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明細書 :アモルファス酸化物系正極活物質、その製造方法及びその用途

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成31年2月14日(2019.2.14)
発明の名称または考案の名称 アモルファス酸化物系正極活物質、その製造方法及びその用途
国際特許分類 H01M   4/525       (2010.01)
H01M  10/0562      (2010.01)
H01M  10/052       (2010.01)
H01M  10/054       (2010.01)
H01M   4/505       (2010.01)
H01M   4/131       (2010.01)
H01M   4/58        (2010.01)
H01M   4/136       (2010.01)
H01M   4/485       (2010.01)
H01M   4/36        (2006.01)
FI H01M 4/525
H01M 10/0562
H01M 10/052
H01M 10/054
H01M 4/505
H01M 4/131
H01M 4/58
H01M 4/136
H01M 4/485
H01M 4/36 A
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 22
出願番号 特願2018-508899 (P2018-508899)
国際出願番号 PCT/JP2017/009294
国際公開番号 WO2017/169599
国際出願日 平成29年3月8日(2017.3.8)
国際公開日 平成29年10月5日(2017.10.5)
優先権出願番号 2016070298
優先日 平成28年3月31日(2016.3.31)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】林 晃敏
【氏名】辰巳砂 昌弘
出願人 【識別番号】505127721
【氏名又は名称】公立大学法人大阪府立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100065248、【弁理士】、【氏名又は名称】野河 信太郎
【識別番号】100159385、【弁理士】、【氏名又は名称】甲斐 伸二
【識別番号】100163407、【弁理士】、【氏名又は名称】金子 裕輔
【識別番号】100166936、【弁理士】、【氏名又は名称】稲本 潔
審査請求 未請求
テーマコード 5H029
5H050
Fターム 5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AL13
5H029AM12
5H029CJ08
5H029HJ02
5H029HJ13
5H050AA12
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB01
5H050CB02
5H050CB03
5H050CB07
5H050CB08
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5H050DA02
5H050EA11
5H050EA12
5H050FA20
5H050GA10
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA13
要約 全固体二次電池用の正極の作製原料であるアモルファス酸化物系正極活物質であり、前記アモルファス酸化物系正極活物質が(i)Li及びNaから選択されるアルカリ金属と、Co、Ni、Mn、Fe、Cr、V、Cu、Ti、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru及びSnから選択される第2金属と、リン酸イオン、硫酸イオン、硼酸イオン、ケイ酸イオン、アルミン酸イオン、ゲルマン酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及びハロゲン化物イオンから選択されるイオン種と、酸素原子(但し、イオン種を構成する酸素原子を除く)とを含み、(ii)少なくともアモルファス相を含み、かつ(iii)20μm以上の厚さの正極の作製原料であるアモルファス酸化物系正極活物質。
特許請求の範囲 【請求項1】
全固体二次電池用の正極の作製原料であるアモルファス酸化物系正極活物質であり、
前記アモルファス酸化物系正極活物質が
(i)Li及びNaから選択されるアルカリ金属と、Co、Ni、Mn、Fe、Cr、V、Cu、Ti、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru及びSnから選択される第2金属と、リン酸イオン、硫酸イオン、硼酸イオン、ケイ酸イオン、アルミン酸イオン、ゲルマン酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及びハロゲン化物イオンから選択されるイオン種と、酸素原子(但し、イオン種を構成する酸素原子を除く)とを含み、
(ii)少なくともアモルファス相を含み、かつ
(iii)20μm以上の厚さの正極の作製原料である
アモルファス酸化物系正極活物質。
【請求項2】
Li及びNaから選択されるアルカリ金属と、Co、Ni、Mn、Fe、Cr、V、Cu、Ti、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru及びSnから選択される第2金属と、リン酸イオン、硫酸イオン、硼酸イオン、ケイ酸イオン、アルミン酸イオン、ゲルマン酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及びハロゲン化物イオンから選択されるイオン種と、酸素原子(但し、イオン種を構成する酸素原子を除く)とを含み、アモルファス状態であり、20μm以上の厚さの全固体二次電池用の正極の作製原料である請求項1に記載のアモルファス酸化物系正極活物質。
【請求項3】
前記アモルファス酸化物系正極活物質は、そのXRDパターンにおける最小2θでのピークが、0.5以上の半値幅となるアモルファス状態を示す請求項1に記載のアモルファス酸化物系正極活物質。
【請求項4】
前記アモルファス酸化物系正極活物質が、アモルファス相と結晶質相とを含む請求項3に記載のアモルファス酸化物系正極活物質。
【請求項5】
前記アモルファス酸化物系正極活物質が、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属塩に由来する成分を含み、前記アルカリ金属酸化物が、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、Li2MnO3、Li(Ni,Co,Mn)O2、Li2TiO3、LiFeO2、LiCrO2、Li2CuO2、LiCuO2、LiMoO2、Li2RuO3、Li3NbO4、Li32(PO43、LiMn24及びLi(Ni,Mn)O4のリチウム系化合物と、NaCoO2、NaNiO2、NaMnO2、Na2MnO3、Na(Ni,Co,Mn)O2、NaFeO2、Na2TiO3、NaCrO2、Na2CuO2、NaCuO2、NaMoO2、Na2RuO3、Na3NbO4、Na32(PO43、NaMn24及びNa(Ni,Mn)O4のナトリウム系化合物とからなる群から選択され、前記アルカリ金属塩が、AxByOz(式中、AはLi又はNaであり、BはP,S,B,C,Si,Al,Ge及びNから選択され、xは1以上、yは1以上、zは1以上であり、かつx、y及びzは化学量論的に可能な値である)及びAX(AはLi又はNaであり、XはF,Cl,Br及びIから選択される)から選択される請求項1に記載のアモルファス酸化物系正極活物質。
【請求項6】
前記アルカリ金属酸化物に由来する成分とアルカリ金属塩に由来する成分とが、前記アモルファス酸化物系正極活物質中に、1:9~9:1のモル比で存在する請求項3に記載のアモルファス酸化物系正極活物質。
【請求項7】
前記アモルファス酸化物系正極活物質が、LiCoO2と、Li3PO4及び/又はLi2SO4とに由来する成分を含む請求項1に記載のアモルファス酸化物系正極活物質。
【請求項8】
請求項1に記載のアモルファス酸化物系正極活物質の製造方法であって、前記アモルファス酸化物系正極活物質が、その原料をメカニカルミリングにより混合することで得られるアモルファス酸化物系正極活物質の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載のアモルファス酸化物系正極活物質を含み、20μm以上の厚さを有する正極。
【請求項10】
請求項9に記載の正極、負極、及び前記正極と前記負極間に位置する固体電解質層とを少なくとも備える全固体二次電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス酸化物系正極活物質、その製造方法及びその用途に関する。更に詳しくは、本発明は、比較的厚膜の正極でも高い導電率を示し得るアモルファス酸化物系正極活物質、その製造方法、それを含む正極及び全固体二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン二次電池は、高電圧、高容量を有するため、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ノートパソコン、電気自動車等の電源として多用されている。一般に流通しているリチウム二次電池は、電解質として、電解塩を非水系溶媒に溶解した液状電解質を使用している。非水系溶媒には、可燃性の溶媒が多く含まれているため、安全性の確保が望まれている。
安全性を確保するために、非水系溶媒を使用せずに、電解質を固体材料から形成する、いわゆる固体電解質を使用した全固体二次電池が提案されている。この固体材料としては、Li2S-P25で表される硫化物系固体電解質が多く報告されている。しかし、硫化物系固体電解質は、その製造原料に硫化物を使用するため、作業性の観点からの課題があった。そこで、硫化物系ではない固体電解質として、本願出願人は、酸化物系の固体電解質を提案している(特開2015-76854号公報:特許文献1)。
【0003】
酸化物系の固体電解質は、例えば、それを用いて固体電解質層を形成する場合、焼結する必要がある。その焼結温度が高すぎると、正極や負極と一緒に高温焼結した際に、電極と電解質の界面で高抵抗相が形成されることが知られている。特許文献1では、焼結温度を低下させることができ、その結果、高抵抗相の形成を抑制できている。
一方、全固体二次電池は、固体電荷質層以外にも、正極及び負極が構成要件として必要とされる。特許文献1の実施例では、正極を構成する正極活物質としてLiCoO2が使用されている。上記した界面での高抵抗相の形成を抑制し、電子伝導性を有する正極活物質としてのLixMyPOzが提案されている(Sabi等、Journal of Power Soureces,258(2014),p.54-60:非特許文献1)。非特許文献1では、正極活物質を含む正極を、固体電解質層上にスパッタ法により形成する技術が提案されており、その形成時に固体電解質層に加えられる熱を抑制できるので、高抵抗相の形成が抑制される、とされている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2015-76854号公報
【0005】

【非特許文献1】Sabi等、Journal of Power Soureces,258(2014),p.54-60
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記公報では、スパッタ法により正極を形成するため、厚い正極を形成できなかった。正極の厚さは、全固体二次電池の容量に影響するため、できるだけ厚くした上で、固体電解質層との界面に高抵抗相の形成も抑制し得る正極活物質を提供することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かくして本発明によれば、全固体二次電池用の正極の作製原料であるアモルファス酸化物系正極活物質であり、
前記アモルファス酸化物系正極活物質が
(i)Li及びNaから選択されるアルカリ金属と、Co、Ni、Mn、Fe、Cr、V、Cu、Ti、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru及びSnから選択される第2金属と、リン酸イオン、硫酸イオン、硼酸イオン、ケイ酸イオン、アルミン酸イオン、ゲルマン酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及びハロゲン化物イオンから選択されるイオン種と、酸素原子(但し、イオン種を構成する酸素原子を除く)とを含み、
(ii)少なくともアモルファス相を含み、かつ
(iii)20μm以上の厚さの正極の作製原料である
アモルファス酸化物系正極活物質が提供される。
【0008】
更に、本発明によれば、上記アモルファス酸化物系正極活物質の製造方法であって、前記アモルファス酸化物系正極活物質が、その原料をメカニカルミリングにより混合することで得られるアモルファス酸化物系正極活物質の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、上記アモルファス酸化物系正極活物質を含み、20μm以上の厚さを有する正極が提供される。
更に、本発明によれば、上記正極、負極、及び前記正極と前記負極間に位置する固体電解質層とを少なくとも備える全固体二次電池が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、比較的厚膜の正極でも高い導電率を示し得るアモルファス酸化物系正極活物質を提供できる。
【0010】
また、本発明によれば、以下のいずれかの場合、比較的厚膜の正極でもより高い導電率を示し得るアモルファス酸化物系正極活物質を提供できる。
(1)Li及びNaから選択されるアルカリ金属と、Co、Ni、Mn、Fe、Cr、V、Cu、Ti、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru及びSnから選択される第2金属と、リン酸イオン、硫酸イオン、硼酸イオン、ケイ酸イオン、アルミン酸イオン、ゲルマン酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及びハロゲン化物イオンから選択されるイオン種と、酸素原子(但し、イオン種を構成する酸素原子を除く)とを含み、アモルファス状態であり、20μm以上の厚さの全固体二次電池用の正極の作製原料である。
(2)アモルファス酸化物系正極活物質は、そのXRDパターンにおける最小2θでのピークが、0.5以上の半値幅となるアモルファス状態を示す。
(3)アモルファス酸化物系正極活物質が、アモルファス相と結晶質相とを含む。
(4)アモルファス酸化物系正極活物質が、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属塩に由来する成分を含み、前記アルカリ金属酸化物が、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、Li2MnO3、Li(Ni,Co,Mn)O2、Li2TiO3、LiFeO2、LiCrO2、Li2CuO2、LiCuO2、LiMoO2、Li2RuO3、Li3NbO4、Li32(PO43、LiMn24及びLi(Ni,Mn)O4のリチウム系化合物と、NaCoO2、NaNiO2、NaMnO2、Na2MnO3、Na(Ni,Co,Mn)O2、NaFeO2、Na2TiO3、NaCrO2、Na2CuO2、NaCuO2、NaMoO2、Na2RuO3、Na3NbO4、Na32(PO43、NaMn24及びNa(Ni,Mn)O4のナトリウム系化合物とからなる群から選択され、前記アルカリ金属塩が、AxByOz(式中、AはLi又はNaであり、BはP,S,B,C,Si,Al,Ge及びNから選択され、xは1以上、yは1以上、zは1以上であり、かつx、y及びzは化学量論的に可能な値である)及びAX(AはLi又はNaであり、XはF,Cl,Br及びIから選択される)から選択される。
(5)アルカリ金属酸化物に由来する成分とアルカリ金属塩に由来する成分とが、アモルファス酸化物系正極活物質中に、1:9~9:1のモル比で存在する。
(6)アモルファス酸化物系正極活物質が、LiCoO2と、Li3PO4及び/又はLi2SO4とに由来する成分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例1の正極活物質のXRDパターンである。
【図2】実施例1の正極活物質のSEM及びEDXによるマッピング図である。
【図3】実施例1の正極活物質のインピーダンスプロットである。
【図4】実施例1の正極活物質の経過時間毎の放電電流減少である。
【図5】実施例2のセルの断面写真である。
【図6】実施例2のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図7】実施例2のセルの正極の断面のSEM写真である。
【図8】実施例2のセルの充電前、充電後及び放電後の正極のペレットのXRDパターンである。
【図9】実施例3のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図10】実施例4のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図11】実施例5のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図12】実施例6の正極活物質のXRDパターンである。
【図13】実施例6のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図14】実施例7の正極活物質のXRDパターンである。
【図15】実施例7のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図16】実施例8の正極活物質のXRDパターンである。
【図17】実施例8のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図18】実施例8のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図19】実施例9の正極活物質のXRDパターンである。
【図20】実施例9のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図21】実施例10の正極活物質のXRDパターンである。
【図22】実施例10のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図23】実施例10のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【図24】実施例11の正極活物質のXRDパターンである。
【図25】実施例11のセルを充放電試験に付した結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(アモルファス酸化物系正極活物質)
アモルファス酸化物系正極活物質(以下、単に正極活物質と称する)は、Li及びNaから選択されるアルカリ金属と、Co、Ni、Mn、Fe、Cr、V、Cu、Ti、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru及びSnから選択される第2金属と、リン酸イオン、硫酸イオン、硼酸イオン、ケイ酸イオン、アルミン酸イオン、ゲルマン酸イオン、硝酸イオン、炭酸イオン及びハロゲン化物イオンから選択されるイオン種と、酸素原子(但し、イオン種を構成する酸素原子を除く)とを含む。
正極活物質は、アルカリ金属酸化物及びアルカリ金属塩に由来する成分を含み、アルカリ金属酸化物が、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、Li2MnO3、Li(Ni,Co,Mn)O2、Li2TiO3、LiFeO2、LiCrO2、Li2CuO2、LiCuO2、LiMoO2、Li2RuO3、Li3NbO4、Li32(PO43、LiMn24及びLi(Ni,Mn)O4のリチウム系化合物と、NaCoO2、NaNiO2、NaMnO2、Na2MnO3、Na(Ni,Co,Mn)O2、Na2TiO3、NaFeO2、NaCrO2、Na2CuO2、NaCuO2、NaMoO2、Na2RuO3、Na3NbO4、Na32(PO43、NaMn24及びNa(Ni,Mn)O4のナトリウム系化合物とからなる群から選択され、アルカリ金属塩が、AxByOz(式中、AはLi又はNaであり、BはP,S,B,C,Si,Al,Ge及びNから選択され、xは1以上、yは1以上、zは1以上であり、かつx、y及びzは化学量論的に可能な値である)及びAX(AはLi又はNaであり、XはF,Cl,Br及びIから選択される)から選択されることが好ましい。これらアルカリ金属酸化物及びアルカリ金属塩は、それぞれ、1種ずつ選択されていてもよく、複数種ずつ選択されていてもよい。
より具体的なアルカリ金属塩としては、Li3PO4、Li427、LiPO3、Li2SO4、Li3BO3、Li4BO5、LiBO2、Li2CO3、Li4SiO4、Li6Si27、Li2SiO3、Li3AlO3、Li4Al25、LiAlO2、Li4GeO4、Li6Ge27、Li2GeO3、LiNO3及びLiX(X=F,Cl,Br,I)のリチウム塩と、Na3PO4、Na2SO4、Na3BO3、Na2CO3、Na4SiO4、Na3AlO3、Na4GeO4、NaNO3及びNaX(X=F,Cl,Br,I)のナトリウム塩とからなる群から選択されることが好ましい。
上記の具体例の中でも、正極活物質は、LiCoO2と、Li3PO4及び/又はLi2SO4とに由来する成分を含むことが好ましい。また、LiNO3のような比較的融点の低いアルカリ金属塩は、充放電反応による正極体積の増減に追随し易いため、不可逆容量の発生を抑制できると考えられる。LiNO3をLi3PO4及び/又はLi2SO4と併用する場合、LiNO3は、正極活物質中に、5~20モル%含ませ得る。
更に、Co、Ni、Mn、Fe、Cr、V、Cu、Ti、Zn、Zr、Nb、Mo、Ru及びSnから選択される金属の酸化物を含んでいてもよい。金属の酸化物を含むことで、電池の容量を向上できる場合がある。例えば、TiO2やMn23は、酸化還元反応性を向上させる働きを有していることにより、電池の容量を向上効果を奏すると考えられる。これら金属の酸化物は、アルカリ金属酸化物1に対して、0.01~3のモル比で使用し得る。

【0013】
上記アルカリ金属酸化物に由来する成分とアルカリ金属塩に由来する成分とは、正極活物質中に、1:9~9:1のモル比で存在することが好ましい。アルカリ金属塩に由来する成分のモル比が1未満の場合、アモルファス化が困難となることがある。モル比が9より多い場合、電極としての機能が発現しないことがある。モル比は、1:9、2:8、3:7、4:6、5:5、6:4、7:3、8:2、9:1をとり得る。モル比は、3:7~9:1であることがより好ましく、5:5~8:2であることが更に好ましい。
また、正極活物質は、アモルファス相を含んでいさえすれば、本発明による効果を阻害しない範囲内で結晶質相を含んでいてもよい。このアモルファス相を必須の含有相とし、結晶質相を任意に含有相とする結晶状態をアモルファス状態と称する。結晶性が高くなると、界面形成が困難となり抵抗が高くなる傾向があるため、結晶性(アモルファス状態)の低い正極活物質の提供が望まれている。また、アモルファス状態は、結晶状態に比べて、密度が低いため、充放電の際の体積変化に対する正極活物質の追従性が高い。その結果、粉末化による未導電部のような不可逆容量の発生を抑制することができる。ここで、アモルファス状態であることは、不可逆容量の発生を抑制し得る程度の状態であり、例えば、そのXRDパターンにおける最小2θのピークが、0.5以上の半値幅となる状態を示すことを意味する。半値幅は、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0をとり得る。
ここで、発明者等は、正極活物質が少量の結晶質相を含んでいることが適切な場合があることを見い出している。厚い正極は、通常、正極活物質等の粒子状の原料(原料粒子)をプレスすることにより形成される。厚い正極では、原料粒子間の隙間(空間)をできるだけ減らし、原料粒子の密着性を向上させることが、電池特性を向上させる観点から強く望まれている。少量の結晶質相を含む正極活物質から構成される原料粒子は、プレスによりつぶれ易いため、原料粒子の密着性を向上させることができる。なお、結晶質相は、5.0以下、4.0以下、3.0以下、2.0以下、1.0以下の半値幅を示す程度で正極活物質内に含まれていればよい。
更に、この正極活物質を用いれば、プレスによって20μm以上の厚さの正極も容易に形成できるので、この正極活物質は、高容量のバルク型全固体二次電池用の正極を形成する材料として適している。この20μm以上の厚さは、スパッタ法のような気相成長法では、実現することが困難である。厚さは、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、50μm、60μm、80μm、100μm、120μm、140μm、150μmをとり得る。

【0014】
(正極活物質の製造方法)
正極活物質が、その原料をメカニカルミリングにより混合することで製造できる。特に、Li2SO4は、非特許文献1のようなスパッタ法では分解することが予想され、正極活物質として正極を構成することは困難である。従って、Li2SO4は、メカニカルミリング処理による製造に利点が多い。
メカニカルミリングでの処理は、原料を十分混合することで、正極活物質をアモルファス状態とすることができさえすれば、処理装置及び処理条件には特に限定されない。
処理装置としては、通常ボールミルが使用できる。ボールミルは、大きな機械的エネルギーが得られるため好ましい。ボールミルの中でも、遊星型ボールミルは、ポットが、自転回転すると共に、台盤により公転回転するため、高い衝撃エネルギーを効率よく発生させることができるので、好ましい。

【0015】
処理条件は、使用する処理装置に応じて適宜設定できる。例えば、ボールミルを使用する場合、回転速度が大きいほど及び/又は処理時間が長いほど、原料を均一に混合できる。具体的には、遊星型ボールミルを使用する場合、50~600回転/分の回転速度、0.1~200時間の処理時間、1~100kWh/原料混合物1kgの条件が挙げられる。処理雰囲気は、アルゴンのような不活性雰囲気下であることが好ましい。なお、処理時間は、より適切なアモルファス状態を実現するために、10~70時間であることがより好ましい。
なお、原料は、メカニカルミリング処理時の加水分解反応を回避するという観点から、無水状態であることが好ましい。原料が結晶水を含む場合、予め空気中で2時間程度熱処理しておくことが好ましい。熱処理の温度は、原料の種類に応じて適宜決定できる。更に、アルカリ金属塩は、リチウム及び/又はナトリウムの水酸化物と対応する酸とを反応させることで得てもよい。

【0016】
(正極)
正極は、上記正極活物質を少なくとも含む。また、20μm以上の厚さを有する。20μm以上の厚さを有する正極は、スパッタ法では形成困難である。
また、必要に応じて、酸化物系固体電解質を含んでいてもよい。正極中、酸化物系固体電解質の占める割合は、30重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。
酸化物系固体電解質としては、例えば、Li3PO4、Li2SO4、Li3BO3及びLi2CO3のリチウム塩、Na3PO4、Na2SO4、Na3BO3及びNa2CO3のナトリウム塩等が挙げられる。この酸化物系固体電解質は、300℃程度以下の加熱でも、十分な導電性を正極に付与できる。

【0017】
酸化物系固体電解質は、ガラスセラミックス状であってもよく、ガラス状であってもよい。例えば、b-1(Li3BO3)/b(Li2SO4)で表される固体電解質を例とすると、ガラスセラミックス状の電解質は、ガラス状の電解質より、bが小さければ導電率が高く、bが大きければ導電率が低くなる傾向を示す。ガラスセラミックス状の電解質は、ガラス状の電解質を結晶化温度以上の温度で加熱することにより、通常得られる。そのため、ガラスセラミックス状の電解質は、ガラス状の電解質よりコストがかかることになる。そのため両電解質は、所望する全固体電池の性能及び価格に応じて選択できる。
なお、ガラスセラミックス状は、対応するガラス状に存在していたガラス転移点が存在しない状態であることが好ましい。また、ガラスセラミックス状は、非晶質状態のガラス成分中に、結晶質部が分散した状態であってもよい。結晶質部の割合は、全体に対して、50重量%以上であることが好ましく、80重量%以上であることがより好ましい。なお、結晶質部の割合は固体NMRにより測定可能である。

【0018】
(1)ガラス状の酸化物系固体電解質は、アルカリ金属塩を混合することにより得ることができる。混合には、塩をより均一に混合する観点から、上記正極活物質と同様の条件のメカニカルミリング処理を使用することが好ましい。
(2)ガラスセラミックス状の酸化物系固体電解質は、上記ガラス状の固体電解質を、熱処理に付すことにより得ることができる。この熱処理は、ガラス状の固体電解質の結晶化温度以上の温度で行うことが好ましい。
ガラス転移点(Tg)は、固体電解質の構成元素に応じて相違するが、例えば、Li3BO3-Li2SO4系の場合、190~250℃の範囲にある。また第一結晶化温度(Tc)は210~270℃の範囲にある。熱処理温度の上限は、特に限定されないが、通常、第一結晶化温度+100℃である。
熱処理時間は、ガラス状をガラスセラミックス状に変換し得る時間であり、熱処理温度が高いと短く、低いと長くなる。熱処理時間は、通常、0.1~10時間の範囲である。

【0019】
正極には、更に、結着剤、導電剤等が混合されていてもよい。
結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン等が挙げられる。
導電剤としては、天然黒鉛、人工黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、デンカブラック、カーボンブラック、気相成長カーボンファィバ(VGCF)等が挙げられる。

【0020】
正極は、SUS、アルミニウム又は銅等の集電体の上に形成されていてもよい。
正極は、例えば、正極活物質と、任意に酸化物系固体電解質、結着剤、導電剤等を混合し、得られた混合物をプレスすることで、ペレット状として得ることができる。プレスは、300℃程度以下の温度、100~800MPaの圧力で、0.1~5時間行うことができる。本発明の正極活物質は、プレス温度が従来より低温であっても、高い導電性を正極に付与できる。
また、このプレスは、固体電解質層の形成時のプレスと兼ねていてもよい。兼ねることで、正極と固体電解質層の界面での密着性をより向上できる。

【0021】
(全固体二次電池)
全固体二次電池は、正極、負極、及び前記正極と前記負極間に位置する固体電解質層とを少なくとも備えている。この内、正極は、上記の物を使用できる。また、固体電解質層には、上記正極の欄で説明した固体電解質をそのまま使用できる。
負極は、特に限定されない。負極は、負極活物質のみからなっていてもよく、結着剤、導電剤、電解質等と混合されていてもよい。
負極活物質としては、Li、Na、In、Sn等の金属、Li合金、Na合金、グラファイト、ハードカーボン、Li4/3Ti5/34、Na32(PO43、SnO等の種々の遷移金属酸化物等が挙げられる。
結着剤及び導電剤は、上記正極の欄で挙げた物をいずれも使用できる。電解質は、酸化物系及び硫化物系の固体電解質をいずれも使用できる。
負極は、例えば、負極活物質及び、任意に結着剤、導電剤、電解質等を混合し、得られた混合物をプレスすることで、ペレット状として得ることができる。また、負極活物質として金属又はその合金からなる金属シート(箔)を使用する場合、それをそのまま使用可能である。
負極は、SUS、アルミニウム又は銅等の集電体の上に形成されていてもよい。

【0022】
(全固体二次電池の製造法)
全固体二次電池は、例えば、正極と、電解質層と、負極とを積層し、プレスすることにより得ることができる。
【実施例】
【0023】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらによりなんら制限されるものではない。
実施例1
LiCoO2とLi3PO4又はLi2SO4とを原料とする2種類の正極活物質を以下の手順で製造した。なお、2種類の正極活物質は、以下では、LiCoO2-Li3PO4とLiCoO2-Li2SO4と称する。
LiCoO2(日本化学工業社製)とLi3PO4(和光純薬工業社製)又はLi2SO4・H2O(和光純薬工業社製)を、Ar雰囲気下、300℃で3時間加熱することによって脱水して得たLi2SO4とを、7:3のモル比となるように計り取り、乳鉢で混合した。得られた混合物を、メカニカルミリング処理に付すことで2種類の約3μmの粒子径の正極活物質を得た。この処理には、遊星型ボールミルである、Fritsch社製Pulverisette P-7を使用し、ポット及びボールはZrO2製であり、45mlのポット内に直径5mmのボール(40g)が500個入っているミルを使用した。メカニカルミリング処理は、370rpmの回転速度、室温、アルゴン雰囲気中で20時間行った。
なお、上記製造法は、Akitoshi Hayashi et al., Journal of Non-Crystalline Solids 356 (2010),p.2670-2673のExperimentalの記載に準じている。
【実施例】
【0024】
正極活物質80mgを室温(約25℃)で0.1時間プレス(圧力360MPa)することで直径10mm、厚さ約1mmのペレットを得た。
得られた2種類の正極活物質のペレットのXRDパターンを図1に示す。図1には、立方晶(cubic)のLiCoO2、六方晶(hexagonal)のLiCoO2、Li3PO4及びLi2SO4のXRDパターンも示す。図1から、LiCoO2に対応するピークがいずれもブロード化しており、正極活物質がアモルファス状態であることが分かる。特に、観測された全ての2θのピークが、0.5以上の半値幅となっていることが分かる。
また、LiCoO2-Li2SO4の正極活物質の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図2(a)に、図2(a)に対応するCo及びS原子のエネルギー分散型X線分光法(EDX)によるマッピング図を図2(b)及び(c)に示す。図2(a)~(c)から、得られた正極活物質においては、粒子内においてCoとSが均一に分散されていることがわかる。これは、もとのLiCoO2とLi2SO4の粒子が反応して、新たなLiCoO2-Li2SO4の粒子が形成されていることを示す。
LiCoO2-Li2SO4の正極活物質の交流インピーダンス法によるナイキストプロットを図3に、印加電圧0.1Vで直流分極測定した際の経過時間毎の電流挙動を図4に、それぞれ示す。図3は、正極活物質をSUS板で挟んで測定した結果を、図4は、正極活物質を固体電解質層(Li3PS4)で挟み、更にLi板で挟んで測定した結果を、それぞれ意味する。図3及び4から、LiCoO2-Li2SO4は3.7×10-5Scm-1の電子伝導度と1.2×10-6Scm-1のリチウムイオン伝導度を有していることが分かる。同様に、LiCoO2-Li2PO4は2.5×10-5Scm-1の電子伝導度と5.3×10-7Scm-1のリチウムイオン伝導度を有していることが分かる。室温において10-7Scm-1以上の電子伝導度とイオン伝導度を有していることから、全固体電池の正極として必要な条件を満たしている。
【実施例】
【0025】
なお、固体電解質層は、以下の手順で作製した。
まず、LiOH・H2O(和光純薬工業社製)とH3BO3(和光純薬工業社製)を混合して、500℃で1時間加熱後、600℃で2時間焼成することによってLi3BO3を合成した。Li2SO4・H2O(和光純薬工業社製)をAr雰囲気下で300℃で3時間加熱することによって脱水し、Li2SO4を得た。Li3BO3とLi2SO4及びLi2CO3(和光純薬工業社製)を1:1:1のモル比になるように計り取り、乳鉢で混合した後、混合物を遊星型ボールミルに投入した。投入後、メカニカルミリング処理することで、数μmの粒径のガラス状固体電解質(33Li3BO3・33Li2SO4・33Li2CO3)を得た。遊星型ボールミルは、Fritsch社製Pulverisette P-7を使用し、ポット及びボールは酸化ジルコニウム製であり、45mlのポット内に直径5mmのボールが160個入っているミルを使用した。メカニカルミリング処理は、370rpmの回転速度、室温、乾燥Ar雰囲気のグローブボックス内で90時間行った。上記ガラス状固体電解質を、結晶化温度以上の260℃で加熱し、ガラスセラミックス化することによりガラスセラミック状固体電解質を得た。得られた固体電解質40mgを面積0.785cm2の成形部を有するペレット成形機を用いて、720MPaの圧力でプレスすることで、ペレット状の固体電解質層(厚さ約1mm)を得た。
【実施例】
【0026】
実施例2
正極(LiCoO2-Li2SO4)、上記固体電解質層、及び対極としてのインジウム箔をこの順で積層し、積層体をステンレススチール(SUS)製の集電体で挟むことで電池セル(全固体リチウム二次電池)を得た。セルの断面写真を図5に示す。このセルを、100℃、0.13mAcm-2の電流密度での、充放電試験に付した。試験結果を図6のグラフに示す。図の左の縦軸にはLi-In対極に対する電位を、右の縦軸にはLi-InとLiの電位差である0.62Vを考慮して算出したLi基準の電位をそれぞれ示す。
図5から、正極と固体電解質層との界面は隙間なく密着しており、界面における副反応層(高抵抗層)の存在も確認できなかった。また正極層の厚みは約100μmであることが分かる。図6から、プレスにより形成した所謂バルク型の全固体二次電池であっても充放電を行うことができることが分かる。
正極の断面のSEM写真を図7(a)に、図7(a)に対応するS、Co及びO原子のEDXによるマッピング図を図7(b)~(d)に示す。図7(a)~(d)から、得られた正極活物質において、CoとSとが均一に分散されていることが分かる。
更に、充電前、充電後及び放電後の正極のペレットのXRDパターンを図8に示す。図8には、六方晶(hexagonal)のLiCoO2及びLi2SO4のXRDパターンも示す。なお、図8中のSiが付されたピークは、基準材料のピークを意味する。図8から、正極活物質が充電後及び放電後においてもアモルファス状態であることが分かる。
【実施例】
【0027】
実施例3
LiCoO2-Li2SO4をLiCoO2-Li2PO4に変更すること以外は実施例2と同様にして電池セルを作製し、100℃、0.13mAcm-2の電流密度での、充放電試験に付した。試験結果を図9のグラフに示す。図9から、プレスにより形成した所謂バルク型の全固体二次電池であっても充放電を行うことができることが分かる。
【実施例】
【0028】
実施例4
LiNiO2(豊島製作所社製)とLi2SO4・H2O(和光純薬工業社製)を用い、メカニカルミリング処理の処理時間を50時間に、変更すること以外は実施例1と同様にして、正極活物質としてのLiNiO2-Li2SO4を得た。
上記正極活物質を使用すること以外は実施例2と同様にして得た電池セルを充放電試験に付した。試験結果を図10のグラフに示す。図10から、LiNiO2-Li2SO4も充放電を行うことができることが分かる。
実施例5
LiNi1/3Mn1/3Co1/32(戸田工業社製)とLi2SO4・H2O(和光純薬工業社製)を用い、メカニカルミリング処理の処理時間を50時間に変更すること以外は実施例1と同様にして、正極活物質としてのLiNi1/3Mn1/3Co1/32-Li2SO4を得た。
上記正極活物質を使用すること以外は実施例2と同様にして得た電池セルを充放電試験に付した。試験結果を図11のグラフに示す。図11から、LiNi1/3Mn1/3Co1/32-Li2SO4も充放電を行うことができることが分かる。
【実施例】
【0029】
実施例6
LiCoO2とLi2SO4とのモル比(x:1-x)を100:0、90:10、80:20、70:30、60:40に変更し、メカニカルミリング処理の処理時間を50時間に変更すること以外は実施例1と同様にして、正極活物質としての5種のLiCoO2-Li2SO4を得た。
上記正極活物質のXRDパターンを実施例1と同様にして測定し、図12に示す。図12には、立方晶(cubic)のLiCoO2、六方晶(hexagonal)のLiCoO2、Li3PO4及びLi2SO4のXRDパターンも示す。図12から、LiCoO2に対応するピークがいずれもブロード化しており、正極活物質がアモルファス状態であることが分かる。特に、観測された全ての2θのピークが、0.5以上の半値幅となっていることが分かる。
上記正極活物質を使用すること以外は実施例2と同様にして得た電池セルを充放電試験に付した。試験結果を図13のグラフに示す。図13から、LiCoO2とLi2SO4の割合を変更しても充放電を行うことができることが分かる。
【実施例】
【0030】
実施例7
LiCoO2とLi2SO4とのモル比を80:20に変更し、メカニカルミリング処理の処理時間を1時間、10時間及び50時間に変更すること以外は実施例1と同様にして、正極活物質としての3種のLiCoO2-Li2SO4を得た。
上記正極活物質のXRDパターンを実施例1と同様にして測定し、図14に示す。図14には、メカニカルミリング処理前の混合物、立方晶(cubic)のLiCoO2、六方晶(hexagonal)のLiCoO2、Li3PO4及びLi2SO4のXRDパターンも示す。図14から、処理時間が延びる程、LiCoO2に対応するピークがブロード化しており、正極活物質がアモルファス状態となることが分かる。
上記正極活物質を使用すること以外は実施例2と同様にして得た電池セルを充放電試験に付した。試験結果を図15のグラフに示す。図15から、処理時間が延びる程、充放電容量が増えることが分かる。
【実施例】
【0031】
実施例8
LiCoO2(日本化学工業社製)とLi2MnO3(豊島製作所社製)とのモル比80-x:xを40:40又は60:20とし、LiCoO2とLi2MnO3の合計とLi2SO4とのモル比を80:20に変更し、メカニカルミリング処理の処理時間を50時間に変更すること以外は実施例1と同様にして、正極活物質としてのLiCoO2-Li2MnO3-Li2SO4を得た。
上記正極活物質のXRDパターンを実施例1と同様にして測定し、図16に示す。図16には、Li2MnO3、立方晶(cubic)のLiCoO2、六方晶(hexagonal)のLiCoO2及びLi2SO4のXRDパターンも示す。図16から、LiCoO2に対応するピークがいずれもブロード化しており、正極活物質がアモルファス状態であることが分かる。特に、観測された全ての2θのピークが、0.5以上の半値幅となっていることが分かる。
上記正極活物質を使用すること以外は実施例2と同様にして得た電池セルを充放電試験に付した。試験結果を図17(x=20)及び図18(x=40)のグラフに示す。図17及び18から、LiCoO2-Li2MnO3-Li2SO4も充放電を行うことができることが分かる。
【実施例】
【0032】
実施例9
LiCoO2(日本化学工業社製)とLi2TiO3(和光純薬工業社製)とのモル比80-x:xを40:40又は60:20とし、LiCoO2とLi2TiO3の合計とLi2SO4とのモル比を80:20に変更し、メカニカルミリング処理の処理時間を50時間に変更すること以外は実施例1と同様にして、正極活物質としてのLiCoO2-Li2TiO3-Li2SO4を得た。
上記正極活物質のXRDパターンを実施例1と同様にして測定し、図19に示す。図19には、Li2TiO3、立方晶(cubic)のLiCoO2、六方晶(hexagonal)のLiCoO2及びLi2SO4のXRDパターンも示す。図19から、LiCoO2に対応するピークがいずれもブロード化しており、正極活物質がアモルファス状態であることが分かる。特に、観測された全ての2θのピークが、0.5以上の半値幅となっていることが分かる。
上記正極活物質を使用すること以外は実施例2と同様にして得た電池セルを充放電試験に付した。試験結果を図20(x=20)のグラフに示す。図20から、LiCoO2-Li2TiO3-Li2SO4も充放電を行うことができることが分かる。
【実施例】
【0033】
実施例10
Li2CO3(日本化学工業社製)、TiO2(和光純薬工業社製)とMn23(高純度化学社製)とを混合し、得られた混合物を、空気中、700℃で2時間焼成した。得られた焼成物をペレット化した。ペレットを、空気中、950℃で96時間焼結することにより、結晶性のLi1.2Ti0.4Mn0.42を得た。Li1.2Ti0.4Mn0.42と、Li2SO4・H2O(和光純薬工業社製)を、Ar雰囲気下、300℃で3時間加熱することによって脱水して得たLi2SO4とを、7:3及び8:2のモル比となるように計り取り、乳鉢で混合した。得られた混合物を、実施例1と同様のメカニカルミリング処理に付すことで正極活物質を得た。但し、この実施例での処理は、ボール数を50個に、処理時間を50時間に変更した。
上記正極活物質のXRDパターンを実施例1と同様にして測定し、図21に示す。図21には、LiTiMnO2の文献値でのXRDパターンも示す。図21から、LiTiMnO2に対応するピークがいずれもブロード化しており、正極活物質がアモルファス状態であることが分かる。特に、観測された全ての2θのピークが、0.5以上の半値幅となっていることが分かる。
上記正極活物質を使用し、固体電解質層を以下の固体電解質層、固体電解質層側の集電体をCu製に変更すること以外は実施例2と同様にして得た電池セルを充放電試験に付した。試験結果を図22(モル比7:3)及び図23(モル比8:2)のグラフに示す。図22及び23から、Li1.2Ti0.4Mn0.42-Li2SO4も充放電を行うことができることが分かる。また、充放電の繰り返しによる容量低下が比較的小さいことが分かる。
固体電解質は、Li2CO3を使用せず、Li3BO3とLi2SO4を9:1のモル比とすること以外は、実施例1と同様にして得られた90Li3BO3・10Li2SO4を使用した。
【実施例】
【0034】
実施例11
LiCoO2(日本化学工業社製)、Li2SO4・H2O(和光純薬工業社製)とLiNO3(和光純薬工業社製)とを用い(LiCoO2とLi2SO4・H2OとLiNO3のモル比は80:15:5及び70:20:10)、メカニカルミリング処理の処理時間を50時間に、ボール数を67個に変更すること以外は実施例1と同様にして、正極活物質としてのLiCoO2-Li2SO4-LiNO3を得た。
上記正極活物質のXRDパターンを実施例1と同様にして測定し、図24に示す。図24には、六方晶(hexagonal)のLiCoO2、LiNO3及びLi2SO4のXRDパターンも示す。図24から、LiCoO2に対応するピークがいずれもブロード化しており、正極活物質がアモルファス状態であることが分かる。特に、観測された全ての2θのピークが、0.5以上の半値幅となっていることが分かる。
上記正極活物質を使用し、固体電解質層を実施例10の固体電解質層、固体電解質層側の集電体をCu製に変更すること以外は実施例2と同様にして得た電池セルを充放電試験に付した。試験結果を図25(モル比80:15:5)のグラフに示す。図25から、LiCoO2-Li2SO4-LiNO3も充放電を行うことができることが分かる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24