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明細書 :透析装置、制御装置、流路構造体、流路形成方法、制御プログラム、および記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-069149 (P2019-069149A)
公開日 令和元年5月9日(2019.5.9)
発明の名称または考案の名称 透析装置、制御装置、流路構造体、流路形成方法、制御プログラム、および記録媒体
国際特許分類 A61M   1/16        (2006.01)
FI A61M 1/16 110
請求項の数または発明の数 15
出願形態 OL
全頁数 23
出願番号 特願2018-190425 (P2018-190425)
出願日 平成30年10月5日(2018.10.5)
優先権出願番号 2017195294
優先日 平成29年10月5日(2017.10.5)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】西森 一久
【氏名】糟野 健司
【氏名】岩野 正之
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査請求 未請求
テーマコード 4C077
Fターム 4C077AA05
4C077BB01
4C077DD01
4C077DD20
4C077DD26
4C077EE01
4C077EE03
4C077HH02
4C077HH03
4C077HH12
4C077HH13
4C077HH15
4C077HH18
4C077HH21
4C077JJ02
4C077JJ03
4C077JJ08
4C077JJ12
4C077JJ13
4C077JJ16
4C077KK11
要約 【課題】透析カラムが有する透析膜の寿命を延ばすこと、または患者からの脱血量を低下させた場合でも透析を行うことができる透析装置を提供する。
【解決手段】血液を透析する透析カラム10と、患者の血液を透析カラムに供給する第1流路11と、透析カラムによって透析された透析後血液を患者に還流させる第2流路12と、流体を透析カラムに供給する第3流路13とを備える透析装置。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
血液を透析する透析カラムと、
患者の血液を前記透析カラムに供給する第1流路と、
前記透析カラムによって透析された透析後血液を前記患者に還流させる第2流路と、
流体を前記透析カラムに供給する第3流路とを備えている透析装置。
【請求項2】
前記第3流路には、前記透析カラムに向けて前記流体を送り出すポンプが設けられている、請求項1に記載の透析装置。
【請求項3】
前記ポンプの送液能力を変化させることにより、前記透析カラムに供給される前記流体の量を調節する流量調節部をさらに備えている、請求項2に記載の透析装置。
【請求項4】
前記流体は、前記透析後血液の一部を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の透析装置。
【請求項5】
前記流体は、生理食塩水、透析液、および生体適合性を有する液体からなる群から選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の透析装置。
【請求項6】
前記第3流路の終端は、前記第1流路に連通されており、
前記第3流路の終端と前記透析カラムとの間には、流体を貯留する貯留槽が設けられている、請求項1から5のいずれか1項に記載の透析装置。
【請求項7】
請求項2に記載の透析装置が備えている前記ポンプを制御する制御装置であって、
前記患者の検査結果を取得し、取得した検査結果に対応する、前記ポンプの制御値を算出する第1算出部と、
前記第1算出部が算出した制御値に基づいて前記ポンプの送液能力を変化させるポンプ制御部とを備えている、制御装置。
【請求項8】
請求項2に記載の透析装置が備えている前記ポンプを制御する制御装置であって、
前記透析カラムの状態を反映した数値を示すカラム情報を取得し、取得したカラム情報が示す数値に対応する、前記ポンプの制御値を算出する第2算出部と、
前記第2算出部が算出した制御値に基づいて前記ポンプの送液能力を変化させるポンプ制御部とを備えている、制御装置。
【請求項9】
請求項2に記載の透析装置が備えている前記ポンプを制御する制御装置であって、
前記透析カラムから排出される透析液と、前記透析カラムに供給される透析液とに関する透析液情報を取得し、取得した透析液情報に対応する、前記ポンプの制御値を算出する第3算出部と、
前記第3算出部が算出した制御値に基づいて前記ポンプの送液能力を変化させるポンプ制御部とを備えている、制御装置。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか1項に記載の透析装置の一部を構成する流路構造体であって、
前記第3流路を形成するチューブと、
前記チューブの一端を、前記第1流路の途中に接続するための第1三方活栓と、
前記チューブの他端を、前記第2流路の途中に接続するための第2三方活栓とを備えている流路構造体。
【請求項11】
前記チューブ内の流体を送り出すポンプをさらに備える、請求項10に記載の流路構造体。
【請求項12】
前記第1流路における前記流体の逆流を防止する第1逆止弁、または前記第2流路への前記血液の流入を防止する第2逆止弁を備えている、請求項10または11に記載の流路構造体。
【請求項13】
請求項7から9のいずれか1項に記載の制御装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記第1、第2、または第3算出部、および前記ポンプ制御部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項15】
請求項1に記載の透析装置における流路を形成する流路形成方法であって、
前記第3流路を形成するチューブの一端を前記第1流路に接続する工程と、
前記チューブの他端を前記第2流路に接続する工程とを含む、流路形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、透析装置、制御装置、流路構造体、流路形成方法、制御プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
腎機能が悪化した患者に対する有効な治療法の一つに血液透析療法がある。血液透析療法には血液濾過、血液透析濾過、体外限外濾過法などが含まれる。以下、透析はこれらの方法を含有するものとする。通常の血液透析療法では、2日から3日に1回当該療法を行うことにより、血液中の水分および電解質の除去を行う。心機能や肺機能などが低下し循環動態が悪化した重篤な患者では、継続的に血液透析療法を行う場合もある。
【0003】
特許文献1には、半透膜を有する血液処理装置が記載されている。特許文献2には、蠕動ポンプに使用する押出し成形された薄肉管状材が記載されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特表2000-502940号公報(2000年3月14日公表)
【特許文献2】特表平8-510812号公報(1996年11月12日公表)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、透析膜の寿命は有限であり、透析を続けることにより透析膜の閉塞が起こる。透析カラムの交換頻度を低減するという観点から、透析膜が閉塞することを抑制し、透析膜の寿命を延ばすことが望まれる。また、患者の血圧が低下したときなど、患者からの脱血量を低下させる必要がある場合があり、このような場合には、透析膜の閉塞が起こりやすい。
【0006】
本発明の一態様は、透析カラムが有する透析膜の寿命を延ばすこと、または患者からの脱血量を低下させた場合でも透析を行うことができる透析装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る透析装置は、血液を透析する透析カラムと、患者の血液を前記透析カラムに供給する第1流路と、前記透析カラムによって透析された透析後血液を前記患者に還流させる第2流路と、流体を前記透析カラムに供給する第3流路とを備えている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、透析カラムが有する透析膜の、流体による洗浄効果を高めることができ、透析膜の寿命を延ばすことができる。または、患者からの脱血量を低下させた場合でも透析膜に対する洗浄効果を維持し、透析を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態1に係る透析システムの構成を示す図である。
【図2】上記透析システムが備える透析装置の効果を説明するための図である。
【図3】上記透析システムが備える制御装置の機能ブロック図である。
【図4】上記透析システムにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図5】上記透析システムにおける処理の流れの別の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態2に係る透析システムの構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る透析システムの別の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る透析システムの別の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態3に係る透析システムの構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態4に係る透析システムの構成を示す図である。
【図11】上記透析システムにおける処理の流れの別の例を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施形態2に係る透析システムの別の構成を示す図である。
【図13】本発明の実施形態5に係る透析システムの構成を示す図である。
【図14】本発明の実施形態6に係る透析システムの構成を示す図である。
【図15】(a)は、比較例としての透析システムで透析を行った場合の、透析カラムにおける膜間差圧の経時的変化を示すグラフであり、(b)は、本発明の実施形態1の透析システムで透析を行った場合の、透析カラムにおける膜間差圧の経時的変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。

【0011】
図1は、実施形態1に係る透析システム100の構成を示す図である。図1(a)に示すように、透析システム100は、透析膜10Aを備える透析カラム10によって、患者の血液を透析するシステムであり、透析装置1、制御装置(流量調節部)2および透析液供給装置3を備えている。

【0012】
透析装置1は、透析カラム10、患者の血液を透析カラム10に供給する第1流路11、および透析カラム10によって透析された透析後血液を患者に還流させる第2流路12を備えている。

【0013】
第1流路11には、脱血ポンプ14が設けられており、脱血ポンプ14が駆動することにより、カニューレ16Aを介して患者の血液が脱血される。脱血された血液は、透析カラム10に供給され、透析される。脱血ポンプ14として定量ポンプを用いることができる。

【0014】
駆動中の脱血ポンプ14の送液速度は特に限定されないが、例えば300ml/分を上限とした速度とすることができる。好ましくは、脱血ポンプ14の送液速度は、10ml/分~150ml/分、より好ましくは、50ml/分~150ml/分の範囲内である。なお、状況に応じて、脱血ポンプ14の駆動を止めることもできる。

【0015】
透析カラム10は内部に膜を有しており、膜の一方に血液が、他方に透析液あるいは血漿成分等の液体が存在することにより、血液を透析するカラムのことである。透析カラム10は、その内部に透析膜10Aを多数有している。なお、図1(a)においては、透析膜10Aの束を模式的に示した。透析カラム10は、血液透析療法で用いられるダイアライザーであってもよいし、血液濾過療法で用いられるヘモフィルターであってもよいし、血液透析濾過療法で用いられるヘモダイアフィルターであってもよい。図1(b)は、第1流路11と複数の透析膜10Aとの接続の形態を説明するための図である。図1(b)に示すように、第1流路11と複数の透析膜10Aとの接続部において、複数の透析膜10Aは、一本の第1流路11につながっている。透析膜10Aの内側を血液が流れ、透析膜10Aの外側を透析液が流れることにより透析が行われる。透析液は、透析液供給装置3によって供給路31を介して透析カラム10に供給される。供給路31には透析液供給ポンプ70が設置される場合もある。その後、透析排液路32を介して廃棄される。透析排液路32には、透析液ポンプ50が設置される場合もある。透析液ポンプ50の流量を透析液供給ポンプ70の流量よりも高く設定することで血液濾過や除水を行うこともできる。透析液を透析カラム10に供給せずに濾過や除水のみを行う場合もある。透析カラム10として、一般的な血液透析において用いられている透析カラムを用いることができる。透析液供給装置3が供給する透析液も特に限定されず、一般的な透析液を用いることができる。

【0016】
透析後の血液は、第2流路12を通り、カニューレ16Bを介して患者の血管17内に還流される。なお、図示しないが、第2流路12と複数の透析膜10Aとの接続部において、複数の透析膜10Aは、一本の第2流路12につながっている。また、図1(a)においては、患者の血管17を模式的に示しているが、透析後の血液を環流する血管は、脱血を行う血管と同じ血管であってもよい。

【0017】
このような血液循環流路に加え、透析装置1は、さらに、透析後の血液の一部などの流体を透析カラム10に供給する第3流路13を備えている。第3流路13は、脱血ポンプ14よりも下流において第1流路11と連通しているとともに、第2流路12とも連通している。第2流路12と第3流路13との連通位置は、特に限定されない。また、第3流路13の始端は透析カラム10の出口側に、第3流路13の終端は透析カラム10の入口側に接続されていてもよい。

【0018】
第3流路13には、再循環ポンプ15が設けられており、再循環ポンプ15が駆動することにより、第2流路12を流れる血液の一部が第3流路13に取り込まれ、第1流路11に供給される。この流れが生じることにより、透析後の血液の一部が透析カラム10に供給される。第3流路13の始端が透析カラム10の出口側に、第3流路13の終端が透析カラム10の入口側に接続されている場合でも、上記と同様の作用を奏する。このように再循環ポンプ15を設けることにより、透析後の血液の一部を、第3流路13を経由して能動的に透析カラム10に供給することができる。再循環ポンプ15として、定量ポンプ(例えばローラーポンプ)または定圧ポンプ(例えば遠心ポンプ)を用いることができる。

【0019】
駆動中の再循環ポンプ15の送液速度は特に限定されないが、例えば300ml/分を上限とした速度とすることができる。好ましくは、再循環ポンプ15の送液速度は、50ml/分~300ml/分、より好ましくは、50ml/分~150ml/分の範囲内である。なお、状況に応じて、再循環ポンプ15の駆動を止めた状態で透析を行うこともできる。

【0020】
第1流路11、第2流路12および第3流路13を形成するチューブは、一般的な透析装置において用いられるチューブでよく、例えば、再生セルロース、セルローストリアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、エチレンビニルアルコール共重合体、およびポリエステル系ポリマーアロイなどからなるチューブを挙げることができる。

【0021】
なお、一般的な透析装置に設けられているその他の構成が、透析装置1に設けられていてもよい。

【0022】
(透析装置1の効果)
定量ポンプを用いた場合で説明する。以下、流速とは平均流速を意味する。

【0023】
図2は、透析装置1の効果の一例を説明するための図である。本実施形態では、透析カラム10によって透析された血液を透析カラム10に再供給することにより、透析カラム10に流入する血液量を増加させることができる。例えば図2に示す例では、患者の血液量が100mL/分、透析後血液量を200mL/分とすることで、透析カラム10への血液量を300mL/分としている。その結果として、透析膜10A内を流れる血液の速度を高めることができる。流速を高めたことにより、透析膜10Aの血流による洗浄効果を高めることができる。

【0024】
また、透析カラム10によって透析された血液を透析カラム10に再供給することにより、透析カラム10に流入する閉塞物質の濃度を低下させることができる。図2に示す例では、患者の血液中の閉塞物質の濃度(物質濃度)は20mg/dLであるが、第3流路13から透析後血液を供給することにより、透析カラム10への物質濃度は、10mg/dLに低下している。

【0025】
透析カラム10へ供給する血液の流速を高くしたり、閉塞物質の濃度を低下させたりすることにより、透析膜10Aの閉塞を抑制し、透析膜10Aの寿命を延ばすことができる。透析膜10Aの寿命を延ばすことにより、透析カラム10の交換頻度を低減することができる。そのため、循環動態が悪化した重篤な患者に対して従来より継続的に透析を行うことの可能性を開くことができる。

【0026】
また、これらの作用により、透析膜10Aの閉塞を抑制し、透析膜濾過量を向上させることができる。特に、患者から血液を脱血できる量が低量に抑えられている場合であっても、第3流路13を介して透析カラム10に血液を供給することにより、充分な流速を確保することができるため透析膜10Aの閉塞を抑制することができる。また、患者の血液中の閉塞物質の濃度が上昇した場合でも、透析カラム10に流入する閉塞物質の濃度を低減することができる。そのため、これまで透析を効率的に行えなかった患者に対しても効率的に透析を行うことの可能性を開くことができる。さらに、濾過や除水を行った際、透析膜10A内の血液が濃縮され、さらに透析膜10A内を流れる血液の流速も低下して透析膜10Aが閉塞しやすくなるが、透析カラム10へ供給する血液量を上げることで、透析膜10Aの閉塞を抑制することができる可能性を開くことができる。例えば、透析カラム10が有する透析膜の、流体による洗浄効果を高めることができ、透析膜10Aの寿命を延ばすことができる。また、患者からの脱血量を低下させた場合でも、透析膜10Aに対する良好な洗浄効果を維持して透析を行うことができる。

【0027】
透析膜10A内を流れる血液の速度は、透析カラム10が使用可能である範囲内であれば特に限定されないが、例えば、20ml/分~300ml/分、好ましくは、50ml/分~250ml/分、より好ましくは100ml/分~250ml/分の範囲内である。

【0028】
(制御装置2)
制御装置2は、脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の送液速度を制御することにより、透析システム100における流体速度を制御する。制御装置2は、ポンプごとに設けられていてもよい。図3は、制御装置2の機能ブロック図である。図3に示すように、制御装置2は、主制御部21、表示部27、入力部28および記憶部29を備えている。

【0029】
主制御部21は、モニタリング部22、制御値算出部23およびポンプ制御部24を備えている。

【0030】
モニタリング部22は、検査装置40から患者の生理状態を検査した結果を示す検査情報(検査結果)を取得し、当該検査情報が示す各種の値(例えば、血圧)が所定の範囲(例えば、正常範囲)内にあるかどうかを監視する。また、モニタリング部22は、カラム状態測定装置41から、透析カラム10の状態を反映した数値を示すカラム情報を取得し、当該カラム情報が示す値(例えば、透析カラム10内の圧力)が所定の範囲内にあるかどうかを監視する。また、モニタリング部22は、透析液状態測定装置43から、透析液情報を取得し、当該透析液情報が示す値(例えば、透析液ポンプ50の流量から透析液供給ポンプ70の流量を引いた値)が所定の範囲内にあるかどうかを監視する。なお、透析液情報は、透析カラムから排出される透析液と、透析カラムに供給される透析液とに関する情報であり、特に限定されない。透析液情報は、例えば、透析カラムから排出される透析液と、透析カラムに供給される透析液との違いを示す値を含む情報である。違いを示す値は、例えば透析カラムから排出される透析液の流量と、透析カラムに供給される透析液の流量との差または比(それらの絶対値も含む)を示す値である。また、透析液情報は、透析カラムから排出される透析液と、透析カラムに供給される透析液との成分および/または濃度の違いを示す情報であってもよい。透析液の成分の違いは、例えば電気伝導度、および/または浸透圧の差等により算出することができる。モニタリング部22は、透析液情報として、一種類の情報を監視してもよく、複数種類の情報を監視してもよい。

【0031】
なお、透析液ポンプ50の流量から透析液供給ポンプ70の流量を引いた値は除水量および/または濾過量を表す。除水および/または濾過を行うと透析膜10A内の血液が濃縮される場合がある。また、濃縮が進むと、より透析膜10Aが閉塞しやすくなる。

【0032】
制御値算出部23は、検査情報、カラム情報または透析液情報を取得し、これら検査情報、カラム情報または透析液情報が示す値に対応する再循環流体の速度(単位時間あたりの送液量)を実現するために、再循環ポンプ15の制御値を算出する。また、制御値算出部23は、検査情報、カラム情報または透析液情報が示す値に対応する、脱血ポンプ14の制御値をさらに算出することもある。

【0033】
制御値算出部23は、第1算出部25、第2算出部26および第3算出部44を備えている。第1算出部25は、検査情報が示す生理状態に対応する、脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の制御値を算出する。第2算出部26は、カラム情報が示す数値に対応する脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の制御値を算出する。第3算出部44は、透析液情報が示す数値に対応する脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の制御値を算出する。

【0034】
第1算出部25、第2算出部26および/または第3算出部44が算出する制御値は、最終的に脱血ポンプ14または再循環ポンプ15において好ましい送液速度を実現できる値であればよく、送液速度それ自体であってもよいし、脱血ポンプ14または再循環ポンプ15の種類に応じた特有の制御値であってもよい。

【0035】
ポンプ制御部24は、制御値算出部23が算出した制御値を用いて再循環ポンプ15の送液能力を変化させることにより、再循環ポンプ15の、その時点における好ましい送液速度を実現する。また、ポンプ制御部24は、再循環ポンプ15に加えて、脱血ポンプ14の送液能力を変化させることもある。

【0036】
検査装置40は、患者から脱血する血液の量を決定するために用いられる検査情報を当該患者から取得する装置であり、例えば血圧計である。

【0037】
カラム状態測定装置41は、透析膜10Aの閉塞状態と相関のある物理的または化学的な数値を測定する装置であり、例えば、透析膜10Aの内外の差圧を測定する圧力計である。また、透析膜10Aの閉塞状態と相関のある物理的な数値として、透析カラム10を通過する前後の血液量の差、または透析カラム10の入口圧と出口圧の差などを用いてもよい。この場合、当該差を測定するための流量計または圧力計をカラム状態測定装置41として設ければよい。

【0038】
透析液状態測定装置43は、透析液情報を算出する装置であり、例えば、透析液供給ポンプ70および透析液ポンプ50の流量計から、透析液供給ポンプ70および透析液ポンプ50の流量を取得し、透析液ポンプ50の流量から透析液供給ポンプ70の流量を引いた値を算出する。

【0039】
なお、モニタリング部22を設けずに、検査情報、カラム情報または透析液情報を受信するごとに制御値算出部23が制御値を算出してもよい。

【0040】
また、第1算出部25が使用する検査情報は、検査装置40によって患者から直接得られる情報である必要はない。医師、看護師、または技師等の医療従事者が患者の生理状態を総合的に判断した結果を数値として入力部28に入力し、当該数値を用いて第1算出部25が制御値を算出してもよい。

【0041】
さらに、表示部27、入力部28をリモートコントローラー上に設けることで、透析システム100を遠隔操作する可能性を開くことができる。

【0042】
(透析システム100における処理の流れ)
(検査結果に基づく制御)
図4は、透析システム100における処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここでは、検査装置40から送信された検査情報に基づいて再循環ポンプ15を制御する場合の処理の流れについて説明する。

【0043】
検査装置40は、継続的に患者の生理状態を検査し、その検査結果を検査情報としてモニタリング部22に送信する(S1)。

【0044】
モニタリング部22は、検査情報を受け取ると、当該検査情報が示す値(生理パラメータと称する)が、所定の範囲に含まれているかどうかを判定する。当該生理パラメータが所定の範囲に含まれている場合には、患者の容態は変化していないため、モニタリング部22は、新たな検査情報を受信するまで待機する(S2にてNO)。

【0045】
一方、生理パラメータが所定の範囲に含まれていない場合には、モニタリング部22は、受信した検査情報を第1算出部25に出力する(S2にてYES)。生理パラメータの値が変化したことは、患者の容態が変化し、脱血量を変化させることが好ましい状況になったことを意味する。

【0046】
そこで、第1算出部25は、受信した検査情報が示す生理パラメータに対応する脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の制御値をそれぞれ算出する(S3)。例えば、患者の血圧が正常範囲よりも低下した場合には、第1算出部25は、脱血量を低下させるために、脱血ポンプ14の送液速度が低下するように脱血ポンプ14の制御値を算出する。

【0047】
脱血量を低下させた場合、透析カラム10に供給される血液量が低下するため、透析膜10Aの、血流による洗浄効果が低下する。これを防止するために、再循環流体量を増加させることが好ましい。そのため、第1算出部25は、再循環ポンプ15の送液速度が上昇するように再循環ポンプ15の制御値を算出する。

【0048】
生理パラメータと制御値との対応関係を示すテーブルを予め記憶部29に格納しておき、当該テーブルを参照することで第1算出部25が上記制御値を算出してもよい。または、第1算出部25は、上記制御値を算出するための所定の数式を用いて当該制御値を算出してもよい。第1算出部25は、算出した制御値をポンプ制御部24へ出力する。

【0049】
ポンプ制御部24は、受信した制御値を用いて脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の送液速度を変化させる(S4)。

【0050】
透析を終了させる指示が入力部28を介して入力されると(S5にてYES)、主制御部21は、一連の処理を終了する。

【0051】
なお、モニタリング部22は、生理パラメータが、所定の複数段階の範囲のうちの、どの範囲に含まれているかを判定し、当該生理パラメータが前回判定した範囲とは異なる範囲に含まれている場合に、検査情報を第1算出部25に出力してもよい。

【0052】
また、患者の容態が回復した場合には、第1算出部25は、脱血量を増加させるために、脱血ポンプ14の送液速度が上昇するように脱血ポンプ14の制御値を算出するとともに、再循環ポンプ15の送液速度が低下するように再循環ポンプ15の制御値を算出してもよい。

【0053】
(カラム状態に基づく制御)
カラム情報に基づいて制御値を算出する場合には、第2算出部26は、上述の処理と概ね同様の処理の流れで再循環ポンプ15の制御値を算出する。図5は、透析システム100における処理の流れの別の例を示すフローチャートである。

【0054】
カラム状態測定装置41は、透析膜10Aの状態を測定し、測定結果を示すカラム情報をモニタリング部22に送信する(S21)。

【0055】
モニタリング部22は、カラム情報を受け取ると、当該カラム情報が示す値(カラムパラメータと称する)が、所定の範囲に含まれているかどうかを判定する。カラムパラメータが所定の範囲に含まれている場合には、透析膜10Aの状態は悪化していないため、モニタリング部22は、新たなカラム情報を受信するまで待機する(S22にてNO)。

【0056】
一方、カラムパラメータが所定の範囲に含まれていない場合には、モニタリング部22は、受信したカラム情報を第2算出部26に出力する(S22にてYES)。

【0057】
第2算出部26は、受信したカラム情報が示すカラムパラメータに対応する再循環ポンプ15の制御値を算出し(S23)、ポンプ制御部24へ出力する。カラムパラメータが所定の範囲に含まれていない場合には、透析膜10Aが閉塞状態にある、あるいはこれから閉塞する可能性が高いため、第2算出部26は、再循環ポンプ15の送液速度が高まるように制御値を算出する。第2算出部26による制御値の算出方法は、第1算出部25による制御値の算出方法と同様である。

【0058】
ポンプ制御部24は、受信した制御値を用いて再循環ポンプ15の送液速度を変化させる(S24)。

【0059】
透析を終了させる指示が入力部28を介して入力されると(S25にてYES)、主制御部21は、一連の処理を終了する。

【0060】
(透析液情報に基づく制御)
透析液情報に基づいて制御値を算出する場合には、第3算出部44は、上述のカラム状態に基づく制御と概ね同様の処理の流れで再循環ポンプ15の制御値を算出する。図11は、透析システム100における処理の流れの別の例を示すフローチャートである。

【0061】
透析液状態測定装置43は、透析液情報を測定し、測定結果を示すカラム情報をモニタリング部22に送信する(S31)。

【0062】
モニタリング部22は、透析液情報を受け取ると、当該透析液情報が示す値(透析液パラメータと称する)が、所定の範囲に含まれているかどうかを判定する。透析液パラメータが所定の範囲に含まれている場合には、透析液の流量が好ましい状態にあるため、モニタリング部22は、新たな透析液情報を受信するまで待機する(S32にてNO)。

【0063】
一方、透析液パラメータが所定の範囲に含まれていない場合には、モニタリング部22は、受信した透析液情報を第3算出部44に出力する(S32にてYES)。

【0064】
第3算出部44は、受信した透析液情報が示す透析液パラメータに対応する再循環ポンプ15の制御値を算出し(S33)、ポンプ制御部24へ出力する。透析液パラメータが所定の範囲に含まれていない場合には、例えば透析膜10A内の血液が濃縮され、透析膜10Aが閉塞状態にある、あるいはこれから閉塞する可能性が高いため、第3算出部44は、再循環ポンプ15の送液速度が高まるように制御値を算出する。第3算出部44による制御値の算出方法は、第1算出部25による制御値の算出方法と同様である。

【0065】
ポンプ制御部24は、受信した制御値を用いて再循環ポンプ15の送液速度を変化させる(S34)。

【0066】
透析を終了させる指示が入力部28を介して入力されると(S35にてYES)、主制御部21は、一連の処理を終了する。

【0067】
以上のように、透析システム100では、透析カラム10に再供給する流体の量を患者の生理状態に応じて変化させることができる。例えば、患者の容態が悪化し、脱血量を低下させなければならない状況でも、透析カラム10へ再供給する流体の量を増やすことにより、透析膜10Aの洗浄効果を維持または改善できる。

【0068】
また、透析システム100では、透析カラム10の状態および/または透析液の状態に応じて、透析カラム10に再供給する血液の量を変化させることができ、透析カラム10の洗浄効率を効果的に制御することができる。

【0069】
一変形例においては、第2算出部26は、カラム情報に基づいて、カラムの交換に適した時期(カラム交換時期)を算出し、カラム交換時期を示す情報を表示部27に出力してもよい。表示部27が、カラム交換時期を表示することで、ユーザは、カラム交換時期を知ることができる。さらに、予備用カラムを設置しておくことで自動的にカラムを切り替えることも考えられる。

【0070】
他の変形例においては、ポンプ制御部24は、脱血ポンプ14または再循環ポンプ15を実際に通過する流体の流量を監視し、透析システム100における好ましい流体の流速を実現するために、それぞれのポンプの流量を変化させることもある。

【0071】
他の変形例においては、第2算出部26は、カラム情報に基づいて、患者の血液中に含まれている閉塞物質の濃度あるいはそれに類似の情報(閉塞物質の多少を段階的に示す情報)を算出し、当該濃度を示す情報を表示部27に出力してもよい。表示部27が、患者の血液中に含まれている閉塞物質の濃度あるいはそれに類似の上記情報を表示することで、ユーザは、患者の血液中に含まれている閉塞物質の濃度あるいはそれに類似の上記情報、ひいては患者の病態を知ることができる。

【0072】
カラム情報とカラム交換時期との対応関係、およびカラム情報と閉塞物質の血中濃度あるいはそれに類似の上記情報との関係は、予め記憶部29にテーブルとして格納されていればよい。

【0073】
また、脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の送液速度の調節は、ユーザが手動で行ってもよい。この場合、脱血ポンプ14および再循環ポンプ15には、送液速度(単位時間あたりの流量)を調節するための流量調節部(例えば、ダイヤル)が設けられていてもよい。

【0074】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。

【0075】
図6~図8及び図12は、実施形態2に係る透析システム200の構成を示す図である。図6に示すように、透析システム200が備える透析装置1Aは、生理食塩水など、生体適合性の液体を貯留するタンク42を備えている。以下の説明では、タンク42には生理食塩水が貯留されているものとする。

【0076】
透析装置1Aでは、第3流路13Aの始端は、タンク42に連通され、終端は第1流路11に連通されている。そのため、透析装置1Aでは、透析カラム10によって透析された血液ではなく、タンク42に貯留された生理食塩水、透析液、その他生体適合性の流体、またはそれらの混合物などが、第3流路13Aを介して透析カラム10に供給されることにより、透析カラム10の閉塞が抑制される。透析システム200のその他の構成は、透析システム100と同様である。

【0077】
また、図7に示すように、第3流路13および13Aが設けられ、第3流路13Aの始端が、透析液供給装置3に連通されてもよい。透析システム100と同様に、第3流路13の終端は、脱血ポンプ14よりも下流において第1流路11と連通しているとともに、第3流路13の始端は、第2流路12と連通している。第3流路13Aの始端は、透析液供給装置3に連結されており、第3流路13Aの終端は、再循環ポンプ15よりも下流において第3流路13と連通している。また、第3流路13Aには、再循環ポンプ15Aが設けられている。

【0078】
また、図8に示すように、第3流路13および13Aが設けられ、第3流路13Aの始端が、透析液供給装置3とは異なる透析液供給装置3bに連通されてもよい。透析システム100と同様に、第3流路13の終端は、脱血ポンプ14よりも下流において第1流路11と連通しているとともに、第3流路13の始端は、第2流路12と連通している。第3流路13Aの終端は、再循環ポンプ15よりも下流において第3流路13と連通している。また、第3流路13Aには、再循環ポンプ15Aが設けられている。

【0079】
また図12に示すように、第3流路13および13Aが設けられ、第3流路13Aの始端が、タンク42に連通されていてもよい。透析システム100と同様に、第3流路13の終端は、脱血ポンプ14よりも下流において第1流路11と連通しているとともに、第3流路13の始端は、第2流路12と連通している。第3流路13Aの終端は、再循環ポンプ15よりも下流において第3流路13と連通している。また、第3流路13Aには、再循環ポンプ15Aが設けられている。この構成によれば、透析後の血液の一部を、必要に応じて生理食塩水など、生体適合性の液体と混合して、透析カラム10に供給することができる。

【0080】
または、図6~図8及び図12に示す流路構成を組み合わせてもよい。第3流路13Aの始端には、タンク42、透析液供給装置3、および透析液供給装置3bからなる群から選ばれるいずれかが連通されていればよい。

【0081】
このように、透析カラム10に供給される流体は、血液に限らず、生理食塩水など、生体適合性の液体であってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。透析カラム10に供給される流体が生理食塩水などであった場合でも、透析システム100と同様の効果が得られる。

【0082】
また、制御装置2による脱血ポンプ14および再循環ポンプ15Aの制御方法についても、実施形態1における脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の制御方法と同様の制御方法を用いることができる。

【0083】
〔実施形態3〕
本発明の第3の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。

【0084】
図9は、実施形態3に係る透析システム300の構成を示す図である。図9に示すように、透析システム300が備える透析装置1Bは、脱血ポンプ14、および再循環ポンプ15に加えて、第1流路11に流入ポンプ19を備えている。流入ポンプ19の送液速度は、制御装置2により制御されている。なお、脱血ポンプ14または再循環ポンプ15は設置されていなくともよい。

【0085】
流入ポンプ19は、第1流路11において、第1流路11と第3流路との連通部分よりも下流に設けられている。本実施形態においては、制御装置2は、脱血ポンプ14、および再循環ポンプ15に加えて、流入ポンプ19の送液速度を制御することで、透析カラム10に供給される血液量をより好適に制御する。なお、脱血ポンプ14または再循環ポンプ15は設置されていなくともよい。

【0086】
また、制御装置2による脱血ポンプ14、再循環ポンプ15、および流入ポンプ19の制御方法についても、実施形態1における制御方法と同様の制御方法を用いることができる。

【0087】
なお、図示しないが、透析装置1Bにおいて、第3流路に生理食塩水、透析液、その他生体適合性の流体、またはそれらの混合物などを流入させる形態(実施形態2参照)も、本発明の技術的範囲に含まれる。

【0088】
〔実施形態4〕
本発明の第4の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。

【0089】
図10は、実施形態4に係る透析システム400の構成を示す図である。図10に示すように、透析システム400が備える透析装置1Cは、透析装置1の構成に加え、貯留槽18、および流入ポンプ19を備える。流入ポンプ19は設置されていなくともよい。必須ではないが、貯留槽18には例えば圧力逃し弁60など、内圧が一定以上にならないようにする装置が設置されている場合もある。貯留槽18には、圧力計96が設けられており、透析カラム10における入口側の圧力を測定することができる。

【0090】
透析装置1Cにおいては、第3流路13の終端が第1流路11に連通されており、第1流路11と第3流路13との連結部分に、貯留槽18が設けられている。第3流路13の流量増加時に、第3流路13内の流体が第1流路11に流入することにより第1流路11に圧力がかかる。本実施形態においては、貯留槽18を設けることにより、当該圧力を緩衝することができる。なお、第1流路11に急激に圧力をかける可能性のある第3流路13内の流体としては、透析開始時において第3流路13内に充填されている生理食塩水などの生体適合性の液体、および透析開始後において第3流路13内に存在している透析後血液等が含まれる。また、貯留槽18は、第3流路13の終端と透析カラム10との間に設けられていてもよい。

【0091】
また、透析装置1Cにおいては、第1流路11から供給される血液、および第3流路13から供給される流体が、貯留槽18内で一旦貯留されることで、これら血液および流体をより好適に混合することができる。

【0092】
透析装置1Cにおいて、流入ポンプ19は、実施形態3に係る透析装置1Bと同様に、第1流路11において、第1流路11と第3流路13との連通部分よりも下流に設けられている。本実施形態においては、制御装置2は、脱血ポンプ14、および再循環ポンプ15に加えて、流入ポンプ19の送液速度を制御することで、透析カラム10に供給される血液量をより好適に制御する。なお、流入ポンプ19は設置されていなくともよい。一方、流入ポンプ19が設置されている場合には、実施形態3と同様、脱血ポンプ14または再循環ポンプ15は設置されていなくてもよい。

【0093】
また、制御装置2による脱血ポンプ14、再循環ポンプ15、および流入ポンプ19の制御方法についても、実施形態1における制御方法と同様の制御方法を用いることができる。貯留槽18内の圧力を制御装置2のモニタリング部22に入力し、ポンプ制御部24が脱血ポンプ14、再循環ポンプ15、流入ポンプ19の流量を制御する形態とすることもできる。

【0094】
なお、図示しないが、透析装置1Cにおいて、実施形態2において上述したように、第3流路に生理食塩水、透析液、その他生体適合性の流体、またはそれらの混合物などが流入される形態も、本実施形態の範疇である。該形態においては、貯留槽18には、患者の血液および生理食塩水などの生体適合性の液体が貯留され得る。そのため、タンク42、透析液供給装置3、または透析液供給装置3bから供給される液体の流量が増加したときに、第1流路11にかかる圧力を緩衝できる。

【0095】
〔実施形態5〕
本発明の第5の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。

【0096】
図13は、実施形態5に係る透析システム500の構成を示す図である。図13に示すように、透析システム500が備える透析装置1Dは、図10に示した透析装置1Cの構成に加え、貯留槽20、流路構造体80、圧力計91、第4流路92、圧力計96、圧力計97および圧力計98を備える。また、必須ではないが、貯留槽20には例えば圧力逃し弁60など、内圧が一定以上にならないようにする装置が設置されている場合もある。

【0097】
透析装置1Dにおいては、流路構造体80は、第3流路13、チューブ内の流体を送り出す再循環ポンプ15、第1三方活栓81、および第2三方活栓82を備える。第1三方活栓81は、第1流路11と第3流路13とが連通可能なように、第3流路13の終端を、第1流路11の途中に接続するための活栓である。第2三方活栓82は、第2流路12と第3流路13とが連通可能なように、第3流路13の始端を、第2流路12の途中に接続するための活栓である。

【0098】
なお、図示していないが、透析装置1、1A及び1Bにおいても、第1流路11と第3流路13とが第1三方活栓81により接続され、第2流路12と第3流路13とが第2三方活栓82により接続されても構わない。図10に示す透析装置1Cにおいては、第2流路12と第3流路13とが第2三方活栓82により接続されても構わない。

【0099】
流路構造体80は、透析装置1Dに取り付け可能な取付部材として機能しても構わない。つまり、流路構造体80は、流路構造体80を取り付ける前の透析装置1D(取付前の透析装置1D)とは別にパッケージ化されて販売されても構わない。この場合、ユーザが、取付前の透析装置1Dに流路構造体80を取り付けることにより、透析装置1Dが完成する。流路構造体80をパッケージ化する場合に、再循環ポンプ15をパッケージに含めてもよいし、含めなくてもよい。

【0100】
なお、他の実施形態においても、流路構造体80と、流路構造体80を取り付ける前の透析装置1、1A及び1B(取付前の透析装置1、1A及び1B)とが別に販売されても構わない。この場合も、ユーザが、取付前の透析装置1、1A及び1Bに流路構造体80を取り付けることにより、透析装置1、1A及び1Bが完成する。

【0101】
透析装置1Dにおける流路を形成する流路形成方法には、第3流路13を形成するチューブの一端を第1流路11に接続する工程と、前記チューブの他端を第2流路12に接続する工程とを含む。より詳細には、
(1)第3流路13を形成するチューブに再循環ポンプ15を取付ける工程と、
(2)第3流路13を形成するチューブの一端と第1三方活栓81とを接続する工程と、
(3)第3流路13を形成するチューブの他端と第2三方活栓82とを接続する工程と、
(4)第1三方活栓81と第1流路11を形成するチューブとを接続する工程と、
(5)第2三方活栓82と第2流路12を形成するチューブとを接続する工程と、
を経て、透析装置1Dが完成する。上記(1)~(5)の工程の順序は問わない。透析装置1、1Aおよび1Bについても、上記工程を経て完成する。

【0102】
貯留槽20は、第2流路12と第2三方活栓82との間に設けられている。また、貯留槽20は、第4流路92を介して、透析液供給装置3と接続されている。貯留槽20内の流体の圧力は、圧力計91により計測される。第2流路12に貯留槽20を設け、貯留槽20内の流体の圧力を圧力計91で計測することにより、透析カラム10の出口側の圧力を計測することができる。なお、第4流路92は設置されていなくてもよい。

【0103】
圧力計96は、貯留槽18内の流体の圧力を計測するものである。貯留槽18内の流体の圧力を計測することにより、透析カラム10の入口側の圧力を計測することができる。

【0104】
圧力計97は、再循環ポンプ15の制御に使用する圧力を計測するためのものである。圧力計97は、再循環ポンプ15に付随する圧力計であり、必須ではないため省略されてもよい。圧力計98は、供給路31を流れる透析液の圧力を計測するものである。圧力計91・96・97・98が計測した圧力は、制御装置2のモニタリング部22に入力される。

【0105】
圧力計96により計測される圧力は、透析カラム10の入口側の圧力とほぼ等価であり、圧力計91により計測される圧力は、透析カラム10の出口側の圧力とほぼ等価である。入口側の圧力と出口側の圧力との平均値から、圧力計98により計測された透析液の圧力を引いた値が膜間差圧となる。ただし、膜間差圧の求め方はこれに必ずしも限定されない。回路構成に合わせて膜間差圧を求めることができる。

【0106】
制御値算出部23の第2算出部26は、カラム情報として上記膜間差圧を取得し、当該膜間差圧に対応する脱血ポンプ14および再循環ポンプ15の制御値を算出する。ポンプ制御部24は、算出された制御値に応じて脱血ポンプ14、再循環ポンプ15および流入ポンプ19の流量を制御することができる。

【0107】
ポンプ制御部24は、圧力計96が計測した圧力(すなわち、透析カラム10の入口側の圧力)が所定の圧力よりも高いと判定した場合、駆動している脱血ポンプ14および再循環ポンプ15を停止させる。透析カラム10の入口側の圧力が所定値以上に高まると、第3流路13から透析カラム10への流体の流れが阻害される。そのため、第3流路13を通過した流体がカニューレ16Aに向けて逆流する可能性がある。脱血ポンプ14および再循環ポンプ15を停止させることで、このような現象が生じることを防止することができる。

【0108】
上述したように、流入ポンプ19が設置されている場合、脱血ポンプ14または再循環ポンプ15は設置されていなくてもよい。脱血ポンプ14または再循環ポンプ15が設置されていない場合には、ポンプ制御部24は、圧力計96が計測した圧力が所定の圧力よりも高いと判定した場合、流入ポンプ19と、設置されている脱血ポンプ14または再循環ポンプ15とを停止させる。

【0109】
なお、流体の逆流を防止するという観点から、ポンプ制御部24は、圧力計96が計測した圧力が所定の圧力よりも高い場合、再循環ポンプ15のみを停止してもよい。また、圧力計96と圧力計97とがともに貯留槽18内の流体の圧力を計測するように、圧力計96と圧力計97とを管等によりつないでもよい。この場合、ポンプ制御部24は、圧力計97で計測した圧力も加味して、再循環ポンプ15の運転を制御できる。

【0110】
〔実施形態6〕
本発明の第6の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。

【0111】
図14は、実施形態6に係る透析システム600の構成を示す図である。図14に示すように、透析システム600が備える透析装置1Eは、透析装置1Dが備える流路構造体80に代えて流路構造体80Aを備える。流路構造体80Aは、流路構造体80の構成に加え、第1流路11A、第2流路12A、第1逆止弁83、および第2逆止弁84を備える。流路構造体80Aは、第1逆止弁83および第2逆止弁84の一方のみを備えていてもよい。

【0112】
第1逆止弁83は、第1流路11および11Aにおける血液の逆流を防止するものである。第1逆止弁83は、第1流路11Aを介して第1三方活栓81に接続されているとともに、第1流路11を介してカニューレ16Aに接続されている。第1流路11Aは、流路構造体80Aが備える第1流路11の一部であるとみなすことができる。

【0113】
第2逆止弁84は、患者の血液が第2流路12および12Aに流入することを防止するものである。第2逆止弁84は、第2流路12Aを介して第2三方活栓82に接続されているとともに、第2流路12を介してカニューレ16Bに接続されている。第2流路12Aは、流路構造体80Aが備える第2流路12の一部であるとみなすことができる。

【0114】
流路構造体80Aは、実施形態5と同様、透析装置1Eに取り付け可能な取付部材として機能しても構わない。つまり、流路構造体80Aは、流路構造体80Aを取り付ける前の透析装置1Eとは別にパッケージ化されて販売されても構わない。流路構造体80Aをパッケージ化する場合に、再循環ポンプ15をパッケージに含めてもよいし、含めなくてもよい。また、他の実施形態においても、流路構造体80Aと、流路構造体80Aを取り付ける前の透析装置1、1A、1Bおよび1Dとが別に販売されても構わない。

【0115】
透析装置1Eにおける流路を形成する方法には、上記(1)~(5)の工程に加え、
(6)第1流路11(および11A)を形成するチューブに第1逆止弁83を接続する工程と、
(7)第2流路12(および12A)を形成するチューブに第2逆止弁84を接続する工程と、
が含まれる。上記(1)~(7)の工程の順序は問わない。透析装置1、1A、1Bおよび1Dについても、上記工程を経て完成する。

【0116】
〔実施例〕
本発明の実施形態1に係る透析システム100の実施例について、図15を用いて説明する。図15の(a)は、第3流路13を備えない比較例の透析システムで透析を行った場合の、透析カラム10における膜間差圧(TMP:Trans Membrane Pressure)の経時的変化を示すグラフである。図15の(b)は、実施形態1の透析システム100で透析を行った場合の、上記膜間差圧の経時的変化を示すグラフである。

【0117】
図15の(a)及び(b)では、各計測時点における実測値を、計測開始時の実測値を1として標準化した値(標準化TMP)としてプロットしている。また、比較例の透析システムは、図1に示す透析システム100から、第3流路13および再循環ポンプ15を取り除いた構成である。また、本実施例では、透析対象として、牛の血漿を用いている。

【0118】
比較例、実施例ともに、透析カラム10として、市販の透析カラム(東レ・メディカル株式会社社製ヘモフィール(登録商標)CH-1.0N)を使用し、市販の透析液(ニプロ株式会社製サブパック(登録商標)血液ろ過用補充液-Bi)を使用した。比較例では1分間に30mlの血漿を透析カラムに流し、透析システム100では1分間に200mlの流体(30mlの血漿および170mlの透析液)を透析カラムに流し、透析を行った。また、比較例、実施例ともに、返血側に静脈圧と同程度の圧力をかけた上で透析を行った。

【0119】
図15の(a)に示すように、比較例の透析システムを用いて牛の血漿を透析した場合、標準化TMPの値は、計測時間(透析時間)の経過に伴い増加していることがわかる。膜間差圧は、透析膜10Aの閉塞を表す指標である。従って、図15の(a)の結果から、経時的に透析膜10Aの閉塞が進んでいることがわかる。

【0120】
一方、図15の(b)に示すように、透析システム100を用いて牛の血漿を透析した場合、標準化TMPの値は、透析時間が長くなっても大きく変動していない。つまり、透析システム100を用いて透析を行った場合、第3流路13を用いて流体を循環させることで、比較例の透析システムを用いた場合よりも、透析膜10Aの閉塞を防ぐことができることがわかる。従って、透析システム100を用いることにより、透析膜10Aの寿命を延ばすことができる。

【0121】
具体的には、牛の血漿を用いた透析において、透析開始時の透析カラム10の膜間差圧を1とした場合の、透析開始から5時間後までの間の、1時間当たりの膜間差圧の増加値は、比較例については図15の(a)の結果から、最小二乗法による近似直線の傾きとして求めると、約0.39となる。一方、実施例の上記増加値は、図15の(b)の結果から同様に求めると、約0.07となる。これは比較例の約18%となる。このように、実施例においては、比較例に比べ、透析膜10Aの閉塞を防ぐことができることが明らかである。少なくとも上記増加値が比較例の増加値の80%以下となることが好ましい。より好ましくは50%以下となることがよい。

【0122】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御装置2の制御ブロック(特に第1算出部25、第2算出部26、第3算出部44、およびポンプ制御部24)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。

【0123】
後者の場合、制御装置2は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラム(制御プログラム)の命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。

【0124】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0125】
1、1A、1B、1C、1D、1E 透析装置
2 制御装置(流量調節部)
3、3b 透析液供給装置
10 透析カラム
10A 透析膜
11、11A 第1流路
12、12A 第2流路
13、13A 第3流路
14 脱血ポンプ
15、15A 再循環ポンプ
16A カニューレ
16B カニューレ
17 血管
18、20 貯留槽
19 流入ポンプ
21 主制御部
22 モニタリング部
23 制御値算出部
24 ポンプ制御部
25 第1算出部
26 第2算出部
27 表示部
28 入力部
29 記憶部
31 供給路
32 透析排液路
40 検査装置
41 カラム状態測定装置
42 タンク
43 透析液状態測定装置
44 第3算出部
50 透析液ポンプ
60 圧力逃し弁
70 透析液供給ポンプ
80、80A 流路構造体
81 第1三方活栓
82 第2三方活栓
83 第1逆止弁
84 第2逆止弁
91、96、97、98 圧力計
92 第4流路
100、200、300、400、500、600 透析システム
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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