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明細書 :線維症評価用バイオマーカ、線維症の評価方法および評価用細菌培地

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成31年4月18日(2019.4.18)
発明の名称または考案の名称 線維症評価用バイオマーカ、線維症の評価方法および評価用細菌培地
国際特許分類 C12Q   1/04        (2006.01)
C12N   1/20        (2006.01)
C12Q   1/6844      (2018.01)
C12Q   1/686       (2018.01)
G01N  33/569       (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
FI C12Q 1/04 ZNA
C12N 1/20 A
C12Q 1/6844 Z
C12Q 1/686 Z
G01N 33/569 F
C12N 15/09 Z
国際予備審査の請求
全頁数 41
出願番号 特願2018-503429 (P2018-503429)
国際出願番号 PCT/JP2017/008579
国際公開番号 WO2017/150720
国際出願日 平成29年3月3日(2017.3.3)
国際公開日 平成29年9月8日(2017.9.8)
優先権出願番号 2016041740
優先日 平成28年3月4日(2016.3.4)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】ガバザ エステバン
【氏名】ガバザ コリナ
【氏名】カーン アイサク
出願人 【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100108280、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 洋平
審査請求 未請求
テーマコード 4B063
4B065
Fターム 4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QR75
4B063QS10
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4B063QS28
4B065AA01X
4B065AA23X
4B065AC06
4B065BB03
4B065BC02
4B065BC03
4B065BC06
4B065CA46
要約 【課題】 線維症の評価方法及び線維症評価用バイオマーカを提供すること。
【解決手段】 被験動物から得られた生体サンプルに検出されるものであって、クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)、ハロモナス(Halomonas)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む線維症評価用バイオマーカによって達成される。このとき、線維症としては、例えば肺線維症(IPFを含む)または腎線維症などが含まれる。
【選択図】 図5
特許請求の範囲 【請求項1】
被験動物から得られた生体サンプルに検出される線維症評価用バイオマーカであって、クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)、ハロモナス(Halomonas)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む線維症評価用バイオマーカ。
【請求項2】
前記生体サンプルが、唾液、血液、組織表面の洗浄液及び切り取られた組織からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の線維症評価用バイオマーカ。
【請求項3】
前記線維症が、肺線維症及び腎線維症、からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1または2に記載の線維症評価用バイオマーカ。
【請求項4】
被験動物から得られた生体サンプルについて、クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)、ハロモナス(Halomonas)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を検出する線維症の評価方法。
【請求項5】
前記検出が、細菌に由来する核酸を検出するものである請求項4に記載の線維症の評価方法。
【請求項6】
(1)ハロモナス(Halomonas)を含み、(2)クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む細菌群のための線維症評価用細菌培地。
【請求項7】
請求項6に記載の細菌用培地であって、炭素源と窒素源とミネラルと0.34M~5Mの塩化ナトリウムとを含む線維症評価用細菌培地。
【請求項8】
(1)ハロモナス(Halomonas)を含み、(2)クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む細菌群を凍結した線維症評価用凍結細菌。
【請求項9】
(1)ハロモナス(Halomonas)を含み、(2)クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む細菌群を乾燥した線維症評価用乾燥細菌。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、線維症評価用バイオマーカ及び線維症の評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の組織が線維化することで、本来の機能を失う線維症が多く知られている。このうち肺に発生するものとして、特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis:以下、「IPF」という)がある。IPFは、進行性の致死的な疾患である。IPFの確定診断後の平均生存期間は2年~4年程度であり、通常のガンの予後よりも悪い。IPFに関する病理学は確定されておらず、生存期間を向上させる治療は知られていない。IPFとガンとの間には、臨床的な経過と疾患病因について、分子的挙動に類似するところがある。IPF患者及びガン患者は、治療に対して抵抗性が強く、生存期間が短い。また、致死的な環境因子(例えば、タバコ)に曝されており、アポトーシスの遅延または過剰という共通の分子的異常を伴う。しかし、IPF患者とガン患者の類似点を説明する仮説は提出されていない。
一方、細菌を含む環境的な要因が、宿主の反応と病理的要因の一つではないかとの指摘がある。肺洗浄液中の細菌量と肺線維症病態の進行との関連について調べた研究がある。その研究によれば、細菌量(特にレンサ球菌属、ブドウ球菌属)が多い患者では病態の進行が速く、急性増悪を頻繁に発生したこと等が報告されている(非特許文献1)。また、気管支肺洗浄液中の細菌量を肺線維症と健常者の間で比較した論文が存在する(非特許文献2)。この論文によれば、肺線維症の患者から得られた気管支肺洗浄液中には、健常者にも検出される菌種のみが認められている。このとき、肺組織中の菌の検討はされていない。
本発明に係るクリステンセネラ菌については、腸内から検出されたとの報告がある(非特許文献3)。ハロモナス菌については、人の血液中から検出されたとの報告がある(非特許文献4、5)細菌叢の検査方法としては、オリゴタイプまで精密に分類する方法(非特許文献6)、特定の細菌を視覚化する方法(非特許文献7)が知られている。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】MeiLan K. Han, et al. Association Between Lung microbiome and disease progression in idiopathic pulmonary fibrosis: an analysis of the COMET study. Lancet Respir Med 2, 548-556, (2014).
【非特許文献2】Phillip L. Molyneaux, et al. The role of bacteria in the pathogenesis and progression of idiopathic pulmonary fibrosis. Am J Respir Crit Care Med 190, 906-913, (2014).
【非特許文献3】M asami Morotomi, et al. Description of Christensenella minuta gen. nov., sp. nov., isolated from human faeces, which forms a distinct branch in the order Clostridiales, and proposal of Christensenellaceae fam. nov. International Journal Systimatic and Evolutionaly Microbiology. 2012 Jan;62(Pt 1):144-9. doi: 10.1099/ijs.0.026989-0. Epub 2011 Feb 25.
【非特許文献4】Kwang Kyu Kim, et al. Halomonas stevensii sp. nov., Halomonas hamiltonii sp. nov. and Halomonas johnsoniae sp. nov., isolated from a renal care centre. International Journal Systimatic and Evolutionaly Microbiology.2010 Feb;60(Pt 2):369-77. doi: 10.1099/ijs.0.004424-0. Epub 2009 Aug 3.
【非特許文献5】P.Berger et al. An outbreak of Halomonas phocaeensis sp. nov. bacteraemia in a neonatal intensive care unit. J Hosp Infect. 2007 Sep;67(1):79-85. Epub 2007 Aug 27.
【非特許文献6】A. Murat Eren, et al. Oligotyping: Differentiating between closely related microbial taxa using 16S rRNA gene data. Methods Ecol Evol 4, (2013).
【非特許文献7】Rudolf Amann, et al. In situ visualization of high genetic diversity in a natural microbial community. J Bacteriol 178, 3496-3500, (1996).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
IPFについては、未解明の点が多く残されていた。確定診断にも非常に手間が掛かり、疾患の進展を評価するバイオマーカについても知られていなかった。その他の多くの線維症についても、ほとんど同様の状況である。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、線維症の評価方法及び線維症評価用バイオマーカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、鋭意検討の結果、線維症を発症した被験動物から得られた生体サンプルから、特異な細菌が検出されることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして、上記目的を達成するための発明に係る線維症評価用バイオマーカは、被験動物から得られた生体サンプルに検出されるものであって、クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)、ハロモナス(Halomonas)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含むことを特徴とする。
クリステンセネラは、フィルミクテス門に属する真正細菌である。この細菌は、絶対嫌気細菌のグラム陰性桿菌であり、人の便から最初に採取された。
クロストリジウムは、真正細菌の一属であり、偏性嫌気性で芽胞を形成するグラム陽性の桿菌である。この細菌は、土壌内部や生物の腸内などの酸素濃度が低い環境に生息する偏性嫌気性菌であり、酸素存在下では増殖できないという特徴を持つ。
ハロモナスは、プロテオバクテリア門に属する真正細菌であり、ロッド形のグラム陰性細菌である。この細菌は、高い塩濃の環境で発生息する通性嫌気性細菌である。
シュワネラは、電流発生菌の1つで、プロテオバクテリア門に属する真正細菌であり、深海の海底火山の近くから最初に採取された。この細菌は、通性嫌気性グラム陰性桿菌である。
本発明において、被験動物とは、ヒト、マウス、ラット、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、サルからなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。これらのうち、臨床的にはヒトが好ましい。実験動物としては、マウス、ラット、イヌ、ブタ、サルが好ましい。愛玩動物としては、イヌ、ネコ、ブタが好ましい。家畜としては、ヒツジ、ウマ、ウシが好ましい。
【0006】
生体サンプルとは、被験動物から離れて、検査用に用いることができるものを意味する。生体サンプルとしては、例えば、唾液、血液(血清、血漿、血球)、組織表面の洗浄液(気管支肺胞洗浄液(bronchoalveolar lavage fluid:以下「BALF」という) を含む)、切り取られた組織などが含まれる。
線維症とは、通常あるべき組織が、線維状の結合組織に変わってしまい、正常な働きを失ってしまう症状を意味する。線維症としては、例えば、肺線維症(IPFを含む)、腎線維症などが含まれる。このうち、特に肺線維症(特発性肺線維症を含む)を対象とすることが好ましい。
細菌が検出されるとは、必ずしも細菌そのものを検出する必要はなく、細菌の存在と共に認められる特異的な物質(例えば、タンパク質、核酸、その他の化合物)を検出することも含まれる。
また、別の発明に係る線維症の評価方法は、被験動物から得られた生体サンプルについて、クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)、ハロモナス(Halomonas)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を検出することを特徴とする。
細菌を検出するとは、生体サンプル中に細菌そのものまたは細菌由来の物質を見出すことを意味する。細菌を検出する方法としては、細菌そのものを単離培養したり顕微鏡などで視認する方法、細菌に由来する物質(タンパク質、核酸(DNA、RNAを含む)、糖、その他の化学物質など)に反応する物質(例えば酵素結合特異抗体、蛍光物質結合特異抗体など)を利用して酵素反応・蛍光などを利用して検出する方法、細菌に由来する核酸をそのまま又は増幅して検出する方法などが含まれる。
【0007】
また、別の発明に係る線維症評価用細菌培地は、(1)ハロモナス(Halomonas)を含み、(2)クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む細菌群のためのものである。
本明細書によれば、ハロモナスは線維症に関連する可能性が高い。このため、ハロモナスと別の1種類の細菌を含ませることで、線維症に関する研究への寄与を高められる。
線維症に関連する可能性が高いハロモナスは、高塩濃度中でも繁殖できるので、線維症に関連する細菌を培養するためには、一定濃度以上の塩化ナトリウムを含ませることが好ましい。このため、上記線維症評価用細菌培地は、炭素源と窒素源とミネラルと0.34M~5Mの塩化ナトリウムとを含む。この培地は、そのまま液体培地として又はゲル化剤(アガロース、寒天など)を混合してゲル培地として利用できる。
また、別の発明に係る線維症評価用凍結細菌は、(1)ハロモナス(Halomonas)を含み、(2)クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む細菌群を凍結したものである。細菌群を凍結保存するには、公知の一般的な方法(例えば、10%~20%のグリセロールを含む培養用液体培地に適当量の細菌群を添加し、-20℃、-80℃または液体窒素タンクにて凍結する)を利用できる。
別の発明に係る線維症評価用乾燥細菌は、(1)ハロモナス(Halomonas)を含み、(2)クリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む細菌群を乾燥したものである。細菌群を乾燥するには、公知の一般的な方法(例えば、ゼラチンディスク法、アンプルを利用した凍結乾燥法など)を利用できる。
上記細菌群は、インビトロで線維症を治療するための薬剤を評価するために使用できる。また、生体サンプル中に存在する抗細菌抗体を評価するために使用できる。また、抗細菌抗体を作成するために使用できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来存在しなかった線維症評価用バイオマーカ及び線維症の評価方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】全患者における高解像度コンピュータ断層撮影(HRCT)及び/又は組織病理学的所見の結果を示すデータである。
【図2】IPF患者の肺組織における属・門レベルでの細菌叢を示すグラフである。
【図3】肺癌患者の肺組織における属・門レベルでの細菌叢を示すグラフである。
【図4】肺組織サンプル中における門(Phylum )レベル及び科(Family )レベルでの細菌の相対的な豊富さを比較する図表である。
【図5】オリゴタイピング解析によって、健常者に比べ、IPF患者及び肺ガン患者から得られたサンプル中には、ハロモナスとシュワネラが支配的であることを示す図である。
【図6】BALF及び/又は唾液サンプルにおいて認められた細菌叢のオリゴタイプを調べた結果を示すグラフである。
【図7】IPFを発症したTGF-β1トランスジェニックマウスの肺組織サンプルにおける属・門レベルでの細菌叢を示すグラフである。
【図8】マウスから得られた肺組織サンプルにおいて、門レベル及び科レベルでの細菌の豊富さと細菌叢を示すデータである。
【図9】BALF移植前と移植6ヶ月後の一回換気量の変化を示すグラフである。
【図10】(A)BALF移植前と(B)BALF移植6ヶ月後のCT所見を示す写真図である。3匹の野生型マウス(WT1,WT2,WT3)のそれぞれの結果を示した。
【図11】発明者が提唱する 仮説2を説明する図である。
【図12】PCR反応(PCR)、in situハイブリダイゼーション(FISH)及びエキソポリサッカライドの染色によって、ハロモナスを確認した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。
< 試験材料と方法>
1.被験者群
本研究は、6名のIPF患者、3名の肺ガン患者、2名のコラーゲン血管疾患関連間質性肺疾患患者、1名の気胸患者及び3名の健常者によって実施された(表1)。肺機能は、欧州呼吸器学会/米国胸部学会のガイドラインに従って評価した。IPFと肺ガンの診断は、一般に認められた国際的な基準に従って行った。5名のIPF患者及び3名の肺ガン患者は、松阪市民病院呼吸器センターから移送され、1名のIPF患者と2名のコラーゲン血管疾患関連間質性肺疾患患者は、三重中央医療センター呼吸器科から移送された。上部又は下部呼吸器感染症、急性IPFの増悪、及び抗生物質によって治療を受けている者は除外した。

【0011】
【表1】
JP2017150720A1_000003t.gif

【0012】
2.サンプル採取
BALFサンプルは、3名のIPF患者、2名のコラーゲン血管疾患関連間質性肺疾患患者(CVD-ILD)及び3名の健常ボランティアから光ファイバー気管支鏡を用いて採取した。気管支鏡検査は、米国胸部学会のガイドラインに従って実施した。未処理のBALFサンプルを採集後、速やかに氷上に置き、分析まで-80℃で凍結した。
唾液については、全被験者から採取した。水で十分にうがいを行った後、刺激を受けていない唾液を採取した。被験者は、5分間のうちに口腔内に溜まった唾液を滅菌プラスチックカップ内に継続的に吐き出すように指示された。採取した唾液は滅菌したプラスチックチューブに移し、分析まで-80℃で凍結した。
IPFの病理組織学的診断は、5名の患者について標準的な手順で実施されたビデオ補助胸腔鏡手術(VATS)で得られた肺サンプルを用いて実施した。3名のIPF患者に行われたVATSにより得られた肺組織サンプルを細菌解析に用いた。肺ガン患者の肺組織サンプルは、治療的外科手術の際に切除された切除肺腫瘍から得た(表1)。肺ガン患者から切除した肺葉のうち、正常な非腫瘍領域を細菌ゲノムDNAの調製のために使用した。

【0013】
3.倫理的な取り扱い
研究の参加に先立ち、全被験者はインフォームドコンセントを受けた。研究プロトコルは、三重大学の臨床調査(承認番号2707、2014年3月7日)、松阪市民病院(承認日2014年6月11日)、及び三重中央医療センター(承認番号2014-6、2014年9月2日)の各倫理委員会によって承認され、ヘルシンキ宣言の原則に従った。

【0014】
4.動物
ヒトTGF-β1トランスジェニックマウスは、日本特許5696991号に示される遺伝子改変したマウスを10世代以上に渡ってC57BL/6Jマウスに交配されたものを用い、野生型同腹仔をコントロールとして用いた。動物は特定病原体が無い環境で維持し、三重大学の動物舎で12時間の明暗サイクルに置いた。三重大学の動物調査委員会は、実験プロトコル(承認番号24-50)を承認し、すべての手順は、承認された機関のガイドラインに従って行われた。

【0015】
5.サンプルからのDNA調製
BALFおよび唾液からDNAを抽出するために、サンプルを4℃、10分間、12,000×gで遠心分離し、沈澱を100μl生理食塩水に懸濁後、2mlのビーズ・ビーティング・チューブ(Mo Bio)に移した。DNAの調製には、ソイルDNA抽出キット・パワー・ソイル(Mo Bio)を用い、添付マニュアルに従って操作した。DNA濃度は、ナノドロップ ND-1000 分光光度計(Nanodrop Technologies)で測定した。冷凍した肺組織を洗浄後、上記と同様の操作でDNAを抽出、精製した。

【0016】
6.SSU rRNA 超可変タグ・シークエンス
16S rRNA遺伝子のV4超可変領域について、プライマー27f(配列番号1:5'-AGA GTT TGA TCC TGG CTC AG-3')及び338f(配列番号2:5'-GCT GCC TCC CGT AGG AGT-3' )を用いて、アンプリコンライブラリーを構築した。プライマーは、10ヌクレオチドのマルチタグと、454FLXシークエンスアダプターA(配列番号3:5'-CCA TCT CAT CCC TGC GTG TCT CCG ACT CAG-3' )及びシークエンスアダプターB (配列番号4:5'-CCT ATC CCC TGT GTG CCT TGG CAG TCT CAG-3')をそれぞれフォワード及びリバースに結合した。V4領域の増幅には、AmpliTaq Gold 360 Master Mix(Applied Biosystems、米国)を使用し、25μLの反応用量にて最終のプライマー濃度を0.4μMとして、マニュアルに従って反応した。6本の異なる反応で得られた産物を集め、Gel Band Purification Columns (GE Healthcase, 英国)によって精製後、DNA 濃度をQuant-iTTM PicoGreen dsDNA assay kit (Applied Biosystems、米国)を用いて測定した。一対一にタグ付けされ、プールされたDNA サンプルをDNA ビーズ上に固定化し、エマルション系クローン増幅(emPCR)を実施し、454ライフ・サイエンス・ゲノム・シークエンサーFLX(Roche Diagnostics、米国)で配列を確認した。

【0017】
7.メタゲノムアセンブリ
メタゲノムは、MetaVelvet-SL7を用いて構築し、MG-RASTを用いて解釈した。得られた分類学的プロファイルはクラーケンアサインメントと比較し、統計解析とグラフィックス生成のためにRソフトウェア環境にインポートした。

【0018】
8.細菌叢の解析
454パイロシークエンスから得られた572,056個の16S rRNAシーケンスは、QIIMEパイプラインを用いて処理した。200塩基以下の読み取り長さで25未満のクオリティスコアしか示さなかったデータについては、以降の解析には用いなかった。フォワードプライマーについては、ミスマッチは認められなかった。得られた品質管理用シーケンスは、デフォルトの設定を使用してノイズ除去し、操作分類単位(OTU)がピッキングメソッドとしてuclust1.2.22を用いるように、97%の類似性カットオフでOTUが作用するように設定した。クラスターシードとして、代表シークエンスを用いた。キメラ配列は、キメラ・スレイヤー・アルゴリズムで検出し、その後の分析から除外した。非キメラ配列を基準として、Greengenesコア・セット・アラインメントを参考として使用し、PyNASTツールで整列させた。分類の割り当てには、RDPとBLASTnデータベースの両方との比較を行いつつ推測した。αおよびβ多様統計の計算に先立ち、サンプル当たりの配列数の不均一性を除去するために、希薄化分析を行った。α多様性は、シャノン(多様性の測定)、カオス1(豊富さ)及び公平性(均一性)の指標を通して測定した。β多様性は、加重及び非加重UniFrac行列を用いて求めた。QIIMEデータは、更に統計評価を行うためにRソフトウエアにインポートした。バープロットと箱ひげ図は、相対存在量として1パーセント未満の分類群を除外した後、ggplot2で作成した。

【0019】
9.オリゴタイピング解析
QIIMEデータをオリゴタイピングパイプラインに入力に使用し、サンプル間(ストレプトコッカス、ヘモフィルス、ナイセリア、ベイヨネラ、クリステンセネラ、シュードモナス、プレヴォテラ、クロストリジウム、シュワネラ及びハロモナス)の重要な変動に寄与する分類群内でオリゴタイプを決定した。(非特許文献6)各オリゴタイプは、10個のサンプル(10-s)に表示され、10(-M10)の最小実質的な豊富さを持つように設定した。これらのパラメータは、分析の目的に基づいて経験的に選択され、各分類群について所定の結果を与える共通の値として設定した。行列は正規化されて、統計解析及びグラフィックス生成のためにRソフトウエアにインポートされた。表2から表16まで には、全てのカスタムパラメータと解析された分類群において生成されたオリゴタイプ数を示した。

【0020】
10.PCR
バクテリアDNAのパイロシークエンシングはPCRによって評価した。ハロモナス特異的DNA(1018bp)を増幅するために2種類のプライマー(forward、配列番号5:5'-CTG TGG GTG ATG TCC TTC CT-3’。reverse、配列番号6:5'-GGG TTA CCT TGT TAC GAC TT-3’ 。プロダクトサイズ:1018bp )を用いた。また、陽性対照として、汎バクテリア用プライマー(forward、配列番号7: 5'-GAG TAA TGC ATA GGA ATC TGC C-3’。 reverse 、配列番号8: 5'-GGG TTA CCT TGT TAC GAC TT-3’。プロダクトサイズ:466bp)を用いたPCRを行い、16S rDNAのV1-V3領域を増幅することにより、全16S rDNA遺伝子量を見積もった。PCR増幅反応は、次のステップによって実施した。まず、94℃、5分間の変性ステップを行った。その後、(i)94℃、10秒間の変性ステップ、(ii)55℃、20秒間のアニーリングステップ及び(iii)72℃、1分間の合成ステップを1サイクルとして、(i)~(iii)を35サイクル実施した。最後に、72℃、5分間の合成ステップを行った。PCR産物は、1.5%アガロースゲルを用いて電気泳動し、エチジウムブロマイドで染色した。

【0021】
11.FISHプローブと試験方法
FISH解析は、既報の手順(非特許文献7)に従い、所定の研究機関(クロモゾーム・サイエンス・ラボ社、札幌)にて行った。オリゴヌクレオチド・プローブ(配列番号9:5’-CTG TGG GTG ATG TCC TTC CT-3’)は、Alexa555 でラベルされ、16S rRNA 遺伝子配列の474-493 を標的とし、特定のハロモナス特異的に反応する。また、別のオリゴヌクレオチド・プローブ(配列番号10:5’-GCT GCC TCC CGT AGG AGT-3’)は、Alexa488でラベルされ、多くのバクテリアに共通に反応するため、陽性対照として使用した。
簡単に説明すると、ハイブリダイゼーションの前に、セクションをキシレン(3×10分)で脱パラフィンし、99.9%エタノール(3×5分)で処理した後、空気で乾燥処理した。スライドを0.1%ペプシン含有0.1M HClで5分間処理し、水で洗浄後、空気で乾燥した。ハイブリダイゼーションは、各プローブを5ng/μL含む30%ホルムアミド含有ハイブリダイゼーション緩衝液(クロモゾーム・サイエンス・ラボ社)中に、46℃、一晩置くことで実施した。各サンプルは、46℃に温めたハイブリダイゼーション緩衝液中に10分間漬けて洗浄した。最終的にサンプルを水で洗浄し、DAPIで対比染色し、空気で乾燥した後、アンチフェードでマウントした。サンプルスライドは、エタノール希釈列を使って脱水した後、プローブを含むハイブリダイゼーション緩衝液で46℃、2時間インキュベートした。顕微鏡による観察は、FISHシグナルの検出用にLEICA CW-4000細胞遺伝学的ワークステーションを、切片全体の写真を撮るためにKEYENCE BZ-9000をそれぞれ用いた。

【0022】
12.肺組織のエキソポリサッカライド染色
エキソポリサッカライドの染色は、所定の研究所(GENOSTAFF社、東京)にて行った。組織切片はキシレンを用いて脱パラフィン処理し、濃度を変更して調製したエタノール列とPBSを用いて再水和した後、組織化学染色に用いた。抗原検索には、クエン酸緩衝液pH6.0を用い、20分間マイクロ波により加熱処理することで行った。内因性ペルオキシダーゼは、0.3%過酸化水素を含むメタノールに30分間処理することで阻害した後、Gブロック(Genostaff)及びアビジン/ビオチン・ブロッキングキット(Vector)で処理した。サンプルをビオチン化小麦胚芽アグルチニン(Vector)と共に4℃、一晩インキュベーションした。サンプルをPBS(生理食塩水を含むリン酸緩衝液)で洗浄した後、ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(Nichirei)と5分間と反応した。ペルオキシダーゼ活性をジアミノベンジジンにより可視化した。切片は、マイヤーのヘマトキシリン(武藤化学)で対比染色し、脱水した後、マリノール(武藤化学)で封入した。

【0023】
13.増殖細胞核抗原の染色
細胞増殖核抗原(PCNA)の染色は、バイオパソロジー・インスティテュート社(Biopathology Institute Corporation:大分)において、ウサギポリクローナル抗PCNA 抗体(Abcam 社:東京)及びビオチン標識抗ウサギIgG 抗体を用いて、標準的な方法に従って実施した。
14.BALFの移植による換気量及びCT画像の変化
進行したIPFを発症したTGF-β1組換えマウスのBALFを採取した。このBALFを3匹の野生型マウスに対し、30μLづつ週3回、4週間に渡って移植した。BALF移植前と移植6ヶ月後の一回換気量の変化を調べた。また、各マウスについて、BALF移植前と移植6ヶ月後のCT所見を調べた。ここで前記したBALFの移植は、TGF-β1組換えマウスのBALFを、野生型マウスの鼻孔から気道内に直接注入したものである。
15.BALFまたは肺組織中のハロモナス菌の培養
BALFまたは肺組織中のハロモナス菌は、次の成分を含む培地(ゲル培地)によって培養できる。
合成海水(蒸留水1000 ml, 19.6 g NaCl, 3.3 g Na2SO4, 0.5 g KCl, 0.05 g KBr, 0.02 g H3B3, 8.8 g MgCl2.6H2O )、微量元素(ミネラルを含む。蒸留水1000 ml, 0.05 g Al2(SO4)3, 0.005 g H3BO3, 0.05 g LiCl, 0.1 g Na2MoO4.2H2O, 0.05 g KBr, 0.05 Kl, 0.05 g NaF, 0.1 g ZnSO4.7H2O, 0.2 g MnCl2.4H2O, 0.01 g NiCl2.6H2O, 0.005 g Na2SeO4, 0.005 g SrCl2.6H2O, 0.005 g H2WO4, 0.005 g VOSO4.H2O)及び追加の栄養素(炭素源、窒素源、ゲル化剤を含む。蒸留水1000 ml, 1.605 g NaNO3, 5.0 g Na2S2O3.5H2O, 0.02 g yeast extract, 0.002 g FeSO4.7H2O, 0.15 g MnSO4.H2O, 0.1 g CaCl2, 0.430 g (NH4)2SO4, 0.036 g KH2PO4, 13 g agar)を含むものを基本培地とする(pH7.0)。この基本培地1000mlあたり、0g~300g(0M~5M)のNaClを添加することで、塩濃度を調節する。培養時には、20℃とする。また、必要に応じて、酸素濃度を0%~20%となるように調節する。

【0024】
<試験結果及び考察>
肺内の細菌叢の変化と量がIPF患者の臨床経過と転帰に重要な影響を与えているとの報告がある(非特許文献1,2)。しかしながら、数少ない分類学的研究によれば、健常者及びIPF患者の気道には、共通の細菌が認められるのみであった(非特許文献2)。
IPFと肺がんの症状が類似していることから共通の細菌類が関係しているのではないかという本発明者の仮説1に基づき、肺組織から16S rDNAを調製し、塩基配列を特定し、オリゴタイピング解析を行ったところ、IPF患者、肺ガン患者及び健常者において、細菌叢が異なることを見出した(表1及び図1を参照。)。図1において、a-f, k-mの左側とg-j はHRCTの写真図を、a-f, k-mの右側は組織病理学的な顕微鏡写真図をそれぞれ示した。IPF患者1 は図1(a)で示すことを1(a)、患者 2は 図1(b) で示すことを2(b) の様に示した。以下3 (c), 4 は(d) 及び5 (f) のHRCT 及び肺組織病理学的所見を示した。気胸を有する患者で、IPF患者6(g)のHRCT、コラーゲン血管疾患に関連する間質性肺疾患1(h)及び2(j)のHRCTをそれぞれ示した。肺ガン患者1 (k), 2 (l) 及び 3 (m)のHRTCと肺組織病理学的顕微鏡像を示した。矢印は、腫瘍または水疱性病変を示す。顕微鏡写真図中のスケールバーは500μmを示す。

【0025】
図4では、IPF患者及び肺ガン患者から唾液(Saliva)、気管支肺胞洗浄液(BALF)及び肺組織(Tissue)を採取し、健常者から唾液及び気管支肺胞洗浄液を採取した。各サンプルからDNAを抽出後、細菌16S rDNAのV3-V5領域を増幅し、パイロシークエンシングによって細菌を識別した。
図4a:IPF患者と健常者との間での唾液及びBALF中の門レベルにおけるプロテオバクテリアの有意性及び科レベルにおけるハロモナス科及びシュワネラ科の有意性と、IPF患者と肺ガン患者の肺組織サンプル中の門レベルにおけるファーミキューテスの有意性が認められた。
図4b:主成分分析によって、肺ガン患者とIPF患者のサンプルでは、ファーミキューテスにクラスターが認められた。
図4c:全サンプルを含む箱ひげ図(Box plot)分析によれば、IPF患者のヘモフィルス、ハロモナス及びシュワネラと、肺ガン患者のクロストリジウムの豊富さが示された。

【0026】
図中の記号は、それぞれBALF(bronchoalveolar lavage fluid:気管支肺胞洗浄液)、IPF(idiopathic pulmonary fibrosis patients:特発性肺線維症患者)、 LC (lung cancer patients:肺ガン患者)及びHS(healthy subjects:健常者)をそれぞれ示した(図5及び図6においても同じ)。
図4において唾液及びBALF中には、IPF患者と健常者との間で、門レベルにおいて共通の細菌が認められた(図4a)。興味深いことに、科レベルで比較すると、IPF患者と健常者の唾液及びBALFでは、プロテオバクテリア(Proteobacteria)に属するハロモナス科(Halomonadaceae)とシェワネラ科(Shewanellaceae)が支配的であった(図4a)。ハロモナス科に属する多くの細菌は、高アルカリ湖や流氷などの高塩濃度環境下で生存しており、標準的な技術で採取されたヒト由来サンプル中に認められたという報告は少ない。(非特許文献4,5)ハロモナスからの分泌物は、強力なアポトーシス活性を促進することが知られている。更に、海由来シュワネラの中には、ナトリウムチャネルブロッカーを産生するものが存在することが知られている。この作用によって、局所的に塩濃度が高まり、ハロモナスが増殖しやすい環境にする可能性がある。

【0027】
粘膜表面に直接に取り付いている細菌叢を得るために、IPF患者由来の肺組織及び肺ガン患者由来の肺組織中の正常組織を用いて、細菌の種類を調べた。その結果、IPF患者及び肺ガン患者のサンプルには、門レベルにおいて、ファーミキューテス(Firmicutes)とプロテオバクテリア(Proteobacteria)が支配的であり、科レベルにおいて、クロストリジウム科(Clostridiaceae)が支配的であった(図4a)。IPF患者と肺ガン患者で認められた細菌叢について、更にデータを集めるために、主成分(PC:principal component)分析を行ったところ、門レベルにおける2つのグループによって、全成分の96.3%が説明された。解析には、全てのサンプルから得られたデータを用いた。プロテオバクテリア、ファーミキューテス及びバクテロイデーテスの分類群に由来するクラスターによって、健常者、IPF患者及び肺ガン患者から得られたサンプルの主要因が説明できた。主成分1は、ファーミキューテスの方向に位置し、他方にはプロテオバクテリアが位置した。IPF患者由来サンプルは、ファーミキューテスとプロテオバクテリアが多い領域にクラスターを示し、IPF患者と肺ガン患者由来サンプルは、ファーミキューテスが多い領域にクラスターを示した(図4b)。健常者群及び患者群において、属レベルでは種類が多いことが認められた。健常者にはストレプトコッカス及びシュードモナスが、肺ガン患者にはクロストリディアが、IPF患者にはハエモフィラス、ハロモナス及びシェワネラが、それぞれ比較的多く認められた(図4c)。

【0028】
図5においてaは、クリステンセネラ、b:クロストリジウム、c:シュワネラ及びd:ハロモナス検出頻度の唾液、気管支肺胞洗浄液及び肺組織中におけるデータをそれぞれ示した。
サンプル間において最も頻度の高い細菌集団のオリゴタイプを識別するために、シャノンのエントロピーによって各ヌクレオチド位置を評価した。IPF患者と肺ガン患者から得られた肺組織サンプルでは、クリステンセネラとクロストリジウムの種類の豊富さを複数のオリゴタイプで評価した(a,b)。IPF患者のBALF及び肺組織、並びに肺ガン患者の肺組織では、シュワネラのオリゴタイプが支配的であった(c)。IPF患者の唾液、BALF及び肺組織、並びに肺ガン患者の唾液及び肺組織では、ハロモナスのオリゴタイプが支配的であった(d)。
また図6では、健常者、IPF患者及び肺ガン患者から採取した唾液、肺胞洗浄液及び肺組織の各サンプルについて、a:ストレプトコッカス(Streptococcus)、b:ハエモフィリス(Haemophillus)、c:ナイセリア(Neisseria)、d:ベイヨネラ(Veillonella)、e:プレヴォテラ(Prevotella)及びf:シュードモナス(Pseudomonas)の結果を示した。
オリゴタイピング解析は、サンプル間において最も頻繁に認められる細菌叢のオリゴタイプを特定するために、シャノンのエントロピーに基づいて実施した。ストレプトコッカス、ハエモフィリス、ナイセリア、ベイヨネラが、IPF患者、肺ガン患者及び健常者の唾液中に豊富であった(a, b, d)。プレヴォテラは、肺ガン患者の唾液中に認められた(e)。シュードモナスがIPF患者及び健常者のBALFに認められた(f)。

【0029】
ヒト腸内細菌叢の研究によれば、(1)粘膜に取り付いている細菌が生涯を通じて比較的安定しているのに比べ、腔内の細菌叢は非常に変化しやすいこと、(2)細菌の安定性は、粘膜表面に直接に取り付いている細菌によってもたらされること、及び(3)宿主と細菌の相互作用が、宿主の健康状態及び病気の増悪によって影響を与えること、が認められている。特定の細菌に対して影響を与える要因を調べるために、上記と同じサンプルを細菌オリゴタイピング解析に供した。ストレプトコッカス、ハエモフィラス、ナイセリア、ベイヨネラ、シュードモナス及びプレヴォテラのオリゴタイプが気道上部サンプル(BALF、唾液)に主として特定され、上記したようにある種のクリステンセネラ及びクロストリジウムが肺組織において支配的であることが分かった(図5a-b、表2-表9)。一方、シェワネラおよびハロモナスのオリゴタイプは、IPF患者の胞洗浄液及び組織サンプル中で検出された(図5c-d、表10-表16)。興味深いことに、肺ガン患者由来のサンプルでは、オリゴタイプ細菌分布は、IPF患者のものと似ていた。細菌の多様性減少が、多くの疾患と関係していることから考えると、ハロモナスとシェワネラの種類が減少することが、IPF及び肺ガンの伸展と関連している可能性がある。

【0030】
【表2】
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【0031】
【表3】
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【0032】
【表4】
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【0033】
【表5】
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【0034】
【表6】
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【0035】
【表7】
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【0036】
【表8】
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【0037】
【表9】
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【0038】
【表10】
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【0039】
【表11】
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【0040】
【表12】
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【0041】
【表13】
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【0042】
【表14】
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【0043】
【表15】
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【0044】
【表16】
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【0045】
腸内毒素症が線維症に寄与することが知られているが、前線維化環境が細菌叢のバランスを崩すか否かについては知られていない。そこで、本発明者は、線維的な環境が肺内細菌の特定のグループの生育に対して、好ましい影響を与えるのではないかと考えた。この可能性を評価するために、線維化に関与するヒトTGF-β1を過剰に肺特異的に発現するマウス由来の肺組織サンプル中の細菌叢を調べた。ヒト患者と同様に、老齢(30週齢以上)のTGF-β1トランスジェニックマウスは、自然に肺の線維化を起こし、増悪後に死亡した。肺組織の病理学的所見は、肺の瘢痕化によって特徴付けられ、ハニカム嚢胞が影響を受けた実質領域の減少を示した。
図7は、IPFを発症したTGF-β1トランスジェニックマウスの肺組織サンプルにおける属・門レベルでの細菌叢を示した。また、図8は、マウスから得られた肺組織サンプルにおいて、門レベル及び科レベルでの細菌の豊富さと細菌叢を示すデータであって、a,cはCT写真図を、b,d~jは顕微鏡写真図を、kは門レベル及び科レベルでの相対的豊富さを示すグラフを、lは主成分分析の結果を示す図を、それぞれ示した。

【0046】
それぞれ30週齢未満の野生型マウス(WT)及びヒトTGF-β1組換えトランスジェニックマウス(TG)を麻酔の過剰投与で安楽死させた後、コンピュータ断層撮影(CT)した。肺組織サンプルをヘマトキシリン・エオジン染色及びマッソントリクローム染色に供した。野生型マウスの肺組織では、CT及びトリクローム染色にて、一般的に見られるデータが得られた(a,b)。TGF-β1組換えマウスのCTでは、線維性の変化が増強しており(c)、肺のトリクローム染色では、肺実質構造の破壊と肺胞の肥厚を示した(d)。ヘマトキシリン・エオジン染色では、実質の変化は少ないが、肺胞に線維化の変化が認められた(e,f)。マウスについては、線維芽細胞増殖巣に類似する領域、瘢痕領域によって囲まれた上皮細胞の前癌性過形成を示したものと、肺ガンを発症したものが認められた(f,g,h)。野生型マウス及びTGF-β1組換えマウスの肺組織を用いた細菌叢の解析では、門レベルにおいて、プロテオバクテリアとファーミキューテスの豊富さが示された。一方、TGF-β1組換えマウスの肺組織では野生型マウスに比べると、科レベルにおいて、ハロモナス及びシュワネラが豊富であることが示された(k)。主成分分析によれば、第1主成分としてプロテオバクテリアの増加が、第2主成分としてファーミキューテスが示された(l)。顕微鏡写真図中のスケールバーは100μmを示す。

【0047】
このトランスジェニックマウスの肺は、病巣中に線維芽細胞を認め、末期には肺ガンの合併症を起こした(図8a-図8h)。門レベルでの細菌叢を評価したところ、野生型同腹子とトランスジェニックマウスでは、プロテオバクテリアの豊かさを示した(図8k)。しかし、科レベルで見ると、野生型に比べると、TGF-β1トランスジェニックマウスでは、ハロモナスとシュワネラが支配的であった。野生型マウス及びトランスジェニックマウスの全サンプルについて行った主成分分析の結果によれば、主成分として、一方にはプロテオバクテリアの増加が、他方にはファーミキューテスが示された(図8l)。
これらの知見は、ヒトTGF-β1トランスジェニックマウスとIPF患者の線維化肺において、類似した分類群が存在することを示している。すなわち、線維化を起こす微小環境が、細菌バランスに良好に作用し、ハロモナス及びシェワネラの増加によって、細菌叢の増加に好ましい影響を与えるという考え方を支持している。線維化環境への移行が悪循環を誘発するという考え方は、なぜ線維形成が活発になるとIPF患者の余命が予測できるのかという疑問に対する説明を与えることになる。

【0048】
図9には、進行したIPFを発症したTGF-β1組換えマウスのBALFを移植した野生型マウスの一回換気量の変化を示した。BALF移植6ヶ月後(0.28μL)には、移植前(0.295μL)に比べ、一回換気量が約5%低下した。図10には、BALF移植前と移植6ヶ月後の各野生型マウスのCT所見を示した。各野生型マウスについて、IPFのような変化があるように見られた。この結果は、IPFを発症したマウスのBALF中に、IPFを誘発する因子(細菌叢)が含まれていることを示している。
環境要因に加え、成長形跡によれば、細菌叢は宿主の遺伝的変異によって影響を受けることが知られている。ヒト腸管マイクロバイオームに関する研究によれば、宿主の遺伝学は、多くの細菌の分類群の豊富さに影響を与え、遺伝分類学群のクリステンセネラ科の種類は、腸内細菌叢の多様性を再形成できることが知られている。サーファクタントプロテイン(SFTPC, SFTPA)、テロメラーゼ(TERC, TERT)及びムチン(MUC5B)を含む数種の遺伝子の異常がIPFの進展の危険性に関連すること、及びクリステンセネラのオリゴタイプがIPF患者の肺組織中に存在するという事実は、遺伝的多様性がIPF患者の細菌叢を通して肺内細菌の多様性の再構成によって行われるという仮説2を支持している(図11)。
発明者らの仮説2を図11を用いて説明する。図11において、宿主の遺伝的異常(Host genetic abnormalities)は、クリステンセネラ科の遺伝分類群に属する細菌を通じて、肺の細菌集団を再構成する。このとき、ハロモナス、シュワネラ及びクロストリジウムの成長に有利に働く塩類に富む微小環境が提供される。シュワネラ及びクロストリジウムによる接触または細菌からの分泌物によって上皮細胞の活性化が促される一方、ハロモナスが肺胞ライニング上皮細胞の過度のアポトーシスを誘導する。上皮細胞の活性化中に分泌されるTGF-β1が、ハロモナスの成長を更に刺激し、ナトリウムチャネルの阻害による微小環境中の塩を増加させる。肺組織におけるTGF-β1量の増加は、上皮間葉転換、筋線維芽細胞の増殖と走化性を促進することによって、コラーゲン産生線維芽細胞の数を肺内で増加させ、IPFの発症・増悪に至るものと考えられる。

【0049】
肺胞上皮細胞の強すぎる活性化とアポトーシスによって、上皮組織への障害が繰り返されること、及びコラーゲン産生線維芽細胞の数が増加することによって、IPFが引き起こされるという点については、一般的に認められている。今回の研究によって、クリステンセネラ及びクロストリジウムのオリゴタイプと、それよりも少ない種類のハロモナスとシュワネラのオリゴタイプが、IPF患者の肺に共存すること、及びハロモナスとシュワネラは、おそらく気道粘膜上皮に付着していることが示された。ハロモナスは好塩及びアポトーシス促進という特性を持ち、シュワネラはナトリウムの浸透性を変化させるという特性を持つということに基づけば、クリステンセネラが宿主のマイクロバイオーム表現型を形成する能力を持つことによって、例えばシュワネラなどの特定の細菌の増殖を有利にし、シュワネラはナトリウムの細胞内通過を阻止し、細胞外の塩濃度を増加させることによって、ハロモナスの成長のために有利な微小環境を形成するという流れが考えられる。これらの好塩菌は、強力なアポトーシス促進因子を分泌し、この促進因子が肺胞上皮細胞のアポトーシスを誘導すると考えられる。一度、上皮細胞が活性化されると、TGF-β1を含む数種の線維化促進因子が発現され、細胞膜のナトリウムチャネルを阻害することで、細胞外塩濃度の上昇を誘導することで、更にハロモナスの成長を刺激する。

【0050】
TGF-β1組換えマウスにおけるハロモナス科の増加の理由の一部は、TGF-β1がナトリウムチャネルを阻害することで、塩化ナトリウムが局所的に増加するという事実によって説明できる。IPFは、微小環境において塩濃度が高くなると有害な進展を示すという病理学的な知見は、以下の観察によって支持される。すなわち、(1)IPF患者における急性増悪は、高容量の生理食塩水が使用される気管支肺胞洗浄の後に認められる、(2)塩化ナトリウム濃度が上昇すると、TGF-β1の発現が上昇する、(3)塩はムチンによる保護活性を減少させる。最後の知見は、IPF患者においては、ムチンの増加によって有意に生存率が向上するというデータ、及びMUC5Bの多型がIPFの危険因子であるというデータと矛盾しない。今回の仮定を確認するために、肺ガン患者、IPF患者及びコントロール者の肺組織から抽出したDNAに関し、細菌の16S rDNAの3'末端を標的とするユニバーサルプライマーとハロモナスに特異的なプライマーとを用いてPCR反応を実施した。予想した通り、肺ガン患者及びIPF患者のサンプルについては、PCR産物が認められたが、コントロールについては検出されなかった(図12a)。ここで図12aはPCR産物をゲル電気泳動で確認したときの写真図、b及びcは、FISHの結果を示す顕微鏡写真図、dはエキソポリサッカライドを染色した顕微鏡写真図である。

【0051】
IPF患者(n=3)及び肺ガン患者(n=3)から得られた肺組織サンプルからゲノムDNAを調製した。陽性対照とした汎バクテリアの配列(466bp)は、全てのサンプルで増幅された。一方、ハロモナス特異的な配列(1018bp)は、肺ガン患者及びIPF患者由来のサンプルのみで認められた(a)。図12b、cに示すように、菌特異的蛍光in situ ハイブルダイぜーション(FISH)の結果、汎バクテリア(グリーン:図12b、c上段)及びハロモナス特異的(赤:図12b、c下段)は、IPF患者(b)及び肺ガン患者(c)の両方で認められた。同図は白黒であるため判別しにくいが、(b),(c)共にやや明るく写っている点のほぼ半数が、上段ではグリーンを示し、下段では左記のグリーンとほぼ同じ点がうすい赤色を示している。このことからハロモナス菌の存在をFISH法で提示でき、また顕微鏡下でマーカとして蛍光色で示せることが分かる。次に肺ガン患者及びIPF患者由来サンプルの結果のうち、代表的なものを示した。エキソポリサッカライド染色の結果、全てのIPF患者由来サンプルで認められた。代表的な結果を示した(d)。図12(d)の左図中の矢印で示している箇所が相当な面積に渡って、薄茶色に染色されているが、図12は白黒のためグラデーションの違い程度で確認できる。図12(d)の右図は比較のためのコントロールである。同様に図12b、cは白黒画像のため、それぞれ明るく示された細胞がバクテリア、ハロモナスの存在を示している。このようにして、ハロモナス特異的なオリゴヌクレオチドを標識したものを使用し、肺ガン患者及びIPF患者の細胞中にハロモナスの存在を確認した。最終的に免疫染色法によって、IPF患者の組織中に分泌された菌体外多糖類であるポリサッカライドの存在を確認した。但し、ポリサッカライドの由来については、検討されていない。

【0052】
上記してきたように、得られた生体サンプルに含まれるクリステンセネラ(Christensenella)、クロストリジウム(Clostridium)、ハロモナス(Halomonas)及びシュワネラ(Shewanella)からなる群から選択される少なくとも一種の細菌は、線維症評価用バイオマーカとして使えるものである。特に、図5で説明したように、ハロモナス及びシュワネラは、IPFおよび肺がん患者の肺組織中、及び唾液などでも検出されていることから、それらの菌の存在、濃度を使って、発症および疾患重度を知ることができる。
前記した生体サンプルは、唾液、血液、組織表面の洗浄液及び切り取られた組織からなる群から選択され、少なくとも一つまたは、その組合せで線維症評価用バイオマーカとすることができる。
また、前記線維症は、肺線維症及び腎線維症からなる群から選択されるものである。肝臓は血液と肝組織、肺は唾液と肺組織、腎臓は尿と腎組織等の組合せで評価することができる。まず、血液、唾液、尿などで評価をして、その後各関係組織の評価を行うようにすれば、患者の負担を軽減することができる。
上記したように、被験動物から得られた生体サンプルについて、クリステンセネラ、クロストリジウム、ハロモナス及びシュワネラからなる群から選択される少なくとも一種の細菌を検出することで線維症の評価方法を提供する事ができる。
前記検出は、PCR法によって細菌に由来する核酸を検出するものであってもよいし、前記した、FISH法や 免疫染色法を用い視覚化して評価することができる。また、生体サンプル中に細菌そのものまたは細菌由来の物質を検出してもよい。細菌を検出する方法としては、細菌そのものを単離培養したり顕微鏡などで視認する方法、細菌に由来する物質(タンパク質、核酸(DNA、RNAを含む)、糖、その他の化学物質など)に反応する物質(例えば酵素結合特異抗体、蛍光物質結合特異抗体など)を利用して酵素反応・蛍光などを利用して検出する方法、細菌に由来する核酸をそのまま又は増幅して検出する方法などが含まれる。
また、それぞれの菌にあった培地で培養をして、その細菌の有無、培養スピードの観察によっても評価できる。特に注目している ハロモナスは、塩分濃度10~20%程度の通常の細菌が繁殖しにくい培地で観察できるため、評価用のバイオマーカとしては特異な存在といえる。また、上記した様に培養した培養菌は、線維症の評価用ばかりでなく、一定レベルまで増殖させた培地を用いて創薬の検討や、発症や増悪機序の解明にも貢献できるものである。
また、線維症評価用凍結細菌は、(1)ハロモナスを含み、(2)クリステンセネラ、クロストリジウム及びシュワネラからなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む細菌群を凍結したものである。細菌群を凍結保存するには、例えば、10%~20%のグリセロールを含む培養用液体培地に適当量の細菌群を添加し、-20℃、-80℃または液体窒素タンクにて凍結する方法を利用できる。
さらに線維症評価用乾燥細菌は、(1)ハロモナスを含み、(2)クリステンセネラ、クロストリジウム及びシュワネラからなる群から選択される少なくとも一種の細菌を含む細菌群を乾燥したものである。細菌群を乾燥するには、例えば、ゼラチンディスク法、アンプルを利用した凍結乾燥法などを利用できる。
上記冷凍または乾燥細菌群は、インビトロで線維症を治療するための薬剤を評価するために使用できる。また、生体サンプル中に存在する抗細菌抗体を評価するために使用できる。また、抗細菌抗体を作成するために使用できる。
冷凍または乾燥細菌群は、細菌を培養した培地よりも良好な状態で長期間保存できるため、細菌または細菌群を培養する際に用いられる。冷凍または乾燥細菌群を用いて細菌を培養した培地のハロモナス菌状態についても、前述した、PCR法やFISH法や 免疫染色法を用い視覚化して評価することができる。

【0053】
過度な細胞増殖とアポトーシスが、遺伝子の不安定性と発ガンに関連しているとの指摘がなされている。宿主と細菌の共生によって起こされる細胞増殖とアポトーシスによる持続的な刺激のために、悪性形質転換が起こると考えられる。この状態が、肺ガン患者及びIPF患者に高率に発生しているとの説明がある。今回の研究において、肺ガン患者は、基礎となるIPFを備えていなかったが、IPF患者と肺ガン患者から得られたサンプル中には、類似する細菌環境が認められたことから、共通する病理的要因が存在すると考えられる。
このように本実施形態によれば、線維症の評価方法及び線維症評価用バイオマーカを提供できた。さらに線維症の発症または増悪化の機序解明に貢献することができるものである。
図面
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