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明細書 :アンテナ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-068421 (P2019-068421A)
公開日 平成31年4月25日(2019.4.25)
発明の名称または考案の名称 アンテナ装置
国際特許分類 H01Q   9/16        (2006.01)
H01Q   5/371       (2015.01)
H01Q  21/06        (2006.01)
H01Q  21/30        (2006.01)
FI H01Q 9/16
H01Q 5/371
H01Q 21/06
H01Q 21/30
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2018-185159 (P2018-185159)
出願日 平成30年9月28日(2018.9.28)
優先権出願番号 2017193700
優先日 平成29年10月3日(2017.10.3)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】吉田 賢史
【氏名】西川 健二郎
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100095407、【弁理士】、【氏名又は名称】木村 満
【識別番号】100162259、【弁理士】、【氏名又は名称】末富 孝典
【識別番号】100133592、【弁理士】、【氏名又は名称】山口 浩一
【識別番号】100168114、【弁理士】、【氏名又は名称】山中 生太
審査請求 未請求
テーマコード 5J021
Fターム 5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AA13
5J021AB03
5J021CA03
5J021GA01
5J021GA08
5J021HA05
5J021JA03
要約 【課題】複数の異なる周波数帯の送受信を可能としつつ小型化を実現することができるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】アンテナ装置1Aは、誘電体基板2に形成される多層構造のアンテナ装置である。第1の平行線路11は、互いに平行に延びる2層の導電性パターンで構成される。第1の平行線路11は、第1の周波数帯については先端開放型の折り返しダイポールアンテナとして動作し、第1の周波数帯よりも高い第2の周波数帯については信号の伝送線路として動作する。第2の平行線路12は、第1の平行線路11の途中から枝別れして互いに平行に延びた後、逆方向に折れ曲がった2層の導電性パターンで構成され、第2の周波数帯については単素子のダイポールアンテナとして動作する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
誘電体基板に形成される多層構造のアンテナ装置であって、
互いに平行に延びる2層の導電性パターンで構成され、第1の周波数帯については先端開放型の折り返しダイポールアンテナとして動作し、前記第1の周波数帯よりも高い第2の周波数帯については信号の伝送線路として動作する第1の平行線路と、
前記第1の平行線路の途中から枝別れして互いに平行に延びた後、逆方向に折れ曲がった2層の導電性パターンで構成され、前記第2の周波数帯については単素子ダイポールアンテナとして動作する第2の平行線路と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項2】
前記第2の平行線路は、前記第1の平行線路上に複数設けられ、
前記第2の平行線路それぞれで送受信され、前記第2の平行線路が設けられる間隔は、
前記第1の平行線路を伝送される前記第2の周波数帯の無線信号の位相差が2πとなる間隔である、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
複数の前記第2の平行線路は、同じ向きで配設されている、
請求項2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1の平行線路の各線路は、メアンダ状に折り返されながら延びている、
請求項1から3のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記誘電体基板は、
前記第2の平行線路が設けられた位置に、前記第2の平行線路がダイポールアンテナとして動作する前記第2の周波数帯の無線信号の送受信方向に張り出す張り出し部を有する、
請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記第1の平行線路における、先端開放型の折り返しダイポールアンテナとして動作する部分の全長が、前記第1の周波数帯の無線信号の波長の1/2であり、
前記第2の平行線路において、ダイポールアンテナとして動作する部分の全長が、前記第2の周波数帯の無線信号の波長の1/2である、
請求項1から5のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1の周波数帯は、UHF帯であり、
前記第2の周波数帯は、ミリ波帯である、
請求項1から6のいずれか一項に記載のアンテナ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年急速に普及したスマートフォンには、4GもしくはLTE(Long Term Evolution)通信システム用のアンテナ以外にも無線LAN(Wifi)やワンセグ受信用のアンテナなど、様々な周波数帯のアンテナが内蔵されている。このため、従来より、各種アンテナの実装方法の研究が進められている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
また、次世代の移動通信システムとして、第5世代の移動通信システム(5G)に関する検討が既に世界各所で始まっており、5G用小型携帯端末において、超高速通信が可能なミリ波帯通信システムの搭載が検討されている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】S. Yoshida, et al., ”5-GHz band 3-stacked meander line antenna using multi-layered organic substrates,” in Proc. IEEE AP-S Int. Symp., Jul. 2010.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、小型の携帯端末では、周波数帯がそれぞれ異なる複数の通信方式で通信できることが要求されている。周波数帯の異なる複数の通信方式で通信を行うためには、それぞれの周波数帯の無線信号を送受信可能な複数のアンテナが必要になる。しかしながら、複数のアンテナをそれぞれ携帯端末に組み込めば、装置全体が大型化することが懸念される。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、複数の異なる周波数帯の送受信を可能としつつ小型化を実現することができるアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るアンテナ装置は、
誘電体基板に形成される多層構造のアンテナ装置であって、
互いに平行に延びる2層の導電性パターンで構成され、第1の周波数帯については先端開放型の折り返しダイポールアンテナとして動作し、前記第1の周波数帯よりも高い第2の周波数帯については信号の伝送線路として動作する第1の平行線路と、
前記第1の平行線路の途中から枝別れして互いに平行に延びた後、逆方向に折れ曲がった2層の導電性パターンで構成され、前記第2の周波数帯については単素子ダイポールアンテナとして動作する第2の平行線路と、
を備える。
【0008】
この場合、前記第2の平行線路は、前記第1の平行線路上に複数設けられ、
前記第2の平行線路それぞれで送受信され、前記第2の平行線路が設けられる間隔は、
前記第1の平行線路を伝送される前記第2の周波数帯の無線信号の位相差が2πとなる間隔である、
こととしてもよい。
【0009】
複数の前記第2の平行線路は、同じ向きで配設されている、
こととしてもよい。
【0010】
前記第1の平行線路の各線路は、メアンダ状に折り返されながら延びている、
こととしてもよい。
【0011】
前記誘電体基板は、
前記第2の平行線路が設けられた位置に、前記第2の平行線路がダイポールアンテナとして動作する前記第2の周波数帯の無線信号の送受信方向に張り出す張り出し部を有する、
こととしてもよい。
【0012】
前記第1の平行線路における、先端開放型の折り返しダイポールアンテナとして動作する部分の全長が、前記第1の周波数帯の無線信号の波長の1/2であり、
前記第2の平行線路において、ダイポールアンテナとして動作する部分の全長が、前記第2の周波数帯の無線信号の波長の1/2である、
こととしてもよい。
【0013】
前記第1の周波数帯は、UHF帯であり、
前記第2の周波数帯は、ミリ波帯である、
こととしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の異なる周波数帯の無線信号の送受信を行うアンテナと伝送線路とを共通化することができるので、複数の異なる周波数帯の送受信を可能としつつ小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図1のアンテナ装置の構造を示す分解斜視図である。
【図3】アンテナ装置を構成する給電部付近の拡大図である。
【図4】第1の伝送線路の等価回路図である。
【図5】アンテナ装置を構成する第2の伝送線路付近の拡大図である。
【図6】図1のアンテナ装置の等価回路図である。
【図7】第2の伝送線路の配列間隔を示す模式図である。
【図8】UHF帯の無線信号を送受信する場合の伝送線路内の電流密度を示す図である。
【図9】第1の平行線路から出力されるUHF帯の無線信号の放射パターンを示す図である。
【図10】UHF帯の無線信号を送受信する場合の伝送線路内の電流密度を示す図である。
【図11】第2の平行線路から出力されるミリ波帯の無線信号の放射パターンを示す図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係るアンテナ装置の構成を示す上面図である。
【図13】図12のアンテナ装置の構成の変形例を示す上面図である。
【図14】(A)は、本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置におけるUHF帯の無線信号の放射パターンを示す図である。(B)は、第2の平行線路を有しないアンテナ装置におけるUHF帯の無線信号の放射パターンを示す図である。
【図15】(A)は、本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置におけるミリ波帯の無線信号の放射パターンを示す図である。(B)は、第2の平行線路を有しないアンテナ装置におけるミリ波帯の無線信号の放射パターンを示す図である。
【図16】(A)は、本発明の実施の形態1に係るアンテナ装置におけるUHF帯でのSパラメータS11(反射係数)の周波数特性を示す図である。(B)は、アンテナ装置におけるミリ波帯でのSパラメータS11(反射係数)の周波数特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。

【0017】
実施の形態1.
まず、本発明の実施の形態1について説明する。

【0018】
図1に示すアンテナ装置1Aは、異なる2つの周波数帯の無線信号の送受信を行うアンテナである。より具体的には、アンテナ装置1Aは、第1の周波数帯としてのUHF帯(300MHz以上3GHz以下)の無線信号の送受信と、第2の周波数帯としてのミリ波帯(例えば30GHz又は60GHz)の無線信号の送受信と、を行う。

【0019】
図1に示すように、アンテナ装置1Aは、誘電体基板2から構成される。誘電体基板2は、矩形平板状の誘電体物質から成る。本実施の形態では、誘電体基板2の長手方向をY軸方向とし、短手方向をX軸方向とする。

【0020】
図2に示すように、誘電体基板2は、5つの層2A~2Eが積層されて構成される。すなわち、誘電体基板2は、多層構造の基板である。5つの層2A~2Eは、大きさが同じで、厚みが均一で細長い矩形平板状の層である。

【0021】
5つの層2A~2Eのうちの最下層である層2Aには、アンテナ装置1Aの給電部3が形成されている。その上の層2Bには、給電部3とさらにその上の導電性パターンとを電気的に接続するスルーホール4が形成されている。

【0022】
また、下から3番目の層2C及び5番目の層2Eには、導電性パターンが形成されており、その間の層2Dは、誘電体のみで構成されている。以下では、導電性パターンが形成された層2C,2Eのうち、層2Cを第1層とし、層2Eを第2層とする。

【0023】
給電部3は、アンテナ装置1Aにおける唯一の給電点である。給電部3には、給電導体3Aと、接地導体3Bとが形成されている。給電導体3Aは、点状の端子であり、接地導体3Bは、矩形平板状の導体である。接地導体3Bでは、中央付近に貫通孔が設けられており、その貫通孔内に給電導体3Aが設けられているため、同軸構造となっている。

【0024】
層2Bでは、スルーホール4として、2つのスルーホール4A,4Bが形成されている。スルーホール4Aは、給電導体3Aと電気的に接続され、スルーホール4Bは、接地導体3Bと電気的に接続されている。

【0025】
上述のように、図1に示す誘電体基板2は、5つの層2A~2Eを積層した構造を有している。これにより、誘電体基板2には、第1の平行線路11と、第2の平行線路12と、が設けられている。

【0026】
第1の平行線路11は、互いに平行に延びる2層(第1層2C、第2層2E)の導電性パターンから構成される。第1の平行線路11における第1層2Cの導電性パターンを第1の導電性パターン11Aとし、第2層2Eの導電性パターンを第2の導電性パターン11Bとする。

【0027】
第1の導電性パターン11Aは、ラインパターン11Aaと、ラインパターン11Abとに分かれている。図2及び図3に示すように、ラインパターン11Aa,11Abとは、互いに対向するそれぞれの一端から逆方向(-Y方向、+Y方向)に延びている。具体的には、ラインパターン11Aaは、メアンダ状に折曲がりながら、-Y方向に延びており、ラインパターン11Abは、メアンダ状に折曲がりながら、+Y方向に延びている。

【0028】
図2に示すように、ラインパターン11Aaは、ラインパターン11Abと対向する側の一端で、スルーホール4Aを介して給電導体3Aと接続されており、ラインパターン11Abはラインパターン11Aaと対向する側の一端で、スルーホール4Bを介して接地導体3Bと接続されている。このように、ラインパターン11Aaとラインパターン11Abとで、UHF帯のダイポールアンテナのアンテナ部分が形成される。この場合、給電導体3A、接地導体3Bから、スルーホール4A,4Bまでは同軸線路、スルーホール4A,4Bから、ラインパターン11Aa,11Abの端部までの伝送線路は、レッヘル線路となる。

【0029】
ラインパターン11Aa,11Abでは、先端開放型の折り返しダイポールアンテナとして動作する部分の長さ(メアンダ状に折れ曲がった線分の合計の長さ)が、UHF帯(第1の周波数帯)の無線信号の波長の1/4となっている。これにより、ラインパターン11Aa,11Ab全体の長さは、UHF帯(第1の周波数帯)の無線信号の波長の1/2となっている。

【0030】
一方、第2の導電性パターン11Bは、1本の導電性パターンである。図2に示すように、第2の導電性パターン11Bは、第1の導電性パターン11Aに対して、誘電体の層2Dを挟んで配設されている。第2の導電性パターン11Bは、第1の導電性パターン11A(ラインパターン11Aa、ラインパターン11Ab)と、平行となるように延びている。すなわち、第2の導電性パターン11Bは、第1の導電性パターン11Aと同じ形状を有し、Y軸方向をメアンダ状に延びている。第2の導電性パターン11Bの全長は、UHF帯(第1の周波数帯)の無線信号の波長の1/2となっている。

【0031】
このように、第1の平行線路11は、ダイポールアンテナの形状を有する第1の導電性パターン11A(ラインパターン11Aa、ラインパターン11Ab)と、第1の導電性パターン11Aに平行な第2の導電性パターン11Bとで構成されている。また、第1の導電性パターン11A、第2の導電性パターン11Bの全長は、UHF帯(第1の周波数帯)の無線信号の波長の1/2となっている。したがって、第1の平行線路11は、図4に示すように、UHF帯については先端開放型の折り返しダイポールアンテナとして動作する。

【0032】
一方、図5に示すように、第2の平行線路12は、第1の平行線路11の途中から枝別れする導電性パターンで構成されている。第2の平行線路12における第1層の導電性パターンを第1の導電性パターン12Aとし、第2層の導電性パターンを第2の導電性パターン12Bとする。第1の導電性パターン12Aは、第1の平行線路11の第1の導電性パターン11Aと電気的に接続しており、第2の導電性パターン12Bは、第1の平行線路11の第2の導電性パターン11Bと電気的に接続している。

【0033】
第1の導電性パターン12Aは、+X方向に延びるラインパターン12Aaと、ラインパターン12Aaから折れ曲がって+Y方向に延びるラインパターン12Abと、を備える。第2の導電性パターン12Bは、+X方向に延びるラインパターン12Baと、ラインパターン12Baから折れ曲がって-Y方向に延びるラインパターン12Bbと、を備える。

【0034】
ラインパターン12Aaとラインパターン12Baは、互いに平行に延びており、ラインパターン12Abとラインパターン12Bbとは、逆方向に延びている。すなわち、第1の導電性パターン12A、第2の導電性パターン12Bは、互いに平行に延びた後、逆方向に折れ曲がった2層の導電性パターンで構成されている。

【0035】
ラインパターン12Aaとラインパターン12Baとは、レッヘル線路として機能する。また、ラインパターン12Abと、ラインパターン12Bbとは、単素子ダイポールアンテナとして動作する。第2の平行線路12において、単素子ダイポールアンテナとして動作する部分であるラインパターン12Abと、ラインパターン12Bbのそれぞれの長さは、ミリ波帯(第2の周波数帯)の無線信号の波長の1/4である。したがって、ラインパターン12Ab,12Bbの全体の長さは、その無線信号の波長の1/2となる。

【0036】
このように、第2の平行線路12は、ミリ波帯(第2の周波数帯)については単素子のダイポールアンテナとして動作する。なお、第1の平行線路11は、第2の周波数帯(ミリ波帯)の無線信号についてはその無線信号の伝送線路として動作する。

【0037】
図6には、本実施の形態に係るアンテナ装置1Aの等価回路が示されている。図6に示すように、第1の平行線路11は、UHF帯の先端開放型折り返しダイポールアンテナとして動作し、第2の平行線路12は、ミリ波帯のダイポールアンテナとして動作する。この場合、第1の平行線路11は、ミリ波帯の無線信号の伝送線路として動作する。

【0038】
図7に示すように、第2の平行線路12は、第1の平行線路11上で、第2の平行線路12で送受信されるミリ波帯の無線信号の波長の位相差が2πm(mは自然数)となる間隔で、複数設けられている。また、図1に示すように、アンテナ装置1Aにおいて、複数の第2の平行線路12は、同じ向きで配設されている。このようにすれば、複数の第2の平行線路12は、ミリ波帯の無線信号のアンテナアレイとして動作する。

【0039】
なお、ミリ波アンテナである第2の平行線路12の間隔は、素子同士が物理的に接触してしまう半波長以上の間隔であってもよい。この場合、給電位相差によりミリ波の無線信号の送受信方向は+x方向に対して角度を持つようになる。

【0040】
次に、本実施の形態1に係るアンテナ装置1Aの動作について説明する。

【0041】
まず、UHF帯の無線信号を送受信する場合には、第1の平行線路11及び第2の平行線路12における電流密度のベクトルは、図8に示すようになる。図8に示すように、第1の平行線路11の全長が、UHF帯の無線信号の波長のλ/2であるため、第1の平行線路11は、UHF帯の無線信号の先端開放型のダイポールアンテナとして動作する。一方、第2の平行線路12は、UHF帯の無線信号の波長よりも極めて短いため、この部分での電流密度に変化はなく、第1の平行線路11は、無線信号の送受信状態には影響を与えていない。

【0042】
図9には、第1の平行線路11から出力される、ミリ波帯の無線信号の放射パターンが示されている。図9に示すように、放射パターンはドーナツ状で均一となっており、極めて良好である。

【0043】
続いて、ミリ波帯の無線信号を送受信する場合には、第1の平行線路11及び第2の平行線路12における電流密度のベクトルは、図10に示すようになる。図10に示すように、第1の平行線路11は、ミリ波帯の無線信号の波長よりも十分に長いため、ミリ波帯の無線信号の伝送線路として動作する。第2の平行線路12の全長は、ミリ波帯の無線信号の波長のλ/2であるため、第2の平行線路12は、ミリ波帯の無線信号のダイポールアンテナとして動作し、ミリ波帯の無線信号を出力する。

【0044】
図11には、第2の平行線路12から出力される、ミリ波帯の無線信号の放射パターンが示されている。図11に示すように、放射パターンは、+X方向の指向性を持ち、アンテナアレイとして良好に動作していることが確認されている。

【0045】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、複数の異なる周波数帯(第1の周波数帯(UHF帯)、第2の周波数帯(ミリ波帯))の無線信号の送受信を行うアンテナと伝送線路とを第1の平行線路11として共通化し、給電部3も共通化することができるので、複数の異なる周波数帯の送受信を可能としつつ小型化を実現することができる。

【0046】
また、本実施の形態によれば、第2の平行線路12は、第1の平行線路11上に複数設けられている。第2の平行線路12が設けられる間隔は、第1の平行線路11を伝送されるミリ波帯(第2の周波数帯)の無線信号の位相差が2πm(mは自然数)となる間隔である。このようにすれば、第2の平行線路12を、ミリ波帯(例えば60GHz帯)の無線信号を送受信するアンテナアレイを実現することができる。60GHz帯の無線信号は減衰し易く強度が急激に弱くなる。したがって、アンテナ装置1Aのように、ダイポールアンテナをアレイに配置すれば、送受信強度を高めることができる。

【0047】
また、本実施の形態によれば、第1の平行線路11の各線路は、メアンダ状に折り返されながら延びている。このようにすれば、アンテナ装置1Aを小型化することができる。しかしながら、本発明はこれには限られない。第1の平行線路11は、メアンダ状に折り返されていなくてもよく、例えば、直線状であってもよいし、一方向に折れ曲がっているだけでもよい。

【0048】
また、本実施の形態によれば、第1の平行線路11の折り返し周期は、それぞれの第2の平行線路12で受信され、第1の平行線路11を伝送される第2の周波数帯の信号の位相差が2πm(mは自然数)となる間隔である。また、複数の第2の平行線路12は、同じ向きとなるように配設されている。このようにすれば、ミリ波帯の無線信号を送受信するアンテナアレイを構築して、アンテナで送受信される無線信号の強度を大きくすることができる。

【0049】
なお、本実施の形態では、ミリ波アンテナ、すなわち第2の平行線路12の数を8つとしたが、本発明はこれには限られない。第2の平行線路12は少なくとも1つ設けられていればよい。

【0050】
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。

【0051】
図12に示すように、本実施の形態に係るアンテナ装置1Bの構成は、誘電体基板2の形状が異なる他は、上記実施の形態に係るアンテナ装置1Aの構成と同じである。

【0052】
アンテナ装置1Bでは、第2の平行線路12によって構成されるミリ波帯(第2の周波数帯)の電波の偏波方向(送受信方向)に誘電体基板2が張り出している。この張り出した部分を張り出し部10とする。ミリ波帯の無線信号を給電部3から出力する場合には、第1の平行線路11は、ミリ波帯の無線信号を送信する伝送線路として動作し、第2の平行線路12は、ミリ波帯の無線信号を出力するダイポールアンテナとなる。

【0053】
張り出し部10は、この第2の平行線路12で送受信される無線信号の電波の導波路となる。張り出し部10を備えることにより、第2の平行線路12で送受信されるミリ波帯の無線信号の送受信の感度を高めることができる。

【0054】
なお、図13に示すように、張り出し部10はテーパ状になっていてもよい。このようにすれば、第2の平行線路12で送受信されるミリ波帯の無線信号の送受信の感度をさらに高めることができる。

【0055】
上記各実施の形態では、第1の周波数帯をUHF波帯とし、第2の周波数帯をミリ波帯としたが、本発明はこれには限られない。第1の周波数帯及び第2の周波数帯は、他の周波数帯(例えば、2.5GHzなど)であってもよい。

【0056】
本実施の形態に係るアンテナ装置1Aと、第2の平行線路12を有しないアンテナ装置とで、放射パターンの測定を行った。図14(A)には、アンテナ装置1AにおけるUHF帯(698MHz)の無線信号の放射パターンが示されている。また、図14(B)には、第2の平行線路12を有しないアンテナ装置におけるUHF帯(698MHz)の無線信号の放射パターンが示されている。図14(A)、図14(B)におけるx、zは、図1におけるX,Zに対応する。図14(A)及び図14(B)を比較するとわかるように、UHF帯においては、いずれのアンテナ装置でも、各信号の放射強度はXZ面内でほぼ均一であり、良好に動作している。

【0057】
図15(A)には、アンテナ装置1Aにおけるミリ波帯(60GHz)の無線信号の放射パターンが示されている。また、図15(B)には、第2の平行線路12を有しないアンテナ装置のミリ波帯(60GHz)の無線信号の放射パターンが示されている。図15(A)、図15(B)におけるx、yは、図1におけるX,Yに対応する。図15(A)及び図15(B)を比較するとわかるように、ミリ波帯においては、第2の平行線路12を有するアンテナ装置1Aの方が、+x方向において放射強度が大きくなっており、ダイポール素子が効果的に動作している。

【0058】
また、アンテナ装置1AにおけるSパラメータS11(反射係数)を測定した。図16(A)に示すように、0.4GHzから1.2GHzのUHF帯では、シミュレーションでも実測でも、SパラメータS11が0dBを下回った。また、図16(B)に示すように、40GHzから80GHzのミリ波帯では、シミュレーションでも実測でも、SパラメータS11が0dBを下回り-10dB程度となり、良好な結果が得られた。

【0059】
この発明は、この発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能とされるものである。また、上述した実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明の範囲を限定するものではない。すなわち、この発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、この発明の範囲内とみなされる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、複数の異なる周波数帯の無線信号を送受信するアンテナ装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1A,1B アンテナ装置、2 誘電体基板、2A,2B,2C,2D,2E 層、3 給電部、3A 給電導体、3B 接地導体、4,4A,4B スルーホール、10 張り出し部、11 第1の平行線路、11A 第1の導電性パターン、11Aa、11Ab ラインパターン、11B 第2の導電性パターン、12 第2の平行線路、12A 第1の導電性パターン、12Aa,12Ab ラインパターン、12Ba,12Bb ラインパターン、12B 第2の導電性パターン
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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