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明細書 :スモールセルネットワークへの無線接続システム及び方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2020-113926 (P2020-113926A)
公開日 令和2年7月27日(2020.7.27)
発明の名称または考案の名称 スモールセルネットワークへの無線接続システム及び方法
国際特許分類 H04W  76/10        (2018.01)
H04W  12/06        (2009.01)
FI H04W 76/10
H04W 12/06
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2019-004524 (P2019-004524)
出願日 平成31年1月15日(2019.1.15)
発明者または考案者 【氏名】伊深 和雄
【氏名】松村 武
【氏名】村上 誉
【氏名】石津 健太郎
【氏名】児島 史秀
出願人 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
個別代理人の代理人 【識別番号】100120868、【弁理士】、【氏名又は名称】安彦 元
審査請求 未請求
テーマコード 5K067
Fターム 5K067AA15
5K067AA34
5K067AA41
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
要約 【課題】位置限定サービスを提供するにあたり、マクロセルによるアシストを得ることなく、サービスの開始時間を大幅に短縮する。
【解決手段】スモールセルネットワーク3内の基地局31に対して無線端末4を無線接続するスモールセルネットワークへの無線接続方法において、無線端末4が基地局31との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせた基地局プロキシー35と、基地局31が無線端末4との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせてなる無線端末プロキシー45を予め準備し、無線接続する前時点において、無線端末4により基地局プロキシー35を介して無線接続に必要な各種認証を行うと共に、基地局31により無線端末プロキシー45を介して無線接続に必要な各種認証を行い、無線接続時点において、無線端末4及び基地局31との間で、前時点においてそれぞれ行った各種認証に基づいて無線接続を行う。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
スモールセルネットワーク内の基地局に対して無線端末を無線接続するスモールセルネットワークへの無線接続システムにおいて、
上記無線端末が上記基地局との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を上記無線端末側に延長させ、
上記無線接続する前時点において、上記無線端末及び上記基地局は、上記延長させた機能を介して上記無線接続に必要な各種認証を行い、
上記無線接続時点において、上記無線端末及び上記基地局は、上記前時点においてそれぞれ行った各種認証に基づいて無線接続を行うこと
を特徴とするスモールセルネットワークへの無線接続システム。
【請求項2】
スモールセルネットワーク内の基地局に対して無線端末を無線接続するスモールセルネットワークへの無線接続システムにおいて、
上記無線端末が上記基地局との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせた基地局プロキシーと、上記基地局が上記無線端末との間で行う上記無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせてなると共に上記基地局プロキシーとの間で互いに通信可能とされた無線端末プロキシーとを備え、
上記無線接続する前時点において、上記無線端末は、上記基地局プロキシーを介して上記無線接続に必要な各種認証を行うと共に、上記基地局は、上記無線端末プロキシーを介して上記無線接続に必要な各種認証を行い、
上記無線接続時点において、上記無線端末及び上記基地局は、上記前時点においてそれぞれ行った各種認証に基づいて無線接続を行うこと
を特徴とするスモールセルネットワークへの無線接続システム。
【請求項3】
上記基地局プロキシーは、上記無線端末との間で無線通信可能な端末装置として構成され、又は上記無線端末プロキシーは、上記基地局との間で無線通信可能な端末装置として構成されていること
を特徴とする請求項2記載のスモールセルネットワークへの無線接続システム。
【請求項4】
上記基地局プロキシーは、上記無線端末に有線通信可能な端末装置として構成され、又は上記無線端末プロキシーは、上記基地局との間で有線通信可能な端末装置として構成されていること
を特徴とする請求項2記載のスモールセルネットワークへの無線接続システム。
【請求項5】
上記基地局プロキシーは、上記無線端末に内蔵され、又は上記無線端末プロキシーは、上記基地局に内蔵されてなること
を特徴とする請求項2記載のスモールセルネットワークへの無線接続システム。
【請求項6】
スモールセルネットワーク内の基地局に対して無線端末を無線接続するスモールセルネットワークへの無線接続方法において、
上記無線端末が上記基地局との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせた基地局プロキシーと、上記基地局が上記無線端末との間で行う上記無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせてなると共に上記基地局プロキシーとの間で互いに通信可能とされた無線端末プロキシーを予め準備し、
上記無線接続する前時点において、上記無線端末により上記基地局プロキシーを介して上記無線接続に必要な各種認証を行うと共に、上記基地局により上記無線端末プロキシーを介して上記無線接続に必要な各種認証を行い、
上記無線接続時点において、上記無線端末及び上記基地局との間で、上記前時点においてそれぞれ行った各種認証に基づいて無線接続を行うこと
を特徴とするスモールセルネットワークへの無線接続方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スモールセルネットワーク内の基地局に対して無線端末を無線接続するスモールセルネットワークへの無線接続システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2020年代の情報社会における通信トラフィック量の増大に対応するために第5世代移動通信システムの研究開発が進展している。この第5世代移動通信システムでは、ネットワークシステムの大容量化をコストを抑えつつ低消費電力で実現すると共に、高速で低遅延なスモールセルの有効活用が検討されている。このスモールセルとは、狭いエリアのみをカバーする小型の基地局であり、通信エリアを形成する大出力のマクロセルを補完し、建物等の影響でマクロセルの電波が届きにくい場所における無線通信をカバーする。このスモールセルは、マクロセルと比較してカバー範囲は狭くなるが、その分において収容するユーザ数も少なくなり、快適な通信が実現でき、しかも小型のため設置コストが抑えられる利点もある。
【0003】
このようなスモールセルの特性をうまく利用し、特に小規模な自営網事業者により狭いカバー範囲でのみ提供可能な「位置限定サービス」も期待されている。この「位置限定サービス」では、サービスエリアを限定することにより、設備投資を最小限に抑え、安価で質の高いサービスを提供することができる。
【0004】
しかしながら、このようなスモールセルを利用した「位置限定サービス」を提供する場合、そのサービスエリアの狭さから、無線端末を携帯して移動するユーザに対してサービス提供時間を十分に確保することができない。即ち、「位置限定サービス」を提供する前にユーザがサービスエリアを通過してしまう虞が出てくる。特にマクロセルによるアシストの無いスモールセルに対する無線接続では、接続初期に未知の運用周波数の探索や認証・鍵合意手続等が必要になり、「位置限定サービス」を開始するまでに大きな遅延が発生してしまうのもその原因の一つである。
【0005】
このため、スモールセルによるこのような「位置限定サービス」をユーザに提供する場合には、サービスエリアの広いマクロセルによるアシストを受ける必要が出てくる。しかし、この「位置限定サービス」をユーザに提供するためにマクロセルによるアシストを受けることになれば、そのマクロセルの活用に伴うコストが大きくなることから、スモールセルの特質ともいえる安価なサービスの提供の妨げにもなる。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】3GPP(http://www.3gpp.org/)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1には同一ネットワーク内を移動する際に接続を連続的に維持するための手続きは規定されている。しかしながら、新たに訪れる独立したネットワークに対するセル選択や位置登録等による遅延を回避するための手続きは規定されていない。このため、非特許文献1の開示技術のみからでは、上述した独立したスモールセルによる「位置限定サービス」を、無線端末を携帯して移動するユーザに対して提供することが困難である。
【0008】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、無線端末を携帯して移動するユーザに対してスモールセルを介して「位置限定サービス」を提供するにあたり、マクロセルによるアシストを得ることなく、サービスの開始時間を大幅に短縮することが可能なスモールセルネットワークへの無線接続システム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係るスモールセルネットワークへの無線接続システムは、スモールセルネットワーク内の基地局に対して無線端末を無線接続するスモールセルネットワークへの無線接続システムにおいて、上記無線端末が上記基地局との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を上記無線端末側に延長させ、上記無線接続する前時点において、上記無線端末及び上記基地局は、上記延長させた機能を介して上記無線接続に必要な各種認証を行い、上記無線接続時点において、上記無線端末及び上記基地局は、上記前時点においてそれぞれ行った各種認証に基づいて無線接続を行うことを特徴とする。
【0010】
第2発明に係るスモールセルネットワークへの無線接続システムは、スモールセルネットワーク内の基地局に対して無線端末を無線接続するスモールセルネットワークへの無線接続システムにおいて、上記無線端末が上記基地局との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせた基地局プロキシーと、上記基地局が上記無線端末との間で行う上記無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせてなると共に上記基地局プロキシーとの間で互いに通信可能とされた無線端末プロキシーとを備え、上記無線接続する前時点において、上記無線端末は、上記基地局プロキシーを介して上記無線接続に必要な各種認証を行うと共に、上記基地局は、上記無線端末プロキシーを介して上記無線接続に必要な各種認証を行い、上記無線接続時点において、上記無線端末及び上記基地局は、上記前時点においてそれぞれ行った各種認証に基づいて無線接続を行うことを特徴とする。
【0011】
第3発明に係るスモールセルネットワークへの無線接続システムは、第2発明において、上記基地局プロキシーは、上記無線端末との間で無線通信可能な端末装置として構成され、又は上記無線端末プロキシーは、上記基地局との間で無線通信可能な端末装置として構成されていることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係るスモールセルネットワークへの無線接続システムは、第2発明において、上記基地局プロキシーは、上記無線端末に有線通信可能な端末装置として構成され、又は上記無線端末プロキシーは、上記基地局との間で有線通信可能な端末装置として構成されていることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係るスモールセルネットワークへの無線接続システムは、第2発明において、 上記基地局プロキシーは、上記無線端末に内蔵され、又は上記無線端末プロキシーは、上記基地局に内蔵されてなることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係るスモールセルネットワークへの無線接続方法は、スモールセルネットワーク内の基地局に対して無線端末を無線接続するスモールセルネットワークへの無線接続方法において、上記無線端末が上記基地局との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせた基地局プロキシーと、上記基地局が上記無線端末との間で行う上記無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせてなると共に上記基地局プロキシーとの間で互いに通信可能とされた無線端末プロキシーを予め準備し、上記無線接続する前時点において、上記無線端末により上記基地局プロキシーを介して上記無線接続に必要な各種認証を行うと共に、上記基地局により上記無線端末プロキシーを介して上記無線接続に必要な各種認証を行い、上記無線接続時点において、上記無線端末及び上記基地局との間で、上記前時点においてそれぞれ行った各種認証に基づいて無線接続を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
上述した構成からなる本発明によれば、スモールセルネットワークを利用した「位置限定サービス」を開始するまでに大きな遅延が発生することを防止でき、当該「位置限定サービス」を提供する前にユーザが通信エリアを通過してしまう虞を解消することができる。また無線接続時点における無線接続においてマクロセルによるアシストを受ける必要もなくなることから、スモールセルの特質ともいえる安価なサービスの提供も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した無線接続システムの全体構成を示す図である。
【図2】スモールセルネットワークの通信エリア内に無線端末を携帯するユーザが入る場合について説明するための図である。
【図3】スモールセルネットワークの通信エリア内に無線端末を携帯するユーザが入る場合の他の例を示す図である。
【図4】無線接続システムにおける通信接続プロセスのフローチャートである。
【図5】各プロキシーに対して有線接続する例を示す図である。
【図6】各プロキシーを基地局や無線端末内に内蔵する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用したスモールセルネットワークへの無線接続システムについて図面を参照しながら詳細に説明をする。

【0018】
本発明を適用した無線接続システム1は、例えば図1に示すようなスモールセルネットワーク3が複数に亘り配設されている。

【0019】
スモールセルネットワーク3は、小型の基地局31を介してカバーされる狭い通信エリアからなる無線通信網である。スモールセルネットワーク3は、大出力のマクロセル2を補完し、建物等の影響でマクロセルの電波が届きにくい場所における無線通信をカバーするものである。

【0020】
マクロセル2は、基地局21を介して個々のスモールセルネットワーク3を含めた広域の通信エリアをカバーするものであるが、無線接続システム1において必須ではなく、省略されるものであってもよい。

【0021】
無線端末4は、基地局21や、基地局31との間で無線通信することが可能な端末で構成され、なおかつユーザが携帯可能な形態で構成されている。無線端末4の例としては、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末、パーソナルコンピュータ(PC)等、あらゆるモバイル端末を含む概念である。

【0022】
このようなスモールセルネットワーク3の集合体として構成される無線接続システム1において、無線端末4を携帯するユーザが通行することが前提となる。個々のスモールセルネットワーク3は、それぞれがカバーする通信エリアにユーザが入ってきた場合において、「位置限定サービス」をその無線端末4を介してユーザに提供することを試みる。この「位置限定サービス」は、サービスエリアを自らのスモールセルネットワーク3の通信エリア内に限定することにより、設備投資を最小限に抑え、安価で質の高いサービスを提供することを意図したものであり、例えば小規模な自営網事業者等により提供される。

【0023】
個々のスモールセルネットワーク3は、独自の「位置限定サービス」を予め準備しており、自らがカバーする通信エリアに無線端末4を携帯するユーザが入ってきた段階から基地局31を介して無線端末4に「位置限定サービス」のコンテンツを配信する。スモールセルネットワーク3は、この「位置限定サービス」を、自らがカバーする通信エリアにその無線端末4が位置する限り配信し続ける。そして、ユーザがこのスモールセルネットワーク3から離れると、この無線端末4が通信エリアから逸脱するため「位置限定サービス」の提供が不可能となる。このように、「位置限定サービス」は、そのスモールセルネットワーク3内にユーザが携帯する無線端末4が存在する限り提供が行われることとなる。

【0024】
ユーザは異なる他のスモールセルネットワーク3に入った場合には、当該他のスモールセルネットワーク3が予め準備している別の「位置限定サービス」がその基地局31から無線端末4へ提供されることとなる。

【0025】
以下、一つのスモールセルネットワーク3に着目し、当該スモールセルネットワーク3の通信エリア内にこれから入ろうとするユーザが携帯する無線端末4に「位置限定サービス」を提供する例について説明する。

【0026】
図2は、スモールセルネットワーク3の通信エリア内に無線端末4を携帯するユーザが入る場合の例を示している。スモールセルネットワーク3の通信エリアから外れた領域に無線端末4が位置する場合を前時点t0とし、スモールセルネットワーク3の通信エリアに入った時点を無線接続時点t1とする。この前時点t0において、無線接続システム1は、無線端末4が基地局31との間で無線通信を開始する上で本来行うべき無線接続に必要な各種認証を行う。この各種認証は、無線接続を試みる基地局31とは異なる他のスモールセルネットワーク3の基地局31´又はマクロセル2の基地局21を介して行う。この基地局21(31´)は、無線接続を試みる基地局31との間でインターネット5を介して互いに通信可能な状態とされている。このインターネット5を介した伝送路は、無線アクセスネットワークプロトコルのレイヤ3(S1APプロトコル)以上が含まれていればよい。

【0027】
基地局31は、インターネット5を介して基地局21(31´)に対して、無線端末4との間での無線接続に必要な各種認証を行う情報を送信する。その結果、この基地局21(31´)は、無線端末4との間での無線接続に必要な各種認証を行う上で必要な機能を仮想的に担うこととなる。換言すれば、無線端末4が基地局31との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を無線端末4側の基地局21(31´)に延長させた状態となる。

【0028】
前時点t0において無線端末4は、この基地局21(31´)との間で無線接続に必要な各種認証を行う。この各種認証の例としては、無線通信をする周波数の選択、スモールセルネットワークの選択、上位ネットワークにおける認証手続等である。また、この各種認証においては、必要な位置登録等の処理動作を実施するようにしてもよい。このような各種認証を基地局21(31´)と無線端末4との間で実行することにより、当該無線端末4内においては、その各種認証がこの前時点t0において既に設定された状態となる。また基地局21(31´)は、無線端末4との間で行った各種認証に関する情報がインターネット5を介して、実際に無線接続を試みる基地局31へ送られる。その結果、この無線接続を試みる基地局31は、認証に関する情報を事前に共有することができ、必要に応じてその認証に関する設定変更を基地局31側において事前に行うことができる。つまり、無線端末4は、基地局21(31´)との間で疑似的なインターフェースUu’が形成された状態となっている。即ち、前時点t0において、この疑似的なインターフェースUu’を通じて無線端末4と基地局31とは、無線接続に必要な各種認証を事前に完了している状態となる。

【0029】
その後、無線接続時点t1において、無線端末4がスモールセルネットワーク3の通信エリアに入った時点で、無線端末4と基地局31とは、既に実行している疑似的なインターフェースUu’に基づく各種認証に沿って無線接続を試み、無線通信リンクを両者間で確立する。この無線接続時点t1においては、上述した各種認証を行う必要が無く、既に行った各種認証を利用するだけで無線伝送路Uuの確立のみを行う。

【0030】
このように、本発明を適用した無線接続システム1は、無線端末4が基地局31との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を無線端末4側の基地局21(31´)に延長させ、各種認証を事前に行うことで、無線接続時点t1においては残りの無線通信リンクの確立のみを行えばよい。このため、無線端末4がスモールセルネットワーク3の通信エリアに入った無線接続時点t1から非常に短時間で無線端末4と基地局31との間で無線通信を開始することが可能となる。従って、スモールセルネットワーク3を利用した「位置限定サービス」を開始するまでに大きな遅延が発生することを防止でき、当該「位置限定サービス」を提供する前にユーザが通信エリアを通過してしまう虞を解消することができる。無線接続時点t1における無線接続においてマクロセル2によるアシストを受ける必要もなくなることから、スモールセルの特質ともいえる安価なサービスの提供も実現できる。

【0031】
なお、この図2の実施形態において、各種認証を行う機能を無線端末4側に仮想的に延長する上で、上述した基地局21(31´)に限定されるものではなく、ルーターや他の通信機器、無線端末等、他のいかなる機器やデバイスに代替されるものであってもよい。

【0032】
図3は、スモールセルネットワーク3の通信エリア内に無線端末4を携帯するユーザが入る場合の他の例を示している。この例では、基地局プロキシー35と、無線端末プロキシー45が新たに構成要素として加わる。

【0033】
基地局プロキシー35は、無線端末4が基地局31との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせた媒体である。この基地局プロキシー35は、例えばルーターや他の通信機器、無線端末、PC等で構成されている。基地局プロキシー35は、この前時点t0において無線端末4との間で無線通信することが可能な位置にあることが前提となる。

【0034】
無線端末プロキシー45は、基地局31が無線端末4との間で行う無線接続に必要な各種認証を行う機能を仮想的に担わせた媒体である。この無線端末プロキシー45は、例えばルーターや他の通信機器、無線端末、PC等で構成されている。無線端末プロキシー45は、基地局31との間で無線通信することが可能な位置にあることが前提となる。

【0035】
これら基地局プロキシー35と無線端末プロキシー45は、互いにインターネット5を介して通信リンクが確立されており、互いに通信可能とされている。このインターネット5を介した伝送路は、無線アクセスプロトコルのレイヤ3(RRCプロトコル)以上が含まれていればよい。

【0036】
前時点t0において、無線接続システム1は、無線端末4が基地局31との間で無線通信を開始する上で本来行うべき無線接続に必要な各種認証を行う。無線端末4は、無線接続を試みる基地局31の代理となる基地局プロキシー35を介してこの各種認証を行う。基地局31は、無線接続を試みる無線端末4の代理となる無線端末プロキシー45を介してこの各種認証を行う。この各種認証の例は上述と同様であり、無線通信をする周波数の選択、スモールセルネットワークの選択、上位ネットワークにおける認証手続等である。

【0037】
このような各種認証を無線端末4は基地局プロキシー35を介して行うことにより、当該無線端末4内においては、その各種認証がこの前時点t0において既に設定された状態となり、両者間において疑似的なインターフェースUu’が形成された状態となる。同様にこのような各種認証を基地局31は無線端末プロキシー45を介してこの各種認証を行うことにより、当該基地局31内においては、その各種認証がこの前時点t0において既に設定された状態となり、両者間において疑似的なインターフェースUu’が形成された状態となる。基地局プロキシー35と無線端末プロキシー45は、互いにインターネット5を介して通信可能な状態となっているため、それぞれに対して実行した各種認証に関する情報を共有することができ、各種認証の過程で無線端末4と基地局31との間における認証プロセスを互いに中継することも可能となる。また、何れかで既に行われた各種認証を共有し、これを他方の各種認証に反映させることも可能となる。その結果、基地局プロキシー35を介した無線端末4の各種認証、及び無線端末プロキシー45を介した基地局31の各種認証をこの前時点t0において互いに共通化することができる。

【0038】
その後、無線接続時点t1において、無線端末4がスモールセルネットワーク3の通信エリアに入った時点で、無線端末4と基地局31とは、既に実行している各種認証に基づいて無線接続を試み、無線通信リンクを両者間で確立する。この無線接続時点t1においては、上述した各種認証を行う必要が無く、既に行った各種認証を利用するだけで残りの無線伝送路Uuの確立のみを行う。

【0039】
図4は、図3に示す無線接続システム1における通信接続プロセスのフローチャートである。このフローチャートはあくまで一例であり、例示された順序やプロセスに限定されないことは言うまでも無い。前時点t0においてステップS11~S14を実行し、無線接続時点t1においてステップS15を実行する。

【0040】
ステップS11において、無線端末4は、基地局31との間で無線通信を行うための周波数の選択を行う。次にステップS12に移行し、実際に無線通信を行うスモールセルネットワーク3の選択を行う。

【0041】
次にステップS13へ移行し、これらステップS11、S12において選択した周波数やスモールセルネットワーク3に関する情報の共有を行う。この共有の過程では、基地局プロキシー35、無線端末プロキシー45を介して中継し、無線端末4側と基地局31側との間で通知と返答を繰り返しながら行うようにしてもよい。

【0042】
次にステップS14に移行し、必要な認証の手続を行う。この認証の手続きは、基地局プロキシー35、無線端末プロキシー45を介して中継し、無線端末4側と基地局31側との間で通知と返答を繰り返しながら行うようにしてもよい。また、基地局プロキシー35、無線端末プロキシー45それぞれにおいて認証を行う機能そのものが実装されていれば、無線端末4、基地局31はこれらを介して先ず認証手続きを進め、その後この基地局プロキシー35、無線端末プロキシー45間の通信に基づいて調整するようにしてもよい。

【0043】
次に無線接続時点t1に到達した後、ステップS15における通信接続を実行する。この通信接続は、無線端末4、基地局31との間で上述した無線伝送路の確立を行うことになるが、既にステップS11~S14において、各種認証が終わっているため、これをそのまま活用することで通信接続を短時間で終了させることができる。

【0044】
図5は、本発明を適用した無線接続システム1の他の実施形態を示している。この図5に示す実施形態において図3の実施形態と同一の構成要素・部材に関しては、同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。

【0045】
この図5に示す実施形態では、基地局プロキシー35と、無線端末プロキシー45が新たに構成要素として加わる点は、図3の実施形態と同様である。また基地局プロキシー35と、無線端末プロキシー45がそれぞれ担う機能も上述と同様である。但し、基地局プロキシー35は、前時点t0において無線端末4との間で有線通信することを前提としている。この基地局プロキシー35は、無線端末4と有線通信が可能なデバイスで構成されており、例えばUSBメモリのような装着自在な構成とされていてもよいし、有線ケーブルを介して無線端末4に接続可能な通信端末により構成されていてもよい。同様に、無線端末プロキシー45は、前時点t0において基地局31との間で有線通信することを前提としている。この無線端末プロキシー45は、基地局31と有線通信が可能なデバイスで構成されており、例えばUSBメモリのような装着自在な構成とされていてもよいし、有線ケーブルを介して基地局31に接続可能な通信端末により構成されていてもよい。

【0046】
これら基地局プロキシー35と無線端末プロキシー45は、互いにインターネット5を介して通信リンクが確立されており、互いに通信可能とされている。

【0047】
前時点t0において、無線接続システム1は、無線端末4が基地局31との間で無線通信を開始する上で本来行うべき無線接続に必要な各種認証を、基地局プロキシー35、無線端末プロキシー45を介して行う。つまり、無線端末4と基地局プロキシー35との間で有線による疑似的なインターフェースUu”を形成し、同様に基地局31と無線端末プロキシー45との間で有線による疑似的なインターフェースUu”を形成する。その後、無線接続時点t1において、無線端末4がスモールセルネットワーク3の通信エリアに入った時点で、無線端末4と基地局31とは、既に実行している各種認証に基づいて無線接続を試み、無線通信リンクを両者間で確立する。この無線接続時点t1においては、上述した各種認証を行う必要が無く、既に疑似的なインターフェースUu”にて行った各種認証を利用するだけで残りの無線伝送路Uuの確立のみを行う。

【0048】
図6は、本発明を適用した無線接続システム1の他の実施形態を示している。この図6に示す実施形態において図3の実施形態と同一の構成要素・部材に関しては、同一の符号を付すことにより、以下での説明を省略する。

【0049】
この図6に示す実施形態では、基地局プロキシー35と、無線端末プロキシー45が新たに構成要素として加わる点は、図3の実施形態と同様である。また基地局プロキシー35と、無線端末プロキシー45がそれぞれ担う機能も上述と同様である。但し、基地局プロキシー35は、無線端末4内に内蔵されていることが前提となる。同様に、無線端末プロキシー45は、基地局31内に内蔵されていることが前提となる。

【0050】
前時点t0において、無線接続システム1は、無線端末4が基地局31との間で無線通信を開始する上で本来行うべき無線接続に必要な各種認証を、これら内蔵された基地局プロキシー35、無線端末プロキシー45を介して行う。つまり、無線端末4と基地局プロキシー35との間で内蔵化された疑似的なインターフェースUu'''を形成し、同様に基地局31と無線端末プロキシー45との間で内蔵化された疑似的なインターフェースUu'''を形成する。その後、無線接続時点t1において、無線端末4がスモールセルネットワーク3の通信エリアに入った時点で、無線端末4と基地局31とは、既に実行している各種認証に基づいて無線接続を試み、無線通信リンクを両者間で確立する。この無線接続時点t1においては、上述した各種認証を行う必要が無く、既に疑似的なインターフェースUu'''にて行った各種認証を利用するだけで残りの無線伝送路Uuの確立のみを行う。

【0051】
このような図5、6に示す形態においても同様に、スモールセルネットワーク3を利用した「位置限定サービス」を開始するまでに大きな遅延が発生することを防止でき、当該「位置限定サービス」を提供する前にユーザが通信エリアを通過してしまう虞を解消することができる。また無線接続時点t1における無線接続においてマクロセル2によるアシストを受ける必要もなくなることから、スモールセルの特質ともいえる安価なサービスの提供も実現できる。

【0052】
なお、無線端末4と基地局プロキシー35との間で形成される疑似的なインターフェースUu’、Uu”、Uu'''、並びに基地局31と無線端末プロキシー45との間で形成される疑似的なインターフェースUu’、Uu”、Uu'''は、両者間において同種のものを採用する場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、無線端末4と基地局プロキシー35との間では疑似的なインターフェースUu”を利用し、他方の基地局31と無線端末プロキシー45では疑似的なインターフェースUu'''を利用する等、両者間で互いに異なる疑似的なインターフェースUu’、Uu”、Uu'''を採用するようにしてもよい。

【0053】
また、上述した実施の形態においては、基地局31の位置が固定されており、これに対して無線端末4を携帯するユーザが接近して通信エリアに入る場合を例にとり説明をしたが、これに限定されるものではない。無線端末4を携帯するユーザが静止しているか又は移動していることを前提とし、基地局31自身が移動可能に構成されるものであってもよい。その結果、基地局31を中心としたスモールセルネットワーク3も移動することになる。かかる場合も同様に前時点t0において疑似的なインターフェースUu’を確立して各種認証を行うことで上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0054】
1 無線接続システム
2 マクロセル
3 スモールセルネットワーク
4 無線端末
5 インターネット
21、31 基地局
35 基地局プロキシー
45 無線端末プロキシー
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5