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明細書 :チエノ[2,3-b]ピリジン誘導体およびキノリン誘導体ならびにそれらの使用

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成31年4月11日(2019.4.11)
発明の名称または考案の名称 チエノ[2,3-b]ピリジン誘導体およびキノリン誘導体ならびにそれらの使用
国際特許分類 C07D 401/04        (2006.01)
A61K  31/444       (2006.01)
A61K  31/4709      (2006.01)
A61K  31/55        (2006.01)
A61K  31/506       (2006.01)
A61P  21/02        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
C07D 495/04        (2006.01)
FI C07D 401/04
A61K 31/444
A61K 31/4709
A61K 31/55
A61K 31/506
A61P 21/02
A61P 43/00 111
C07D 495/04 105A
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 54
出願番号 特願2018-523952 (P2018-523952)
公序良俗違反の表示 1.TWEEN
国際出願番号 PCT/JP2017/021895
国際公開番号 WO2017/217439
国際出願日 平成29年6月14日(2017.6.14)
国際公開日 平成29年12月21日(2017.12.21)
優先権出願番号 2016117807
優先日 平成28年6月14日(2016.6.14)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】一條 秀憲
【氏名】本間 謙吾
【氏名】圓谷 奈保美
【氏名】長野 哲雄
【氏名】岡部 隆義
【氏名】小島 宏建
【氏名】下西 学
【氏名】藤澤 貴央
【氏名】柴田 哲男
【氏名】樋口 恒彦
【氏名】中村 精一
【氏名】中川 秀彦
【氏名】池田 慎一
出願人 【識別番号】504137912
【氏名又は名称】国立大学法人 東京大学
【識別番号】506218664
【氏名又は名称】公立大学法人名古屋市立大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100137512、【弁理士】、【氏名又は名称】奥原 康司
【識別番号】100178571、【弁理士】、【氏名又は名称】関本 澄人
審査請求 未請求
テーマコード 4C063
4C071
4C086
Fターム 4C063AA01
4C063BB01
4C063CC14
4C063DD12
4C063EE01
4C071AA01
4C071BB01
4C071CC01
4C071CC21
4C071DD12
4C071EE13
4C071FF06
4C071GG05
4C071HH17
4C071HH28
4C071JJ01
4C071JJ05
4C071KK01
4C071KK11
4C071LL01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB26
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA94
4C086ZC20
要約 本発明は、ALS関連変異型SOD1とDerlin-1との結合を阻害する化合物、該化合物を含有する医薬、および、該医薬を患者に投与することによるALSの治療方法の提供を目的とする。より具体的には、前記化合物は、下記の一般式(1)で表される。
JP2017217439A1_000044t.gif
[式(1)中、Xは硫黄原子または-CH=CH—を表し、A~Aはそれぞれ独立して炭素原子または窒素原子であってA~Aのうち少なくとも1つは窒素原子であり、Rは1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基(または、3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリル基)、3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル基、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1-ベンゾアゼピニル基または下記の式(2)で表される置換基
JP2017217439A1_000045t.gif
(式(2)中、Rは無置換もしくは置換基を有していてもよいフェニル基、無置換もしくは置換基を有していてもよいピリジル基または無置換もしくは置換基を有していてもよいナフチル基、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基(酸素原子および/または二重結合を含んでもよい)または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基を表す)のいずれかであり、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アシル基または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基、Rは水素原子を表し、あるいは、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。]
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の一般式(1)で表される化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【化1】
JP2017217439A1_000038t.gif
[式(1)中、Xは硫黄原子または-CH=CH—を表し、A~Aはそれぞれ独立して炭素原子または窒素原子であってA~Aのうち少なくとも1つは窒素原子であり、Rは1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基(または、3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリル基)、3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル基、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1-ベンゾアゼピニル基または下記の式(2)で表される置換基
【化2】
JP2017217439A1_000039t.gif
(式(2)中、Rは無置換もしくは置換基を有していてもよいフェニル基、無置換もしくは置換基を有していてもよいピリジル基または無置換もしくは置換基を有していてもよいナフチル基、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基(酸素原子および/または二重結合を含んでもよい)または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基を表す)のいずれかであり、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アシル基または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基、Rは水素原子を表し、あるいは、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。]
【請求項2】
下記の一般式(1a)で表される請求項1に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【化3】
JP2017217439A1_000040t.gif
[式(1a)中、A~Aはそれぞれ独立して炭素原子または窒素原子であって、A~Aのうち少なくとも1つは窒素原子であり、Rは1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基(または、3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリル基)、3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル基、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1-ベンゾアゼピニル基または下記の式(2)で表される置換基
【化4】
JP2017217439A1_000041t.gif
(式(2)中、Rは無置換もしくは置換基を有していてもよいフェニル基、無置換もしくは置換基を有していてもよいピリジル基または無置換もしくは置換基を有していてもよいナフチル基、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基(酸素原子および/または二重結合を含んでもよい)または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基を表す)のいずれかであり、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アシル基または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基、Rは水素原子を表し、あるいは、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。]
【請求項3】
およびRが水素原子である請求項2に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項4】
が窒素原子、A、AおよびAが炭素原子、Rが2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1-ベンゾアゼピニル基、1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリル基)または3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル基である請求項2または3に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項5】
が窒素原子、A、AおよびAが炭素原子、Rが3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル基である請求項2または3に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項6】
が窒素原子、A、AおよびAが炭素原子、Rが4-ピリジル基、2-ヨード-4-ピリジル基、フェニル基、4-フルオロフェニル基、2,3,4-トリフルオロフェニル基、4-ヨードフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,3-ジフルオロフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、5—フルオロ-2-メチルフェニル基、3-ペンタフルオロスルファニルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、4-ベンジルオキシフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル基または1-ナフチル基、Rが水素原子、1-プロピル基、2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基 、2-シクロペンチリデンエチル基、、2-プロピニル基、2-ブチニル基、(Z)-4-(プロプ-2-イルオキシ)ブト-2-エニル基、(E)-4-(プロプ-2-イルオキシ)ブト-2-エニル基またはベンジル基である請求項2または3に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項7】
が窒素原子、A、AおよびAが炭素原子、Rが4-ピリジル基、フェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-tert—ブチルフェニル基、3-ペンタフルオロスルファニルフェニル基または3,5-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル基、Rが水素原子、2-プロペニル基、3-メチル-2-ブテニル基または2-メチル-2-プロペニル基である請求項2または3に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項8】
が窒素原子、A、AおよびAが炭素原子、Rが4-ピリジル基、Rが水素原子ある請求項2または3に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項9】
およびAが窒素原子、AおよびAが炭素原子、Rが4-ピリジル基、Rが水素原子ある請求項2または3に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項10】
一般式(1a)で表される化合物が、N-アリル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-プロパルギル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、(3-アミノ- 6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノン、3-アミノ-N-(4-ピリジニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(trans-2-ブテニル)-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(4-ピリジニル)-6-(2-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(4-(3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル3-アミノ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(2-ブチニル)-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-n-プロピル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-n-プロピル-3-アミノ-N-(2,3,4-トリフルオロフェニル) -6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル-3-アミノ-N-(4-ヨードフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-(3-メチル-2-ブテニル)-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、[3-アミノ-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル](2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メタノン、N-アリル3-アミノ-N-(2,4-ジフルオロフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル3-アミノ-N-(2,3-ジフルオロフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル3-アミノ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル-3-アミノ-N-(5-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル3-アミノ-N-(3,4-ジフルオロフェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル3-アミノ-N-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル3-アミノ-N-(3-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル3-アミノ-N-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、N-アリル3-アミノ-N-(3-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N- (1-ナフチル)-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(2,6-ジメチルフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-[4-(ベンジルオキシ)フェニル]-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(4-ヨードフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(2-ヨード-4-ピリジニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-6-(3-ピリジニル)-N-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(3',5'-ビス(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-4-イル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-6-(4-ピリジニル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(4-ピリジニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(4-ピリジニル)-6-(5-ピリミジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(4-フルオロフェニル)-N-(2-メチルプロプ-2-エン-1-イル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(4-フルオロフェニル)-N-(プロプ-2-イン-1-イル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-フェニル-N-((Z)-4-(プロプ-2-イルオキシ)ブト-2-エニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-ベンジル-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-((E)-4-(ペント-4-イニルオキシ)ブト-2-エニル)-N-フェニル--6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-プレニル-N-(4-ピリジニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(2-シクロペンチリデンエチル)-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリニル)メタノン、3-アミノ-N-(4-tert-ブチルフェニル)-N-(3-メチルブト-2-エン-1-イル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル)メタノン、3-アミノ-N-(3-メトキシフェニル)-N-プレニル-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、3-アミノ-N-(4-メトキシフェニル)-N-プレニル-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミドおよび3-アミノ- N-メタリル-N-フェニル-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミドからなるグループから選択されるものである、請求項2に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項11】
下記の一般式(1b)で表される請求項1に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【化5】
JP2017217439A1_000042t.gif
[式(1b)中、A~Aはそれぞれ独立して炭素原子または窒素原子であって、A~Aのうち少なくとも1つは窒素原子であり、Rは下記の式(2)で表される置換基
【化6】
JP2017217439A1_000043t.gif
(式(2)中、Rは無置換または置換基を有していてもよいフェニル基、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基を表す)、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アシル基または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基、Rは水素原子を表し、あるいは、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。]
【請求項12】
が窒素原子、A、AおよびAが炭素原子、RおよびRが水素原子、Rがフェニル基、Rが3-メチル-2-ブテニル基である請求項11に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項13】
一般式(1b)で表される化合物が5-アミノ-N-フェニル-N-プレニル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボキサミドである請求項11に記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくはそれらの水和物を有効成分として含む、ALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害剤。
【請求項15】
請求項1ないし13のいずれかに記載の化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくはそれらの水和物を有効成分として含む医薬または医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ALS関連変異型SOD1とDerlin-1との結合を阻害する化合物、該化合物を含有する医薬、および、該医薬を患者に投与することによるALSの治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis;ALS)は、上位および下位の運動神経細胞が選択的に障害される進行性・晩発性の神経変性疾患である。痙攣や筋麻痺、筋萎縮といった症状がみられ、主に呼吸筋麻痺による呼吸不全から、発症後数年で死に至る非常に重篤な疾患である。一方で、日本国内での罹患者数は約 9000 人、全世界でも数十万人程度と言われており、アルツハイマー病やパーキンソン病といった他の神経変性疾患と比べて罹患者が少ないため、治療薬開発の取り組みが遅れている。現在認可されている治療薬は、一時的な進行遅延効果をもつグルタミン酸神経終末放出抑制剤(リルゾ-ル)と活性酸素除去剤(エダラボン)のみである(非特許文献1、2および3)。しかしながら、ALS におけるこれらの神経細胞保護効果の作用機序は明らかでなく、また ALS 発症の病態分子メカニズムが未だ不明のため、明確な分子基盤に基づく根本的な治療法は存在していない。
【0003】
ALSの多くは孤発性(Sporadic ALS:SALS)であり、全体のおよそ10%を家族性(Familial ALS:FALS)が占めている。1993 年にFALSの原因遺伝子として Cu, Zn Superoxide dismutase(SOD1)が初めて同定され(非特許文献4)、現在までに100種類を超えるALS関連SOD1変異が報告されている(ALS Online Database:ALSoD)。SOD1は分子内ジスルフィド結合を持ち、ZnおよびCuイオンを1つずつ配位する金属タンパク質である。通常はホモ2量体を形成し、活性中心のCuイオンの酸化還元を介して活性酸素(O2)を過酸化水素(H2O2)へと不均化する抗酸化酵素として働くことが知られている。他方、ALS発症との関連においてはこれまで数多くの研究がなされ、SOD1の抗酸化活性とALSの病態重篤度に相関がないことなどが明らかとなり(非特許文献5)、現在では単なるSOD活性の喪失や亢進ではなく、変異によりSOD1が新たな獲得性細胞毒性を発揮することが運動神経細胞死とそれに続くALS発症に重要であると考えられている(非特許文献6)。この獲得性細胞毒性として、神経興奮毒性、小胞体ストレス、プロテアソーム阻害、酸化ストレス、ミトコンドリア機能異常、軸索輸送異常などが運動神経細胞死に関わっていることが示唆されているが、ALSの詳細な発症機構は未解明のままである(非特許文献7)。
【0004】
小胞体は、新規合成された分泌タンパク質や膜タンパク質の高次構造形成とともに、これらタンパク質の品質管理を担う細胞小器官である。小胞体内腔に存在するタンパク質の中には、正しい立体構造をとれなかった、いわゆる不良タンパク質が一定の割合で存在する。また、栄養飢餓、低酸素、遺伝子変異など、様々な生理的・病理的なストレスによっても不良タンパク質が形成され、こういった不良タンパク質が小胞体内腔に蓄積することで小胞体ストレスが引き起こされる。
このとき細胞内では、正常な機能維持のために小胞体ストレス応答(unfold protein response:UPR)による小胞体品質管理機構が働くことが知られている(非特許文献8)。UPRでは、Pancreatic ER kinase (PKR)-like ER kinase(PERK)、activating transcription factor 6(ATF6)、inositol-requiring enzyme 1(IRE1)の3種類の小胞体膜貫通型受容体の活性化を介してシグナルが伝達され、(i)タンパク質合成の抑制、(ii)小胞体シャペロンおよび小胞体関連分解(ER associated degradation:ERAD)に関与する分子の発現誘導、(iii)ERADによる不良タンパク質の分解などを行うことにより、小胞体の機能回復を図っている。一方、持続的または過度なストレスやUPRの機能不全などによって小胞体内腔に不良タンパク質が過剰に蓄積し、小胞体の恒常性を維持できない場合にはアポトーシスが誘導される。この小胞体ストレス誘導性細胞死は、構造異常タンパク質の蓄積を原因とする疾患の分子メカニズムとして、糖尿病や神経変性疾患などを含む様々な病態への関与が示唆されている(非特許文献9)が、ALS における小胞体ストレス誘導の分子メカニズムについては明らかになっていなかった。
【0005】
本発明者らは、FALSの発症メカニズムとして変異型SOD1によりERADの機能が阻害され、小胞体ストレスを介した運動神経細胞死が誘導されることを報告している(非特許文献10)。通常、小胞体シャペロンの働きによっても正しい立体構造をとれなかった小胞体内腔の不良タンパク質は、ERADによって分解される。つまり、不良タンパク質は、BiPをはじめとする小胞体シャペロンによって認識され、ERAD複合体を介して小胞体内腔から細胞質側へと逆輸送される。その後、細胞質側に存在するユビキチン-プロテアソーム系によって分解されることで、小胞体内腔における不良タンパク質の蓄積が軽減され、小胞体の恒常性が保たれている(非特許文献11および12)。一方、変異型SOD1の発現している細胞では、変異型SOD1がERAD複合体の重要な構成因子であるDerlin-1のC末端12アミノ酸(以下、「CT4」と記す)と特異的に結合し、ERADの流れを阻害することでERAD基質の分解を抑制することが分かった。このERADの機能阻害により不良タンパク質が小胞体内腔に蓄積し、こうして誘導された小胞体ストレスがアポトーシスを介した運動神経細胞死を引き起こしている(非特許文献10)。
Derlin-1は、ERAD基質の逆輸送において重要な働きを担う分子として同定された小胞体膜貫通タンパク質である(非特許文献13および14)。哺乳類におけるDerlin-1のホモログとしては、Derlin-2およびDerlin-3が存在しており、これらDerlin family分子はホモまたはヘテロ複合体を形成し、HRD1、SEL1L、Herp、VIMP、p97といったERAD 関連分子と相互作用することが示されている(非特許文献15、16および17)。ERADにおけるDerlin-1の機能の詳細は未だ明らかとなっていないが、ALS関連変異型SOD1は、Derlin-2やDerlin-3、また、VIMPやp97などのERAD関連分子とは結合せず、Derlin-1のC末端のみに特異的に結合することが分かっている。また、ノックダウンによるDerlin-1の発現抑制は小胞体ストレスを惹起しない一方で、変異型SOD1による小胞体ストレス誘導を阻害した(非特許文献10)。このことから、変異型SOD1による小胞体ストレスは、Derlin-1の機能消失を介してではなく、変異型SOD1との結合によりDerlin-1が獲得性機能異常を示し、正常なERADが阻害されることで誘導されると考えられる。
【0006】
本発明者らは、既知130種類のALS関連変異型 SOD1の発現ベクターを作製し、すべての変異型SOD1とDerlin-1の結合について検討した。その結果、病態との関連性が希薄な変異を除いたすべて(122種類)の変異型SOD1がDerlin-1 CT4と結合することが明らかとなった(非特許文献18)。変異は、SOD1の一次配列上の広範囲に及ぶことから、それぞれの変異型SOD1が変異によって個別に Derlin-1 との結合面を獲得するのではなく、野生型SOD1の配列中にDerlin-1との結合領域が存在することが考えられた。そこで、SOD1側のDerlin-1との相互作用領域を検討したところ、予想どおり野生型SOD1に14アミノ酸からなるDerlin-1と結合領域(Derlin-1 binding region:DBR)が存在することが明らかとなった(非特許文献18)。さらに、このDBR領域に対して作製したモノクローナル抗体は、免疫沈降実験において野生型SOD1は認識せず、Derlin-1と結合する全ての変異型SOD1(抗体エピトープ部の変異を除く)を特異的に認識した(非特許文献18、特許文献1)。これらの結果から、野生型SOD1では立体構造上内側に隠れているDBRが変異に伴う構造変化によって外側に露出することが、ALS関連変異型SOD1の共通の性質である可能性が示唆された。さらに、SOD1遺伝子変異をもつヒトALS患者由来のB細胞中のSOD1も変異型SOD1特異的抗体によって認識され(非特許文献18、特許文献1)、実際に内在性のSOD1とDerlin-1が結合していることも確認されたことから、ヒトALS病態においてもSOD1のDBR露出を介したDerlin-1と結合が関与していると考えられる。加えて、マウス脊髄由来の初代運動神経細胞培養系において、SOD1とDerlin-1の結合を阻害するペプチド(Derlin-1 (CT4) ペプチド:Derlin-1 CT4領域由来のペプチド)を細胞内に発現させることで、変異型SOD1誘導性の運動神経細胞死が抑制されることが明らかとなっている(非特許文献10)。
【0007】
以上のように、ALS関連変異型SOD1とDerlin-1の結合を阻害することが、SOD1変異によるALSの治療につながる可能性が示唆されてはいるが、現在までのところ、ALSの有効な治療薬および治療方法は依然として見出されていない。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】WO2011/14261
【0009】

【非特許文献1】Bensimonら, Engl J Med 330, 585-591, (1994).
【非特許文献2】Millerら, Neurology 47 , S86-90; discussion S90-82, (1996).
【非特許文献3】Yoshinoら, Amyotroph Lateral Scler 7, 241-245, (2006).
【非特許文献4】Rosenら, Nature 362, 59-62, (1993).
【非特許文献5】Clevelandら, Nature 378, 342-343, (1995).
【非特許文献6】Boilleeら, Neuron 52, 39-59, (2006).
【非特許文献7】Ilievaら, J Cell Biol 187, 761-772, (2009).
【非特許文献8】Moriら, Cell 101, 451-454, (2000).
【非特許文献9】Hommaら, Expert Opin Ther Targets 13, 653-664, (2009).
【非特許文献10】Nishitohら, Genes Dev 22, 1451-1464, (2008).
【非特許文献11】Meusserら, Nat Cell Biol 7, 766-772, (2005).
【非特許文献12】Tsaiら, Nat Rev Mol Cell Biol 3, 246-255, (2002).
【非特許文献13】Yeら, Nature 429, 841-847, (2004).
【非特許文献14】Lilleyら, Nature 429, 834-840, (2004).
【非特許文献15】Odaら, J Cell Biol 172, 383-393, (2006).
【非特許文献16】Lilleyら, Proc Natl Acad Sci U S A 102, 14296-14301, (2005).
【非特許文献17】Yeら, Proc Natl Acad Sci U S A 102, 14132-14138, (2005).
【非特許文献18】Fujisawaら, Ann Neurol 72, 739-749, (2012).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記事情に鑑み、本発明者らは、ALSの治療薬の開発を目的として、ALS関連変異型SOD1とDerlin-1との結合を阻害または抑制する物質の開発を解決課題とした。
すなわち、本発明は、ALS関連変異型SOD1とDerlin-1との結合を阻害する化合物、該化合物を含有する医薬、および、該医薬を患者に投与することによるALSの治療方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行ったところ、ALS関連変異型SOD1とDerlin-1との結合を阻害する、チエノ[2,3-b]ピリジン誘導体およびキノリン誘導体を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の一般式(1)で表される化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物である。
【化1】
JP2017217439A1_000003t.gif
[式(1)中、Xは硫黄原子または-CH=CH—を表し、A~Aはそれぞれ独立して炭素原子または窒素原子であってA~Aのうち少なくとも1つは窒素原子であり、Rは1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基(または、3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリル基)、3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル基、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1-ベンゾアゼピニル基または下記の式(2)で表される置換基
【化2】
JP2017217439A1_000004t.gif
(式(2)中、Rは無置換もしくは置換基を有していてもよいフェニル基、無置換もしくは置換基を有していてもよいピリジル基または無置換もしくは置換基を有していてもよいナフチル基、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基(酸素原子および/または二重結合を含んでもよい)または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基を表す)のいずれかであり、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アシル基または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基、Rは水素原子を表し、あるいは、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。]
【0012】
特に本発明は、下記の一般式(1a)で表されるチエノ[2,3-b]ピリジン誘導体もしくは下記の一般式(1b)で表されるキノリン誘導体、下記の一般式(1a)で表されるチエノ[2,3-b]ピリジン誘導体の塩もしくは下記の一般式(1b)で表されるキノリン誘導体の塩、または、それらの溶媒和物もしくは水和物である。
【0013】
【化3】
JP2017217439A1_000005t.gif
[式(1a)中、A~Aはそれぞれ独立して炭素原子または窒素原子であって、A~Aのうち少なくとも1つは窒素原子であり、Rは1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基(または、3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリル基)、3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル基、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1-ベンゾアゼピニル基または下記の式(2)で表される置換基
【化4】
JP2017217439A1_000006t.gif
(式(2)中、Rは無置換もしくは置換基を有していてもよいフェニル基、無置換もしくは置換基を有していてもよいピリジル基または無置換もしくは置換基を有していてもよいナフチル基、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基(酸素原子および/または二重結合を含んでもよい)または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基を表す)のいずれかであり、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アシル基または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基、Rは水素原子を表し、あるいは、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。]
【0014】
【化5】
JP2017217439A1_000007t.gif
[式(1b)中、A~Aはそれぞれ独立して炭素原子または窒素原子であって、A~Aのうち少なくとも1つは窒素原子であり、Rは下記の式(2)で表される置換基
【化6】
JP2017217439A1_000008t.gif
(式(2)中、Rは無置換もしくは置換基を有していてもよいフェニル基、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基または低級アルキニル基を表す)のいずれかであり、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アシル基または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基、Rは水素原子を表し、あるいは、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。]
【0015】
さらに、本発明は、上記一般式(1)(上記一般式(1a)および(1b))で表される化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物のうち少なくとも1を有効成分として含むALS関連変異型SOD1とDerlin-1との結合を阻害するALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害剤である。
【0016】
また、さらに、本発明は、上記一般式(1)(上記一般式(1a)および(1b))で表される化合物、その塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物のうち少なくとも1を有効成分として含む医薬もしくは医薬組成物、あるいは、上記ALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害剤を含む医薬もしくは医薬組成物である。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る上記一般式(1)(上記一般式(1a)および(1b))で表される化合物は、ALS関連変異型SOD1とDerlin-1との結合を阻害する機能を有する。従って、本発明に係る上記一般式(1)(上記一般式(1a)および(1b))で表される化合物を含有するALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害剤または医薬は、ALSの治療に用いることができる。
【0018】
さらに、本発明に係る上記一般式(1)(上記一般式(1a)および(1b))で表される化合物は、ALS治療剤のリード化合物としても使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】細胞内におけるALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合に対する、実施例化合物1および実施例化合物4の結合阻害活性の評価。HEK293A細胞に各タンパク質を過剰発現させ、その細胞培養液中に各濃度の実施例化合物1または実施例化合物4を添加し、共免疫沈降を行った結果を示す。IP:Flagは抗Flag抗体で免疫沈降をしたことを示す。また、IB:HAおよびIB:Flagは、各々、抗HA抗体および抗Flag抗体でブロッティングを行ったことを示す。lysateは細胞溶解物。
【図2】共免疫沈降実験による細胞内SOD1-Derlin-1結合に対する実施例化合物1の結合阻害活性の評価。122種類中17種類目までの変異型SOD1を用いた場合の結果を示す。
【図3】共免疫沈降実験による細胞内SOD1-Derlin-1結合に対する実施例化合物1の結合阻害活性の評価。122種類中33種類目までの変異型SOD1を用いた場合の結果を示す。
【図4】共免疫沈降実験による細胞内SOD1-Derlin-1結合に対する実施例化合物1の結合阻害活性の評価。122種類中49種類目までの変異型SOD1を用いた場合の結果を示す。
【図5】共免疫沈降実験による細胞内SOD1-Derlin-1結合に対する実施例化合物1の結合阻害活性の評価。122種類中65種類目までの変異型SOD1を用いた場合の結果を示す。
【図6】共免疫沈降実験による細胞内SOD1-Derlin-1結合に対する実施例化合物1の結合阻害活性の評価。122種類中81種類目までの変異型SOD1を用いた場合の結果を示す。
【図7】共免疫沈降実験による細胞内SOD1-Derlin-1結合に対する実施例化合物1の結合阻害活性の評価。122種類中96種類目までの変異型SOD1を用いた場合の結果を示す。
【図8】共免疫沈降実験による細胞内SOD1-Derlin-1結合に対する実施例化合物1の結合阻害活性の評価。122種類中111種類目までの変異型SOD1を用いた場合の結果を示す。
【図9】共免疫沈降実験による細胞内SOD1-Derlin-1結合に対する実施例化合物1の結合阻害活性の評価。122種類中122種類目までの変異型SOD1を用いた場合の結果を示す。
【図10】ALSモデルマウスに対し、実施例化合物1を投与し、病態発症までの期間および生存期間に対する影響を調べた。Aは、到達回転速度40 rpm、加速時間180秒として設定し、最長300秒間でロータロッド試験を行い、運動機能低下に基づき定義したonset(病態発症までの期間)のカプランマイヤー曲線を示す。Bは、生存期間についてのカプランマイヤー曲線を示す。
【図11】ニッスル染色切片の顕微鏡写真。31週齢の各SOD1 G93Aトランスジェニックマウス群と、34週齢のWTマウスの凍結脊髄切片(40 μm)のニッスル染色を行い顕微鏡観察した、腰髄前角における代表的なニッスル染色像を示した。矢印は運動神経細胞を示す。
【図12】ニッスル染色切片における運動神経細胞数をカウントした結果を示す(mean±s.e.m.)WT(野生型)マウス:n=4、DMSO投与または実施例化合物1投与SOD1 G93Aトランスジェニックマウス:各グループn=8。p < 0.05;スチューデントtテスト。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の第1の実施形態は、上記一般式(1)(上記一般式(1a)および(1b))で表される化合物もしくはその塩、またはそれらの溶媒和物もしくは水和物である。
一般式(1)において、
Xは硫黄原子または-CH=CH—である。
は1,2,3,4-テトラヒドロキノリル基(または、3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリル基)、3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル基、2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-1-ベンゾアゼピニル基または式(2)で表される置換基のいずれかである。
は水素原子、低級アルキル基、低級アシル基または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基である。ここで、「低級アルキル」とは、炭素数1~20、好ましくは、炭素数1~10の直鎖状、分枝鎖状、環状、またはそれらの組み合わせからなる炭化水素のことで、例えば、メチル、エチルまたはブチルなどである。「低級アシル」とは、炭素数1~20、好ましくは、炭素数1~10のアシルのことで、例えば、アセチル、プロピオニルまたはブチロイルなどである。また、「置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基」とは、例えば、4-メトキシベンジル基、ベンジル基などである。本明細書において、ある官能基について「置換基を有していてもよい」と記す場合、その置換基の個数または置換位置は特に限定されない。
は水素原子を表す。
あるいは、RとRは互いに結合して環を形成してもよい。RとRは互いに結合して環を形成する例としては、例えば、ブチレン鎖で結合したピロリジン環、ペンチレン鎖で結合したピペリジン環などである。

【0021】
また、式(2)において、Rは無置換もしくは置換基を有していてもよいフェニル基、無置換もしくは置換基を有していてもよいピリジル基または無置換もしくは置換基を有していてもよいナフチル基を表し、Rは水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基(酸素原子および/または二重結合を含んでもよい)または無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基を表す。また、「置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基」とは、例えば、4-メトキシベンジル基、ベンジル基などである。
に関して、「無置換またもしくは置換基を有してもよいフェニル基」とは、例えば、フェニル基、4-フルオロフェニル基、2,3,4-トリフルオロフェニル基、4-ヨードフェニル基、2,4-ジフルオロフェニル基、2,3-ジフルオロフェニル基、2,5-ジフルオロフェニル基、3,5-ジフルオロフェニル基、3,4-ジフルオロフェニル基、5—フルオロ-2-メチルフェニル基、3-ペンタフルオロスルファニルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、4-ベンジルオキシフェニル基、3,5-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル基、3-トリフルオロメチルフェニル基、4-トリフルオロメチルフェニル基、4-tert—ブチルフェニル基、3-メトキシフェニル基または4-メトキシフェニル基などである。「無置換または置換基を有してもよいピリジル基」とは、例えば、4-ピリジル基、2-ヨード-4-ピリジル基などである。「無置換または置換基を有してもよいナフチル基」とは、例えば、1-ナフチル基などである。
に関して、「低級アルキル」とは上述の通りで、「低級アルケニル」、「低級アルキニル」とは、炭素数1~20、好ましくは、炭素数1~10で、各々、二重結合および三重結合を有し、場合によっては酸素原子を含んでいてもよく、直鎖状、分枝鎖状、環状、またはそれらの組み合わせからなる炭化水素系置換基のことである。「低級アルキル基」とは、例えば、1-プロピル基、「低級アルケニル基」とは、例えば、2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2-プロペニル(アリル)基、2-メチル-2-プロペニル基、または2-シクロペンチリデンエチル基、「低級アルキニル基」とは、例えば、2-ブチニル基、2-プロピニル(プロパルギル)基、(Z)-4-(プロプ-2-イルオキシ)ブト-2-エニル基または(E)-4-(プロプ-2-イルオキシ)ブト-2-エニル基、「無置換もしくは置換基を有していてもよい芳香族低級アルキル基」とは、例えば、ベンジル基のことである。

【0022】
一般式(1)で表される本発明の実施形態に係る化合物の塩としては、薬学上許容される塩であればよく、例えば、酸性基が存在する場合には、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属塩;アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ピペラジン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、エタノールアミン、N-メチルグルカミン、L-グルカミン等のアミンの塩;またはリジン、δ-ヒドロキシリジン、アルギニンなどの塩基性アミノ酸との塩などを挙げることができる。塩基性基が存在する場合には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸の塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、プロピオン酸塩、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、シュウ酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、ケイ皮酸、乳酸、グリコール酸、グルクロン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、サリチル酸等の有機酸との塩;またはアスパラギン酸、グルタミン酸などの酸性アミノ酸との塩などを挙げることができる。

【0023】
また、一般式(1)で表される本発明の実施形態に係る化合物には、特に断らない限り、その互変異性体、鏡像異性体等の立体異性体も含まれる。すなわち、一般式(1)で表さる化合物中に、1個または2個以上の不斉炭素が含まれる場合、不斉炭素の立体化学については、それぞれ独立して(R)体または(S)体のいずれかをとることができ、該誘導体の鏡像異性体またはジアステレオ異性体などの立体異性体として存在することがある。

【0024】
一般式(1)で表される本発明の実施形態に係る化合物としては、限定はしないが、例えば、次のものが挙げられる。
N-アリル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-プロパルギル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
(3-アミノ- 6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノン、
3-アミノ-N-(4-ピリジニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(trans-2-ブテニル)-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(4-ピリジニル)-6-(2-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(4-(3’,5’-ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル3-アミノ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(2-ブチニル)-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-n-プロピル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、

【0025】
N-n-プロピル-3-アミノ-N-(2,3,4-トリフルオロフェニル) -6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル-3-アミノ-N-(4-ヨードフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-(3-メチル-2-ブテニル)-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
[3-アミノ-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル](2,3,4,5-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[b]アゼピン-1-イル)メタノン、
N-アリル3-アミノ-N-(2,4-ジフルオロフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル3-アミノ-N-(2,3-ジフルオロフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル3-アミノ-N-(2,5-ジフルオロフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル-3-アミノ-N-(5-フルオロ-2-メチルフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル3-アミノ-N-(3,4-ジフルオロフェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル3-アミノ-N-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、

【0026】
N-アリル3-アミノ-N-(3-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル3-アミノ-N-(3,5-ジフルオロフェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
N-アリル3-アミノ-N-(3-(ペンタフルオロ-λ6-スルファニル)フェニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N- (1-ナフチル)-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(2,6-ジメチルフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-[4-(ベンジルオキシ)フェニル]-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(4-ヨードフェニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(2-ヨード-4-ピリジニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-6-(3-ピリジニル)-N-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(3',5'-ビス(トリフルオロメチル)-[1,1'-ビフェニル]-4-イル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-6-(4-ピリジニル)-N-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(4-ピリジニル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(4-ピリジニル)-6-(5-ピリミジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、

【0027】
3-アミノ-N-(4-フルオロフェニル)-N-(2-メチルプロプ-2-エン-1-イル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(4-フルオロフェニル)-N-(プロプ-2-イン-1-イル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-フェニル-N-((Z)-4-(プロプ-2-イルオキシ)ブト-2-エニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-ベンジル-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-((E)-4-(ペント-4-イニルオキシ)ブト-2-エニル)-N-フェニル--6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-プレニル-N-(4-ピリジニル)-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(2-シクロペンチリデンエチル)-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリニル)メタノン、
5-アミノ-N-フェニル-N-プレニル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボキサミド、

【0028】
3-アミノ-N-(4-tert-ブチルフェニル)-N-(3-メチルブト-2-エン-1-イル)-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-4,4-ジメチル-1(2H)-キノリル)メタノン、
3-アミノ-N-(3-メトキシフェニル)-N-プレニル-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ-N-(4-メトキシフェニル)-N-プレニル-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド、
3-アミノ- N-メタリル-N-フェニル-6-(4-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド

【0029】
本発明の第2の実施形態は、上記一般式(1)で表される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物もしくはそれらの水和物を有効成分として含むALS(特に、FALS)関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害剤(ALS関連変異型SOD1とDerllin-1との結合を阻害する剤)、または、上記一般式(1)で表される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物もしくは水和物を有効成分として含む医薬もしくは医薬組成物、あるいは、当該ALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害剤を含む医薬もしくは医薬組成物である。
また、本発明の第2の実施形態にかかる医薬または医薬組成物は、ALS(特に、FALS)患者に投与してALSの治療ために使用することができる。

【0030】
ここで、「ALS関連変異型SOD1」とは、ALSの病態発症に関与するSOD1変異体のことで、既知の変異体として122種の変異体を挙げることができる(Fujisawaら, Ann Neurol 72, 739-749, (2012)、WO2011/142461を参照のこと)。具体的なSOD1の変異として、K3E、A4S、A4T、A4V、V5L、C6F、C6G、C6Y、L8Q、L8V、G10R、G10V、G12R、V14G、V14M、G16A、G16S、N19S、F20C、Q22L、V29A、V29+、G37R、L38R、L38V、E40G、G41D、G41S、H43R、F45C、H46R、V47A、V47F、H48Q、H48R、E49K、C57R、S59I、N65S、P66A、G72C、G72S、D76V、D76Y、H80R、L84F、L84V、N86S、G85R、G85S、N86D、N86I、N86K、V87A、V87M、T88Δ、A89T、A89V、D90A、D90V、G93A、G93C、G93D、G93R、G93S、G93V、A95T、A95V、V97L、V97M、I99V、E100G、E100K、D101G、D101H、D101N、D101Y、I104F、S105L、S105Δ、L106V、G108V、C111Y、I112M、I112T、I113F、I113T、G114A、R115G、T116R、L117V、V118L、L118+、D124G、D124V、D125H、L126S、L126*、L126Δ、G127+、E132+、E133V、E133Δ、S134N、N139D、N139H、N139K、A140G、G141E、G141*、L144F、L144S、A145G、A145T、C146R、C146*、G147D、G147R、V148G、I149T、I151S、I151Tを挙げることができる(なお、Δは欠失、+は挿入、*は停止の変異を各々表す)。
また、未だ見出されていないALSの病態発症に関与するSOD1変異体も本明細書中に記載される「ALS関連変異型SOD1」に含まれる。
なお、野生型(正常な)ヒトSOD1のアミノ酸配列およびヌクレオチド配列は、GenBankアクセッション番号NM_000454としてデータベースに登録されている。

【0031】
本発明の実施形態にかかるALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害剤および医薬は、有効成分である一般式(1)で表される化合物もしくはその塩またはそれらの溶媒和物もしくは水和物自体を投与してもよいが、一般的には、有効成分であるこれらの物質と1または2以上の製剤用添加物とを含む医薬組成物の形態で投与することが望ましい。
また、本発明の実施形態にかかるALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害剤または医薬の有効成分として、一般式(1)で表される化合物のうち2種類以上を組み合わせて用いてもよい。上記医薬組成物には、ALSの治療に有効な既知の成分を配合してもよい。

【0032】
本発明にかかる医薬または医薬組成物の剤型としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、懸濁剤、座剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、注射剤等が挙げられる。これらの製剤は常法に従って調製される。なお、液体製剤にあっては、用時、水または他の適当な溶媒に溶解または懸濁するものであってもよい。また、錠剤、顆粒剤は周知の方法でコーティングしてもよい。注射剤の場合には、本発明の化合物を水に溶解させて調製されるが、必要に応じて生理食塩水あるいはブドウ糖溶液に溶解させてもよく、また、緩衝剤や保存剤を添加してもよい。

【0033】
経口投与用または非経口投与用の製剤は、任意の製剤形態で提供される。製剤形態としては、例えば、顆粒剤、細粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤または液剤等の形態の経口投与用医薬または医薬組成物、静脈内投与用、筋肉内投与用、もしくは皮下投与用などの注射剤、点滴剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点鼻剤、吸入剤、坐剤などの形態の非経口投与用医薬または医薬組成物として調製することができる。注射剤や点滴剤などは、凍結乾燥形態などの粉末状の剤形として調製し、用時に生理食塩水などの適宜の水性媒体に溶解して用いることもできる。

【0034】
本発明にかかる医薬または医薬組成物の製造に用いられる製剤用添加物の種類、有効成分に対する製剤用添加物の割合、あるいは、医薬または医薬組成物の製造方法は、その形態に応じて当業者が適宜選択することが可能である。製剤用添加物としては無機または有機物質、あるいは、固体または液体の物質を用いることができ、一般的には、有効成分重量に対して1重量%から90重量%の間で配合することができる。具体的には、製剤用添加物の例として乳糖、ブドウ糖、マンニット、デキストリン、シクロデキストリン、デンプン、蔗糖、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルデンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、イオン交換樹脂、メチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、タルク、トラガント、ベントナイト、ビーガム、酸化チタン、ソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、グリセリン、脂肪酸グリセリンエステル、精製ラノリン、グリセロゼラチン、ポリソルベート、マクロゴール、植物油、ロウ、流動パラフィン、白色ワセリン、フルオロカーボン、非イオン性界面活性剤、プロピレングルコール、水等が挙げられる。

【0035】
経口投与用の固形製剤を製造するには、有効成分と賦形剤成分、例えば、乳糖、デンプン、結晶セルロース、乳酸カルシウム、無水ケイ酸などと混合して散剤とするか、さらに必要に応じて白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウムなどの崩壊剤などを加えて湿式または乾式造粒して顆粒剤とする。錠剤を製造するには、これらの散剤および顆粒剤をそのまま、あるいは、ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤を加えて打錠すればよい。これらの顆粒または錠剤はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸-メタクリル酸メチルポリマーなどの腸溶剤基剤で被覆して腸溶剤製剤、あるいは、エチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油などで被覆して持続性製剤とすることもできる。また、カプセル剤を製造するには、散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填するか、有効成分をそのまま、あるいは、グリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油などに溶解した後ゼラチン膜で被覆し軟カプセルとすることができる。

【0036】
注射剤を製造するには、有効成分を必要に応じて塩酸、水酸化ナトリウム、乳糖、乳酸、ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどのpH調整剤、塩化ナトリウム、ブドウ糖などの等張化剤と共に注射用蒸留水に溶解し、無菌濾過してアンプルに充填するか、さらにマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチンなどを加えて真空凍結乾燥し、用事溶解型の注射剤としてもよい。また、有効成分にレチシン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを加えて水中で乳化せしめ注射剤用乳剤とすることもできる。

【0037】
直腸投与剤を製造するには、有効成分をカカオ脂、脂肪酸のトリ、ジおよびモノグリセリド、ポリエチレングリコールなどの座剤用基材と共に加湿して溶解し型に流し込んで冷却するか、有効成分をポリエチレングリコール、大豆油などに溶解した後、ゼラチン膜で被覆すればよい。

【0038】
本発明にかかる医薬または医薬組成物の投与量および投与回数は特に限定されず、治療対象疾患の悪化・進展の防止および/または治療の目的、疾患の種類、患者の体重や年齢などの条件に応じて、医師の判断により適宜選択することが可能である。
一般的には、経口投与における成人一日あたりの投与量は0.01~1000mg(有効成分重量)程度であり、一日1回または数回に分けて、あるいは、数日ごとに投与することができる。注射剤として用いる場合には、成人に対して一日量0.001~100mg(有効成分重量)を連続投与または間欠投与することが望ましい。

【0039】
本発明にかかる医薬または医薬組成物は、植込錠およびマイクロカプセルに封入された送達システムなどの徐放性製剤として、体内から即時に除去されることを防ぎ得る担体を用いて調製することができる。そのような担体として、エチレンビニル酢酸塩、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸などの生物分解性、生物適合性ポリマーを用いることができる。このような材料は、当業者によって容易に調製することができる。また、リポソームの懸濁液も薬学上許容される担体として使用することができる。リポソームは、限定はしないが、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導ホスファチジルエタノール(PEG-PE)を含む脂質組成物として、使用に適するサイズになるように、適当なポアサイズのフィルターを通して調製され、逆相蒸発法によって精製することができる。

【0040】
本発明にかかる医薬または医薬組成物は、投与方法等の説明書と共にキットの形態で提供してもよい。キット中に含まれる薬剤は、医薬または医薬組成物の構成成分の活性を長期間有効に持続し、容器内側に吸着することなく、また、構成成分を変質することのない材質で製造された容器により供給される。例えば、封着されたガラスアンプルは、窒素ガスのような中性で不反応性を示すガスの存在下で封入されたバッファーなどを含んでもよい。
また、キットには使用説明書が添付されてもよい。当該キットの使用説明は、紙などに印刷されたものであっても、CD-ROM、DVD-ROMなどの電磁的に読み取り可能な媒体に保存されて使用者に供給されてもよい。

【0041】
さらに、本発明の第3の実施形態は、本発明の第2の実施形態にかかる医薬または医薬組成物を、治療対象に投与し、ALS、特に、FALSを治療する方法である。
ここで「治療」とは、疾患等に罹患した哺乳動物において、その病態の進行および悪化を阻止または緩和することを意味し、これによって該疾患の進行および悪化を阻止または緩和することを目的とする処置のことである。
治療の対象となる「哺乳動物」は、哺乳類に分類される任意の動物を意味し、特に限定はしないが、例えば、ヒトの他、イヌ、ネコ、ウサギなどのペット動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマなどの家畜動物などのことである。特に好ましい「哺乳動物」は、ヒトである。

【0042】
一般式(1)で表される化合物のうち、例えば、A~Aのいずれかが窒素原子、RおよびRが水素原子、RまたはRが置換基を有するフェニル基である、チエノ[2,3-b]ピリジン誘導体化合物(置換チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド)は、以下の方法により製造することができる(スキーム1)。
【化7】
JP2017217439A1_000009t.gif
置換チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド合成の一般的合成法(1)
6-(ピリジン-2-イル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン、6-(ピリジン-3-イル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン、6-(ピリジン-4-イル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオンまたは6-(ピリミジン-5-イル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン(53.5 mg, 0.25 mmol, 1.0 equiv)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(1 mL)の懸濁液に水酸化カリウム水溶液(10%, 0.15 mL)を加える。続いて適切に置換したα-クロロアセトアミド(0.25 mmol, 1.0 equiv)を室温で加える。次に、混合物を室温で一晩撹拌し,追加で水酸化カリウム水溶液(10%, 0.15 mL)を加える。反応混合物を一晩撹拌し、50 mLの水で希釈した。沈殿物を濾取し、それを適切な溶媒で再結晶またはカラムクロマトグラフィにより精製することで、本発明の化合物を得ることができる。
また、本発明の化合物は以下に記載する方法によっても製造することができる。

【0043】
置換チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド合成の一般的合成法(2)
6-(ピリジン-2-イル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオンまたは6-(ピリジン-3-イル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン、6-(ピリジン-4-イル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン、6-(ピリミジン-5-イル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン(53.5 mg, 0.25 mmol, 1.0 equiv)のN,N-ジメチルホルムアミド(DMSO)(1 mL)の懸濁液にトリエチルアミン(542 μL, 0.375 mmol, 1.5 equiv.)を加える。続いて適切に置換したα-クロロアセトアミド(0.25 mmol, 1.0 equiv)を室温で加え一晩攪拌する。酢酸エチル30 mLを加え、有機相を1規定の塩酸で洗浄後、有機相を無水硫酸ナトリウム等で乾燥させる。溶媒を留去し、シリカゲルカラムで中間体を精製する。次に中間体をジオキサン1 mL, 水0.25 mLの混合溶媒に溶解させ、水酸化リチウム (55 mg)を加える。反応混合物を1時間撹拌し,50 mLの水で希釈する。沈殿物を濾取し,それを適切な溶媒で再結晶またはカラムクロマトグラフィにより精製し、本発明の化合物を得ることができる。
上記製法において使用する原料化合物は、市販品をそのまま用いることができるし、市販品を用いて当業者にとって自明な方法、あるいは、それらの変法を適用することによって製造することもできる。

【0044】
以下に実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
〔実施例1〕N-アリル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド
【化8】
JP2017217439A1_000010t.gif
【実施例】
【0046】
N-アリル-N-フェニル 6-(3-ピリジニル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオアセタミドの合成
6-(3-ピリジニル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン(81 mg, 0.38 mmol)をDMSO(0.5 mL)に溶解し、トリエチルアミン(79 μL, 1.5 equiv)を加えた後、N-アリル-N-フェニル-2-クロロアセタミド(120 mg, 1.5 equiv)のDMSO(0.5 mL)溶液を室温下攪拌しながら加えた。1時間後、水(10 mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することによりN-アリル-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオアセタミドを白色固体として得た(133 mg, 91%)。
【実施例】
【0047】
N-アリル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミドの合成
N-アリル-N-フェニル 6-(3-ピリジニル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオアセタミド(100 mg)をジオキサン(0.5 mL)に溶解し、水(0.1 mL)を加え、淡黄白色の懸濁液となっている状態に、水酸化リチウム(22 mg)を加えると黄色い溶液になっていき、45分攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出、乾燥後溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することにより黄色の固体を得た。この固体をジクロロメタン-ヘキサンの混合溶媒で再結晶することにより目的物の黄色結晶を得た(61 mg, 61%)。実施例化合物1の物理化学データは表1に示す。
【実施例】
【0048】
〔実施例2〕N-プロパルギル-3-アミノ-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド
【化9】
JP2017217439A1_000011t.gif
6-(3-ピリジニル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン(81 mg, 0.38 mmol)をDMSO(0.5 mL)に溶解し、トリエチルアミン(79 μL, 1.5 equiv)を加えた後、N-プロパルギル-N-フェニル-2-クロロアセタミド(118 mg, 1.5 equiv)のDMSO(0.5 mL)溶液を室温下攪拌しながら加えた。1時間後、水(10 mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することによりN-プロパルギル-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオアセタミドを淡黄色固体として得た(129 mg, 88%)。このチオアセタミド体 (99 mg)をジオキサン(0.5 mL)に溶解し、水(0.1 mL)を加え、淡黄白色の懸濁液となっている状態に、水酸化リチウム(22 mg)を加えると黄色い溶液になっていき、45分攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出、乾燥後溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することにより黄色の固体を得た。この固体をジクロロメタン-ヘキサンの混合溶媒で再結晶することにより目的物の黄色結晶を得た(91 mg, 92%)。実施例化合物2の物理化学データは表1に示す。
【実施例】
【0049】
〔実施例3〕(3-アミノ- 6-(3-ピリジニル)チエノ[2,3-b]2-ピリジニル)(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリル)メタノン
【化10】
JP2017217439A1_000012t.gif
6-(3-ピリジニル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオン(81 mg, 0.38 mmol)をDMSO (0.5 mL)に溶解し、トリエチルアミン(79 μL, 1.5 equiv)を加えた後、2-クロロ-1-(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノン(120 mg, 1.5 equiv)のDMSO(0.5 mL)溶液を室温下攪拌しながら加えた。1.5時間後、水(10 mL)を加え、酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することによりNプロパルギル-N-フェニル-6-(3-ピリジニル)-3-シアノピリジン-2-(1H)-チオ-1-(3,4-ジヒドロ-1(2H)-キノリニル)メタノンを淡黄色固体として得た(143 mg, 97.1%)。このチオアセタミド体(128.6 mg)をジオキサン(1 mL)に溶解し、水(0.26 mL)を加え、淡黄白色の懸濁液となっている状態に、水酸化リチウム (28 mg)を加えると黄色い溶液になっていき、40分攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出、乾燥後溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することにより黄色の固体を得た。この固体をジクロロメタン-ヘキサンの混合溶媒で再結晶することにより目的物の黄色結晶を得た(95 mg, 74%)。実施例化合物3の物理化学データは表1に示す。
【実施例】
【0050】
〔実施例4~実施例41、実施例43~47〕
置換チエノ[2,3-b]ピリジン-2-カルボキサミド合成の一般的合成法(1)および(2)を参照し、適宜適切な置換基を有する原料化合物を使用し、実施例1~3と同様の方法で合成を行った。実施例4~実施例41、実施例43~47の化合物の物理化学データを表1~表7に示した。
【実施例】
【0051】
一般式(1b)で表される化合物の製造方法に関し、実施例42の化合物の合成方法(スキーム2)を例にして、説明する。なお、一般式(1b)で表される化合物の製造方法は以下に示した例には限定されない。実施例42の化合物の物理化学データを表6に示した。
【化11】
JP2017217439A1_000013t.gif
【実施例】
【0052】
〔実施例42〕5-アミノ-N-フェニル-N-プレニル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボキサミド
【化12】
JP2017217439A1_000014t.gif
【実施例】
【0053】
6-メチル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン
【化13】
JP2017217439A1_000015t.gif
300mlナス型フラスコに、803mg(5.94mmol)の2-アミノ-5-メチルベンズアルデヒド、0.540ml(495mmol)の3-アセチルピリジン、113mg(2.01mmol)の水酸化カリウム、25mlエタノールを入れ、80℃で7時間撹拌した。反応終了後、これに水を添加し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1(v/v))により精製し、表題化合物1.03g(収率95%)を得た。
【実施例】
【0054】
6-メチル-5-ニトロ-2-(ピリジン-3-イル)キノリン
【化14】
JP2017217439A1_000016t.gif

-18℃に冷却した105mg(0.477mmol)の6-メチル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン、0.540ml(496mmol)の硫酸溶液(0.35ml)に、硝酸(0.10ml)と硫酸(1.0ml)の混合液を添加し、-5℃で4時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷水に入れ、15%水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にした。これをジクロロメタンで抽出し、水と飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、表題化合物125mg(収率99%)を得た。
【実施例】
【0055】
(E)-N,N-ジメチル-2-(5-ニトロ-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-イル)エテンアミン
【化15】
JP2017217439A1_000017t.gif
冷却管を備えたすり付き試験管に、96.7mg(0.365mmol)の6-メチル-5-ニトロ-2-(ピリジン-3-イル)キノリン、0.10ml(0.73mmol)のN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、0.40ml N,N-ジメチルホルムアミドを入れ、140℃で2.5時間撹拌した。これに0.10ml(0.73mmol)のN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタールを添加し、さらに140℃で2時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去して表題化合物の粗成績体を得た。
【実施例】
【0056】
5-ニトロ-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボアルデヒド
【化16】
JP2017217439A1_000018t.gif
10mlナス型フラスコに、上記で得られた(E)-N,N-ジメチル-2-(5-ニトロ-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-イル)エテンアミンの粗成績体、477mg(2.23mmol)の過ヨウ素酸ナトリウム、6.2mlテトラヒドロフランを入れ、室温で2.5時間撹拌した。反応混合物をろ過した後、これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製し、表題化合物23mg(収率23%)を得た。
【実施例】
【0057】
5-アミノ-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボアルデヒド
【化17】
JP2017217439A1_000019t.gif
10mlナス型フラスコに、124mg(0.444mmol)の5-ニトロ-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボアルデヒド、196mg(3.51mmol)の鉄、0.40ml濃塩酸、1.6ml水、3.2mlエタノールを入れ、80℃で2時間撹拌した。これに95.8mg(1.72mmol)の鉄を添加し、さらに80℃で1時間撹拌した。反応混合物をろ過した後、これをクロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して表題化合物の粗成績体を得た。
【実施例】
【0058】
5-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボアルデヒド
【化18】
JP2017217439A1_000020t.gif
20mlナス型フラスコに、上記で得られた5-アミノ-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボアルデヒドの粗成績体、153mg(0.701mmol)の二炭酸ジ-tert-ブチル、4.1mg(0.0336mmol)のN,N-ジメチル-4-アミノピリジン、0.10ml(0.717mmol)のトリエチルアミン、2.0mlジクロロメタンを入れ、室温で1.5時間撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=3:1(v/v))により精製し、表題化合物20.3mg(収率10%)を得た。
【実施例】
【0059】
5-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボン酸
【化19】
JP2017217439A1_000021t.gif
39.3mg(0.0874mmol)の5-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボアルデヒドのtert-ブチルアルコール溶液(1.6ml)に、21.1mg(0.176mmol)のリン酸二水素ナトリウムと0.10ml(0.87mmol)の2-メチル-2-ブテンと水(0.40ml)を添加した。これに17.3mg(0.191mmol)の亜塩素酸ナトリウム反応を添加した後、室温で1.5時間撹拌した。反応終了後、これに10%硫酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水を添加し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1(v/v))と分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1(v/v))により精製し、表題化合物28.6mg(収率70%)を得た。
【実施例】
【0060】
5-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-N-フェニル-N-プレニル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボキサミド
【化20】
JP2017217439A1_000022t.gif
10mlナシ型フラスコに、28.6mg(0.0614mmol)の5-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボン酸、24.0mg(0.149mmol)のN-プレニルアニリン、43.6mg(0.357mmol)のN,N-ジメチル-4-アミノピリジン、35.1mg(0.183mmol)の1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1.0mlジクロロメタンを入れ、室温で4.5時間撹拌した。反応終了後、これに水を添加し、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1(v/v))により精製し、表題化合物26.9mg(収率72%)を得た。
【実施例】
【0061】
5-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ-N-フェニル-N-プレニル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボキサミド
【化21】
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10mlナシ型フラスコに、25.4mg(0.0417mmol)の5-(ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-N-フェニル-N-プレニル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボキサミド、0.050mlトリフロオロ酢酸、1.0mlジクロロメタンを入れ、室温で0.5時間撹拌した。これに0.050mlトリフロオロ酢酸を添加し、さらに室温で0.5時間撹拌した。反応終了後、これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して表題化合物の粗成績体を得た。
【実施例】
【0062】
5-アミノ-N-フェニル-N-プレニル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボキサミド
【化22】
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10mlナシ型フラスコに、上記で得られた5-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ-N-フェニル-N-プレニル-2-(ピリジン-3-イル)キノリン-6-カルボキサミドの粗成績体、0.10mlトリフロオロ酢酸、1.0mlジクロロメタンを入れ、室温で9時間撹拌した。これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加し、クロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた粗成績体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=80:1(v/v))と分取薄層クロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1(v/v))とゲル浸透クロマトグラフィー(トルエン)により精製し、表題化合物8.5mg(収率50%)を得た。
【実施例】
【0063】
【表1】
JP2017217439A1_000025t.gif
【表2】
JP2017217439A1_000026t.gif
【表3】
JP2017217439A1_000027t.gif
【表4】
JP2017217439A1_000028t.gif
【表5】
JP2017217439A1_000029t.gif
【表6】
JP2017217439A1_000030t.gif
【表7】
JP2017217439A1_000031t.gif
【実施例】
【0064】
〔実験例〕
〔実験例1〕本発明の化合物のSOD1-Derlin-1結合阻害効果
1.方法
1-1.主な試薬、抗体など
Western blottingに用いた抗体は、anti-Flag抗体(M2): Sigma、anti-HA 抗体 (3F10): Roche、anti-α-tubulin抗体: Harlan、Anti-rat IgG HRP-linked抗体: Cell Signaling、Anti-mouse IgG HRP-linked抗体: GE healthcareよりそれぞれ購入した。
Anti-Flag M2 affinity gelおよび1x Flag peptideはSigmaより購入した。
Cenrifugal Filters(Amicon Ultra 10K)は、Milliporeより購入した。
【実施例】
【0065】
1-2.方法
細胞培養
細胞は、ヒト胎児腎臓由来 Human Embryonic Kidney 293A (HEK293A)細胞を用いた。補体不活性化した10 % fetal bovine serum (FBS, Vitromex)、100 units/mL Penicillin G (Meiji) を含む High Glucose Dulbecco’s modified Eagle’s medium (DMEM: 4.5 mg/ml glucose, Sigma) 中で、37℃、5 % CO2 の条件に設定したインキュベーターに入れ、培養した。
トランスフェクション
HEK293A 細胞へのトランスフェクションは、プラスミド 1 μgに対して3 μLの割合で PEI-Max (Polyscience)を用いて行った。DMEMとPEI-Maxを混合して、5 分間静置後、プラスミド DNAのDMEM溶解液に加えて、さらに15分間静置し、播種後12-24時間培養した後で、10 % FBSのみ含むDMEMに培地交換した細胞の培養液中に添加した。
トランスフェクトしたプラスミドは以下の通りである;
pcDNA3.0-Derlin-1-HA、pcDNA3.0-Flag-SOD1 G93Aおよびその他変異 123 種類。
上記プラスミドは、既報のものを使用した(Nishitohら, Genes Dev 22, 1451-1464, (2008):Fujisawaら, Ann Neurol 72, 739-749, (2012)を参照のこと)。
細胞溶解
共免疫沈降実験用のHEK293A細胞の溶解には、IP lysis buffer (20 mM Tris-HCl pH 7.5、150 mM NaCl、10 mM EDTA pH 8.0、1 % Triton-X 100、5 μg/mL leupeptin、1 mM phenylmetylsulfonul fluoride) を使用した。
【実施例】
【0066】
Cell-baseな共免疫沈降アッセイ
24ウェルプレートでトランスフェクション後 12時間あるいは24時間培養した細胞培養液を200 μLの培地に交換し、1 % DMSOあるいは各濃度の各種化合物を培養液中に添加した。36 時間あるいは24時間後に、細胞をIP lysis buffer 300 μL/wellで 4℃にて25分間インキュベートすることにより溶解し、4℃、15000 rpm、10分間遠心して上清を回収した。この上清にAnti-Flag M2 affinity gelを液量で20 μL加え、4℃にて、25分間転倒混和し反応させた。反応後、上清を除去して High salt wash buffer (1 % Triton X 100、500 mM NaCl、20 mM Tris-HCl pH 7.5、5 mM EGTA)で2 回、Low salt wash buffer (150 mM NaCl、20 mM Tris-HCl pH 7.5、5 mM EGTA)で l 回ずつ洗浄した。最後に、50 μL の 2x SDS sample bufferを加えて、98℃で3分間ボイルし、SDS-PAGEサンプルとした。Lysateは、上清と等量の2x SDS sample bufferを加えて、98℃で3分間ボイルし、SDS-PAGEサンプルとした。
【実施例】
【0067】
ウエスタンブロッティング分析
SDS-PAGE後、ゲルからpolyvinylidene difluoride membrane (PVDF)(0.2 μm, Pall) にタンパク質を転写し、5 % スキムミルクを含むTBS-T(150 mM NaCl、50 mM Tris-HCl pH 8.0、0.05 % Tween 20)で室温にて2時間以上ブロッキングした後、5 % bovine serum albuminと0.1 % NaN3を含むTBS-Tで希釈した1次抗体を、4℃にて12時間以上、PVDF膜上の各分子に結合させた。反応後、5 %スキムミルクを含むTBS-Tで希釈した2次抗体(HRP-linked 2nd antibody)を、1時間室温にて1次抗体に結合させた。この後、TBS-Tで15分間×3 回以上洗浄を行い、enhanced chemiluminescence (ECL) システムにより検出を行った。
【実施例】
【0068】
マウス
野生型マウス(C57BL/6)およびSOD1 G93Aトランスジェニックマウス(G1L/+ line, backcrossed to C57BL/6)は、The Jackson Laboratoryより購入し、繁殖・飼育したものを用いた。アッセイはすべて雄のマウスを用いて行った。
【実施例】
【0069】
脳室内(i.c.v. ;Intracerebroventricular)投与
SOD1 G93Aトランスジェニックマウス(平均発症時期: 28.1+1.3週齢(Nishitohら, Genes Dev 22, 1451-1464, 2008))に対して、22週齢から、Brain infusion kit 3(Alzet)とオスモティックポンプ(Model 2006, Alzet)を用いて、化合物の脳室内持続投与を行った(0.15 μL/h, 6週間/ポンプ)。準備段階として、50 %DMSO/PBSあるいは各化合物を、ポンプに充填し、0.9 %NaClに浸して、37℃で60時間以上プライミングを行った。ポンプの取り付けの際は、0.01 μL/g xylazine(1 mg/ml, Sigma)と0.007 μL/g Pentobarbital Sodium Salt(5.4 mg/ml, ナカライ)の腹腔内投与により麻酔を施した。マウス頭部の毛を剃り、マニピュレーターを取り付けた脳定位固定装置(ナリシゲ)にマウスを固定後、皮膚を切開して頭蓋骨を露出させた。Bregmaの座標を0に設定し、右方に1.1 mm、後方に0.5 mm、下方に2.5 mmの位置を投与脳室座標とした。ポンプを背側皮下に配置し、接着剤を用いてカニューレを固定後、マウス頭部の皮膚を接着剤で閉じた。ALS 病態発症により手術が困難になるまで、6 週間毎にポンプ交換を行った。ポンプ交換の際には、導入には4 %、維持には2 %のIsoflurane (和光純薬)を用いてマウスへの麻酔を施した。ポンプ挿入部位の背面の毛を剃り、皮膚を切開してポンプを取り出し、あらかじめ50 %DMSO/PBSあるいは各化合物を充填しておいた新しいポンプと交換した。ポンプ交換後、開いた皮膚は、Wound clip (Alzet)により 閉じた。
【実施例】
【0070】
行動解析
マウスが25週齢になった週から、週に3回、ロータロッド試験により運動機能測定を行った。ロータロッド(室町機械)を、到達回転速度40 rpm、加速時間180秒として設定し、最長300秒間で対象マウスが落下するまでの時間を記録した。180秒間の休憩時間を設けて各回2度の測定を行い、良い方の記録をその日の結果として週の平均値を算出した。2週続けて前週の結果を下回った場合に、ピークとなった2週間前の週齢をそのマウスの onset(病態発症までの期間)として定義した。
【実施例】
【0071】
運動神経細胞のカウントアッセイ
31週齢のマウスを、4 %パラホルムアルデヒド/PBS を用いて濯流固定し、脳脊髄組織を取り出した。4 %パラホルムアルデヒド/PBSに浸して、4℃にて、24時間以上固定した後、30 %スクロース液/MilliQに移して、4℃にて、24時間以上で置換した。腰髄領域を切断し、ドライアイス上でクリオモルド1号(SAKURA)に垂直に立てて、クリオマウント1(低粘度、武藤化学)を満たして固定し、脊髄組織凍結サンプルを作製した。-20℃に設定した CM3050 S クライオスタット(Leica)を用い、40 μm切片を作製した。ゼラチンコートしたスライドガラス(MAS コート、MATSUNAMI)上に切片を貼り付け、十分に乾燥させた後、5 %酢酸/95 %エタノール中で、60℃にて、一晩放置した。95 %エタノール、70 %エタノールの順に5 分間ずつ馴染ませた後、軽く水洗して0.1 % Cresyl Violet Acetate(WALDECK; 1A-400)/10 %酢酸/MilliQ に浸し、電子レンジにて沸騰直前まで加熱し、室温まで戻すことでニッスル染色を行った。再び軽く水洗した後、70 %エタノールに浸し、分別状況を確認した。95 %エタノール、100 %エタノールに順次5分間ずつ浸し、Xylene(和光純薬)の脱水系列を経て、マウントクイック(大道産業)にて封入した。明視野顕微鏡(Leica)により、20倍の対物レンズを使用して染色切片の観察を行い、脊髄前角に存在する直径20 μm以上の大きさで神経細胞の形態が確認でき、核と区別して細胞質の染色が判断できるものを運動神経細胞としてカウントした。
【実施例】
【0072】
2.結果
Cell-baseな共免疫沈降アッセイ
本発明の化合物(実施例化合物1~実施例化合物47)について、細胞培養液中への添加によって細胞内のALS関連変異型SOD1とDerlin-1の結合を阻害できるかどうかを共免疫沈降実験によって検討した。この実験系では、すでに形成された変異型SOD1-Derlin-1複合体を解離させるだけではなく、細胞内で新規合成された変異型SOD1とDerlin-1の結合をあらかじめ阻害できるどうかについても確認できる。
Flag-SOD1 G93A(ALS関連変異型)とDerlin-1-HAを過剰発現させた細胞を培養し、その培養液中に本発明の化合物を添加し、培養後、細胞溶解液から抗Flag抗体を用いて免疫沈降を行った。実施例化合物1(5 μM、10 μM、20 μM)と実施例化合物4(0.625 μM、1.25 μM、2.5 μM、5 μM)を用いて行った実験結果を図1に示す。化合物を添加していない第2レーンと比較して、実施例化合物1および実施例化合物4を加えた場合には、抗Flag抗体による免疫沈降物に対する抗HA抗体によるブロッティングのバンドが薄くなっていた(IB: HA)。すなわち、実施例化合物1および実施例化合物4を細胞培養液に添加すると変異型SOD1-Derlin-1結合が阻害され、変異型SOD1と結合して共沈するDerlin-1の量が減少していることを示している。
【実施例】
【0073】
上記SOD1-Derlin-1結合阻害実験においては、ALS 病態発症に関与する代表的な変異型SOD1であるSOD1 G93Aを用いたが、先行研究により122種類のALS関連変異型 SOD1がDerlin-1と結合することが明らかになっている(Fujisawaら, Ann Neurol 72, 739-749, (2012))。そこで、実施例化合物1がこれら複数種類の変異型 SOD1とDerlin-1の結合を阻害するかを細胞レベルでの共免疫沈降実験により検討したところ、すべての変異型SOD1とDerlin-1の結合を阻害することが確認された(図2~図9)。さらに、実施例化合物1は、変異型SOD1とDerlin-1の結合を阻害する条件下において、SOD1のダイマー化やDerlin-1の複合体形成に対しては阻害活性を示さなかったことも確認しており、実施例化合物1が非特異的なタンパク質間相互作用阻害活性を持つのではなく、標的とする変異型SOD1-Derlin-1結合に選択性を有することが示された。
【実施例】
【0074】
表8~表13に、本発明の実施例化合物1~47のCell-baseな共免疫沈降アッセイの結果を示す。活性値(スコア)は、阻害効果がみられなかったものを0、阻害効果がみられたものを1、顕著な阻害効果が見られたものを2および実施例1の化合物よりも阻害効果が高いものを3とした(実施例化合物1~47の全てに阻害効果が認められた)。
【実施例】
【0075】
【表8】
JP2017217439A1_000032t.gif

【表9】
JP2017217439A1_000033t.gif

【表10】
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【表11】
JP2017217439A1_000035t.gif

【表12】
JP2017217439A1_000036t.gif
【表13】
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【実施例】
【0076】
変異型SOD1-Derlin-1結合阻害によるALSモデルマウスの病態改善効果の検討
ALS病態における変異型SOD1-Derlin-1結合の重要性と、本発明の化合物の治療薬としての可能性を検証するため、ALSモデルマウスへ実施例化合物1を投与し、その病態改善効果の検討を行った。この場合、標的とする中枢神経系にて化合物を作用させる必要があるが、一般に薬剤を血流から中枢神経系へ到達させる際、血液脳関門(Blood Brain Barrier: BBB)の透過性が問題となる。そこで、BBB透過性の懸念を排除し、効果的に中枢神経系へ変異型SOD1-Derlin-1結合阻害化合物を届けるために、直接、脳脊髄液中に化合物を投与することにした。また、ALS病態が晩発性・進行性であることをふまえ、持続的に一定濃度の化合物を投与することが、効果的な化合物の活性発揮に繋がると考えられた。そこで化合物の投与法としては、オスモティックポンプを利用したマウス脳室内への持続投与を選択した(DeVosおよびMiller, J Vis Exp, e50326, (2013):Storkebaumら, Nat Neurosci 8 , 85-92, (2005):Hajiら, Exp Neurol 237 , 296-303, (2012):Audetら, PLoS One 7 , e34932, (2012))。ALSモデルマウスとして雄のSOD1 G93Aトランスジェニックマウスを用い、ALS病態発症以前の22週齢から、脳室内へオスモティックポンプを利用して実施例化合物1(コントロール: DMSO、3 mM 化合物1)の持続投与を行うことで、マウスの運動機能と生存期間に影響がみられるかを検討した。ロータロッド試験に基づく、マウスの運動機能から定義した病態発症までの期間(Onset)は、実施例化合物1投与群においては有意に発症までの期間が遅延した(図10A)。そして生存期間 (Survival) については、onsetと同様、実施例化合物1投与群では、14 %ほどの、有意な生存期間の延長効果が明らかとなった(図10B)。
【実施例】
【0077】
ALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合阻害化合物による、ALS モデルマウスにおける運動神経細胞死への影響を確認するため、コントロール群の平均的な発症時期であった 31週齢のマウス脊髄において、運動神経細胞をニッスル染色により検出した(図11)。実施例化合物1投与マウス群における運動神経細胞数をカウントしたところ、有意に運動神経細胞数が多いことが明らかとなった(図12)。
以上の結果より、ALS関連変異型SOD1-Derlin-1結合を阻害する本発明の化合物が、in vivoにおいて運動神経細胞死を抑制し、ALS 病態の改善効果を示したと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明にかかる化合物は、ALS関連変異型SOD1とDerlin-1との結合を阻害する機能を有し、ALSの治療薬として、また、さらなる治療薬の開発のリードとして使用することができる。したがって、医療および創薬の分野においての利用が期待される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
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【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11