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明細書 :介護補助プログラム、介護補助装置、介護補助方法及び介護補助システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-144652 (P2020-144652A)
公開日 令和2年9月10日(2020.9.10)
発明の名称または考案の名称 介護補助プログラム、介護補助装置、介護補助方法及び介護補助システム
国際特許分類 G06Q  50/22        (2018.01)
FI G06Q 50/22
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2019-041328 (P2019-041328)
出願日 平成31年3月7日(2019.3.7)
発明者または考案者 【氏名】高久 範江
【氏名】高橋 泰岳
出願人 【識別番号】504145320
【氏名又は名称】国立大学法人福井大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100180758、【弁理士】、【氏名又は名称】荒木 利之
審査請求 未請求
テーマコード 5L099
Fターム 5L099AA11
要約 【課題】介護者が要介護者の症状を把握せずとも、要介護者の症状を抑制して要介護者に行動させるための促し行動を選択する介護補助プログラム、介護補助装置、介護補助方法及び介護補助システムを提供する。
【解決手段】介護補助システム5は、食事中の要介護者6の行動及び食事状況を観測する観測装置2と、観測装置2の出力から、食事中の要介護者6の行動及び食事状況を認識して記録し、ジェスチャー、音声、発光の少なくともいずれかを含む予め登録された促し行動から、要介護者6の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する情報処理装置1と、情報処理装置1が決定した促し行動を実行するロボット3とを備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
コンピュータを、
食事中の要介護者の行動及び食事状況を認識して記録する認識手段と、
予め登録された促し行動から、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する決定手段と、
前記要介護者の行動又は行動の時系列変化と、当該要介護者に対する促し行動の履歴との組み合わせについて、当該促し行動後の前記要介護者の食事状況が予め定めた評価基準に基づいて向上するように学習する学習手段として機能させるための介護補助プログラム。
【請求項2】
前記決定手段は、前記学習手段の学習結果に基づいて前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じた促し行動を決定する請求項1に記載の介護補助プログラム。
【請求項3】
前記認識手段は、前記認識手段は、前記要介護者の食事が中断しない場合、食事が乱れない場合及び/又は食事が完了した場合に、前記食事状況の評価基準の評価値を向上させる請求項1又は2に記載の介護補助プログラム。
【請求項4】
前記決定手段は、決定した前記促し行動をロボットに実行させる請求項1‐3のいずれか1項に記載の介護補助プログラム。
【請求項5】
前記決定手段は、決定した前記促し行動を表示装置に表示可能に出力する請求項1‐3のいずれか1項に記載の介護補助プログラム。
【請求項6】
前記決定手段は、前記予め登録された促し行動として、ジェスチャー、表情変化、音声の再生、音声の認識、発光の少なくともいずれかから選択して促し行動を決定する請求項1‐5のいずれか1項に記載の介護補助プログラム。
【請求項7】
食事中の要介護者の行動及び食事状況を認識して記録する認識手段と、
予め登録された促し行動から、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する決定手段と、
前記要介護者の行動又は行動の時系列変化と、当該要介護者に対する促し行動の履歴との組み合わせについて、当該促し行動後の前記要介護者の食事状況が予め定めた評価基準に基づいて向上するように学習する学習手段とを有する介護補助装置。
【請求項8】
食事中の要介護者の行動及び食事状況を認識して記録する認識ステップと、
要介護者の行動又は行動の時系列変化と、当該要介護者に対する予め登録された促し行動の履歴との組み合わせについて、当該促し行動後の前記要介護者の食事状況が予め定めた評価基準に基づいて向上するように学習した学習結果に基づいて、前記予め登録された促し行動から、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する決定ステップと、
前記決定ステップにおいて決定した促し行動を前記要介護者に対して実行する実行ステップとを有する介護補助方法。
【請求項9】
食事中の要介護者の行動及び食事状況を観測する観測装置と、
前記観測装置の出力から、食事中の要介護者の行動及び食事状況を認識して記録する認識手段と、予め登録された促し行動から、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する決定手段とを有する介護補助装置と、
前記介護補助装置が決定した促し行動を実行するロボットとを備える介護補助システム。
【請求項10】
前記介護補助装置は、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化と、当該要介護者に対する促し行動の履歴との組み合わせについて、当該促し行動後の前記要介護者の食事状況が予め定めた評価基準に基づいて向上するように学習する学習手段をさらに有する請求項9に記載の介護補助システム。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、介護補助プログラム、介護補助装置、介護補助方法及び介護補助システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、要介護者の症状に応じたアドバイスを介護者に対して提示する介護補助装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示された介護補助装置は、要介護者及びその介護者の情報、並びに要介護者の症状、特にBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)の症状に対応するための情報であるアドバイス情報を記憶する記憶部と、要介護者及び介護者の情報に基づいてアドバイス情報から適切な情報を選択するアドバイス情報選択部と、選択されたアドバイス情報を介護者の使用する端末に出力する出力部と、出力部が出力したアドバイス情報を介護実施した内容として実施情報として記憶する。要介護者及び介護者の情報としては、要介護者のBPSDの症状の時系列データや当該時系列データに基づいた症状の傾向等が含まれる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2013‐69013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の介護補助装置は、要介護者のBPSDの症状や症状の傾向に対応するアドバイス情報を介護者に出力して介護を補助するが、アドバイス情報はBPSDの症状に対応してスーパーバイザーが選択したもの、又はBPSDの症状の発生頻度に基づいて効果があると判断されるものであり、いずれの場合もアドバイス情報を予め用意する必要がある、という問題がある。さらに、要介護者の症状を把握するのは介護者であり、少なくとも介護者に症状を把握する能力が必要である、という問題がある。
【0006】
本発明の目的は、介護者が要介護者の症状を把握せずとも、要介護者の症状を抑制して要介護者に行動させるための促し行動を選択する介護補助プログラム、介護補助装置、介護補助方法及び介護補助システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、上記目的を達成するため、以下の介護補助プログラム、介護補助装置、介護補助方法及び介護補助システムを提供する。
【0008】
[1]コンピュータを、
食事中の要介護者の行動及び食事状況を認識して記録する認識手段と、
予め登録された促し行動から、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する決定手段と、
前記要介護者の行動又は行動の時系列変化と、当該要介護者に対する促し行動の履歴との組み合わせについて、当該促し行動後の前記要介護者の食事状況が予め定めた評価基準に基づいて向上するように学習する学習手段として機能させるための介護補助プログラム。
[2]前記決定手段は、前記学習手段の学習結果に基づいて前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じた促し行動を決定する前記[1]に記載の介護補助プログラム。
[3]前記認識手段は、前記認識手段は、前記要介護者の食事が中断しない場合、食事が乱れない場合及び/又は食事が完了した場合に、前記食事状況の評価基準の評価値を向上させる前記[1]又は[2]に記載の介護補助プログラム。
[4]前記決定手段は、決定した前記促し行動をロボットに実行させる前記[1]‐[3]のいずれかに記載の介護補助プログラム。
[5]前記決定手段は、決定した前記促し行動を表示装置に表示可能に出力する前記[1]‐[3]のいずれかに記載の介護補助プログラム。
[6]前記決定手段は、前記予め登録された促し行動として、ジェスチャー、表情変化、音声の再生、音声の認識、発光の少なくともいずれかから選択して促し行動を決定する前記[1]‐[5]のいずれかに記載の介護補助プログラム。
[7]食事中の要介護者の行動及び食事状況を認識して記録する認識手段と、
予め登録された促し行動から、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する決定手段と、
前記要介護者の行動又は行動の時系列変化と、当該要介護者に対する促し行動の履歴との組み合わせについて、当該促し行動後の前記要介護者の食事状況が予め定めた評価基準に基づいて向上するように学習する学習手段とを有する介護補助装置。
[8]食事中の要介護者の行動及び食事状況を認識して記録する認識ステップと、
要介護者の行動又は行動の時系列変化と、当該要介護者に対する予め登録された促し行動の履歴との組み合わせについて、当該促し行動後の前記要介護者の食事状況が予め定めた評価基準に基づいて向上するように学習した学習結果に基づいて、前記予め登録された促し行動から、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する決定ステップと、
前記決定ステップにおいて決定した促し行動を前記要介護者に対して実行する実行ステップとを有する介護補助方法。
[9]食事中の要介護者の行動及び食事状況を観測する観測装置と、
前記観測装置の出力から、食事中の要介護者の行動及び食事状況を認識して記録する認識手段と、予め登録された促し行動から、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じて促し行動を決定する決定手段とを有する介護補助装置と、
前記介護補助装置が決定した促し行動を実行するロボットとを備える介護補助システム。
[10]前記介護補助装置は、前記要介護者の行動又は行動の時系列変化と、当該要介護者に対する促し行動の履歴との組み合わせについて、当該促し行動後の前記要介護者の食事状況が予め定めた評価基準に基づいて向上するように学習する学習手段をさらに有する前記[9]に記載の介護補助システム。
【発明の効果】
【0009】
請求項1、7、8、9、10に係る発明によれば、介護者が要介護者の症状を把握せずとも、要介護者の症状を抑制して要介護者に行動させるための促し行動を選択することができる。
請求項2に係る発明によれば、学習手段の学習結果に基づいて要介護者の行動又は行動の時系列変化に応じた促し行動を決定することができる。
請求項3に係る発明によれば、食事状況の評価基準の、要介護者の食事が中断しない場合、食事が乱れない場合及び/又は食事が完了した場合に評価値を向上させることができる。
請求項4に係る発明によれば、決定した促し行動をロボットに実行させることができる。
請求項5に係る発明によれば、決定した前記促し行動を表示装置に表示可能に出力することができる。
請求項6に係る発明によれば、予め登録された促し行動として、ジェスチャー、表情変化、音声の再生、音声の認識、発光の少なくともいずれかから選択して促し行動を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態に係る介護補助システムの構成の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、実施の形態に係る情報処理装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】図3は、要介護者情報の構成の一例を示す概略図である。
【図4】図4は、促し行動情報の構成の一例を示す概略図である。
【図5】図5は、行動履歴情報の構成の一例を示す概略図である。
【図6】図6は、促し行動履歴情報の構成の一例を示す概略図である。
【図7】図7は、食事状況履歴情報の構成の一例を示す概略図である。
【図8】図8は、介護補助システムの動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態]
(介護補助システムの構成)
図1は、実施の形態に係る介護補助システムの構成の一例を示す概略図である。

【0012】
この介護補助システム5は、介護補助装置の一部としての情報処理装置1と、観測装置2と、ロボット3とをネットワーク4によって互いに通信可能に接続することで構成される。

【0013】
情報処理装置1は、サーバ型のコンピュータであり、観測装置2の入力に応じて動作し、ロボット3の動作を制御するものであって、本体内に情報を処理するための機能を有するCPU(Central Processing Unit)やフラッシュメモリ等の電子部品を備える。

【0014】
観測装置2は、例えば、動画を撮影するカメラ及び深度センサであって、要介護者6の動作、状態及び食物7の状態を撮影して撮影動画情報を出力するとともに、動作を読み取って動作情報として出力するものであり、当該構成を有する場合について以下の実施の形態を説明する。なお、観測装置2は、少なくとも要介護者6の動作、食物7の状態を観測できるものであればよく、図1中ではカメラ及び深度センサを表しているが、カメラ又は深度センサのいずれか一方のみで撮影動画情報を解析して動作情報を生成するものであってもよい。また、観測装置2は、その他要介護者6の声や動作音、食事音等の音声を収集するマイク、要介護者6及び食物7の容器等に取り付けられる感圧センサ等であって重量を計測することで食事の早さを観測するものを採用することもできる。さらに、観測装置2は、カメラ、深度センサ、マイク、感圧センサの任意の組み合わせであってもよい。

【0015】
ロボット3は、例えば、人型、任意の動植物型又は人型、動物型の一部分であるが、以降に説明する機能を有するものであれば、その形状は特に限定されず、表示部や音声出力部等のみで構成されるものであってもよい。また、ロボット3は、主に要介護者6に動作をするように働きかける(「促し行動」を実行する)ものであるが、促し行動として要介護者6の呼びかけ又は行動に対して応答をするものであってもよい。なお、ロボット3は、促し行動を実行するため、例えば、ジェスチャー、表情変化、発話(又は音声の再生)、聞きとり(又は音声の認識)、発光の少なくともいずれかの機能を有するものとする。

【0016】
ネットワーク4は、高速通信が可能な通信ネットワークであり、例えば、イントラネットやLAN(Local Area Network)等の有線又は無線の通信網である。

【0017】
要介護者6は、認知症者等の介護を要する人物であって、食物7を認識できない(失認)、食物7の食べ方がわからない(実行機能障害)、食事に集中できない(記憶障害、問題解決能力の障害)、食事していることを忘れる(記憶障害)、食べ方が乱れる(判断力の障害)等のように、主に摂食行動に障害がある者である。また、食物7は、要介護者6が摂るために調理され、用意されたものである。

【0018】
従来のように要介護者6に対して介護者が対応する場合、食物7の食べ方がわからない要介護者6に対しては食べ方を教え、食事していることを忘れる要介護者6に対しては食事していることを思い出させ、食べ方が乱れる要介護者6に対しては乱れを制止する等していたが、摂食行動の障害の原因を理解すること、当該障害にどう対応するか判断することは経験と知識を必要としていた。

【0019】
介護補助システム5は、経験と知識を必要とする介護者の代わりに、要介護者6の食物7の行動を観測装置2によって観察し、食事が中断したり、乱れたりした場合に当該行動の時系列変化から摂食行動に障害があることを認識して、当該摂食行動の障害に対応するため、ロボット3によって促し行動として、要介護者6に動作をするよう働きかける又は要介護者6の呼びかけ若しくは行動に対して応答をし、要介護者6が自立して食事を行え、要介護者6の摂食行動の障害の回数をなるべく減らし、途中で食事を終えないようにする。

【0020】
また、情報処理装置1は、さらに、ロボット3の促し行動によって要介護者6の食事状況を観測装置2によって観測し、予め定めた評価基準に基づいて食事状況が改善するようにロボット3の促し行動を学習する。上記した摂食行動の障害に応じて選択される促し行動は当該学習によって得られたモデルによって選択されるものである。なお、当該モデルは、複数の要介護者6に適用される一般モデルであってもよいし、特定の要介護者6に適用されるモデルであってもよい。

【0021】
(情報処理装置の構成)
図2は、実施の形態に係る情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。

【0022】
情報処理装置1は、CPU等から構成され、各部を制御するとともに、各種のプログラムを実行する制御部10と、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体から構成され情報を記憶する記憶部11と、ネットワーク4を介して外部と通信する通信部12とを備える。

【0023】
制御部10は、後述する介護補助プログラム110を実行することで、要介護者認識手段100、行動認識手段101、食事中断検出手段102、促し行動決定手段103、食事状況認識手段104及び学習手段105等として機能する。

【0024】
要介護者認識手段100は、記憶部11に予め登録された要介護者情報111を参照し、観測装置2の出力する撮影動画情報のうち顔部分の画像から特徴量を抽出して、要介護者6を認識する。また、要介護者認識手段100は、観測装置2の出力する動作情報から特徴量を抽出して、要介護者6を認識してもよい。なお、要介護者認識手段100は、学習によって得られたモデルが一般モデルの場合は必須の構成ではなく、要介護者6を識別せずに以降の各手段101~105を動作させるものであってもよい。

【0025】
行動認識手段101は、観測装置2の取得した情報から、要介護者6の行動を認識し、予め定めた間隔又は行動が変化したタイミングで行動履歴情報113に記録する。具体的に、行動認識手段101は、観測装置2から撮影動画情報及び動作情報を受信し、当該撮影動画情報及び動作情報について、例えば、スケルトントラッキングを行い、動作を認識する。動作認識は、k近傍法、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク等を用い学習することができる。

【0026】
食事中断検出手段102は、行動認識手段101が記録した行動履歴情報113の時系列における並びから主に食事が中断したことを検出する。また、食事中断検出手段102は、食事の再開が困難であること、食べ方が乱れていること、誤嚥リスク等の食事中断の理由を認識してもよい。

【0027】
促し行動決定手段103は、後述する学習結果情報116に基づいて動作するものであって、食事中断検出手段102が食事の中断を検出すると、複数の促し行動が記載された促し行動情報112から、行動履歴情報113を参照して、促し行動を選択して決定する。促し行動決定手段103は、決定した促し行動をロボット3に実行させる。なお、促し行動情報112は、専門家によって予め定められた行動であってもよいが、学習前に準備したあらゆる行動を学習(後述)によって淘汰し、残った行動を用いるものであってもよい。また、新たな行動を能動的に生成するものであってもよい。

【0028】
食事状況認識手段104は、観測装置2の取得した情報から、要介護者6の食事の状況を認識し、予め定めた間隔又は行動が変化したタイミングで食事状況履歴情報115に記録する。食事状況認識手段104は、食事状況を、行動認識手段101が認識した行動から食事が中断していなければ評価値を高くし、中断していれば評価値を低くしてもよいし、食事の量を観測装置2の出力から認識し、食事の減り方の時系列変化によって食事状況を評価するようにしてもよい。

【0029】
学習手段105は、行動履歴情報113に対し行われた促し行動履歴情報114の結果、食事状況履歴情報115が改善するよう促し行動決定手段103を学習し、学習結果で学習結果情報116を更新する。

【0030】
記憶部11は、制御部10を上述した各手段100‐105として動作させる介護補助プログラム110、要介護者情報111、促し行動情報112、行動履歴情報113、促し行動履歴情報114、食事状況履歴情報115及び学習結果情報116等を記憶する。

【0031】
図3は、要介護者情報111の構成の一例を示す概略図である。

【0032】
要介護者情報111は、複数の要介護者を識別するための要介護者IDと、要介護者の氏名と、観測装置2の取得した情報から要介護者認識手段100によって得られる要介護者を識別するための特徴情報とを有する。

【0033】
図4は、促し行動情報112の構成の一例を示す概略図である。

【0034】
促し行動情報112は、促し行動を識別するための促し行動IDと、当該促し行動の内容を有する。促し行動の内容は、促し行動ID「A001」、「A002」のようにロボット3から音声で声掛けするもの、促し行動ID「A007」、「A008」のようにロボット3にジェスチャーをさせるもの等の他、ロボット3の一部を発光させるものや、表示部を有する場合は文字や画像を表示するものであってもよい。摂食行動を再開させるために、要介護者6が置かれていた状況の記憶を呼び起こすためのもの、要介護者6がしていた行動の記憶を呼び起こすためのもの、要介護者6が次に行うべき行動を教えるためのもの等が挙げられる。

【0035】
図5は、行動履歴情報113の構成の一例を示す概略図である。

【0036】
行動履歴情報113は、行動認識手段101によって行動が認識された日時と、認識された行動とを有する。なお、図5に例示した行動の内容は、行動認識手段101が認識したものであって、行動認識手段101が認識可能な予め定められた行動であるが、必ずしも言語化された行動に限らず、観測装置2が出力する撮影動画情報及び動作情報をそのまま記録してもよいし、撮影動画情報及び動作情報から得られる行動認識手段101のみが認識可能な特徴量を記録してもよい。また、要介護者6の目(視線)、鼻、口、あご、手(食器)、腕、胴体、足等の各部の動作をそれぞれ記録してもよい。

【0037】
図6は、促し行動履歴情報114の構成の一例を示す概略図である。

【0038】
促し行動履歴情報114は、促し行動決定手段103によって促し行動が実行された日時と、実行された促し行動の促し行動IDとを有する。

【0039】
図7は、食事状況履歴情報115の構成の一例を示す概略図である。

【0040】
食事状況履歴情報115は、食事状況認識手段104によって食事状況が認識された日時と、認識された食事状況とを有する。なお、食事状況は予め定めた基準に基づいて評価した評価値を図7に例示したが、食物7の重量又は体積の減る早さ、食事の中断の回数、食事の中断の時間、口に運んだ回数、噛んだ回数等であってもよいし、観測装置2が出力する撮影動画情報及び動作情報をそのまま記録してもよいし、撮影動画情報及び動作情報から得られる食事状況認識手段104のみが認識可能な特徴量を記録してもよい。

【0041】
(介護補助システムの動作)
次に、本実施の形態の作用を、説明を単純化するために、(1)介護補助動作、(2)学習動作に分けて説明する。なお、「(2)学習動作」を予め実行して得られた学習結果情報116を用いて「(1)介護補助動作」を実行してもよいし、「(1)介護補助動作」を実行しながら同時に「(2)学習動作」を行ってもよい。

【0042】
図8は、介護補助システム5の動作例を示すフローチャートである。

【0043】
(1)介護補助動作
まず、要介護者6は所定の場所に着き、トレー等に食物7を載せて食事が用意される。要介護者6は食事を開始する。

【0044】
観測装置2は、要介護者6の撮影及び動作の読み取りを開始して要介護者6を観測する(S1)。撮影の開始は要介護者6が所定の場所に着いたことをセンサ等で感知してもよいし、常に撮影しておき撮影動画に変化があった場合に撮影動画を出力するようにしてもよい。

【0045】
情報処理装置1の要介護者認識手段100は、ネットワーク4を介して観測装置2から撮影動画情報を受信し、撮影動画情報から人物を抽出し、人物の特徴量を抽出して、図3に示す要介護者情報111を参照して対応する特徴量から、要介護者6の要介護者ID及び名前を認識する(S2)。

【0046】
次に、情報処理装置1の行動認識手段101は、撮影動画情報又は動作情報から、要介護者6の行動を認識し(S3)、図5に示すように、認識した行動を日時とともに行動履歴情報113に記録する(S4)。

【0047】
情報処理装置1の食事中断検出手段102は、行動認識手段101が記録した行動履歴情報113から食事が中断したことを検出する(S5)。例えば、図5に示す行動履歴情報113の行動に食事動作を示す「味噌汁を飲む」の次に、食事動作ではない「見回す動作」、「食事以外の会話」が並んだ場合や動作が何も認識されなかった場合等に食事が中断したと判断する。

【0048】
情報処理装置1の促し行動決定手段103は、食事中断検出手段102が食事の中断を検出すると(S5;Yes)、学習結果情報116に基づいて、行動履歴情報113を参照して、図4に示す促し行動情報112から促し行動を選択して決定する(S6)。例えば、促し行動ID「A001」を選択する。なお、促し行動決定手段103は、行動履歴情報113のうち一定の範囲の行動を参照してもよいし、最新の行動のみを参照してもよい。また、促し行動決定手段103は、当該選択されて実行された促し行動を日時とともに、図6に示す促し行動履歴情報114に記録する(S7)。

【0049】
情報処理装置1の促し行動決定手段103は、決定した促し行動をロボット3に実行させ、ロボット3は「お味噌汁がおいしいですね」と声掛けする。要介護者6は、声掛けに反応して食事を再開するかもしれないし、反応するが食事を再開しないかもしれないし、反応をしない場合もあるが、当該要介護者6の行動は常に行動認識手段101により認識されて、日時とともに行動履歴情報113に記録される。

【0050】
また、情報処理装置1の食事状況認識手段104は、観測装置2の撮影動画情報から、要介護者6の食事の状況を認識し(S8)、日時とともに食事状況履歴情報115に記録して(S9)、上記促し行動により食事状況が改善するか否かを監視する。

【0051】
(2)学習動作
学習手段105は、行動履歴情報113に対し行われた促し行動履歴情報114の結果、食事状況履歴情報115のうち促し行動後の食事状況が改善するよう促し行動決定手段103を学習させ、学習結果で学習結果情報116を更新する(S10)。つまり、学習手段105は、促し行動前の行動履歴情報113が状態であって、食事の中断をきっかけに促し行動を行い、促し行動後の食事状況履歴情報115の改善が報酬である強化学習を行う。従って、強化学習を採用した場合には、行動履歴情報113から症状を識別する必要はなく、食事が中断した理由や食事状況が低下した理由を認識する必要はない。なお、強化学習にはQ学習、Sarsa、モンテカルロ法等のアルゴリズムを使用できる。

【0052】
なお、学習手段105は、教師付き学習を行ってもよく、教師付き学習を行う場合は、予め専門家により教師データを準備し、当該教師データに基づいて、行動履歴情報113から症状を識別するように学習する。食事の再開が困難であること、食べ方が乱れていること、誤嚥リスク等の食事が中断した理由を認識するようにし、食事状況が低下した理由を認識するよう学習する。また、識別した症状や認識した理由に基づいて行動を決定するように学習する。

【0053】
「(1)介護補助動作」を実行しながら同時に「(2)学習動作」を行う場合、上記ステップS3からステップS10は食事が終わるまで繰り返される。

【0054】
(実施の形態の効果)
上記した実施の形態によれば、行動履歴情報113に対し行われた促し行動履歴情報114の結果、食事状況履歴情報115のうち促し行動後の食事状況が改善するよう促し行動決定手段103を学習させるようにしたため、促し行動決定手段103が要介護者6の行動に基づいて食事状況を改善させるのに適した促し行動を選択することができ、介護者が要介護者6の症状を把握する必要がなく、従って、介護者が要介護者6の症状を把握して情報処理装置1に入力する必要もなく、要介護者6の症状を抑制して要介護者6に食事を進めるための促し行動をロボット3に出力し、ロボット3に実行させることができる。

【0055】
ロボット3に促し行動を実行させるようにしたため、要介護者6である認知高齢者の摂食行動に費やしてきた介護士や介助者の労力を大幅に削減することができる。また、ロボット3が促し行動を実行することで、要介護者6から自発的に摂食行動を行うようにしたため、認知症の進行の抑制が期待できる。

【0056】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々な変形が可能である。

【0057】
例えば、ロボット3は、必須の構成ではなく、表示装置を用意し、当該表示装置に文字や画像を表示し、音声を再生して、促し行動を要介護者6の介護者に指示し、介護者に促し行動を実行させるものであってもよい。つまり、介護者は要介護者6の症状や症状の原因が理解できなくとも、症状を抑制して要介護者6に食事を進めるための促し行動を知ることができ、促し行動を実行することにより要介護者6を介護する際の負担を減ずることができる。

【0058】
また、情報処理装置1の各手段100~105及び各構成110~116の全て又は一部をロボット3内に組み込んで構成するものであってもよい。

【0059】
また、行動認識手段101は、要介護者6の姿勢や傾斜角度等から、促し行動では対応できない誤嚥や咳込み、転倒等の状態を認識してもよく、当該状態を認識した場合に、通信可能に接続された介護者や医師、看護師等の専門家に通知するように構成してもよい。また、複数の情報処理装置1をネットワーク4で接続し、複数の要介護者6の情報を集約して学習するようにしてもよい。また、情報処理装置1の各手段100~105及び各構成110~116の全て又は一部は、クラウド上に構成して、通知や情報の集約を実現してもよい。

【0060】
学習手段105の学習の結果得られた学習結果情報116から、要介護者6の行動に応じて取るべき促し行動が導き出せる場合は、当該要介護者6の行動と促し行動との組み合わせを紙面等に出力し、介護者が当該紙面を参照しつつ要介護者の介護を行う介護方法であってもよい。

【0061】
上記実施の形態では制御部10の各手段100~105の機能をプログラムで実現したが、各手段の全て又は一部をASIC等のハードウエアによって実現してもよい。また、上記実施の形態で用いたプログラムをCD‐ROM、フラッシュメモリ等の不揮発性の記録媒体に記憶して提供することもできる。また、上記実施の形態で説明した上記ステップの入れ替え、削除、追加等は本発明の要旨を変更しない範囲内で可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 :情報処理装置
2 :観測装置
3 :ロボット
4 :ネットワーク
5 :介護補助システム
6 :要介護者
7 :食物
10 :制御部
11 :記憶部
12 :通信部
100 :要介護者認識手段
101 :行動認識手段
102 :食事中断検出手段
103 :促し行動決定手段
104 :食事状況認識手段
105 :学習手段
110 :介護補助プログラム
111 :要介護者情報
112 :促し行動情報
113 :行動履歴情報
114 :促し行動履歴情報
115 :食事状況履歴情報
116 :学習結果情報
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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