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明細書 :毛髪再生用細胞包埋ビーズ及びその製造方法、並びに毛髪再生用キット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 令和元年5月9日(2019.5.9)
発明の名称または考案の名称 毛髪再生用細胞包埋ビーズ及びその製造方法、並びに毛髪再生用キット
国際特許分類 C12N   5/077       (2010.01)
C12N  11/02        (2006.01)
A61P  17/14        (2006.01)
A61K  35/36        (2015.01)
A61K  47/42        (2017.01)
A61K   9/06        (2006.01)
A61K   9/16        (2006.01)
A61L  27/38        (2006.01)
A61L  27/36        (2006.01)
C12Q   1/6876      (2018.01)
C12Q   1/686       (2018.01)
FI C12N 5/077 ZNA
C12N 11/02
A61P 17/14
A61K 35/36
A61K 47/42
A61K 9/06
A61K 9/16
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A61L 27/36 100
C12Q 1/6876 Z
C12Q 1/686 Z
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 39
出願番号 特願2018-523918 (P2018-523918)
国際出願番号 PCT/JP2017/021770
国際公開番号 WO2017/217393
国際出願日 平成29年6月13日(2017.6.13)
国際公開日 平成29年12月21日(2017.12.21)
優先権出願番号 2016120808
優先日 平成28年6月17日(2016.6.17)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JO , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT
発明者または考案者 【氏名】福田 淳二
【氏名】景山 達斗
出願人 【識別番号】504182255
【氏名又は名称】国立大学法人横浜国立大学
【識別番号】317006683
【氏名又は名称】地方独立行政法人神奈川県立産業技術総合研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】110000154、【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B033
4B063
4B065
4C076
4C081
4C087
Fターム 4B033NA01
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4B033NB62
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4C081BA12
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4C087BB48
4C087BB64
4C087MA41
4C087MA67
4C087NA14
4C087ZA92
要約 高い毛髪再生活性を有する毛髪再生用細胞包埋ビーズ及びその製造方法を提供する。毛髪再生用細胞包埋ビーズは、間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する。毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法は、間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する液滴を作製し、前記生体適合性ハイドロゲルを硬化させ、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製する細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程と、前記細胞包埋硬化ゲル形成体を浮遊培養し、細胞の牽引力により凝集させる凝集工程と、を備える方法である。
特許請求の範囲 【請求項1】
間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有することを特徴とする毛髪再生用細胞包埋ビーズ。
【請求項2】
前記生体適合性ハイドロゲルがゲル化する細胞外マトリックス成分である請求項1に記載の毛髪再生用細胞包埋ビーズ。
【請求項3】
前記細胞外マトリックス成分がI型コラーゲンである請求項2に記載の毛髪再生用細胞包埋ビーズ。
【請求項4】
前記間葉系細胞の細胞密度が2×10cells/cm以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の毛髪再生用細胞包埋ビーズ。
【請求項5】
間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する液滴を作製し、前記生体適合性ハイドロゲルを硬化させ、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製する細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程と、
前記細胞包埋硬化ゲル形成体を浮遊培養し、細胞の牽引力により凝集させる凝集工程と、
を備えることを特徴とする毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法。
【請求項6】
前記細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程において、撥水性表面を有する支持体に滴下し、前記液滴を作製する請求項5に記載の毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法。
【請求項7】
前記細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程において、前記液滴に含まれる前記間葉系細胞の濃度が、5×10cells/mL以上1×10cells/mLである請求項5又は6に記載の毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか一項に記載の毛髪再生用細胞包埋ビーズと、
上皮系細胞と、
を備えることを特徴とする毛髪再生用キット。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪再生用細胞包埋ビーズ及びその製造方法、並びに毛髪再生用キットに関する。
本願は、2016年6月17日に、日本に出願された特願2016-120808号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
臨床応用に足る毛包再生医療の確立には、再生毛包が正常な組織構造を有し、移植部位に適した毛幹を有する毛が、形成、伸長することが必要である。毛等の皮膚付属器を含む外胚葉性付属器官は、通常、胎児期において、上皮系細胞及び間葉系細胞の相互作用により発生する。外胚葉性付属器官の一つである毛包は、個体の生涯にわたって成長と退行(毛周期)とを繰り返し、成長期における毛球部の再生は、毛包器官発生期と同様な分子機構により誘導されることが知られている。また、このような毛周期における毛球部の再生は、間葉系細胞である毛乳頭細胞により誘導されると考えられている。すなわち、成長期において、毛包上皮幹細胞が間葉系細胞である毛乳頭細胞により分化誘導され毛球部が再生される。
【0003】
これまでに毛包再生に向けて間葉系細胞(毛乳頭細胞及び真皮毛根鞘細胞)を置換することによる毛包可変領域の再生や毛包誘導能を有する間葉系細胞による毛包新生、上皮系細胞及び間葉系細胞による毛包の再構築等が試みられてきた。具体的には、体性に由来する複数種の細胞にWntシグナル活性剤を添加した培養液を用いて混合培養することで、原始的な毛包器官を形成する方法(例えば、特許文献1参照。)、毛包間葉系細胞の細胞集塊(スフェロイド)の外側に上皮細胞が接着している人工毛球体を作製する方法(例えば、特許文献2参照。)、及び毛乳頭細胞のスフェロイドを上皮系細胞とともに移植し、毛髪を再生する方法(例えば、非特許文献1参照。)等が挙げられる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2013-78344号公報
【特許文献2】特開2003-70466号公報
【0005】

【非特許文献1】Huang, Y-C., et al., “Scalable production of controllable dermal papilla spheroids on PVA surfaces and the effects of spheroid size on hair follicle regeneration”, Biomaterials, vol.34, p442-451, 2013.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の毛包再生方法では、インビトロで再生した毛包器官を皮膚に移植することで、移植部から正常な毛髪を再生させる方法が一般的であったが、毛髪再生効率に課題があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、高い毛髪再生活性を有する毛髪再生用細胞包埋ビーズ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、間葉系細胞を用いて作製された毛髪再生用細胞包埋ビーズが高い毛髪再生活性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
本発明は、以下の態様を含む。
本発明の第1態様に係る毛髪再生用細胞包埋ビーズは、間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する。
前記生体適合性ハイドロゲルがゲル化する細胞外マトリックス成分であってもよい。
前記細胞外マトリックス成分がI型コラーゲンであってもよい。
前記間葉系細胞の細胞密度が2×10cells/cm以下であってもよい。
【0010】
本発明の第2態様に係る毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法は、間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する液滴を作製し、前記生体適合性ハイドロゲルを硬化させ、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製する細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程と、前記細胞包埋硬化ゲル形成体を浮遊培養し、細胞の牽引力により凝集させる凝集工程と、を備える方法である。
前記細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程において、撥水性表面を有する支持体に滴下し、前記液滴を作製してもよい。
前記細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程において、前記液滴に含まれる前記間葉系細胞の濃度が、5×10cells/mL以上1×10cells/mLであってもよい。
【0011】
本発明の第3態様に係る毛髪再生用キットは、上記第1態様に係る毛髪再生用細胞包埋ビーズと、上皮系細胞とを備える。
【発明の効果】
【0012】
上記態様によれば、高い毛髪再生活性を有する毛髪再生用細胞包埋ビーズ及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法を模式的に示す工程図である。
【図2】(A)は、実施例1における位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ及びスフェロイドを観察した結果を示す画像である。(B)は、実施例1における培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ及びスフェロイドのHE染色の結果を示す画像である。
【図3】試験例1における培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、スフェロイド、及び単層培養のアルカリホスファターゼ(ALP)染色を行った結果を示す画像である。
【図4A】試験例1における培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、スフェロイド、及び単層培養のベッシー・ローリー法によるアルカリホスファターゼ(ALP)活性を定量化した結果を示すグラフである。
【図4B】試験例1における培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、スフェロイド、及び単層培養の細胞数を示すグラフである。
【図5】試験例2における培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及びスフェロイドでのGAPDHの発現量に対するVersicanの相対的な発現量を示すグラフである。
【図6A】試験例3における培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及びスフェロイドでのGAPDHの発現量に対するIgfbp5の相対的な発現量を示すグラフである。
【図6B】試験例3における培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及びスフェロイドでのGAPDHの発現量に対するTgfb2の相対的な発現量を示すグラフである。
【図7】試験例4におけるヌードマウスへの培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、又はスフェロイドと、上皮系細胞との混合物のパッチ法による皮下移植方法を模式的に示す図である。
【図8】(A)及び(B)は、試験例4における実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて撮影した画像である。(C)は、試験例4における(A)の内部の毛髪を取り出した様子を、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて撮影した画像である。(D)~(F)は、試験例4における走実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて撮影した画像である。
【図9】(A)及び(B)は、試験例4における比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて撮影した画像である。(C)は、試験例4における(A)の内部の毛髪を取り出した様子を、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて撮影した画像である。(D)~(F)は、試験例4における比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて撮影した画像である。
【図10A】試験例4における実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、又は比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと、上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪数を示すグラフである。
【図10B】試験例4における実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、又は比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと、上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪の太さを示すグラフである。
【図11A】実施例2における位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ(間葉系細胞の細胞数:5、10、20、又は40×10cells/beads)を観察した結果を示す画像である。
【図11B】実施例2における毛髪再生用細胞包埋ビーズ(間葉系細胞の細胞数:5、10、20、又は40×10cells/beads)の直径の経時変化を示すグラフである。
【図12】(i)は、試験例5における実施例2の培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ(間葉系細胞の細胞数:5、10、20、又は40×10cells/beads)でのGAPDHの発現量に対するVersicanの相対的な発現量を示すグラフである。(ii)は、試験例5における実施例2の培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ(間葉系細胞の細胞数:5、10、20、又は40×10cells/beads)でのGAPDHの発現量に対するHIF1αの相対的な発現量を示すグラフである。
【図13A】実施例3における位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ(コラーゲンの濃度:0.75、1.5、2.25、3.0mg/mL)を観察した結果を示す画像である。
【図13B】実施例3における毛髪再生用細胞包埋ビーズ(コラーゲンの濃度:0.75、1.5、2.25、3.0mg/mL)の直径の経時変化を示すグラフである。
【図14】試験例6における実施例3の培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ(コラーゲンの濃度:0.75、1.5、2.25、3.0mg/mL)でのGAPDHの発現量に対するVersicanの相対的な発現量を示すグラフである。
【図15A】(上)実施例4のブレビスタチン無添加(-)での培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び、比較例3のブレビスタチン添加(+)での培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズを、共焦点レーザー顕微鏡(LSM700 Carl Zeiss社製)を用いて観察した結果を示す画像である。(下)実施例4のブレビスタチン無添加(-)での培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び、比較例3のブレビスタチン添加(+)での培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズを、共焦点レーザー顕微鏡(LSM700 Carl Zeiss社製)を用いて観察した結果を示す画像である。
【図15B】実施例4のブレビスタチン無添加(-)での培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び、比較例3のブレビスタチン添加(+)での培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径の経時変化を示すグラフである。
【図16】試験例7における実施例4のブレビスタチン無添加(-)での培養開始から1日目及び3日目の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び、比較例3のブレビスタチン添加(+)での培養開始から1日目及び3日目の毛髪再生用細胞包埋ビーズでのGAPDHの発現量に対するVersicanの相対的な発現量を示すグラフである。
【図17A】試験例8における実施例5の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物(Hair beads;HB)、又は、参考例1の再生毛包原基(Hair follicle germs;HFG)のヌードマウスへのパッチ法による皮下移植方法を模式的に示す図である。
【図17B】(i)は、試験例8における実施例5のHBの移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて撮影した画像である。(ii)は、(i)の拡大画像である。(iii)は、参考例1のHFGの移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて撮影した画像である。(iv)は、(iii)の拡大画像である。
【図17C】試験例8における実施例5のHB及び参考例1のHFGの移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪数を示すグラフである。
【図18A】a)は、試験例9における実施例6のヒト毛乳頭細胞を用いて作製した毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物(HB2)の移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて撮影した画像である。b)は、試験例9における参考例2の再生毛包原基(HFG2)の移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて撮影した画像である。
【図18B】試験例9における実施例6のHB2又は参考例2のHFG2の移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪数を示すグラフである。
【図18C】試験例9における実施例6のHB2の移植から3週間後のヌードマウスの移植部の皮膚切片のHE染色の結果を示す画像である。
【図18D】試験例9における実施例6のHB2の移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪を、SEMを用いて撮影した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、必要に応じて図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。

【0015】
≪毛髪再生用細胞包埋ビーズ≫
本発明の一実施形態に係る毛髪再生用細胞包埋ビーズは、間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する。

【0016】
本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズは、高い毛髪再生活性を有する。そのため、本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズを用いることで、高い毛髪再生効率を実現することが可能となる。

【0017】
本明細書において、「間葉系細胞」とは、間葉組織由来の細胞又はその細胞を培養して得られる細胞を意味する。間葉系細胞として具体的には、例えば、毛乳頭細胞、真皮毛根鞘細胞、発生期の皮膚間葉系細胞、万能細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞、胚性生殖(EG)細胞、人工多能性(iPS)幹細胞等)から誘導された毛包間葉系細胞等が挙げられる。
本明細書において、「上皮系細胞」とは、上皮組織由来の細胞及びその細胞を培養して得られる細胞を意味する。上皮系細胞として具体的には、例えば、バルジ領域の外毛根鞘最外層細胞、毛母基部の上皮系細胞、万能細胞万能細胞(例えば、胚性幹(ES)細胞、胚性生殖(EG)細胞、人工多能性(iPS)幹細胞等)から誘導された毛包上皮系細胞等が挙げられる。
細胞の由来として、好ましくは、動物由来細胞であり、より好ましくは脊椎動物由来細胞であり、特に好ましくはヒト由来細胞である。

【0018】
本明細書において、「毛髪再生用細胞包埋ビーズ」とは、上述の通り、間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含み、後述の製造方法において、細胞の牽引力により凝集させ、生体移植にそのまま利用可能なビーズを意味する。

【0019】
本明細書において、「毛包原基」とは、毛包のもととなる組織を意味し、上述の間葉系細胞及び上述の上皮系細胞から構成されている。毛包原基が形成される流れとしては、まず、上皮系細胞が肥厚し、間葉系細胞側に陥入することで、間葉性細胞の細胞集塊(スフェロイド)を包み込む。次いで、間葉性細胞のスフェロイドを包み込んだ上皮性細胞は毛母原基を形成し、間葉性細胞のスフェロイドは毛誘導能を持つ毛乳頭を形成することで、毛母原基と毛乳頭等からなる毛包原基を形成する。この毛包原基では、毛乳頭細胞が毛母細胞に増殖因子を提供しており、毛母細胞の分化を誘導し、分化した細胞が毛を形成することができる。
本明細書において、「毛包」とは、表皮が内側に筒状に入り込んだ部分であって、毛を産生する皮膚の付属器官を意味する。
本明細書において、「再生毛包原基」とは、例えば、本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズと、上皮系細胞とを用いて再生された毛包原基を意味する。

【0020】
また、本明細書において、「毛髪再生活性」とは、間葉系細胞において毛髪の再生に係る遺伝子の発現が増加していることを意味する。前記遺伝子としては、例えば、Versican(ヴァーシカン)、Wnt、トランスフォーミング増殖因子β(Transforming growth factor-β;TGF-β)、線維芽細胞増殖因子(Fibroblast growth factors;FGF)等が挙げられる。

【0021】
本実施形態において、上述の間葉系細胞の細胞密度が密であることが必要であり、2×10cells/cm以下であり、5×10cells/cm以上2×10cells/cm以下であることが好ましく、7.5×10cells/cm以上1.5×10cells/cmであることがより好ましく、9×10cells/cm以上1.2×10cells/cmであることがさらに好ましく、1×10cells/cmであることが特に好ましい。細胞密度が上記範囲内にあることにより、毛乳頭に近しい細胞密度となり、高い毛髪再生効率を実現できる。

【0022】
本明細書において、「生体適合性ハイドロゲル」とは、生体への適合性を有するゲルであって、高分子が化学結合によって網目構造をとり、その網目に多量の水を保有した物質を意味する。より具体的には、天然物由来の高分子や合成高分子の人工素材に架橋を導入してゲル化させたものをいう。

【0023】
天然物由来の高分子としては、ゲル化する細胞外マトリックス成分等が挙げられる。ゲル化する細胞外マトリックス成分としては、例えば、コラーゲン(I型、II型、III型、V型、XI型等)、マウスEHS腫瘍抽出物(IV型コラーゲン、ラミニン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン等を含む)より再構成された基底膜成分(商品名:マトリゲル)、フィブリン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、プロテオグリカン等を例示することができる。その他天然物由来の高分子として、ゼラチン、寒天、アガロース等を使用することもできる。それぞれのゲル化に至適な塩等の成分、その濃度、pH等を選択しハイドロゲルを作製することが可能である。また、これらの原料を組み合わせてもよい。

【0024】
また、合成高分子としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリエチレンオキシド、poly(II-hydroxyethylmethacrylate)/polycaprolactone等が挙げられる。また、これらの高分子を2種以上用いてハイドロゲルを作製することも可能である。

【0025】
中でも、生体適合性ハイドロゲルは、天然物由来の高分子であることが好ましく、ゲル化する細胞外マトリックス成分であることがより好ましく、I型コラーゲンであることがさらに好ましい。I型コラーゲンを含有することにより、毛乳頭に近しい組成となり、高い毛髪再生効率を実現できる。

【0026】
≪毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法≫
本発明の一実施形態に係る毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法は、間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する液滴を作製し、前記生体適合性ハイドロゲルを硬化させ、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製する細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程と、前記細胞包埋硬化ゲル形成体を浮遊培養し、細胞の牽引力により凝集させる凝集工程と、を備える方法である。

【0027】
本実施形態の製造方法によれば、高い毛髪再生活性を有する毛髪再生用細胞包埋ビーズを容易に得ることができる。

【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係る毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法を模式的に示す工程図である。図1を参照しながら、本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法について、以下に詳細を説明する。

【0029】
[細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程]
まず、間葉系細胞1を、生体適合性ハイドロゲル2を含む溶液に懸濁し、目的に合わせた大きさの液滴を作製する。

【0030】
本実施形態の製造方法において、間葉系細胞は上述のとおりである。
細胞の由来として、好ましくは、動物由来細胞であり、より好ましくは脊椎動物由来細胞であり、特に好ましくはヒト由来細胞である。

【0031】
本実施形態の製造方法において、生体適合性ハイドロゲルとは、上述したものと同様のものが挙げられる。中でも、生体適合性ハイドロゲルは、天然物由来の高分子であることが好ましく、ゲル化する細胞外マトリックス成分であることがより好ましく、I型コラーゲンであることがさらに好ましい。I型コラーゲンを使用することにより、毛乳頭に近しい組成となり、高い毛髪再生効率を実現できる。

【0032】
生体適合性ハイドロゲルを含む溶液は、Ham’s Nutrient Mixtures F-10又はHam’s Nutrient Mixtures F-12等の無血清培地や、生体適合性ハイドロゲル再構成用の緩衝液(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸水水素ナトリウム、HEPES-Bufferからなる緩衝液等)等を含んでいてもよい。
生体適合性ハイドロゲルがコラーゲンである場合、溶液中のコラーゲン濃度は、例えば1.0mg/mL以上10mg/mL以下、例えば2.0mg以上5.0mg以下であればよい。溶液中のコラーゲン濃度が上記範囲であることにより、後述の実施例に示すように、発毛(毛包誘導)マーカーであるVersican遺伝子の発現が増加し、より高い効率で毛髪を再生することができる。

【0033】
上述の間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する懸濁液に含まれる前記間葉系細胞の濃度としては、5.0×10cells/mL以上1.0×10cells/mL以下であることが好ましく、2.5×10cells/mL以上5.0×10cells/mL以下であることがより好ましく、2.5×10cells/mL以上2.5×10cells/mL以下であることがさらに好ましい。前記間葉系細胞の濃度が上記範囲であることにより、後述の凝集工程後の細胞密度が毛乳頭に近しい細胞密度となり、高い毛髪再生効率を実現できる。

【0034】
液滴の作製方法は、特別な限定はなく、公知の方法に従って当業者が決定できる。例えば、油性成分からなる溶液中に、上述の間葉系細胞と、生体適合性ハイドロゲルとを含有する懸濁液を滴下し、液滴を作製する方法や、図1及び後述の実施例のように、撥水性表面を有する支持体3に上記の懸濁液を滴下し、液滴を作製する方法等が挙げられる。

【0035】
本明細書において、「撥水性」とは、水をはじく性質を意味する。撥水性として具体的には、水接触角が典型的には90°以上、好ましくは100°以上、より好ましくは105°以上である。また、水接触角が150°を超える超撥水状態も含む。
支持体の表面に、撥水処理又は撥水性を有する材質を重ね合せることにより、撥水性表面を有する支持体を得ることができる。
撥水処理としては、特別な限定はなく、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基等の低極性の官能基や、一つ以上の水素原子がフッ素原子で置換されたアルキル基又はアルコキシ基等の疎水性の官能基を基板表面に導入する方法が挙げられる。また、撥水性を有する材質としては、特別な限定はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスルフォン等の疎水性高分子;ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素化カーボン、ポリテトラフルオロエチレン等の塩素又はフッ素含有高分子等が挙げられる。

【0036】
支持体の材質としては、特別な限定はなく、例えば、樹脂(例えばポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂(Acrylonitrile Butadiene Styrene樹脂)、ナイロン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、メチルペンテン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ピーク樹脂、エポキシ樹脂及び塩化ビニル樹脂等)、金属(例えば金、銀、銅、アルミニウム、タングステン、モリブデン、クロム、白金、チタン、ニッケル等)、合金(例えばステンレス、ハステロイ、インコネル、モネル、ジュラルミン等)、ガラス(例えばガラス、石英ガラス、溶融石英、合成石英、アルミナ、サファイア、セラミクス、フォルステライト及び感光性ガラス等)、半導体材料、シリコン、ゴム(例えば天然及び合成ゴム)等が挙げられ、これらに限定されない。また、これらの材質のうち、複数の材質を組み合わせてもよい。

【0037】
次いで、作製した液滴を20分以上60分未満(好ましくは、30分)、25℃以上40℃未満(好ましくは、37℃)で静置し、生体適合性ゲルを硬化させる。続いで、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:DMEM)等の基本培地により、表面を洗浄し、細胞包埋硬化ゲル形成体を回収する。

【0038】
[凝集工程]
次いで、回収した前記細胞包埋硬化ゲル形成体を1日以上10日以下、好ましくは2日以上4日以下、25℃以上40℃未満(好ましくは、37℃)で浮遊培養する。

【0039】
使用する培地は、特別な限定はなく、細胞の生存増殖に必要な成分(無機塩、炭水化物、ホルモン、必須アミノ酸、非必須アミノ酸、ビタミン)等を含む基本培地であればよい。例えば、DMEM、Minimum Essential Medium(MEM)、RPMI-1640、Basal Medium Eagle(BME)、Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium:Nutrient Mixture F-12(DMEM/F-12)、Glasgow Minimum Essential Medium(Glasgow MEM)等が挙げられ。これらに限定されない。

【0040】
細胞包埋硬化ゲル形成体4を上記条件において浮遊培養することにより、細胞の牽引力により凝集させ、上述の毛髪再生用細胞包埋ビーズにおいて例示されたものと同様の細胞密度の毛髪再生用細胞包埋ビーズ6を得ることができる。
また、本実施形態における凝集工程では、実際に生体の皮膚組織で行われる、間葉系細胞が凝集し、毛乳頭を形成するという一連の発生過程を再現することができる。そのため、高い毛髪活性を有す毛髪再生用細胞包埋ビーズ6を得ることができる。

【0041】
≪毛髪再生用キット≫
本発明の一実施形態に係る毛髪再生用キットは、上述の毛髪再生用細胞包埋ビーズと、上皮系細胞とを備える。

【0042】
本実施形態の毛髪再生用キットによれば、高効率で毛髪を再生することができる。

【0043】
毛髪再生用細胞包埋ビーズ及び上皮系細胞としては、上述の毛髪再生用細胞包埋ビーズにおいて例示されたものと同様のものが挙げられる。
毛髪再生用細胞包埋ビーズに含まれる間葉系細胞及び上皮系細胞の由来として、好ましくは、動物由来細胞であり、より好ましくは脊椎動物由来細胞であり、特に好ましくはヒト由来細胞である。

【0044】
本実施形態の毛髪再生用キットは、さらに、後述に示す、移植時に毛髪再生用細胞包埋ビーズを固定するために使用可能な支持体を備えていてもよい。
また、本実施形態の毛髪再生用キットは、さらに、毛髪再生用細胞包埋ビーズ及び上皮系細胞を移植するために使用する器具(例えば、ピンセット)等を備えていてもよい。

【0045】
≪毛髪再生用細胞包埋ビーズの使用方法≫
<毛髪再生用細胞包埋ビーズの移植方法>
移植する際に、本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞とを同時に移植部に移植することが好ましい。
移植に使用する上皮系細胞としては、上述の毛髪再生用細胞包埋ビーズで例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、上皮系細胞に対する本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズに含まれる間葉系細胞の割合は、0.1倍以上100倍以下であることが好ましく、1倍以上10倍以下であることがより好ましい。

【0046】
また、後述の実施例に示すように、上述の毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法において、細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程の後に、上皮系細胞と細胞包埋硬化ゲル形成体とを混合し、凝集工程を経て、毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物を作製してもよい。得られた毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物を移植部に移植することで、毛包原基が再生され、毛髪を再生することができる。

【0047】
本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズは、当業者に公知の方法で対象となる部位に移植することができる。例えば、シャピロ式植毛術やチョイ式植毛器を用いた植毛、空気圧を利用したインプランター等を使用し、移植することができる。シャピロ式植毛術とは、移植部位をマイクロメス等で移植創を作った後に、ピンセットを用いて移植する方法である。
本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズの移植量は、被検動物(ヒト又は非ヒト動物を含む各種哺乳動物、好ましくはヒト)の年齢、性別、症状、治療部位、治療時間等を勘案して適宜調節される。

【0048】
また、移植深度としては、再生対象となる部位により適宜変更することができる。例えば0.05mm以上5mm以下であってよく、例えば0.1mm以上1mm以下であってよく、例えば0.3mm以上0.5mm以下であってよい。また、移植する部位としては、被験動物の真皮層内に移植することが好ましく、さらに好ましくは、毛包形成及びその後の発毛効率の優れた、真皮及び皮下組織の境界面より上方とすることが好ましい。また、移植創上端部に毛包原基の上皮系細胞成分の上端部が露出するよう移植深度を調節すると、さらに被験動物の上皮系細胞との連続性を高めることができるため、好ましい。
本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズにおいて、皮膚接合用のテープやバンド、縫合等により、毛髪再生用細胞包埋ビーズと移植対象部位とを固定してもよい。

【0049】
また、本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズは、支持体を用いて固定してもよい。支持体の材質としては、移植後に、移植し、形成された再生毛包原基に含まれる上皮系細胞側の部分と被験動物側の上皮系細胞との連結を促進させることができるものであれば、特別な限定はない。支持体の材質として具体的には、例えば、ナイロン等のポリマーや合成又は天然の生体吸収可能なポリマーより作られた繊維、ステンレス等の金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維等の化学繊維、天然の動物繊維(生体由来の毛髪等)や植物繊維等が挙げられ、より具体的には、ナイロン糸やステンレス線等が挙げられる。支持体の直径及び長さは、再生対象となる部分により適宜設計することができる。直径は、例えば5μm以上100μm以下であってよく、例えば20μm以上50μm以下であってよい。また、長さは、例えば1mm以上10mm以下であってよく、例えば4mm以上6mm以下であってよい。

【0050】
また、本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズにおいて、支持体を用いた場合、本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズ及び上皮系細胞を移植後しばらくして、被験動物の上皮系細胞と、再生毛包原基の上皮系細胞由来の側との連続性が確保された後、支持体を移植部位より抜くことができる。移植後の状態により適宜設定することができるが、例えば、移植後3日以上7日以下で移植部位から抜くことが好ましい。又は、支持体が、自然と移植部位より抜けるまで放置することもできる。生体吸収性の材料の支持体は、自然と移植部位より抜けるか、分解又は吸収されるまで放置することができる。

【0051】
また、本実施形態の毛髪再生用細胞包埋ビーズにおいて、支持体を用いた場合、毛包原基の上皮系細胞由来の細胞が、支持体に沿って伸長する。これにより、移植後の被験動物側の上皮系細胞と毛包原基の上皮系細胞側との連続性を向上させることができる。特に、支持体が移植部位の表皮より外に維持される場合には、被験動物側の上皮系細胞が、異物を排除するように、支持体に沿って移植部位の内側へ伸長するため、連続性をさらに向上させることができる。さらに、意図した方向へ毛包形成を促すことができる。その結果、毛包原基からの発毛率を向上させることができるとともに、発毛方向の制御も可能となる。

【0052】
<毛髪再生方法>
また、本発明の一側面は、疾患や事故等による表皮の欠損又は脱毛等の毛髪欠損部位の治療のための毛髪再生用細胞包埋ビーズを提供する。
また、本発明の一側面は、治療的に有効量の毛髪再生用細胞包埋ビーズを含む医薬組成物を提供する。
また、本発明の一側面は、前記医薬組成物を含む、毛包再生治療剤を提供する。
また、本発明の一側面は、前記医薬組成物を含む、毛包再生治療剤を製造するための上記毛髪再生用細胞包埋ビーズの使用を提供する。
また、本発明の一側面は、上記毛髪再生用細胞包埋ビーズの有効量を、治療を必要とする患者に移植することを含む、疾患や事故等による表皮の欠損又は脱毛等の毛髪欠損部位の治療方法を提供する。

【0053】
本明細書において、再生可能な毛包組織を含む組織としては、毛包を再生し、さらに毛髪を再生したい体表皮であれば、特別な限定はなく、例えば、頭皮等が挙げられる。
また、適用可能な疾患としては、脱毛を伴う任意の疾患であって、例えば男性型脱毛症(Androgenetic Alopecia:AGA)、女子男性型脱毛症(Female Androgenetic Alopecia:FAGA)分娩後脱毛症、びまん性脱毛症、脂漏性脱毛症、粃糠性脱毛症、牽引性脱毛症、代謝異常性脱毛症、圧迫性脱毛症、円形脱毛症、神経性脱毛症、抜毛症、全身性脱毛症、症候性脱毛症等が挙げられ、これらに限定されない。

【0054】
治療対象としては、特別な限定はなく、ヒト又は非ヒト動物を含む哺乳動物が挙げられ、ヒトが好ましい。
【実施例】
【0055】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0056】
[実施例1]マウス毛髪再生用細胞包埋ビーズの作製1
(1)間葉系細胞及び上皮系細胞の採取
参考資料「Toyoshima, K., et al., “Fully functional hair follicle regeneration through the rearrangement of stem cells and their niches”, Nat. Commun., vol.3, no.784, 2012.」に記載の方法を一部改変した方法を用いて、間葉系細胞及び上皮系細胞を採取した。より具体的には、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児の背部皮膚を採取し、Dispase(登録商標)II(Wako社製)による処理を4℃で30rpmの振盪条件で1時間行い、上皮層と間葉層とを分離した。次いで、上皮層は100U/mLのコラゲナーゼ(Wako社製)による処理を2時間、さらにトリプシンによる処理を10分行い、上皮系細胞を単離した。一方、間葉層は100U/mLのコラゲナーゼ(Wako社製)による処理を2時間行い、間葉系細胞を単離した。得られた間葉系細胞は1.0×10cells、上皮系細胞は1.0×10cellsであった。
【実施例】
【0057】
(2)細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程
次いで、採取した間葉系細胞のうち2.5×10cellsにダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle Medium;DMEM)(10%ウシ胎児血清(Fetal Bovine Serum;FBS)、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S)含有)を添加し、1,000rpm、180秒間遠心した後、上清を除去した。次いで、間葉系細胞をコラーゲン Type1(コラーゲン3mg/mL含有、新田ゼラチン社製)1mLに懸濁した。
【実施例】
【0058】
培養ディッシュの蓋の裏面(撥水性表面)に、懸濁液を2μL(5.0×10cells/2μL)ずつ滴下した。37℃で30分間インキュベートし、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製した。
【実施例】
【0059】
(3)凝集工程
次いで、ピペットマンを用いて、細胞包埋硬化ゲル形成体を培養ディッシュの蓋の裏面から剥がした。次いで、細胞包埋硬化ゲル形成体を培養ディッシュに入れ、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、3日間浮遊培養し、毛髪再生用細胞包埋ビーズを作製した。
【実施例】
【0060】
(4)観察結果
位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて、培養開始から3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズを観察した結果を図2の(A)に示す。
図2の(A)から、毛髪再生用細胞包埋ビーズでは、細胞の牽引力により、平均直径2mmから0.5mmまで凝集することが確かめられた。
【実施例】
【0061】
(5)毛髪再生用細胞包埋ビーズのヘマトキシリン・エオジン(Hematoxylin-Eosin:HE)染色
(5-1)毛髪再生用細胞包埋ビーズの切片の作製
毛髪再生用細胞包埋ビーズをリン酸緩衝生理食塩水(Phosphate buffered saline:PBS)で洗浄し、4%パラホルムアルデヒドで固定した。次いで、固定液を回収し、70%エタノール、90%エタノール、100%エタノール、2-ブタノールに各1時間ずつ浸漬した。次いで、ミクロトームを用いて、毛髪再生用細胞包埋ビーズを微小の厚さにカットした。カットされた切片をスライドガラスに垂直に押し当て、転写した。
【実施例】
【0062】
(5-2)ヘマトキシリン・エオジン(Hematoxylin-Eosin:HE)染色
得られたスライドガラスにキシレンを1mL滴下し1時間静置した後、溶液を除去した。次いで、100%エタノールを1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。次いで、100%エタノールを1mL滴下し、同じ操作をもう一度繰り返した。次いで、90%エタノール溶液を1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。次いで、70%エタノール溶液を1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。次いで、蒸留水を1mL滴下し3分間静置した後、水を除去した。次いで、マイヤー・ヘマトキシリン染色液(Wako社製)を1mL滴下し4分間静置した後、溶液を除去した。次いで、流水に13分間浸し、洗い流した。次いで、エマジン溶液(武藤化学社製)を1mL滴下し4分間静置した後、溶液を除去した。次いで、蒸留水を1mL滴下し1分間静置した後、水を除去した。次いで、70%エタノール溶液を1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。次いで、90%エタノール溶液を1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。次いで、100%エタノールを1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。次いで、100%エタノールを1mL滴下し、同じ操作をもう一度繰り返した。次いで、キシレンを1mL滴下し5分間静置した後、溶液を除去した。最後に、キシレンを1mL滴下し、同じ操作をもう一度繰り返した。スライドガラスが乾いたら、マウントクイック(封入剤)を少量垂らし、気泡が入らないようにマイクロカバーガラスをゆっくりかぶせ、封入した。位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)で観察した結果を図2の(B)に示す。
【実施例】
【0063】
(5-3)結果と考察
図2の(B)から、毛髪再生用細胞包埋ビーズにおけるHE染色では、細胞質がピンク色に染色するが、ピンク色に染色していない部分が数か所存在した。染色されていない部分には、コラーゲンが多く存在する部分であると推察された。
【実施例】
【0064】
[比較例1]
比較例として、96ウェルプレートに5.0×10cells/ウェルとなるように間葉系細胞を播種し、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、3日間単層培養した。
【実施例】
【0065】
[比較例2]
(1)スフェロイドの作製
比較例として、5.0×10cells/spheroidとなるように間葉系細胞のスフェロイドを作製し、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、3日間培養した。
【実施例】
【0066】
(2)観察結果
位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて、培養開始から3日後のスフェロイドを観察した結果を図2の(A)に示す。
図2の(A)から、培養開始から3日後のフェロイドは、直径が約200μmであることが確かめられた。
【実施例】
【0067】
(3)スフェロイドのHE染色
(3-1)スフェロイドの切片の作製
スフェロイドについても、実施例1の(5-1)と同様の方法を用いて、切片を作製した。
【実施例】
【0068】
(3-2)HE染色
スフェロイドについても、実施例1の(5-2)と同様の方法を用いて、HE染色を行った。染色後のスフェロイドを位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)で観察した結果を図2の(B)に示す。
図2の(B)から、スフェロイドでは、細胞が密に凝集していることが確認された。
【実施例】
【0069】
[試験例1]アルカリホスファターゼ(Alkaline Phosphatase:ALP)活性評価試験
(1)アルカリホスファターゼ(Alkaline Phosphatase:ALP)染色
実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、比較例1の間葉系細胞の単層培養、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドについて、クエン酸-アセトン固定液に30秒間浸漬し、脱イオン水で45秒間リンスした。次いで、染色液(Fast blue RR saltカプセルを1カプセル(Sigma社製)+脱イオン水48mL+Naphthol AS-MX phosphate alkaline solution(Sigma社製)2mL)を用いて、遮光、常温条件で30分間染色した。次いで、脱イオン水で120秒間リンスした。次いで、ALP染色した実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、比較例1の間葉系細胞の単層培養、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドそれぞれを、位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて、観察した。結果を図3に示す。
【実施例】
【0070】
図3から、毛乳頭細胞のマーカータンパクとして知られるALPが活性化された細胞は、単層培養ではほとんど観察されなかった。一方、スフェロイド及び毛包再生用細胞包埋ビーズではALPの活性が観察された。特に、毛包再生用細胞包埋ビーズではALPの活性が強く観察された。
【実施例】
【0071】
(2)ベッシー・ローリー法によるALP活性の定量
(2-1)細胞の破砕及び細胞抽出液の調製
実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、比較例1の間葉系細胞の単層培養、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドについて、それぞれPBS(-)で2回洗浄し、1mLバッファー(50mmol/L Tris/HCl、pH 7.6、0.1%(v/v)TritonX-100)を加え、-80℃で凍結保存した。次いで、この凍結と融解を3回繰り返し、ディスポーザブルホモジナイザー(ASONE社製)を用いて、ホモジナイズした。次いで、超音波処理を30秒間、ボルテックス10秒間を2回繰り返すことにより、細胞膜を破壊した。次いで、1300rpm、10分間遠心し、上清を回収し、細胞抽出液を得た。
【実施例】
【0072】
(2-2)希釈標準液の調製
標準液(0.5mmol/L p-ニトロフェノール溶液)を順次倍々希釈し、0.5、0.25、0.125、0.0625、0mmol/Lの2倍希釈系列を調製した。
【実施例】
【0073】
(2-3)ALP反応
(2-1)で得られた細胞抽出液を20μLずつ取って、96ウェルプレートに添加した。スタンダード列として、列の一番端のウェルに(2-2)で調製した希釈標準液を20μLずつ加えた。次いで、全てのウェルに基質緩衝液(p-ニトロフェニルリン酸2ナトリウム6.7mmol/L+2.0mmol/L塩化マグネシウム)を100μLずつ加えた。次いで、ウェルプレートを遮光し、マイクロプレートリーダー(TECAN社製)で1分間攪拌させた後、15分間37℃でインキュベートした。その後、各ウェルに反応停止液(0.2mol/L水酸化ナトリウム)を80μLずつ加えることで反応を停止させた。
【実施例】
【0074】
(2-4)解析
次いで、マイクロプレートリーダー(TECAN社製)で1分間攪拌した後、マイクロプレートリーダーを用いて、各細胞抽出液の吸光度405nmを測定し、各細胞抽出液中のALP活性を算出した。結果を図4A示す。図4において、「Gel beads」は実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズを示し、「Spheroid」は比較例2の間葉系細胞のスフェロイドを示し、「Monolayer」は比較例1の間葉系細胞の単層培養を示す。
また、図4Bは、細胞抽出液調製前の浮遊培養3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、スフェロイド、及び単層培養の細胞数を計測した結果を示すグラフである。
【実施例】
【0075】
(2-5)結果と考察
図4Aから、ALP活性の高さは、「Gel beads」(実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ)>「Spheroid」(比較例2の間葉系細胞のスフェロイド)>「Monolayer」(比較例1の間葉系細胞の単層培養)であった。
また、図4Bから、播種細胞数を揃えた3日間の培養後の細胞数は、「Gel beads」(実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ)<「Spheroid」(比較例2の間葉系細胞のスフェロイド)<「Monolayer」(比較例1の間葉系細胞の単層培養)であった。
間葉系細胞の細胞倍化時間(細胞数が倍になるのに要する時間)は、24時間であると報告されている。比較例1の間葉系細胞の単層培養では、報告通り、約24時間の細胞倍化時間で増殖した(培養開始時5.0×10cells→培養3日後4.5×10cells)。
一方、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドでは、ほとんど細胞数の増加が見られなかった。
一般に、間葉系細胞は増殖を重ねるたびに(継代数を増やすたびに)、毛乳頭細胞マーカーであるALP活性を失うことが知られている。
今回の結果から、細胞増殖が少ない実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、比較例2の間葉系細胞のスフェロイド、比較例1の間葉系細胞の単層培養の順でALP活性が高くなったことから、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズは細胞増殖が抑制されたために、ALP活性を維持されたと推察された。
【実施例】
【0076】
[試験例2]Versican遺伝子のPCR解析
実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドを用いて、発毛マーカータンパク質であるVersican遺伝子のRT-PCR解析を行った。
【実施例】
【0077】
(1)RNA抽出
まず、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドをそれぞれ15mLチューブに回収し、毛髪再生用細胞包埋ビーズ又はスフェロイドが沈殿したら、1mLの溶液となるように上澄みの培地を除去した。次いで、1mLとなった毛髪再生用細胞包埋ビーズ又はスフェロイドを含む溶液を1.5mLマイクロチューブに移しかえた。
次いで、4℃、5000rpmで、3分間遠心した。この操作は、残存する培地を捨てるため、毛髪再生用細胞包埋ビーズ又はスフェロイドを沈殿させると同時に、遠心分離機内の予冷のために行った。次いで、上清(培地)を捨てた後、Buffer RLTを350μL加え、よくピペッティングした。次いで、ピペッティング後の溶液をQIA Shredderスピンカラムに回収し、4℃、10000rpmで、2分間遠心した。次いで、QIA Shredderスピンカラムの上部を捨て、コレクションチューブ内の溶液に70%エタノールを350μL加え、RNeasyスピンカラムに移した。次いで、4℃、10000rpmで、15秒間遠心した。次いで、コレクションチューブ内の濾液を捨て、Buffer RW1を700μL加え、4℃、10000rpmで、15秒間遠心した。次いで、コレクションチューブ内の濾液を捨て、Buffer RPEを500μL加え、4℃、10000rpmで、15秒間遠心した。次いで、コレクションチューブ内の濾液を捨て、Buffer RPEを500μL加え、4℃、10000rpmで、2分間遠心した。次いで、新しい2mLコレクションチューブに遠心後のカラムを移し、4℃、10000rpmで、1分間遠心した。これは、残存するBuffer RPEを除去するために行った。次いで、1mLマイクロチューブに遠心後のカラムを移し、RNase free waterを30μL加え、4℃、10000rpmで、1分間遠心した。次いで、遠心後のカラムが設置された1mLマイクロチューブに、再度RNase free waterを30μL加え、4℃、10000rpmで、1分間遠心し、RNA溶解液を得た。
【実施例】
【0078】
(2)分光光度計によるRNA濃度測定
次いで、Nano Vueの電源を付け、希釈率を60.0に設定した。ここで、希釈率とは、RNA抽出における最終容量である。次いで、測定板を70%エタノールで拭いた後、RNase free water2μLを測定板の中心にアプライし、[OA/100%T]のボタンを押した。この操作でベースラインを得た。次いで、(1)で得られたRNA溶解液2μLを測定板の中心にアプライし、測定ボタンを押した。A260/A280はサンプルの純度を表し、2.0に近い方が好ましい。次いで、次のサンプル(RNA溶解液)を測定する際は、キムワイプで拭きとって70%エタノールで拭いてから使用した。
毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNA溶解液の濃度は、311μg/mLであり、スフェロイド由来のRNA溶解液の濃度は、344μg/mLであった。
【実施例】
【0079】
(3)RT-PCR
次いで、(2)で濃度を測定したRNA溶解液を150μg/mLとなるように希釈し、65℃で、5分間インキュベートし、その後氷上で冷却した。次いで、マイクロチューブに下記表1に示す組成の溶液を加え、透明フィルムで覆った。表1において、RNAとは、毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNA溶解液、又はスフェロイド由来のRNA溶解液を示す。
【実施例】
【0080】
【表1】
JP2017217393A1_000003t.gif
【実施例】
【0081】
次いで、サーマルサイクラーにセットし、しっかり閉まっていることを確認した。次いで、37℃で15分間、98℃で5分間の逆転写反応を行い、毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNA、及びスフェロイド由来のRNAの逆転写産物であるcDNAをそれぞれ得た。
【実施例】
【0082】
次いで、マイクロチューブに下記表2に示す組成の溶液を加え、透明フィルムで覆った。表2において、DNAとは、毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNA、又はスフェロイド由来のRNAの逆転写産物であるcDNAを示す。さらに、PCRで用いたプライマーの塩基配列について、表3に示す。
【実施例】
【0083】
【表2】
JP2017217393A1_000004t.gif
【実施例】
【0084】
【表3】
JP2017217393A1_000005t.gif
【実施例】
【0085】
次いで、サーマルサイクラーにセットし、しっかり閉まっていることを確認した。次いで、95℃で4分間、(95℃で5秒間、60℃で60秒間)×45サイクル、72℃で10分間のプロトコールにてPCRを行った。コントロールとして、GAPDHの発現量を測定し、GAPDHの発現量に対するVersicanの相対的な発現量を算出した。結果を図5に示す。図5において、「Gel beads」は実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズを示し、「Spheroid」は比較例2の間葉系細胞のスフェロイドを示す。
【実施例】
【0086】
図5から、Versican遺伝子の発現について、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズが、比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと比較して約3倍向上することが明らかとなった。
一般に、間葉系細胞は増殖を重ねるたびに(継代数を増やすたびに)、Versicanの発現が低下することが知られている。また、スフェロイド培養は、培養ディッシュ上での単層培養と比較して、Versican遺伝子の発現を維持できることが報告されている。
今回の結果により、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズが、比較例2の間葉系細胞のスフェロイドよりも高いVersican遺伝子の発現を示しており、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズによる間葉系細胞の培養法が、既存のスフェロイドによる間葉系細胞の培養法よりも適した間葉系細胞の培養法になりうる可能性が示唆された。
【実施例】
【0087】
[試験例3]Igfbp5遺伝子及びTgfb2遺伝子のPCR解析
実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドを用いて、発毛に関連するマーカー遺伝子の発現を評価した。
【実施例】
【0088】
(1)RNA抽出
試験例2の(1)と同様の方法を用いて、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドからRNA溶解液を得た。
【実施例】
【0089】
(2)分光光度計によるRNA濃度測定
次いで、 試験例2の(1)と同様の方法を用いて、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドのRNA溶解液の濃度を測定した。
毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNA溶解液の濃度は、398μg/mLであり、スフェロイド由来のRNA溶解液の濃度は、279μg/mLであった。
【実施例】
【0090】
(3)RT-PCR
次いで、試験例2の(3)と同様の方法を用いて、逆転写反応を行い、毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNA、又はスフェロイド由来のRNAの逆転写産物であるcDNAを得た。次いで、Versican遺伝子の増幅用のフォワードプライマー及びリバースプライマーの代わりに、下記表4に示すIgfbp5遺伝子及びTgfb2遺伝子の増幅用のフォワードプライマー及びリバースプライマーを用いた以外は、試験例2の(3)と同様の方法を用いて、PCR反応を行い、GAPDHの発現量に対するIgfbp5又はTgfb2の相対的な発現量を算出した。結果を図6A及び図6Bに示す。
【実施例】
【0091】
【表4】
JP2017217393A1_000006t.gif
【実施例】
【0092】
図6A及び図6Bから、Igfbp5遺伝子及びTgfb2遺伝子の発現について、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズが、比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと比較して約1.6~3倍向上することが明らかとなった。
先行技術において、マウス間葉系細胞をスフェロイド培養することで、これらの遺伝子発現が単層培養と比較して、優位に増加することが報告されている。
今回の結果により、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズによる間葉系細胞の培養法が、既存のスフェロイドによる間葉系細胞の培養法よりも、高いIgfbp5遺伝子及びTgfb2遺伝子の発現を示した。
また、試験例2から、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズが、比較例2の間葉系細胞のスフェロイドよりも高いVersican遺伝子の発現を示すことも明らかとなっている。
これらの結果を踏まえると、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズによる間葉系細胞の培養法は、既存のスフェロイドによる間葉系細胞の培養法と比較して、高い毛髪再生活性を発現させる培養法であることが示唆された。
考えられる要因としては、コラーゲンリッチな環境であること、スフェロイドと比較して酸素供給が改善されていること、及びビーズの製造における凝集工程での細胞への力学刺激が寄与していること等が挙げられる。
【実施例】
【0093】
[試験例4]ヌードマウスを用いた皮下移植試験
(1)ヌードマウスへの皮下移植
実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ、及び比較例2の間葉系細胞のスフェロイドをヌードマウス皮内にパッチ法を用いて移植した。動物の飼育及び動物実験は、横浜国立大学動物実験委員会の指針に遵守して行った。
具体的には、まず、ヌードマウスにイソフルラン吸引麻酔を行い、背部をイソジンで消毒した。次いで、Vランスマイクロメス(日本アルコン社製)を用いて、皮膚表皮層から真皮層下部に至る移植創を形成した(図7左参照。)。次いで、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズ各30個/1箇所、又は比較例2の間葉系細胞のスフェロイド各30個/1箇所と、妊娠マウス(C57BL/6jjcl)子宮内のマウス胎児から採取した上皮系細胞1.0×10cells/1箇所とを混合し、合計3箇所の移植創に挿入した(図7右参照。)。
なお、一匹のヌードマウスの左側面の3箇所に実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物を移植し、右側面の3箇所に比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと上皮系細胞との混合物を移植した。実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪の様子を図8に示す。また、比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪の様子を図9に示す。なお、図8及び図9において、(A)、(B)はデジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて、移植部における再生毛髪を撮影した画像である。(C)はデジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて、(A)の内部の毛髪を取り出した様子を撮影した画像である。(D)~(F)は、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)を用いて、再生毛髪を撮影した画像である。
また、図10は、毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物、又は比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと上皮系細胞との混合物の移植から1ヶ月後のヌードマウスの移植部での再生毛髪数(図10A参照。)と再生毛髪の太さ(図10B参照。)とを示す図である。
【実施例】
【0094】
図8及び9から、実施例1の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物の移植部では黒い塊となって毛が形成しており、黒塊内からは大量の毛が観察された。
一方、比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと上皮系細胞との混合物の移植部では、毛の再生数が少なく、黒塊の大きさも小さい様子が観察された。
また、いずれの毛もキューティクル構造を有する形態的に正常な毛が形成されていた。
図10に示したように、それぞれの再生毛数を解析したところ、再生毛数は毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物の移植部は、比較例2の間葉系細胞のスフェロイドと上皮系細胞との混合物の移植部と比較して、2倍近く多いことが示された。
また、再生毛の太さはいずれも20μmとマウスの体毛とほぼ同様の太さであった。
【実施例】
【0095】
以上の結果から、本発明の毛髪再生用細胞包埋ビーズは、スフェロイドよりも高い毛髪再生効率を実現できることが示された。
【実施例】
【0096】
[実施例2]マウス毛髪再生用細胞包埋ビーズの作製2
(1)間葉系細胞の採取
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児から間葉系細胞を採取した。
【実施例】
【0097】
(2)細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程
次いで、採取した間葉系細胞のうち1.0×10、2.0×10、4.0×10、又は8.0×10cellsにDMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、1,000rpm、180秒間遠心した後、上清を除去した。次いで、間葉系細胞をコラーゲン Type1(コラーゲン3mg/mL含有、新田ゼラチン社製)0.2mLに懸濁した。
【実施例】
【0098】
培養ディッシュの蓋の裏面(撥水性表面)に、懸濁液を2μL(0.5×10、1.0×10、2.0×10、4.0×10cells/2μL)ずつ滴下した。37℃で30分間インキュベートし、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製した。
【実施例】
【0099】
(3)凝集工程
次いで、ピペットマンを用いて、細胞包埋硬化ゲル形成体を培養ディッシュの蓋の裏面から剥がした。次いで、細胞包埋硬化ゲル形成体を培養ディッシュに入れ、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、3日間浮遊培養し、毛髪再生用細胞包埋ビーズを作製した。
【実施例】
【0100】
(4)観察結果
位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて、培養開始から3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズを観察した結果を図11Aに示す。
図11Aから、包埋細胞数の増加に伴い、ビーズの直径が小さくなる傾向が観察された。
【実施例】
【0101】
(5)毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径測定
位相差顕微鏡を用いて、培養開始から0日目、1日目及び3日目の毛髪再生用細胞包埋ビーズの画像を取得した。次いで、Image Jを用いて画像を解析し、毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径を測定した。結果を図11Bに示す。
図11Bから、3日間の培養により、毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径はダイナミックに変化し、その直径は500~800μmであった。
また、包埋細胞数の増加に伴い、ビーズの直径が小さくなる傾向が観察された。これは、細胞の牽引力によって、ビーズ内のコラーゲン線維が凝集されることに起因しており、細胞数が増加することにより、コラーゲン線維を凝集する力が増したためと考えられる。
【実施例】
【0102】
[試験例5]Versican遺伝子及びHIF1α遺伝子のPCR解析
実施例2の間葉系細胞の細胞数が異なる毛髪再生用細胞包埋ビーズを用いて、発毛マーカータンパク質であるVersican遺伝子及び低酵素マーカーであるHIF1α遺伝子のRT-PCR解析を行った。
【実施例】
【0103】
(1)RNA抽出
まず、実施例2の間葉系細胞の細胞数が異なる毛髪再生用細胞包埋ビーズについて試験例2の(1)と同様の方法を用いて、RNA溶解液を得た。
【実施例】
【0104】
(2)分光光度計によるRNA濃度測定
次いで、試験例2の(2)と同様の方法を用いて、各毛髪再生用細胞包埋ビーズのRNA溶解液の濃度を測定した。
【実施例】
【0105】
(3)RT-PCR
次いで、試験例2の(3)と同様の方法を用いて、各毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNAを得た。
【実施例】
【0106】
次いで、マイクロチューブに上記表2に示す組成の溶液を加え、透明フィルムで覆った。表2において、DNAとは、各毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNAを示す。さらに、PCRで用いたプライマーの塩基配列について、表5に示す。
【実施例】
【0107】
【表5】
JP2017217393A1_000007t.gif
【実施例】
【0108】
次いで、サーマルサイクラーにセットし、しっかり閉まっていることを確認した。次いで、95℃で4分間、(95℃で5秒間、60℃で60秒間)×45サイクル、72℃で10分間のプロトコールにてPCRを行った。コントロールとして、GAPDHの発現量を測定し、GAPDHの発現量に対するVersican又はHIF1αの相対的な発現量を算出した。結果を図12((i)Versican、(ii)HIF1α)に示す。
【実施例】
【0109】
図12の(i)から、Versicanの相対的な発現量について、間葉系細胞の細胞数が1×10cells/beadsである毛髪再生用細胞包埋ビーズが最も高い遺伝子発現を示した。また、ビーズ内の間葉系細胞の細胞数が増加するに伴い、低酸素マーカーであるHIF1α遺伝子の発現量は低下し、一方、Versican遺伝子の発現量は減少した。
以上のことから、毛髪再生用細胞包埋ビーズ内の間葉系細胞の細胞数を1×10cells/beads(細胞密度:約1×10cells/cm)よりも多くすることで、一部の細胞で低酸素による発毛活性の低下が生じることが示唆された。そこで、1×10cells/beadsを毛髪再生用細胞包埋ビーズ内の間葉系細胞が低酸素に陥らず、最も高い毛包誘導能を示す包埋細胞数と判断し、以降の実験を進めることとした。
【実施例】
【0110】
[実施例3]マウス毛髪再生用細胞包埋ビーズの作製3
(1)間葉系細胞の採取
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児から間葉系細胞を採取した。
【実施例】
【0111】
(2)コラーゲン溶液の調製
次いで、3mg/mLのコラーゲン Type1(新田ゼラチン社製)を、必要に応じてpH3の塩酸で希釈し、0.75、1.50、2.25、又は3.00mg/mLのコラーゲン溶液を調製した。
【実施例】
【0112】
(3)細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程
次いで、採取した間葉系細胞のうち1.0×10cellsにDMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、1,000rpm、180秒間遠心した後、上清を除去した。次いで、間葉系細胞を(2)で調製した0.75、1.50、2.25、又は3.00mg/mLのコラーゲン溶液0.2mLに懸濁した。
【実施例】
【0113】
培養ディッシュの蓋の裏面(撥水性表面)に、懸濁液を2μL(1.0×10/2μL)ずつ、100個滴下した。37℃で30分間インキュベートし、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製した。
【実施例】
【0114】
(4)凝集工程
次いで、ピペットマンを用いて、細胞包埋硬化ゲル形成体を培養ディッシュの蓋の裏面から剥がした。次いで、細胞包埋硬化ゲル形成体を培養ディッシュに入れ、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、3日間浮遊培養し、毛髪再生用細胞包埋ビーズを作製した。
【実施例】
【0115】
(5)観察結果
位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて、培養開始から3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズを観察した結果を図13Aに示す。
図13Aから、コラーゲン濃度の上昇に伴い、ビーズの直径が大きくなる傾向が観察された。
【実施例】
【0116】
(6)毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径測定
位相差顕微鏡を用いて、培養開始から0日目、1日目及び3日目の毛髪再生用細胞包埋ビーズの画像を取得した。次いで、Image Jを用いて画像を解析し、毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径を測定した。結果を図13Bに示す。
図13Bから、3日間の培養により、毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径はダイナミックに変化し、その直径は300~900μmであった。
また、コラーゲン濃度の上昇に伴い、ビーズの直径が大きくなる傾向が観察された。これは、コラーゲン濃度、つまりコラーゲン線維の密度が低いほど、ゲルの架橋が脆くなり、細胞のけん引力によりゲルを容易に収縮することができたと考えられる。
【実施例】
【0117】
[試験例6]Versican遺伝子のPCR解析
実施例3のコラーゲン濃度が異なる毛髪再生用細胞包埋ビーズを用いて、発毛マーカータンパク質であるVersican遺伝子のRT-PCR解析を行った。
【実施例】
【0118】
(1)RNA抽出
まず、実施例2の間葉系細胞の細胞数が異なる毛髪再生用細胞包埋ビーズについて試験例2の(1)と同様の方法を用いて、RNA溶解液を得た。
【実施例】
【0119】
(2)分光光度計によるRNA濃度測定
次いで、試験例2の(2)と同様の方法を用いて、各毛髪再生用細胞包埋ビーズのRNA溶解液の濃度を測定した。
【実施例】
【0120】
(3)RT-PCR
次いで、試験例2の(3)と同様の方法を用いて、各毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNAを得た。
次いで、マイクロチューブに上記表2に示す組成の溶液を加え、透明フィルムで覆った。表2において、DNAとは、各毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNAを示す。さらに、PCRで用いたプライマーの塩基配列について、上記表3に示す。
【実施例】
【0121】
次いで、サーマルサイクラーにセットし、しっかり閉まっていることを確認した。次いで、95℃で4分間、(95℃で5秒間、60℃で60秒間)×45サイクル、72℃で10分間のプロトコールにてPCRを行った。コントロールとして、GAPDHの発現量を測定し、GAPDHの発現量に対するVersicanの相対的な発現量を算出した。結果を図14に示す。
【実施例】
【0122】
図14から、コラーゲン濃度が減少するのに従い、発毛(毛包誘導)マーカーであるVersican遺伝子の発現は減少する傾向がみられた。
以上のことから、毛髪再生用細胞包埋ビーズを構成するコラーゲン濃度は3.0mg/mLが最も高い発毛活性を示し、一方、コラーゲン濃度を減少させることで、発毛活性の低下が生じることが示された。そこで、3.0mg/mLが毛髪再生用細胞包埋ビーズを構成するコラーゲン濃度として適している判断し、この濃度で以降の実験を進めることとした。
【実施例】
【0123】
[実施例4]マウス毛髪再生用細胞包埋ビーズの作製4
(1)間葉系細胞の採取
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児から間葉系細胞を採取した。
【実施例】
【0124】
(2)細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程
次いで、採取した間葉系細胞のうち1.0×10cellsにDMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、1,000rpm、180秒間遠心した後、上清を除去した。次いで、間葉系細胞をコラーゲン Type1(コラーゲン3mg/mL含有、新田ゼラチン社製)0.2mLに懸濁した。
【実施例】
【0125】
培養ディッシュの蓋の裏面(撥水性表面)に、懸濁液を2μL(1.0×10cells/2μL)ずつ、100個滴下した。37℃で30分間インキュベートし、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製した。
【実施例】
【0126】
(3)凝集工程
次いで、ピペットマンを用いて、細胞包埋硬化ゲル形成体を培養ディッシュの蓋の裏面から剥がした。次いで、細胞包埋硬化ゲル形成体を培養ディッシュに入れ、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、3日間浮遊培養し、毛髪再生用細胞包埋ビーズを作製した。
【実施例】
【0127】
(4)アクチン及び核の染色
培養開始から3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズをパラホルムアルデヒドで固定し、以下の手順でアクチン及び核を染色した。
まず、毛髪再生用細胞包埋ビーズにPBSを添加し1分間静置して、PBSを除去した。次いで、同じ操作を2回繰り返し、毛髪再生用細胞包埋ビーズを洗浄した。次いで、Triton-X-100を添加し10分間静置した(透徹)。次いで、PBSを添加し1分間静置して、PBSを除去した。次いで、同じ操作を2回繰り返し、毛髪再生用細胞包埋ビーズを洗浄した。次いで、Rhodamine Phalloidin(Molecular Probes社製)を添加し、30分間静置してアクチンを染色した。次いで、PBSを添加し1分間静置して、PBSを除去した。次いで、同じ操作を2回繰り返し、毛髪再生用細胞包埋ビーズを洗浄した。次いで、4’、6-diamidino-2-phenylindole(DAPI)(和光純薬工業社製)を添加し、5分間静置して核を染色した。次いで、PBSを添加し5分間静置して、PBSを除去した。次いで、同じ操作を2回繰り返し、毛髪再生用細胞包埋ビーズを洗浄した。
【実施例】
【0128】
(5)観察結果
蛍光顕微鏡(DP-71 OLYMPUS社製)及び共焦点レーザー顕微鏡(LSM700 Carl Zeiss社製)を用いて、培養開始から3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズを観察した結果を図15A(上右:蛍光顕微鏡像、下右:共焦点レーザー顕微鏡像)に示す。
図15A(上右:蛍光顕微鏡像、下右:共焦点レーザー顕微鏡像)から、毛髪再生用細胞包埋ビーズ内の間葉系細胞は発達したアクチン骨格を形成していた。
【実施例】
【0129】
(6)毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径測定
位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて、培養開始から0日目、1日目及び3日目の毛髪再生用細胞包埋ビーズの画像を取得した。次いで、Image Jを用いて画像を解析し、毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径を測定した。結果を図15Bの(-)に示す。
図15Bの(-)から、3日間の培養により、毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径はダイナミックに変化し、その直径は800μm程度であった。
【実施例】
【0130】
[比較例3]
(1)間葉系細胞の採取
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児から間葉系細胞を採取した。
【実施例】
【0131】
(2)細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程
実施例4の(2)と同様の方法を用いて、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製した。
【実施例】
【0132】
(3)凝集工程
次いで、30μMのブレビスタチンを添加したDMEM(10%FBS、1%P/S含有)を用いた以外は、実施例4の(3)と同様の方法を用いて、毛髪再生用細胞包埋ビーズを作製した。
なお、ブレビスタチンとは、細胞の牽引力に関わるミオシンを阻害する阻害剤であり、発達したアクチン骨格の形成を阻害することが知られている。
【実施例】
【0133】
(4)アクチン及び核の染色
培養開始から3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズについて、実施例4の(4)と同様の方法を用いて、アクチン及び核を染色した。
【実施例】
【0134】
(5)観察結果
蛍光顕微鏡(DP-71 OLYMPUS社製)及び共焦点レーザー顕微鏡(LSM700 Carl Zeiss社製)を用いて、培養開始から3日後の毛髪再生用細胞包埋ビーズを観察した結果を図15A(上左:蛍光顕微鏡像、下左:共焦点レーザー顕微鏡像)に示す。
図15A(上左:蛍光顕微鏡像、下左:共焦点レーザー顕微鏡像)から、毛髪再生用細胞包埋ビーズ内の間葉系細胞について、アクチン骨格の形成が観察されなかった。
【実施例】
【0135】
(6)毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径測定
位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)を用いて、培養開始から0日目、1日目及び3日目の毛髪再生用細胞包埋ビーズの画像を取得した。次いで、Image Jを用いて画像を解析し、毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径を測定した。結果を図15Bの(+)に示す。
図15Bの(+)から、3日間の培養により、毛髪再生用細胞包埋ビーズの直径はほとんど変化せず、約2.0mm程度のままであった。
これは、ブレビスタチンの添加により、間葉系細胞の細胞牽引力が阻害されたためであると推察された。
【実施例】
【0136】
[試験例7]Versican遺伝子のPCR解析
実施例4及び比較例3の毛髪再生用細胞包埋ビーズを用いて、発毛マーカータンパク質であるVersican遺伝子のRT-PCR解析を行った。
【実施例】
【0137】
(1)RNA抽出
まず、実施例4及び比較例3の毛髪再生用細胞包埋ビーズについて試験例2の(1)と同様の方法を用いて、RNA溶解液を得た。
【実施例】
【0138】
(2)分光光度計によるRNA濃度測定
次いで、試験例2の(2)と同様の方法を用いて、各毛髪再生用細胞包埋ビーズのRNA溶解液の濃度を測定した。
【実施例】
【0139】
(3)RT-PCR
次いで、試験例2の(3)と同様の方法を用いて、各毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNAを得た。
次いで、マイクロチューブに上記表2に示す組成の溶液を加え、透明フィルムで覆った。表2において、DNAとは、各毛髪再生用細胞包埋ビーズ由来のRNAの逆転写産物であるcDNAを示す。さらに、PCRで用いたプライマーの塩基配列について、上記表3に示す。
【実施例】
【0140】
次いで、サーマルサイクラーにセットし、しっかり閉まっていることを確認した。次いで、95℃で4分間、(95℃で5秒間、60℃で60秒間)×45サイクル、72℃で10分間のプロトコールにてPCRを行った。コントロールとして、GAPDHの発現量を測定し、GAPDHの発現量に対するVersicanの相対的な発現量を算出した。結果を図16に示す。なお、図16において、(+)とは、比較例3のブレビスタチンを添加して培養した毛髪再生用細胞包埋ビーズを示し、(-)とは、実施例4のブレビスタチン無添加で培養した毛髪再生用細胞包埋ビーズを示す。
【実施例】
【0141】
図16から、培養開始から1日目及び3日目ともに、ブレビスタチン(+)(比較例3)の方がブレビスタチン(-)(実施例4)よりもVersican遺伝子の発現が有意に低い傾向が見られた。これは、ブレビスタチン添加による毛髪再生用細胞包埋ビーズの収縮阻害が、毛包誘導遺伝子(Versican)の発現を抑制したためと考えられる。
以上のことから、毛髪再生用細胞包埋ビーズの収縮は、間葉系細胞の毛包誘導遺伝子の発現を増加させる効果があることが示唆された。
【実施例】
【0142】
[実施例5]マウス毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物の作製
(1)間葉系細胞及び上皮系細胞の採取
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児から間葉系細胞及び上皮系細胞を採取した。
【実施例】
【0143】
(2)細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程
次いで、採取した間葉系細胞のうち1.0×10cellsにDMEM(10%FBS、1%P/S含有)を添加し、1,000rpm、180秒間遠心した後、上清を除去した。次いで、間葉系細胞をコラーゲン Type1(コラーゲン3mg/mL含有、新田ゼラチン社製)0.2mLに懸濁した。
【実施例】
【0144】
Prime surface 96 u plate(住友ベークライト社製)のウェルに、懸濁液を2μL(1.0×10cells/2μL)ずつ、滴下した。37℃で30分間インキュベートし、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製した。
【実施例】
【0145】
(3)上皮系細胞の細胞懸濁液の調製
次いで、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)とHuMedia-KG2培地(KURABO社製)との1:1混合培地に、1.0×10cells/mLとなるように、(1)で採取した上皮系細胞を懸濁させた。
【実施例】
【0146】
(4)毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物作製工程
次いで、上皮系細胞を含む懸濁液を100μLずつ、(2)で作製した細胞包埋硬化ゲル形成体を含むウェルに添加し、3日間浮遊培養し、毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物を作製した。
【実施例】
【0147】
[参考例1]マウス再生毛包原基の作製
(1)間葉系細胞及び上皮系細胞の採取
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児から間葉系細胞及び上皮系細胞を採取した。
【実施例】
【0148】
(2)毛包原基の形成
次いで、Prime surface 96 u plate(住友ベークライト社製)のウェルに、上皮系細胞(1×10cells/mL)及び間葉系細胞(1×10cells/mL)の細胞混合懸濁液を0.1mL(上皮系細胞及び間葉系細胞、各1×10cellsずつ含有)加え、3日間培養し、再生毛包原基を作製した。培地は、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)とHuMedia-KG2培地(KURABO社製)との1:1混合培地を用いた。
【実施例】
【0149】
[試験例8]ヌードマウスを用いた皮下移植試験
(1)ヌードマウスへの皮下移植
実施例5の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物、及び、参考例1の再生毛包原基をヌードマウス皮内にパッチ法を用いて移植した。動物の飼育及び動物実験は、横浜国立大学動物実験委員会の指針に遵守して行った。
具体的には、まず、ヌードマウスにイソフルラン吸引麻酔を行い、背部をイソジンで消毒した。次いで、20G Vランスマイクロメス(日本アルコン社製)を用いて、皮膚表皮層から真皮層下部に至る移植穴を形成した。次いで、この移植穴に、実施例5の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物各1個/1箇所(合計50箇所)、又は、参考例1の再生毛包原基各1個/1箇所(合計50箇所)を、マイクロピペットを用いて挿入した(図17A参照。)。
図17Aは実施例5のマウス毛髪再生用細胞包埋ビーズの製造方法、及び、参考例1の再生毛包原基の製造方法、並びに、ヌードマウスへのパッチ法による皮下移植方法を模式的に示す図である。図17Aにおいて、「HB」とは“Hair beads”の略称であり、実施例5で作製された毛髪再生用細胞包埋ビーズ及び上皮系細胞の混合物を示す。また、「HFG」は“Hair follicle germs”の略称であり、参考例1の再生毛包原基を示す。
実施例5の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物(HB)及び参考例1の再生毛包原基(HFG)の移植から3週間後に、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて、移植部を観察した結果を図17Bに示す。
また、図17Cは、実施例5のHB及び参考例1のHFGの移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪数を示すグラフである。
【実施例】
【0150】
(2)結果
図17Bから、移植から3週間後には、実施例5の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物(HB)、及び、参考例1の再生毛包原基(HFG)はそれぞれホストであるヌードマウスの皮膚内に生着して、毛成長する様子が観察された。
また、図17Cから、再生毛髪数について、HBはHFGよりも有意に高い値を示した。
以上のことから、高密度のコラーゲンを含むHBはHFGよりも高い毛髪再生能を有することが示された。
【実施例】
【0151】
[実施例6]ヒト毛乳頭細胞を用いた毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物の作製
(1)上皮系細胞の採取
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児から上皮系細胞を採取した。
【実施例】
【0152】
(2)細胞包埋硬化ゲル形成体作製工程
次いで、ヒト毛乳頭細胞(PromoCell社製)1.0×10cellsにヒト毛乳頭細胞増殖培地(DPCGM)(PromoCell社製)を添加し、1,000rpm、180秒間遠心した後、上清を除去した。次いで、間葉系細胞をコラーゲン Type1(コラーゲン3mg/mL含有、新田ゼラチン社製)0.2mLに懸濁した。
【実施例】
【0153】
Prime surface 96 u plate(住友ベークライト社製)のウェルに、懸濁液を2μL(1.0×10cells/2μL)ずつ、滴下した。37℃で30分間インキュベートし、細胞包埋硬化ゲル形成体を作製した。
【実施例】
【0154】
(3)上皮系細胞の細胞懸濁液の調製
次いで、ヒト毛乳頭細胞増殖培地(DPCGM)(PromoCell社製)とHuMedia-KG2培地(KURABO社製)との1:1混合培地に、1.0×10cells/mLとなるように、(1)で採取した上皮系細胞を懸濁させた。
【実施例】
【0155】
(4)毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物作製工程
次いで、上皮系細胞を含む懸濁液を100μLずつ、(2)で作製した細胞包埋硬化ゲル形成体を含むウェルに添加し、3日間浮遊培養し、毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物を作製した。
【実施例】
【0156】
[参考例2]ヒト間葉系細胞とマウス上皮系細胞とを用いた再生毛包原基の作製
(1)上皮系細胞の採取
実施例1の(1)と同様の方法を用いて、妊娠マウスC57BL/6jjclの子宮内の胎齢18日齢のマウス胎児から上皮系細胞を採取した。
【実施例】
【0157】
(2)毛包原基の形成
次いで、Prime surface 96 u plate(住友ベークライト社製)のウェルに、上皮系細胞(1×10cells/mL)及びヒト毛乳頭細胞(PromoCell社製)(1×10cells/mL)の細胞混合懸濁液を0.1mL(上皮系細胞及びヒト毛乳頭細胞、各1×10cellsずつ含有)加え、3日間培養し、再生毛包原基を作製した。培地は、DMEM(10%FBS、1%P/S含有)とHuMedia-KG2培地(KURABO社製)との1:1混合培地を用いた。
【実施例】
【0158】
[試験例9]ヌードマウスを用いた皮下移植試験
(1)ヌードマウスへの皮下移植
実施例6の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物(以下、「HB2」と称する場合がある。)、及び、参考例2の再生毛包原基(以下、「HFG2」と称する場合がある。)をヌードマウス皮内にパッチ法を用いて移植した。動物の飼育及び動物実験は、横浜国立大学動物実験委員会の指針に遵守して行った。
具体的には、まず、ヌードマウスにイソフルラン吸引麻酔を行い、背部をイソジンで消毒した。次いで、20G Vランスマイクロメス(日本アルコン社製)を用いて、皮膚表皮層から真皮層下部に至る移植穴を形成した。次いで、この移植穴に、実施例6の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物各1個/1箇所(合計25箇所)、又は、参考例2の再生毛包原基各1個/1箇所(合計25箇所)を、マイクロピペットを用いて挿入した。
【実施例】
【0159】
(2)観察結果
実施例6の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物(HB2)及び参考例2の再生毛包原基(HFG2)の移植から3週間後に、デジタルマイクロスコープ(VHX-1000 KEYENCE社製)を用いて、移植部を観察した。その結果を図18Aに示す。
また、図18Bは、実施例6のHB2及び参考例2のHFG2の移植から3週間後のヌードマウスの移植部での再生毛髪数を示すグラフである。
【実施例】
【0160】
(3)切片の作製
次いで、実施例6のHB2の移植から3週間後のヌードマウスの移植部の皮膚を切り出した。続いて、10%中性緩衝ホルマリン液(Wako社製)に1日浸漬することで、組織の固定を行った。続いて、10%、20%、30%スクロース溶液(Wako社製のスクロースを希釈して調製した溶液)にそれぞれ1時間ずつ浸した。スクロース置換した切片を凍結組織切片作製用包埋剤(Optimal Cutting Temperature Compound:O.C.T Compound)(サクラファインテック社製)を静かに流し込み、混合スフェロイドを封入した。続いて、クライオミクロトームを用いて微小の厚さにカットした。カットされた切片をスライドガラスに垂直に押し当て、転写した。
【実施例】
【0161】
(4)HE染色
次いで、(3)で作製した切片について、実施例1の(5-2)と同様の方法を用いて、HE染色を行った。染色後の切片を位相差顕微鏡(IX-71 OLYMPUS社製)で観察した結果を図18Cに示す。
【実施例】
【0162】
(5)毛のキューティクル構造の観察
毛のキューティグル構造を確認するために、実施例6のHB2の移植から3週間後のヌードマウスの移植部を、SEMを用いて観察した。その結果を図18Dに示す。
【実施例】
【0163】
(6)結果と考察
図18Aから、移植から3週間後には、実施例6の毛髪再生用細胞包埋ビーズと上皮系細胞との混合物(HB2)、及び、参考例2の再生毛包原基(HFG2)はそれぞれホストであるヌードマウスの皮膚内に生着して、毛成長する様子が観察された。
また、図18Bから、再生毛髪数について、HB2はHFG2よりも有意に高い値を示した。
また、図18Cから、HB2の移植部において毛包が形成されたことが確認できた。
また、図18Dから、HB2の移植部において、キューティクル構造を有する毛の再生が確認できた。
【実施例】
【0164】
以上のことから、高密度のコラーゲンを含むHB2はHFG2よりも高い毛髪再生能を有することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0165】
本発明によれば、高い毛髪再生活性を有する毛髪再生用細胞包埋ビーズを提供することができる。さらに、本発明の毛髪再生用細胞包埋ビーズを利用することにより、高い毛髪再生効率を実現できる。
【符号の説明】
【0166】
1…間葉系細胞、2…生体適合性ハイドロゲル、3…撥水性表面を有する支持体、4…細胞包埋硬化ゲル形成体、5…培地、6…毛髪再生用細胞包埋ビーズ。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4A】
3
【図4B】
4
【図5】
5
【図6A】
6
【図6B】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10A】
11
【図10B】
12
【図11A】
13
【図11B】
14
【図12】
15
【図13A】
16
【図13B】
17
【図14】
18
【図15A】
19
【図15B】
20
【図16】
21
【図17A】
22
【図17B】
23
【図17C】
24
【図18A】
25
【図18B】
26
【図18C】
27
【図18D】
28