【0036】 (5)位相シフトによる深さ方向の縞パターンの位相算出 本計測方法において、面外方向の形状や変位分布を得るためには、光軸の深さ方向の縞パターンの位相を求める必要がある。ここでは、本計測方法において、縞パターンの位相を求める一般的な手法である位相シフト法(E. Kim, et al.,“Profilometry without phase unwrapping using multi-frequency and four-step phase-shift sinusoidal fringe projection,” Opt. Express 17, 7818 (2009))を用いて深さ方向の縞パターンの位相を求めるための光学系および計算方法について述べる。
【0037】 一般的に、上記のE. Kim, et alの文献に記載されている2光束干渉計を用いるデジタルホログラフィの分野では、2本の光路のうち、片方の光路(一般的には参照光側)に遅延を与え光波の位相をシフトする。この時、この遅延はミラーまたはガラス板または偏光子によって構成される位相シフタを用いることで行われる。
【0063】 計測の結果、物体上に現れている干渉パターンの間隔は 7.0 mm であった。投影している物体の表面は 40°の傾きを有しているため、光軸方向の干渉パターンの間隔は 5.4 mm となる。この値は、同じパラメータで行った際のシミュレーションの結果とほぼ同じであるため、3光束のレーザ干渉によって光軸方向に変化する干渉パターンが現れることが確認できた。
【0067】 次に、平面物体で位相シフトを行ったパターンを撮影し、キャリブレーションを行う。基準面の作成に用いた光学系を図18に示す。平面物体は 0.0~5.0 mm まで 0.5 mm ずつ移動させた。各位置での位相を求め、0.0 mm 時の位相との位相差を求めた。変位 5.0 mm での位相の画像と位相差の画像をそれぞれ図19,図20に示す。各位相差の1ライン上の平均値を求め、変位と位相の変化の関係を示したグラフを 図21に示す。この近似直線の傾きは1.2 rad / mm であった。これにより、数8式を用いて変位を求めることができる。