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Specification :(In Japanese)活性種含有液噴射装置

Country (In Japanese)日本国特許庁(JP)
Gazette (In Japanese)公開特許公報(A)
Publication number P2019-040863A
Date of publication of application Mar 14, 2019
Title of the invention, or title of the device (In Japanese)活性種含有液噴射装置
IPC (International Patent Classification) H05H   1/24        (2006.01)
B01J  19/08        (2006.01)
A61L   2/14        (2006.01)
A01M   1/00        (2006.01)
FI (File Index) H05H 1/24
B01J 19/08 E
A61L 2/14
A01M 1/00 Z
Number of claims or invention 7
Filing form OL
Total pages 17
Application Number P2018-156040
Date of filing Aug 23, 2018
Application number of the priority 2017160163
Priority date Aug 23, 2017
Claim of priority (country) (In Japanese)日本国(JP)
Inventor, or creator of device (In Japanese)【氏名】金子 俊郎
【氏名】▲高▼島 圭介
Applicant (In Japanese)【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
Representative (In Japanese)【識別番号】100095359、【弁理士】、【氏名又は名称】須田 篤
【識別番号】100143834、【弁理士】、【氏名又は名称】楠 修二
Request for examination (In Japanese)未請求
Theme code 2B121
2G084
4C058
4G075
F-term 2B121AA20
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2G084GG02
2G084GG07
2G084GG29
4C058AA30
4C058BB06
4C058KK06
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4G075AA03
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4G075EC21
4G075FA01
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4G075FB12
4G075FC11
Abstract (In Japanese)【課題】風などで拡散しにくく、野外であっても高い殺菌効果を維持することができる活性種含有液噴射装置を提供する。
【解決手段】液体供給部12が、反応容器11の内部に導電性液体15を供給可能に設けられ、ガス供給部13が、プラズマとなるガスを反応容器11の内部に供給可能に設けられている。プラズマ発生手段14が、反応容器11の内部に供給された導電性液体15と対向する位置に配置された電極27と、導電性液体15と電極27との間に電圧を印加可能に設けられた電源部28とを有している。反応容器11の内部に導電性液体15とガスとが供給されたとき、電源部28で導電性液体15と電極27との間に電圧を印加することにより、導電性液体15の近傍でプラズマを発生させてガスおよび/または導電性液体15の活性種を生成し、その活性種を含む導電性液体15aを反応容器11の噴射口11aから噴射する。
【選択図】図1
Scope of claims (In Japanese)【請求項1】
反応容器と、
前記反応容器の内部に連通した噴射口と、
前記反応容器の内部に液体を供給する液体供給部と、
プラズマとなるガスを前記反応容器の内部に供給するガス供給部と、
前記反応容器の内部に供給された前記液体の近傍でプラズマを発生させるよう構成されたプラズマ発生手段とを有し、
前記反応容器の内部に前記液体と前記ガスとが供給されたとき、前記プラズマ発生手段により前記液体の近傍でプラズマを発生させて前記ガスおよび/または前記液体の活性種を生成し、その活性種を含む前記液体を前記噴射口から噴射するよう構成されていることを
特徴とする活性種含有液噴射装置。
【請求項2】
前記液体供給部は、前記反応容器の内部に導電性の液体を供給するよう構成され、
前記プラズマ発生手段は、前記反応容器の内部に供給された前記液体の少なくとも一部と対向する位置に配置された電極と、前記液体の近傍でプラズマを発生させるよう、前記液体と前記電極との間に電圧を印加可能に設けられた電源部とを有していることを
特徴とする請求項1記載の活性種含有液噴射装置。
【請求項3】
前記プラズマ発生手段は、前記反応容器の内部に供給された前記液体と接触または近接するよう、前記反応容器の内部に配置された第1電極と、前記第1電極に対向する位置に配置された第2電極と、前記液体の近傍でプラズマを発生させるよう、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加可能に設けられた電源部とを有していることを特徴とする請求項1記載の活性種含有液噴射装置。
【請求項4】
前記第1電極は、筒状を成し、少なくとも側面の一部が前記第2電極と対向するよう配置されており、前記第2電極と対向する側面に1または複数の孔を有しており、
前記液体供給部は、前記第1電極の内側を通過するよう、前記液体を供給可能に設けられていることを
特徴とする請求項3記載の活性種含有液噴射装置。
【請求項5】
前記反応容器の内部を、1気圧より高い圧力に調整可能に設けられた圧力調整手段を有していることを特徴とする請求項4記載の活性種含有液噴射装置。
【請求項6】
前記液体供給部は、前記液体が前記噴射口に向かって前記反応容器の内部を流れて前記噴射口から噴射するよう、前記液体を前記噴射口に向かって付勢して連続的に供給可能に設けられ、
前記プラズマ発生手段は、前記反応容器の内部を流れる前記液体の近傍で前記プラズマを発生可能に構成されていることを
特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の活性種含有液噴射装置。
【請求項7】
前記噴射口から噴射される前記活性種を含む前記液体の噴射範囲が、前記噴射口から離れるに従って、噴射方向に対して横方向に広がるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の活性種含有液噴射装置。
Detailed description of the invention (In Japanese)【技術分野】
【0001】
本発明は、活性種含有液噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマを用いて病原体や害虫等の殺菌を行うための装置として、反応容器に挿入される挿入部を有する一方の電極と、挿入部と対向する位置に配置された他方の電極と、挿入部を介して水を反応容器に供給する水供給部と、プラズマとなるガスを反応容器に供給するガス供給部と、水とガスとが供給された反応容器中にOHラジカルを発生させるよう、挿入部と他方の電極との間に電圧を印加可能に設けられた電源部とを有するものが、本発明者等により開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
なお、殺菌を行うものではないが、液体とプラズマとを組み合わせたものとして、大気圧非平衡プラズマを生成する空間内に、液送管を変形させて液体を吐出することにより、ミスト含有大気圧非平衡プラズマを生成し、そのミスト含有大気圧非平衡プラズマを創傷に照射することにより、創傷の治癒効果を高めることができるプラズマ生成装置がある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特許第5909831号公報
【特許文献2】特開2015-26574号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の装置は、反応容器中にガスだけでなく水も導入するため、OHラジカルを効率良く生成することができ、植物に付着した病原菌や害虫等の殺菌効果に優れている。しかし、プラズマによる活性ガスを野外の植物等に噴射する場合には、風などにより拡散しやすいため、活性種の濃度が薄くなる可能性があるという課題があった。
【0006】
本発明は、このような課題に着目してなされたもので、風などで拡散しにくく、野外であっても高い殺菌効果を維持することができる活性種含有液噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る活性種含有液噴射装置は、反応容器と、前記反応容器の内部に連通した噴射口と、前記反応容器の内部に液体を供給する液体供給部と、プラズマとなるガスを前記反応容器の内部に供給するガス供給部と、前記反応容器の内部に供給された前記液体の近傍でプラズマを発生させるよう構成されたプラズマ発生手段とを有し、前記反応容器の内部に前記液体と前記ガスとが供給されたとき、前記プラズマ発生手段により前記液体の近傍でプラズマを発生させて前記ガスおよび/または前記液体の活性種を生成し、その活性種を含む前記液体を前記噴射口から噴射するよう構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る活性種含有液噴射装置は、プラズマ発生手段により、供給された液体の近傍で、供給されたガスのプラズマを発生させることにより、供給されたガスの活性種を生成するだけでなく、プラズマ(イオンや電子)が液体に接触することにより、液体の表面や内部で活性種を生成することもできる。また、生成されたガスおよび/または液体の活性種を、液体の内部や表面に容易に取り込むことができる。
【0009】
本発明に係る活性種含有液噴射装置は、活性種を含む液体を噴射するため、ガスを噴射する場合と比べても、風などで拡散しにくい。このため、野外の植物等に使用しても、高い殺菌効果を維持することができる。また、活性種を含む液体を生成後すぐに噴射口から噴射することにより、寿命の短い活性種であっても、失活する前に対象物に付着させることができる。また、活性種は気体中よりも液体中に存在している方が殺菌効果が高まるため、プラズマによる活性ガスをそのまま噴射する場合と比べて、より優れた殺菌効果を得ることができる。
【0010】
本発明に係る活性種含有液噴射装置は、例えば、農業分野で、植物や土壌、肥料等に付着した病原体や害虫の殺菌や駆除を行うために使用することができる。殺菌や駆除を行う病原体は、主に植物の病気の原因となる生物であり、例えば、糸状菌(主にカビ)および細菌(バクテリア)といった病原菌や、ウイルスなどである。病原菌は、例えば、イネいもち病、ムギうどんこ病、ダイズ紫斑病、イチゴ灰色かび病、キュウリ灰色かび病、トマト灰色かび病、ユリ葉枯病、キュウリうどんこ病、イチゴうどんこ病、トマト葉かび病、ネギさび病、キク白さび病、ネギ黒斑病、リンゴ斑点落葉病、キュウリ褐斑病、シュンギク炭疽病、セリ葉枯病、リンゴ褐斑病、馬鹿苗病などである。害虫は、主に植物を害する害虫であり、例えば、ダニやアブラムシである。なお、本発明に係る活性種含有液噴射装置で、ガス供給部から供給するガスは、プラズマとなるガスであればいかなるものであってもよく、プラズマ中を通過させたガスである「プラズマ活性ガス」であってもよい。
【0011】
本発明に係る活性種含有液噴射装置で、前記液体供給部は、前記反応容器の内部に導電性の液体を供給するよう構成され、前記プラズマ発生手段は、前記反応容器の内部に供給された前記液体の少なくとも一部と対向する位置に配置された電極と、前記液体の近傍でプラズマを発生させるよう、前記液体と前記電極との間に電圧を印加可能に設けられた電源部とを有していてもよい。この場合、導電性の液体を電極として使用することにより、反応容器の内部に供給された導電性の液体の近傍で、反応容器の内部に供給されたガスのプラズマを発生させることができる。また、導電性の液体を電極として利用するため、比較的簡単に構成することができ、製造コストを低減することができる。液体供給部は、液体を連続的に供給するのが好ましいが、電圧を印加してプラズマを発生可能であれば、断続的に供給してもよい。導電性の液体は、いかなるものであってもよく、例えば、硝酸ナトリウム(NaNO3)水溶液や、硝酸カリウム(KNO3)水溶液、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液、塩化カリウム(KCl)水溶液などである。
【0012】
本発明に係る活性種含有液噴射装置で、前記プラズマ発生手段は、前記反応容器の内部に供給された前記液体と接触または近接するよう、前記反応容器の内部に配置された第1電極と、前記第1電極に対向する位置に配置された第2電極と、前記液体の近傍でプラズマを発生させるよう、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加可能に設けられた電源部とを有していてもよい。この場合、反応容器の内部に供給された液体と接触または近接する第1電極を使用することにより、その液体の近傍で、反応容器の内部に供給されたガスのプラズマを発生させることができる。また、液体として水を使用することができ、反応容器の内部に供給された水の一部が蒸発して、OHラジカルが生成されるため、ガスの活性種だけでなくOHラジカルによる殺菌効果も得られ、殺菌効果を高めることができる。液体供給部は、液体を連続的に供給してもよく、断続的に供給してもよい。
【0013】
また、この第1電極と第2電極とを有する場合、前記第1電極は、筒状を成し、少なくとも側面の一部が前記第2電極と対向するよう配置されており、前記第2電極と対向する側面に1または複数の孔を有しており、前記液体供給部は、前記第1電極の内側を通過するよう、前記液体を供給可能に設けられていることが好ましい。この場合、第1電極と第2電極との間で生成された活性種を、第1電極の側面の孔から、第1電極の内側を通過する液体に取り込むことができる。第1電極は、例えば、第2電極と対向する部分がコイル状であってもよく、その部分の側面が網状やメッシュ状、格子状であってもよく、また、その部分の側面に1または複数のスリットが設けられていてもよい。
【0014】
また、この場合、前記反応容器の内部を、1気圧より高い圧力に調整可能に設けられた圧力調整手段を有していることが好ましい。この圧力調整手段により、第1電極の内側に供給された液体が、第1電極の側面の孔から漏れないようにすることができる。これにより、液体が第1電極の孔から漏れて、プラズマの発生効率や活性種の生成効率が低下するのを防ぐことができる。
【0015】
本発明に係る活性種含有液噴射装置で、電源部は、好ましくはパルス電源であり、交流電源であってもよい。また、本発明に係る活性種含有液噴射装置は、発生するプラズマが、所定の温度以下に維持されるよう構成された冷却手段を有していてもよい。OHラジカルを含むプラズマを発生させる場合には、発生するプラズマが高温の方が、オゾンが生成されにくいため、プラズマがある程度の温度まで上昇するのを許容してオゾンの生成を抑制するとともに、冷却手段により、さらに高温になるのを防ぎ、各電極の損耗や、植物などの被照射物への影響を抑制することができる。
【0016】
本発明に係る活性種含有液噴射装置で、前記液体供給部は、前記液体が前記噴射口に向かって前記反応容器の内部を流れて前記噴射口から噴射するよう、前記液体を前記噴射口に向かって付勢して連続的に供給可能に設けられ、前記プラズマ発生手段は、前記反応容器の内部を流れる前記液体の近傍で前記プラズマを発生可能に構成されていることが好ましい。この場合、プラズマを発生させて生成された活性種を含む液体を、生成後そのまますぐに噴射口から噴射することができる。これにより、寿命の短い活性種であっても、失活する前に対象物に付着させることができ、より優れた殺菌効果を得ることができる。また、活性種を生成しながら、連続して活性種を含む液体を噴射することができる。液体供給部は、液体を、所定の圧力で反応容器の内部に供給してもよい。
【0017】
本発明に係る活性種含有液噴射装置は、前記噴射口から噴射される前記活性種を含む前記液体の噴射範囲が、前記噴射口から離れるに従って、噴射方向に対して横方向に広がるよう構成されていることが好ましい。この場合、やや広い範囲に活性種を含む液体を噴射することができ、所定の範囲に殺菌作業を行うときの作業効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、風などで拡散しにくく、野外であっても高い殺菌効果を維持することができる活性種含有液噴射装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態の活性種含有液噴射装置を示す縦断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態の活性種含有液噴射装置を示す縦断面図である。
【図3】本発明の第1および第2の実施の形態の活性種含有液噴射装置の、ガス供給部の変形例を示す正面図である。
【図4】図1に示す活性種含有液噴射装置による殺菌試験の、導電性液体として硝酸ナトリウム(NaNO3)水溶液を用い、空気の供給量を4L/分とし、噴射時間(te)および導電性液体の導入量(Fsol)をそれぞれ、(a)5秒、7.3mL/分、(b)10秒、7.3mL/分、(c)5秒、12.1mL/分、(d)10秒、12.1mL/分、としたときの、C.glo(Colletotrichum gloeosporioides)分生子の発芽状態を示す顕微鏡写真である。
【図5】図1に示す活性種含有液噴射装置による殺菌試験の、導電性液体として硝酸ナトリウム(NaNO3)水溶液を用い、噴射時間を5秒とし、空気の供給量(Fair)および導電性液体の導入量(Fsol)をそれぞれ、(a)4L/分、6.4mL/分、(b)4L/分、7.3mL/分、(c)6L/分、7.3mL/分、(d)8L/分、7.3mL/分、としたときの、C.glo分生子の発芽状態を示す顕微鏡写真である。
【図6】図1に示す活性種含有液噴射装置による殺菌試験の、導電性液体として硝酸カリウム(KNO3)の水溶液を用い、噴射時間を5秒とし、空気の供給量(Fair)および導電性液体の導入量(Fsol)をそれぞれ、(a)4L/分、6.4mL/分、(b)4L/分、7.3mL/分、(c)6L/分、7.3mL/分、(d)8L/分、7.3mL/分、としたときの、C.glo分生子の発芽状態を示す顕微鏡写真である。
【図7】図1に示す活性種含有液噴射装置による、噴射口から噴射される液体の過酸化水素濃度の測定試験の結果を示すグラフである。
【図8】図2に示す活性種含有液噴射装置による、噴射口から噴射される液体の過酸化水素濃度の測定試験の結果を示すグラフである。
【図9】図3に示すガス供給部を用いた、図2に示す活性種含有液噴射装置による殺菌試験の、液体として水を用い、プラズマ活性ガスの供給量を4L/分、噴射時間(te)を10秒とし、液体の単位時間あたりの導入量(FH2O)を0.5~4.5mL/分まで変化させたときの、C.glo分生子の発芽率(Relative germination rate)を示すグラフである。
【図10】図3に示すガス供給部を用いた、図1に示す活性種含有液噴射装置による殺菌試験の、導電性液体として硝酸カリウム(KNO3)の水溶液を用い、プラズマ活性ガスの供給量を4L/分とし、(a)噴射時間(te)を5秒とし、導電性液体の単位時間あたりの導入量(Fsol)を3~10mL/分まで変化させたとき、(b)噴射時間(te)を1秒とし、導電性液体の単位時間あたりの導入量(Fsol)を11.5~18mL/分まで変化させたときの、C.glo分生子の発芽率(Relative germination rate)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態の活性種含有液噴射装置を示している。
図1に示すように、活性種含有液噴射装置10は、反応容器11と液体供給部12とガス供給部13とプラズマ発生手段14とを有している。

【0021】
反応容器11は、石英ガラス等のガラスや樹脂等の絶縁物から成る容器であり、細長い筒状を成している。反応容器11は、一方の端面に噴射口11aを有している。噴射口11aは、反応容器11の内部に連通している。

【0022】
液体供給部12は、導電性液体15を連続的に供給するための液体ポンプ21と、導電性液体15を真っ直ぐに噴射するための液体ノズル22と、導電性液体15を流すよう、液体ポンプ21と液体ノズル22とに接続された液体供給管23とを有している。液体ポンプ21は、液体供給管23に流す導電性液体15の量を調整可能になっている。液体ノズル22は、導電性の材質で形成され、反応容器11の内部に導電性液体15を供給可能に、反応容器11の他方の端部に取り付けられている。導電性液体15は、例えば、硝酸ナトリウム(NaNO3)水溶液や、硝酸カリウム(KNO3)水溶液、塩化ナトリウム(NaCl)水溶液、塩化カリウム(KCl)水溶液など、導電性であればいかなるものであってもよい。

【0023】
液体供給部12は、液体ポンプ21から液体ノズル22に向かって、所定の圧力で導電性液体15を送ることにより、導電性液体15を、液体ノズル22から噴射口11aに向かって付勢して連続的に供給可能に設けられている。これにより、液体供給部12は、導電性液体15が噴射口11aに向かって反応容器11の内部を真っ直ぐ流れ、噴射口11aから噴射するようになっている。

【0024】
ガス供給部13は、プラズマとなるガスが封入されたガスボンベ24と、ガスを排出するガス排出部25と、ガスボンベ24からのガスを流すよう、ガスボンベ24とガス排出部25とに接続されたガス供給管26とを有している。ガスボンベ24は、ガス供給管26に流すガスの量を調整可能になっている。ガス排出部25は、反応容器11の内部にガスを供給可能に、反応容器11の他方の端部に取り付けられている。ガスは、図1に示す一例では、空気から成っているが、その他にも、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴンなど、プラズマとなるガスであればいかなるものであってもよく、また、別途生成されたプラズマ中を通過させたガスである「プラズマ活性ガス」であってもよい。

【0025】
プラズマ発生手段14は、反応容器11の外側面に取り付けられた電極27と、電源部28とを有している。電極27は、好ましくは薄いシート状であって、例えば銅箔から成り、反応容器11の外側面に一周巻き付けて取り付けられている。電極27は、反応容器11の内部を流れる導電性液体15と対向する位置に、反応容器11の上下方向の所定の範囲に渡って取り付けられている。電源部28は、液体ノズル22を介して導電性液体15と電極27との間に電圧を印加可能に設けられている。電源部28は、図1に示す一例では、交流電源であるが、直流電源またはパルス電源であってもよい。プラズマ発生手段14は、電源部28で導電性液体15と電極27との間に電圧を印加することにより、反応容器11の内部を流れる導電性液体15の近傍で、プラズマを発生可能になっている。

【0026】
活性種含有液噴射装置10は、反応容器11の内部に、液体供給部12から導電性液体15を供給し、ガス供給部13からガスを供給した状態で、電源部28で導電性液体15と電極27との間に電圧を印加することにより、導電性液体15の近傍でプラズマを発生させてガスおよび/または導電性液体15の活性種を生成するようになっている。また、生成された活性種を含む導電性液体15aを、液体供給部12からの付勢力に従って、生成後すぐに噴射口11aから噴射するようになっている。このとき、活性種含有液噴射装置10は、噴射口11aから噴射する活性種を含む導電性液体15aの噴射範囲が、噴射口11aから離れるに従って、噴射方向に対して横方向に広がるよう構成されている。

【0027】
次に、作用について説明する。
活性種含有液噴射装置10は、導電性液体15を電極として使用することにより、反応容器11の内部に供給された導電性液体15の近傍で、反応容器11の内部に供給されたガスのプラズマを発生させることができる。これにより、供給されたガスの活性種を生成するだけでなく、プラズマ(イオンや電子)が液体に接触することにより、液体の表面や内部で活性種を生成することもできる。また、生成されたガスおよび/または導電性液体15の活性種を、導電性液体15の内部や表面に容易に取り込むことができる。その活性種を含む導電性液体15aを、活性種を生成後すぐに噴射口11aから噴射することができるため、寿命の短い活性種であっても、失活する前に対象物に付着させることができる。これにより、液体中の活性種による高い殺菌効果が得られ、プラズマによる活性ガスをそのまま噴射する場合と比べて、より優れた殺菌効果を得ることができる。

【0028】
活性種含有液噴射装置10は、液体ポンプ21により導電性液体15を反応容器11の内部に連続的に供給するため、活性種を生成しながら、連続して活性種を含む導電性液体15aを噴射することができる。また、導電性液体15を電極として利用するため、比較的簡単に構成することができ、製造コストを低減することができる。また、噴射方向に対して横方向に広がるよう噴射するため、やや広い範囲に活性種を含む導電性液体15aを噴射することができ、所定の範囲に殺菌作業を行うときの作業効率を高めることができる。

【0029】
活性種含有液噴射装置10は、例えば、農業分野で、植物や土壌、肥料等に付着した病原体や害虫の殺菌や駆除を行うために使用することができる。活性種を含む導電性液体15aを噴射するため、植物等に液滴が付着していなくても、液体中の活性種による優れた殺菌効果を得ることができる。また、活性種含有液噴射装置10は、活性種を含む導電性液体15aを噴射するため、風などで拡散しにくく、野外であっても高い殺菌効果を維持することができる。なお、活性種含有液噴射装置10は、高い殺菌効果を維持するために、噴射口11aから噴射対象物に達するまでの噴射時間が1秒以下の条件で使用されることが好ましい。

【0030】
図2は、本発明の第2の実施の形態の活性種含有液噴射装置を示している。
図2に示すように、活性種含有液噴射装置30は、反応容器11と液体供給部12とガス供給部13(図示せず)とプラズマ発生手段14と圧力調整手段(図示せず)とを有している。なお、以下の説明では、本発明の第1の実施の形態の活性種含有液噴射装置10と同一の構成には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。

【0031】
液体供給部12は、液体31を連続的に供給するための液体ポンプ21と、その液体31を流すよう、一端が液体ポンプ21に接続された液体供給管23とを有している。液体ポンプ21は、液体供給管23に流す液体31の量を調整可能になっている。液体供給管23は、他端が反応容器11の他方の端部まで伸びている。液体31は、図2に示す一例では、水から成っているが、水以外の液体であってもよい。

【0032】
プラズマ発生手段14は、反応容器11の内部に配置された第1電極32と、反応容器11の外側面の第1電極32に対向する位置に取り付けられた第2電極33と、第1電極32と第2電極33との間に電圧を印加可能に設けられた電源部28とを有している。第1電極32は、筒状を成し、反応容器11の他端から噴射口11aに向かって伸びるよう配置されている。また、第1電極32は、側面の一部が第2電極33と対向するよう配置されており、第2電極33と対向する側面に1または複数の孔32aを有している。図2に示す一例では、第1電極32は、第2電極33と対向する部分がコイル状であるが、その他にも、その部分の側面が網状やメッシュ状、格子状であってもよく、また、その部分の側面に1または複数のスリットが設けられていてもよい。

【0033】
第2電極33は、好ましくは薄いシート状であって、例えば銅箔から成り、反応容器11の外側面に一周巻き付けて取り付けられている。第2電極33は、反応容器11の内部の第1電極32に対向する位置に、反応容器11の上下方向の所定の範囲に渡って取り付けられている。電源部28は、図2に示す一例では、交流電源であるが、直流電源またはパルス電源であってもよい。

【0034】
プラズマ発生手段14は、第1電極32の一端に液体供給管23の他端が接続され、液体供給部12から供給される液体31が第1電極32の内側面に接触しながら、第1電極32の内側を通過するようになっている。これにより、プラズマ発生手段14は、反応容器11の内部を流れる液体31の近傍で、プラズマを発生可能になっている。

【0035】
圧力調整手段は、第1電極32の内側に供給された液体31が、第1電極32の側面の孔32aから漏れないよう、反応容器11の内部を、1気圧より高い圧力に調整可能に設けられている。図2に示す一例では、圧力調整手段は、反応容器11の内部を、1気圧より高く、2気圧以下の圧力に調整している。

【0036】
活性種含有液噴射装置30は、反応容器11の内部に、液体供給部12から液体31を供給し、ガス供給部13からガスを供給した状態で、電源部28で第1電極32と第2電極33との間に電圧を印加することにより、液体31の近傍でプラズマを発生させてガスおよび/または液体31の活性種を生成するようになっている。また、活性種含有液噴射装置10は、生成された活性種を、第1電極32の側面の孔32aから、第1電極32の内側を通過する液体31に取り込み、その活性種を含む液体31aを、生成後すぐに、第1電極32の他端を通って噴射口11aから噴射するようになっている。

【0037】
次に、作用について説明する。
活性種含有液噴射装置30は、反応容器11の内部に供給された液体31と接触する第1電極32を使用することにより、その液体31の近傍で、反応容器11の内部に供給されたガスのプラズマを発生させることができる。これにより、供給されたガスの活性種を生成するだけでなく、プラズマ(イオンや電子)が液体に接触することにより、液体の表面や内部で活性種を生成することもできる。また、生成されたガスおよび/または液体31の活性種を、その液体31の内部や表面に容易に取り込むことができる。その活性種を含む液体31aを、活性種を生成後すぐに噴射口11aから噴射することができるため、寿命の短い活性種であっても、失活する前に対象物に付着させることができる。これにより、液体31中の活性種による高い殺菌効果が得られ、プラズマによる活性ガスをそのまま噴射する場合と比べて、より優れた殺菌効果を得ることができる。

【0038】
活性種含有液噴射装置30は、液体31として水を使用することにより、反応容器11の内部に供給された水の一部が蒸発して、OHラジカルが生成されるため、ガスの活性種だけでなくOHラジカルによる殺菌効果も得られ、殺菌効果を高めることができる。また、圧力調整手段により、反応容器11の内部を、1気圧より高い圧力に調整しておくことにより、液体31が第1電極32の孔32aから漏れて、プラズマの発生効率や活性種の生成効率が低下するのを防ぐことができる。

【0039】
なお、図3に示すように、ガス供給部13は、プラズマ活性ガスを発生させ、そのプラズマ活性ガスを反応容器11の内部に供給可能に構成されていてもよい。図3に示す一例では、ガス供給部13は、プラズマとなるガスが封入されたガスボンベ41と、ガスボンベ41からのガスが供給される石英チューブ42と、石英チューブ42の内部に挿入された、タングステン製のコイルから成る内部電極43と、石英チューブ42の外側面に巻き付けられた銅箔製の外部電極44と、内部電極43と外部電極44との間に交流電圧を印加可能に設けられた交流電源45とを有している。ガス供給部13は、ガスボンベ41から石英チューブ42の内部にガスを供給し、交流電源45で内部電極43と外部電極44との間に交流電圧を印加することにより、石英チューブ42の内部でプラズマを発生し、その発生したプラズマ中を通過してきたプラズマ活性ガスを、ガス供給管26を通して反応容器11の内部に供給するようになっている。なお、ガスボンベ41から供給されるガスは、図3に示す一例では、空気から成っているが、その他にも、窒素、酸素、ヘリウム、アルゴンなど、プラズマとなるガスであればいかなるものであってもよい。
【実施例1】
【0040】
図1に示す活性種含有液噴射装置10を使用して、イチゴ炭疽病菌の一種であるColletotrichum gloeosporioides (C.glo)に対して、様々な条件による殺菌試験を行った。C.glo分生子は水中で発芽するため、試験では、発芽前のC.glo分生子を添加した懸濁液に向かって活性種を含む導電性液体15aを照射し、所定時間経過後のC.glo分生子の発芽状態を調べた。懸濁液として、蒸留水中に、発芽前のC.glo分生子を、1~2×107 conidia/mlの濃度で添加したものを、50μl使用した。また、噴射口11aと懸濁液の表面との距離は、5cmとした。
【実施例1】
【0041】
また、試験では、交流電源から成る電源部28の印加電圧を20kV、周波数を8.3kHzとし、プラズマの放電電力を40Wとした。以下では、液体供給部12からの導電性液体15の単位時間あたりの導入量や導電性液体15の種類、ガス供給部13からのガス(空気)の供給量、活性種を含む導電性液体15aの噴射時間を変えて試験を行い、噴射を停止してから3日経過後のC.glo分生子の発芽状態を観察した。
【実施例1】
【0042】
まず、導電性液体15として硝酸ナトリウム(NaNO3)水溶液を用い、空気の供給量を4L/分とし、噴射時間と導電性液体15の単位時間あたりの導入量とを変化させて試験を行った。噴射時間(te)および導電性液体15の単位時間あたりの導入量(Fsol)がそれぞれ、[5秒、7.3mL/分]、[10秒、7.3mL/分]、[5秒、12.1mL/分]、[10秒、12.1mL/分]の4通りについて試験を行った。なお、使用した硝酸ナトリウム(NaNO3)水溶液は、濃度が25mM、pHが3である。試験結果を、図4に示す。なお、以下の試験結果の図では、白色のものが、C.glo分生子が発芽したものである。
【実施例1】
【0043】
図4に示すように、導電性液体15の単位時間あたりの導入量が少ない図4(a)および(b)の方が、導入量が多い図4(c)および(d)のものよりも、C.glo分生子の発芽が少なく、殺菌効果が高いことが確認された。これは、導電性液体15の単位時間あたりの導入量が少なくなると、導電性液体15の流速が小さくなり、プラズマと導電性液体15との接触時間が長くなることで、導電性液体15の中で活性種が発生しやすくなるためであると考えられる。また、図4(a)に示すように、噴射時間が5秒でも、殺菌効果が得られていることも確認された。
【実施例1】
【0044】
次に、導電性液体15として硝酸ナトリウム(NaNO3)水溶液を用い、噴射時間を5秒とし、空気の供給量と導電性液体15の単位時間あたりの導入量とを変化させて試験を行った。空気の供給量(Fair)および導電性液体15の単位時間あたりの導入量(Fsol)がそれぞれ、[4L/分、6.4mL/分]、[4L/分、7.3mL/分]、[6L/分、7.3mL/分]、[8L/分、7.3mL/分]の4通りについて試験を行った。なお、使用した硝酸ナトリウム(NaNO3)水溶液は、濃度が25mM、pHが3である。試験結果を、図5に示す。
【実施例1】
【0045】
図5に示すように、空気の供給量が少ない図5(b)の方が、供給量が多い図5(c)や(d)のものよりも、C.glo分生子の発芽が少なく、殺菌効果が高いことが確認された。また、導電性液体15の単位時間あたりの導入量が少ない図5(a)の方が、導入量が多い図5(b)のものよりも、C.glo分生子の発芽が少なく、殺菌効果が高いことが確認された。これらは、空気や導電性液体15の供給量が少なくなると、それらの流速が小さくなり、プラズマと導電性液体15との接触時間が長くなることで、導電性液体15の中で活性種が発生しやすくなるためであると考えられる。
【実施例1】
【0046】
次に、導電性液体15として、植物の肥料として利用可能な硝酸カリウム(KNO3)の水溶液を用い、噴射時間を5秒とし、空気の供給量と導電性液体15の単位時間あたりの導入量とを変化させて試験を行った。空気の供給量(Fair)および導電性液体15の単位時間あたりの導入量(Fsol)がそれぞれ、[4L/分、6.4mL/分]、[4L/分、7.3mL/分]、[6L/分、7.3mL/分]、[8L/分、7.3mL/分]の4通りについて試験を行った。なお、使用した硝酸カリウム(KNO3)水溶液は、濃度が25mM、pHが3である。試験結果を、図6に示す。
【実施例1】
【0047】
図6に示すように、空気の供給量が少ない図6(b)の方が、供給量が多い図6(c)や(d)のものよりも、C.glo分生子の発芽が少なく、殺菌効果が高いことが確認された。また、導電性液体15の単位時間あたりの導入量が少ない図6(a)の方が、導入量が多い図6(b)のものよりも、C.glo分生子の発芽が少なく、殺菌効果が高いことが確認された。これらは、空気や導電性液体15の供給量が少なくなると、それらの流速が小さくなり、プラズマと導電性液体15との接触時間が長くなることで、導電性液体15の中で活性種が発生しやすくなるためであると考えられる。このように、硝酸カリウム(KNO3)水溶液を使用することにより、肥料としての効果だけでなく、殺菌効果も得られ、農業分野において優れた効果を発揮することが確認された。また、図4~図6に示すように、噴射時間を数分以上とする特許文献1に記載の装置と比べて、10秒以下の非常に短い時間で、優れた殺菌効果が得られることが確認された。
【実施例2】
【0048】
図1に示す活性種含有液噴射装置10を使用して、噴射口11aから噴射される活性種を含む導電性液体15aについて、過酸化水素濃度の測定試験を行った。活性種の一種であるOHラジカルの生成量が多くなると、過酸化水素の濃度が高くなるため、OHラジカルの生成量の傾向を把握するために本試験を行った。試験では、噴射口11aから3cmの位置で、噴射された液体(活性種を含む導電性液体15a)を5秒間採取した。採取した液体を45秒保持した後、(株)共立理化学研究所製「パックテスト」により、過酸化水素(H2O2)の濃度を定量評価した。反応時間は1分とした。
【実施例2】
【0049】
なお、導電性液体15として、濃度100mM、pH2.4の硝酸カリウム(KNO3)水溶液を用いた。また、交流電源から成る電源部28の印加電圧を20kV、周波数を8.3kHzとし、プラズマの放電電力を40Wとした。また、空気の供給量を4L/分とし、導電性液体15の単位時間あたりの導入量を、2.5mL/分~10mL/分の範囲で変化させて、各導入量(Water flow rate)に対する過酸化水素の濃度(Concentration)の測定を行った。試験結果を、図7に示す。
【実施例2】
【0050】
図7に示すように、測定範囲内では、過酸化水素が発生しており、OHラジカルが生成されていることが確認された。また、3.5mL/分~10mL/分の範囲では、導電性液体15の単位時間あたりの導入量が少ないほど、概ね過酸化水素の濃度が高くなっており、OHラジカルの生成量が多くなっていることが確認された。これは、導電性液体15の単位時間あたりの導入量が少なくなると、導電性液体15の流速が小さくなり、プラズマと導電性液体15との接触時間が長くなることで、導電性液体15の中で活性種が発生しやすくなるためであると考えられる。
【実施例3】
【0051】
図2に示す活性種含有液噴射装置30を使用して、実施例2と同様に、噴射口11aから噴射される活性種を含む液体31aについて、過酸化水素濃度の測定試験を行った。試験では、噴射口11aから10cmの位置で、噴射された液体(活性種を含む液体31a)を5秒間採取した。採取した液体を1分保持した後、(株)共立理化学研究所製「パックテスト」により、過酸化水素(H2O2)の濃度を定量評価した。反応時間は1分とした。
【実施例3】
【0052】
なお、交流電源から成る電源部28の印加電圧を20kV、周波数を8.3kHzとし、プラズマの放電電力を40Wとした。また、空気の供給量を6L/分とし、液体(水)31の単位時間あたりの導入量を、約2mL/分~約11mL/分の範囲で変化させて、各導入量(Water flow rate)に対する過酸化水素の濃度(Concentration)の測定を行った。試験結果を、図8に示す。
【実施例3】
【0053】
図8に示すように、測定範囲内では、過酸化水素が発生しており、OHラジカルが生成されていることが確認された。また、水の単位時間あたりの導入量が少ないほど、概ね過酸化水素の濃度が高くなっており、OHラジカルの生成量が多くなっていることが確認された。これは、水の単位時間あたりの導入量が少なくなると、水の流速が小さくなり、プラズマと水との接触時間が長くなることで、水の中で活性種が発生しやすくなるためであると考えられる。
【実施例4】
【0054】
図3に示すガス供給部13を用いた、図2に示す活性種含有液噴射装置30を使用して、イチゴ炭疽病菌の一種であるColletotrichum gloeosporioides (C.glo)に対して、殺菌試験を行った。C.glo分生子は水中で発芽するため、試験では、発芽前のC.glo分生子を添加した懸濁液に向かって活性種を含む液体31aを照射し、所定時間経過後のC.glo分生子の発芽状態を調べた。懸濁液として、蒸留水中に、発芽前のC.glo分生子を、1.0×107 個/mlの濃度で添加したものを、50μl使用した。また、噴射口11aと懸濁液の表面との距離は、9cmとした。
【実施例4】
【0055】
また、試験では、交流電源から成る電源部28の印加電圧を20kV、周波数を8.3kHzとした。また、ガス供給部13から供給されるプラズマ活性ガスの組成を、表1に示す組成とした。
【実施例4】
【0056】
【表1】
JP2019040863A_000003t.gif
【実施例4】
【0057】
まず、液体31として水を用い、ガス供給部13からのプラズマ活性ガスの供給量を4L/分、活性種を含む液体31aの噴射時間(te)を10秒とし、液体31の単位時間あたりの導入量(FH2O)を0.5~4.5mL/分まで変化させたときの、噴射を停止してから30分経過後のC.glo分生子の発芽率(Relative germination rate)を測定した。その測定結果を、図9に示す。
【実施例4】
【0058】
図9に示すように、液体31の単位時間あたりの導入量(FH2O)が0.5~4.5mL/分のとき、C.glo分生子の発芽率が5%以下と非常に小さくなっており、殺菌効果が高いことが確認された。
【実施例4】
【0059】
次に、図3に示すガス供給部13を用いた、図1に示す活性種含有液噴射装置10を使用して、C.gloに対して、同様の殺菌試験を行った。導電性液体15として、植物の肥料として利用可能な硝酸カリウム(KNO3)の水溶液(100 mM、pH 3.0)を用い、ガス供給部13からのプラズマ活性ガスの供給量を4L/分、活性種を含む導電性液体15aの噴射時間(te)を5秒とし、導電性液体15の単位時間あたりの導入量(Fsol)を3~10mL/分まで変化させたときの、噴射を停止してから30分経過後のC.glo分生子の発芽率(Relative germination rate)を測定した。その測定結果を、図10(a)に示す。
【実施例4】
【0060】
また、導電性液体15として、植物の肥料として利用可能な硝酸カリウム(KNO3)の水溶液(100 mM、pH 3.0)を用い、ガス供給部13からのプラズマ活性ガスの供給量を4L/分、活性種を含む導電性液体15aの噴射時間(te)を1秒とし、導電性液体15の単位時間あたりの導入量(Fsol)を11.5~18mL/分まで変化させたときの、噴射を停止してから10分経過後のC.glo分生子の発芽率(Relative germination rate)を測定した。その測定結果を、図10(b)に示す。なお、他の試験条件は、図9での試験条件と同じ条件とした。
【実施例4】
【0061】
図10(a)に示すように、導電性液体15の単位時間あたりの導入量(Fsol)が3~10mL/分のとき、噴射時間(te)が5秒と短くても、C.glo分生子の発芽率が25%以下と小さくなっており、殺菌効果が高いことが確認された。また、図10(b)に示すように、導電性液体15の単位時間あたりの導入量(Fsol)が11.5~18mL/分のとき、噴射時間(te)が1秒とさらに短くても、C.glo分生子の発芽率が10%以下と非常に小さくなっており、殺菌効果が高いことが確認された。このように、硝酸カリウム(KNO3)水溶液を使用することにより、肥料としての効果だけでなく、殺菌効果も得られ、農業分野において優れた効果を発揮することが確認された。また、図9および図10に示すように、噴射時間を数分以上とする特許文献1に記載の装置と比べて、10秒以下の非常に短い時間で、優れた殺菌効果が得られることが確認された。
【符号の説明】
【0062】
10 活性種含有液噴射装置
11 反応容器
11a 噴射口
12 液体供給部
21 液体ポンプ
22 液体ノズル
23 液体供給管
13 ガス供給部
24 ガスボンベ
25 ガス排出部
26 ガス供給管
14 プラズマ発生手段
27 電極
28 電源部
15 導電性液体
15a 活性種を含む導電性液体

30 活性種含有液噴射装置
31 液体
31a 活性種を含む液体
32 第1電極
32a 孔
33 第2電極

41 ガスボンベ
42 石英チューブ
43 内部電極
44 外部電極
45 交流電源
Drawing
(In Japanese)【図1】
0
(In Japanese)【図2】
1
(In Japanese)【図3】
2
(In Japanese)【図4】
3
(In Japanese)【図5】
4
(In Japanese)【図6】
5
(In Japanese)【図7】
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(In Japanese)【図8】
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(In Japanese)【図9】
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(In Japanese)【図10】
9