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明細書 :グルコサミン誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-052112 (P2019-052112A)
公開日 平成31年4月4日(2019.4.4)
発明の名称または考案の名称 グルコサミン誘導体
国際特許分類 C07H   5/06        (2006.01)
C08L  61/00        (2006.01)
C09J 199/00        (2006.01)
C07H  15/18        (2006.01)
FI C07H 5/06 CSP
C08L 61/00
C09J 199/00
C07H 15/18
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 26
出願番号 特願2017-177609 (P2017-177609)
出願日 平成29年9月15日(2017.9.15)
発明者または考案者 【氏名】網代 広治
【氏名】山谷 健太
出願人 【識別番号】504143441
【氏名又は名称】国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100124431、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 順也
【識別番号】100174160、【弁理士】、【氏名又は名称】水谷 馨也
【識別番号】100175651、【弁理士】、【氏名又は名称】迫田 恭子
審査請求 未請求
テーマコード 4C057
4J002
4J040
Fターム 4C057CC03
4J002GJ01
4J040BA011
4J040BA191
4J040BA241
4J040KA11
4J040KA12
4J040KA13
4J040KA23
4J040KA42
4J040MA05
4J040MA09
4J040MA10
4J040MA14
要約 【課題】生物資源由来構造を有し且つ複合的な機能を有する機能性物質として有用な新規物質の提供。
【解決手段】式(I)で示されるグルコサミン誘導体。
JP2019052112A_000029t.gif
(R1はH、水酸基の保護基又は水酸基の保護基以外の有機基;R2~R4は、夫々独立に且つR1とは異なるH又は水酸基の保護基;nは2~5の整数;R5は各々独立にH又はフェノール性水酸基の保護基)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I):
【化1】
JP2019052112A_000025t.gif
(式中、R1は水素、水酸基の保護基、又は水酸基の保護基以外の有機基を表し、R2、R3及びR4は、それぞれ同一又は異なっていてよく且ついずれもR1とは異なる水素又は水酸基の保護基を表し、OR5は、ベンゼン環の置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表し、nは2~5の整数を表し、R5はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表す。)で示されるグルコサミン誘導体。
【請求項2】
前記R1が下記式(II):
【化2】
JP2019052112A_000026t.gif
(式中、OR6は、ベンゼン環の置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表し、mは2~5の整数を表し、R6はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表す。)で示される有機基である、請求項1に記載のグルコサミン誘導体。
【請求項3】
前記OR5が、ベンゼン環の少なくとも3位及び4位の炭素に置換している、請求項1又は2に記載のグルコサミン誘導体。
【請求項4】
前記OR6が、ベンゼン環の少なくとも3位及び4位の炭素に置換している、請求項2又は3に記載のグルコサミン誘導体。
【請求項5】
下記式(I-1):
【化3】
JP2019052112A_000027t.gif
で示される、請求項1から4のいずれかに記載のグルコサミン誘導体。
【請求項6】
請求項2から5のいずれかに記載のグルコサミン誘導体を含む接着性組成物。
【請求項7】
下記式(III):
【化4】
JP2019052112A_000028t.gif
(式中、R2、R3及びR4は、それぞれ同一又は異なっていてよく且ついずれもR1とは異なる水素又は水酸基の保護基を表し、OR7は、ベンゼン環の置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表し、nは2~5の整数を表し、R7はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表し、sはグルコサミン誘導体の重合度を示す2以上の整数を表す。)で示されるグルコサミン誘導体のポリマーを含む接着性組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコサミン誘導体に関する。より具体的には、本発明は、二価以上のフェノール構造及びアミド基と不飽和結合とを導入することにより、向上された水素結合性と架橋性とを奏することができる機能性物質として有用なグルコサミン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
現代人は、日常生活において様々な工業製品の恩恵を受けている。そのような工業製品の多くは化成高分子を基本とするものであり、化成高分子のほとんどは石油原料を用いた合成品であり、その耐久性等の性能、並びに製造時の効率性及びコスト等に優れている。一方で、石油の大量消費による環境破壊や石油資源の枯渇といった問題が深刻化しており、石油原料に依存しない生物資源を原料とした機能性物質への変換が迫られている。
【0003】
生物原料として注目されているものとして、キトサンが挙げられる。キトサンはグルコサミンの重合物であり、加工が容易であることや、高分子電解質としての性質から、繊維、フィルム、再生医療素材、担体、吸着剤等への応用例が知られている。例えば、キトサンが有するアミノ基を介して光重合性基を導入することで得られる光硬化性キトサンが合成されており、その生体適合性を活かした組織接着材としての有用性が報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
また、海洋生物のイガイが岩礁に接着する機構にL-ドーパというアミノ酸残基が関与していることが見出されており、バイオミメティックの観点から、L-ドーパが有するカテコール構造の接着剤への応用性が報告されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0005】
さらに、カテコール基が保護された水溶性ポリマーを、光照射で保護を外すことにより接着剤として機能させる技術が知られている。ヒドロキシル基、アミノ基、及びO-ニトロベンジル基で保護されたカテコール基を有するポリマーに、光を照射すると、カテコール基の保護が外れてむき出しのカテコール基が生じることで、接着性のゲルになることが報告されている(例えば、非特許文献3参照)。当該報告において、O-ニトロベンジル基で保護されたカテコール基は、カテコール化合物にO-ニトロベンジルブロミドを反応させることによって得ている。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】International Journal of Biological Macromolecules, 2005, 6, 2385
【非特許文献2】Proceedings of the National Academy of Sciences, 2006, 103, 12999
【非特許文献3】ACS Macro Letters, 2013, 2 (2), pp 112-115
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光硬化性キトサンは、キトサンのグルコサミン構造が有する生体組織への親和性を利用した生体接着剤であり、その接着メカニズム上、接着対象は生体組織に限られる。一方、L-ドーパを応用した接着剤では、専らカテコール構造の特性のみを利用しており、接着剤としての特性には改善の余地がある。このように、生物資源を利用したこれまでの機能性材料は、当該生物資源が有する特性を単独で利用するにとどまっているため、発揮される機能は制限的であった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、生物資源由来構造を有し且つ複合的な機能を有する機能性物質として有用な新規物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、グルコサミン構造が、水素結合性や官能基変換性に富む水酸基と、安定なアミド結合を生成可能なアミノ基とを有していることに着目し、このようなグルコサミンの構造特性を利用するとともに、表面改質剤や接着剤といった用途に有用な機能性を付与できる分子設計を行った。その鋭意検討の結果、グルコサミンに、そのアミノ酸を介してカフェ酸またはその類似体を結合させることにより、二価以上のフェノール構造及び不飽和結合が安定的に導入され、界面相互作用性及び架橋性を付与できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて、さらに検討を重ねることによって完成したものである。
【0010】
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 下記式(I):
【化1】
JP2019052112A_000002t.gif
(式中、R1は水素、水酸基の保護基、又は水酸基の保護基以外の有機基を表し、R2、R3及びR4は、それぞれ同一又は異なっていてよく且ついずれもR1とは異なる水素又は水酸基の保護基を表し、OR5は、ベンゼン環の置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表し、nは2~5の整数を表し、R5はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表す。)で示されるグルコサミン誘導体。
項2. 前記R1が下記式(II):
【化2】
JP2019052112A_000003t.gif
(式中、OR6は、ベンゼン環の置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表し、mは2~5の整数を表し、R6はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表す。)で示される有機基である、項1に記載のグルコサミン誘導体。
項3. 前記OR5が、ベンゼン環の少なくとも3位及び4位の炭素に置換している、項1又は2に記載のグルコサミン誘導体。
項4. 前記OR6が、ベンゼン環の少なくとも3位及び4位の炭素に置換している、項2又は3に記載のグルコサミン誘導体。
項5. 下記式(I-1):
【化3】
JP2019052112A_000004t.gif
で示される、項1から4のいずれかに記載のグルコサミン誘導体。
項6. 項2から5のいずれかに記載のグルコサミン誘導体を含む接着性組成物。
項7. 下記式(III):
【化4】
JP2019052112A_000005t.gif
(式中、R2、R3及びR4は、それぞれ同一又は異なっていてよく且ついずれもR1とは異なる水素又は水酸基の保護基を表し、OR7は、ベンゼン環の置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表し、nは2~5の整数を表し、R7はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表し、sはグルコサミン誘導体の重合度を示す2以上の整数を表す。)で示されるグルコサミン誘導体のポリマーを含む接着性組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、生物資源由来構造を有し且つ複合的な機能を有する機能性物質として有用な新規物質が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における化合物Gの1H NMRスペクトルである。
【図2】実施例1における化合物GのMASS ESIスペクトルである。
【図3】実施例1における化合物GのFT-IRスペクトルである。
【図4】実施例2における化合物Hの1H NMRスペクトルである。
【図5】実施例2における化合物HのMASS ESIスペクトルである。
【図6】実施例2における化合物HのFT-IRスペクトルである。
【図7】実施例3において、化合物Gの光二量化反応に供した場合のUV vis測定結果(a)、及び実施例4において、化合物Hを光二量化反応に供した場合のUV vis測定結果(b)である。
【図8】実施例4及び5において、それぞれのモノマー濃度で化合物Hを光二量化反応に供して得られた生成物のGPC測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[1.機能性グルコサミン誘導体]
本発明のグルコサミン誘導体は、グルコサミンを基本構造とし、これに二価以上のフェノール構造及びアミド基と不飽和結合とが導入された誘導体である。これによって、本発明のグルコサミン誘導体は、向上された水素結合性及び架橋性といった機能性を奏することができる機能性物質として有用となる。本発明のグルコサミン誘導体は、当該水素結合性を生じさせる水酸基の一部又は全部が保護されている態様も含むが、上述の機能性を奏することができる機能性物質として有用たりえるグルコサミン誘導体であるとして、機能性グルコサミン誘導体と記載される場合がある。

【0014】
本発明のグルコサミン誘導体は、式(I)に示すように、グルコサミンの2位炭素に結合しているアミノ基を介してヒドロキシ経皮酸が脱水結合した構造(但し、後述のとおり水酸基は適宜保護基等を有しうる)を有する。

【0015】
【化5】
JP2019052112A_000006t.gif

【0016】
式(I)中、R1は、グルコサミン骨格の5位の炭素に結合したメチレンオキシ基を介して結合する基であり、具体的には、水素、水酸基の保護基、又は水酸基の保護基以外の有機基を表す。

【0017】
本明細書において、水酸基の保護基は、一般的に水酸基の保護基として用いられる基であり、合成反応の際に、例えば水酸基が反応を阻害する場合、水酸基自身が反応する場合、及び化合物の水溶性を下げる必要がある場合等において、一時的に水酸基を不活性な構造に誘導して保護することが可能な基である。水酸基の保護基としては、通常、炭素数1~25、好ましくは1~20の有機基が挙げられる。

【0018】
1が水酸基の保護基である場合、水酸基の保護基としては、例えば、エーテル系保護基、トリチル系保護基、シリル系保護基、アシル系保護基、アセタール系保護基等が挙げられる。エーテル系保護基としては、メチル基、メトキシメチル基、エチル基、t-ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、ベンズヒドリル基等が挙げられる。トリチル系保護基としては、ジメトキシトリチル基、メトキシトリチル基、トリチル基等が挙げられる。シリル系保護基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。アシル系保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、ピバロイル基等が挙げられる。アセタール系保護基としては、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基等が挙げられる。この中でも、水酸基の保護基としてのR1の好ましい例として、トリチル系保護基(ジメトキシトリチル基、メトキシトリチル基、トリチル基等)及びシリル系保護基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等)が挙げられ、より好ましくは、シリル系保護基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等;さらに好ましくはt-ブチルジフェニルシリル基等)が挙げられる。

【0019】
1が水素である場合、機能性グルコサミン誘導体は、グルコサミン骨格の5位の炭素にメチレン基を介して水酸基が結合した態様となる。この場合、グルコサミン骨格の他の部位(1位、3位及び4位炭素)における水酸基は保護されているため、選択的に当該5位炭素における水酸基を介して他の任意の基(具体的には水酸基の保護基以外の有機基)を結合させることができる。

【0020】
1が水酸基の保護基以外の有機基である場合、当該有機基としては特に限定されない。例えば、当該有機基として、機能性グルコサミン誘導体に付与する機能性(例えば水素結合性及び/又は架橋性等)等を考慮して、当業者が適宜選択することができる。当該有機基の具体例については後述する。

【0021】
式(I)中、R2、R3及びR4は、それぞれグルコサミン骨格の4位、3位及び1位の炭素に結合した酸素を介して結合する基である。R2、R3及びR4は、それぞれ同一又は異なっていてよい。つまり、R2、R3及びR4が全て同一であってもよいし、少なくともいずれかが異なっていてもよい。好ましくは、R2、R3及びR4が全て同一である。但し、R2、R3及びR4としては、上述のR1とは異なる基が設計される。

【0022】
2、R3及びR4は、具体的には水素又は水酸基の保護基を表す。R2、R3及びR4が水素である場合、機能性グルコサミン誘導体は、グルコサミン骨格の4位、3位及び1位の炭素に水酸基が結合した態様となる。また、R2、R3及びR4が水酸基の保護基である場合は、使用に際して当該保護基が外されることで水酸基が生じ同様の態様となる。これらの態様においては、機能性グルコサミン誘導体、又は当該機能性グルコサミン誘導体の重合体の水溶性が確保されるとともに、機能性グルコサミン誘導体、又は当該機能性グルコサミン誘導体の重合体が所定の界面に接触させられた時に、当該界面に対し水素結合による相互作用を生じさせることができる。上述の水溶性が確保されることは、本発明のグルコサミン誘導体又はその重合体を水性組成物(例えば水性接着性樹脂組成物等の水性塗料組成物)として安定的に調製することができる点、無溶媒組成物(例えば無溶媒接着性組成物等の無溶媒塗料組成物)として調製した場合であっても当該組成物を湿潤条件下でも使用可能にできる点等で有用である。また、上述の界面に対し水素結合による相互作用を生じさせることは、本発明のグルコサミン誘導体又はその重合体を接着性組成物として調製する場合に有用である。さらに、界面に対して生じさせる相互作用は、後述するように機能性グルコサミン誘導体の他の部位における別の水素結合による相互作用と相まって、当該接着性組成物の接着性に対して複合的な寄与を果たすこともできる。

【0023】
2、R3及びR4の少なくともいずれかが水酸基の保護基である場合、水酸基の保護基としては、例えば、エーテル系保護基、トリチル系保護基、シリル系保護基、アシル系保護基、アセタール系保護基等が挙げられる。エーテル系保護基としては、メチル基、メトキシメチル基、エチル基、t-ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、ベンズヒドリル基等が挙げられる。トリチル系保護基としては、ジメトキシトリチル基、メトキシトリチル基、トリチル基等が挙げられる。シリル系保護基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。アシル系保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、ピバロイル基等が挙げられる。アセタール系保護基としては、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基等が挙げられる。この中でも、水酸基の保護基としてのR2、R3及びR4の好ましい例として、エーテル系保護基(メチル基、メトキシメチル基、エチル基、t-ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、ベンズヒドリル基等;より好ましくは、ベンジル基、p-メトキシベンジル基)が挙げられる。

【0024】
本発明において、式(I)におけるグルコサミン骨格の立体異性体としては、D-体であってもよいし、L-体であってもよい。本発明の機能性グルコサミン誘導体は、グルコサミン骨格がD-体及びL-体のいずれか一方のみであるものでもよいし、グルコサミン骨格がそれら異性体の混合物であるものでもよい。合成原料の入手容易性等を考慮すると、天然型のD-体であることが好ましい。

【0025】
機能性グルコサミン誘導体は、上述のグルコサミン骨格における2位の炭素に結合しているアミノ基を介してヒドロキシ経皮酸が脱水結合している。したがって、グルコサミン骨格とヒドロキシ経皮酸骨格の結合部分はアミド基を構成する。アミド基は、それ自体が安定であるとともに、機能性グルコサミン誘導体、又は当該機能性グルコサミン誘導体の重合体が所定の界面に接触させられた時に、当該界面に対し水素結合による相互作用を生じさせることができる。また、このように両骨格の結合部位で生じさせることができる相互作用は、上述したグルコサミン骨格の側において生じさせることができる相互作用とは異なり得る。これは、それぞれの相互作用で水素結合に関与する官能基が異なることに起因する。つまり、上述したグルコサミン骨格の側における水素結合に関与する官能基は糖水酸基であることに対し、両骨格の結合部位における水素結合に関与する官能基はアミド基(アミド水素)である。従って、グルコサミン骨格の側において特定の界面と相互作用が可能である一方で、両骨格の結合部位においては当該特定の界面とは別の種類の界面との相互作用が可能となる。このため、機能性グルコサミン誘導体、又は当該機能性グルコサミン誘導体の重合体が界面に対して生じさせる相互作用は、異なる種類の水素結合による相互作用が関与することで、例えば接着性組成物として用いられた場合に、その接着性に対して複合的な寄与を果たすこともできる。

【0026】
ヒドロキシ経皮酸骨格は、二重結合を有する。機能性グルコサミン誘導体がこのような不飽和結合を有することで、例えば光反応により、付加反応性、特に、他の不飽和炭化水素化合物との架橋性を具備することができる。ヒドロキシ経皮酸骨格における幾何異性体としては、E体であってもよいし、Z体であってもよい。本発明の機能性グルコサミン誘導体は、ヒドロキシ経皮酸骨格がE体及びZ体のいずれか一方のみであるものでもよいし、ヒドロキシ経皮酸骨格がそれら異性体の混合物であるものでもよい。合成原料の入手容易性等を考慮すると、天然型のE体であることが好ましい。

【0027】
式(I)中、OR5は、ヒドロキシ経皮酸骨格におけるベンゼン環に置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表す。R5はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表す。

【0028】
本明細書において、フェノール性水酸基の保護基は、一般的にフェノール性水酸基の保護基として用いられる基であり、合成反応の際に、例えばフェノール性水酸基が反応を阻害する場合、及びフェノール性水酸基自身が反応する場合等において、一時的にフェノール性水酸基を不活性な構造に誘導して保護することが可能な基である。フェノール性水酸基の保護基としては、通常、炭素数1~25、好ましくは1~20の有機基が挙げられる。

【0029】
5がフェノール性水酸基の保護基である場合、フェノール性水酸基の保護基としては、例えば、エーテル系保護基、トリチル系保護基、シリル系保護基、アシル系保護基、アセタール系保護基等が挙げられる。エーテル系保護基としては、メチル基、メトキシメチル基、エチル基、t-ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、ベンズヒドリル基等が挙げられる。トリチル系保護基としては、ジメトキシトリチル基、メトキシトリチル基、トリチル基等が挙げられる。シリル系保護基としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等が挙げられる。アシル系保護基としては、アセチル基、ベンゾイル基、p-クロロベンゾイル基、ピバロイル基等が挙げられる。アセタール系保護基としては、メトキシメチル基、メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、テトラヒドロピラン-2-イル基、テトラヒドロフラン-2-イル基等が挙げられる。この中でも、フェノール性水酸基の保護基としてのR5の好ましい例として、トリチル系保護基(ジメトキシトリチル基、メトキシトリチル基、トリチル基等)及びシリル系保護基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等)が挙げられ、より好ましくは、シリル系保護基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等;さらに好ましくはt-ブチルジメチルシリル基等)が挙げられる。

【0030】
また、nはベンゼン環における置換基OR5の数であり、具体的には2~5の整数を表す。或いは、nは、2~4の整数であってもよいし、2又は3であってもよい。これによって、OR5が水酸基である場合(OR5が保護された水酸基である場合にあっては使用に際して当該保護基が外され水酸基となった場合)において、機能性グルコサミン誘導体、又は当該機能性グルコサミン誘導体の重合体が所定の界面に接触させられた時に、当該界面に対し水素結合による相互作用を生じさせることができる。これら置換基OR5のベンゼン環上の位置は特に限定されないが、このような水素結合による相互作用をより良好に生じさせる観点から、少なくともベンゼン環の3位及び4位に置換していることが好ましい。特に、ベンゼン環の3位及び4位に置換している二置換の場合、当該ヒドロキシ経皮酸骨格は、カフェ酸(3,4-ジヒドロキシ経皮酸)に由来する。さらに当該ヒドロキシ経皮酸骨格がE体である場合は、下記式(I-a)で示されるように、天然のカフェ酸に由来するため、合成原料の入手容易性の点でも好ましい。なお、下記式(I-a)において、2個のOR5の異同は問わないが、好ましくは同じ基である。

【0031】
【化6】
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【0032】
また、ヒドロキシ経皮酸骨格の側において生じさせることができる相互作用は、上述したグルコサミン骨格の側において生じさせることができる相互作用、及び両骨格の結合部位で生じさせることができる相互作用とは異なり得る。これも、それぞれの相互作用で水素結合に関与する官能基が異なることに起因する。つまり、グルコサミン骨格の側における水素結合に関与する官能基は糖水酸基であり、両骨格の結合部位における水素結合に関与する官能基はアミド基である一方で、ヒドロキシ経皮酸骨格の側における水素結合に関与する官能基はフェノール性水酸基である。従って、グルコサミン骨格の側において特定の界面と相互作用が可能であり、両骨格の結合部位においては当該特定の界面とは別の種類の界面との相互作用が可能である一方で、ヒドロキシ経皮酸骨格の側においては、当該特定の界面及び当該別の種類の界面のいずれとも異なる、さらに別の種類の界面との相互作用が可能となる。このような点でも、機能性グルコサミン誘導体、又は当該機能性グルコサミン誘導体の重合体が界面に対して生じさせる相互作用は、異なる種類の水素結合による相互作用が関与することで、例えば接着性組成物として用いられた場合に、その接着性に対して複合的な寄与を果たすことができる。

【0033】
本発明の機能性グルコサミン誘導体は、上述のようにグルコサミン骨格と少なくとも1個のヒドロキシ経皮酸骨格とを有していればよいが、R1として、水酸基の保護基以外の任意の有機基を設計することによって、機能性グルコサミン誘導体にさらなる機能性(例えば水素結合性及び/又は架橋性等)を付与することができる。

【0034】
例えば、R1として有機基を設計することで機能性グルコサミン誘導体に水素結合性をさらに付与する場合、R1として設計される有機基としては、2価以上のフェノール性水酸基を有する基が挙げられる。2価以上のフェノール性水酸基をさらに導入することで、機能性グルコサミン誘導体、又は当該機能性グルコサミン誘導体の重合体が所定の界面に接触させられた時に、水素結合による界面との相互作用ポイントを増加させることができる。

【0035】
また、R1として有機基を設計することで機能性グルコサミンに架橋性を付与する場合、当該有機基としては、不飽和結合を有する基が挙げられる。さらなる不飽和結合が導入されることで、本発明の機能性グルコサミン誘導体同士で架橋(重合)させて高分子量化させることが可能となる。重合により接着力の向上等を図ることができるため、グルコサミン誘導体又はその重合体を接着性組成物として調製する場合において特に有用となる。

【0036】
1として有機基を設計することで、上述の水素結合性と架橋性との両方を付与するために、当該有機基は、2価以上のフェノール性水酸基と不飽和結合との両方を含んでいることが好ましい。この好ましい有機基は、2価以上のフェノール性水酸基と不飽和結合を含む点で、式(I)におけるヒドロキシル桂皮酸骨格と共通するが、具体的な有機基の構造は、式(I)におけるヒドロキシル桂皮酸骨格と同じであってもよいし、異なっていてもよい。R1として設計される有機基の例としては、下記式(II)に示される基が好ましい。

【0037】
【化7】
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【0038】
式(II)において、OR6は、有機基におけるベンゼン環に置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表す。R6はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表す。フェノール性水酸基の保護基の例としては、式(I)におけるヒドロキシ経皮酸骨格中のR5がフェノール性水酸基の保護基である場合に例示したものが挙げられる。また、mは、ベンゼン環における置換基OR6の数であり、具体的には2~5の整数を表す。或いは、mは、2~4の整数であってもよいし、2又は3であってもよい。これによって、界面に対し水素結合による相互作用を生じさせることができることは、式(I)におけるヒドロキシ経皮酸骨格と同様である。従って、このような水素結合による相互作用をより良好に生じさせる観点から、OR6が、少なくともベンゼン環の3位及び4位に置換していることが好ましいこと、及び、下記式(II-a)で示されるように、天然のカフェ酸に由来する基であることが好ましいことも、式(I)におけるヒドロキシ経皮酸骨格と同様である。なお、下記式(II-a)において、2個のOR6の異同は問わないが、好ましくは同じ基である。

【0039】
【化8】
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【0040】
本発明の機能性グルコサミン誘導体として好ましい例としては、下記式(I-1)に示されるように、式(I)におけるヒドロキシ経皮酸骨格と、R1としての有機基とが同じであるものが挙げられる。下記式(I-1)におけるR2、R3及びR4は、上述したとおり水素又は水酸基の保護基を表すが、それらの少なくともいずれか又は全てを水素として設計した場合、当該機能性グルコサミン誘導体の水溶性を向上させることができる。

【0041】
【化9】
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【0042】
なお、式(I)におけるヒドロキシ経皮酸骨格と、R1としての有機基とを異ならせる場合は、当該有機基として、ヒドロキシ経皮酸骨格とは異なる骨格の基を設計してもよいし、ヒドロキシ経皮酸骨格である点は同様として、フェノール性水酸基の置換数及び/又は位置の点で、並びに/若しくは、R5及びR6の種類の点で異ならせた基を設計してもよい。

【0043】
[2.機能性グルコサミン誘導体の合成]
本発明の機能性グルコサミン誘導体の合成は、グルコサミンとヒドロキシ経皮酸類とを用意し、グルコサミンの2位炭素に結合したアミノ基とヒドロキシ経皮酸類のカルボキシル基とを反応させることによって得ることができる。基本的には、下記反応式(Scheme 1)に示すように、それぞれ保護された、グルコサミンとヒドロキシ経皮酸類の酸ハライドとを反応させて、式(I)に示した機能性グルコサミン誘導体を得ることができる。なお、下記反応式(Scheme 1)において、グルコサミンの4位、3位及び1位の炭素に結合している水酸基は、それぞれ、R2、R3及びR4で保護されており、ヒドロキシ経皮酸類における2個以上のフェノール性水酸基のいずれもR5で保護されており、Xはハロゲン(例えば、F、Cl、Br、又はI)である。

【0044】
【化10】
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【0045】
上記反応式(Scheme 1)に示される反応は、適当な有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,4-ジオキサン、キシレン、ジメチルホルムアミド、トルエン等)中で進行させることができるが、ヒドロキシ経皮酸類の酸ハライドを保護された状態で反応させることは、酸ハライドの溶解性を高めて反応性を向上させる点で好ましい。

【0046】
また、上記反応式(Scheme 1)においては、グルコサミンの5位にメチレン基を介して結合している水酸基は、保護されていなくてもよい(つまりR1が水素であってもよい)し、保護されていてもよい(つまりR1が水酸基の保護基であってもよい)。グルコサミンの5位における水酸基がR1によって保護されている場合は、グルコサミン骨格1個に対しヒドロキシ経皮酸骨格1個を有する機能性グルコサミン誘導体を生じさせることができる。グルコサミンの5位における水酸基が保護されていない場合は、ヒドロキシ経皮酸類がグルコサミンの2位におけるアミノ基だけでなく、5位における保護されていない水酸基にも反応するため、グルコサミン骨格1個に対し、2個のヒドロキシ経皮酸骨格を有する機能性グルコサミン誘導体を生じさせることができる。

【0047】
グルコサミンの5位における水酸基が保護されていない場合のより具体的な例を下記反応式(Scheme 2)に示す。下記反応式(Scheme 2)においては、2位におけるアミノ基及び5位における水酸基以外の水酸基が保護されたグルコサミンに、保護されたカフェ酸を反応させることによって、グルコサミンのアミノ基及び水酸基の両方にカフェ酸が結合する。その後、フェノール性水酸基の保護基が外されることで、式(I-1)に記載の機能性グルコサミン誘導体を得ることができる。

【0048】
【化11】
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【0049】
上述の反応式(Scheme 2)にで用いられる、保護されたグルコサミンを得る方法としては、グルコサミン骨格の1位、3位及び4位における水酸基のみが選択的に保護された状態で得られるよう、当業者によって適宜、保護基及び保護基の導入順序等が決定される。好ましくは、当該保護されたグルコサミンを得る方法の例として、グルコサミン骨格の2位におけるアミノ基の選択的保護と、5位における水酸基の選択的保護とを行う工程;1位、3位及び4位における水酸基を保護する工程;及び、5位における水酸基の保護と2位におけるアミノ基の保護とをそれぞれ選択的に外す工程を、この順番で行う方法が挙げられる。

【0050】
保護されたグルコサミンを得る上述の方法において、各工程で所望の選択性をもって保護及び脱保護を行う観点で、5位における水酸基の保護基(つまり前述のR1基)の好ましい例として、トリチル系保護基(ジメトキシトリチル基、メトキシトリチル基、トリチル基等)及びシリル系保護基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等)が挙げられ、より好ましくは、シリル系保護基(トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、t-ブチルジフェニルシリル基等;さらに好ましくはt-ブチルジフェニルシリル基等)が挙げられる。同様の観点で、1位、3位及び4位における水酸基の保護基(つまり前述のR2基、R3基及びR4基)は、いずれも同じ保護基であることが好ましく、具体的な好ましい例として、エーテル系保護基(メチル基、メトキシメチル基、エチル基、t-ブチル基、オクチル基、アリル基、トリフェニルメチル基、ベンジル基、p-メトキシベンジル基、フルオレニル基、ベンズヒドリル基等;より好ましくは、ベンジル基、p-メトキシベンジル基)が挙げられる。さらに同様の観点で、2位におけるアミノ基の保護基の好ましい例として、トリフェニルメチル(トリチル)基、tert-ブトキシカルボニル基、t-アミルオキシカルボニル基、アダマンチルオキシカルボニル基、及び4-メトキシベンジルオキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、2-クロロベンジルオキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基等;より好ましくは、tert-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。

【0051】
さらに保護されたグルコサミンを得る上述の方法において、グルコサミン骨格の2位におけるアミノ基の選択的保護と、5位における水酸基の選択的保護とを行う工程では、まず2位におけるアミノ基の保護基を行い、その後、5位における水酸基の保護を行うことが好ましい。また、この場合において、水酸基の保護試薬の当量数を制御することによって、1位、3位、4位及び5位における水酸基のうち、5位における水酸基を選択的に保護することができる。

【0052】
なお、グルコサミン骨格1個に対し、2個のヒドロキシ経皮酸骨格を有する機能性グルコサミン誘導体を得る場合、ヒドロキシ経皮酸骨格を1個ずつ段階的に導入してもよい。この場合、機能性グルコサミン誘導体を、異なるヒドロキシ経皮酸骨格が導入された態様で設計することができる。例えば、上記反応式(Scheme 1)においてR1が水酸基の保護基である反応を行うことで、グルコサミン骨格1個に対しヒドロキシ経皮酸骨格1個を有する機能性グルコサミン誘導体を一旦生じさせ、その後、R1が水酸基の保護基を外し、下記反応式(Scheme 3)に示すように、別のヒドロキシ経皮酸類の酸ハライド(下記反応式(Scheme 3)において、Xはハロゲン(例えば、F、Cl、Br、又はI)である。)を反応させることによって、さらなるヒドロキシ経皮酸骨格を導入することができる。

【0053】
【化12】
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【0054】
上記反応式(Scheme 2及びScheme 3)で得られるような、1分子中に2個の不飽和結合を有する機能性グルコサミン誘導体は、モノマーとして用いることで、重合(架橋)反応を経て高分子量化させることができる。高分子量化によって、安定性、接着力、耐擦過性等を向上させることができる。機能性グルコサミン誘導体を重合させるための条件としては、光及び熱を問わないが、好ましくは光である。重合反応を開始する光の波長としては、280nm以上が挙げられる。

【0055】
なお、重合反応における条件を調整することによって、機能性グルコサミン誘導体のプレポリマー(オリゴマー)を合成することもできる。この場合に調整すべき条件としては、一般に重合度を調整する条件を当業者が適宜選択することができる。このような条件の例としては、重合反応時におけるモノマー濃度の調整が挙げられる。

【0056】
[3.接着性組成物]
上述の機能性グルコサミン誘導体又はその重合体は、接着性組成物として特に有用である。従って、本発明は、接着性組成物も提供する。接着性組成物として用いられる場合、グルコサミン誘導体又はその重合体においては、ヒドロキシ経皮酸骨格におけるフェノール性水酸基は露出していてもよいし(つまり、上記式における基R5及びR6が水素であってもよいし)、接着性組成物の使用条件下で容易に脱保護することができる保護基によって保護されていてもよい。また、グルコサミン誘導体又はその重合体においては、グルコサミン骨格における水酸基も露出している(つまり、上記式における基R2、R3、及びR4も水素である)ことが好ましい。

【0057】
本発明の接着性組成物の例として、上述の機能性グルコサミン誘導体をモノマーの態様で含む接着性組成物が挙げられる。機能性グルコサミン誘導体は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上の混合状態で含まれていてもよい。また、当該モノマーに加えて、機能性グルコサミンのプレポリマー(オリゴマー)が含まれていてもよい。当該接着性組成物は、接着対象に塗布した後に、該塗布層を重合条件(好ましくは光照射)に供して重合させることによって、好ましい接着力を発揮することができる。なお、接着性組成物が機能性グルコサミン誘導体をモノマーの態様で含む場合、重合開始剤、好ましくは光開始剤も含んでよい。

【0058】
本発明の接着性組成物の他の例として、上述の機能性グルコサミン誘導体のポリマーを含む接着性組成物が挙げられる。本発明の接着性組成物に含まれる機能性グルコサミン誘導体のポリマーは、例えば下記式(III)で表される。

【0059】
【化13】
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【0060】
上記式(III)において、R2、R3及びR4は、それぞれ同一又は異なっていてよく且ついずれもR1とは異なる水素又は水酸基の保護基を表す。具体的なR2、R3及びR4の例は、上述のとおりである。OR7は、ベンゼン環の置換可能な5箇所の炭素のうち任意の箇所に置換可能な置換基を表す。nはベンゼン環における置換基OR7の数であり、具体的には2~5の整数を表す。或いは、nは、2~4の整数であってもよいし、2又は3であってもよい。R7はそれぞれ同一又は異なっていてよい水素又はフェノール性水酸基の保護基を表す。sはグルコサミン誘導体の重合度を示す2以上の整数を表す。

【0061】
7が水素である場合、当該接着性組成物は、接着対象に塗布することによって、好ましい接着力を発揮することができる。R7が水素である場合の好ましい例として、下記式(III-1)に挙げられる重合体が挙げられる。

【0062】
【化14】
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【0063】
一方、R7がフェノール性水酸基の保護基である場合、当該保護基は、接着性組成物の使用環境下で容易に脱離させることができるものであることが好ましい。当該保護基の好ましい例として、光脱離性基が挙げられる。光脱離性基としては、紫外線等のエネルギー線の照射によって脱離する基を特に限定されることなく挙げることができる。例えば、4-ニトロベンジル構造を有する基、2-ニトロベンジル構造を有する基、及びフェナシル構造を有する基が挙げられる。4-ニトロベンジル構造を有する基としては、具体的には、4-ニトロベンジル基、α-メチル-4-ニトロベンジル基、4-ニトロ-2-メトキシベンジル基、2,4-ジニトロベンジル基等が挙げられる。2-ニトロベンジル構造を有する基としては、具体的には、2-ニトロベンジル基、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル基、4,5-メチレンジオキシ-2-ニトロベンジル基、4-ジメチルアミノ-2-ニトロベンジル基、1-ニトロナフチル-2-イルメチル基等が挙げられる。フェナシル構造を有する基としては、具体的には、α-メチルフェナシル基、α-メチル-4-ニトロフェナシル基、α-フェニルフェナシル基等が挙げられる。

【0064】
7がフェノール性水酸基の保護基であって、かつ当該保護基が光脱離性基である場合、当該接着性組成物は、接着対象に塗布された後に光照射を受けて光脱離性基が脱離させられることによって、フェノール性水酸基が露出し、好ましい接着力を発揮することができる。R7がフェノール性水酸基である場合の好ましい例として、下記式(III-2)に挙げられる重合体が挙げられる。下記式(III-2)において、フェノール性水酸基及びOR7基は、いずれか一方がベンゼン環の3位に、他方が4位に置換されている。

【0065】
【化15】
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【0066】
なお、R7がフェノール性水酸基の保護基である機能性グルコサミン誘導体のポリマー(一例として上記式(III-2)のポリマー)は、R7が水素である機能性グルコサミン誘導体のポリマー(一例として上記式(III-1)のポリマー)において、OR7つまりフェノール性水酸基に光分解性基を有する化合物を反応させることによって得ることができる。

【0067】
本発明の接着性組成物は、ヒドロキシ経皮酸骨格におけるフェノール性水酸基による水素結合及び両骨格の結合部位におけるアミド基による水素結合、好ましくはさらにグルコサミン骨格における糖水酸基による水素結合といった、それぞれ異なる種類の水素結合を生じさせることで、異なる種類の界面に対して相互作用させることが可能になる。機能性グルコサミン誘導体の重合による接着性向上に加えてこのような相互作用が複合的に関与することで、特に、異種界面同士の間で良好な接着力を発揮することができる。異種界面の組み合わせの例としては、ガラス-金属界面、生体-セラミック界面、紙-高分子(合成樹脂等)界面等が挙げられる。

【0068】
本発明の接着性組成物は、有機溶媒中に各成分を含ませた組成物であってもよいが、環境配慮等の観点から、水性組成物又は無溶媒組成物であってもよい。グルコサミン骨格における糖水酸基が露出することで機能性グルコサミン誘導又はその重合体の水溶性が向上するため、接着性組成物を水性組成物として安定的に調製することができる。また、接着性組成物を無溶媒組成物として調製した場合、糖水酸基の露出による水溶性の向上により、湿潤条件下でも優れた接着力を発揮することができる。

【0069】
本発明の接着性組成物が光開始剤を含む場合、光始剤としては、公知のものが特に制限なく挙げられる。例えば、アルキルフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾイン系化合物、アセトフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、チオキサトン系化合物、α-アシロキシムエステル系化合物、フェニルグリオキシレート系化合物、ベンジル系化合物、アゾ系化合物、ジフェニルスルフィド系化合物、有機色素系化合物、鉄-フタロシアニン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、アントラキノン系化合物等から選択される1種または複数種が挙げられる。

【0070】
本発明の接着性組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、他の成分を含むことができる。例えば、他の重合開始剤としての熱ラジカル発生剤、ラジカル連鎖移動剤、その他の樹脂、改質剤等から選択される1種又は複数種が挙げられる。

【0071】
熱ラジカル発生剤は、例えば重合反応のための光照射を受けることができない領域の接着性組成物も重合させることができる。熱ラジカル発生剤としては、公知の有機過酸化物が挙げられ、より具体的には、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、サクシニックアシッドパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ(2-エチルヘキサノエート)、m-トルオイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシマレイックアシッド、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート、ジ-t-ブチル-ジパーオキシイソフタレート、ジクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等から選択される1種又は複数種が挙げられる。

【0072】
ラジカル連鎖移動剤は、例えば接着性組成物の重合反応を促進させることができる。ラジカル連鎖移動剤としては、アルファメチルスチレンダイマー類、メルカプト基含有チオール類、ジフェニルジスルフィド等のジスルフィド類、末端不飽和メタクリル酸エステルn量体類、ポリフィリンコバルト錯体類等から選択される1種又は複数種が挙げられる。

【0073】
その他の樹脂としては、光重合性樹脂及び/又は熱重合性樹脂が挙げられる。熱重合性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ユリア樹脂、ポリエステル樹脂等から選択される1種又は複数種が挙げられる。光重合性樹脂としては、ポリエステルアクリレート系樹脂、ウレタンアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂等から選択される1種又は複数種が挙げられる。

【0074】
充填材としては、ガラスビーズ、スチレン系ポリマー粒子、メタクリレート系ポリマー粒子、エチレン系ポリマー粒子、プロピレン系ポリマー粒子等から選択される1種又は複数種が挙げられる。

【0075】
改質剤としては、重合開始助剤、老化防止剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、界面活性剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等から選択される1種又は複数種が挙げられる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0077】
[合成例1:機能性グルコサミン誘導体の合成]
以下に示す2種の機能性グルコサミン誘導体を合成した。
【実施例】
【0078】
【表1】
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【実施例】
【0079】
まず、以下のスキームに従い、水酸基を保護したグルコサミン(化合物(E))を得た。
【実施例】
【0080】
【化16】
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【実施例】
【0081】
[2-N-tert-butoxycarbonyl-D-glucosamine(化合物A)の合成]
1000 mLの一口フラスコにD-(+)-Glucosamine Hydrochloride 30.8 g (143 mmol)とCH3ONa 8.53 g (158 mmol)とMethanol 400 mLとを加え、1時間攪拌させることで溶解させた。さらに、Di-tert-butyl Dicarbonate 34 mL (171 mmol)とtriehylamine (TEA) 20 mL (143 mmol)とを加え、6時間攪拌した。その後、有機溶媒を濃縮し、再結晶を行い、濾過し、溶媒を除去することで、化合物Aを得た(35.5 g, 127 mmol, 89 %)。
【実施例】
【0082】
[6-O-tert-butyldiphenylsilyl-2-N-tert-butoxycarbonyl-D-glucosamine(化合物B)の合成]
窒素雰囲気下で500 mLの二口フラスコに化合物A 21.5 g (77.0 mmol)とImidazoleとを脱水DMF 250 mLに溶解させ、氷浴に浸し、脱水THF 50 mLにtert-Butyl(chloro)diphenylsilane 14 mL (54.0 mmol)を溶解させた溶液をゆっくりと滴下し、18時間攪拌した。その後、HexaneとEthyl acetateとイオン交換水とを用いて分液操作を行い、有機層を回収しNa2SO4を加え、濾過後、溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane-EtOAc 1:1)によって精製することで、化合物Bを得た(25.9 g, 50.0 mmol, 81 %)
【実施例】
【0083】
[1,3,4-tri-O-benzyl-6-O-tert-butyldiphenylsilyl-2-N-tert-butoxycarbonyl-D-glucosamine(化合物C)の合成]
窒素雰囲気下で300 mLの二口フラスコに油抜きしたNaH 1.69 g (42.1 mmol)と脱水DMF 25 mLと化合物B 6.60 g (12.8 mmol)とを加えて一時間攪拌した。その後、反応容器を氷浴に浸し、Tetrabutylammonium iodine 0.480 g (1.28 mmol)を加え、Benzyl bromide 5.0 mL (42.1 mmol)をゆっくり滴下し、18時間攪拌した。その後、イオン交換水で反応を停め、Hexaneとイオン交換水とを用いて分液操作を行い、有機層を回収しNa2SO4を加え、濾過後、溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane-EtOAc 9:1)によって精製することで、化合物Cを得た(6.90 g, 8.76 mmol, 69 %)
【実施例】
【0084】
[1,3,4-tri-O-benzyl-2-N-tert-butoxycarbonyl-D-glucosamine(化合物D)の合成]
窒素雰囲気下で300 mLの二口フラスコに化合物C 6.90 g (8.76 mmol)を脱水THF 8.7 mLに溶解させ、Tetrabutylammonium fluoride 17.5 mL (17.5 mmol)をゆっくりと滴下し、24時間攪拌した。その後、Ethyl acetateとイオン交換水とを用いて分液操作を行い、有機層を回収しNa2SO4を加え、濾過後、溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane-EtOAc 2:1)によって精製することで、化合物Dを得た(1.88 g, 3.42 mmol, 39 %)
【実施例】
【0085】
[1,3,4-tri-O-benzyl-D-glucosamine(化合物E)の合成]
200 mLの一口フラスコに化合物D 1.88 g (3.42 mmol)をCH2Cl2 7.0 mLに溶解させ、Trifluoroacetic acid 2.60 mL(34.0 mmol)をゆっくりと滴下し、1時間攪拌した。その後、NaHCO3水溶液を加え、反応を停め、CH2Cl2とイオン交換水とを用いて分液操作を行い、有機層を回収しNa2SO4を加え、濾過後、溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane-EtOAc-TEA 1:1:0.2)によって精製することで、化合物Eを得た(1.45 g, 3.23 mmol, 94 %)
【実施例】
【0086】
次に、以下のスキームに従い、化合物Eとカフェ酸とのカップリング化合物(化合物(G))を得た。
【実施例】
【0087】
【化17】
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【実施例】
【0088】
[(E)-3-(3,4-bis((tert-Butyldimethylsilyl)oxy)caffeic acid(化合物F)の合成]
窒素雰囲気下で100 mLの二口フラスコにCaffeic acid 1.51 g(8.38 mmol)とImidazole 2.55 g(37.4 mmol)とtert-Butyl(chloro)dimethylsilane 5.66 g(37.4 mmol)とを脱水DMF 16 mLに溶解させ、20時間攪拌した。その後、多量のイオン交換水を加え、反応を停めて、Ethyl acetateとイオン交換水とを用いて分液操作を行い、有機層を回収しNa2SO4を加え、濾過後、溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane-EtOAc 1:1)によって精製し、真空ポンプを用いて100℃で溶媒を乾燥させ、化合物Fを得た(3.05 g, 7.47 mmol, 90 %)
【実施例】
【0089】
[2,6-di-O,N-(E)-3,4-bis(tert-butyldimethylsilyloxy)caffeoyl-1,3,4-tri-O-benzyl-D-glucosamine(化合物G)の合成]
窒素雰囲気下で100 mLの二口フラスコに化合物F 0.767 g(1.88 mmol)に脱水CH2Cl2 1.8 mLに溶解させ、1M Thionyl chloride in CH2Cl2 7.5 mL (7.50 mmol) を加え、15時間加熱還流を行った。その後、濃縮させることで、酸塩化物を得た。窒素雰囲気下で50 mLの二口フラスコに化合物E 0.352 g (0.783 mmol)とDimethyltin dichloride 0.0188g (0.0783 mmol)とN,N-diisopropylethylamine 0.55 mL (3.13 mmol)とを脱水THF 1.0 mLに溶解させた後、酸塩化物を脱水THF 1.5 mLに溶解させた溶液をゆっくりと滴下し、24時間攪拌した。その後、イオン交換水を加え、反応を停めて、Ethyl acetateとイオン交換水とを用いて分液操作を行い、有機層を回収しNa2SO4を加え、濾過後、溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(Hexane-EtOAc 9:1)によって精製することで、化合物Gを得た(0.535 g, 4.35 mmol, 55 %)
【実施例】
【0090】
化合物Gの生成は、図1に示す1H NMR(400 MHz、室温、CDCl3中)、図2に示すMASS ESIおよび図3に示すFT-IRにより確認した。
【実施例】
【0091】
さらに、下記スキームに従い、フェノール性水酸基が脱保護された化合物Hを得た。
【実施例】
【0092】
【化18】
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【実施例】
【0093】
[2,6-di-O,N-(E)- caffeoyl-1,3,4-tri-O-benzyl-D-glucosamine(化合物H)の合成]
窒素雰囲気下で50 mLの二口フラスコに化合物G 0.807 g(0.656 mmol)を脱水THF 0.60 mLに溶解させ、Tetrabutylammonium fluoride 3.2 mL (3.15 mmol)をゆっくりと滴下し、3時間攪拌した。その後、CH2Cl2とイオン交換水を用いて分液操作を行い、有機層を回収しNa2SO4を加え、濾過後、溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CH2Cl2-Methanol 9:1)によって精製することで、化合物Hを得た(0.406 g, 0.525 mmol, 80 %)
【実施例】
【0094】
化合物Hの生成は、図4に示す1H NMR(400 MHz、室温、CDCl3中)、図5に示すMASS ESIおよび図6に示すFT-IRにより確認した。
【実施例】
【0095】
[合成例2:機能性グルコサミン誘導体の重合]
下記スキームに従い、実施例1の機能性グルコサミン誘導体(化合物G)及び実施例2の機能性グルコサミン誘導体(化合物H)それぞれをモノマーとし、光重合反応を行った。
【実施例】
【0096】
【化19】
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【実施例】
【0097】
【表2】
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【実施例】
【0098】
UV石英セルに化合物G又は化合物Hを表2に示す濃度のMethanol溶液として調製し、0℃、窒素雰囲気下でUV照射装置(Hg lump, λ > 280 nm, 56 mW / cm2)を用いて、UV照射による光二量化反応を行った。サンプルへの照射の条件(照射される面積:3 cm2, UV光発光源までの距離:5 cm)を固定し、UV照射時間0, 10, 20, 30秒、1, 2, 3, 5, 10, 20, 30, 60, 120, 180および240分においてUV vis測定を行った。化合物Gを光二量化反応に供した場合のUV vis測定結果を図7(a)に示し、化合物Hを光二量化反応に供した場合のUV vis測定結果を図7(b)に示す。図7(a)及び図7(b)に示されるように、化合物G及び化合物Hのいずれにおいても、照射時間の経過に伴って化合物G及び化合物Hが有していた二重結合由来のピークが減衰しており、重合反応が進行したことを確認した。
【実施例】
【0099】
[合成例3:機能性グルコサミン誘導体の重合による生成物の組成の検証]
化合物Hを表3に示す濃度のMethanol溶液として調製したことを除いて、合成例2と同様に光二量化反応に供した。
【実施例】
【0100】
【表3】
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【実施例】
【0101】
光二量化反応によって得られた生成物を、GPC測定に供した。その結果を図8及び表4に示す。図8に示されるように、モノマーをいずれの濃度で調製した場合も、ポリマー(CA-GlcN-CA 1及びCA-GlcN-CA 3)及び二量体(CA-GlcN-CA 2及びCA-GlcN-CA 4)をそれぞれ示す2つのピークを確認した。
【実施例】
【0102】
また、光二量化反応によって得られた生成物をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって測定した。SEC測定でポリスチレン(PS)換算の分子量として見積もった数平均分子量Mnと、SECで測定したMw(重量平均分子量)とMnとの比(Mw/Mn)として計算した多分散度(PDI)と、生成物中の各重合体の割合(Percentage)とを、表1に示す。なお、PDIは、その値が1に近い程、分子量分布が制御されたポリマーが得られていることを示す。表1に示されるように、生成物中のポリマー(CA-GlcN-CA 1及びCA-GlcN-CA 3)と二量体(CA-GlcN-CA 2及びCA-GlcN-CA 4)との割合が、モノマー濃度に依存することを確認した。
【実施例】
【0103】
【表4】
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図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7