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明細書 :熱電変換モジュール

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2019-165137 (P2019-165137A)
公開日 令和元年9月26日(2019.9.26)
発明の名称または考案の名称 熱電変換モジュール
国際特許分類 H01L  35/30        (2006.01)
H02N  11/00        (2006.01)
H01L  35/32        (2006.01)
FI H01L 35/30
H02N 11/00 A
H01L 35/32 A
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2018-052531 (P2018-052531)
出願日 平成30年3月20日(2018.3.20)
発明者または考案者 【氏名】池田 輝之
【氏名】児島 孝文
【氏名】永野 隆敏
【氏名】井手 拓哉
【氏名】村上 政明
【氏名】沼田 富行
【氏名】中嶋 英雄
出願人 【識別番号】504203572
【氏名又は名称】国立大学法人茨城大学
【識別番号】506267824
【氏名又は名称】株式会社ロータスマテリアル研究所
個別代理人の代理人 【識別番号】100074561、【弁理士】、【氏名又は名称】柳野 隆生
【識別番号】100177264、【弁理士】、【氏名又は名称】柳野 嘉秀
【識別番号】100124925、【弁理士】、【氏名又は名称】森岡 則夫
【識別番号】100141874、【弁理士】、【氏名又は名称】関口 久由
【識別番号】100163577、【弁理士】、【氏名又は名称】中川 正人
審査請求 未請求
要約 【課題】熱電変換効率が向上するとともに、材料選択の幅も広がり、コンパクト化、低コストも実現できる熱電変換モジュールを提供せんとする。
【解決手段】熱電変換素子2A,2Bに多数の流体通過孔20を設け、流体通過孔20の両開口面21に、それぞれ第1の流体を通過させる第1の領域R1と、前記第1の流体よりも高温又は低温の第2の流体を通過させる、或いは第2の流体が表面に沿って流れる第2の領域R2とを設定し、隣接する各熱電変換素子2A,2Bの対面する第1の領域R1間を連通させ、各熱電変換素子の前記第1の領域に対して第1の流体を順次供給する第1の流路31と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域R2間を連通させ、各熱電変換素子の前記第2の領域に対して第2の流体を順次供給する第2の流路32とを設けた。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
熱電変換素子が間隔をあけて複数並設され、隣接する熱電変換素子同士が電極材で接続された熱電変換モジュールであって、
各熱電変換素子に、熱電変換素子の並び方向に流体を通過させる多数の流体通過孔を設け、
各熱電変換素子における前記流体通過孔が開口する両開口面に、それぞれ第1の流体を通過させる流体通過孔が開口している第1の領域と、前記第1の流体よりも高温又は低温の第2の流体を通過させる流体通過孔が開口しているか、或いは流体通過孔が開口しておらず、前記第2の流体がその表面に沿って流れる第2の領域とを設定し、
隣接する各熱電変換素子の対面する第1の領域間を連通させ、各熱電変換素子の前記第1の領域に対して第1の流体を順次供給する第1の流路と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域間を連通させ、各熱電変換素子の前記第2の領域に対して第2の流体を順次供給する第2の流路とを設けてなることを特徴とする熱電変換モジュール。
【請求項2】
前記電極材が、隣接する各熱電変換素子の対面する第1の領域の内部又は近傍間に渡設される第1の電極材と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域の内部又は近傍間に渡設される第2の電極材とよりなる請求項1記載の熱電変換モジュール。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高温流体あるいは低温流体のもつ熱エネルギーを効率よく電気エネルギーに、あるいは逆に電気エネルギーを熱エネルギーに変換するための熱電変換モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
世界で生産されるエネルギーの60%以上が「廃熱」として捨てられている。熱電変換モジュールは、熱エネルギーから電気エネルギーを取り出すことが可能なデバイスであり、持続可能な社会の実現に必要な環境維持のために中心的役割を果たすべきものとして注目されている。熱電変換による熱発電モジュールは、異なる部位に温度差を与えることで、高温部と低温部との間に電位差を生じさせるゼーベック効果を利用したものであり、従来、低温側電極と高温側電極の間に、P型熱電変換素子とN型熱電変換素子が挟持された構造のものが広く知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
熱エネルギーを電気エネルギーに、また電気エネルギーを熱エネルギーに変換する熱電変換モジュールでは、各熱源とモジュール間で大きな伝熱面積を確保するのが困難なことが原因して、熱エネルギー授受の効率確保に課題があった。また、大きな熱電変換効率を実現するためには、熱電素子の両端に大きな温度差を与える必要があるが、熱電変換素子の熱伝導率が大きいと伝導伝熱により熱電素子両端の温度差を確保することが困難になるため、熱電素子の熱伝導率は小さなものを選択する必要があった。しかし、材料選択の幅が小さく、コスト低減の面からも限界があった。更に熱エネルギーの授受と電力変換効率を大きくするためには熱電変換素子を多数用いる事になるが、熱エネルギーの授受効率を大きくしようとすると大きな伝熱面積確保のため装置の大型化が避けられないと言う課題もあった。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2016-111326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、熱エネルギーの取り込み効率が向上するとともに、材料選択の幅も広がり、コンパクト化、低コストも実現できる熱電変換モジュールを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意検討し、まず熱流体と熱電変換素子との間の熱伝達に着目した。
【0007】
図7は、従来の熱電変換素子の構造と模式的温度分布を示している。図中符号2Aはp型熱電変換素子、2Bはn型熱電変換素子、41、42は電極材である。流体と熱電変換素子との間の熱伝達の熱流は、次式(1)で表される。hは熱伝達係数、ΔTは流体と熱電変換素子の温度差である。
【0008】
【数1】
JP2019165137A_000003t.gif

【0009】
熱電変換素子中の熱流は、熱電変換素子中の温度差ΔT、熱電変換素子の温度勾配方向の長さd、熱伝導率κを用いて、次式(2)で表される。ただし、ここで用いているのは、熱電変換素子中でエネルギー変換がなされないとした単純なモデルである。実際には、ゼーベック効果による電気エネルギーの逃散、あるいはジュール熱の発生があるため、(2)式よりも精密な式を要するが、本質は変わらないためここでは簡単なモデルで論理を展開する。
【0010】
【数2】
JP2019165137A_000004t.gif

【0011】
式(1)、(2)、及び高温と低温の熱流体間の温度差ΔTについてΔT=ΔT+ΔTが成り立つことから、熱流体間の温度差(ΔT)と熱電変換素子中の温度差(ΔT)との比として、次の式(3)が導かれる。
【0012】
【数3】
JP2019165137A_000005t.gif

【0013】
熱電変換素子の発電電圧Vは、SΔT(Sはゼーベック係数)であり、熱流体間の温度差ΔTが大きくても、ΔTの値、ひいてはΔT/ΔTの値が大きくなければ大きい発電電圧(V)には結びつかない。この比(ΔT/ΔT)を1に近づけるには、式(3)のκ/hdの項をできるだけ1に対して小さくする必要がある。
【0014】
流体が液体、気体の場合にκ/hdがどのような値になり得るかを、hやκの代表的な値に対して見積もると表1のようになる。見積もられるκ/hdの値は1に対して小さいとは言えず、現状では、低温と高温の流体の温度差を有効に利用できていない。
【0015】
【表1】
JP2019165137A_000006t.gif

【0016】
なお、従来から、zT≡SσT/κ(σは電気伝導率)が高いと高い熱電変換効率に帰結することが知られている。ここでいう変換効率は、熱電変換素子中を流れる熱エネルギーのうち(すなわち、ΔT1の温度差の中で)、電気エネルギーとして取り出すことのできる割合である。これに対し、上述の式(3)は、熱流体間の温度差ΔTのうち、どの程度熱電変換素子中の温度差ΔTとして有効に利用できるかを示している。
【0017】
κ/hdの値を小さくするためには、熱伝導率κを小さくすること、熱伝達係数hを大きくすることが考えられるが、熱伝導率κは熱電変換素子の材料、熱伝達係数は熱流体の種類と熱電変換素子の材料に依存し、結局のところ、熱電変換素子の材料選択に大きく依存し、選択の幅は狭く、熱エネルギーの取り込み効率の向上に限界がある。
【0018】
本発明者は、鋭意検討の結果、熱伝導率κおよび熱伝達係数hのうち、熱伝達係数hが熱電変換素子の材料に大きく依存している点について、熱流体と熱電変換素子との間の熱の流入/流出が熱電変換素子の端面のみで行われていることに原因があり、この熱の流入/流出構造を工夫・変更し、熱伝達をより効率化することにより、実効的な熱伝達係数を増加させ、熱電変換効率を向上させることが可能になることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) 熱電変換素子が間隔をあけて複数並設され、隣接する熱電変換素子同士が電極材で接続された熱電変換モジュールであって、各熱電変換素子に、熱電変換素子の並び方向に流体を通過させる多数の流体通過孔を設け、各熱電変換素子における前記流体通過孔が開口する両開口面に、それぞれ第1の流体を通過させる流体通過孔が開口している第1の領域と、前記第1の流体よりも高温又は低温の第2の流体を通過させる流体通過孔が開口しているか、或いは流体通過孔が開口しておらず、前記第2の流体がその表面に沿って流れる第2の領域とを設定し、隣接する各熱電変換素子の対面する第1の領域間を連通させ、各熱電変換素子の前記第1の領域に対して第1の流体を順次供給する第1の流路と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域間を連通させ、各熱電変換素子の前記第2の領域に対して第2の流体を順次供給する第2の流路とを設けてなることを特徴とする熱電変換モジュール。
【0020】
(2) 前記電極材が、隣接する各熱電変換素子の対面する第1の領域の内部又は近傍間に渡設される第1の電極材と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域の内部又は近傍間に渡設される第2の電極材とよりなる請求項1記載の熱電変換モジュール。
【0021】
本発明では、少なくとも第1の流体が熱電変換素子の流体通過孔を通過する過程で熱伝達されることから、熱電変換素子と熱流体との界面が立体化し、素子の内部においても熱伝達が生じ、熱伝達の生じる面積が増加して界面熱流束を飛躍的に増大させ、実効的な熱伝達係数が増加し、エネルギー変換効率が著しく向上することになる。
【0022】
熱流体が流通するパイプの周囲に従来の熱電変換素子を取り付けた場合と、同じ熱流体が流通する同じパイプ径のパイプ内に本発明に係る流体通過孔付きの熱電変換素子を取り付けた場合について、熱交換の界面の面積を比較すると、図8のようにパイプ径R、流体通過孔の半径r、ポロシティP、熱電変換素子がパイプ長さに占める割合Pとして、本発明の界面面積は、従来のものに比べて(R/r)×P×P倍となる。Rが100mm、Pが0.3、Pが0.5として、rが1mmで15倍、rが0.1mmでは150倍となる。
【0023】
また、同じく熱流体が流通するパイプの周囲に従来の熱電変換素子を取り付けた場合と、同じ熱流体が流通する異なる大きさのパイプ内に、熱流体の流通量が同じ(同じ断面積)になるようにパイプ内に本発明に係る流体通過孔付きの熱電変換素子を取り付けた場合について、熱交換の界面の面積を比較すると、パイプ径R、流体通過孔の半径rとして、本発明の界面面積は、従来のものに比べて(R/r)倍となる。Rが100mmとして、rが1mmで100倍、rが0.1mmでは1000倍となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係わる熱電変換デバイスでは、熱媒体と熱電変換素子間の熱交換を大伝熱面積で行うことができるため従来の熱電変換モジュールに比べて熱電変換効率が著しく向上する。例えば、温水廃熱や熱排気、また温泉、燃料、LNGプラントの冷温熱流体の熱回収に有効な新しい高効率熱電変換システムを構築することができる。また、熱の授受が非常に効率的に行われることから、熱電変換材料中の熱伝導による温度差緩和の心配も無く、従来、熱伝導率が大きくて熱電材料としては非効率と考えられていた材料であっても、問題の無い材料となることから、熱電変換素子の材料として有効な材料の選択幅が広がる事になる。
【0025】
更に、本発明の熱電変換モジュールでは、熱媒体との熱交換が著しく向上することから、1素子当たりの流路長が短くなっても十分な熱交換性能が確保される。従って熱電変換素子を薄くしたり、熱媒体の流路方向サイズを短くし、コンパクト化を図ることが可能となる。これにより、従来、見込みが薄かった部位での熱回収や電気エネルギー回収も可能となる。本発明のモジュールは、ペルチェ効果を利用した冷却、あるいは発電デバイスとしても同様の優位性をもって用いることができ、例えば高効率な熱交換器としても応用が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱電変換モジュールを示す概略説明図。
【図2】本発明の第2実施形態に係る熱電変換モジュールを示す概略説明図。
【図3】本発明の第3実施形態に係る熱電変換モジュールを示す概略説明図。
【図4】本発明の第4実施形態に係る熱電変換モジュールを示す概略説明図。
【図5】本発明の第5実施形態に係る熱電変換モジュールを示す概略説明図。
【図6】図5のA-A断面図5
【図7】従来の熱電変換モジュールの構成ならびに該モジュールにおける模式的な温度分布を示す説明図。
【図8】界面面積比較のための説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。まず、図1に基づき、本発明に係る熱電変換モジュールの第1実施形態を説明する。

【0028】
熱電変換モジュール1は、図1に示すように、熱電変換素子2が間隔をあけて複数並設され、隣接する熱電変換素子2同士が電極材41、42で接続されたものである。熱電変換素子2は、p型熱電変換素子2Aおよびn型熱電変換素子2Bが交互に並設されている。

【0029】
各熱電変換素子2A/2Bには、熱電変換素子の並び方向に流体を通過させる多数の流体通過孔20が設けられており、各熱電変換素子2A/2Bにおける前記流体通過孔20が開口する両開口面21に、それぞれ第1の流体を通過させる流体通過孔20が開口している第1の領域R1と、前記第1の流体よりも高温又は低温の第2の流体を通過させる流体通過孔20が開口している第2の領域R2とが設定されている。

【0030】
熱電変換素子2A/2Bとしては、p型熱電変換素子又はn型熱電変換素子として用いることができる公知の材料を広く適用できる。流体通過孔20は、ムク材にドリル加工やレーザ加工など公知の方法で形成することや、線材をメッシュ状に編んで構成したメッシュ隙間で構成することができるが、本例では、凝固法で成形された一方向に伸びた複数の気孔を有するロータス型ポーラス熱電材料成形体を、気孔の伸びる方向に交差する方向に切断加工してなる多孔材で構成されている。

【0031】
このようなロータス型ポーラス熱電材料成形体は、高圧ガス法(Pressurized Gas Method)(例えば特許第3235813号公報開示の方法)や、熱分解法(Thermal Decomposition Method)など、公知の方法で成形することができる。流体通過孔20は、前記切断により分断された前記気孔である。

【0032】
このようにロータス型ポーラス熱電材料成形体から切り出した多孔材を用いることで、一方向に延びる多数の貫通孔(流体通過孔20)を有する熱電変換素子2A/2Bを低コスト且つ容易に得ることができる。端面に流路を形成する壁材を接合する場合にも、同じく接合面積を確保できるため接合強度を十分に確保することができる。

【0033】
ロータス型ポーラス熱電材料成形体から切り出した多孔材よりなる熱電変換素子2A/2Bには、流体通過孔20以外に貫通していない有底の孔も存在するが、このような有底の孔も開口面21の表面積を増大させる効果があり、各流体との間の伝熱を促進する効果がある。熱電変換素子2A/2Bの形状は、本例では流体通過孔20の延びている方向の寸法が比較的小さい扁平な板状とされているが、その他の種々の形状に構成しても勿論よい。例えば、貫通孔の延びている方向の寸法が比較的長い立体形状などにすることも好ましい例である。

【0034】
また、第1の流体、第2の流体の流路として、隣接する各熱電変換素子2A/2Bの対面する第1の領域R1間を連通させ、各熱電変換素子2A/2Bの前記第1の領域R1に対して第1の流体を順次供給する第1の流路31と、隣接する各熱電変換素子2A/2Bの対面する第2の領域R2間を連通させ、各熱電変換素子2A/2Bの前記第2の領域R2に対して第2の流体を順次供給する第2の流路32とが設けられている。

【0035】
第1の流路31は、具体的には対面する第1の領域R1間に設けられる複数の断熱材からなるチューブ50(管体)より構成されている。各チューブ50は、端面が開口面21に接合された状態に設けられている。チューブ50は、第1の流体を内部に流通させる管であるが、外側に第2の流体を流通させる流体間の隔壁として機能する。このようにチューブ50を用いることで、気孔が形成されやすいロータス型ポーラス熱電材料成形体よりなる熱電変換素子の中央付近に流路を形成することが容易となる。また、断面積が定まるチューブ50を用いることで、設計どおりの性能を安定して得ることができる。

【0036】
より具体的には、チューブ50は、各開口面21に対して流体が管内外に洩れないようにシールされた状態に接合されている。符号33は当該接合箇所のシール部である。このシール部は、ろう付けでもよいし、流体に応じて最適な公知のシール剤を用いることができる。例えば、フッ素ゴム、シリコーン系ゴム、ニトリルゴムなどを用いることができる。これらシール剤をチューブ50の端部に塗布して21開口面に接合することもできるし、あらかじめ環状に成形したシート状のシール材をチューブ端部と開口面との間に挟み込むように設けてもよい。

【0037】
第2の流路32は、図示しない容器壁面で囲まれた低温又は高温の熱浴とされている。容器壁面がなく大気開放の形態としてもよい。このように本例では第2の流路32が熱浴となるため、第2の領域R2は流体通過孔が無くてもよい。すなわち、第2の領域R2は、流体通過孔が開口しておらず、前記第2の流体がその表面に沿って流れる領域としてもよい。

【0038】
電極材41、42は、隣接する各熱電変換素子の対面する第1の領域R1の内部間に渡設される第1の電極材42と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域の内部又は近傍間に渡設される第2の電極材41とよりなり、これら電極材41、42が交互に設けられている。これら電極材41、42により、n型、p型の熱電変換素子が直列に電気接続され、大きい電圧を取り出すことが可能となるように構成されている。

【0039】
具体的には、高温(あるいは低温)の第1流体を第1の流路31に流すとともに、第1の流路31を構成する各チューブ50とともに各熱電変換素子2A,2Bの領域R2を低温(あるいは高温)の熱浴中に浸すことで、各熱電変換素子2A、2B中で熱流体の流れの中心部(領域R1)から外向き(周囲の領域R2)に、熱流体の流れに垂直な方向に温度差が生じ、ゼーベック効果により各素子に生じた電圧をまとめて取り出すことができる。

【0040】
第1の流体と第2の流体は温度が異なれば、どちらが低温又は高温の流体であってもよい。また、本例では、各熱電変換素子2A/2Bに、中央部の第1の領域R1と周囲の第2の領域R2とがそれぞれ一つづつ設定されているが、このような配置に何ら限定されず、いずれも複数設定されてもよい。たとえば、チューブが接続される第1の領域R1を複数設けることもできるし、また、たとえば第1の領域R1で第2の領域を左右に分断するようにして第2の領域を二つ以上設定することもできる。

【0041】
次に、図2に基づき、本発明の第2実施形態を説明する。

【0042】
本実施形態の熱電変換モジュール1Aは、図2に示すように、第2の流路32として熱浴の代わりに第1の流路31と同じく断熱材よりなるチューブ52で構成したものである。なお、符号51は本実施形態の第1流路31を構成する、断熱材よりなるチューブである。このように双方の流路31、32をともにチューブで構成することで、上記第1実施形態と同様、流路を形成しやすく、また、設計どおりの性能を安定して得ることができ、さらには、両流路31、32間、すなわちチューブ間に大きな隙間が維持され、両者間の断熱性が高まり、熱電変換効率をより向上させることができる。

【0043】
電極材41、42は、本実施形態では、隣接する各熱電変換素子の対面する第1の領域R1の近傍である素子端部間に渡設される第1の電極材42と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域R2の近傍である素子端部間に渡設される第2の電極材41とよりなり、これら電極材41、42が交互に設けられている。これら電極材41、42により、n型、p型の熱電変換素子が直列に電気接続され、大きい電圧を取り出すことが可能となるように構成されている。

【0044】
本実施形態の熱電変換モジュール1Aでは、高温(あるいは低温)の第1流体を第1の流路31に流すとともに、低温(あるいは高温)の第2流体を第2の流路32に流すことで、各熱電変換素子2A、2B中で互いに隣接する領域R1側から領域R2側に向けた方向で且つ熱流体の流れに垂直な方向に温度差が生じ、各領域R1、R2の近傍となる熱電変換素子2A、2Bの端部に設けた電極材41、42を通じてゼーベック効果により各素子に生じた電圧をまとめて取り出すことができる。本実施形態では、第1実施形態に比べ、電極41、42を同じ構造のものを採用でき、コスト低減を図ることができる。

【0045】
その他の構成、変形例等については、上述の第1実施形態と同じことがいえるため、同一構造については同一符号を付し、これらの説明は省略する。

【0046】
次に、図3に基づき、本発明の第3実施形態を説明する。

【0047】
本実施形態の熱電変換モジュール1Cは、図3に示すように、各熱電変換素子2A/2Bの開口面21を、第1の流体を通過させる流体通過孔20が開口している第1の領域R1と、第2の流体を通過させる流体通過孔20が開口している第2の領域R2とに左右に区分けする板状の隔壁60を、各熱電変換素子2A/2Bの間に設け、これら隔壁60を境に第1の流体を流通させる流路31と第2の流体を流通させる流路32とが左右に設けられている。

【0048】
各隔壁60は、第1実施形態や第2実施形態のチューブ50~52と同様、端面が開口面21に接合された状態に設けられている。チューブ50~52と同様、各開口面21に対して流体が他方に洩れないようにシール部33でシールされた状態に接合されている。

【0049】
第1の流路31および第2の流路32は、それぞれ隔壁60と図示しない容器壁面で囲まれた低温又は高温の熱浴とされている。いずれか一方は、容器壁面がなく大気開放の形態としてもよい。また、第2の領域R2は流体通過孔が無くてもよい。すなわち、第2の領域R2は、流体通過孔が開口しておらず、前記第2の流体がその表面に沿って流れる領域としてもよい。

【0050】
電極材41、42は、本実施形態では、隣接する各熱電変換素子の対面する第1の領域R1内である素子端部間に渡設される第1の電極材42と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域R2内である素子端部間に渡設される第2の電極材41とよりなり、これら電極材41、42が交互に設けられている。これら電極材41、42により、n型、p型の熱電変換素子が直列に電気接続され、大きい電圧を取り出すことが可能となるように構成されている。

【0051】
本実施形態の熱電変換モジュール1Cでは、高温(あるいは低温)の第1流体を第1の流路31に流すとともに、低温(あるいは高温)の第2流体を第2の流路32に流すことで、各熱電変換素子2A、2B中で互いに隣接する領域R1側から領域R2側に向けた方向で且つ熱流体の流れに垂直な方向に温度差が生じ、各領域R1、R2内となる熱電変換素子2A、2Bの端部に設けた電極材41、42を通じてゼーベック効果により各素子に生じた電圧をまとめて取り出すことができる。本実施形態では、第1実施形態や第2実施形態に比べ、流路を分離する構造が簡単になるとともに、第2実施形態と同様、電極41、42を同じ構造のものを採用でき、コスト低減を更に図ることができる。

【0052】
その他の構成、変形例等については、上述の第1実施形態や第2実施形態と同じことがいえるため、同一構造については同一符号を付し、これらの説明は省略する。

【0053】
次に、図4に基づき、本発明の第4実施形態を説明する。

【0054】
本実施形態の熱電変換モジュール1Dは、図4に示すように、各熱電変換素子2A/2Bの開口面21を第1の領域R1と第2の領域R2とに左右に区分けする隔壁として、互いの間に空間70を介して配置される複数(本例は2つ)の板状の隔壁61、62を設けたものであり、これにより隔壁61の左右方向の外側の位置に第1の領域R1が、隔壁62の左右方向の外側の位置に第2の領域R2が、それぞれ形成され、さらに隔壁61と隔壁62の間(内側)の位置に流体が流通しない第5の領域R3が形成される。

【0055】
これにより、隔壁61の左右方向の外側に第1の流体を流通させる流路31が設けられ、隔壁62の左右方向の外側に第2の流体を流通させる流路32が設けられ、さらに隔壁61と隔壁62の間に、流体が流通した空間70が設けられている。

【0056】
本実施形態の熱電変換モジュール1Dでは、高温(あるいは低温)の第1流体を第1の流路31に流すとともに、低温(あるいは高温)の第2流体を第2の流路32に流すことで、各熱電変換素子2A、2B中で互いに隣接する領域R1側から領域R2側に向けた方向で且つ熱流体の流れに垂直な方向に温度差が生じるが、特に本実施形態では、領域R1と領域R2の間に上記第5の領域R3が存在することで、熱電材料中の熱流が小さくなることから、熱電材料中の温度差が大きくなり、より大きい電圧を生じさせることが出来る。領域R3は流体を流通させないので流体通過孔が開口していないものでもよいが、流体通過孔がある方が熱流をより小さくできるため好ましい。

【0057】
その他の構成、変形例等については、上述の第3実施形態と同じことがいえるため、同一構造については同一符号を付し、これらの説明は省略する。

【0058】
次に、図5および図6に基づき、本発明の第5実施形態を説明する。

【0059】
本実施形態の熱電変換モジュール1Bは、図5および図6に示すように、各熱電変換素子2A/2Bの開口面21に、第1の流体を通過させる流体通過孔20が開口している第1の領域R1、第2の流体を通過させる流体通過孔20が開口している第2の領域R2を、それぞれ複数(多数)設けたものであり、各領域に応じて、上述の第2、第3実施形態と同様、第1の流路31、第2の流路32をそれぞれ複数設けた例である。すなわち本実施形態は、第2、第3実施形態の原理を発展させ、より熱流体の流量が大きい場合に好適な応用例である。

【0060】
電極材41、42は、本実施形態では、隣接する各熱電変換素子の対面する第1の領域R1の内部間に渡設される第1の電極材42と、隣接する各熱電変換素子の対面する第2の領域R2の内部間に渡設される第2の電極材41とが、それぞれ複数設けられ、これら電極材41、42が交互に設けられている。本実施形態によれば、直列に電気接続されたn型、p型の熱電変換素子の組が、複数並列に接続されるので、より大きい電流を取り出すことが可能となる。

【0061】
その他の構成、変形例等については、上述の第1~第4実施形態と同じことがいえるため、同一構造については同一符号を付し、これらの説明は省略する。

【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではない。上述の各実施形態は、いずれも熱流体間の温度差を電気として取り出す例を示しているが、電気的負荷の代わりに外部電源を用いて直流電流を流すことにより、ペルチェ効果によって、電流の向きに応じて第1の流体と第2の流体の間に温度差を生じさせる装置として用いることもできる。その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1B、1C、1D 熱電変換モジュール
2A,2B 熱電変換素子
20 流体通過孔
21 開口面
31 第1の流路
32 第2の流路
33 シール部
41,42 電極材
50,51,52 チューブ
60、61、62、63 隔壁
70 空間
R1 領域
R2 領域
R3 領域
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
6
【図8】
7