TOP > 国内特許検索 > クロスカップリング体の製造方法及びテトラハロゲノ鉄塩 > 明細書

明細書 :クロスカップリング体の製造方法及びテトラハロゲノ鉄塩

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2018-203697 (P2018-203697A)
公開日 平成30年12月27日(2018.12.27)
発明の名称または考案の名称 クロスカップリング体の製造方法及びテトラハロゲノ鉄塩
国際特許分類 C07C   2/82        (2006.01)
C07C  13/28        (2006.01)
C07F  19/00        (2006.01)
B01J  31/30        (2006.01)
B01J  27/128       (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
C07F   9/54        (2006.01)
C07F  15/02        (2006.01)
FI C07C 2/82
C07C 13/28
C07F 19/00
B01J 31/30 Z
B01J 27/128 Z
C07B 61/00 300
C07F 9/54
C07F 15/02
請求項の数または発明の数 11
出願形態 OL
全頁数 17
出願番号 特願2017-114017 (P2017-114017)
出願日 平成29年6月9日(2017.6.9)
発明者または考案者 【氏名】山口 佳隆
【氏名】橋本 徹
出願人 【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000523、【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
4H006
4H039
4H050
Fターム 4G169AA02
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA36A
4G169BB08A
4G169BB08B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BD01B
4G169BD02B
4G169BD12A
4G169BD12B
4G169BD13A
4G169BD13B
4G169BD14A
4G169BD15A
4G169BD15B
4G169BE01A
4G169BE01B
4G169BE13B
4G169BE17A
4G169BE17B
4G169BE28A
4G169BE28B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169BE38A
4G169CB25
4G169CB66
4H006AA02
4H006AB80
4H006AC24
4H006BA19
4H006BB15
4H006BC19
4H039CA19
4H039CD20
4H050AA01
4H050AB40
4H050WB17
4H050WB21
要約 【課題】 ハロゲン化アルキルとアリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤との新規なクロスカップリング体の製造方法を提供する。
【解決手段】ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法であって、クロスカップリング反応の反応触媒として、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、及び、ハロゲン化鉄からなるテトラハロゲノ鉄塩を用いるクロスカップリング体の製造方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法であって、
前記クロスカップリング反応の反応触媒として、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、及び、ハロゲン化鉄からなるテトラハロゲノ鉄塩を用いるクロスカップリング体の製造方法。
【請求項2】
前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(1)で示される請求項1に記載のクロスカップリング体の製造方法。
【化1】
JP2018203697A_000035t.gif
(式(1)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項3】
前記式(1)のテトラハロゲノ鉄塩が、下記式(2)で製造される請求項2に記載のクロスカップリング体の製造方法。
【化2】
JP2018203697A_000036t.gif
(式(2)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。Xa1~Xa3、Xb、及びX1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項4】
前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(3)で示される請求項1に記載のクロスカップリング体の製造方法。
【化3】
JP2018203697A_000037t.gif
(式(3)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項5】
前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(21)で示される請求項1に記載のクロスカップリング体の製造方法。
【化4】
JP2018203697A_000038t.gif
(式(21)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項6】
前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(4)で示される請求項1に記載のクロスカップリング体の製造方法。
【化5】
JP2018203697A_000039t.gif
(式(4)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項7】
前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(5)で示される請求項1に記載のクロスカップリング体の製造方法。
【化6】
JP2018203697A_000040t.gif
(式(5)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項8】
前記式(5)のテトラハロゲノ鉄塩が、下記式(6)で製造される請求項7に記載のクロスカップリング体の製造方法。
【化7】
JP2018203697A_000041t.gif
(式(6)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。Xa1~Xa4及びX1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項9】
前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(7)で示される請求項1に記載のクロスカップリング体の製造方法。
【化8】
JP2018203697A_000042t.gif
(式(7)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【請求項10】
ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法における、前記クロスカップリング反応の反応触媒として用いられる下記式(8)で示されるテトラハロゲノ鉄塩。
【化9】
JP2018203697A_000043t.gif

【請求項11】
ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法における、前記クロスカップリング反応の反応触媒として用いられる下記式(22)で示されるテトラハロゲノ鉄塩。
【化10】
JP2018203697A_000044t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、クロスカップリング体の製造方法及びテトラハロゲノ鉄塩に関する。
【背景技術】
【0002】
クロスカップリング反応は、遷移金属触媒存在下、有機ハロゲン化物と有機金属反応剤を反応させて、新たな炭素-炭素結合を生成する反応の一つである。この反応では、希少金属元素であるパラジウムが触媒として主に用いられているが、2000年以降、元素戦略の観点から、代替金属として安価で毒性の低い鉄を触媒として用いた研究が盛んに行われている(非特許文献1)。
【0003】
例えば、塩化鉄(III)と多座アミン配位子から成る触媒系や、塩化鉄(II)-ジホスフィン錯体触媒は、ハロゲン化アルキルと各種金属反応剤とのクロスカップリング反応において高い触媒活性を示すことが報告されている。しかしながら、これらの反応では、過剰量のアミン配位子の添加と金属反応剤の滴下速度の精密制御を必要とすることや、鉄錯体が酸化されやすいなど改善の余地があり問題点が残されたままである(非特許文献2、3)。
【0004】
一方、Gaetnerらはイミダゾリウムカチオンをカウンターカチオンに持つ鉄塩錯体が、ハロゲン化アルキルとアリールグリニヤール反応剤とのクロスカップリング反応において高活性な触媒として機能することを報告している(非特許文献4)。
【先行技術文献】
【0005】

【非特許文献1】Guerinot, A.; Cossy, J.; Top. Curr. Chem. 2016, 374, 49(2016).
【非特許文献2】Nakamura, M.; Nakamura, E. et al, J. Am. Chem. Soc. 126, 3686(2004).
【非特許文献3】Nakamura, M. et al, Chem. Lett. 40, 1030(2011).
【非特許文献4】Bica, K.; Gaetner, P. Org. Lett. 8, 733(2006).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、イミダゾリウムカチオン以外のカウンターカチオンを持つ鉄塩錯体を用いたクロスカップリング反応や、鉄塩中のハロゲンの違いによる触媒活性の比較を行った報告例は非常に少なく、更なる研究・開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、このような背景のもと、オニウム塩とハロゲン化鉄(III)から容易に合成できる各種鉄塩錯体を合成し、これらを触媒とすることでハロゲン化アルキルとアリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とを用いた新規なクロスカップリング体の製造方法を提供することができることを見出した。
【0008】
本発明は一側面において、ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法であって、
前記クロスカップリング反応の反応触媒として、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、及び、ハロゲン化鉄からなるテトラハロゲノ鉄塩を用いるクロスカップリング体の製造方法である。
【0009】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は一実施形態において、前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(1)で示される。
【化1】
JP2018203697A_000002t.gif
(式(1)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【0010】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は別の一実施形態において、前記式(1)のテトラハロゲノ鉄塩が、下記式(2)で製造される。
【化2】
JP2018203697A_000003t.gif
(式(2)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。Xa1~Xa3、Xb、及びX1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【0011】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は更に別の一実施形態において、前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(3)で示される。
【化3】
JP2018203697A_000004t.gif
(式(3)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【0012】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は更に別の一実施形態において、前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(21)で示される。
【化4】
JP2018203697A_000005t.gif
(式(21)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【0013】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は更に別の一実施形態において、前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(4)で示される。
【化5】
JP2018203697A_000006t.gif
(式(4)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【0014】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は更に別の一実施形態において、前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(5)で示される。
【化6】
JP2018203697A_000007t.gif
(式(5)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【0015】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は更に別の一実施形態において、前記式(5)のテトラハロゲノ鉄塩が、下記式(6)で製造される。
【化7】
JP2018203697A_000008t.gif
(式(6)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。Xa1~Xa4及びX1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【0016】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は更に別の一実施形態において、前記テトラハロゲノ鉄塩が、下記式(7)で示される。
【化8】
JP2018203697A_000009t.gif
(式(7)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)
【0017】
本発明は別の一側面において、ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法における、前記クロスカップリング反応の反応触媒として用いられる下記式(8)で示されるテトラハロゲノ鉄塩である。
【化9】
JP2018203697A_000010t.gif

【0018】
本発明は別の一側面において、ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法における、前記クロスカップリング反応の反応触媒として用いられる下記式(22)で示されるテトラハロゲノ鉄塩である。
【化10】
JP2018203697A_000011t.gif

【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ハロゲン化アルキルとアリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤との新規なクロスカップリング体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のクロスカップリング体の製造方法は、ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法であって、クロスカップリング反応の触媒として、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、及び、ハロゲン化鉄からなるテトラハロゲノ鉄塩を用いるクロスカップリング体の製造方法である。本発明はこのように、クロスカップリング反応の触媒として、アンモニウム塩またはホスホニウム塩、及び、ハロゲン化鉄からなるテトラハロゲノ鉄塩を用いているが、当該テトラハロゲノ鉄塩は、ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する際に高活性な触媒として機能する。従って、当該クロスカップリング体を良好な収率で製造することができる。

【0021】
本発明で用いる亜鉛反応剤は、亜鉛の化合物であって、ハロゲン化アルキルとの間でクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造することができるものであれば、特に限定されない。

【0022】
本発明のクロスカップリング体の製造方法において用いるテトラハロゲノ鉄塩は、下記式(1)で示される構造を有していてもよい。
【化11】
JP2018203697A_000012t.gif
(式(1)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環であるX1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)

【0023】
また、本発明において、R1~R4が芳香環である場合、当該芳香環としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
また、本発明において、R1~R4が複素環である場合、当該複素環としては、ピリジル基、チエニル基、フリル基等が挙げられる。

【0024】
また、上記式(1)のテトラハロゲノ鉄塩は、下記式(2)で製造されるものであってもよい。
【化12】
JP2018203697A_000013t.gif
(式(2)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。Xa1~Xa3、Xb、及びX1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)

【0025】
本発明のクロスカップリング体の製造方法において用いるテトラハロゲノ鉄塩は、下記式(3)で示される構造を有していてもよい。
【化13】
JP2018203697A_000014t.gif
(式(3)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)

【0026】
本発明のクロスカップリング体の製造方法において用いるテトラハロゲノ鉄塩は、下記式(21)で示される構造を有していてもよい。
【化14】
JP2018203697A_000015t.gif
(式(21)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)

【0027】
本発明のクロスカップリング体の製造方法において用いるテトラハロゲノ鉄塩は、下記式(4)で示される構造を有していてもよい。
【化15】
JP2018203697A_000016t.gif
(式(4)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)

【0028】
本発明のクロスカップリング体の製造方法において用いるテトラハロゲノ鉄塩は、下記式(5)で示される構造を有していてもよい。
【化16】
JP2018203697A_000017t.gif
(式(5)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)

【0029】
また、上記式(5)のテトラハロゲノ鉄塩は、下記式(6)で製造されるものであってもよい。
【化17】
JP2018203697A_000018t.gif
(式(6)において、R1~R4は、それぞれ、H(水素)、C1からC8までのアルキル基、芳香環または複素環である。Xa1~Xa4及びX1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)

【0030】
本発明のクロスカップリング体の製造方法において用いるテトラハロゲノ鉄塩は、下記式(7)で示される構造を有していてもよい。
【化18】
JP2018203697A_000019t.gif
(式(7)において、X1~X4は、それぞれ、F、Cl、BrまたはIである。)

【0031】
本発明のテトラハロゲノ鉄塩は、一側面において、ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法における、クロスカップリング反応の反応触媒として用いられる下記式(8)で示されるテトラハロゲノ鉄塩である。
【化19】
JP2018203697A_000020t.gif

【0032】
本発明のテトラハロゲノ鉄塩は、別の一側面において、ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する方法における、クロスカップリング反応の反応触媒として用いられる下記式(22)で示されるテトラハロゲノ鉄塩である。
【化20】
JP2018203697A_000021t.gif

【0033】
上記式(8)及び式(22)で示されるテトラハロゲノ鉄塩は、それぞれ、ハロゲン化アルキルと、アリールグリニヤール反応剤または亜鉛反応剤とをクロスカップリング反応させてクロスカップリング体を製造する際に高活性な触媒として機能し、当該クロスカップリング反応の触媒として新規な化合物である。

【0034】
本発明に係るクロスカップリング体の製造方法及びテトラハロゲノ鉄塩は、医薬品、液晶表示装置、有機半導体等の素材等の化学合成に幅広く利用可能である。
【実施例】
【0035】
以下に、本発明を実施例でさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0036】
(実施例1)
・テトラハロゲノ鉄塩の合成
無水塩化鉄FeCl3(0.608g、3.74mmol)をシュレンクフラスコにとり、そこにBis(triphenylphosphoranylidene)ammonium chloride(以下[PPN]Clと略す、2.18g、3.80mmol)を加え、無水MeOH45mLを加えて室温で一晩撹拌した。減圧下で溶媒を留去することで得られた黄色の粉末をEt2Oで洗浄した後、真空乾燥を行った。続いて、得られた粉末をTHFに溶解しろ過した。得られた黄色溶液を用いてTHF/Et2O気液拡散法による再結晶を行うことで、黄色の結晶として鉄塩[PPN][FeCl4]を収率91%で得た(2.50g、3.40mmol)。得られた塩の一部を用いて単結晶X線構造解析を行うことで目的の塩の生成を確認した。
上記反応式を下記式(9)に示す。
【化21】
JP2018203697A_000022t.gif
【実施例】
【0037】
(実施例2)
・テトラハロゲノ鉄塩の合成
フッ化鉄3水和物FeF3・3H2O(0.164g、0.98mmol)をシュレンクフラスコにとり、無水MeOH10mLを加えた。そこにTetrabutyl ammonium fluoride(1.0M THF溶液、1.00mL、1.00mmol)を加え、室温で一晩撹拌した。減圧下で溶媒を留去することで得られた灰色の粉末をTHFで洗浄した後に真空乾燥を行うことで、茶色の結晶として鉄塩[ノルマル-Bu4N][FeF4]を収率84%で得た(0.307g、0.35mmol)。
上記反応式を下記式(10)に示す。
【化22】
JP2018203697A_000023t.gif
【実施例】
【0038】
(実施例3)
・テトラハロゲノ鉄塩の合成
無水臭化鉄FeBr3(0.311g、1.05mmol)をシュレンクフラスコにとり、そこにTetraphenylphosphonium bromide(0.417g、1.00mmol)を加え、無水MeOH15mLを加えて室温で一晩撹拌した。減圧下で溶媒を留去することで得られた茶色の粉末をEt2Oで洗浄した後、真空乾燥を行った。続いて、得られた粉末をTHFに溶解しろ過した。得られた溶液をTHF/ペンタン気液拡散法による再結晶を行うことで、茶色の結晶として鉄塩[Ph4P][FeBr4]を収率32%で得た(0.231g、0.32mmol)。その後、得られた塩の一部を用いて単結晶X線構造解析を行うことで目的の塩の生成を確認した。
上記反応式を下記式(11)に示す。
【化23】
JP2018203697A_000024t.gif
【実施例】
【0039】
(実施例4)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[PPN][FeCl4](0.0368g、0.050mmol)、CPME溶媒(10mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.1046g、0.67mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.1629g、1.00mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、1.20mL、1.20mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率94%で得られた。
上記反応式を下記式(12)に示す。
【化24】
JP2018203697A_000025t.gif
【実施例】
【0040】
(実施例5)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル-Bu4N][FeCl4](0.0219g、0.050mmol)、CPME溶媒(10mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.1041g、0.67mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.1662g、1.01mmol、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、1.20mL、1.2mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率91%で得られた。
上記反応式を下記式(13)に示す。
【化25】
JP2018203697A_000026t.gif
【実施例】
【0041】
(実施例6)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル-Bu4N][FeBr4](0.0160g、0.027mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.0521g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0858g、0.53mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率87%で得られた。
上記反応式を下記式(14)に示す。
【化26】
JP2018203697A_000027t.gif
【実施例】
【0042】
(実施例7)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル-Bu4N][FeF4](0.0095g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.0527g、0.34mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0821g、0.50mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率91%で得られた。
上記反応式を下記式(15)に示す。
【化27】
JP2018203697A_000028t.gif
【実施例】
【0043】
(実施例8)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル-Bu4N][FeCl3Br](0.0119g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.0513g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0815g、0.50mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率86%で得られた。
上記反応式を下記式(16)に示す。
【化28】
JP2018203697A_000029t.gif
【実施例】
【0044】
(実施例9)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル-Octyl4N][FeBr4](0.0211g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.0515g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0802g、0.49mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.6mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率52%で得られた。
上記反応式を下記式(17)に示す。
【化29】
JP2018203697A_000030t.gif
【実施例】
【0045】
(実施例10)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコにFeCl3(0.004g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.0520g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.080g、0.49mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率86%で得られた。
上記反応式を下記式(18)に示す。
【化30】
JP2018203697A_000031t.gif
【実施例】
【0046】
(実施例11)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[ノルマル-Bu4P][FeBr4](0.0160g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.0513g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0813g、0.50mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率86%で得られた。
上記反応式を下記式(19)に示す。
【化31】
JP2018203697A_000032t.gif
【実施例】
【0047】
(実施例12)
・クロスカップリング反応
窒素置換したシュレンクフラスコに[Ph4P][FeBr4](0.0181g、0.025mmol)、CPME溶媒(5mL)を加えた。これに内部標準としてノルマル-ウンデカン(0.0518g、0.33mmol)を加えた後、ブロモシクロヘキサン(0.0838g、0.51mmol)、フェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、0.60mL、0.60mmol)を加え、反応溶液を室温で1時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2O5を用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、ガスクロマトグラフィーにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率79%で得られた。
上記反応式を下記式(20)に示す。
【化32】
JP2018203697A_000033t.gif
【実施例】
【0048】
(実施例13)
窒素置換したシュレンクフラスコに[PPN][FeCl4](0.0372g、0.051mmol)、CPME溶媒(10mL)を加えた。これにブロモシクロヘキサン(0.163g、1.00mmol)、ZnCl2(0.211g、1.55mmol)とフェニルマグネシウムブロマイド(1.0M THF溶液、3.00mL、3.0mmol)から調製したジフェニル亜鉛溶液を加え、反応溶液を室温で24時間撹拌した。1N塩酸水溶液を加えることにより反応を終了した後、Et2Oを用いて抽出した。抽出した有機層をフロリジールで濾過し、内部標準としてピラジン(0.035g、0.440mmol)を加え、NMRにより収率を算出した。その結果、クロスカップリング体が収率38%で得られた。
上記反応式を下記式(23)に示す。
【化33】
JP2018203697A_000034t.gif
【実施例】
【0049】
(実施例14)
実施例1で作製したテトラハロゲノ鉄塩[PPN][FeCl4]を用いて、グリニヤール反応剤の基質適用範囲を検討した。
まず、ブロモシクロヘキサンとアリールグリニヤール反応剤とのクロスカップリング反応では、フェニルグリニヤール反応剤とパラ-トリルグリニヤール反応剤及びパラ-アニシルグリニヤール反応剤を用いた場合、カップリング生成物を良好な収率で与えた。オルト-トリルグリニヤール反応剤を用いた場合は、カップリング生成物の収率は中程度となった。