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明細書 :トリアリーレン化合物及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成31年4月18日(2019.4.18)
発明の名称または考案の名称 トリアリーレン化合物及びその製造方法
国際特許分類 C07C   1/28        (2006.01)
C07C  15/38        (2006.01)
C07C  69/76        (2006.01)
C07C  67/343       (2006.01)
C07C 321/28        (2006.01)
C07C 319/20        (2006.01)
C07C 255/52        (2006.01)
C07C 253/30        (2006.01)
C07C  43/20        (2006.01)
C07C  41/30        (2006.01)
C07C  22/08        (2006.01)
C07C  17/269       (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
C07C  15/20        (2006.01)
C07C   5/44        (2006.01)
C07D 333/54        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 1/28 CSP
C07C 15/38
C07C 69/76 A
C07C 67/343
C07C 321/28
C07C 319/20
C07C 255/52
C07C 253/30
C07C 43/20 D
C07C 41/30
C07C 22/08
C07C 17/269
C07F 7/08 W
C07C 15/20
C07C 5/44
C07D 333/54
C07B 61/00 300
国際予備審査の請求
全頁数 60
出願番号 特願2018-521145 (P2018-521145)
国際出願番号 PCT/JP2017/020703
国際公開番号 WO2017/209297
国際出願日 平成29年6月2日(2017.6.2)
国際公開日 平成29年12月7日(2017.12.7)
優先権出願番号 2016111353
優先日 平成28年6月2日(2016.6.2)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , ST , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , KM , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DJ , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IR , IS , JP , KE , KG , KH , KN , KP , KR , KW , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SA , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ
発明者または考案者 【氏名】伊丹 健一郎
【氏名】村上 慧
【氏名】古賀 義人
【氏名】金田 岳志
【氏名】齋藤 雄太朗
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H039
4H049
Fターム 4H006AA01
4H006AA02
4H006AC28
4H006BA25
4H006BA48
4H006BA50
4H006BA92
4H006BD70
4H006BE90
4H006BJ50
4H006BS30
4H006GN01
4H006GP03
4H006KA31
4H039CA41
4H039CH10
4H039CH20
4H049VN01
4H049VP04
4H049VQ08
4H049VR24
4H049VS12
4H049VT17
4H049VT29
4H049VT30
4H049VT44
4H049VW01
要約 パラジウム触媒及び塩基の存在下に、
一般式(2):
JP2017209297A1_000046t.gif
[式中、R1及びR2は前記に同じである。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物を反応させることで、入手容易な化合物を用いて、温和な条件でトリアリーレン化合物を合成することができる。
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1):
【化1】
JP2017209297A1_000041t.gif
[式中、R1及びR1'は水素原子、置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R3は水素原子を示す。R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。R1とR3は結合し、環を形成してもよい。R1'とR3は結合し、環を形成してもよい。R2とR'は結合し、環を形成してもよい。]
で表される多環芳香族化合物の製造方法であって、
パラジウム触媒及び塩基の存在下に、
一般式(2):
【化2】
JP2017209297A1_000042t.gif
[式中、R1及びR2は前記に同じである。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物を反応させる反応工程
を備える、製造方法。
【請求項2】
前記R1が水素原子、置換若しくは無置換フェニル基、置換若しくは無置換ナフチル基、又は置換若しくは無置換ベンゾチエニル基である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記R2が置換若しくは無置換フェニル基、置換若しくは無置換ナフチル基、又は置換若しくは無置換ベンゾチエニル基である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記R’が置換若しくは無置換ベンゼン環、置換若しくは無置換ナフタレン環、又は置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環である、請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
前記反応工程において、配位子化合物を添加する、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
前記配位子化合物がホスフィン化合物である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記塩基がアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属フッ化物塩である、請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
前記反応工程において、カルボン酸を添加する、請求項1~7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
前記反応工程の後に、酸化剤の存在下に分子内環化反応を起こす工程を備える、請求項1~8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
一般式(1A1):
【化3】
JP2017209297A1_000043t.gif
[式中、R1及びR1'は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。ただし、R1、R1’及びR2がいずれも無置換フェニル基であり、R’が4-(9,12-ジフェニルトリフェニル)-2,5-ジメチルフェニル基、4-(2,9,12-トリフェニルトリフェニル)-2,5-ジメチルフェニル基、又はトリフェニルフェニル基で置換されたベンゼンである化合物を除く。]
、一般式(1A2):
【化4】
JP2017209297A1_000044t.gif
[式中、R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R'は置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。ただし、R2が置換フェニル基でありR’が置換ベンゼン環である場合は、1,5-ビス[3-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-イル)フェニルトリフェニレン、7,7’-(1,5-トリフェニレンジイル)-ビスベンゾオキサゾール、1,12-ビス([1,1’:3’,1-ターフェニル]-3-イル)トリフェニレン、3,3’-(1-12-トリフェニレンジイル)ビス[9-フェニル-9H-カルバゾール], ,3’-(1-12-トリフェニレンジイル)ビスジベンゾチオフェン、1-[3-(ブロモメチル)-5-メチルフェニル]-12-(3,5-ジメチルフェニル)-トリフェニレン、1-[3-(ブロモメチル)-5-メチルフェニル]-12-フェニルトリフェニレン、1-フェニル-12-(2,4,6-トリメチルフェニル)-トリフェニレン、1-(4-メチルフェニル)-12-フェニル-トリフェニレン、1-(3,5-ジメチルフェニル)-12-フェニルトリフェニレン、1,12-ビス(3,5-ジメチルフェニル)-トリフェニレン、8,9-ジフェニルジベンゾ[f,j]ピセン、2-ヨード-1,12-ジフェニルトリフェニレン、及び1,12-ジフェニルトリフェニレンを除く。また、R’が無置換ベンゼン環である場合は、R2は、置換若しくは無置換フェニル基、置換ナフチル基、置換ピリジル基、置換ピラジル、置換若しくは無置換ジベンゾフラン基、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェン基、置換若しくは無置換カルバゾール基、置換若しくは無置換ベンゾトリアゾール基、置換若しくは無置換キノリン基、トリフェニレン基、フェナントレン基、インダンジオン基、並びにフローレン基を除く。]
で表されるトリアリーレン化合物。
【請求項11】
前記R1及びR1'が水素原子、置換若しくは無置換フェニル基、置換若しくは無置換ナフチル基、又は置換若しくは無置換ベンゾチエニル基である、請求項10に記載のトリアリーレン化合物。
【請求項12】
前記R2が置換若しくは無置換フェニル基、置換若しくは無置換ナフチル基、又は置換若しくは無置換ベンゾチエニル基である、請求項10又は11に記載のトリアリーレン化合物。
【請求項13】
前記R’が置換若しくは無置換ベンゼン環、置換若しくは無置換ナフタレン環、又は置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環である、請求項10~12のいずれかに記載のトリアリーレン化合物。
【請求項14】
一般式(1B):
【化5】
JP2017209297A1_000045t.gif
で表される、多環芳香族化合物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、トリアリーレン化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ベンゼンからオルト位に位置する2個の水素原子を取り除いたベンザインは大きく歪んだ三重結合を有しており、高い反応性を示す。このため、反応中間体として様々な有機合成に用いられてきており、例えば、海綿から単離されたテロメラーゼ阻害活性を有するDictyodendrin A、抗癌剤Ukrainの有効成分であるChelidonine等の他、トリアリーレン化合物等の合成にも用いられている。なかでも、トリアリーレン化合物(特にトリフェニレン化合物)は、有機EL材料、液晶材料等としても利用される有用な化合物である。
【0003】
このように、ベンザインは有機合成化学において広く用いられてきた有用な化学種であるが、ベンザインは不安定な化合物であるため系中で発生させる必要がある。また、ベンザインの発生には強塩基、酸化剤等を使用したり、前駆体の事前に調製したりすることが必要であった。このため、適用可能な基質が制限されたり、前駆体調製により工程数が増加したりすることが問題とされてきた。
【0004】
このため、上記のトリアリーレン化合物の合成においては、反応中間体であるベンザインをどのようにして発生させるかが鍵となっている。
【0005】
例えば、ハロゲン化アリール化合物に強塩基を作用させることで、ハロゲンが脱離して強塩基を付加させることが知られている。この反応においては、強塩基がハロゲン原子のオルト位水素原子を脱プロトンすることでベンザインを発生させていることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、オルト位にシリル基を有するアリールトリフラートにフッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)を作用させることによっても、ベンザインが発生することも知られている(例えば、非特許文献2参照)。この反応においては、TBAFをアリールトリフラートに作用させることでシリル基が脱離し、トリフラート基のオルト位にカルバニオンを生成している。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 1953, 75, 3290
【非特許文献2】Chem. Lett. 1983, 1211
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、非特許文献1の方法では強塩基の使用が不可欠であるため、基質の官能基許容性が低く、基質の適用範囲が大きく制限されていた。一方、非特許文献2の方法では、TBAFをアリールトリフラートに作用させることでシリル基が脱離し、トリフラート基のオルト位にカルバニオンを生成しており、強塩基が不要であるうえに室温で行うことができるため温和な反応を行えるものの、基質であるアリールトリフラートの調製が煩雑であり、工程数の増大が不可避である。このため、入手容易な化合物を用いて、温和な条件でベンザインを発生させる方法は存在しない。当然ながら、入手容易な化合物を用いて、温和な条件でトリアリーレン化合物を合成する方法も知られていない。
【0008】
以上から、本発明は、入手容易な化合物を用いて、温和な条件でトリアリーレン化合物を合成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、パラジウム触媒及び塩基の存在下に、所望の基質化合物同士を反応させることにより、強塩基を使用せずとも、温和な条件でトリアリーレン化合物を合成することができることを見出した。この際使用できる基質化合物は、入手が容易な化合物である。本発明者らは、このような知見に基づき、さらに研究を重ね、本発明を完成した。すなわち、本発明は以下の構成を包含する。
【0010】
項1.一般式(1):
【0011】
【化1】
JP2017209297A1_000003t.gif

【0012】
[式中、R1及びR1'は水素原子、置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R3は水素原子を示す。R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。R1とR3は結合し、環を形成してもよい。R1'とR3は結合し、環を形成してもよい。R2とR'は結合し、環を形成してもよい。]
で表される多環芳香族化合物の製造方法であって、
パラジウム触媒及び塩基の存在下に、
一般式(2):
【0013】
【化2】
JP2017209297A1_000004t.gif

【0014】
[式中、R1及びR2は前記に同じである。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物を反応させる反応工程
を備える、製造方法。
【0015】
項2.前記R1が水素原子、置換若しくは無置換フェニル基、置換若しくは無置換ナフチル基、又は置換若しくは無置換ベンゾチエニル基である、項1に記載の製造方法。
【0016】
項3.前記R2が置換若しくは無置換フェニル基、置換若しくは無置換ナフチル基、又は置換若しくは無置換ベンゾチエニル基である、項1又は2に記載の製造方法。
【0017】
項4.前記R’が置換若しくは無置換ベンゼン環、置換若しくは無置換ナフタレン環、又は置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環である、項1~3のいずれかに記載の製造方法。
【0018】
項5.前記反応工程において、配位子化合物を添加する、項1~4のいずれかに記載の製造方法。
【0019】
項6.前記配位子化合物がホスフィン化合物である、項5に記載の製造方法。
【0020】
項7.前記塩基がアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属フッ化物塩である、項1~6のいずれかに記載の製造方法。
【0021】
項8.前記反応工程において、カルボン酸を添加する、項1~7のいずれかに記載の製造方法。
【0022】
項9.前記反応工程の後に、酸化剤の存在下に分子内環化反応を起こす工程を備える、項1~8のいずれかに記載の製造方法。
【0023】
項10.一般式(1A1):
【0024】
【化3】
JP2017209297A1_000005t.gif

【0025】
[式中、R1及びR1'は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。ただし、R1、R1’及びR2がいずれも無置換フェニル基であり、R’が4-(9,12-ジフェニルトリフェニル)-2,5-ジメチルフェニル基、4-(2,9,12-トリフェニルトリフェニル)-2,5-ジメチルフェニル基、又はトリフェニルフェニル基で置換されたベンゼンである化合物を除く。]
、一般式(1A2):
【0026】
【化4】
JP2017209297A1_000006t.gif

【0027】
[式中、R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R'は置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。ただし、R2が置換フェニル基でありR’が置換ベンゼン環である場合は、1,5-ビス[3-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-イル)フェニルトリフェニレン、7,7’-(1,5-トリフェニレンジイル)-ビスベンゾオキサゾール、1,12-ビス([1,1’:3’,1-ターフェニル]-3-イル)トリフェニレン、3,3’-(1-12-トリフェニレンジイル)ビス[9-フェニル-9H-カルバゾール], ,3’-(1-12-トリフェニレンジイル)ビスジベンゾチオフェン、1-[3-(ブロモメチル)-5-メチルフェニル]-12-(3,5-ジメチルフェニル)-トリフェニレン、1-[3-(ブロモメチル)-5-メチルフェニル]-12-フェニルトリフェニレン、1-フェニル-12-(2,4,6-トリメチルフェニル)-トリフェニレン、1-(4-メチルフェニル)-12-フェニル-トリフェニレン、1-(3,5-ジメチルフェニル)-12-フェニルトリフェニレン、1,12-ビス(3,5-ジメチルフェニル)-トリフェニレン、8,9-ジフェニルジベンゾ[f,j]ピセン、2-ヨード-1,12-ジフェニルトリフェニレン、及び1,12-ジフェニルトリフェニレンを除く。また、R’が無置換ベンゼン環である場合は、R2は、置換若しくは無置換フェニル基、置換ナフチル基、置換ピリジル基、置換ピラジル、置換若しくは無置換ジベンゾフラン基、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェン基、置換若しくは無置換カルバゾール基、置換若しくは無置換ベンゾトリアゾール基、置換若しくは無置換キノリン基、トリフェニレン基、フェナントレン基、インダンジオン基、並びにフローレン基を除く。]
で表されるトリアリーレン化合物。
【0028】
項11.前記R1及びR1'が水素原子、置換若しくは無置換フェニル基、置換若しくは無置換ナフチル基、又は置換若しくは無置換ベンゾチエニル基である、項10に記載のトリアリーレン化合物。
【0029】
項12.前記R2が置換若しくは無置換フェニル基、置換若しくは無置換ナフチル基、又は置換若しくは無置換ベンゾチエニル基である、項10又は11に記載のトリアリーレン化合物。
【0030】
項13.前記R’が置換若しくは無置換ベンゼン環、置換若しくは無置換ナフタレン環、又は置換若しくは無置換ベンゾチオフェン環である、項10~12のいずれかに記載のトリアリーレン化合物。
【0031】
項14.一般式(1B):
【0032】
【化5】
JP2017209297A1_000007t.gif

【0033】
で表される、多環芳香族化合物。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、パラジウム触媒及び塩基の存在下に、所望の基質化合物同士を反応させることにより、わずか1工程のみで、温和な条件の反応によりトリアリーレン化合物を得ることができる。なお、使用できる基質化合物は、入手容易な化合物である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施例2で得た化合物2bの熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による構造である。
【図2】実施例2及び5で得た化合物2pの熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による構造である。
【図3】実施例5で得た化合物2p’の熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による構造である。
【図4】(A) 化合物3cのフレークのラマンスペクトル、及び係数0.9613でスケーリングしたB3LYP/6-31G(d)レベルの理論を用いて計算したシミュレートスペクトルを示す。(B, C) Aの拡大スペクトルを示す。
【図5】化合物2bのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図6】化合物2pのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図7】化合物2p’のUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図8】化合物2dのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図9】化合物2lのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図10】化合物2mのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図11】化合物2nのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図12】化合物2gのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図13】化合物2eのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図14】化合物2fのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図15】化合物2kのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図16】化合物2cのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【図17】化合物3aのUV-Vis吸収スペクトル(実線)及び蛍光スペクトル(破線)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の多環芳香族化合物の製造方法は、一般式(1):

【0037】
【化6】
JP2017209297A1_000008t.gif

【0038】
[式中、R1及びR1'は水素原子、置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R3は水素原子を示す。R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。R1とR3は結合し、環を形成してもよい。R1'とR3は結合し、環を形成してもよい。R2とR'は結合し、環を形成してもよい。]
で表される多環芳香族化合物(以下、「多環芳香族化合物(1)」と言うこともある)の製造方法であって、
パラジウム触媒及び塩基の存在下に、
一般式(2):

【0039】
【化7】
JP2017209297A1_000009t.gif

【0040】
[式中、R1及びR2は前記に同じである。Xはハロゲン原子を示す。]
で表される化合物を反応させる反応工程
を備える。

【0041】
この反応工程においては、パラジウム触媒及び塩基の存在下に、基質となる一般式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」と言うこともある)同士を反応させ、多環芳香族化合物(1)を得ることができる。この際、反応させる化合物(2)としては、同種の化合物(2)同士を反応させることが好ましい。この反応工程において、基質となる化合物(2)は、様々な置換基を有する化合物も使用することができるため、様々な多環芳香族化合物を合成することが可能である。

【0042】
一般式(1)及び(2)において、R1及びR1'で示されるアリール基としては、例えば、フェニル基、ペンタレニル基、インデニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ベンゾアントラセニル基、ピレニル基、ペリレニル基、トリフェニレニル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、インダセニル基、アセナフチル基、フルオレニル基、フェナレニル基、フルオランテニル基、コロネニル基等が挙げられる。

【0043】
また、R1及びR1'で示されるアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、アルキル基(メチル基、tert-ブチル基等のC1-6アルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等のC1-6アルコキシ基等)、上記アリール基、後述のヘテロアリール基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC2-7アルコキシカルボニル基等)、チオアルキル基(チオメチル基等のC1-6チオアルキル基等)等が挙げられる。置換基としてのアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びヘテロアリール基は、上記置換基で置換されていてもよい。置換基を有する場合の置換基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0044】
一般式(1)及び(2)において、R1及びR1'で示されるヘテロアリール基としては、例えば、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾイミダゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基、プテリジル基、ベンゾフラニル基、クマリル基、ベンゾチエニル基等が挙げられる。

【0045】
また、R1及びR1'で示されるヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、シアノ基、アルキル基(メチル基等のC1-6アルキル基等)、アルコキシ基(メトキシ基等のC1-6アルコキシ基等)、上記アリール基、上記ヘテロアリール基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基等のC2-7アルコキシカルボニル基等)、チオアルキル基(チオメチル基等のC1-6チオアルキル基等)等が挙げられる。置換基としてのアルキル基、アルコキシ基、アリール基及びヘテロアリール基は、上記置換基で置換されていてもよい。置換基を有する場合の置換基の数は、1~6個が好ましく、1~3個がより好ましい。

【0046】
なかでも、R1及びR1'としては、水素原子、フェニル基、ナフチル基、ベンゾチエニル基等が好ましく、これらは、シアノ基、上記アルキル基、上記アルコキシ基、上記アリール基、上記アルコキシカルボニル基、上記チオアルキル基等で置換されていてもよい。ただし、ヘテロアリール基は安定性が低く収率が低くなりやすいためR1としては、水素原子又はアリール基が好ましい。

【0047】
一般式(1)及び(2)において、R2で示されるアリール基及びヘテロアリール基としては、上記したものを採用できる。置換基の種類及び数も同様である。なかでも、R2としては、フェニル基、ナフチル基、ベンゾチエニル基等が好ましく、これらは、シアノ基、上記アルキル基、上記アルコキシ基、上記アリール基、上記アルコキシカルボニル基、上記チオアルキル基等で置換されていてもよい。ただし、ヘテロアリール基は安定性が低く収率が低くなりやすいためR1としては、水素原子又はアリール基が好ましい。

【0048】
一般式(1)において、R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。基質として使用する化合物(2)のR2が置換若しくは無置換アリール基である場合はR'は当該置換若しくは無置換アリール基由来の置換若しくは無置換芳香族炭化水素環であり、基質として使用する化合物(2)のR2が置換若しくは無置換ヘテロアリール基である場合はR'は当該置換若しくは無置換ヘテロアリール基由来の置換若しくは無置換複素芳香環である。

【0049】
この観点から、R'で示される芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ペンタレン環、インデン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、フェナントレン環、ベンゾアントラセン環、ピレン環、ペリレン環、トリフェニレン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、アセナフタレン環、フルオレン環、フェナレン環、フルオランテン環、コロネン環等が挙げられ、上記ハロゲン原子、シアノ基、上記アルキル基、上記アルコキシ基、上記アリール基、上記ヘテロアリール基、上記アルコキシカルボニル基、上記チオアルキル基等の1~6個(特に1~3個)で置換されていてもよい。

【0050】
また、R'で示される複素芳香環としては、例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピペリジン環、イミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピペラジン環、トリアジン環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、モルホリン環、チアゾール環、イソチアゾール環、インドール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾイミダゾール環、キナゾリン環、フタラジン環、プリン環、プテリジン環、ベンゾフラン環、クマリン環、ベンゾチオフェン環等が挙げられ、上記ハロゲン原子、シアノ基、上記アルキル基、上記アルコキシ基、上記アリール基、上記ヘテロアリール基、上記アルコキシカルボニル基、上記チオアルキル基等の1~6個(特に1~3個)で置換されていてもよい。

【0051】
なかでも、R'としては、ベンゼン環、ナフタレン環、ベンゾチオフェン環等が好ましく、これらは、シアノ基、上記アルキル基、上記アルコキシ基、上記アリール基、上記アルコキシカルボニル基、上記チオアルキル基等で置換されていてもよい。ただし、複素芳香環は安定性が低く収率が低くなりやすいためR'としては、芳香族炭化水素環が好ましい。

【0052】
一般式(1)において、R1とR3は結合し、環を形成してもよい。形成され得る環としては、上記した芳香族炭化水素環が挙げられる。

【0053】
一般式(1)において、R1'とR3は結合し、環を形成してもよい。形成され得る環としては、上記した芳香族炭化水素環が挙げられる。

【0054】
一般式(1)において、R2とR'は結合し、環を形成してもよい。形成され得る環としては、上記した芳香族炭化水素環が挙げられる。

【0055】
一般式(2)において、Xで示されるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、収率等の観点から、フッ素原子、塩素原子等が好ましく、塩素原子がより好ましい。

【0056】
以上のような観点から、基質として使用される化合物(2)としては、例えば、

【0057】
【化8】
JP2017209297A1_000010t.gif

【0058】
[式中、t-Buはtert-ブチル基を示す。Phはフェニル基を示す。以下同様である。]
等が挙げられる。

【0059】
パラジウム触媒を使用することにより、本発明の製造方法によりトリアリーレン化合物を得ることができる。パラジウム触媒を使用しない場合は、本発明の反応が進行しない。パラジウム触媒としては、特に制限されず、金属パラジウムをはじめ、有機化合物(高分子化合物を含む)等の合成用触媒として公知のパラジウム化合物等が挙げられる。パラジウム触媒としては、0価パラジウムを含む化合物及びII価パラジウムを含む化合物のいずれも採用できる。なお、0価パラジウムを含む化合物を用いた場合には、当該0価パラジウムは、系中で酸化されてII価パラジウムになる。使用できるパラジウム化合物としては、具体的には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(PPh3)4)、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(Pd2(dba)3)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0)、ビス(トリtert-ブチルホスフィノ)パラジウム(0)、酢酸パラジウム(Pd(OAc)2(Acはアセチル基;以下同様))、ハロゲン化パラジウム(PdCl2、PdBr2、PdI2)、Pd(PPh3)2Cl2(Phはフェニル基;以下同様)、Pd(OTf)2(Tfはトリフルオロメチルスルホニル基)等が挙げられる。本発明においては、反応収率等の観点から、ハロゲン化パラジウムが好ましく、PdCl2がより好ましい。これらのパラジウム触媒は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。

【0060】
パラジウム触媒の使用量は、基質の種類により適宜選択することが可能であり、例えば、基質である化合物(2)の合計量1モルに対して、通常、0.01~1モルが好ましく、0.02~0.5モルがより好ましく、0.03~0.3モルがさらに好ましい。

【0061】
本発明においては、上記パラジウム触媒とともに、パラジウム原子に配位し得る配位子化合物を使用することができる。配位子化合物を使用しなくても反応を進行させることができるが、配位子化合物を使用することにより、反応収率をさらに向上させることも可能である。

【0062】
このような配位子化合物は、ホスフィン化合物が好ましく、例えば、トリフェニルホスフィン、トリメトキシホスフィン、トリエチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ(tert-ブチル)ホスフィン、トリ(n-ブチル)ホスフィン、トリイソプロポキシホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリフェノキシホスフィン、ジ(tert-ブチル)メチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、n-ブチルジアダマンチルホスフィン(Pn-Bu(Ad)2)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1’-ビス(tert-ブチル)フェロセン、ジフェニルホスフィノメタン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)ペンタン、1,2-ビス(ジペンタフルオロフェニルホスフィノ)エタン、1,2-ビス(ジシクロヘキシルホスフィノ)エタン、1,3-(ジシクロヘキシルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)プロパン、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン等が挙げられる。これらの配位子化合物は、溶媒和物であってもよい。これらは単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、反応収率等の観点から、n-ブチルジアダマンチルホスフィン(Pn-Bu(Ad)2)が好ましい。

【0063】
配位子化合物の使用量は、反応収率等の観点から、パラジウム触媒1モルに対して、0.1~20モルが好ましく、0.5~10モルがより好ましく、1~5モルがさらに好ましい。

【0064】
本発明において使用される塩基としては、化合物(2)が有するベンゼン環に作用して脱プロトンすることにより系中でベンザインを発生しやすくして本発明の反応をより効率的に行わせる観点から、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属フッ化物塩、アルカリ金属リン酸塩等が好ましい。これらの塩基としては、強塩基ではなく弱塩基を使用しても、本発明の反応を進行させることができる。このような塩基としては、例えば、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等のアルカリ金属炭酸塩;フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物塩等が挙げられる。これらは単独で使用することもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、本工程では、選択率、収率及び安全性の観点から、アルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属フッ化物塩が好ましい。

【0065】
本発明において、塩基の使用量は、選択率及び収率の観点から、基質である化合物(2)の合計量1モルに対して、通常、0.5~10モルが好ましく、1~8モルがより好ましい。なお、塩基として、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属リン酸塩等を使用する場合は基質である化合物(2)の合計量1モルに対して2~4モルが特に好ましく、アルカリ金属フッ化物塩を使用する場合は基質である化合物(2)の合計量1モルに対して4~6モルが特に好ましい。

【0066】
本発明では、さらに、添加剤として、カルボン酸を使用することもできる。カルボン酸を使用することにより、より高収率に本発明のトリアリーレン化合物を得ることも可能である。なお、Xが塩素である場合は、カルボン酸を使用した場合は、使用しない場合と比較して副反応が発生しやすく、単離が必要になるとともに、目的物自体の収率はカルボン酸を使用しないほうが高いことから、収率と副反応抑制のバランスの観点から、カルボン酸を使用しないことが好ましい。一方、Xが臭素である場合は、カルボン酸を使用することで、目的物自体の収率を向上させることができるため、カルボン酸を使用することが好ましい。

【0067】
カルボン酸としては、例えば、ピバル酸、1-メチルシクロプロパンカルボン酸、イソ酪酸、2,2-ジメチル酪酸、2-メチルマロン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1-メチル-1-シクロヘキサンカルボン酸、1-アダマンタンカルボン酸等の分岐カルボン酸;2,4,6-トリメチル安息香酸、安息香酸等の芳香族カルボン酸;酢酸等が挙げられる。これらのカルボン酸は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。なかでも、収率及び副反応抑制の観点から、分岐カルボン酸が好ましく、ピバル酸、1-メチルシクロプロパンカルボン酸、イソ酪酸、2-メチルマロン酸、シクロヘキサンカルボン酸、1-メチル-1-シクロヘキサンカルボン酸等がより好ましく、1-メチルシクロプロパンカルボン酸がさらに好ましい。

【0068】
カルボン酸を使用する場合の使用量は、基質の種類により適宜選択することが可能であり、例えば、基質である化合物(2)の合計量1モルに対して、通常、0.01~5モルが好ましく、0.05~2モルがより好ましく、0.1~1モルがさらに好ましい。なお、複数のカルボン酸を使用する場合には、合計使用量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0069】
本発明においては、上記成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜添加剤を使用することもできる。この場合の添加剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲とすることが好ましい。

【0070】
本発明の反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル(AcOn-Bu)、プロピオン酸エチル等のエステル;2-メチル-2-ブタノール(tert-アミルアルコール)等のアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。これらのうち、本発明では、反応収率等の観点から、鎖状エーテルが好ましく、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)がより好ましい。

【0071】
本発明の製造方法は、不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、100~200℃が好ましく、110~180℃がより好ましく、120~170℃がさらに好ましい。反応時間は、反応が十分に進行する時間とすることができ、通常、10分~48時間が好ましく、1~36時間がより好ましい。

【0072】
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物を得ることができる。

【0073】
このようにして、本発明の多環芳香族化合物の1種として、一般式(1A):

【0074】
【化9】
JP2017209297A1_000011t.gif

【0075】
[式中、R1及びR1'は水素原子、置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。]
で表されるトリアリーレン化合物を得ることができる。

【0076】
本発明では、このようにしてトリアリーレン化合物を得た後、酸化剤の存在下に分子内環化反応を起こすことにより、一般式(1B):

【0077】
【化10】
JP2017209297A1_000012t.gif

【0078】
[式中、R1及びR1'は水素原子、置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R3は水素原子を示す。R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。R1とR3は結合し、環を形成してもよい。R1'とR3は結合し、環を形成してもよい。]
で表される多環芳香族化合物を得ることもできる。上記一般式(1A)で表されるトリアリーレン化合物と、一般式(1B)で表される芳香族化合物とを、まとめて一般式(1)で表される芳香族化合物と表記することができる。

【0079】
酸化剤としては、特に制限はなく、分子内環化反応(Scholl反応等)を引き起こすことができる酸化剤であれば特に制限はなく、FeCl3、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン(DDQ)等が挙げられる。これらの酸化剤は、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。

【0080】
酸化剤の使用量は、基質によって適宜調整することが好ましいが、基質であるトリアリーレン化合物(1A)に対して過剰量とすることが好ましい。具体的には、トリアリーレン化合物(1A)1モルに対して、通常、1.0~30.0モルが好ましく、2.0~20.0モルがより好ましい。なお、複数の酸化剤を使用する場合には、合計使用量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0081】
上記分子内環化反応は、溶媒中で行うことが好ましい。溶媒としては、例えば、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等の脂肪族ハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、ペンタメチルベンゼン等の芳香族炭化水素;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル(AcOn-Bu)、プロピオン酸エチル等のエステル;2-メチル-2-ブタノール(tert-アミルアルコール)等のアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用いることもでき、2種以上を組合せて用いることもできる。これらのうち、本発明では、反応収率等の観点から、脂肪族ハロゲン化炭化水素が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。

【0082】
上記分子内環化反応は、不活性ガス雰囲気(窒素ガス、アルゴンガス等)下で行うことが好ましく、反応温度は、通常、-50~100℃が好ましく、-20~50℃がより好ましい。反応時間は、反応が十分に進行する時間とすることができ、通常、10分~72時間が好ましく、1~48時間がより好ましい。

【0083】
反応終了後は、必要に応じて通常の単離及び精製工程を経て、目的化合物を得ることができる。

【0084】
このようにして得られる本発明の多環芳香族化合物は、一般式(1):

【0085】
【化11】
JP2017209297A1_000013t.gif

【0086】
[式中、R1、R2及びR'は前記に同じである。]
で表される化合物であり、このうち、一般式(1A1):

【0087】
【化12】
JP2017209297A1_000014t.gif

【0088】
[式中、R1及びR1'は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R'は置換若しくは無置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。ただし、R1、R1’及びR2がいずれも無置換フェニル基であり、R’が4-(9,12-ジフェニルトリフェニル)-2,5-ジメチルフェニル基、4-(2,9,12-トリフェニルトリフェニル)-2,5-ジメチルフェニル基、又はトリフェニルフェニル基で置換されたベンゼンである化合物を除く。]
、一般式(1A2):

【0089】
【化13】
JP2017209297A1_000015t.gif

【0090】
[式中、R2は置換若しくは無置換アリール基、又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。R'は置換芳香族炭化水素環又は置換若しくは無置換複素芳香環を示す。ただし、R2が置換フェニル基でありR’が置換ベンゼン環である場合は、1,5-ビス[3-(9,9-ジメチル-9H-フルオレン-3-イル)フェニルトリフェニレン、7,7’-(1,5-トリフェニレンジイル)-ビスベンゾオキサゾール、1,12-ビス([1,1’:3’,1-ターフェニル]-3-イル)トリフェニレン、3,3’-(1-12-トリフェニレンジイル)ビス[9-フェニル-9H-カルバゾール], ,3’-(1-12-トリフェニレンジイル)ビスジベンゾチオフェン、1-[3-(ブロモメチル)-5-メチルフェニル]-12-(3,5-ジメチルフェニル)-トリフェニレン、1-[3-(ブロモメチル)-5-メチルフェニル]-12-フェニルトリフェニレン、1-フェニル-12-(2,4,6-トリメチルフェニル)-トリフェニレン、1-(4-メチルフェニル)-12-フェニル-トリフェニレン、1-(3,5-ジメチルフェニル)-12-フェニルトリフェニレン、1,12-ビス(3,5-ジメチルフェニル)-トリフェニレン、8,9-ジフェニルジベンゾ[f,j]ピセン、2-ヨード-1,12-ジフェニルトリフェニレン、及び1,12-ジフェニルトリフェニレンを除く。また、R’が無置換ベンゼン環である場合は、R2は、置換若しくは無置換フェニル基、置換ナフチル基、置換ピリジル基、置換ピラジル、置換若しくは無置換ジベンゾフラン基、置換若しくは無置換ジベンゾチオフェン基、置換若しくは無置換カルバゾール基、置換若しくは無置換ベンゾトリアゾール基、置換若しくは無置換キノリン基、トリフェニレン基、フェナントレン基、インダンジオン基、並びにフローレン基を除く。]
、又は一般式(1B):

【0091】
【化14】
JP2017209297A1_000016t.gif

【0092】
で表される化合物は文献未記載の新規化合物である。

【0093】
このような本発明のトリアリーレン化合物としては、例えば、

【0094】
【化15】
JP2017209297A1_000017t.gif

【0095】
【化16】
JP2017209297A1_000018t.gif

【0096】
等が挙げられる。

【0097】
上記した本発明の製造方法における反応機構は、必ずしも明らかではないが、カルボン酸を使用する場合、以下の反応式1:

【0098】
【化17】
JP2017209297A1_000019t.gif

【0099】
[式中、R1、R2、R’及びXは前記に同じである。Rは置換基を示す。]
にしたがって反応が進行すると想定される。

【0100】
まず、0価のパラジウムに対して化合物(2)が酸化的付加を起こし、化合物(A)を生成する。次に、カルボン酸との配位子交換をして化合物(B)が生成した後に、オルト位に位置する水素原子が塩基により脱プロトン化(CMD)されることにより、反応の鍵となるパラジウム-ベンザイン錯体(C)が生成する。このパラジウム-ベンザイン錯体に対して、もう一分子の化合物(2)が酸化的付加を起こして化合物(D)を生成した後、ベンザインがPd-C結合に挿入することで中間体(E)に誘導される。続く分子内環化反応によって目的とするトリアリーレン化合物が得られると同時に0価のパラジウムが再生し、触媒サイクルが完結する。

【0101】
なお、上記はカルボン酸を使用する場合の反応機構について示したが、カルボン酸を使用しない場合は、配位子交換反応において、カルボン酸由来のアニオンの代わりに、塩基由来のアニオン(フッ化セシウムの場合はフッ化物イオン)が導入され、同様の反応機構に沿って反応が進行すると想定される。このため、基質の種類を変えたとしても、同様の反応機構により反応が進行するため、様々なトリアリーレン化合物を合成することが可能である。
【実施例】
【0102】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0103】
特に制約しない限り、乾燥溶媒を含む全ての反応剤及び試薬は、市販品をそのまま使用した。PdCl2、Cs2CO3及びシクロペンチルメチルエーテル(CPME)は和光純薬工業(株)から購入した。n-ブチルジアダマンチルホスフィン(PnBu(Ad)2)はAldrichから購入した。特に制約しない限り、全ての反応は、標準的な真空ライン技法を用いて、乾燥ガラス容器中で、N2ガス雰囲気下に乾燥溶媒を用いて行った。全ての後処理及び精製は、空気中で試薬グレードの溶媒を用いて行った。分析用薄層クロマトグラフィー(TLC)は、E. Merckシリカゲル60 F254プレコートプレート(0.25 mm)を用いて行った。開発したクロマトグラムは、UVランプ(254 nm又は365 nm)で分析した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、E. Merckシリカゲル60(230-400メッシュ)を用いて行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィーは、Biotage SNAP Ultra 25g cartidgeを備えたIsolera Spektra instrumentを用いて行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL JNM-ECA-600(1H 600 MHz、13C 150MHz)分光計で記録した。1H NMRの化学シフトはテトラメチルシラン(δ0.00 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。13C NMRの化学シフトはCDCl3(δ77.2 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。データは、chemical shift, multiplicity (s = singlet, d = doublet, dd = doublet of doublets, t = triplet, dt = doublet of triplets, td = triplet of doublets, q = quartet, m = multiplet, brs = broad singlet), coupling constant (Hz), integrationの順に報告する。
【実施例】
【0104】
[合成例1]
合成例1-1:化合物1p
【実施例】
【0105】
【化18】
JP2017209297A1_000020t.gif
【実施例】
【0106】
空気中、磁気撹拌子を入れたシュレンクチューブに、炭酸カリウム(1.05g, 7.60mmol)、2-クロロヨードベンゼン(712mg, 2.98mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(21.0mg, 30μmol)、及び4-ビフェニルボロン酸(713mg, 3.60mmol)を投入した。チューブをN2ガスで充填した。トルエン(10mL)、H2O(2.5mL)及びエタノール(2.5 mL)を引き続いてチューブに投入した。混合物を80℃で10.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後。反応をH2O(20mL)でクエンチし、混合物をヘキサン(10mL)、次いでジクロロメタン(10mL×3)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、得られた溶液をシリカゲルパッドでろ過し、真空下に濃縮した。粗生成物をCH2Cl2/メタノールで再結晶させ、目的化合物1pを白色固体として得た(46%, 367mg, 1.39mmol)。
2-クロロ-1,1':4',1''-ターフェニル(化合物1p):
1H NMR (CDCl3) δ 7.29-7.40 (m, 4H), 7.45-7.50 (m, 3H), 7.54 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.65-7.68 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3) δ 126.98, 127.09, 127.34, 127.60, 128.77, 129.00, 130.07, 130.23, 131.58, 132.72, 138.54, 140.31, 140.64, 140.90; HRMS (DART, positive): m/z = 265.0785. calcd for C18H14Cl : 265.0784 [M+H]+
【実施例】
【0107】
合成例1-2-1:化合物1b
【実施例】
【0108】
【化19】
JP2017209297A1_000021t.gif
【実施例】
【0109】
空気中、磁気撹拌子を入れたシュレンクチューブに、炭酸カリウム(3.47g, 25.1mmol)、1,4-ジブロモ-2-クロロベンゼン(1.35g, 5.00mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(42.1mg, 60μmol)、及びフェニルボロン酸(1.46g, 12.0mmol)を投入した。チューブをN2ガスで充填した。トルエン(17mL)、H2O(4.2mL)及びエタノール(4.2mL)を引き続いてチューブに投入した。混合物を80℃で18時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応をH2O(20mL)でクエンチし、混合物をヘキサン(10mL)、次いでジクロロメタン(20mL×3)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、得られた溶液をシリカゲルパッドでろ過し、真空下に濃縮した。粗生成物をメタノールで再結晶させ、目的化合物1bを白色固体として得た(71%, 933mg, 3.50mmol)。
2'-クロロ-1,1':4',1''-ターフェニル(化合物1b):
1H NMR (CDCl3) δ 7.38-7.50 (m, 9H), 7.54 (dd, J = 7.8, 1.8 Hz, 1H), 7.61-7.63 (m, 2H), 7.71 (d, J = 1.2 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 125.71, 127.24, 127.85, 128.08, 128.27, 128.67, 129.13, 129.66, 131.86, 133.07, 139.27, 139.42, 139.63, 141.95; HRMS (DART, positive): m/z = 265.0782. calcd for C18H14Cl : 265.0784 [M+H]+
【実施例】
【0110】
合成例1-2-2
一方、別の工程によっても、より収率高く化合物1bを得ることができた。空気中、磁気撹拌子を入れたシュレンクチューブに、炭酸カリウム(10.4g, 75mmol)、1,4-ジブロモ-2-クロロベンゼン(4.06g, 15.0mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(211mg, 0.30mmol)、及びフェニルボロン酸(4.39g, 36.0mmol)を投入した。チューブをN2ガスで充填した。トルエン(50mL)、H2O(12.5mL)及びエタノール(12.5mL)を引き続いてチューブに投入した。混合物を80℃で18時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応をH2O(60mL)でクエンチし、混合物をヘキサン(30mL)、次いでジクロロメタン(60mL×3)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、得られた溶液をシリカゲルパッドでろ過し、真空下に濃縮した。粗生成物をメタノールで再結晶させ、目的化合物1bを白色固体として得た(86%, 3.43g, 13.0mmol)。
【実施例】
【0111】
合成例1-3:化合物1c~化合物1m
原料として、フェニルボロン酸の代わりに、種々の置換基(R)を有する化合物を使用したこと以外は合成例1-2-1と同様に、以下の化合物1c~化合物1mを合成した。
【実施例】
【0112】
【化20】
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【実施例】
【0113】
2''-クロロ-1,1':4',1'':4'',1''':4''':1''''-キンキフェニル(化合物1c):
1H NMR (CDCl3) δ 7.37-7.39 (m, 2H), 7.46-7.50 (m, 5H), 7.59-7.62 (m, 3H), 7.65-7.73 (m, 10H), 7.79 (d, J = 1.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 125.65, 127.04, 127.27, 127.35, 127.58, 127.63, 127.72, 127.87, 128.62, 129.02, 129.06, 130.10, 131.94, 133.16, 138.18, 138.43, 139.05, 140.68, 140.74, 140.89, 141.02, 141.48; HRMS (DART, positive): m/z = 417.1411. calcd for C30H22Cl : 417.1410 [M+H]+.
2'-クロロ-3,3''-ジメチル-1,1':4',1''-ターフェニル(化合物1e):
1H NMR (CDCl3) δ 2.43 (s, 3H), 2.44 (s, 3H), 7.21 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 7.30 (brs, 2H), 7.33-7.43 (m, 5H), 7.51-7.53 (m, 1H), 7.69-7.70 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 21.69, 21.72, 124.33, 125.65, 126.75, 127.99, 128.14, 128.57, 128.60, 128.80, 129.03, 130.33, 131.80, 132.97, 137.89, 138.77, 139.25, 139.43, 139.63, 141.95; HRMS (DART, positive): m/z = 293.1099. calcd for C20H18Cl : 293.1097 [M+H]+.
2-クロロ-1,4-ジ(1-ナフチル)ベンゼン(化合物1f):
1H NMR (CDCl3) δ 7.48-7.61 (m, 10H), 7.66 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.71 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 7.91-7.95 (m, 4H), 8.03-8.05 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 125.45, 125.59, 125.91, 126.13, 126.19, 126.20, 126.43, 126.61, 127.31, 127.52, 128.45, 128.54, 128.64, 131.11, 131.60, 131.96, 132.09, 133.73, 134.06, 134.18, 137.40, 138.32, 138.71, 141.95 (two sp2 signals were not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 365.1098. calcd for C26H18Cl : 365.1097 [M+H]+.
4,4''-ビス(メトキシカルボニル)-2'-クロロ-1,1':4',1''-ターフェニル(化合物1g):
1H NMR (CDCl3) δ 3.96 (s, 3H), 3.96 (s, 3H), 7.45 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.56-7.58 (m, 2H), 7.59 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.68-7.70 (m, 2H), 7.76 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.13-8.15 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3) δ 52.42, 125.96, 127.20, 129.00, 129.64, 129.73, 129.90, 130.49, 131.83, 133.18, 139.28, 141.34, 143.57, 143.73, 166.96, 167.04 (one aryl sp2 signal and one sp3 signal were not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 381.0894. calcd for C22H18ClO4: 381.0894 [M+H]+.
2-クロロ-1,4-ジ(2-ベンゾチエニル)ベンゼン(化合物1k):
H NMR (CDCl3) δ 7.34-7.41 (m, 4H), 7.63 (s, 1H), 7.67 (brs, 3H), 7.81 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.83-7.88 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3) δ 120.91, 122.24, 122.56, 124.09, 124.16, 124.74, 124.88, 124.92, 125.00, 125.06, 125.11, 128.43, 132.37, 132.86, 133.42, 135.60, 139.92, 139.97, 140.11, 140.37, 140.67, 141.99; HRMS (DART, positive): m/z = 377.0226. calcd for C22H14ClS2: 377.0225 [M+H]+.
2'-クロロ-4,4''-ジメトキシ-1,1':4',1''-ターフェニル(化合物1l):
1H NMR (CDCl3) δ 3.86 (s, 3H), 3.87 (s, 3H), 6.98-7.00 (m, 4H), 7.37 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.42-7.43 (m, 2H), 7.48 (dd, J = 7.8, 1.8 Hz, 1H), 7.54-7.55 (m, 2H), 7.65 (d, J = 1.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 55.49, 55.57, 113.72, 114.56, 125.23, 128.16, 128.25, 130.83, 131.73, 131.80, 132.15, 133.09, 138.39, 141.21, 159.32, 159.77; HRMS (DART, positive): m/z = 325.0995. calcd for C20H18ClO2: 325.0995 [M+H]+.
2'-クロロ-4,4''-ビス(トリフルオロメチル)-1,1':4',1''-ターフェニル(化合物1m):
1H NMR (CDCl3) δ 7.44 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 7.8, 1.8 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.72-7.74 (m, 7H); 13C NMR (CDCl3) δ 124.31 (q, JC-F= 271 Hz), 124.34 (q, JC-F = 270 Hz), 125.37 (q, JC-F = 4.2 Hz), 126.04, 126.18 (q, JC-F = 4.4 Hz), 127.60, 129.04, 130.03, 130.22 (q, JC-F = 33.0 Hz), 130.41 (q, JC-F = 33.0 Hz), 131.91, 133.26, 138.99, 141.20, 142.51, 142.85; HRMS (DART, positive): m/z = 401.0535. calcd for C20H12Cl1F8 : 401.0532 [M+H]+.
2'-クロロ-4,4''-ビス(トリメチルシリル)-1,1':4',1''-ターフェニル(化合物1n):
1H NMR (CDCl3) δ 0.31 (s, 9H), 0.32 (s, 9H), 7.41 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.48-7.49 (m, 2H), 7.54 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.59-7.63 (m, 6H), 7.71 (d, J = 1.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ -1.03, -1.00, 125.61, 126.41, 128.57, 128.79, 131.79, 132.93, 133.18, 134.06, 139.29, 139.49, 139.83, 139.93, 140.24, 141.78; HRMS (DART, positive): m/z = 409.1571. calcd for C24H30ClSi2: 409.1575 [M+H]+
【実施例】
【0114】
[実施例1]
【実施例】
【0115】
【化21】
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【実施例】
【0116】
[式中、Arは置換若しくは無置換アリール基又は置換若しくは無置換ヘテロアリール基を示す。]
【実施例】
【0117】
実施例1-1(化合物2b; Ar=フェニル基)
空気中、J. Young Oリングタップを備えた10mLのガラス容器に磁気撹拌子を入れ、炭酸セシウム(489mg, 1.50mmol, 3当量)を投入した。容器を真空下にヒートガンで乾燥し、次いで、1時間以上かけて室温まで冷却した。このガラス容器に、合成例1-2で得た化合物1b(132mg, 500μmol)、PdCl2(4.40mg, 25.0μmol, 5.0mol%)、n-ブチルジアダマンチルホスフィン(PnBu(Ad)2; 18.0mg, 50.0μmol, 10mol%)、及びピバル酸(26.0mg, 25.0μmol, 0.50当量)を添加した。ガラス容器をN2ガスで充填し、次いで、N2雰囲気下にシクロペンチルメチルエーテル(CPME; 5.0mL)を添加した。混合物を140℃で14時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、反応をH2Oでクエンチし、混合物をジクロロメタン(20mL×3)で抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、得られた溶液をシリカゲルパッド又はセライト(登録商標)でろ過し、真空下に濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、目的化合物2bを白色固体として得た(52%, 59.6mg, 0.130mmol)。
1,4,6-トリフェニルトリフェニレン(化合物2b):
1H NMR (CDCl3) δ 7.04-7.10 (m, 3H), 7.24-7.31 (m, 3H), 7.36-7.56 (m, 13H), 7.71-7.73 (m, 2H), 8.09 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.46 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.50 (d, J = 8.4 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 123.36, 123.85, 125.45, 125.59, 126.93, 127.16, 127.18, 127.26, 127.29, 128.67, 129.25, 129.28, 129.58, 129.79, 129.95, 130.11, 130.24, 130.32, 130.50, 131.27, 131.31, 131.49, 137.78, 139.31, 140.73, 144.88, 145.44 (three sp2 signals were not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 457.1955. calcd for C36H25: 457.1956 [M+H]+
【実施例】
【0118】
実施例1-2(化合物2c~化合物2k)
原料として、化合物1bの代わりに、合成例1-3で得た化合物1c~化合物1kを使用したこと以外は実施例1-1と同様に、以下の化合物2c~化合物2kを合成した。以下には、実施例1-1で得た化合物2bの収率も示す。
【実施例】
【0119】
【化22】
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【実施例】
【0120】
1,4,11-Tris[(1,1’-biphenyl)-4-yl]-6-phenyltriphenylene (2c): 1H NMR (CDCl3) δ 7.07-7.78 (m, 36H), 8.16 (s, 1H), 8.19 (s, 1H), 8.56 (brs, 2H); 13C NMR (CDCl3) δ 123.88, 123.92, 125.55, 125.74, 127.09, 127.25, 127.31, 127.37, 127.42, 127.52, 127.54, 127.68, 127.73, 128.42, 128.44, 128.83, 128.94, 129.13, 129.28, 129.47, 130.20, 130.36, 130.43, 130.54, 131.59, 131.64, 137.40, 137.96, 139.20, 139.70, 140.00, 140.50, 140.55, 140.78, 140.82, 141.09, 144.45 (nine sp2 signals were not observed because of overlapping); HRMS (MALDI-TOF, positive): m/z = 760.3094. calcd for C60H40 : 760.3130 [M]+.
6-(tert-ブチル)-1,4,11-トリス(4-(tert-ブチル)フェニル)トリフェニレン(化合物2d):
1H NMR (CDCl3) δ 1.01 (s, 9H), 1.32 (s, 9H), 1.36 (s, 9H), 1.41 (s, 9H), 7.02 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.42-7.52 (m, 11H), 7.68 (dd, J = 7.8, 1.8 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.08 (d, J = 1.2 Hz, 1H), 8.38 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 8.45 (d, J = 9.0 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 31.17, 31.50, 31.59, 31.69, 34.62, 34.66, 34.75, 34.83, 122.88, 123.51, 124.45, 125.21, 125.62, 126.32, 126.34, 126.60, 127.56, 128.82, 128.87, 129.43, 129.56, 129.82, 130.01, 130.05, 130.25, 130.49, 131.53, 131.89, 137.04, 138.00, 139.00, 139.07, 142.45, 147.97, 149.89, 149.97, 150.14 (one sp2 signal was not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 681.4461. calcd for C52H57: 681.4460 [M+H]+.
10-メチル-1,4,6-トリス(3-メチルフェニル)トリフェニレン(化合物2e):
1H NMR (CDCl3) δ 2.36 (s, 3H), 2.38 (s, 3H), 2.42 (s, 3H), 2.49 (s, 3H), 6.74 (s, 1H), 6.93 (dd, J = 8.4, 1,2 Hz, 1H), 7.02 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.17-7.41 (m, 9H), 7.49 (s, 2H), 7.63 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H), 8.12 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.26 (s, 1H), 8.48 (d, J = 9.0 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 21.46, 21.72, 21.78, 123.35, 123.67, 124.20, 125.32, 127.03, 127.23, 127.90, 127.94, 128.00, 128.24, 128.52, 129.01, 129.34, 129.40, 129.66, 130.09, 130.19, 130.27, 130.33, 130.42, 130.66, 130.90, 131.22, 131.50, 136.52, 137.61, 138.39, 138.82, 139.09, 139.19, 139.34, 140.85, 145.04, 145.63 (one sp3 signal and two sp2 signals were not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 513.2583. calcd for C40H33: 513.2582 [M+H]+.
1,4,13-トリ(ナフタレン-1-イル)ベンゾ[g]クリセン(化合物2f):
1H NMR (C2D2Cl4, 130℃) δ 6.61-6.62 (m, 1H), 7.27-8.08 (m, 29H), 8.78 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 9.02 (d, J = 7.8 Hz, 1H); 13C NMR (C2D2Cl4, 130℃) δ 124.75, 125.01, 125.10, 125.34, 125.39, 125.48, 125.61, 125.68, 125.71, 125.82, 125.92, 126.03, 126.17, 126.22, 126.27, 127.04, 127.48, 127.56, 127.74, 127.81, 127.88, 128.05, 128.13, 128.26, 128.60, 128.79, 129.01, 129.05, 129.63, 129.74, 129.87, 130.81, 130.86, 131.15, 131.39, 131.53, 131.61, 131.84, 131.96, 132.02, 133.05, 133.55, 134.22, 134.29, 136.98, 137.09, 137.32, 139.47, 142.41, 142.79 (two sp2 signals were not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 657.2584. calcd for C52H33: 657.2582 [M+H]+.
6-(メトキシカルボニル)-1,4,11-トリス[4-(メトキシカルボニル)フェニル]トリフェニレン(化合物2g):
1H NMR (CDCl3) δ 3.70 (s, 3H), 3.94 (s, 3H), 3.97 (s, 3H), 4.03 (s, 3H), 7.05 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.61-7.64 (m, 4H), 7.79 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.01 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.10 (dd, J = 9.0, 1.8 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 8.20 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 8.40 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.54 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.58 (d, J = 7.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 51.99, 52.34, 52.39, 52.55, 123.69, 124.81, 126.03, 126.97, 127.40, 127.55, 128.43, 129.23, 129.28, 129.40, 129.58, 129.70, 129.76, 129.92, 130.17, 130.34, 130.41, 130.48, 130.81, 130.96, 131.30, 132.38, 134.50, 137.83, 138.90, 139.21, 144.60, 148.91, 149.58, 166.71, 166.98, 167.05, 167.17 (one sp2 signal was not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 689.2174. calcd for C44H33O8 : 689.2175 [M+H]+.
10-メトキシ-1,4,6-トリス(3-メトキシフェニル)トリフェニレン(化合物2j):
1H NMR (CDCl3) δ 3.78 (s, 6H), 3.81 (s, 3H), 3.95 (s, 3H), 6.69 (s, 1H), 6.72 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 6.75 (dd, J = 9.6, 2.4 Hz, 1H), 6.82 (dd, J = 8.1, 2.4 Hz, 1H), 6.92 (dd, J = 8.4, 2.4 Hz, 1H), 6.98 (dd, J = 7.8, 2.4 Hz, 1H), 7.04-7.12 (m, 3H), 7.22 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.32 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.37 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.46-7.50 (m, 2H), 7.68-7.71 (m, 2H), 7.88 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.14 (s, 1H), 8.43 (d, J = 9.0 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 55.32, 55.35, 55.41, 55.44, 105.92, 112.49, 112.73, 112.82, 113.73, 115.13, 119.70, 122.14, 122.34, 123.68, 124.12, 125.33, 128.94, 129.03, 129.45, 129.85, 130.02, 130.05, 130.15, 130.24, 130.63, 131.35, 131.57, 132.57, 137.56, 138.30, 139.03, 142.14, 146.19, 146.53, 158.30, 159.93, 160.15, 160.47 (two sp2 signals were not observed because of overlapping)。
化合物2k:
1H NMR (CDCl3) δ 6.62 (s, 1H), 6.87 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.05 (s, 1H), 7.12 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.19-7.24 (m, 4H), 7.30 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.43 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.47-7.52 (m, 2H), 7.56-7.58 (m, 2H), 7.73 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.75 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.81-7.84 (m, 3H), 7.90 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.94 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 7.96 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.17 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 8.63 (d, J = 1.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 120.29, 122.25, 122.27, 122.37, 122.83, 123.75, 123.84, 123.87, 123.93, 124.38, 124.45, 124.54, 124.58, 124.66, 124.81, 124.95, 125.00, 125.06, 125.49, 125.82, 125.90, 127.24, 128.98, 129.10, 129.42, 129.61, 129.94, 130.19, 131.59, 132.14, 132.33, 132.41, 137.55, 138.23, 139.70, 139.98, 140.03, 140.57, 140.83, 141.21, 141.84, 144.26, 145.02, 147.21; HRMS (DART, positive): m/z = 681.0829. calcd for C44H25S4: 681.0839 [M+H]+
【実施例】
【0121】
本実施例では、まず、芳香族炭化水素を基質として本反応の適用範囲の検討を行った。クロロターフェニル1bを基質として用いた場合は、環化二量化体2bが52%又は81%の収率で得られた。ビフェニリル体が置換した化合物1c及びtert-ブチル基を置換基として有する化合物1dに対しても反応が進行し、それぞれ化合物2c及び2dが中程度の収率で得られた。特に、化合物1cのように溶解性の低い分子についても、収率は若干低下するものの、本発明の製造方法を適用可能であった。次に、化合物1eを基質として用いた場合、化合物2eが選択的に得られた。トリフェニレン骨格が形成される際に、位置異性体の生成が想定されるが、立体障害のより少ない位置での反応が優先的に進行したためと考えられる。基質として化合物1fを用いた場合も、分子内環化体は得られず、環化二量体2fが得られた。以上の結果から、5員環を分子内で形成し得る場合であっても、分子内環化反応より環化二量化反応が優先することが理解できる。
【実施例】
【0122】
次に、極性官能基及びヘテロ芳香環を有する基質の適用範囲を検討した。メトキシカルボニル基を有する基質では低収率ながら反応が進行し、化合物2gが得られた。メチルチオ基、シアノ基及びメトキシ基を有する基質においても、収率は低いながら反応が進行し、それぞれ化合物2h、化合物2i、化合物2jが得られた。また、複素芳香環の場合、安定な2-クロロ-1,4-ジ(2-ベンゾチエニル)ベンゼンを基質として反応を行った場合は、化合物2kが中程度の収率で得られた。このことから、ヘテロ原子を含む基質や、五員環を含む基質であっても反応が進行することが理解できる。
【実施例】
【0123】
[実施例2]
【実施例】
【0124】
【化23】
JP2017209297A1_000025t.gif
【実施例】
【0125】
原料として、化合物1bの代わりに、合成例1-1で得た化合物1pを使用したこと以外は実施例1-1と同様に、反応を行った。
【実施例】
【0126】
ベンザインが発生していることを証明するため、ターフェニルの末端のフェニル基にクロロ基を導入した基質1pを用いて反応を行った。発生するベンザインXは非対称な反応点を有するため、その後の反応により位置異性体2p及び2p’が得られると予想した。
【実施例】
【0127】
しかしながら、実際には、化合物2p’の収率はtraceであり、化合物2pの他に、化合物2bが主生成物として生成している(2p: 2b= 1: 2.3)ことが認められた。
1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-11-フェニルトリフェニレン(化合物2p):
1H NMR (CDCl3) δ 7.06-7.07 (m, 2H), 7.14-7.15 (m, 3H), 7.41-7.43 (m, 1H), 7.52 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.57-7.60 (m, 3H), 7.68-7.78 (m, 8H), 8.19 (s, 1H), 8.61-8.68 (m, 4H); 13C NMR (CDCl3) δ 122.71, 123.40, 123.88, 123.92, 125.55, 126.72, 127.21, 127.28, 127.37, 127.55, 127.64, 127.69, 128.37, 128.81, 128.98, 129.11, 129.21, 129.92, 130.03, 130.20, 130.31, 131.52, 132.06, 137.44, 140.28, 140.61, 140.65, 141.10, 145.10 (one sp2 signal was not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 457.1954. calcd for C36H25: 457.1956 [M+H]+.
1-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-6-フェニルトリフェニレン(化合物2p’):
1H NMR (CDCl3) δ 7.09 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.38 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.44 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 7.47-7.59 (m, 8H), 7.67-7.72 (m, 5H), 7.82-7.85 (m, 3H), 7.91 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H), 8.57 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.68 (d, J = 9.0 Hz 1H), 8.74 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.85 (d, J = 1.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 122.41, 122.58, 123.37, 123.94, 125.32, 126.64, 126.76, 126.96, 127.22, 127.56, 127.63, 127.74, 127.85, 129.05, 129.16, 129.61, 129.78, 129.93, 130.37, 130.50, 131.05, 131.74, 131.90, 139.83, 140.31, 140.60, 140.88, 141.46, 144.55 (one sp2signal was not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 457.1956. calcd for C36H25 : 457.1956 [M+H]+.
【実施例】
【0128】
【化24】
JP2017209297A1_000026t.gif
【実施例】
【0129】
[実施例3]
上記の実施例2で見出された副反応の存在が見出された。また、クロロターフェニル1bを基質とした実施例1-1-1の粗生成物には、化合物2bの他に化合物2pが、2b: 2p= 3.3: 1の比で副生していた。
【実施例】
【0130】
【化25】
JP2017209297A1_000027t.gif
【実施例】
【0131】
この結果から、単離操作の簡単化及び収率の向上を期待し、副反応を抑制する反応条件の探索を行った。クロロターフェニル1bから得られる副生成物の比は、最初の脱プロトン化の段階で決定されるため、適切な塩基を選択することで副反応を抑制できると考えた。
【実施例】
【0132】
【化26】
JP2017209297A1_000028t.gif
【実施例】
【0133】
この反応では、カルボン酸としてピバル酸、塩基として炭酸セシウムを使用した場合は、これら両者からピバル酸セシウムが発生し、これが塩基としても機能する。このため、カルボン酸を検討することにより、脱プロトン化の遷移状態を制御し、望みのベンザインを選択的に発生できると想定し、以下の実験を行った。
【実施例】
【0134】
【化27】
JP2017209297A1_000029t.gif
【実施例】
【0135】
カルボン酸の種類を以下の表1のとおり変更する他は、実施例1-1と同様の処理を行い、反応を行った。なお、いずれの反応においても、化合物2p’の収率はtraceであった。なお、収率は、内部標準としてベンジルフェニルエーテルを用いて1H NMRで算出した。また、表中の括弧内の収率は単離収率である。結果を表1に示す。
【実施例】
【0136】
【表1】
JP2017209297A1_000030t.gif
【実施例】
【0137】
この結果、嵩高いカルボン酸を用いた場合はいずれも良好な収率で反応が進行するが、選択性の完全な制御には至らなかった。しかしながら、さらに検討を行った結果、カルボン酸を加えずに反応を行うことで、副反応が完全に抑制できることが分かった。この結果、目的物の収率は最も高い結果となった。
【実施例】
【0138】
[実施例4]
【実施例】
【0139】
【化28】
JP2017209297A1_000031t.gif
【実施例】
【0140】
収率の向上を目指して、カルボン酸を加えない条件において、塩基及び配位子化合物の効果を検討した。カルボン酸を使用せず、塩基及び配位子化合物の種類を以下の表2のとおり変更する他は、実施例1-1と同様の処理を行い、反応を行った。なお、いずれの反応においても、化合物2p’の収率はtraceであった。
【実施例】
【0141】
【表2】
JP2017209297A1_000032t.gif
【実施例】
【0142】
この結果、炭酸セシウムを3当量とした場合に選択性及び収率が優れていた。また、フッ化セシウムを塩基として用いた場合は、3当量から5当量として場合には収率の向上が見られた。
【実施例】
【0143】
[実施例5]
【実施例】
【0144】
【化29】
JP2017209297A1_000033t.gif
【実施例】
【0145】
収率の向上を目指して、カルボン酸を加えない条件において、基質適用性を検討した。カルボン酸を使用せず、基質として化合物1bの代わりに、合成例1-3で得た化合物1c~化合物1g、化合物1k~化合物1nを使用したこと以外は実施例1-1と同様に、以下の化合物2c~化合物2g、化合物2k~化合物2nを合成した。
【実施例】
【0146】
【化30】
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【実施例】
【0147】
得られた各化合物のうち、スペクトルデータを上記で記載していない化合物のスペクトルデータは以下の通りである。
化合物2g(主生成物)+化合物2g’(副生成物)(2g/2g’ = 3:1):
1H NMR (CDCl3) δ 3.70 (s, 9H), 3.89 (s, 3H), 3.94 (s, 9H), 3.97 (s, 9H), 3.98 (s, 3H), 3.99 (s, 3H), 4.03 (s, 12H), 7.05 (d, J = 8.4 Hz, 6H), 7.09 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 6H), 7.60-7.66 (m, 15H), 7.76-7.82 (m, 10H), 7.91-7.94 (m, 7H), 8.01 (s, 3H), 8.09-8.11 (m, 4H), 8.14 (d, J = 9.0 Hz, 6H), 8.19-8.21 (m, 8H), 8.30 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.40 (s, 3H), 8.53-8.63 (m, 8H), 8.81 (s, 1H) (The integral proton value is normalized based on the 8.81 peak as 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 51.99, 52.32, 52.34, 52.39, 52.55, 52.58, 53.12, 123.68, 123.80, 124.80, 124.84, 126.03, 126.15, 126.96, 127.01, 127.26, 127.54, 128.21, 128.40, 128.65, 128.68, 128.97, 129.22, 129.26, 129.28, 129.35, 129.38, 129.57, 129.70, 129.75, 129.91, 130.08, 130.17, 130.17, 130.29, 130.33, 130.39, 130.42, 130.47, 130.57, 130.65, 130.71, 130.74, 130.80, 130.89, 130.95, 131.28, 131.53, 132.37, 134.17, 134.48, 137.82, 137.85, 138.89, 139.19, 139.94, 141.95, 144.24, 144.33, 144.59, 144.65, 145.00, 148.89, 149.57, 166.69, 166.91, 166.97, 167.04, 167.10, 167.15, 171.58 (one sp3 signal and four sp2 signals were not observed because of overlapping). The structure of 2g’ (minor product) was assigned by analogy from the structures of 2p and 2p’. 2g can be separated from the mixture of 2g and 2g’ with extensive purification with silica-gel column chromatography, gel-permeation chromatography, and recrystallization to take the compound data.
6-(メトキシ)-1,4,11-トリス[4-(メトキシ)フェニル]トリフェニレン(化合物2l):
1H NMR (CDCl3) δ 3.32 (s, 3H), 3.83 (s, 3H), 3.86 (s, 3H), 3.92 (s, 3H), 6.84 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 6.98 (d, J = 9.0 Hz, 2H), 7.04-7.06 (m, 5H), 7.33 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.42-7.46 (m, 4H), 7.48-7.52 (m, 2H), 7.64 (dd, J = 8.4, 1.5 Hz, 1H), 8.03 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.34 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 8.38 (d, J = 8.4 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ 54.71, 55.51, 55.65, 55.71, 111.92, 114.10, 114.84, 115.03, 116.92, 123.20, 124.64, 125.03, 125.09, 128.20, 128.50, 129.80, 129.95, 130.04, 130.93, 131.00, 131.33, 131.71, 131.80, 133.62, 136.37, 137.76, 138.05, 138.67, 138.83, 157.15, 159.09, 159.14, 159.29 (one sp2 signal was not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 577.2378. calcd for C40H33O4: 577.2379 [M+H]+.
6-(トリフルオロメチル)-1,4,11-トリス[4-(トリフルオロメチル)フェニル]トリフェニレン(っ化合物2m):
1H NMR (CDCl3) δ 7.05 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.56 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.59 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.64 (s, 2H), 7.69-7.71 (m, 3H), 7.74 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.77 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H), 7.83 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.87 (s, 1H), 7.91 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.58-8.61 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3) δ 121.61, 121.72, 123.06, 123.47, 124.27, 124.78, 124.86, 125.22, 125.32, 125.85, 125.87, 126.33, 126.59, 126.62, 126.71, 126.73, 127.03, 127.12, 127.35, 127.57, 127.59, 127.89, 128.10, 129.63, 129.69, 129.84, 129.96, 130.06, 130.12, 130.18, 130.30, 130.45, 130.58, 130.85, 130.95, 131.42, 133.57, 137.90, 138.58, 138.95, 143.72, 147.25, 148.48 (The coupling constants (JC-F) could not be determined because the signals are too complicated. Thus, the observed peaks are written as they are.); HRMS (DART, positive): m/z = 729.1452. calcd for C40H21F12: 729.1452 [M+H]+.
6-(トリメチルシリル)-1,4,11-トリス[4-(トリメチルシリル)フェニル]トリフェニレン(化合物2n):
1H NMR (CDCl3) δ 0.01 (s, 9H), 0.28 (s, 9H), 0.31 (s, 9H), 0.36 (s, 9H), 7.02 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.44 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.52-7.55 (m, 4H), 7.58-7.59 (m, 3H), 7.66 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.72 (dd, J = 8.4, 1.8 Hz, 1H), 8.04 (s, 1H), 8.10 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.43 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.51 (d, J = 8.4 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3) δ -1.18, -0.94, -0.85, -0.73, 122.41, 123.85, 125.39, 126.34, 129.12, 129.23, 129.27, 129.46, 130.00, 130.29, 130.56, 130.67, 131.36, 131.54, 131.61, 133.77, 134.41, 134.55, 136.19, 137.29, 137.69, 139.11, 139.21, 139.26, 139.32, 141.08, 145.58, 145.77 (two sp2 signals were not observed because of overlapping); HRMS (MALDI-TOF, positive): m/z = 744.3438. calcd for C48H56Si4 : 744.3459 [M]+
【実施例】
【0148】
一方、ピバル酸を用いなかったこと以外は実施例2と同様に、反応を行ったところ、化合物2p及び化合物2p’の混合物が収率72%で得られた。また、化合物2pと化合物2p’は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、再結晶等により単離することができた。
【実施例】
【0149】
【化31】
JP2017209297A1_000035t.gif
【実施例】
【0150】
[実施例6]
【実施例】
【0151】
【化32】
JP2017209297A1_000036t.gif
【実施例】
【0152】
原料として、化合物1bの代わりに、化合物1aを使用したこと以外は実施例1-1と同様に、反応を行い、目的化合物2aを収率83%で得た。この反応は、上記と同様に、パラジウム-ベンザイン中間体を経由していると考えられ、新しい芳香族ハロゲン化物の環化二量化反応である。
【実施例】
【0153】
【化33】
JP2017209297A1_000037t.gif
【実施例】
【0154】
大気下、磁気撹拌子を入れたシュレンク管に、1-フェニルトリフェニレン(32.4mg, 0.106mmol)及び塩化鉄(III)(62.3mg, 0.384mmol)を加えた。シュレンク管にN2を充填した。ジクロロメタン(10mL)を連続的にシュレンク管に添加した。混合物を0℃で2.5時間撹拌した。反応をメタノール(MeOH; 5.0mL)でクエンチした。反応混合物をH2O(40mL)で洗浄し、水層をジクロロメタン(10mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、得られた溶液をシリカゲルパッドでろ過し、真空下に濃縮した。得られた固体をメタノール(MeOH)及びジクロロメタンで洗浄し、ジベンゾ[e,l]ピレンを収率76%(24.6mg, 0.081mmol)で得た。
ジベンゾ[e,l]ピレン:
1H NMR (C2D2Cl4) δ 7.78-7.79 (m, 4H), 8.10 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 8.84-8.86 (m, 4H), 8.95 (d, J = 7.8 Hz, 4H); 13C NMR (C2D2Cl4) δ 124.84, 127.09, 129.93, 131.08, 132.78, 133.18 (one sp2 signal was not observed because of overlapping); HRMS (DART, positive): m/z = 303.1171. calcd for C30H21 : 303.1174 [M+H]+
【実施例】
【0155】
[実施例7]
化合物2b及び2cのScholl反応を以下のように行った。
【実施例】
【0156】
【化34】
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【実施例】
【0157】
大気下、磁気撹拌子を入れたシュレンク管に、化合物2b(46.5mg, 0.102mmol)及び塩化鉄(III)(206mg, 1.27mmol)を加えた。シュレンク管にN2を充填した。ジクロロメタン(10mL)を連続的にシュレンク管に添加した。混合物を0℃で2.5時間撹拌した。反応をメタノール(MeOH; 8.0mL)でクエンチした。反応混合物をH2O(40mL)で洗浄し、水層をジクロロメタン(10mL)で抽出した。有機層を乾燥し、得られた溶液を真空下に濃縮した。得られた固体をメタノール(MeOH)及びジクロロメタンで洗浄し、化合物3bを収率77%(35.4mg, 0.0786mmol)で得た。
化合物3b:
1H NMR (C6D4Cl2, 150℃) δ 7.67-7.70 (m, 4H), 8.05-8.06 (m, 2H), 8.75-8.76 (m, 2H), 8.85-8.88 (m, 4H), 9.09-9.10 (m, 2H), 9.15-9.17 (m, 2H), 9.28-9.29 (m, 2H); HRMS (MALDI-TOF, positive): m/z = 450.1390. calcd for C36H18: 450.1409 [M]+. 13C NMR peaks were barely detected because of the low solubility of 3b。
【実施例】
【0158】
【化35】
JP2017209297A1_000039t.gif
【実施例】
【0159】
大気下、磁気撹拌子を入れたシュレンク管に、出発物質である化合物2c(7.8mg, 0.010mmol)を加えた。シュレンク管にN2を充填した。ジクロロメタン(2.0mL)及び塩化鉄(III)(75.6mg, 0.466mmol)を連続的にシュレンク管に添加した。混合物を室温で42時間撹拌した。反応をメタノール(MeOH; 5.0mL)でクエンチした。混合物をろ過し、メタノール(MeOH; 40mL)及びジクロロメタン(40mL)で洗浄した。標的物質であるC60H26(化合物3c)を収率72%(5.5mg, 0.0072mmol)で得た。反応が完了し、MALDI-TOF測定によって、部分閉環生成物も出発物質2cも検出されなかった。少量の塩素化された化合物3cがMALDI-TOF測定によって検出された。
化合物3c:
HR-MS (MALDI-TOF, positive): m/z = 746.2072. calcd for C60H26 : 746.2035 [M]+. 1H and 13C NMR peaks were not detected because of the low solubility of 3c。
【実施例】
【0160】
[X線構造解析]
実施例2及び5で得た化合物2b、2p及び2p’について、結晶データの詳細を表3に示す。また、化合物2b、2p及び2p’の熱振動楕円体作画ソフト(ORTEP)による構造を図1~3に示す。いずれの場合も、結晶をミネラルオイルに浸し、グラスファイバー上に置き、Rigaku PILATUSに移した。また、グラファイト単色光Mo Kα放射線(λ= 0.71075 Å)を用いた。
【実施例】
【0161】
【表3】
JP2017209297A1_000040t.gif
【実施例】
【0162】
[ラマン顕微鏡解析]
化合物3cのラマンスペクトルを、488nmの半導体レーザーを備えた共焦点ラマン顕微鏡(invia Reflex, Renishaw)を用いて測定した。ラマンシグナルは、熱電冷却チャージカップリングデバイス(CCD)によって検出した。100倍、開口数0.85の対物レンズを使用して、レーザー光を試料に集束させた。レーザーの出力は6.45μWであった。測定は、室温及び大気条件で行った。DFT計算には、Gaussian 09プログラム(40 running on a SGI Altix4700 sustem)を使用した。化合物3cの構造は、対称性仮定なしでB3LYP/6-31G(d)レベルの理論で最適化した。結果を図4に示す。
【実施例】
【0163】
[光物理学的研究]
すべての測定には、1cm四方の石英セル内の脱気スペクトルグレードのジクロロメタン中の希釈溶液を使用した。UV-Vis吸収スペクトルを、0.5nmの分解能を有するShimadzu UV-3510 spectrometerで記録した。蛍光スペクトルは、F-4500 Hitachi spectrometer又はShimadzu RF-6000を用いて0.4nmの分解能で測定した。絶対蛍光量子収率(ΦF)は、較正積分球システム(207-21460-41)を備えたShimadzu RF-6000を用いて測定した。結果を図5~17に示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
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【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16