高密度流体は、加圧下において気体の状態を保持し得る物質であり、好ましくは、加圧(例えば、3~10MPa)下において上記水と接触しても気体の状態を保持し得る物質である。高密度流体は、超臨界流体または亜臨界流体であってもよい。

【0026】
超臨界流体は、この超臨界状態にある流体を指して言う。超臨界流体は、臨界点および臨界圧力を超えた高密度の流体であり、好ましくは200kg/m~900kg/mの密度を有し、好ましくは10-5Pa・秒~10-4Pa・秒の粘度を有し、好ましくは10-8/秒~10-7/秒の拡散係数を有し、および/または好ましくは10-3W/m・K~10-1W/m・Kの熱伝導度を有する、流体である。

【0027】
亜臨界流体は、超臨界流体の高温かつ高圧状態よりも幾分低い状態、具体的には、臨界温度より低い温度域で蒸気圧曲線より高い圧力で液体状態にある流体であり、好ましくは500kg/m~1100kg/mの密度を有し、好ましくは10-4Pa・秒~10-3Pa・秒の粘度を有し、好ましくは10-10/秒~10-9/秒の拡散係数を有し、および/または好ましくは0.08W/m・K~0.10W/m・Kの熱伝導度を有する流体である。

【0028】
このような高密度流体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、および酸素、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。

【0029】
高密度流体の使用量は、使用する水の重量100重量部に対して、好ましくは100重量部~140重量部、より好ましくは110重量部~130重量部である。高密度流体の使用量が100重量部を下回ると、水の中で、生成されるマイクロ・ナノバブルの量が低下し、マイクロ・ナノバルブを高濃度で含有する液体(以下、マイクロ・ナノバブル液ともいう)を得ることが困難となる場合がある。高密度流体の使用量が140重量部を上回ると、得られるマイクロ・ナノバルブ液中に含まれるマイクロ・ナノバブルの濃度が飽和して、それ以上の高濃度のマイクロ・ナノバブルを生成することが困難となる場合がある。

【0030】
上記水と高密度流体との接触は、加圧セル(例えば、密閉されかつ常圧よりも高圧となるように制御された容器)内で行われる。

【0031】
加圧セル内に設定される圧力は、使用する高密度流体の種類や性状(例えば、超臨界流体、亜臨界流体、またはその他の状態であるかどうか)によって当業者により適宜設定され得る。例えば、高密度流体として二酸化炭素の超臨界流体(超臨界二酸化炭素)が使用される場合、加圧セル内の圧力は、好ましくは30kg/cm~100kg/cm、より好ましくは60kg/cm~80kg/cmに設定される。加圧セル内の圧力がこのような範囲にあることにより、水と超臨界二酸化炭素(高密度流体)との二相体から後述の超音波照射によって、液相と気相との二相をより安定的に生成することができる。

【0032】
上記水と高密度流体との接触において、加圧セルはまた一定の温度に保持されていることが好ましい。当該加圧セルの温度は、好ましくは15℃(約288.15K)~30℃(約303.15K)、であり、より好ましくは20℃(約293.15K)~25℃(約298.15K)である。加圧セル内の温度がこのような範囲にあることにより、高密度流体が気相から変化することなく、水との溶解度をより一定に保つことができる。なお、本発明において、当該温度は、本発明の方法における一連の工程、すなわち、上記水と高密度流体との接触の工程に加えて、後述する超音波を照射する工程および高密度流体を除去する工程にわたって、上記範囲内に設定されていることが好ましい。

【0033】
上記水と高密度流体との接触にあたり、加圧セルへの高密度流体の導入は、好ましくはガスシリンダーを用いて行われる。ガスシリンダーを用いて高密度流体を導入することにより、例えば、加圧セル内に予め高密度流体を導入して水を後から添加するような場合と比較して、水と高密度流体との接触をより簡便に行うことができ、操作性を向上させることができる。

【0034】
このようにして、加圧セル内で上記水と高密度流体とが接触して二相体が作製される。

【0035】
本発明においては、次いでこの二相体に超音波が照射され、ミクロ相分離が誘起される。

【0036】
二相体への超音波の照射は、例えば、加圧セル内に予め導入された振動子を通じて、所定の超音波振動を二相体に伝播することにより行われる。高圧状態で高密度流体と水とを接触させた二相体の状態で、このような超音波振動が付与されると、水相と高密度流体相との間で微小ナノ界面のかく乱を生じ、水相内にマイクロ・ナノバブルを生成することができる。本発明で用いられる超音波は、例えば、周波数20kHz一定とした際に、好ましくは12.2μm~24.4μm、より好ましくは15.3μm~18.3μmの振幅を有する。

【0037】
超音波の照射は、例えば20KHz、500W、振幅18.3μmの超音波振動子を用いた場合、好ましくは75秒間~250秒間、より好ましくは150秒間~200秒間かけて上記二相体に照射される。あるいは、例えば、20KHz、500W、周波数15.3μmの超音波振動子を用いた場合、超音波の照射は、好ましくは75秒間~250秒間、より好ましくは150秒間~200秒間かけて上記二相体に照射される。超音波がこのような範囲で二相体に照射されることにより、水相と高密度流体相との間で微小ナノ界面を一層かく乱させ、ミクロ相分離を効果的に誘起させることができる。

【0038】
超音波の照射はまた、加圧下で行われることが好ましく、例えば3MPa~10MPa、好ましくは6MPa~8MPaの加圧下で行われる。超音波の照射の際、加圧セル内がこのような範囲の圧力に設定されていることにより、超音波照射時に、微小ナノ界面をかく乱することでミクロ相分離を誘起し、直径数nmから数十nmのマイクロバブルまたはナノバブルを効率良く生成することができる。

【0039】
その後、ミクロ相分離した二相体から該高密度流体が除去される。

【0040】
当該高密度流体の除去は、例えば加圧セル内を減圧して、ミクロ相分離した二相体から高密度流体が分離される。このような減圧は、例えば、加圧セルに設けられたバルブを開放し、加圧セル内の高密度流体をセルの外に排出することにより行われる。

【0041】
このようにして、マイクロ・ナノバブルが製造される。

【0042】
本発明により得られるマイクロ・ナノバブルは、水内にマイクロ・ナノバブルが高濃度かつ均一のサイズで分散した状態(すなわち、マイクロ・ナノバブル液またはマイクロ。バブル水)で得ることができる。このようにして得られたマイクロ・ナノバブルは、水内で例えば、50μm以下、好ましくは3nm以上50μm以下の平均粒子径を有する。マイクロ・ナノバブル液に含まれるマイクロ・ナノバブルの濃度は、例えば、高密度流体として二酸化炭素を用いた場合、好ましくは1000mg-CO/L~1600mg-CO/L、もしくは2.80×1020個-COバブル/L~2.90×1020個-COバブル/Lである。

【0043】
(マイクロ・ナノバブルの製造装置)
本発明において、マイクロ・ナノバブルは、図1に示すような装置を用いて製造することができる。

【0044】
図1は、本発明の方法を用いてマイクロ・ナノバブルを製造することができる、マイクロ・ナノバブル製造装置の一例を説明するための模式図である。

【0045】
図1に示す製造装置100は、耐圧性を有する加圧セル102と、当該加圧セル102を密封することができる蓋体104と、当該蓋体104を通じて加圧セル102内に挿入された超音波振動子106とを備える。加圧セル102には、図示しない加圧手段(例えば、電熱ヒータ)、温度センサ、および圧力センサが設けられていてもよい。

【0046】
蓋体104には、高密度流体を容器102に導入するための導入管110と、加圧セル102から高密度流体140を排出するための排出管112とが設けられており、これらにおける高密度流体140の導入および排出は、バルブ114および116の開閉を通じて行われる。

【0047】
マイクロ・ナノバブルの製造にあたり、まず加圧セル102に所定量の水120が添加され、蓋体104により当該加圧セル102が密封される。その後、バルブ116を開放した状態でバルブ114が開放され、導入管110を通じて加圧セル102内に高密度流体140がゆっくりと導入される。加圧セル102内の空気が高密度流体140と置換された後、バルブ114を開放した状態でバルブ116が閉じられる。これにより加圧セル102内は新たに導入される高密度流体によって加圧される。このようにして、加圧セル102内で水120と高密度流体140との二相体が加圧された状態で形成される。加圧セル102が所定の圧力に達した後、最終的にバルブ114が閉じられる。

【0048】
次いで、蓋体104に設けられた超音波振動子106から加圧セル102内の水120と高密度流体140との二相体に超音波が照射される。照射された超音波により、加圧セル102内の加圧セル102内の水120および高密度流体140は、図1の黒矢印にて示されるように加圧セル102内でかく乱され、その界面においてミクロ相分離が誘起される。

【0049】
その後、バルブ116が開放され、加圧セル102内は加圧状態から開放され、常圧に戻される。その後、加圧セル102から蓋体104が取り外され、加圧セル102内で生成したマイクロ・ナノバブルを含有するマイクロ・ナノバブル液が当業者に公知の手段を用いて取り出される。

【0050】
本発明の方法により得られたマイクロ・ナノバブルは、例えば、当該マイクロ・ナノバブルを含有するマイクロ・ナノバブル液の状態で、所望の用途に使用される。このような用途としては、例えば、食品、化粧品、医薬品、機械部品、電子部品などの工業製品の製造の際に使用される洗浄剤や、診断、治療などの医療分野で使用される血管造影剤、バイオテクノロジー研究において使用され得る微小気泡(例えば、炭酸麻酔剤)が挙げられる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
150mLの超音波振動ホーン内蔵型高圧セル(株式会社東洋高圧製)に超純水60mLを添加し、当該高圧セルに二酸化炭素を送液して、密閉した状態で高圧セル内の温度および圧力を298Kおよび約80kg/cmに保持した。
【実施例】
【0053】
次いで、高圧セルを密閉かつ加圧した状態で、超音波プロセッサ(Sonic and Materials製VC-505)から高圧セルに内蔵された振動ホーンを通じて、高圧セル内に超音波振動を20kHz,500Wで175秒間付与した。その後、高圧セル内の二酸化炭素ガスを排出することにより高圧セルを降圧して当該セル内を常圧に戻し、当該セル内に存在する試験水(マイクロ・ナノバブル水)を回収した。
【実施例】
【0054】
上記で得られた試験水に含まれる全炭素濃度(以下、TOC)を全有機体炭素測定装置(SHIMADZU製のTOC-V CSN)で測定し、得られた実測値を試験水二酸化炭素量に換算した。この換算にあたり、25℃の純水中に含まれる二酸化炭素の溶解度(0.53mg/L)を考慮して、当該溶解度を加えて算出した。得られた結果を図2に示す。
【実施例】
【0055】
また、上記で得られた試験水に含まれるマイクロ・ナノバブルの平均粒子径を、粒径測定機(株式会社マイクロトラック・ベル製Microtrac UPA 150)を用いて測定した。得られた結果を図3に示す。さらに、本実施例で得られた試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルの平均粒子径を表1に示す。さらに、上記で測定したTOC測定の結果と平均粒子径を用いて、試料水に含まれているマイクロ・ナノバブルの個数を算出した。得られた結果を図4に示す。
【実施例】
【0056】
(比較例1)
3000mLのビーカーに超純水1700mLを入れ、マイクロ・ナノバブル生成ノズル(加圧溶解方式+ナノノズル式)(株式会社安斉管鉄製UFBユニット)を超純水中に設置し、ポンプで超純水を循環させながら、15分間二酸化炭素を0.2MPaで送液することにより、試験水(マイクロ・ナノバブル水)を作製した。
【実施例】
【0057】
得られた試験水について、実施例1と同様にしてTOCを測定し、得られた実測値を試験水二酸化炭素量に換算した。得られた結果を図2に示す。さらに、上記で得られた試験水に含まれるマイクロ・ナノバブルの平均粒子径を、実施例1と同様にして測定した。得られた結果を図5に示す。さらに、本比較例で得られた試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルの平均粒子径を表1に示す。さらに、実施例1と同様にしてTOC測定の結果と平均粒子径を用いて、試料水に含まれているマイクロ・ナノバブルの個数を算出した。得られた結果を図3に示す。
【実施例】
【0058】
(比較例2)
500mLの高圧セル(株式会社AKICO製)に超純水60mLを添加し、当該高圧セルに二酸化炭素を送液して、密閉した状態で高圧セル内の温度および圧力を308Kおよび約80kg/cmに保持した。
【実施例】
【0059】
次いで、高圧セルを密閉かつ加圧した状態で、高圧セル内で撹拌翼を回転数500rpmで600秒間回転させた。その後、高圧セル内の二酸化炭素ガスを排出することにより高圧セルを降圧して当該セル内を常圧に戻し、当該セル内に存在する試験水(マイクロ・ナノバブル水)を回収した。
【実施例】
【0060】
得られた試験水について、実施例1と同様にしてTOCを測定し、得られた実測値を試験水二酸化炭素量に換算した。得られた結果を図2に示す。さらに、上記で得られた試験水に含まれるマイクロ・ナノバブルの平均粒子径を、実施例1と同様にして測定した。得られた結果を図6に示す。本比較例で得られた試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルの平均粒子径を表1に示す。さらに、実施例1と同様にしてTOC測定の結果と平均粒子径を用いて、試料水に含まれているマイクロ・ナノバブルの個数を算出した。得られた結果を図3に示す。
【実施例】
【0061】
(比較例3)
撹拌速度を500rpmから940rpmに変更したこと以外は、比較例2と同様にして試験水(マイクロ・ナノバブル水)を作製した。
【実施例】
【0062】
得られた試験水について、実施例1と同様にしてTOCを測定し、得られた実測値を試験水二酸化炭素量に換算した。得られた結果を図2に示す。さらに、上記で得られた試験水に含まれるマイクロ・ナノバブルの平均粒子径を、実施例1と同様にして測定した。得られた結果を図7に示す。本比較例で得られた試料水に含まれるマイクロ・ナノバブルの平均粒子径を表1に示す。さらに、実施例1と同様にしてTOC測定の結果と平均粒子径を用いて、試料水に含まれているマイクロ・ナノバブルの個数を算出した。得られた結果を図3に示す。
【実施例】
【0063】
【表1】
JP2020081972A_000003t.gif
【実施例】
【0064】
図2に示すように、実施例1で得られた試験水は、比較例1~3で得られた試験水と比較して、高濃度の二酸化炭素を含有していたことがわかる。特に、実施例1で得られた試験水は、従来法である比較例1の場合と比較して約596倍の二酸化炭素を含有し、そして比較例1~3の中で最も高い二酸化炭素量を有していた比較例3と比較しても、約2.40倍もの二酸化炭素を含有していたことがわかる。また、図3に示すように実施例1で得られた試験水は、比較例1~3で得られた試験水と比較して生成されたマイクロ・ナノバブルの個数も顕著に多いものであった。このことから、実施例1で得られた試験水は、高濃度の二酸化炭素を含有していたことがわかる。
【実施例】
【0065】
また、図4~7および表1から明らかなように、実施例1で得られた試験水では、粒径分布が小さくかつ最も平均粒子径が低いマイクロ・ナノバブルが作製されていたことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の方法により得られたマイクロ・ナノバブルは、食品分野、化粧品分野、医薬品分野、機械分野、電子分野等の種々の分野において有用である。
【符号の説明】
【0067】
100 マイクロ・ナノバブル製造装置
102 加圧セル
104 蓋体
106 超音波振動子
110 導入管
112 排出管
114,116 バルブ
120 水
140 高密度流体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6