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明細書 :物体状態検出伝送システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第6342594号 (P6342594)
登録日 平成30年5月25日(2018.5.25)
発行日 平成30年6月13日(2018.6.13)
発明の名称または考案の名称 物体状態検出伝送システム
国際特許分類 G01N  21/27        (2006.01)
FI G01N 21/27 B
G01N 21/27 A
請求項の数または発明の数 13
全頁数 22
出願番号 特願2017-561784 (P2017-561784)
出願日 平成29年8月21日(2017.8.21)
国際出願番号 PCT/JP2017/029791
優先権出願番号 2016162160
優先日 平成28年8月22日(2016.8.22)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成29年11月27日(2017.11.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
発明者または考案者 【氏名】高橋 幸弘
【氏名】成瀬 延康
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100100158、【弁理士】、【氏名又は名称】鮫島 睦
【識別番号】100125874、【弁理士】、【氏名又は名称】川端 純市
審査官 【審査官】横尾 雅一
参考文献・文献 特開2007-124932(JP,A)
特表2002-500754(JP,A)
特開2012-159375(JP,A)
特開2016-127806(JP,A)
国際公開第2016/181743(WO,A1)
国際公開第2015/195746(WO,A1)
米国特許第07166825(US,B1)
調査した分野 G01N 21/00-21/61
G01J 3/00- 3/52
A01G 7/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
要約 対象物体で反射された反射光に基づいて反射スペクトルを測定する分光器と、前記測定された反射スペクトルを受信する電子機器とを一体的に備えた分光端末装置と、前記分光端末装置に通信回線を介して接続されたサーバ装置とを備えた物体状態検出伝送システムであって、前記電子機器は、対象物体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、前記対象物体の位置を測定するGPS手段と、前記対象物体の方位及び角度を測定するセンサ手段と、前記撮影及び測定の時刻を計時する計時手段と、前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記対象物体の方位及び角度及び前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともにサーバ装置に送信する通信手段とを備える。
特許請求の範囲 【請求項1】
対象物体で反射された反射光に基づいて反射スペクトルを測定する分光器と、前記測定された反射スペクトルを受信する電子機器とを一体的に備えた分光端末装置と、
前記分光端末装置に通信回線を介して接続されたサーバ装置とを備えた物体状態検出伝送システムであって、
前記電子機器は、
対象物体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記対象物体の位置を測定するGPS手段と、
前記対象物体を中心として前記電子機器の各位置における、地磁気に基づく真北を基準とする方位(θ)及び前記対象物体を中心としての水平面に対する傾斜角度(φ)を測定するセンサ手段と、
前記撮影及び測定の時刻を計時する計時手段と、
前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)、並びに前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともにサーバ装置に送信する通信手段とを備え、
前記電子機器は、
(1)前記センサ手段により太陽の入射方位を特定する前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)の情報を取得し、
(2)前記GPS手段により太陽角度の導出に必要な位置情報を取得し、前記計時手段により時刻情報を取得し、
(3)前記撮影手段で取得した撮影画像データを前記計時手段で取得した時刻に関連づけ、
(4)前記分光器により測定された反射スペクトルを受信し、前記受信された反射スペクトルを、前記撮影手段で取得した撮影画像データ及び付帯情報と対応づけて前記サーバ装置に送信することにより、対象物体に対して複数の方位(θ)及び複数の傾斜角度(φ)からの反射スペクトルデータを前記サーバ装置に収集させ、ここで、前記付帯情報は、
(a)前記GPS手段により取得された位置情報と、
(b)前記計時手段により計時された測定時の時刻と前記GPS手段により取得された位置情報とから導出された前記太陽角度と、
(c)前記センサ手段から取得された前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)の情報から導出された前記太陽の入射方位と、
(d)前記計時手段により計時された測定時の時刻と
を含み、
(5)当該収集した反射スペクトルデータを、所定の双方向反射率分布関数の測定データとして取得して、
(6)当該収集した反射スペクトルデータを、前記双方向反射率分布関数を用いて、所望の方位及び角度への反射スペクトルデータに変換することで、対象物体の種別及び状態の判別処理を行うことを特徴とする物体状態検出伝送システム。
【請求項2】
前記対象物体は、植物、動物、農作物、医療物、鉱物又は食品であることを特徴とする請求項1記載の物体状態検出伝送システム。
【請求項3】
前記電子機器はスマートホンである請求項1又は2記載の物体状態検出伝送システム。
【請求項4】
前記撮影手段を備えた前記電子機器衛星に搭載され、前記衛星は前記撮影画像を前記サーバ装置に無線送信することを特徴とする請求項1~3のうちのいずれか1つに記載の物体状態検出伝送システム。
【請求項5】
対象物体で反射された反射光に基づいて反射スペクトルを測定する分光器と、前記測定された反射スペクトルを受信する電子機器とを一体的に備えた分光端末装置であって、
前記電子機器は、
対象物体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記対象物体の位置を測定するGPS手段と、
前記対象物体を中心として前記電子機器の各位置における、地磁気に基づく真北を基準とする方位(θ)及び前記対象物体を中心としての水平面に対する傾斜角度(φ)を測定するセンサ手段と、
前記撮影及び測定の時刻を計時する計時手段と、
前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)、並びに前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともにサーバ装置に送信する通信手段とを備え、
前記電子機器は、
(1)前記センサ手段により太陽の入射方位を特定する前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)の情報を取得し、
(2)前記GPS手段により太陽角度の導出に必要な位置情報を取得し、前記計時手段により時刻情報を取得し、
(3)前記撮影手段で取得した撮影画像データを前記計時手段で取得した時刻に関連づけ、
(4)前記分光器により測定された反射スペクトルを受信し、前記受信された反射スペクトルを、前記撮影手段で取得した撮影画像データ及び付帯情報と対応づけて前記サーバ装置に送信することにより、対象物体に対して複数の方位(θ)及び複数の傾斜角度(φ)からの反射スペクトルデータを前記サーバ装置に収集させ、ここで、前記付帯情報は、
(a)前記GPS手段により取得された位置情報と、
(b)前記計時手段により計時された測定時の時刻と前記GPS手段により取得された位置情報とから導出された前記太陽角度と、
(c)前記センサ手段から取得された前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)の情報から導出された前記太陽の入射方位と、
(d)前記計時手段により計時された測定時の時刻と
を含み、
(5)当該収集した反射スペクトルデータを、所定の双方向反射率分布関数の測定データとして取得して、
(6)当該収集した反射スペクトルデータを、前記双方向反射率分布関数を用いて、所望の方位及び角度への反射スペクトルデータに変換することで、対象物体の種別及び状態の判別処理を行うことを特徴とする分光端末装置。
【請求項6】
前記対象物体は、植物、動物、農作物、医療物、鉱物又は食品であることを特徴とする請求項5記載の分光端末装置。
【請求項7】
前記電子機器はスマートホンである請求項5又は6記載の分光端末装置。
【請求項8】
前記撮影手段を備えた前記電子機器衛星に搭載され、前記衛星は前記撮影画像を前記サーバ装置に無線送信することを特徴とする請求項5~7のうちのいずれか1つに記載の分光端末装置。
【請求項9】
対象物体で反射された反射光に基づいて反射スペクトルを測定する分光器と、前記測定された反射スペクトルを受信する電子機器とを一体的に備えた分光端末装置のための電子機器の制御方法であって、
前記電子機器は、
対象物体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記対象物体の位置を測定するGPS手段と、
前記対象物体を中心として前記電子機器の各位置における、地磁気に基づく真北を基準とする方位(θ)及び前記対象物体を中心としての水平面に対する傾斜角度(φ)を測定するセンサ手段と、
前記撮影及び測定の時刻を計時する計時手段と、
前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)、並びに前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともにサーバ装置に送信する通信手段とを備え、
前記制御方法は、
前記撮影手段が、対象物体を撮影して撮影画像を得るように制御することと、
前記GPS手段が、前記対象物体の位置を測定するように制御することと、
前記センサ手段が、前記対象物体の前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)を測定するように制御することと、
前記通信手段が、前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)、並びに前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともにサーバ装置に送信するように制御することとを含み、
前記制御方法はさらに、
(1)前記センサ手段により太陽の入射方位を特定する前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)の情報を取得し、
(2)前記GPS手段により太陽角度の導出に必要な位置情報を取得し、前記計時手段により時刻情報を取得し、
(3)前記撮影手段で取得した撮影画像データを前記計時手段で取得した時刻に関連づけ、
(4)前記分光器により測定された反射スペクトルを受信し、前記受信された反射スペクトルを、前記撮影手段で取得した撮影画像データ及び付帯情報と対応づけて前記サーバ装置に送信することにより、対象物体に対して複数の方位(θ)及び複数の傾斜角度(φ)からの反射スペクトルデータを前記サーバ装置に収集させ、ここで、前記付帯情報は、
(a)前記GPS手段により取得された位置情報と、
(b)前記計時手段により計時された測定時の時刻と前記GPS手段により取得された位置情報とから導出された前記太陽角度と、
(c)前記センサ手段から取得された前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)の情報から導出された前記太陽の入射方位と、
(d)前記計時手段により計時された測定時の時刻と
を含み、
(5)当該収集した反射スペクトルデータを、所定の双方向反射率分布関数の測定データとして取得して、
(6)当該収集した反射スペクトルデータを、前記双方向反射率分布関数を用いて、所望の方位及び角度への反射スペクトルデータに変換することで、対象物体の種別及び状態の判別処理を行うことを含むことを特徴とする電子機器の制御方法。
【請求項10】
前記電子機器により実行される、請求項9記載の制御方法の各ステップを含むことを特徴とする制御プログラム。
【請求項11】
請求項10記載の制御プログラムを格納したことを特徴とする、コンピュータにより読取可能な記録媒体。
【請求項12】
請求項1~4のうちのいずれか1つに記載の物体状態検出伝送システムのためのサーバ装置であって、
前記電子機器から送信された、前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記対象物体の前記方位(θ)及び前記傾斜角度(φ)及び前記撮影及び測定の時刻、並びに前記反射スペクトルを受信した後、前記対象物体の種別及び判定処理を実行することを特徴とするサーバ装置。
【請求項13】
前記サーバ装置は前記通信回線に接続された端末装置であることを特徴とする請求項12記載のサーバ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば植物の状態などの物体の状態を検出して伝送する物体状態検出伝送システム、前記物体状態検出伝送システムのための分光端末装置とその制御方法、その制御プログラム、記録媒体、並びに、前記物体状態検出伝送システムのためのサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境光や光源管理などを計測するための小型分光器やカラーメータ(以下、第1の従来例という。)は既に市販されており、測定波長範囲が380~780nmながら数十万円で購入できる(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、分光器に小型の赤外線光源を搭載し、測定対象の農作物や食品などの鮮度や品質に関する情報をその光源からの反射光を用いて取得する小型分光器(以下、第2の従来例という。)も既に開発されている(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
さらに、植物で反射された太陽光のスペクトルに基づいて、植物の種類を判別し、植物の健康状態を判定し、もしくは植物の育成状態を判定すること(以下、第3の従来例という。)が例えば特許文献1~6において開示されている。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開2006-314215号公報
【特許文献2】特開2006-317195号公報
【特許文献3】特開2015-077113号公報
【特許文献4】特開2015-223101号公報
【特許文献5】特開2008-076346号公報
【特許文献6】特開2012-196167号公報
【0006】

【非特許文献1】株式会社セコニック,「分光式カラーメータ スペクトロマスター C-700」,インターネット,[検索日:平成28年8月16日],URL: http://www.sekonic.com/united-states/products/c-700/overview.aspx
【非特許文献2】SiCO, "Spectrometer", インターネット,[検索日:平成28年8月16日],URL: https://www.consumerphysics.com/myscio/scio
【非特許文献3】沖一雄ほか,「ハイパースペクトルデータによる都市域における植生分類手法の検討」,Eco-Engineering, 17(1), pp.67-72, 2005.
【非特許文献4】北海道衛星株式会社,「芝生と地面、撮影対象について」,インターネット,[検索日:平成28年8月16日],URL: http://www.hokkaido-sat.co.jp/casestudy-data/plant/plant-ground.html
【非特許文献5】北海道衛星株式会社,「鮮度の研究、葉もの野菜の鮮度とは」,インターネット,[検索日:平成28年8月16日],URL: http://hokkaido-sat.co.jp/study-archives/36-fundamental-research-fresh.html
【非特許文献6】シーシーエス株式会社,「光と色の話、草や木の葉はなぜ緑色なの否かが判断される。」、インターネット,[検索日:平成28年8月16日],URL: http://www.ccs-inc.co.jp/s2_ps/s1/s_04/column/light_color/vol13.html
【非特許文献7】伊藤健吾ほか,「分光反射特性を用いた植生の植被率と活性度の分離」,日本リモートセンシング学会誌,Vol.16, No. 4, pp.41-49, 1996
【非特許文献8】青柳賢英,「ハイパースペクトルカメラの開発とデータ利用」,超小型衛星利用開拓信州ワークショップ,2010年10月25日,インターネット,[検索日:平成28年8月16日],URL: http://www.nano-sat.org/shinshu/files/2010shinshu/07_aoyanagi.pdf
【非特許文献9】佐鳥新,「北海道における超小型衛星の研究開発」,宇宙政策セミナー,札幌,2013年9月30日,インターネット,[検索日:平成28年8月16日],URL: http://www8.cao.go.jp/space/seminar/fy25-dai3/satori-1.pdf
【非特許文献10】遠藤貴宏,「ハイパースペクトル計測による植物の二酸化炭素吸収量推定手法に関する研究」,東京大学 博士論文,2003年3月28日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、第1の従来例の方式では、スペクトルを知ることが出来るのみであり、他の情報との有機的な結びつきをつけることができておらず汎用性に欠ける。また、スペクトルをそのまま導出するに過ぎず、解釈には専門的な知識が必須となる。
【0008】
一方、第2の従来例の方式では、測定波長が機器に搭載する光源の波長に限定されており、通常、赤外光に限られている。そのため、取得し利用出来る波長情報は、赤外光に限定されている。
【0009】
さらに、第3の従来例では、植物で反射された太陽光の反射スペクトルに基づいて、植物の種類を判別し、植物の健康状態を判定し、もしくは植物の育成状態を判定することができるが、植物の状態を示す画像や位置、時刻などの付帯情報を対応づけて収集することができないという問題点があった。
【0010】
本発明の目的は以上の問題点を解決し、例えば植物などの物体で反射された太陽光の反射スペクトルに基づいて物体の種類及び状態を前記付帯情報に対応づけて自動的にかつ容易に判別することができる物体状態検出伝送システムを提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、前記物体状態検出伝送システムのための分光端末装置とその制御方法、その制御プログラム、記録媒体、並びに、前記物体状態検出伝送システムのためのサーバ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明に係る物体状態検出伝送システムは、
対象物体で反射された反射光に基づいて反射スペクトルを測定する分光器と、前記測定された反射スペクトルを受信する電子機器とを一体的に備えた分光端末装置と、
前記分光端末装置に通信回線を介して接続されたサーバ装置とを備えた物体状態検出伝送システムであって、
前記電子機器は、
対象物体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記対象物体の位置を測定するGPS手段と、
前記対象物体の方位及び角度を測定するセンサ手段と、
前記撮影及び測定の時刻を計時する計時手段と、
前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記対象物体の方位及び角度及び前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともにサーバ装置に送信する通信手段とを備え、
前記電子機器は、
(1)前記センサ手段により太陽の入射方位を特定する方位及び角度の情報を取得し、
(2)前記GPS手段により太陽角度の導出に必要な位置情報と前記計時手段により時刻情報を取得し、
(3)前記撮影手段で取得した撮影画像データを前記計時手段で取得した時刻に関連づけ、
(4)測定時の前記太陽角度と前記太陽の入射方位を同時に測定することで、対象物体に対して複数の方位及び角度からの反射スペクトルデータを収集し、
(5)当該収集した反射スペクトルデータを、所定の双方向反射率分布関数の測定データとして取得して、
(6)当該収集した反射スペクトルデータを、前記双方向反射率分布関数を用いて、所望の方位及び角度への反射スペクトルデータに変換することで、対象物体の種別及び状態の判別処理を行うことを特徴とする。
【0013】
前記物体状態検出伝送システムにおいて、前記対象物体は、植物、動物、農作物、医療物、鉱物又は食品であることを特徴とする。
【0014】
また、前記物体状態検出伝送システムにおいて、前記電子機器はスマートホンである。
【0015】
さらに、前記物体状態検出伝送システムにおいて、前記撮影手段は前記電子機器に代えて衛星に搭載され、前記衛星は前記撮影画像を前記サーバ装置に無線送信することを特徴とする。
【0016】
第2の発明に係る分光端末装置は、対象物体で反射された反射光に基づいて反射スペクトルを測定する分光器と、前記測定された反射スペクトルを受信する電子機器とを一体的に備えた分光端末装置であって、
前記電子機器は、
対象物体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記対象物体の位置を測定するGPS手段と、
前記対象物体の方位及び角度を測定するセンサ手段と、
前記撮影及び測定の時刻を計時する計時手段と、
前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記対象物体の方位及び角度及び前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともに前記分光端末装置に通信回線を介して接続されたサーバ装置に送信する通信手段とを備え、
前記電子機器は、
(1)前記センサ手段により太陽の入射方位を特定する方位及び角度の情報を取得し、
(2)前記GPS手段により太陽角度の導出に必要な位置情報と前記計時手段により時刻情報を取得し、
(3)前記撮影手段で取得した撮影画像データを前記計時手段で取得した時刻に関連づけ、
(4)測定時の前記太陽角度と前記太陽の入射方位を同時に測定することで、対象物体に対して複数の方位及び角度からの反射スペクトルデータを収集し、
(5)当該収集した反射スペクトルデータを、所定の双方向反射率分布関数の測定データとして取得して、
(6)当該収集した反射スペクトルデータを、前記双方向反射率分布関数を用いて、所望の方位及び角度への反射スペクトルデータに変換することで、対象物体の種別及び状態の判別処理を行うことを特徴とする。
【0017】
前記分光端末装置において、前記対象物体は、植物、動物、農作物、医療物、鉱物又は食品であることを特徴とする。
【0018】
また、前記分光端末装置において、前記電子機器はスマートホンである。
【0019】
さらに、前記分光端末装置において、前記撮影手段は前記電子機器に代えて衛星に搭載され、前記衛星は前記撮影画像を前記サーバ装置に無線送信することを特徴とする。
【0020】
第3の発明に係る電子機器の制御方法は、対象物体で反射された反射光に基づいて反射スペクトルを測定する分光器と、前記測定された反射スペクトルを受信する電子機器とを一体的に備えた分光端末装置のための電子機器の制御方法であって、
前記電子機器は、
対象物体を撮影して撮影画像を得る撮影手段と、
前記対象物体の位置を測定するGPS手段と、
前記対象物体の方位及び角度を測定するセンサ手段と、
前記撮影及び測定の時刻を計時する計時手段と、
前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記対象物体の方位及び角度及び前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともに前記分光端末装置に通信回線を介して接続されたサーバ装置に送信する通信手段とを備え、
前記制御方法は、
前記撮影手段が、対象物体を撮影して撮影画像を得るように制御することと、
前記GPS手段が、前記対象物体の位置を測定するように制御することと、
前記センサ手段が、前記対象物体の方位及び角度を測定するように制御することと、
前記通信手段が、前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記対象物体の方位及び角度及び前記撮影及び測定の時刻を前記受信した反射スペクトルとともに前記分光端末装置に通信回線を介して接続されたサーバ装置に送信するように制御することとを含み、
前記制御方法はさらに、
(1)前記センサ手段により太陽の入射方位を特定する方位及び角度の情報を取得し、
(2)前記GPS手段により太陽角度の導出に必要な位置情報と前記計時手段により時刻情報を取得し、
(3)前記撮影手段で取得した撮影画像データを前記計時手段で取得した時刻に関連づけ、
(4)測定時の前記太陽角度と前記太陽の入射方位を同時に測定することで、対象物体に対して複数の方位及び角度からの反射スペクトルデータを収集し、
(5)当該収集した反射スペクトルデータを、所定の双方向反射率分布関数の測定データとして取得して、
(6)当該収集した反射スペクトルデータを、前記双方向反射率分布関数を用いて、所望の方位及び角度への反射スペクトルデータに変換することで、対象物体の種別及び状態の判別処理を行うことを含むことを特徴とする。
【0021】
第4の発明に係る制御プログラムは、前記電子機器により実行される、前記制御方法の各ステップを含むことを特徴とする。
【0022】
第5の発明に係るコンピュータにより読取可能な記録媒体は、前記制御プログラムを格納したことを特徴とする。
【0023】
第6の発明に係るサーバ装置は、前記物体状態検出伝送システムのためのサーバ装置であって、
前記電子機器から送信された、前記撮影画像、前記対象物体の位置、前記対象物体の方位及び角度及び前記撮影及び測定の時刻、並びに前記反射スペクトルを受信した後、前記対象物体の種別及び判定処理を実行することを特徴とする。
【0024】
前記サーバ装置において、前記サーバ装置は前記通信回線に接続された端末装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
従って、本発明に係る物体状態検出伝送システムによれば、対象物体で反射された太陽光の反射スペクトルに基づいて対象物体の種類及び状態を前記付帯情報に対応づけて自動的にかつ容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る植物状態検出伝送システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のスマートホン10及び分光器20の詳細構成例を示すブロック図である。
【図3】図1の分光端末装置1において入射スペクトル及び反射スペクトルを測定するときの分光端末装置1と白色反射板4との配置関係及び、分光端末装置1の構成例を示す縦断面図である。
【図4】図1のスマートホン10により実行される植物状態検出伝送処理を示すフローチャートである。
【図5】図1の分光端末装置1の方位θを測定する測定例を示す外観斜視図である。
【図6】図1の分光端末装置1の角度φを測定する測定例を示す外観斜視図である。
【図7】図5の方位θをパラメータとしたときの反射スペクトルの測定例を示すグラフである。
【図8】太陽6が移動したときに、図1の分光端末装置1を用いて時刻変化に対する反射スペクトルの測定例を示す外観斜視図である。
【図9】図8の時刻をパラメータとしたときの反射スペクトルの測定例を示すグラフである。
【図10A】鉛汚染下での植物育成の一例を示す対象植物の撮影画像を示す写真画像である。
【図10B】鉛汚染下での植物育成の一例であって、鉛含有量の変化に対する植物育成の変化を示す対象植物の撮影画像を示す写真画像である。
【図10C】図10Bの鉛含有量をパラメータとしたときの反射スペクトルの測定例を示すグラフである。
【図11】図1の植物状態検出伝送システムにおいてスマートホン10のカメラ機能の利用イメージを示す図である。
【図12A】図1の分光端末装置1の方位θを測定する測定例を示す外観斜視図である。
【図12B】図12Aの方位θをパラメータとしたときの反射スペクトルの測定例を示すグラフである。
【図13】分光端末装置1をドローン7に搭載したときの適用例を示す模式図である。
【図14】衛星8により撮影された画像、分光端末装置1により得られたデータ及びドローン7に搭載された分光端末装置1により得られたデータの有機的結合及び相補的利用の一例を示す外観斜視図である。
【図15】従来例の測定例と、実施形態にかかる測定例との相違点を説明するための斜視図である。
【図16】直線レールLL1を用いて分光端末装置1を移動させて方位θを測定する測定例を示す斜視図である。
【図17】曲線レールLL2を用いて分光端末装置1を移動させて方位θを測定する測定例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。

【0028】
図1は本発明の一実施形態に係る植物状態検出伝送システムの構成例を示すブロック図である。図1において、植物状態検出伝送システムは、移動体通信ネットワーク2を介して互いに接続されかつ一体化された分光端末装置1及びサーバ装置3を備えて構成される。ここで、分光端末装置1は、装置筐体1Aに設けられ、USBケーブル18Cで接続されたスマートホン10及び分光器20とを備えて構成される。

【0029】
分光器20は、太陽から直接の太陽光(ただし、実際は図3のごとく白色反射板4で反射される太陽光)をスリット1Sを介して受光することで基準スペクトルである入射スペクトルを測定してUSBケーブル18Cを介してスマートホン10に送り、太陽から対象植物5で反射された反射光をスリット1Sを介して受光することで測定スペクトルである反射スペクトルを測定してスマートホン10に送る。スマートホン10は図4の植物状態検出伝送処理を実行することで、入射スペクトルに基づいてS/N比及び露光値を適正に設定した後、反射スペクトルを受信しかつ対象植物5の撮影画像を開孔1Hを介して撮影し、これらの撮影画像データ及び反射スペクトルを、現在位置、地磁気に基づく方位θ(地磁気センサを用いた真北を基準とする地磁気方位)、水平面に対する傾斜角度φと、測定時刻を含む付帯情報と対応づけて格納した後、移動体通信ネットワーク2を介してサーバ装置3に送信する。サーバ装置3はこれらのデータを受信して、詳細後述するように、対象植物5の種別や状態の判別処理を実行する。

【0030】
ここで、分光端末装置1は、図1に示すように、分光端末装置1を回転可能に保持する回転保持部40と、分光端末装置1及び回転保持部40を直線又は曲線で移動させる移動部30とを備える。

【0031】
図16は直線レールLL1を用いて分光端末装置1を移動させて方位θを測定する測定例を示す斜視図である。図16においては、例えば地上に設けられた直線レールLL1に沿って分光端末装置1を移動させて方位θを変化できる移動部30Aの一例を示している。

【0032】
図17は曲線レールLL2を用いて分光端末装置1を移動させて方位θを測定する測定例を示す斜視図である。図16においては、例えば地上又は両端が地上で固定されるように設けられた曲線レールLL2に沿って分光端末装置1を移動させて方位θを変化できる移動部30Bの一例を示している。

【0033】
図2は図1のスマートホン10及び分光器20の詳細構成例を示すブロック図である。

【0034】
図2において、分光器20は、バス20Bを介して接続された以下の構成要素を備える。
(1)CPU21:分光器20の動作を制御する。
(2)ROM22:CPU21が実行するオペレーティングプログラム(OS)、アプリケーションプログラム及びそれらを実行するために必要なデータを格納する。
(3)RAM23:前記プログラムを実行するときに演算、測定等されるデータを一時的に格納する。
(4)操作部24:測定者が分光器20の動作を設定するためのキーボード等を含む。
(5)表示部25:分光器20が動作したときに測定されるスペクトル等の測定データ等を表示する。
(6)分光器機能部26:CPU21により制御され、入射光に基づいて入射スペクトルを測定し、反射光に基づいて反射スペクトルを測定して測定結果のデータを出力する。
(7)USBインターフェース(USB I/F)27:分光器機能部26により測定された入射スペクトル及び反射スペクトルのデータをUSBケーブル18C及びUSBインターフェース18を介してスマートホン10に送信する。

【0035】
また、スマートホン10は、バス10Bを介して接続された以下の構成要素を備える。
(1)CPU11:スマートホン10の動作を制御し、現在時刻を計時するクロック回路を含む。
(2)ROM12:CPU11が実行するオペレーティングプログラム(OS)、アプリケーションプログラム及びそれらを実行するために必要なデータを格納する。
(3)RAM13:前記プログラムを実行するときに演算、測定等されるデータを一時的に格納する。
(4)SSD14:CPU11が実行するアプリケーションプログラム及びそれらを実行するために必要なデータ、また演算、測定等されるデータを一時的に格納する。
(5)操作部15:測定者がスマートホン10の動作を設定するためのキーボード等を含む。
(6)表示部16:スマートホン10が動作したときに測定されるスペクトル等の測定データ、撮影データ、操作ボタン等を表示する。当該操作ボタンは例えば表示部16上のタッチパネルであって、図4の植物状態検出伝送処理で用いる状態検出ボタン(白色反射板4を載置したときにオンする)、スペクトル測定ボタン、撮影ボタンなどを含み、操作部15として動作する。
(7)撮影カメラ17A:対象植物5を撮影して撮影画像のデータを出力する。
(8)GPS通信部17B:スマートホン10の現地位置を公知のGPSシステムを用いて測定して出力する。
(9)磁気及び加速度センサ17C:磁気センサにより方位θを測定し、加速度センサにより傾斜角度φを測定して、測定結果のデータを出力する。
(10)USBインターフェース(USB I/F)18:分光器機能部26により測定された入射スペクトル及び反射スペクトルのデータをUSBケーブル18Cを介して受信してCPU112出力する。
(11)無線通信部19:撮影画像データ及び反射スペクトルを、現在位置、地磁気に基づく方位θ、水平面に対する傾斜角度φと、測定時刻を含む付帯情報と対応づけたデータに従って無線信号を変調して、変調された無線信号をアンテナ19Aを用いて、移動体通信ネットワーク2を介してサーバ装置3に無線送信する。

【0036】
図3は図1の分光端末装置1において入射スペクトル及び反射スペクトルを測定するときの分光端末装置1と白色反射板4との配置関係及び、分光端末装置1の構成例を示す縦断面図である。図3において、スマートホン10と分光器20とは装置筐体1A内に一体化されて収容されて、分光端末装置1を構成する。

【0037】
分光端末装置1の装置筐体1Aの側面において、スリット1Sと、開孔1Hとが形成される。また、分光器20とスマートホン10との間の装置筐体1Aに開孔1Cが形成され、開孔1Cの直下に開孔1Hを介して撮影光を反射する反射板1mが設けられる。
(1)入射スペクトルを測定するとき、測定者は白色反射板4を図3のごとく載置することで、太陽光は白色反射板4の反射面4mで反射された後、スリット1Sを介して分光器機能部26の受光部に入射され、入射スペクトルが測定される。
(2)反射スペクトルを測定するとき、測定者は白色反射板4を除去して、対象植物5で反射された太陽光の反射光(撮影光)はスリット1Sを介して分光器機能部26の受光部に入射され、反射スペクトルが測定される。また、太陽光の反射光(撮影光)は開孔1Hを介して、反射板1mで反射された後、開孔1Cを介して撮影カメラ17Aに受光され、対象植物5の撮影画像が撮影される。

【0038】
図4は図1のスマートホン10により実行される植物状態検出伝送処理を示すフローチャートである。以下の植物状態検出伝送処理のプログラムは例えばスマートホン10のアプリケーションプログラムとして形成することができ、当該アプリケーションプログラムを通信回線を介して、もしくはCD-ROM又はDVD—ROMなどの、コンピュータにより読取可能な記録媒体に格納して提供できる。

【0039】
図4のステップS1において測定者が白色反射板4を載置し、ステップS2において状態検出ボタンがオンされたか否かが判断される。YESのときはステップS3に進む一方、NOのときはステップS2に戻る。ステップS3において分光器20が白色反射板4で反射された太陽光を検出し、検出された太陽光に基づいて露光時間及び露光ゲインを設定する。次いで、ステップS4においてスマートホン10が撮影カメラ17Aを用いて対象植物5を撮影して撮影画像(分光器測定範囲枠を含む)を撮影して表示部16にリアルタイムに表示する。ステップS5において測定者は分光器測定範囲枠内に対象植物5が含まれるようにスマートホン10を固定し、ステップS6において、スペクトル測定ボタンがオンされたか否かが判断される。YESのときはステップS7に進む一方、NOのときはステップS6に戻る。

【0040】
ステップS7において、分光器20が太陽光を受光して、太陽光に基づいて入射スペクトルを測定し、スマートホン10に送る。測定された入射スペクトルに基づいて、公知の方法でS/N比及び露光飽和度を計算する。スマートホン10は入射スペクトルを、このときの位置、角度、方位、時刻の付帯情報と対応づけてSSD14に一時的に格納する。次いで、ステップS8において測定されたS/N比が所定のS/N比しきい値よりも大きいか否かが判断され、YESのときはステップS9に進む一方、NOのときはステップS10に進む。また、ステップS9において測定された露光飽和度が所定の露光飽和限界値よりも大きいか否かが判断され、YESのときはステップS11に進む一方、NOのときはステップS10に進む。ステップS10では、露光時間及び露光ゲインを変更して再設定した後、ステップS4に戻る。

【0041】
ステップS11において測定者が白色反射板4を撤去し、ステップS12において撮影ボタンがオンされたか否かが判断され、YESのときはステップS13に進む一方、NOのときはステップS12に戻る。ステップS13において分光器20は反射スペクトルを検出してスマートホン10に送り、スマートホン10は対象植物5を撮影して、撮影画像と、前記反射スペクトルと、その付帯情報とを含む植物状態情報(以下、植物状態情報という。)をSSD14に格納する。さらに、ステップS15においてスマートホン10は前記植物状態情報を移動体通信ネットワーク2を介してサーバ装置3に送信して当該植物状態検出伝送処理を終了する。

【0042】
さらに、サーバ装置3は、受信される前記植物状態情報に基づいて、公知の方法を用いて以下の「植物の種別及び状態の判定処理」を実行してその結果をサーバ装置3内の記憶装置に格納するとともに、スマートホン10に返信して表示部16に表示させる。

【0043】
(1)植物の種類の判別処理(例えば、特許文献3,6及び非特許文献3,5,8,9参照)
(2)植物の健康状態の判別処理(例えば、特許文献1,2,4,5及び非特許文献5,6,8,9参照)
(3)植物の病原虫の判別処理(例えば、非特許文献5,8,9参照)
(4)植物の育成段階の判別処理(例えば、特許文献1,2,4,5及び非特許文献5,7,8,9参照)
(5)植物の汚染状態の判別処理(例えば、非特許文献5,8,9参照)(例えばPb汚染量など)
(6)植物のCO吸収量の判別処理(例えば、非特許文献5,8,9,10参照)

【0044】
さらに、スマートホン10における付帯情報及び植物の種別及び状態の判定処理の例について以下に説明する。

【0045】
図5は図1の分光端末装置1の方位θを測定する測定例を示す外観斜視図である。図5に示すように、対象植物5を中心として各位置での方位θ(地磁気センサを用いた真北を基準とする地磁気方位)を磁気及び加速度センサ17C内の地磁気センサで測定することができる。

【0046】
図6は図1の分光端末装置1の傾斜角度φを測定する測定例を示す外観斜視図である。図6に示すように、対象植物5を中心としての水平面に対する傾斜角度φを測定することができる。

【0047】
図7は図5の方位θをパラメータとしたときの反射スペクトルの測定例を示すグラフである。図7に示すように、植物の反射スペクトルが方位θに依存して変化することがわかる。特に、反射スペクトルは特に500~650nm、700~820nmの波長範囲で方位θを識別することができる。

【0048】
図8は太陽6が移動したときに、図1の分光端末装置1を用いて時刻変化に対する反射スペクトルの測定例を示す外観斜視図であり、図9は図8の時刻をパラメータとしたときの反射スペクトルの測定例を示すグラフである。図8及び図9に示すように、例えば太陽の午後2時の位置と、午後4時の位置とでは、反射スペクトルは特に500~650nm、750~850nmの波長範囲で太陽光のアジマスを識別することができる。

【0049】
図10Aは鉛汚染下での植物育成の一例を示す対象植物の撮影画像を示す写真画像であり、図10Bは鉛汚染下での植物育成の一例であって、鉛含有量の変化に対する植物育成の変化を示す対象植物の撮影画像を示す写真画像であり、図10Cは図10Bの鉛含有量をパラメータとしたときの反射スペクトルの測定例を示すグラフである。図10Bに示すように、鉛含有量が大きくなるにつれて植物の生育状態が悪く(小さく)なり、その色も緑から薄い緑色に変化する。また、図10Cに示すように、反射スペクトルは特に500~650nm、730~1000nmの波長範囲で鉛汚染量を識別することができる。

【0050】
図11は図1の植物状態検出伝送システムにおいてスマートホン10のカメラ機能の利用イメージを示す図である。図11に示すように、スマートホン10を備える分光端末装置1は付帯情報付き撮影画像のデータをサーバ装置3に送信する一方、分光器20で測定された反射スペクトルはスマートホン10を介してサーバ装置3に送信された後、これらのデータが対応づけてサーバ装置3に統合的に格納された後、サーバ装置3は「植物の種別及び状態の判定処理」を実行することができる。

【0051】
図12Aは図1の分光端末装置1の方位θを測定する測定例を示す外観斜視図であり、図12Bは図12Aの方位θをパラメータとしたときの反射スペクトルの測定例を示すグラフである。図12A及び図12Bに示すように、反射スペクトルは方位θに依存して特に500~650nm、670~850nmの範囲で変化して識別できる。

【0052】
図13は分光端末装置1をドローン7に搭載したときの適用例を示す模式図である。図13において、太陽6から対象植物5への入射角Aiは一定であるが、分光端末装置1を備えるドローン7を用いて分光端末装置1を移動させることで出射角Ao1,Ao2を変化させて前記の反射スペクトルの測定を行うことができる。

【0053】
図14は衛星8により撮影された画像、分光端末装置1により得られたデータ及びドローン7に搭載された分光端末装置1により得られたデータの有機的結合及び相補的利用の一例を示す外観斜視図である。図14に示すように、衛星8により対象植物5の撮影画像を撮影し、ドローン7の分光端末装置1及び他の分光端末装置1により対象植物5の植物状態情報を測定してサーバ装置3に送信することで、すべての植物状態情報を収集して「植物の種別及び状態の判定処理」を実行することができる。

【0054】
以上説明したように、本実施形態では、反射スペクトルに関連づけて記録する、方位θ、角度φに関してはスマートホン10に搭載の磁気及び加速度センサ17Cにより取得し、位置をスマートホン10搭載のGPS通信部17Bで取得する。また、スマートホン10に標準搭載されている、撮影カメラ機能や時刻も関連づける。対象植物に対してあらゆる方位θ、角度φからの反射スペクトルデータを収集することで、次式の双方向反射率分布関数(BDRF)を実際の測定データとして取得できる。

【0055】
双方向反射率分布関数(Bidirectional Reflectance Distribution Function:以下、BRDFという。)はある位置xにおいて、ある方向ωから光が入射してきたときに、方向ωにどれだけ光が反射するかの割合を表した関数であって、次式で表される。

【0056】
【数1】
JP0006342594B1_000002t.gif

【0057】
ここで、入射光が物体表面で反射すると仮定し、入射光が物体内部に入射することは考えず、また、均一な材質での反射の場合は、位置xを無視してBRDFはf(ω,ω)とかける。

【0058】
時刻がわかると、測定時の太陽角度がわかり、磁気及び加速度センサ17Cから、反射スペクトルを測定した植物、果物などに当たる太陽光の入射方位がわかる。ここで、太陽角度の導出には、時刻とともに、位置(観測地の緯度、経度)情報が使われ、どちらもスマートホン10のGPS通信部17Bによって取得される。上記の測定時の太陽角度と太陽光の入射方位を同時に測定することで、望みの方位θ及び角度φへの反射スペクトルの変換が可能となり、本来知られている植物の種類や健康状態判別、病害虫判別、汚染状態判定、育成段階判定を含む「植物の種別及び状態の判定処理」を実行できる。

【0059】
また、衛星画像は本来地上付近を真上から測定するので、衛星画像で得た反射スペクトルへの変換や比較ができるようになる。スマートホン10に搭載の撮影カメラ17Aは、スペクトル計測領域を確認するためにも不可欠であり、写真撮影してスペクトルと関連づけてタグづけることで、種類判別や色などの情報を実空間的に知ることができる。また、分光器20とスマートホン10が一体化する仕組みになっていることで、前記の同時測定が可能となるのであり、スマートホン10と分光器20が分離していては意味がない。

【0060】
図15は従来例の測定例と、実施形態にかかる測定例との相違点を説明するための斜視図である。図15において、従来例では、周回軌道L1を周回する周回衛星S1を用いて、例えば所定幅のストリップ形状の領域A1における、例えば植物の状態等の物体の状態を測定する。この場合、所望される地球面上の所定領域の範囲で、領域A1を単位として複数回実行する必要があるので、測定回数及び測定領域が膨大になるという問題点があった。

【0061】
これに対して、本実施形態では、周回軌道L2を周回しかつ回転保持部40を有する周回衛星S2を用いて、例えば所定面積の領域A2,A3,A4において順次、例えば植物の状態等の物体の状態を測定するときに、上述のように予め収集してサーバ装置3に格納することで、サーバ装置3の情報を用いて上述の双方向反射率分布関数を用いて変換することで所望のデータを、従来例に比較して時間コスト、処理コストを大幅に削減して測定することができる。

【0062】
具体的には、スマートホン1などの電子機器を用いて、
(1)磁気及び加速度センサなどのセンサ手段により太陽の入射方位を特定する方位及び角度の情報を取得し、
(2)GPS通信部17BなどのGPS手段により太陽角度の導出に必要な位置情報と前記計時手段により時刻情報を取得し、
(3)撮影カメラ17A等の撮影手段で取得した撮影画像データを前記計時手段で取得した時刻に関連づけ、
(4)測定時の前記太陽角度と前記太陽の入射方位を同時に測定することで、対象物体に対して複数の方位及び角度からの反射スペクトルデータを収集し、
(5)当該収集した反射スペクトルデータを、上述の双方向反射率分布関数の測定データとして取得して、
(6)当該収集した反射スペクトルデータを、前記双方向反射率分布関数を用いて、所望の方位及び角度への反射スペクトルデータに変換することで、対象物体の種別及び状態の判別処理を行うことを特徴としている。
これにより、本発明に係る物体状態検出伝送システムによれば、例えば植物などの対象物体で反射された太陽光の反射スペクトルに基づいて対象物体の種類及び状態を前記付帯情報に対応づけて自動的にかつ容易に判別することができる。

【0063】
実施形態のまとめ.
本実施形態に係る植物状態検出伝送システムは、小型分光器20である点は従来技術と変わらないが以下の発明の特徴を有する。
(1)380-1050nmの多波長でスペクトル測定することで可視光から近赤外光までの波長範囲をカバーしつつ、かつ、スマートホン10に付属の磁気及び加速度センサ17Cを利用した測定角度、方位情報、GPS通信部17Bの位置情報を有機的に紐付けされたスペクトル情報を取得することができる。
(2)取得されたスペクトル情報は、前記の角度方位情報に加えて、スマートホン10に付属の撮影カメラ17Aを利用して撮影された対象物の写真とGPS通信部17Bの位置情報ともにタグ付けをされて、サーバ装置3などの外部データベースに保存される。
(3)本実施形態に係る小型分光器20では、380~1050nmの波長範囲をすべて測定できることから、必然的に多機能となりうる。動植物、農作物、医療物、鉱物、食品など、地球上のすべての物体の反射スペクトルを前記の角度方位情報をタグを付けて、サーバ装置3などの外部データベースにアップロードできる。これは、特に屋外で日光の入射角と物体の向きの関係を特定できる点において不可欠な情報であり、この情報を記録できる点は極めて大きな効果を奏する。測定者の希望に応じて測定スペクトルを加工し、農作物の成長度、収穫時期のみならず、屋外での動植物の健康度を簡易的に把握できるサービスをも展開できる。
(4)さらに上述のシステムをドローン7と連携させることで、スマートホン10では地上1カ所からの反射分光スペクトル測定に限られていた情報を上空から把握することが可能となる。その際、磁気及び加速度センサ17Cを利用した測定角度、方位情報、さらにGPS通信部17Bによる位置情報と通常の撮影カメラ17Aとの連携は、屋外で太陽光を利用した反射スペクトルの解釈には、唯一無二の測定データとなる。

【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る植物状態検出伝送システムによれば、植物で反射された太陽光の反射スペクトルに基づいて植物の種類及び状態を前記付帯情報に対応づけて自動的にかつ容易に判別することができる。

【0065】
変形例.
以上の実施形態においては、移動体通信ネットワーク2を用いて植物状態データを伝送しているが、本発明はこれに限らず、その他の無線通信ネットワーク又は有線通信ネットワークなどの通信回線を用いて伝送してもよい。

【0066】
以上の実施形態においては、スマートホン10を用いているが、本発明はこれに限らず、パーソナルコンピュータ、携帯電話機などの電子機器を用いてもよい。

【0067】
以上の実施形態においては、USBインターフェース18,27を用いてスマートホン10と分光器20とを接続しているが、本発明はこれに限らず、他の通信インターフェースを用いて接続してもよい。

【0068】
以上の実施形態においては、植物の種別及び状態の判別処理をサーバ装置3により実行しているが、本発明はこれに限らず、スマートホン10、パーソナルコンピュータなどの別の端末装置で行ってもよい。

【0069】
以上の実施形態においては、サーバ装置3が種々のデータを収集して対象植物5の種別及び状態の判別処理を実行しているが、本発明はこれに限らず、移動体通信ネットワーク2に接続された、電子機器(スマートホン10を含む)などの端末装置で実行してもよい。

【0070】
以上の実施形態においては、対象植物5の種別及び状態の判別処理を実行しているが、本発明はこれに限らず、対象物は、植物に限定されず、動物、農作物、医療物、鉱物、食品など、地球上のすべての物体であってもよい。この場合において、対象物体の種別及び状態の判別処理を反射スペクトルに基づいて行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上詳述したように、本発明に係る物体状態検出伝送システムによれば、例えば植物などの対象物体で反射された太陽光の反射スペクトルに基づいて対象物体の種類及び状態を前記付帯情報に対応づけて自動的にかつ容易に判別することができる。
【符号の説明】
【0072】
1…分光端末装置、
1A…装置筐体、
1C,1H…開孔、
1S…スリット、
2…移動体通信ネットワーク、
3…サーバ装置、
4…白色反射板、
4m…反射面、
5…対象植物、
6…太陽、
7…ドローン、
8…衛星、
10…スマートホン、
10B…バス、
11…CPU、
12…ROM、
13…RAM、
14…SSD、
15…操作部、
16…表示部、
17A…撮影カメラ、
17B…GPS通信部、
17C…磁気及び加速度センサ、
18…USBインターフェース(USB I/F)、
18C…USBケーブル、
19…無線通信部、
19A…アンテナ、
20…分光器、
20B…バス、
21…CPU、
22…ROM、
23…RAM、
24…操作部、
25…表示部、
26…分光器機能部、
27…USBインターフェース(USB I/F)、
30,30A,30B…移動部、
40…回転保持部、
100…地平線、
A1~A4…測定領域、
L1,L2 周回軌道、
LL1,LL2…レール、
S1,S2…周回衛星。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10A】
9
【図10B】
10
【図10C】
11
【図11】
12
【図12A】
13
【図12B】
14
【図13】
15
【図14】
16
【図15】
17
【図16】
18
【図17】
19