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明細書 :医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成31年2月21日(2019.2.21)
発明の名称または考案の名称 医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体及びその製造方法
国際特許分類 B22F   3/14        (2006.01)
C22C  24/00        (2006.01)
C22C  45/00        (2006.01)
C22C   1/00        (2006.01)
B22F   9/08        (2006.01)
B22F   9/02        (2006.01)
B22F   1/00        (2006.01)
B22F   3/24        (2006.01)
C22C   1/04        (2006.01)
A61L  31/02        (2006.01)
A61L  31/14        (2006.01)
A61L  27/04        (2006.01)
A61L  27/58        (2006.01)
FI B22F 3/14 D
C22C 24/00
C22C 45/00
C22C 1/00 A
B22F 9/08 A
B22F 9/02 B
B22F 1/00 R
B22F 3/24 G
C22C 1/04 C
B22F 3/14 101B
B22F 1/00 E
A61L 31/02
A61L 31/14 500
A61L 27/04
A61L 27/58
国際予備審査の請求
全頁数 32
出願番号 特願2018-509486 (P2018-509486)
国際出願番号 PCT/JP2017/013469
国際公開番号 WO2017/170964
国際出願日 平成29年3月30日(2017.3.30)
国際公開日 平成29年10月5日(2017.10.5)
優先権出願番号 2016071145
優先日 平成28年3月31日(2016.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】金高 弘恭
【氏名】謝 国強
【氏名】高田 朝
出願人 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000626、【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C081
4K017
4K018
Fターム 4C081AB02
4C081AB06
4C081AC09
4C081BA16
4C081BB08
4C081CG08
4C081DA01
4C081EA02
4C081EA04
4C081EA12
4C081EA15
4K017AA04
4K017BA10
4K017BB01
4K017BB06
4K017BB18
4K017DA05
4K017DA09
4K018AA13
4K018BA07
4K018BA13
4K018BB04
4K018BB07
4K018BC12
4K018BC16
4K018DA11
4K018EA01
4K018EA11
4K018EA21
4K018FA06
4K018HA07
4K018KA61
4K018KA70
要約 生体吸収性を備え、金属材料と同等もしくはそれ以上の機械的強度を備え、複雑な成形が可能であり、かつ、広い用途に応用可能な医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法を提供することを課題とする。カルシウム粉末を含む金属粉末を混合し、その混合粉末を合金化し、合金化した混合金属粉末を焼結することにより、医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体を製造する。
特許請求の範囲 【請求項1】
医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体であって、
前記成形体は、カルシウムを主成分とするカルシウム系金属ガラス合金からなり、
前記成形体は、前記成形体の内部に前記成形体の表面の全ての部分からの最短距離が5mmを超える領域を含む、
医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体。
【請求項2】
前記カルシウム系金属ガラス合金は、さらにマグネシウム及び亜鉛を含む、請求項1に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体。
【請求項3】
前記カルシウム系金属ガラス合金中の前記カルシウムの組成は40at.%以上70at.%以下であり、前記マグネシウムの組成は30at.%以下であり、前記亜鉛の組成は35at.%以下である、請求項2に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体。
【請求項4】
前記成形体は、Fe結晶粒子を5~30体積%さらに含む、請求項1に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体。
【請求項5】
圧縮強度が300MPa以上であることを特徴とする、請求項1に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体。
【請求項6】
ビッカース硬さが120HV以上であることを特徴とする、請求項1に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体。
【請求項7】
疑似体液浸漬試験において、3日間の浸漬での分解率が90質量%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体。
【請求項8】
疑似体液浸漬試験において、5時間の浸漬での分解率が30質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体から構成される、医療用カルシウム系金属ガラス合金生体材料。
【請求項10】
カルシウム粉末を含む金属粉末を混合する工程と、
前記混合した金属粉末を合金化する工程と、
前記合金化した混合金属粉末を焼結する工程と
を含む、医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法。
【請求項11】
前記合金化する工程が、ガスアトマイズ法である、請求項10に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法。
【請求項12】
前記合金化する工程が、メカニカルアロイング法である、請求項10に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法。
【請求項13】
前記合金化する工程が、
前記混合した金属粉末から鋳造法によりインゴットを得る工程と、
前記インゴットをメカニカルアロイング法により合金化する工程と、
を含む、請求項10に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法。
【請求項14】
前記焼結する工程が、放電プラズマ焼結法である、請求項10に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法。
【請求項15】
前記放電プラズマ焼結法が、加圧力10~800MPa、焼結温度到達後の保持時間0~20分、焼結温度85~145℃の条件であることを特徴とする、請求項14に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法。
【請求項16】
前記合金化する工程と前記合金化した混合金属粉末を焼結する工程の間に、鉄結晶粒子を分散させる工程をさらに含む、請求項10に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法。
【請求項17】
請求項1に記載の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体を機械加工する工程を含む、医療用カルシウム系金属ガラス合金生体材料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、生体吸収性を有するカルシウム系金属ガラス合金成形体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会を迎え、医療現場では生体にやさしく安全な医療用生体材料の開発が求められている。なかでも、血管や食道などの管腔内狭窄部の治療に用いる管腔内ステントや骨折固定プレート、縫合糸などの医療用生体材料は、治療後に生体に吸収される性質を有することが求められている。生体に吸収されない場合には、治療後に該材料を撤去する再手術が必要となり、侵襲リスクや二次感染リスクの問題が生じるためである。
【0003】
生体吸収性を有する医療材料の原料としては、従来よりさまざまな物質が検討されている。
たとえば非特許文献1には、金属材料のうち生体吸収性を有するマグネシウムについて、医療用材料としての検討がなされたことが記載されている。
しかし、マグネシウムは活性が高く、生体内での分解速度が速すぎるという問題がある。このため、マグネシウムそのものを原料としプレートとして使用した場合、皮下に大量のガスが発生し空腔を形成してしまうことが知られている。
【0004】
また、鉄については、純鉄製のステントが作製され、ウサギ血管内への埋入実験結果が報告されている(非特許文献1、2参照)。しかし、鉄は生体内での分解速度が遅すぎるという問題がある。このため、医療用材料として生体内に埋入された鉄は、治療後も体内に異物として残っている期間が長く、該材料が腐食し周辺で炎症が起きることも指摘されている。
【0005】
さらに、ポリ乳酸などの高分子材料は、機械的強度が低く加工性にも劣るため、チタンなどの金属材料の代替にはなりえないことが知られている(非特許文献3等参照)。ただ、そのような性質であっても、他の代替材料と比較すれば生体内で吸収性を有し、上述したような治療後に該材料を撤去する再手術の必要がない。このため、ポリ乳酸などの高分子材料は有望な生体材料と考えられ、実際臨床試験が進み、骨片固定用プレート、骨ねじ、吸収性ステントなどに応用されている。
【0006】
これらに対して、近年、上述した問題を同時に解決し得る材料として、カルシウム系金属ガラス合金が注目を集めている。しかしながら、従来の鋳造法により製造されたカルシウム系金属ガラス合金は、サイズが大きくなると結晶化してしまうため、10mm以下の厚さでなければ金属ガラスの性質を有さないことが知られている(非特許文献4~6参照)。つまり、大きなサイズが要求されるカルシウム系金属ガラス合金の医療用材料に適した製造方法は未だ確立されておらず、医療用カルシウム系金属ガラス合金材料及びその製造方法の早期開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】山本玲子:“マグネシウム合金の医療応用”,軽金属,58(11),2008,pp.570-576
【非特許文献2】M Peuster,et al,:Heart,86,2001,pp.563-569
【非特許文献3】上野晃、山本広志、斉藤英一郎、上田芳久:“ハイサイクル・高耐衝撃性のポリ乳酸樹脂成形材料”,パナソニック電工技法,Vol.59 No.1,pp.55-59
【非特許文献4】Y.B.Wang,et al,:Biodegradable CaMgZn bulk metallic glass for potential skeletal application,Acta Biomaterialia 7 (2011),pp.3196-3208
【非特許文献5】J.D.Cao,et al,:Ca-Mg-Zn bulk metallic glasses as bioresorbable metals,Acta Biomaterialia 8 (2012),pp.2375-2383
【非特許文献6】W.Jiao,et al,:Zinc-based bulk metallic glasses,Journal of Non-Crystalline Solids 356 (2010),pp.1867-1870
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、適度な生体吸収性を備え、金属材料と同等もしくはそれ以上の機械的強度を備え、複雑な成形が可能であり、かつ、面積や厚みが大きな部材にも応用可能な医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記事情に鑑みて鋭意検討した結果、体内に埋入直後には生体吸収が徐々に行われ、かつ、最終的には体内で分解し、金属材料と同等の機械的強度及び硬さを備えた医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体及びその製造方法を見出した。
【0010】
すなわち、カルシウム粉末を含む金属粉末を混合し、その混合粉末を合金化し、合金化した混合金属粉末を焼結することにより、上記医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体は製造される。
【0011】
また、カルシウム粉末を含む金属粉末を混合し、その混合粉末を合金化し、合金化した混合金属粉末に鉄結晶粒子を分散し、鉄結晶粒子を分散した合金化混合金属粉末を焼結することにより、上記医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体は製造される。
【発明の効果】
【0012】
本発明により製造されたカルシウム系金属ガラス合金を医療用生体材料の原料とした場合、金属材料と同等の機械的強度及び硬さを備えるため、複雑な形状の医療用材料の成形が可能であり、生体材料の構造や埋入位置の上で圧力のかかる部材へも応用可能となり、カルシウム系金属ガラス合金生体材料の使用可能な範囲が広がる。また、体内に埋入直後には生体吸収が徐々に行われ、かつ、最終的には体内で分解するため、治療後の撤去手術が不要となるばかりか、埋入直後の分解速度の制御も可能となる。さらに、本発明のカルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法はバルク生産も対応可能であり、サイズの大きな生体材料にも応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ガスアトマイズ法によるカルシウム系金属ガラス合金粉末を作製する装置及び概念図を示す。
【図2】メカニカルアロイング法によるカルシウム系金属ガラス合金粉末を作製する装置及び概念図を示す。
【図3】放電プラズマ焼結法に使用される装置の概念図を示す。
【図4】放電プラズマ焼結法による金属ガラス合金成形体作製時の温度と加圧力プロセスを示す。
【図5】Ca45Mg25Zn30混合金属粉末及びメカニカルアロイング法で作製したCa45Mg25Zn30金属ガラス合金粉末のX線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図6】メカニカルアロイング法で作製したCa45Mg25Zn30金属ガラス合金粉末の走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)写真を示す。
【図7A】鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa45Mg25Zn30金属ガラス合金粉末のX線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図7B】鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa55Mg30Zn15金属ガラス合金粉末のX線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図7C】鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa55Mg10Zn35金属ガラス合金粉末のX線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図8】鋳造法で作製したCa65Mg15Zn20合金のX線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図9A】ガスアトマイズ法で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図9B】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度120℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図9C】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度130℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図9D】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度140℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図9E】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度150℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の焼結試料の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図9F】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度160℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の焼結試料の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図10A】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を5体積%分散させた試料の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図10B】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を5体積%分散させ、放電プラズマ焼結法で作製した金属ガラス合金成形体の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図10C】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を10体積%分散させた試料の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図10D】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を10体積%分散させ、放電プラズマ焼結法で作製した金属ガラス合金成形体の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図10E】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を15体積%分散させた試料の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図10F】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を15体積%分散させ、放電プラズマ焼結法で作製した金属ガラス合金成形体の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図10G】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を20体積%分散させた試料の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図10H】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を20体積%分散させ、放電プラズマ焼結法で作製した金属ガラス合金成形体の、X線回折スペクトル(X線回折パターン)を示す。
【図11A】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度120℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の、圧縮試験結果を示す。
【図11B】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度130℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の、圧縮試験結果を示す。
【図11C】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度140℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の、圧縮試験結果を示す。
【図11D】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度150℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の焼結試料の、圧縮試験結果を示す。
【図11E】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度160℃で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の焼結試料の、圧縮試験結果を示す。
【図12】鋳造法で作製したCa65Mg15Zn20合金の圧縮試験結果を示す。
【図13A】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を5体積%分散させ、放電プラズマ焼結法で作製した金属ガラス合金成形体の、圧縮試験結果を示す。
【図13B】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を10体積%分散させ、放電プラズマ焼結法で作製した金属ガラス合金成形体の、圧縮試験結果を示す。
【図13C】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を15体積%分散させ、放電プラズマ焼結法で作製した金属ガラス合金成形体の、圧縮試験結果を示す。
【図13D】ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を20体積%分散させ、放電プラズマ焼結法で作製した金属ガラス合金成形体の、圧縮試験結果を示す。
【図14】純チタン試料の圧縮試験結果を示す。
【図15】Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の疑似体液浸漬試験結果(質量の経時変化)を示す。
【図16】Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の疑似体液浸漬試験結果(浸漬前後の写真)を示す。
【図17】Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の疑似体液浸漬試験結果(質量減少率の経時変化、分解初期)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明を実施するための形態の説明に先立ち、使用タームを明確にしておく。本明細書において、金属粉末を混合した試料を「混合金属粉末」、混合金属粉末を合金化して金属ガラスになった試料を「金属ガラス合金粉末」、金属ガラス合金粉末を焼結した試料を「金属ガラス合金」、金属ガラス合金粉末の焼結体を「金属ガラス合金成形体」、金属ガラス合金成形体を機械加工して切り出した生体材料を「金属ガラス合金生体材料」という。

【0015】
また、金属ガラスとは、液体状態から急速に冷却することによって得られ非晶質合金のうち、ガラス遷移を示すものをいう。混合金属粉末を合金化しても、合金化条件により金属ガラスの性質を有する場合と有さない場合がある。

【0016】
本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体は、カルシウムを主成分とするカルシウム系金属ガラス合金からなり、前記成形体の内部に前記成形体の表面の全ての部分からの最短距離が5mmを超える領域を含むことを特徴とする。

【0017】
また、本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法は、カルシウム粉末を含む金属粉末を混合する工程と、前記混合した金属粉末を合金化する工程と、前記合金化した混合金属粉末を焼結する工程とを含むものである。

【0018】
前記カルシウム粉末及び前記金属粉末は、工業用、合成試薬用、農業用、食品用、医療用等いずれであってもよいが、製造する合金の使用目的により純度や含有不純物の観点から選択される。生体吸収性を有する医療用生体材料に使用する場合は、特に生体安全性を確保するため、医療用の純度99%以上のものを選択することが好ましい。また粒子サイズは、機械的エネルギーを利用した固相反応により合金化する工程で処理しやすい50~200meshであることが好ましい。

【0019】
本発明の混合金属粉末には、カルシウムに、他の金属、たとえばマグネシウムや亜鉛を含有することができる。
また、前記カルシウム粉末、前記マグネシウム粉末、前記亜鉛粉末に、製造する合金を使用する材料に通常添加するような金属粉末を微量添加してもよい。

【0020】
前記カルシウム粉末と前記他の金属粉末は、作製する金属ガラス合金粉末を構成する各成分のモル比に対応するような質量比で混合される。
質量比は、前記カルシウム粉末がゼロを超える量から100at.%を下回る量であり、前記金属粉末の合計が粉末全量の合計100at.%を超えない量であれば理論的には合金が作製されることとなる。しかしながら、生体吸収性や材料加工性の観点からCaxMgyZnz金属ガラス合金にあっては、x=40~70at.%、y=0~30at.%、z=0~35at.%の範囲であることが好ましい。この範囲を超えると、金属ガラスの性質を有さない場合があることが確認されている。

【0021】
本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の形状は、円柱状、角柱状、球状、棒状、板状、錐状等の塊状の他、任意の形状であってよい。
前記成形体は、厚さに特に制限はなく、薄くても厚くても金属ガラス合金の性質を有する。このため、前記成形体は、前記成形体の内部に前記成形体の表面の全ての部分からの最短距離が5mmを超える、もしくは6mm以上、あるいは7.5mm以上となる領域を含むような、形状を取ることが可能である。すなわち、本発明の成形体は、厚みが10mmを超える、もしくは12mm以上、あるいは15mm以上となるようなものであっても、金属ガラスの性質を有するということができる。

【0022】
前記医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体は、所定の骨の形状、スクリューの形状の他、埋入材の形状、被覆材の形状、固定板の形状等の任意の生体材料の形状に機械加工(切削加工、研削加工、研磨加工など)され、医療用カルシウム系金属ガラス合金生体材料として使用できる。

【0023】
前記混合した金属粉末を合金化する工程は、ガスアトマイズ法、鋳造法、メカニカルアロイング法等、或いは、鋳造法とメカニカルアロイング法を組み合わせる方法を採用することが可能である。前記混合した金属粉末を合金化して金属ガラスを生成させるためには、ガスアトマイズ法、メカニカルアロイング法、鋳造法で処理後にメカニカルアロイング法を併用する方法が有効である。

【0024】
ガスアトマイズ法は、高純度の単体金属を金属ガラス合金の組成となるように混合し、高純度に精製されたAr等の不活性ガス中で溶融し、マスターインゴットを作製する。そして、マスターインゴットを減圧下で再溶融し、ノズルから射出しつつ高圧Arガスによりエッチングすることで、金属ガラス合金粉末を作製することができる。
ガスアトマイズ法は、メカニカルアロイング法と比較して、金属ガラス合金粉末を一度で大量に作製することができることが利点の一つである。図1にガスアトマイズ装置の概要を示す。

【0025】
メカニカルアロイング法は、複数の金属粉末をボールの入った容器に入れ、容器ごと回転させて激しくかき混ぜるものである。かき混ぜられた容器内の複数の金属粉末は、原子レベルでの固相反応により合金化する。
図2にメカニカルアロイング装置の外観、容器の写真、及び容器内の概念図を示す。

【0026】
メカニカルアロイング法で作製した金属ガラス合金粉末の粒子は、均質性を有することが必要である。均質である合金粉末を次の焼結工程に供することにより、均質なカルシウム系金属ガラス合金成形体を製造することができるからである。そのため、該メカニカルアロイング法における合金化条件は、メカニカルアロイング後の金属ガラス合金粉末が150μm以下になるように設定される。
具体的には、回転速度250~650rpm、固相反応時間0.5~45時間、試料/ボールの質量比1/100~1/1等に設定される。容器内雰囲気をArガス等で置換してもよい。

【0027】
鋳造法としては、特に限定されることなく、公知の方法を適用することができる。たとえば、高周波溶解炉、高周波誘導加熱装置、BNるつぼ、及び、銅鋳型を使用する銅鋳型鋳造法により、混合金属粉末の合金インゴットを作製することができる。
なお、鋳造法で作製されたインゴットは、作製条件によるものの、合金ではあるが金属ガラスの性質は有しにくいことが確認されている。

【0028】
鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法は、上記鋳造法により得られた合金インゴットをニッパー等で細かく刻み、上記メカニカルアロイング法に適用して金属ガラス合金粉末を得るものである。

【0029】
上記各方法で合金化した試料が、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっているか否かは、X線回折(XRD;X-ray Diffraction)装置を用いてX線回折スペクトル(X線回折パターン)を測定することで確認できる。
X線回折装置の測定条件は、X線の試料への入射角(θ)の2倍(2θ)に対するX線回折強度(任意目盛)を示すX線回折スペクトル(X線回折パターン)が得られるように設定される。合金化工程の前には混合した金属単体の回折ピークが現れるが、合金化が進み金属ガラスの性質を有するようになると、回折ピークはブロードとなり消滅していく。このようなX線回折スペクトルのパターン変化を利用し、混合金属粉末の合金化状態を確認する。

【0030】
また、合金化した試料の粉末形状や粒子サイズは、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)写真等で確認できる。

【0031】
前記合金化した混合金属粉末を焼結する工程は、金属ガラスの性質を維持することができる限り特に制限されることはなく、粉末冶金法、たとえば反応焼結法、常圧焼結法、加圧焼結法、再焼結法、プラズマを利用する焼結法等から目的によって選択される。

【0032】
加圧焼結法は、粉末試料を加圧しながら焼結する方法であり、試料を緻密化することができ、ホットプレス法、ガス圧焼結法、熱間静水圧焼結法等がある。ホットプレス(hot press)法は、一般に円筒形状の型に粉末試料を充填し、上下一対のパンチで圧縮する一軸加圧方式をとる加圧焼結法である。

【0033】
プラズマを利用する焼結法は、熱プラズマ焼結法、放電プラズマ焼結法等があり、目的によって選択される。

【0034】
放電プラズマ焼結法(SPS;Spark Plasma Sintering)は、機械的な加圧とパルス通電加熱によって試料を焼結する方法である。一般的には数千アンペアの平均電流のパルス電流を試料に通電させることで、試料は焼結される。パルス電流は粉末試料内の粉体粒子接触部に流れ、該接触部に発熱が集中し粉体粒子間のネック形成が促進されるため、低温かつ短時間で焼結可能な焼結法である。
図3に放電プラズマ焼結法に使用される装置の概要を示す。

【0035】
前記放電プラズマ焼結法で作製した焼結体、すなわち本発明における金属ガラス合金成形体は、材料の使用目的に合う機械的特性や強度を有すること、均質性を有すること、焼結前後で微細構造に変化が少ないこと、すなわち金属ガラスが結晶化しないこと等が必要である。そのため、該放電プラズマ焼結法における焼結条件は、焼結後の金属ガラス合金成形体が、材料の使用目的に合う機械的特性や強度を有し、均質性を有し、焼結前後で微細構造に変化が少なくなるように設定される。
具体的には、加圧力10~800MPa、焼結温度到達後の保持時間0~20分、焼結温度85~145℃等に設定される。温度と加圧力プロセスの例を図4に示す。

【0036】
なかでも本発明においては焼結温度の設定が重要であり、結晶化が起きる温度を超えず、かつ、なるべく高い温度を選択することが好ましい。

【0037】
前記焼結体、すなわち本発明における金属ガラス合金成形体の均質性等も、走査型電子顕微鏡(SEM;Scanning Electron Microscope)写真やX線回折(XRD;X-ray Diffraction)装置等で確認する。

【0038】
また、前記金属ガラス合金成形体が金属ガラスとしてガラス遷移を示すこと等は、X線回折(XRD;X-ray Diffraction)装置等で確認できる。

【0039】
本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法は、前記カルシウム粉末を含む混合金属粉末を合金化する工程と、前記合金化した混合金属粉末を焼結する工程の間に、鉄(Fe)結晶粒子を金属ガラス合金粉末中に分散させる工程をさらに含めることができる。

【0040】
Fe結晶粒子を分散させる工程は、金属ガラス合金粉末にFe結晶粒子を5~30体積%、より好ましくは5~25体積%混合し、Fe分散金属ガラス合金粉末を作製するものである。金属ガラス粉末とFe結晶粒子とを混合する方法は、Fe結晶粒子を均一に分散させることができる限り特に制限されることはない。
Fe結晶粒子を分散させる目的は、本発明のカルシウム系金属ガラス合金成形体の機械的強度を向上させ、かつ、生体内における分解速度の制御を可能にするためである。よって、Fe結晶粒子が5体積%より少ないと、機械的強度の向上や分解速度の制御が十分でなく、また30体積%を超えると、機械的強度は向上するもののカルシウム系金属ガラス合金成形体の有する生体吸収性を低下させてしまう。
Fe結晶粒子としては、金属ガラス合金粉末中に均一に分散させる観点から、粒径が2~200μm、なかでも2~50μmのものが好ましく、3~5μmのものがより好ましい。

【0041】
本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法で製造されるカルシウム系金属ガラス合金成形体は、機械的特性として圧縮強度が300MPa以上、好ましくは320MPa以上であることを特徴とする。

【0042】
前記機械的特性としての圧縮強度は、圧縮試験で降伏点を測定等して評価する。降伏点は、四角柱形状の試料を高さ方向に圧縮し、圧縮応力(MPa)に対する歪み(%)の測定を行うことによって得られる。一般的な合金や金属は、圧縮応力をゼロから増加させると歪みも大きくなるが、降伏点に達した後に歪みは大きくなっても応力が降下する現象が起きる。この現象を利用して、応力—歪み線図から降伏点を割り出す。

【0043】
本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法で製造されカルシウム系金属ガラス合金成形体は、ビッカース硬さが120HV以上、好ましくは160HV以上であることを特徴とする。

【0044】
前記カルシウム系金属ガラス合金成形体の硬さは、金属用の硬さ試験法等で測定する。金属用の硬さ試験法には、ブリネル硬さ(BHN)、ビッカース硬さ(VHN)、ロックウェル硬さ等があり、これらの硬さ試験法は、鋼球やダイヤモンドの角錐或いは円錐の圧子を焼結体(合金)の表面に押付けてその変形量を測定するものである。
ビッカース硬さ(VHN;Vickers Hardness)の試験方法は、JIS法(JIS Z 2244、JIS B 7725)に規定され、正四角錐のダイヤモンド圧子を,試料(試験片)の表面に押し込み,その試験力を解除した後,表面に残ったくぼみの対角線長さを測定するものである。

【0045】
本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法で製造されるカルシウム系金属ガラス合金成形体は、SBF(疑似体液)浸漬試験において、3日間の浸漬での分解率が90質量%以上、好ましくは93質量%以上であることを特徴とする。

【0046】
前記カルシウム系金属ガラス合金成形体の疑似体液内での分解率は、SBF(疑似体液)浸漬試験等で測定する。
0~6日間の浸漬での分解率を測定するSBF浸漬試験は、直径15mmの型で成形されたカルシウム系金属ガラス合金成形体を切削してSBFに浸漬し、該カルシウム系金属ガラス合金成形体の質量減少を日単位で測定して分解率を割り出すものである。該SBF浸漬試験で該カルシウム系金属ガラス合金成形体の質量としてカウントされるのは、サンプル崩壊後も固形物として残っているもの、すなわちイオンとしてSBFに溶解したもの以外の固形物全てである。

【0047】
SBFの組成は、NaCl:8.035g、NaHCO3:0.355g、KCl:0.225g、K2HPO4・3H2O:0.231g、MgCl2・6H2O:0.311g、1.0M HCl:39ml、CaCl2:0.292g、NaSO4:0.072g、Tris:6.118gである。

【0048】
さらに本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体の製造方法で製造されるカルシウム系金属ガラス合金成形体は、SBF(疑似体液)浸漬試験において、5時間の浸漬での分解率が30質量%以下であることを特徴とする。

【0049】
前記カルシウム系金属ガラス合金成形体の疑似体液内での分解率は、SBF(疑似体液)浸漬試験等で測定する。
0~6時間の浸漬での分解率を測定するSBF浸漬試験は、直径15mmの型で成形されたカルシウム系金属ガラス合金成形体を切断機で切断しSBF中に紐で吊るして浸漬し、該カルシウム系金属ガラス合金成形体の質量減少を一時間ごとに測定して分解率を割り出すものである。該SBF浸漬試験で該カルシウム系金属ガラス合金成形体の質量としてカウントされるのは、紐を引き上げた際に紐に吊るされている固形物のみであり、たとえばサンプルが崩壊してSBF中に落ちた分はカウントされていない。
【実施例】
【0050】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0051】
作製した実施例1~12及び比較例1~11の概要を表1に示す。
【実施例】
【0052】
【表1】
JP2017170964A1_000003t.gif
【実施例】
【0053】
(メカニカルアロイング法での金属ガラス生成確認)
本発明の混合金属粉末を合金化する工程がメカニカルアロイング法である場合に、合金化後の試料は金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることを確認するため、以下の実験を行った。
【実施例】
【0054】
表1の実施例1に記載のとおり、Ca45Mg25Zn30混合金属粉末を、メカニカルアロイング装置(株式会社レッチェ製、遊星型ボールPM100型)にて合金化処理を行った。容器の回転速度は250rpm、固相反応時間は15時間であった。
また、比較例1に記載の合金化を行わないCa45Mg25Zn30混合金属粉末を、比較のために用いた。
【実施例】
【0055】
図5に、Ca45Mg25Zn30混合金属粉末(比較例1)及びメカニカルアロイング法で作製したCa45Mg25Zn30金属ガラス合金粉末(実施例1)のX線回折パターンを示した。X線回折装置は、株式会社リガク製UltimaIIIを使用した。メカニカルアロイング法で合金化処理を行ったCa45Mg25Zn30混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることが確認できた。
また、図6に、実施例1に記載のメカニカルアロイング法で作製したCa45Mg25Zn30金属ガラス合金粉末(実施例1)の走査型電子顕微鏡写真を示す。図6より、該金属ガラス合金粉末は均質な形状を有することが確認された。
【実施例】
【0056】
(鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法での金属ガラス生成確認)
本発明の混合金属粉末を合金化する工程が鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法である場合に、合金化後の試料は金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることを確認するため、以下の実験を行った。
【実施例】
【0057】
表1の実施例2に記載のとおり、Ca45Mg25Zn30混合金属粉末を、まず銅鋳型鋳造法で合金化した。銅鋳型鋳造法では、高周波溶解炉及び高周波誘導加熱装置にて、BNるつぼを使用し、真空とArガス雰囲気下、20Aで溶解後、30Aで5分間加熱しCa45Mg25Zn30混合金属粉末を高周波溶解後、直径15mmの銅鋳型に鋳造し、直径15mm/長さ30~40mmのインゴットを作製した。
次に、メカニカルアロイング法で、作製した上記インゴットを刻んでボールミリングし、Ca45Mg25Zn30金属ガラス合金粉末を作製した。ボールミル用ステンレスボールとインゴットの質量比は10:1とし、容器の回転速度は250rpm、固相反応時間は15時間であった。
また、表1の実施例11に記載のCa55Mg30Zn15混合金属粉末も、実施例2と同様に、鋳造し、インゴットを作製し、メカニカルアロイング法でCa55Mg30Zn15金属ガラス合金粉末を作製した。ただし、メカニカルアロイング法での固相反応時間は30時間であった。
さらに、表1の実施例12に記載のCa55Mg10Zn35混合金属粉末も、実施例2と同様に、鋳造し、インゴットを作製し、メカニカルアロイング法でCa55Mg10Zn35金属ガラス合金粉末を作製した。メカニカルアロイング法での固相反応時間は、実施例2と同じ15時間であった。
【実施例】
【0058】
図7Aに、鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa45Mg25Zn30金属ガラス合金粉末(実施例2)のX線回折パターンを示す。鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法で合金化処理を行ったCa45Mg25Zn30混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることが確認できた。
図7Bに、鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa55Mg30Zn15金属ガラス合金粉末(実施例11)のX線回折パターンを示す。鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法で合金化処理を行ったCa55Mg30Zn15混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることが確認できた。
図7Cに、鋳造法でインゴット作製後にメカニカルアロイング法で作製したCa55Mg10Zn35金属ガラス合金粉末(実施例12)のX線回折パターンを示す。鋳造法にメカニカルアロイング法を併用する方法で合金化処理を行ったCa55Mg10Zn35混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっていることが確認できた。
実施例2、11及び12より、金属組成の異なるカルシウム系混合金属粉末であっても、金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となることが分かった。
【実施例】
【0059】
(鋳造法での金属ガラス生成有無の確認)
本発明の混合金属粉末を合金化する工程が鋳造法である場合に、合金化後の試料は金属ガラスの性質を有する金属ガラス合金粉末となっているか否かを確認するため、以下の実験を行った。
【実施例】
【0060】
表1の比較例2に記載のとおり、Ca65Mg15Zn20混合金属粉末を、銅鋳型鋳造法で合金化した。銅鋳型鋳造法では、高周波溶解炉及び高周波誘導加熱装置にて、BNるつぼを使用し、真空とArガス雰囲気下、20Aで溶解後、30Aで5分間加熱しCa65Mg15Zn20混合金属粉末を高周波溶解後、直径15mmの銅鋳型に鋳造し、直径15mm/長さ30~40mmのインゴットを作製した。
【実施例】
【0061】
図8に、鋳造法で作製したCa65Mg15Zn20合金(インゴット、比較例2)のX線回折パターン示す。鋳造法で合金化処理を行ったCa65Mg15Zn20混合金属粉末は、金属ガラスの性質を有さないことが確認できた。
【実施例】
【0062】
(焼結温度による金属ガラスの結晶化の確認)
本発明の合金化した混合金属粉末(金属ガラス合金粉末)を焼結する工程が放電プラズマ焼結法である場合に、焼結温度によって金属ガラス合金成形体が結晶化しているか否かを確認するため、以下の実験を行った。
【実施例】
【0063】
表1の実施例3~5及び比較例4~5に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法によりCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体を作製した。ガスアトマイズ法は、ガスアトマイザー(株式会社真壁技研製、小型ガスアトマイズ装置型番VF-RQP200)を用い、温度約650K、Arガス噴射圧力約8MPaの条件に設定された。放電プラズマ焼結法は、放電プラズマ焼結装置(SPSシンテックス株式会社製SPS-3.20MK-IV)を用い、53μm以下のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末に対して、加圧力600MPa、焼結温度到達後の保持時間10分、焼結温度120~160℃の条件に設定された。
【実施例】
【0064】
図9A~Fに、焼結前のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末(比較例3)及び焼結温度ごとのCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体(実施例3~5及び比較例4~5)のX線回折パターンを示す。
焼結温度が140℃までは金属ガラスの性質を有したままであることが認められたが、焼結温度が150℃以上になると金属ガラスの結晶化を示すピークが確認された。よって、本発明のカルシウム系金属ガラス合金成形体製造における焼結温度は、140℃が最適であることが分かった。
【実施例】
【0065】
(Fe結晶粒子分散型Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の作製試験-1-)
本発明の合金化する工程と、合金化した混合金属粉末を焼結する工程の間に、Fe結晶粒子を分散させる工程を加えた場合に、カルシウム系金属ガラス合金成形体の金属ガラスとしての性質に影響を与えるか否かを確認するため、以下の実験を行った。
【実施例】
【0066】
表1の実施例6~9及び比較例6~9に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、粒径が3~5μmのFe結晶粒子を5~20体積%分散させ、焼結前の試料(比較例6~9)及び焼結温度140℃で焼結した試料(実施例6~9)を作製した。
【実施例】
【0067】
図10A~Hに、Fe結晶粒子5~20体積%を分散させた、Fe結晶粒子分散型Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の焼結前後のX線回折パターンを示す(A:比較例6、B:実施例6、C:比較例7、D:実施例7、E:比較例8、F:実施例8、G:比較例9、H:実施例9)。
Fe結晶粒子分散型Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の焼結前後で、いずれの体積分率で分散したものであっても、カルシウム系金属ガラス合金成形体の金属ガラスとしての性質には変化がほとんどないことが分かった。
【実施例】
【0068】
(焼結温度による金属ガラス合金成形体の圧縮強度)
本発明の合金化した混合金属粉末(金属ガラス合金粉末)を焼結する工程が放電プラズマ焼結法である場合に、焼結温度による金属ガラス合金成形体の圧縮強度を測定するため、以下の実験を行った。
【実施例】
【0069】
表1の実施例3~5及び比較例4~5に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法により焼結温度120~160℃でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体を作製した。放電プラズマ焼結法は、53μm以下のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末に対して、加圧力600MPa、焼結温度到達後の保持時間10分、焼結温度120~160℃の条件に設定された。
【実施例】
【0070】
比較試料として、表1の比較例2に記載のCa65Mg15Zn20混合金属粉末を銅鋳型鋳造法で合金化した試料を用いた。
【実施例】
【0071】
比較のため、表1の比較例10に記載の、純チタン試料を用いた。
【実施例】
【0072】
実施例3~5及び比較例2、4~5の試料についての圧縮試験は、幅2mm、厚み2mm、高さ4mmの四角柱形状の測定片を作製し、汎用機械式テスト機(島津製作所製、高温真空引張・圧縮試験機AG50VF)を用い、一軸加圧下で5×10-4mm/sの初期歪み速度に対応する一定のクロスヘッド速度で、圧縮強度と歪みとの関係を測定することで行った。
比較例10の試料についての圧縮試験は、直径1.48mm、高さ3.78mmの試料サイズについて、上記汎用機械式テスト機(島津製作所製、高温真空引張・圧縮試験機AG50VF)を用いて同様に行った。
【実施例】
【0073】
図11A~E(実施例3~5、比較例4~5)、図12(比較例2)、図14(比較例10)に、圧縮試験結果を示す。
【実施例】
【0074】
圧縮試験結果に基づき、各試料の圧縮強度を表2に示す。
【実施例】
【0075】
【表2】
JP2017170964A1_000004t.gif
【実施例】
【0076】
表2の実施例3~5が示すように、放電プラズマ焼結法における焼結温度を120~140℃に設定して製造されたCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の焼結試料は、320MPa以上の圧縮強度を有することが分かった。
一方、比較例4が示すように、放電プラズマ焼結法における焼結温度を150℃にして製造されたCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末の焼結試料は、300MPaより低い圧縮強度しか有さないことが分かった。
また、比較例2が示すように、合金化工程が鋳造法で製造されたCa65Mg15Zn20合金粉末の焼結試料は、さらに低い圧縮強度(118MPa)しか有さないことが分かった。
なお、生体吸収医療材料の開発において、機械的強度のメルクマールとされるチタンは、比較例10が示すように、圧縮強度が436MPaであった。
【実施例】
【0077】
つまり、鋳造法で製造されるCa65Mg15Zn20合金(比較例2)の圧縮強度が118MPaと医療用材料の機械的強度として極めて不十分であったのに対し、本発明で製造されるCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体(実施例3~5)の圧縮強度は、チタンの機械的強度にかなり近づいたものであることを示している。
なお、現在生体材料として開発が進められているポリ乳酸の圧縮強度は、74MPa程度である(非特許文献3等参照)。
【実施例】
【0078】
(Fe結晶粒子分散型Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の作製試験-2-)
本発明の合金化する工程と、合金化した混合金属粉末を焼結する工程の間に、Fe結晶粒子を分散させる工程を加えた場合の圧縮強度を確認するため、以下の実験を行った。
【実施例】
【0079】
表1の実施例6~9に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、Fe結晶粒子を5~20体積%分散させ、焼結温度140℃で焼結した試料(実施例6~9)を作製した。
【実施例】
【0080】
比較のため、表1の比較例10に記載の、純チタン試料を用いた。
【実施例】
【0081】
実施例6~9の試料についての圧縮試験は、幅2mm、厚み2mm、高さ4mmの四角柱形状の測定片を作製し、汎用機械式テスト機(島津製作所製、高温真空引張・圧縮試験機AG50VF)を用い、一軸加圧下で5×10-4mm/sの初期歪み速度に対応する一定のクロスヘッド速度で、圧縮強度と歪みとの関係を測定することで行った。
比較例10の試料についての圧縮試験は、直径1.48mm、高さ3.78mmの試料サイズについて、上記汎用機械式テスト機(島津製作所製、高温真空引張・圧縮試験機AG50VF)を用いて同様に行った。
【実施例】
【0082】
図13A~D(実施例6~9)、図14(比較例10)に、圧縮試験結果を示す。
【実施例】
【0083】
圧縮試験結果に基づき、各試料の圧縮強度を表3に示す。
【実施例】
【0084】
【表3】
JP2017170964A1_000005t.gif
【実施例】
【0085】
表2の実施例5(Fe結晶粒子の分散がない試料)と比較し、表3の実施例6~9が示すように、Fe結晶粒子を分散させることにより圧縮強度が上がり、機械的強度が向上していることが分かる。
また、本発明で製造されるFe結晶粒子分散型Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体(実施例6~9)は、その圧縮強度から、本発明の製造方法で製造されるFe結晶粒子が分散されていない金属ガラス合金成形体に比べ、チタンの機械的強度にさらに近づいたものであることを示している。
【実施例】
【0086】
(ビッカース硬さ試験)
本発明の製造方法で製造される医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体について、以下のとおりビッカース硬さ試験を行った。
【実施例】
【0087】
表1の実施例3~5、比較例4、5、2、10に記載の試料についての硬さ測定には、株式会社ミツトヨ製Micro WiZhard HM-211型微小硬さ試験機を用いた。
ビッカース硬さ試験の結果を表4に示す。
【実施例】
【0088】
【表4】
JP2017170964A1_000006t.gif
【実施例】
【0089】
表4で示されるように、本発明で製造される医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体は、メルクマールのチタンに比べて、有意に硬いことが分かる。
【実施例】
【0090】
(SBF浸漬試験-1-)
本発明の製造方法で製造される医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体について、以下のとおりSBF浸漬試験を行った。
【実施例】
【0091】
表1の実施例10に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法によりCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体を作製した。放電プラズマ焼結法は、粒径53~150μmのCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末に対して、加圧力600MPa、焼結温度到達後の保持時間10分、焼結温度95℃の条件に設定された
【実施例】
【0092】
直径15mmの型で成形され、切削された実施例10のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体は、37℃の条件下、前述した組成のSBF(疑似体液)に浸漬され、該金属ガラス合金成形体の質量減少を測定することにより、分解率を算出する。
【実施例】
【0093】
図15及び表5に実施例10のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体の質量減少の経時変化を示す。
【実施例】
【0094】
【表5】
JP2017170964A1_000007t.gif
【実施例】
【0095】
図15及び表5に示すように、SBF浸漬試験において、浸漬開始時の質量に対し、浸漬3日目には90%以上の質量減少が見られた。
また、図16に実施例9のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体のSBF浸漬前後の写真を示す。浸漬6日目には該金属ガラス合金成形体はほぼ全て溶けていることが分かった。
【実施例】
【0096】
(SBF浸漬試験-2-)
本発明の製造方法で製造される医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体について、以下のとおりSBF浸漬試験を行った。
【実施例】
【0097】
表1の実施例5に記載のとおり、ガスアトマイズ法でCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末を作製後、放電プラズマ焼結法によりCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体を作製した。放電プラズマ焼結法は、53μm以下のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金粉末に対して、加圧力600MPa、焼結温度到達後の保持時間10分、焼結温度140℃の条件に設定された
【実施例】
【0098】
比較試料として、表1の比較例11に記載のとおり、銅鋳型鋳造法でCa65Mg15Zn20合金を作製した。
【実施例】
【0099】
実施例5及び比較例11の試料について、SBF浸漬試験を行った。直径15mmの型で成形され切断機で切削された試料を、37℃の条件下、SBF中に紐で吊るして浸漬し、該カルシウム系金属ガラス合金成形体の質量減少を一時間ごとに測定して分解率を割り出した。
【実施例】
【0100】
図17及び表6に実施例5のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体及び比較例11のCa65Mg15Zn20鋳造合金について、SBF浸漬試験の質量減少率の経時変化を示す。
【実施例】
【0101】
【表6】
JP2017170964A1_000008t.gif
【実施例】
【0102】
Ca65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体(実施例5)は、浸漬後3時間における質量減少が浸漬開始時に対し24%、浸漬後6時間における質量減少が浸漬開始時に対し33%であった。一方、Ca65Mg15Zn20鋳造合金(比較例11)は、浸漬後3時間における質量減少が浸漬開始時に対し51%、浸漬後6時間における質量減少が浸漬開始時に対し70%であった。
つまり、本発明の製造方法で製造される金属ガラス合金成形体は、鋳造合金に比べ、吸収が徐々に起こることが分かった。
【実施例】
【0103】
(金属ガラス合金成形体の厚みと合金化工程に関する検討)
同じ金属組成Ca65Mg15Zn20であり、同じ試料直径15mm、同じ試料長さ40mmであるが、鋳造法で作製したCa65Mg15Zn20合金(インゴット、比較例2)と、ガスアトマイズ法及び放電プラズマ焼結法で作製したCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体(実施例5)の結果を比較し、金属ガラス合金成形体の厚みに関して検討を行った。
比較例2のCa65Mg15Zn20合金は、X線回折スペクトル(図8)から金属ガラスの性質を有していないこと、圧縮試験結果(図12)から300MPaより低い圧縮強度しか有さないこと、ビッカース硬さ試験の結果(表4)からビッカース硬さが120HV以上でないことが確認でき、本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体に適さないことが分かる。
一方、実施例5のCa65Mg15Zn20金属ガラス合金成形体は、X線回折スペクトル(図9D)から金属ガラスの性質を有すること、圧縮試験結果(図11C)から300MPaより高い圧縮強度を有すること、ビッカース硬さ試験の結果(表4)からビッカース硬さが120HV以上であることが確認でき、本発明の医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体に適することが分かる。
すなわち、円柱状の金属ガラス合金成形体の直径が15mm以上、すなわち、成形体の内部に成形体の表面の全ての部分からの最短距離が7.5mm以上となる領域を含むような大きな塊であると、鋳造法では金属ガラス合金生体材料に適さないことが分かる。本検討結果は、非特許文献4~6に記載の試料の厚みが10mmを超えると、鋳造法では金属ガラス合金生体材料として適さないことと整合するものである。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明の製造方法により、生体吸収性と機械的強度を備えた、広い用途に応用可能な医療用カルシウム系金属ガラス合金生体材料を提供することできる。
【0105】
該医療用カルシウム系金属ガラス合金生体材料は、金属材料と同等の機械的強度及び硬さを備えるため、複雑な形状の医療用材料の成形が可能であり、生体材料の構造や埋入位置の上で圧力のかかる部材へも応用可能となる。
また、該医療用カルシウム系金属ガラス合金生体材料は、体内に埋入直後には生体吸収が徐々に行われ、かつ、最終的には体内で分解するため、治療後の撤去手術が不要となるばかりか、埋入直後の分解速度の制御も可能となる。
【0106】
本発明を利用すれば、新規医療用カルシウム系金属ガラス合金成形体による、ステント、骨片固定用プレート、固定用ネジ、歯科用メンブレン等、サイズに関わらず各種医療機器に対応した合金設計が可能となり、さまざまな医療分野への応用が期待できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7A】
6
【図7B】
7
【図7C】
8
【図8】
9
【図9A】
10
【図9B】
11
【図9C】
12
【図9D】
13
【図9E】
14
【図9F】
15
【図10A】
16
【図10B】
17
【図10C】
18
【図10D】
19
【図10E】
20
【図10F】
21
【図10G】
22
【図10H】
23
【図11A】
24
【図11B】
25
【図11C】
26
【図11D】
27
【図11E】
28
【図12】
29
【図13A】
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【図13B】
31
【図13C】
32
【図13D】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
36
【図17】
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