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明細書 :金複合材料、その製造方法及び金ナノ触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成31年1月10日(2019.1.10)
発明の名称または考案の名称 金複合材料、その製造方法及び金ナノ触媒
国際特許分類 B01J  23/68        (2006.01)
B01J  37/03        (2006.01)
B01J  35/10        (2006.01)
FI B01J 23/68 Z
B01J 37/03 A
B01J 35/10 301J
B01J 35/10 301H
B01J 23/68 M
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 20
出願番号 特願2018-504527 (P2018-504527)
国際出願番号 PCT/JP2017/009072
国際公開番号 WO2017/154927
国際出願日 平成29年3月7日(2017.3.7)
国際公開日 平成29年9月14日(2017.9.14)
優先権出願番号 2016046360
2016121460
優先日 平成28年3月9日(2016.3.9)
平成28年6月20日(2016.6.20)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】春田正毅
【氏名】村山徹
【氏名】吉田拓也
出願人 【識別番号】305027401
【氏名又は名称】公立大学法人首都大学東京
個別代理人の代理人 【識別番号】100150876、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 裕一郎
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
Fターム 4G169AA03
4G169BA45A
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB07A
4G169BB07B
4G169BC06B
4G169BC33A
4G169BC33B
4G169BC54A
4G169BC55A
4G169BC55B
4G169BC56A
4G169BC59A
4G169BC60A
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4G169BD05B
4G169CA07
4G169CA14
4G169CB07
4G169CB72
4G169CB74
4G169DA06
4G169EA01Y
4G169EB18X
4G169EB18Y
4G169EB19
4G169EC02X
4G169EC02Y
4G169EC03X
4G169EC03Y
4G169EC04X
4G169EC06X
4G169EC07X
4G169EC07Y
4G169EC21X
4G169FA02
4G169FB15
要約 【課題】従来の金ナノ粒子触媒よりも触媒活性が高く、新規な金複合材料、その製造方法及びそれを用いた金ナノ触媒を提供すること。
【解決手段】 担体と該担体上に担持された金微粒子とからなる金複合材料であって、上記担体が、酸性の固体金属酸化物であることを特徴とする金複合材料、及び金複合材料の製造方法であって、酸性の固体金属酸化物と金コロイド溶液とを用いて金微粒子の担持を行う担持工程を具備し、上記担持工程においては、上記固体金属酸化物として、比表面積が20m/g以上の高比表面積のものを用い、上記金コロイド溶液として、粒径5nm以下の金粒子を含有する金コロイド溶液を用いることを特徴とする金複合材料の製造方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
担体と該担体上に担持された金微粒子とからなる金複合材料であって、
上記担体が、酸性の固体金属酸化物であることを特徴とする金複合材料

【請求項2】
上記固体金属酸化物が、
酸化ニオブ、ポリオキソメタレート、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化バナジウムからなる群より選択される一種以上であることを特徴とする請求項1記載の金複合材料。

【請求項3】
担持されている上記金微粒子の粒径が、5nm以下であることを特徴とする請求項1記載の金複合材料。

【請求項4】
上記固体金属酸化物の比表面積が20m/g以上であることを特徴とする請求項1記載の金複合材料。

【請求項5】
上記担体上に担持された上記金微粒子の密度が2μmol・m-2以下であることを特徴とする請求項4記載の金複合材料。

【請求項6】
上記固体金属酸化物は、該固体金属酸化物を構成する結晶格子により形成された結晶構造体であり、一つの結晶格子により形成されるか又は複数の結晶格子が集合して形成される格子点と該格子点の周囲に形成される空隙とを有し、該空隙は各格子点又は該結晶格子と同様の大きさを有する通常空隙と、各格子点よりも大きい大空隙とを有する
ことを特徴とする請求項1記載の金複合材料。

【請求項7】
上記大空隙の容量(メソ孔容量)が0.1cm3/g以上である
ことを特徴とする請求項6記載の金複合材料。

【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載の金複合材料からなり、
バイオマス由来の成分の酸化に用いられる
金ナノ触媒。

【請求項9】
請求項1記載の金複合材料の製造方法であって、
酸性の固体金属酸化物と金コロイド溶液とを用いて金微粒子の担持を行う担持工程を具備し、
上記担持工程においては、
上記固体金属酸化物として、比表面積が20m/g以上の高比表面積のものを用い、
上記金コロイド溶液として、粒径5nm以下の金粒子を含有する金コロイド溶液を用いることを特徴とする金複合材料の製造方法。

【請求項10】
請求項1記載の金複合材料からなる、有機化合物の酸化反応用の金ナノ触媒。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の金ナノ粒子触媒よりも触媒活性が高く、新規な金複合材料、その製造方法及びそれを用いた金ナノ触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
金はナノ粒子として担体に担持すると高い触媒能を示すことが知られており、種々の金ナノ粒子触媒が提案されている。
【0003】
例えば特許文献1には、金ナノ粒子を担持する担体の卑金属酸化物として、卑金属酸化物はMoO3及びCuOからなる群より選択される1種以上であるか、あるいはそれらを1種類以上含む複合酸化物を選択することにより、エタノールからアセトアルデヒドを気相で選択的に製造することができる、金ナノ触媒が提案されている。
【0004】
また、特許文献2には、ピリジン化合物の製造において用いる触媒として、担体表面に金ナノ粒子を固定化した表面金固定化触媒を用いることが開示されており、この表面金固定化触媒として、ハイドロキシアパタイト(HAP)、チタニア(TiO2)、アルミナ(Al23)、マグネシア(MgO)、シリカ(SiO2)、セリア(CeO2)、活性炭(C)等を担体として用いることを開示している。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2015-178525号公報
【特許文献2】特開2012-121844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の提案にかかる金ナノ粒子が担持された粒子では、活性が不十分な場合や適用できる反応系が少ないなど、未だに十分な触媒活性を得られているとは言えない場合があった。
したがって本発明の目的は、従来の金ナノ粒子触媒よりも触媒活性が高く、新規な金複合材料、その製造方法及びそれを用いた金ナノ触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、担体が酸性の物質であれば今までの触媒とは異なる挙動が得られ、上記の課題を解消できると期待し、これまでは製造できないとされていた酸性の担体に金微粒子を担持させてなる金複合材料の製造方法について種々検討を重ねた結果、数ある製造方法のうち、あらかじめ金微粒子のコロイド溶液を作成して酸性の金属酸化物と反応させる方法により、酸性の担体に金微粒子を担持させてなる金複合材料が得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、以下のとおりである。
1. 担体と該担体上に担持された金微粒子とからなる金複合材料であって、
上記担体が、酸性の固体金属酸化物であることを特徴とする金複合材料

2.上記固体金属酸化物が、
酸化ニオブ、ポリオキソメタレート、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化バナジウムからなる群より選択される一種以上であることを特徴とする1記載の金複合材料。
3.担持されている上記金微粒子の粒径が、5nm以下であることを特徴とする1記載の金複合材料。
4.上記固体金属酸化物の比表面積が20m/g以上であることを特徴とする1記載の金複合材料。
5.上記担体上に担持された上記金微粒子の密度が2μmol・m-2以下であることを特徴とする請求項4記載の金複合材料。
6.上記固体金属酸化物は、該固体金属酸化物を構成する結晶格子により形成された結晶構造体であり、一つの結晶格子により形成されるか又は複数の結晶格子が集合して形成される格子点と該格子点の周囲に形成される空隙とを有し、該空隙は各格子点又は該結晶格子と同様の大きさを有する通常空隙と、各格子点よりも大きい大空隙とを有する
ことを特徴とする1記載の金複合材料。
7.上記大空隙の容量(メソ孔容量)が0.1cm3/g以上であることを特徴とする6記載の金複合材料。
8.1~7のいずれかに記載の金複合材料からなり、バイオマス由来の成分の酸化に用いられる金ナノ触媒。
9.1記載の金複合材料の製造方法であって、
酸性の固体金属酸化物と金コロイド溶液とを用いて金微粒子の担持を行う担持工程を具備し、
上記担持工程においては、
上記固体金属酸化物として、比表面積が20m/g以上の高比表面積のものを用い、
上記金コロイド溶液として、粒径5nm以下の金粒子を含有する金コロイド溶液を用いることを特徴とする金複合材料の製造方法。
10.1記載の金複合材料からなる、有機化合物の酸化反応用の金ナノ触媒。
【発明の効果】
【0009】
本発明の金複合材料は、新規な複合材料であり、触媒として従来の金ナノ粒子触媒よりも触媒活性が高いものである。
また、本発明の金複合材料の製造方法は、従来製造が困難だとされていた本発明の金複合材料を簡易且つ簡便に製造できるものである。
また、本発明の金ナノ触媒は高い触媒活性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、図1は、実施例1で得られた金複合材料のTEMによる表面写真(図面代用写真)である。
【図2】図2は、実施例1で得られた金複合材料のCO酸化反応結果を示すチャートである。
【図3】図3は、実施例2で得られた金複合材料のCO酸化反応結果を示すチャートである。
【図4】図4は、実施例4における担体の比表面積と触媒活性との関係を示すチャートである。
【図5】図5は、実施例4における金密度と触媒活性との関係を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
本発明の金複合材料は、担体と該担体上に担持された金微粒子とからなる金複合材料であり、上記担体が、酸性の固体金属酸化物であることを特徴とする。
<担体>
本発明において用いられる上記担体は、酸性の固体金属酸化物である。
ここで、「酸性」であるとは、本明細書においては、等電点のpHが5以下であることを意味する。
上記の酸性の固体金属酸化物としては、具体的には以下の化合物を挙げることができる。
酸化ニオブ、ポリオキソメタレート(具体的にはたとえばケイタングステン酸,ケイモリブデン酸,リンタングステン酸,リンモリブデン酸,モリブデン酸アンモニウム,タングステン酸アンモニウム等)酸化タングステン、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化バナジウム等。
中でも、酸化ニオブ、ポリオキソメタレート、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化バナジウムからなる群より選択される一種以上が特に好ましく用いられるである。
上記担体の形状は特に制限されないが、複雑な3次元構造を有しているのが好ましく、特に酸化ニオブ、ポリオキソメタレート、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化モリブデン、酸化バナジウム においては、MO4四面体、MO5正方錘、MO6六面体またはMO5三方両錘からなる基本単位において、脱水縮合反応により酸素原子が基本単位間を架橋し、頂点、稜または面を介して結合してなる3次元構造体であるのが好ましい。また、これらの中でも特に水熱反応により得られた酸化ニオブが、触媒活性が高く、好ましい。本発明においては、上記担体の比表面積が20~500m/gであるのが好ましく、比表面積が100~300m/gであるのがさらに好ましく、比表面積が150~300m/gであるのが最も好ましい。このように、好ましくは特定の比表面積を有し、更には複雑な3次元構造を有する場合に、上述の酸性の固体金属酸化物であっても金微粒子が担持されることを見出した点が本発明の完成に大きく寄与したものである。
また、上記担体の粒径は、平均粒子径で5~1000nmであるのが好ましく、5~500nmであるのがさらに好ましい。
ここで、担体の比表面積及び平均粒子径は、以下のようにして測定される。
・比表面積
担体の比表面積の測定は、マイクロトラックベル社製の高精度ガス吸着量測定装置を用いて行った。担体0.2gを反応器にセットし、前処理温度は300℃2時間とした。液体窒素温度にて窒素吸着等温線を測定し、BET 法により算出した。
・平均粒子径
透過型電子顕微鏡(日本電子社製)にて金担持サンプルを測定した。具体的には、サンプルをエタノールに超音波分散させ、マイクログリッド上に滴下することにより、調製を行った。金の平均粒子径の算出は、200個以上の金粒子の直径を算出し、これらの平均値を求めることで行った。

【0012】
上記固体金属酸化物は、該固体金属酸化物を構成する結晶格子により形成された結晶構造体であり、一つの結晶格子により形成されるか又は複数の結晶格子が集合して形成される格子点と該格子点の周囲に形成される空隙とを有し、該空隙は各格子点又は該結晶格子と同様の大きさを有する通常空隙と、各格子点よりも大きい大空隙とを有するのが好ましい。
ここで、上記結晶格子は上記固体金属酸化物を構成する各原子又は分子を意味し、格子点は通常これらの原子や分子の集合体において各原子や分子の連結点を意味する。
上記大空隙の容量(メソ孔容積)は0.1 cm/g 以上であるのが好ましく、
0.2~ 0.7cm/gであるのがさらに好ましい。
ここで上記メソ孔容積は、吸着質が脱離するときの相対圧と吸着量の関 係である脱着等温線から細孔径を求める BJH 法(E. P. Barrett, L. G. Joyner, P. H. Halenda : J. Am. Chem. Soc., 73, 373 (1951))により算出した。

【0013】
<金微粒子>
本発明における金微粒子は、上記担体上に担持されたいわゆる金ナノ粒子又は金クラスター粒子であり、その粒径が、5nm以下であるのが好ましく、0.1~2nmであるのがさらに好ましい。なお、上記の粒径は、担持される金微粒子の全てが上述の粒径を有するという意味ではなく、上記の好ましい範囲の粒径を有する金微粒子を担持していれば良いという意味である。
ここで、金微粒子の粒径は、平均粒子径であって、担体に担持されている金微粒子個々の粒径を、TEMにより確認される金微粒子の粒径を目視により基準長さと照らし合わせて算出し、常法に従い平均値を算出することで求められる。
本発明の金複合材料における上記金微粒子の含有量は、金複合材料全体中 0.01~10 重量%であるのが好ましく、0.05~5重量%がさらに好ましく、0.1 ~ 2重量%であるのが最も好ましい。
また、上記金微粒子の密度は、好ましくは2μmol・m-2以下、更に好ましくは0.1~0.15μmol・m-2である。この密度は、特に上記担体の比表面積が上述の好ましい範囲の場合に特に有効であり、少ない金密度でも活性が増大するという点で特に効果的である。
なお、上記密度は以下のようにして求められる。
金微粒子の密度=金担持量(重量%)/100/197(金の分子量,g/mol)/担体の比表面積(m/g)

【0014】
<構造>
本発明の金複合材料において、上記金微粒子は上記担体の表面に担持されているが、上述のように担体が3次元構造体である場合、担体内部に空洞が生じている場合もあり、その場合には金微粒子は当該空洞内の担体表面に担持されていてもよい。

【0015】
<製造方法>
上述の本発明の金複合材料は、以下の工程を行うことにより製造することができる。
すなわち、酸性の固体金属酸化物と金コロイド溶液とを用いて金微粒子の担持を行う担持工程を行う(以下、この製造方法をコロイド法という)ことにより得ることができる。なお、本発明の製造方法であり、上述の本発明の金複合材料の製造方法としては、特に好ましい方法であるので、以下コロイド法を主に説明するが、本発明の金複合材料は、実施例にて詳述する、析出還元法(DP法)、析出沈殿法(DR法)、DPウレア法、固相混合法(SG法)、共同沈殿法(One-pot法)等の方法で得ることもできる。
(担持工程)
上記担持工程においては、上記固体金属酸化物として、比表面積が好ましくは20m/g以上、更に好ましくは100m/g以上、より好ましくは150m/g以上の高比表面積のものを用い、上記金コロイド溶液として、粒径5nm以下、好ましくは0.5~3nmの金粒子を含有する金コロイド溶液を用いる。比表面積が上記範囲外の場合及び金粒子の粒径が5nmを超える場合には、金微粒子が担持されなくなる。
そして、上記金コロイド溶液に上記固体金属酸化物100重量部に対して金を好ましくは0.01~20重量部、更に好ましくは0.1~5重量部添加し、撹拌して懸濁液とし、かかる懸濁液のpHを8~11に水酸化ナトリウムなどを用いて調整しつつ30分~2時間撹拌混合する。ついで、水素化ホウ素ナトリウムを懸濁液中の金100重量部に対して50~200重量部添加して懸濁液を吸引ろ過した後洗浄し、60~100℃にて乾燥させた後、200~500℃にて2~10時間空気中で焼成して、固体金属酸化物の表面に金微粒子が担持されてなる金複合材料を得ることができる。
また、上記固体金属酸化物や上記金コロイド溶液は以下の様にして製造することができる。
(固体金属酸化物の製造工程)
例えば、酸化ニオブを得る場合には、NH4{NbO(C242(H2O)}・nH2O(Nb:6mmol)を水に溶解し、150~300℃にて10~30時間水熱合成を行い、得られた固体を吸引ろ過した後、50~100℃にて乾燥し、350~500℃にて1~4時間熱処理することで得ることができる。
(金コロイド溶液の製造工程)
上記金コロイド溶液は、水中でコロイドを形成する化合物を水中に溶解させることにより形成することができる。この際用いることができる化合物としてはテトラクロロ金酸、HAuCl4、Au(en)Cl等(en:エチレンジアミン基)を用いることができ、通常はこのテトラクロロ金酸のトルエン溶液とテトラオクチルアンモニウムブロミドのトルエン溶液とを水素化ホウ素ナトリウムの存在下に水中に投入することにより得ることができる。また、HAuClを用いる場合には、テトラオクチルアンモニウムブロミドのトルエン溶液をHAuClと共に水素化ホウ素防鼠ナトリウムの存在下に水中に投入することにより得ることができる。また、Au(en)Clについては、そのまま水中に投入することにより得ることができる。なお、水素化ホウ素ナトリウムは上述のように担持させる際に添加し、コロイド化においては特に添加しないで金コロイド溶液を調整することもできる。
上記金コロイド溶液における上記金粒子の濃度は、0.1~20重量%となるようにするのが好ましく、0.5~5重量%となるようにするのがさらに好ましい。

【0016】
<金ナノ触媒>
本発明の金ナノ触媒は、上述の本発明の金複合材料からなり、有機化合物の酸化反応用の触媒として機能する。本発明の金ナノ触媒は、有機化合物の酸化反応であれば特に制限なく用いる事ができるが、特に下記の反応系に好ましく適用することができる。
(適用反応系)
・CO酸化反応
CO+1/2O→CO
・グルコース酸化
6126+1/2O→ C6127
・グリセロールの酸化
383+1/2O→ C363(グリセルアルデヒド)+H2
383+1/2O→ C363(ジヒドロキシアセトン)+H2
・フルフラールの酸化
(C43O)CHO+1/2O→(C43O)COOH(2-フランカルボン酸)
・5-ヒドロキシメチルフルフラールの酸化
663+3/2O→C645 (2,5-フランジカルボン酸) +H2
(有効濃度)
本発明の触媒は、反応の対象物質である上記有機化合物(COやグルコース等)に対して気相反応系又は液相反応系において使用することができ、その有効濃度は特に制限されず、反応の対象物質が触媒と十分に接触する量とすればよい。
【実施例】
【0017】
以下、本発明について実施例及び比較例を示してさらに具体的に説明するが本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
【実施例】
【0018】
〔実施例1〕
NH4{NbO(C242(H2O)}・nH2O(Nb: 6 mmol)を40 mLの水に溶解し、175℃にて24時間水熱合成を行った。
得られた固体を吸引ろ過した後、80℃にて乾燥し、400℃にて2時間熱処理し高次構造を有する酸化ニオブ(以下、「NbOx-HT」という)を得た。得られたNbOx-HTのBET比表面積(上述の測定方法による)は208m/g、メソ孔容積(上述の測定方法による)は 0.563cm/gであった。
金の仕込み量が1重量%となるように、Au(en)2Cl3(0.0507mmol)を51mLの水に溶解させ、水熱合成により調製した酸化ニオブ(1 g)を加え、懸濁液を調整した。
得られた懸濁液のpHを9にNaOHにて調節しながら1時間撹拌し、NaBH4を加えた。その後、懸濁液を吸引ろ過にて洗浄し、80℃にて乾燥した後に300℃にて4時間空気焼成を行い、金複合材料を得た。
得られた金複合材料についてX線解析を行った。その結果、金属酸化物と金とからなる材料であることが判った。
また、通常のTEM(透過型電子顕微鏡)により表面観察を行った。その結果を図1に示す。
次いで、得られた金複合材料を用いて、CO酸化反応を行った。反応は、固定床流通装置にて行い、金複合材料を0.15gセットし、空気気流下250℃にて1時間前処理を行い、1%CO/airを50 mL/minにて流通させ反応を行った。
また、同様にしてアモルファス含水ニオブ(Nb25・nH2O,添川化学より購入)、アモルファス酸化ニオブ(Nb25,和光純薬より購入)にも金微粒子を担持して金複合材料を得た。XRDパターンにおけるAu(111)の回折ピークから、シェラー式により金の粒子径を計算したところ各々4.9nm(Au/NbOx-HT、上述の本発明の金複合材料)、18.5nm(Au/Nb25・nH2O)、 43.7 nm (Au/Nb25)であった。TEMにてAu/NbOx-HTを観察したところ、図1に示すように5nm前後の金微粒子が担持されており、XRDにより確認された粒子径と一致した。
ついで、調製した金複合材料を用いてCO酸化反応を行った。その結果を図2に示す。NbOx-HTのみを用いたところ極めて低活性であり、250℃においてCOは転化しなかった。これに対して金を酸化ニオブに担持すると活性が大幅に向上していることが判る。COの転化率が50%を示すときの反応温度(T1/2)で比較すると、本発明の金複合材料はT1/2= 76℃(Au/NbOx-HT)であり、Au/Nb25・nH2Oは、T1/2= 194℃であった。また、Au/Nb25は250℃で29%の転化率であった。
【実施例】
【0019】
〔実施例2〕
4[α-SiW1240]・nH2O、Cs4[α-SiW1240]・nH2O (Cs- POM)を常法に従いそれぞれ合成した。得られたCs- POMのBET比表面積(上述の測定方法による)が175m/g、メソ孔容積(上述の測定方法による)が0.128cm/gであった。金の担持工程を、下記のコロイド混合法(Sol Immobilization, SI)と固相混合法(Solid Grinding, SG)を用いて行い、金複合材料を得た。この際、金の仕込み量は担体100重量部に対して1重量部とした。
SI法:常法に従いドデカンチオールで保護された金コロイドを調製した。この金コロイドをヘキサン40 mLに溶解し、別途ヘキサン50 mLに分散したCs— POMに滴下した。1時間攪拌後に回収、一晩真空乾燥し、空気中300℃で2時間焼成した.
SG法:Cs—POM 1.0gと[AuMe2(acac)] 16.6mgをメノウ乳鉢で20分間混合し、空気中300 ℃で4時間焼成した。
得られた金複合材料を用いて、CO酸化反応を行った。CO酸化反応は、固定床流通式触媒反応装置を用い,触媒量150mg、1体積% CO in air50mLmin-1(SV 20,000 mL H-1cat-1)の条件で行った。定量はGC (TCD)で行った。
SI法とSG法のいずれで得られた金複合材料においても、CO酸化反応に対して低温高活性を示し、金ナノ触媒として有用であることを示した。反応率50%となる温度(T1/2)はそれぞれ-67、-36℃であった。特にSI法での結果は、これまでに報告されている1wt% Au/MOxと比較しても非常に高いCO酸化活性であり、酸性の固体金属酸化物を担体として用いた本発明の金複合材料の優位性がわかる。
また、得られた金複合材料についてTEM観察を行ったところ,主として3-4nmの金粒子が観察され、10nm程度の大きな粒子も観察されたが、このようなサイズの金はCO酸化反応に対して比較的活性が低いことが知られており、酸化反応の結果と合わないことから、TEMで観測できないほどに小さな金クラスターが担持されているものと考えられる。
【実施例】
【0020】
以上の結果から明らかなように、酸性の固体金属酸化物に金微粒子を担持してなる本発明の金属複合材料は、金ナノ触媒として有用であることが判った。
特に本発明において担体として用いられる固体金属酸化物が水熱反応により得られたものである場合は高次構造を有する化合物であり、複雑な3次元構造を有していることから、このような分子性化合物に金微粒子を担持させることにより優れた触媒活性を発揮することが判った。
【実施例】
【0021】
〔実施例3〕
(固体金属酸化物)
実施例1で得られたNbOx-HTを用意した。
また、別に以下の固体金属酸化物を用意した。
・Nb25・nH2
添川理化学より購入 400℃にて焼成 BET比表面積(上述の測定方法による) 19 m2/g、メソ孔容積(上述の測定方法による) 0.002cm/g。
・Nb25
和光純薬より購入 400℃にて焼成 BET比表面積(上述の測定方法による) 6 m2/g、メソ孔容積(上述の測定方法による)0.001cm/g。
・ANO
アルドリッチより購入したNH4{NbO(C242(H2O)}・nH2O を400℃にて焼成して得た。BET比表面積(上述の測定方法による) 2.3m2/g、メソ孔容積(上述の測定方法による)0.000cm/g。
(金の担持)
以下の各方法により金微粒子が担持された金複合材料を得た。
・DP(析出沈殿法)、DR(析出還元法)
HAuCl4(0.2478M,0.0507 mmol)またはAu(en)2Cl3(0.0507mmol)を51 mLの水に溶解させ、NbOx-HT (1 g)を加えた。pH9にNaOHまたはアンモニア水を用いて調節しながら1時間撹拌した。その後、懸濁液を吸引ろ過にて洗浄し、80℃にて乾燥もしくは真空乾燥(Vac)後に、300℃にて4時間空気焼成(air)もしくは水素(10%)流通下にて(H2)300℃にて4時間処理し、金複合材料を得た(金担持量:1重量%)。(この方法で得た金複合材料をDPと表記する)。また、析出還元法(以下、この方法で得た今複合材料をDRと表記する)の場合は、HAuCl4(0.2478M,0.0507 mmol)またはAu(en)2Cl3(0.0507mmol)を51 mLの水に溶解させ、NbOx-HT (1 g)を加えた。pH7,9,または10に,NaOH水を用いて調節しながら1時間撹拌した後にNaBH4を加えた。その後、懸濁液を吸引ろ過にて洗浄し、80℃にて乾燥した後に300℃にて4時間空気焼成を行い、金複合材料を得た(金担持量:1重量%)。
・SG(固相混合法)
Me2Au(acac)(0.0507 mmol)とNbOx-HT(1g)とを混合し、メノウ乳鉢上で20分間混練し、得られた混錬物を300℃にて焼成して、金複合材料を得た。
・DPウレア法
HAuCl4(0.2478M,0.0507 mmol)またはAu(en)2Cl3(0.0507mmol)を51 mLの水に溶解させ、尿素を3.75g添加し,NbOx-HT (1 g)を加えた。90℃にて4時間撹拌した。その後、懸濁液を吸引ろ過にて洗浄し、80℃にて乾燥後に、300℃にて4時間空気焼成(air)し、金複合材料を得た(金担持量:1重量%)。
・One-pot(共同沈殿法)
NH4{NbO(C242(H2O)}・nH2O(Nb:6mmol)およびHAuCl4またはAu(en)2Cl3を45 mLの水に溶解し、175℃にて24時間水熱合成を行い、固形物を得た。得られた固形物を吸引ろ過した後、80℃にて乾燥させ酸化物を得た。乾燥後、空気下、400℃にて2時間熱処理して金複合材料を得た。
・コロイド混合法
実施例2における本発明の金複合材料を用いた。常法に従いドデカンチオールで保護された金コロイド(AuSH-R)を調製した。この金コロイドをヘキサン40 mLに溶解し、別途ヘキサン50 mLに分散したNbOx-HTに滴下した。1時間攪拌後に回収、一晩真空乾燥し、空気中(air)または真空中(vac)にて300℃で2時間焼成した。
得られた各複合材料について、それぞれ実施例1と同様にしてCO酸化反応を行った。その結果を表1に示す。表1に示す結果から明らかなように、NbOx-HTのみを用いたところ極めて低活性であり、250℃においてCOは転化しなかった。これに対して金を酸化ニオブに担持すると活性が大幅に向上していることが判る。COの転化率が50%を示すときの反応温度(T1/2)で比較すると、本発明の金複合材料はT1/2= 76℃(No.8)であるのに対して、比較対象はT1/2= 194℃(No.11,Au/Nb・nHO)であった。また、Au/Nb25(No.12)は250℃で29%の転化率でであった。
【実施例】
【0022】
【表1】
JP2017154927A1_000003t.gif
【実施例】
【0023】
表1において各注記などは以下のとおりである。
*1~7:触媒(金複合材料、金含有量1重量%)0.15g、 流量割合(flow rate)50mLmin-1(1%CO/Air)、
粒径はシェラー式により計算した。
【実施例】
【0024】
〔実施例4〕
下記表に示すように、担体(Support)の種類、比表面積を種々変更すると共に、担持される金の密度も変更した以外は実施例3のコロイド混合法と同様にして金複合材料を調製した。得られた金複合材料について実施例1と同様にしてCO酸化反応を行い、酸化触媒としての活性を確認した。
担体の比表面積と触媒活性との関係を図4に、金密度と触媒活性との関係を図5に示す。
尚、触媒としては、1重量% Au/Nb25(酸化ニオブは水熱合成したもの比表面積208m2/g)、触媒量は0.15gとし、基質ガス:1体積%CO/air、50mL/minとした。また、図中TOFは、20℃における単位時間での金の原子あたりのCO反応速度 (mol(CO)mol(Au)-1-1)を示す。また、金の粒子径はTEMで算出したものである。得られた金複合材料の物性及び触媒活性について表2に示す。また、表中、NbOx-HTは実施例3と同じであり、水熱合成により調製したものを示す。また、表2の TT- Nb(擬六方晶)のメソ孔容積は0.228cm/g、T-Nb(斜方晶)のメソ孔容積0.359cm/gであった。なお、Nb-Pは、既報に従って製造したパイロクロア酸化ニオブであり、Nb25・nH2O及びNb25は、それぞれ実施例3と同じである。
TT- Nb(擬六方晶)の合成。
Nb・nH2O(Nb:0.25mmol)を45mLの水に溶解し、175℃にて24時間水熱合成を行い、固形物を得た。得られた固形物を吸引ろ過した後、80℃にて乾燥させて、酸化ニオブからなる酸化物を得た。ついで、空気下、400℃にて2時間 熱処理して、酸性の固体金属酸化物を得た (以下、TT-Nbとする)。
T-Nb(斜方晶)の合成。
NbOx-HTを650℃にて4時間空気焼成することにより得た(以下、T-Nbとする)。
Nb-P(パイロクロア型)の合成。
Nb・nH2O(Nb:4mmol)を45mLの水に溶解し、175℃にて24時間水熱合成を行い、固形物を得た。得られた固形物を吸引ろ過した後、80℃にて乾燥させて、酸化ニオブからなる酸化物を得た。ついで、空気下、400℃にて2時間 熱処理して、酸性の固体金属酸化物を得た (以下、Nb-Pとする)。
図4及び5に示す結果から明らかなように、比表面積が高いほど触媒活性が高く、また、比表面積が高い場合には特に金の密度2以下、特に1,5以下の場合に触媒活性が高いことがわかる。
【実施例】
【0025】
【表2】
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【実施例】
【0026】
〔実施例5〕
下記表3に示すように、担体の種類を種々変更した以外は実施例3のコロイド混合法と同様にして金複合材料を調製した。担体には実施例3のNbOx-HT、実施例4のT-Nb、JRC-NbO-1(CBMM社製,日本触媒学会参照触媒)、JRC-NbO-2(CBMM社製、日本触媒学会参照触媒)、比較としてSiO2(Q-10,富士シリシア製)を用い、得られた金複合材料について実施例1と同様にしてCO酸化反応を行い、酸化触媒としての活性を確認した。また,得られた金複合材料(金ナノ触媒)を用いて、フルフラールの酸化反応を行った。フルフラールの酸化反応は、フルフラール(1 mmol)、水(10 mL)、NaOH(1 mmol)、得られた金複合材料(金ナノ触媒)(50 mg)、PO2= 5 bar、反応温度40℃にて、1.5時間反応を行った。また、反応率はGCにより測定した。
JRC-NbO-1のBET比表面積は,(上述の測定方法による) 116 m2/g、メソ孔容積(上述の測定方法による)0.128cm/g。
JRC-NbO-2のBET比表面積は,(上述の測定方法による) 4 m2/g、メソ孔容積(上述の測定方法による)0.000cm/g。
【実施例】
【0027】
【表3】
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図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4