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明細書 :陰イオン検出方法およびそのためのキット

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-060534 (P2020-060534A)
公開日 令和2年4月16日(2020.4.16)
発明の名称または考案の名称 陰イオン検出方法およびそのためのキット
国際特許分類 G01N  31/00        (2006.01)
G01N  31/22        (2006.01)
G01N  30/95        (2006.01)
C07D 323/00        (2006.01)
FI G01N 31/00 T
G01N 31/00 U
G01N 31/22 122
G01N 30/95 A
C07D 323/00
請求項の数または発明の数 8
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2018-193762 (P2018-193762)
出願日 平成30年10月12日(2018.10.12)
発明者または考案者 【氏名】徳永 雄次
【氏名】宮川 しのぶ
【氏名】木村 元紀
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000338、【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
審査請求 未請求
テーマコード 2G042
4C022
Fターム 2G042AA01
2G042BE05
2G042CA02
2G042CB03
2G042FA20
2G042FB02
4C022NA02
4C022NA04
要約 【課題】高価な分析装置や電気を必要とせず、簡便かつ迅速に、広範囲にわたる種々の陰イオンを検出することが可能な、新規の陰イオン検出方法を提供する。
【解決手段】試料溶液に含まれ得る陰イオンを検出する方法であって、(A)クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物がクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に変換する条件下で、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物と試料とを接触させる、接触工程、(B)前記工程(A)後の混合物を、固定相上で展開させる、展開工程、および、(C)前記工程(B)によって得られたスポットから、陰イオンを検出する検出工程、を含むことを特徴とする、陰イオン検出方法。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
試料溶液に含まれ得る陰イオンを検出する方法であって、
(A)クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物がクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に変換する条件下で、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物と試料とを接触させる、接触工程、
(B)前記工程(A)後の混合物を、固定相上で展開させる、展開工程、および、
(C)前記工程(B)によって得られたスポットから、陰イオンを検出する検出工程、を含むことを特徴とする、陰イオン検出方法。
【請求項2】
前記クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、下記の式(1)で示される化合物であり、
前記クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、下記の式(2)で示される化合物である、請求項1に記載の陰イオン検出方法。
【化1】
JP2020060534A_000015t.gif
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であり、
は、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造の置換基であり、
クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルである。)
【化2】
JP2020060534A_000016t.gif
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であり、
は、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造である置換基であり、
クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルである。)。
【請求項3】
前記混合物では、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物と陰イオンとの塩が形成されている、請求項1または2に記載の陰イオン検出方法。
【請求項4】
前記陰イオンは、pKaが4以下の酸由来の陰イオンである、請求項1~3のいずれか1項に記載の陰イオン検出方法。
【請求項5】
前記工程(A)は、酸性または中性条件下で行われる、請求項1~4のいずれか1項に記載の陰イオン検出方法。
【請求項6】
前記工程(A)の前に、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物をクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物に変換する変換工程を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の陰イオン検出方法。
【請求項7】
クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物および/またはクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物をプローブとして含むことを特徴とする、陰イオン検出キット。
【請求項8】
前記クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、下記の式(1)で示される化合物であり、
前記クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、下記の式(2)で示される化合物である、請求項7に記載の陰イオン検出キット。
【化3】
JP2020060534A_000017t.gif
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であり、
は、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造の置換基であり、
クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルである。)
【化4】
JP2020060534A_000018t.gif
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であり、
は、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造である置換基であり、
クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルである。)。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、陰イオン検出方法に関する。また、本発明は、陰イオン検出キットに関する。
【背景技術】
【0002】
無機・有機の陰イオンを直接検出する方法としては、クロマトグラフィーを用いる方法、キャピラリー電気泳動法等が知られている。クロマトグラフィーを用いる方法では、固定相としてイオン交換樹脂等を詰めたカラムを、移動相として電解質水溶液を用いて、保持時間の相違により陰イオンを検出する。また、キャピラリー電気泳動法では、電解質を含む泳動液に電圧を印加し、移動速度の相違により陰イオンを検出する。
【0003】
一方、無機/有機の陰イオンを間接的に検出する方法としては、プローブを用いる方法が知られている。この方法では、プローブが、目的となる陰イオンに特異的に結合し、次いで、該結合により誘発される吸収光(UV-VIS等)や蛍光特性の変化を測定することにより、陰イオンを検出する。
【0004】
しかし、クロマトグラフィーを用いる方法およびキャピラリー電気泳動法は、定量・定性分析に優れており、広く用いられているものの、測定のための機器、電圧を印加する装置、イオン検出器(電気伝導度検出器)等が必要であるために高価である。また、これらの機器は、精密機器であるうえ、電気を利用する必要があるため、屋外で簡易的に利用することは困難である。また、プローブを用いる方法は、簡便に陰イオンを検出ができるものの、特定の陰イオンしか検出できず、汎用性の高い検出法とは言えない。
【0005】
したがって、改良された新規の陰イオン検出方法の開発が望まれている。
【0006】
ところで、近年、環状化合物の環状部位に特定の直鎖状部位が貫通した構造であるロタキサン化合物が注目されている(非特許文献1~3)。
【0007】
この化合物は、環状化合物の空洞部分を貫通した直鎖状化合物の両末端を嵩高の置換基により修飾することにより1つの分子として存在し、直鎖状部位に沿って、環状部位を移動させることができる構造となっている。環状部位を移動させることにより、この化合物に分子ピストン機能やセンサー機能を発現させることができる。
【先行技術文献】
【0008】

【非特許文献1】Tokunaga et al., Tetrahedron Letters, 57: 1120-1123, 2016
【非特許文献2】Tokunaga et al., Org. Biomol. Chem., 9: 4948-4953, 2011
【非特許文献3】Ueda et al., Chem. Asian J., 11: 2291-2300, 2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような状況下で、本発明の一態様は、陰イオン検出における上記の課題を解決した、新規の陰イオン検出方法を実現することを目的とする。とりわけ、本発明の一態様は、高価な分析装置や電気を必要とせず、簡便かつ迅速に、広範囲にわたる種々の陰イオンを検出することが可能な、ロタキサン化合物を用いた新規の陰イオン検出方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物からクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に変換する際に、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物と陰イオンとの塩が形成され、当該塩を含む溶液を固定相上で展開することによって、陰イオンを簡便かつ迅速に検出することができるということを初めて見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一実施形態は、以下の構成を包含する。
<1>試料溶液に含まれ得る陰イオンを検出する方法であって、
(A)クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物がクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に変換する条件下で、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物と試料とを接触させる、接触工程、
(B)前記工程(A)後の混合物を、固定相上で展開させる、展開工程、および、
(C)前記工程(B)によって得られたスポットから、陰イオンを検出する検出工程、を含むことを特徴とする、陰イオン検出方法。
<2>前記クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、下記の式(1)で示される化合物であり、
前記クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、下記の式(2)で示される化合物である、<1>に記載の陰イオン検出方法。
【0011】
【化1】
JP2020060534A_000003t.gif

【0012】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であり、
は、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造の置換基であり、
クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルである。)
【0013】
【化2】
JP2020060534A_000004t.gif

【0014】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であり、
は、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造である置換基であり、
クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルである。)。
<3>前記混合物では、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物と陰イオンとの塩が形成されている、<1>または<2>に記載の陰イオン検出方法。
<4>前記陰イオンは、pKaが4以下の酸由来の陰イオンである、<1>~<3>のいずれかに記載の陰イオン検出方法。
<5>前記工程(A)は、酸性または中性条件下で行われる、<1>~<4>のいずれかに記載の陰イオン検出方法。
<6>前記工程(A)の前に、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物をクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物に変換する変換工程を含む、<1>~<5>のいずれかに記載の陰イオン検出方法。
<7>クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物および/またはクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物をプローブとして含むことを特徴とする、陰イオン検出キット。
<8>前記クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、下記の式(1)で示される化合物であり、
前記クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、下記の式(2)で示される化合物である、<7>に記載の陰イオン検出キット。
【0015】
【化3】
JP2020060534A_000005t.gif

【0016】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であり、
は、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造の置換基であり、
クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルである。)
【0017】
【化4】
JP2020060534A_000006t.gif

【0018】
(式中、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であり、
は、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造である置換基であり、
クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルである。)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、高価な分析装置や電気を必要とせず、簡便かつ迅速に、広範囲にわたる種々の陰イオンを検出することが可能な、新規の陰イオン検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態における、UVによるスポットの検出結果を示す図である。(b)は、本発明の一実施形態における、呈色試薬(リンモリブデン酸)によるスポットの検出結果を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態における、呈色試薬(リンモリブデン酸)によるスポットの検出結果を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態における、呈色試薬(リンモリブデン酸)によるスポットの検出結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の一実施形態に関して以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態に関しても本発明の技術的範囲に含まれる。なお、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意味する。

【0022】
〔1.概要〕
本発明の一実施形態に係る試料溶液に含まれ得る陰イオンを検出する方法(以下、「本発明の検出方法」と称する。)は、以下の(A)~(C)の工程を含むことを特徴とする:(A)クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物がクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に変換する条件下で、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物と試料とを接触させる、接触工程、(B)前記工程(A)後の混合物を、固定相上で展開させる、展開工程、および、(C)前記工程(B)によって得られたスポットから、陰イオンを検出する検出工程。

【0023】
本発明者らは、陰イオンの検出方法について詳細な検討を重ねた結果、以下の知見を得ることに成功した。
・クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物をプローブとして用いることで、陰イオンの検出が可能となる。
・クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物をプローブとして用いることで、特定の陰イオンに限られることなく、広範囲に渡る陰イオンの検出が可能となる。
・クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物をプローブとして用いることで、微量の陰イオンの検出が可能となる。

【0024】
上記知見に基づき完成された本発明の検出方法は、例えば、以下の効果を有する。
・高価な分析装置等を必要としないため、優れた経済性を有する。
・迅速かつ簡易な分析が可能である。
・屋外での分析が可能である。
・複数の陰イオンの分析が可能である。
・複数の試料の解析が可能である。
・展開溶媒を種々変えることで、陰イオンの精密な定性が可能である。

【0025】
このように、本発明の検出方法は、上記種々の効果を奏するため、極めて有用な陰イオンの検出方法を提供することができる。

【0026】
さらに、本発明の検出方法に用いられるクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を改良すること(例えば、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を可視化したり、陰イオンとの親和性を向上させたりすること)により、さらに有用な検出方法を提供できる。

【0027】
〔2.検出方法〕
〔2-1.工程(A)〕
本発明の検出方法における工程(A)は、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物がクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に変換する条件下で、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物と試料とを接触させる、接触工程である。

【0028】
本工程(A)により、試料溶液中の陰イオンが、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に捕捉されると考えられる。その機構としては、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物において、アミンがアンモニウムイオンに変換された部分にクラウンエーテルが集合し、アンモニウムイオンとして安定化することで陰イオンとの塩が形成され、陰イオンが捕捉されると考えられる。

【0029】
(クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物)
本明細書において、「クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物」は、クラウンエーテルと、クラウンエーテルが移動可能な直鎖状部位を有するロタキサン化合物であり、該直鎖状部位に2つ以上のアミン(NH)を有するロタキサン化合物を意味する。

【0030】
なお、以下では、一例として、前記直鎖状部位に2つのアミン(NH)を有するクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物について説明する。

【0031】
本発明の一実施形態において、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、下記の式(1)で示される化合物である。

【0032】
【化5】
JP2020060534A_000007t.gif

【0033】
前記式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基である。RおよびRは、クラウンエーテルが、RおよびRの外側へ外れない大きさの構造を有する置換基であれば、特に限定されない。そのような置換基は、例えば、炭化水素基であり、例えば、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または芳香族炭化水素基である。

【0034】
脂肪族炭化水素基は、例えば、炭素数4以上のアルキル基である。脂肪族炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。また、脂肪族炭化水素基の一部または全部の水素原子は、ハロゲン原子(塩素、フッ素、ヨウ素、または臭素)、酸素を含む置換基、窒素を含む置換基、リンを含む置換基、硫黄を含む置換基等で置換されていてもよい。この脂肪族炭化水素基は、上述の通り、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であることが必要である。

【0035】
芳香族炭化水素基は、例えば、単環式芳香族炭化水素基、多環式芳香族炭化水素基、縮合芳香族炭化水素基等を含む置換基であり、例えば、フェニル基、ヒドロキシフェニル基、ピリジル基、フリル基、4-t-ブチルベンジル基、3,5-ジメチルベンジル基、トリフェニルメチル基、アントラセニル基、アルキル基で置換されているフェニル基、ジアルキル基で置換されているフェニル基、トリフェニルメチル基、トリフェニルエチル基、トリフェニルプロピル基、トリフェニル基、ビフェニル基、ジフェニルメチル基、ジフェニルエチル基、ジフェニルプロピル基、ジフェニルブチル基、ナフチル基等が挙げられる。芳香族炭化水素基は、アルキル基、ジアルキル基、酸素を含む置換基、窒素を含む置換基、ハロゲン原子、リンを含む置換基、硫黄を含む置換基等で置換されていてもよい。芳香族炭化水素基もまた、上述の通り、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であることが必要である。

【0036】
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、アダマンチル基等を含む置換基が挙げられる。脂環式炭化水素基は、アルキル基、酸素を含む置換基、窒素を含む置換基、ハロゲン原子、リンを含む置換基、硫黄を含む置換基等で置換されていてもよい。脂環式炭化水素基もまた、上述の通り、クラウンエーテルの内径よりも大きい構造の置換基であることが必要である。

【0037】
およびRは、大きさおよび合成のし易さの観点から、好ましくは、芳香族炭化水素基であり得る。

【0038】
前記式(1)において、Rは、クラウンエーテルの内径よりも小さい構造の置換基である。Rは、クラウンエーテルが、ロタキサン化合物内の直鎖状部位を自由に移動できる大きさの構造を有する置換基であれば、特に限定されない。そのような置換基は、例えば、上記RおよびRにおいて言及した炭化水素基からさらに水素原子を1個除いた置換基(2つの結合手を有する置換基)であり得る。

【0039】
前記式(1)において、クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルであればよく、例えば、20~30員環のクラウンエーテルである。

【0040】
式(1)のR~Rは、使用されるクラウンエーテルの大きさに合わせて、上記範囲内で適宜設計され得る。

【0041】
(クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物)
また、本明細書において、「クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物」は、前記クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物において、その直鎖状部位に存在する2つのアミンのうちの1つがアンモニウムイオン(NH)に変換されたロタキサン化合物を意味する。

【0042】
クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物よりも安定した形態であり、通常の溶液条件下では、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物の形態をとる。

【0043】
本発明の一実施形態において、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、下記の式(2)で示される化合物である。

【0044】
【化6】
JP2020060534A_000008t.gif

【0045】
前記式(2)において、R~Rは、前記式(1)におけるR~Rと同じである。

【0046】
前記式(2)において、クラウンエーテルは、20員環以上のクラウンエーテルであればよく、例えば、20~30員環のクラウンエーテルである。

【0047】
式(2)のR~Rは、使用されるクラウンエーテルの大きさに合わせて、上記範囲内で適宜設計され得る。

【0048】
クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物の一例(式(4)~(8))を下記に示すが、本発明の一実施形態におけるクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物がこれらに限定されないことは言うまでもない。また、下記のクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物において、アンモニウムイオンがアミンに変換された化合物は、本発明の一実施形態におけるクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物の一例ともなる。

【0049】
【化7】
JP2020060534A_000009t.gif

【0050】
(接触条件)
本工程(A)において、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物と試料との接触は、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物がクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に変換する条件下で行われる。

【0051】
クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物をアンモニウム型ロタキサン化合物に変換する条件は、前記変換が可能な条件であれば特に限定されない。そのような条件としては、酸性または中性であることが好ましいが、前記変換が可能であれば、塩基性(例えば、弱塩基性)であってもよい。

【0052】
試料溶液に陰イオンが含まれる場合、前記条件下で接触させた混合物では、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物と陰イオンとの塩が形成されている。例えば、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物が下記の式(1):

【0053】
【化8】
JP2020060534A_000010t.gif

【0054】
で示される化合物である場合、陰イオン(X)は、下記の式(3):

【0055】
【化9】
JP2020060534A_000011t.gif

【0056】
で示される塩の形態で、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に捕捉される。式(3)で示される塩の形態は、安定した形態であるため、後の工程(B)および(C)を行うことにより、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に結合した形で陰イオンを検出することができる。

【0057】
(陰イオン)
本発明の一実施形態において、陰イオンは、本発明の検出方法により検出され得る陰イオンであれば特に限定されず、例えば、酸由来の陰イオン、塩由来の陰イオン等であり得る。

【0058】
本明細書において、「酸由来の陰イオン」は、酸が溶解して生じる陰イオンを意味する。酸由来の陰イオンとしては、例えば、後述するpKaが4以下の酸由来の陰イオンの例示として挙げられたものが例示される。

【0059】
本明細書において、「塩由来の陰イオン」は、塩が溶解して生じる陰イオンを意味する。塩由来の陰イオンは、その共役酸のpKaが4以下であり、酸由来の陰イオンと同様のものが例示される。

【0060】
本発明の一実施形態において、陰イオンは、好ましくは、pKaが4以下の酸由来の陰イオンである。pKaが4以下の酸由来の陰イオンは、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物が安定であるため、本発明の検出方法により適切に検出され得る。

【0061】
pKaが4以下の酸由来の陰イオンとしては、例えば、硝酸イオン、亜硝酸イオン、亜塩素酸イオン、塩素酸イオン、過塩素酸イオン、過マンガン酸イオン、クロロ酢酸イオン、リン酸二水素イオン、硫酸水素イオン、チオシアン酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、チオ硫酸イオン、クロム酸イオン、ニクロム酸イオン、シュウ酸イオン、ハロゲン化物イオン(フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン)等が挙げられる。

【0062】
(クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物およびクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物の製造方法)
本発明の一実施形態において、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物およびクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、以下で示す工程により製造される。

【0063】
【化10】
JP2020060534A_000012t.gif

【0064】
前記式中、R~Rおよびクラウンエーテルは、〔2.検出方法〕に記載したR~Rおよびクラウンエーテルと同じである。また、前記式中、Yは、任意の陰イオンを表す。

【0065】
まず、化合物(a)およびクラウンエーテルを含む非極性の液(例えば、1,2-ジクロロエタン等)に、R-NHを加えて、イミン形成反応を行う。反応終了後、還元剤(例えば、LiAlH、NaBH等)を用いてイミンの還元を行なう。反応終了後、副生成物である還元剤由来のアルミナ、ホウ酸等を、抽出操作、濾過等により除去した後、シリカゲルクロマトグラフィーにかけることで、特定の溶出部より、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物(b)を得ることができる。

【0066】
続いて、上記で得られたクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物(b)に、水と分離する有機溶媒(例えば、トルエン等)および水酸化ナトリウム水溶液を加えて、室温または加熱下で攪拌し、中和する。反応終了後、有機層を分離し、水および飽和食塩水で洗浄後、乾燥剤(例えば、無水硫酸ナトリウム等)で乾燥させる。溶媒を留去し、得られた固体を有機溶媒(例えば、ヘキサン等)で洗浄することで、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物(c)を得ることができる。

【0067】
また、本発明の一実施形態において、以下で示すように、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物(b)を経ずに、化合物(a)から直接クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物(c)を得ることもできる。

【0068】
【化11】
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【0069】
本発明の一実施形態において、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物およびクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、後述する実施例に記載の方法により製造することができる。

【0070】
〔2-2.工程(B)〕
本発明の検出方法における工程(B)は、前記工程(A)後の混合物を、固定相上で展開させる、展開工程である。本工程(B)により、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物とそれ以外の成分とが固定相上で分離される。

【0071】
本発明の一実施形態において、展開溶媒は、試料を溶解させることができ、かつ、固定相上で該試料に含まれる成分を分離できる液体であれば特に限定されない。展開溶媒は、例えば、有機溶媒であり、例えば、ジクロロメタン、アセトン、クロロホルム、メタノール、酢酸エチル、ヘキサン、エタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、酢酸、またはそれらの組み合わせ等である。

【0072】
有機溶媒の代表的な組み合わせとしては、ジクロロメタンとアセトンとの組み合わせ、クロロホルムとメタノールとの組み合わせ等が挙げられる。展開溶媒として、複数の有機溶媒を組み合わせて用いる場合、その有機溶媒の混合比率は、当業者により適宜設定可能である。

【0073】
本発明の一実施形態において、展開溶媒を種々変えること(すなわち、異なる展開溶媒を用いて展開した結果を組み合わせて解析すること)により、陰イオンを精密に定性することができる。

【0074】
本発明の一実施形態において、固定相は、展開溶媒を用いて試料を展開した際に、該試料に含まれる成分を分離できるものであれば、特に限定されない。固定相は、通常、担体および基材(プレート)で構成される。担体としては、例えば、シリカゲル、アルミナ、ポリアミド樹脂、セルロース、紙等が挙げられる。担体として紙の使用は、利便性および経済性の観点から有利である。また、基材としては、ガラス、アルミニウム、プラスチック等が挙げられる。担体および基材は、目的等に応じて、適宜組み合わせて使用できる。

【0075】
本発明の一実施形態において、工程(B)は、薄層クロマトグラフィー(TLC)により行われる。

【0076】
〔2-3.工程(C)〕
本発明の検出方法における工程(C)は、前記工程(B)によって得られたスポットから、陰イオンを検出する検出工程である。本工程(C)により、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に結合した陰イオンが検出される。

【0077】
固定相上のスポットから陰イオンを検出する方法は、特に限定されることなく、当該技術分野で周知の方法が使用される。例えば、UVによる検出、呈色試薬による検出等が使用される。呈色試薬としては、特に限定されないが、例えば、ρ-アニスアルデヒド、リンモリブデン酸、セリウム-モリブデン酸アンモニウム、ニンヒドリン、塩基性過マンガン酸カリウム、ブロモクレゾールグリーン、ヨウ素、硫酸等が挙げられる。

【0078】
〔2-4.その他〕
本発明の一実施形態において、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、前記工程(C)における陰イオンの検出に適した形態に改良することができる。

【0079】
例えば、本発明の一実施形態におけるクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を構成する直鎖状化合物に発色団を導入することができる。これにより、目視による検出や高感度での検出が可能となる。発色団は、特に限定されないが、アゾベンゼン、フクシン、フルオレセイン、ポルフィリン、フタロシアニン、メチレンブルー、インディゴ等が用いられる。

【0080】
また、本発明の一実施形態におけるクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を構成するクラウンエーテルのサイズを変更することができる。これにより、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物と陰イオンとの塩が安定化され、例えば、検出が比較的困難である弱い酸由来の陰イオンを検出することが可能となる。

【0081】
その他、本発明の一実施形態におけるクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を構成する直鎖状化合物の官能基を変えることにより、工程(B)の展開工程における挙動を変化させることができる。

【0082】
本発明の検出方法は、さらに、本工程(A)の前に、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物をクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物に変換する、変換工程を含んでいてもよい。

【0083】
クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物は、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物よりも安定した形態であり、通常の溶液条件下では、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物の形態をとる。ここで、安定型のクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物では、安定しているが故に、目的の陰イオンを中性や塩基性では新たに捕捉する機能を有さない。よって、そのような場合には、本工程(A)は、前記変換工程を含むことにより、本発明の検出方法による陰イオンの検出が可能となる。

【0084】
本発明の検出方法は、さらに、前記工程(C)で検出された陰イオンを同定する、同定工程を含んでいてもよい。

【0085】
本工程における陰イオンの同定は、陰イオンの移動度(Rf値)を算出することにより行うことができる。移動度(Rf値)の算出は、当該技術分野における周知の方法により行うことができる。

【0086】
本発明の一実施形態において、本発明の検出方法に各種分析機器を組み合わせることにより、陰イオンの定性のみならず、その定量も行うことができる。

【0087】
〔3.キット〕
本発明の一実施形態に係る陰イオン検出キット(以下、「本発明のキット」と称する。)は、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物および/またはクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物をプローブとして含むことを特徴とする。

【0088】
本発明のキットに含まれるクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物および/またはクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、上述の通り、陰イオン検出用のプローブとして用いることができるため、本発明のキットを用いて、簡便かつ迅速に、広範囲にわたる種々の陰イオンを検出することができる。とりわけ、本発明のキットは、大型の設備の設置が困難な屋外での簡易分析等において、有用である。

【0089】
本発明のキットに含まれるクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物およびクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、〔2.検出方法〕の項に記載したものが使用される。

【0090】
本発明のキットは、前記プローブの他に、本発明のキットを用いた陰イオンの検出に必要な、任意の材料を含んでいてもよい。そのような材料としては、例えば、工程(A)の前に使用される物質(例えば、試料溶液を調製するための物質、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物をクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物に変換する物質等)、工程(A)の接触工程で使用される物質(例えば、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物をクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に変換する物質等)、工程(B)の展開工程で使用される物質(例えば、試料溶液をスポットするためのキャピラリー、展開溶媒、固定相等)、工程(C)の検出工程で使用される物質(例えば、呈色試薬等)、Rf値を比較するためのライブラリーマップ等が挙げられる。

【0091】
本発明のキットは、各材料を使用するための指示書を備えていることが好ましい。

【0092】
〔4.用途〕
本発明の検出方法および本発明のキットは、高価な分析装置や電気を必要とせず、簡便かつ迅速に、広範囲にわたる種々の陰イオンを検出することが可能である。

【0093】
したがって、本発明の検出方法および本発明のキットは、陰イオンの検出が望まれる種々の分野で利用が可能であり、例えば、廃液/排水施設での簡易チェック、土壌、河川、地下水等の環境水中に存在する有害な陰イオンの簡易検出、食品などの品質管理、分析困難な場所でのチェック等で利用できる。

【0094】
また、本発明の一実施形態におけるクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物および/またはクラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物は、HPLCにおける添加剤として利用することもできる。

【0095】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例】
【0096】
本発明の一実施例について以下に説明する。
【実施例】
【0097】
〔プローブの合成〕
(クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物(1-HPF)の合成)
【実施例】
【0098】
【化12】
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【実施例】
【0099】
アルデヒド2-PF(0.5g、1.5mmol)およびジベンゾ-24-クラウンエーテル(1.13g、2.5mmol)を含む1,2-ジクロロエタン(5ml)の溶液に、3,5-キシリジン(0.25ml、1.9mmol)を加えて、50℃で15時間、加熱攪拌した。反応終了後、NaBH(0.095g,2.5mmol)およびエタノール(5ml)を室温で加えて、同温で13時間、攪拌した。反応終了後、1M 塩酸(10ml)を加えて、20分間攪拌した。次いで、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、ジクロロエタンで抽出した。その後、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかけた。トルエン:テトラヒドロフラン(4:1)の溶出部より、クラウンエーテル等を除去し、クロロホルム:メタノール(10:1)の溶出部より、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物(1-HPF)(0.87g、61%)を得た。
【実施例】
【0100】
(クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物(1)の合成)
上記で得られたクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物(1-HPF)(0.509g、0.53mmol)に、トルエン(50ml)および10%水酸化ナトリウム水溶液(50ml)を加えて、室温で23時間、攪拌した。反応終了後、有機層を分離し、水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を留去し、得られた固体をヘキサンで洗浄し、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物(1)(0.35g、81%)を得た。
【実施例】
【0101】
〔実施例1〕
クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物1の1.25μMクロロホルム溶液を調製した(これを、「A液」とする。)。また、60%アンモニウムヘキサフルオロフォスフェート(NHPF)液を用いて、250μMメタノール溶液を調製した(これを、「B液」とする。)。次いで、A液 250μLと、B液 5μLとを混合した。その混合溶液を、0.5~1.0μL程度、TLCプレート(TLC silica gel 60F254、メルク社製)にスポットした後、ジクロロメタン:アセトン=1:5の溶液で展開した。その後、UVランプ(254nm)の照射、および/またはリンモリブデン酸液での呈色により、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のスポットを確認した(図2)。
【実施例】
【0102】
展開後のクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のRf値は、約0.9であった(図2)。
【実施例】
【0103】
本実施例より、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を用いて、ヘキサフルオロリン酸イオンの検出が可能であることが分かった。
【実施例】
【0104】
〔実施例2〕
過塩素酸ナトリウムの1000μMメタノール溶液を調製した(これを、「C液」とする。)。次いで、実施例1で調製したA液 250μLと、C液 1.25μLとを混合した。その混合溶液を、0.5~1.0μL程度、TLCプレート(TLC silica gel 60F254、メルク社製)にスポットした後、ジクロロメタン:アセトン=1:5の溶液で展開した。その後、実施例1と同じ方法で、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のスポットを確認した(図2)。
【実施例】
【0105】
展開後のクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のRf値は、約0.87であった。
【実施例】
【0106】
本実施例より、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を用いて、過塩素酸イオンの検出が可能であることが分かった。
【実施例】
【0107】
〔実施例3〕
ヨウ化ナトリウムの250μMメタノール溶液を調製した(これを、「D液」とする。)。次いで、実施例1で調製したA液 250μLと、D液 5~10μLとを混合した。その混合溶液を、TLCプレート(TLC silica gel 60F254、メルク社製)にスポットした後、クロロホルム:メタノール=10:1または5:1の溶液で展開した。その後、実施例1と同じ方法で、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のスポットを確認した。
【実施例】
【0108】
D液 10μLを混合した場合の約0.5~1.0μLの前記混合溶液をTLCプレートにスポットし、クロロホルム:メタノール=10:1の溶液で展開した結果を、図3(a)に示す。また、D液 5μLを混合した場合の約0.5~1.0μLの前記混合溶液をTLCプレートにスポットし、クロロホルム:メタノール=5:1の溶液で展開した結果を、図3(b)に示す。さらに、D液 10μLを混合した場合の約0.5~1.0μLの前記混合溶液をTLCプレートにスポットし、クロロホルム:メタノール=5:1の溶液で展開した結果を、図3(c)に示す。
【実施例】
【0109】
なお、D液 5μLを混合した場合、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物とヨウ化ナトリウムの当量比は1:1となり、D液 10μLを混合した場合、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物とヨウ化ナトリウムの当量比は1:2となる。
【実施例】
【0110】
クロロホルム:メタノール=10:1の溶液で展開したとき、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のRf値は、約0.3であった。また、クロロホルム:メタノール=5:1の溶液で展開したとき、クラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のRf値は、約0.6であった。
【実施例】
【0111】
本実施例より、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を用いて、ハロゲン化物イオンの検出が可能であることが分かった。また、本実施例より、異なる比率で混合された展開溶媒を用いて、ハロゲン化物イオンの検出が可能であることが分かった。さらに、本実施例より、ヨウ化ナトリウムのクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物に対する相対量を種々変更しても、ハロゲン化物イオンの検出が可能であることが分かった。
【実施例】
【0112】
〔実施例4〕
実施例1で調製したA液 250μLと、各種の酸(トシル酸、メシル酸、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸、クロロ酢酸、1,2-エタンジスルホン酸、過塩素酸、ヘキサフルオロリン酸) 5~10μLとを混合した。その各種混合溶液を、0.5~1.0μL程度、TLCプレート(TLC silica gel 60F254、メルク社製)にスポットした後、ジクロロメタン:アセトン=1:5の溶液で展開した。その後、実施例1と同じ方法で、各種陰イオンが結合したクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のスポットを確認した(図1)。
【実施例】
【0113】
展開後の各種陰イオンが結合したクラウンエーテル/アンモニウム型ロタキサン化合物のRf値は、以下の通りであった。
【実施例】
【0114】
トシル酸イオン:約0.19、メシル酸イオン:約0.12、トリフルオロ酢酸イオン:約0.29、ジクロロ酢酸イオン:0.17、クロロ酢酸イオン:0.04、1,2-エタンジスルホン酸イオン:約0.05、過塩素酸イオン:約0.87、ヘキサフルオロリン酸イオン:約0.91。
【実施例】
【0115】
本実施例より、クラウンエーテル/アミン型ロタキサン化合物を用いて、種々の陰イオンの検出が可能であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明の検出方法は、高価な分析装置や電気を必要とせず、簡便かつ迅速に、広範囲にわたる種々の陰イオンを検出することが可能であるため、陰イオンの新規検出方法として好適に利用することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2