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明細書 :立体ディスプレイ

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6060417号 (P6060417)
公開番号 特開2016-014742 (P2016-014742A)
登録日 平成28年12月22日(2016.12.22)
発行日 平成29年1月18日(2017.1.18)
公開日 平成28年1月28日(2016.1.28)
発明の名称または考案の名称 立体ディスプレイ
国際特許分類 G02B  27/22        (2006.01)
H04N  13/04        (2006.01)
G03B  35/24        (2006.01)
FI G02B 27/22
H04N 13/04
G03B 35/24
請求項の数または発明の数 7
全頁数 20
出願番号 特願2014-136200 (P2014-136200)
出願日 平成26年7月1日(2014.7.1)
審査請求日 平成28年7月11日(2016.7.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
発明者または考案者 【氏名】吉田 俊介
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100098305、【弁理士】、【氏名又は名称】福島 祥人
審査官 【審査官】林 祥恵
参考文献・文献 特開2011-048273(JP,A)
国際公開第2013/054634(WO,A1)
特開2012-013788(JP,A)
S. Yoshida, et al.,"Light-field generation by several screen types for glasses-free tabletop 3D display",3DTV-Conference 2011,2011年 5月16日,p.1-4
S. Yoshida,"Real-time rendaring of multi-perspective images for a glasses-free tabletop 3D display",3DTV-Conference 2013,2013年10月 7日,p.1-4
調査した分野 G02B 27/22
G02B 27/26
G03B 35/16
G03B 35/24
H04N 13/04
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
立体形状データに基づいて立体画像を提示するための立体ディスプレイであって、
複数の光線からなる光線群を出射する光線発生器と、
互いに積層された光透過拡散層と光反射層とを含む光線制御子と、
前記光透過拡散層と前記光反射層とが一体的に回転するように前記光線制御子を回転中心軸の周りで回転させる回転機構と、
前記光線発生器を制御する制御部とを備え、
前記光線制御子は、前記光透過拡散層が前記回転中心軸と前記光反射層との間に位置するように配置され、
前記光線発生器は、前記回転機構により回転される前記光線制御子の前記光透過拡散層に向けて光線群を出射するように設けられ、
前記光透過拡散層は、入射する光線群を垂直方向において拡散させて透過させるように形成され、
前記光反射層は、前記光透過拡散層を透過した光線群を反射するように形成され、
前記制御部は、前記立体形状データに基づいて、前記光反射層により反射されて前記光透過拡散層を透過した光線群により立体画像が提示されるように前記光線発生器を制御する立体ディスプレイ。
【請求項2】
前記回転機構は、前記光線制御子とともに前記光線発生器を前記回転中心軸の周りで回転させる、請求項1記載の立体ディスプレイ。
【請求項3】
前記光線制御子は複数設けられ、
前記光線発生器は、前記複数の光線制御子にそれぞれ対応して複数設けられ、
前記複数の光線発生器は、それぞれ対応する光線制御子に向けて光線群を出射するように設けられる、請求項2記載の立体ディスプレイ。
【請求項4】
前記複数の光線制御子および前記複数の光線発生器は、前記回転中心軸を中心に等角度間隔で配置される、請求項3記載の立体ディスプレイ。
【請求項5】
前記光線発生器は、前記回転中心軸の方向に光線群を出射するように配置され、
前記光線発生器により出射された光線群を前記光線制御子に向けて反射するミラーがさらに設けられ、
前記回転機構は、前記ミラーを前記光線制御子とともに前記回転中心軸の周りで回転させる、請求項1記載の立体ディスプレイ。
【請求項6】
観察者の眼の位置を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部により検出された眼の位置に基づいて、前記光線発生器を制御する、請求項1~5のいずれか一項に記載の立体ディスプレイ。
【請求項7】
前記制御部は、前記光線発生器により前記光線制御子に出射される光線の色を前記光線制御子の回転位置ごとに制御する、請求項1~6のいずれか一項に記載の立体ディスプレイ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、立体画像を提示する立体ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
立体画像を提示する種々の立体ディスプレイが開発されている(例えば特許文献1参照)。立体ディスプレイでは、一般に、スクリーンの前方または上方等の空間に立体画像が提示される。
【0003】
特許文献1に記載された立体ディスプレイは、錐体形状の光線制御子を有する。光線制御子は、その錐体形状の底部が基準面上に開口するように配置される。基準面の下方に複数の走査型プロジェクタが固定された回転台が設けられる。各走査型プロジェクタは、回転軸を中心に回転台上で回転しつつ、光線制御子の外側から複数の光線からなる光線群を光線制御子の外周面に照射する。光線制御子は、各走査型プロジェクタにより照射された各光線を周方向において拡散させずに透過させる。それにより、錐体形状の光線制御子の上方および内部に立体画像が表示される。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2011-48273号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような立体ディスプレイにおいては、観察者が光線制御子の周囲の位置から光線制御子の上方および内部を見た場合に立体画像が表示されるように、各走査型プロジェクタが出射すべき光線群が制御部により算出される。この算出は、観察者の視点の位置、各走査型プロジェクタの位置および光線制御子の位置等の多数のパラメータを用いて行われる。このようなパラメータの数が多いほど、立体画像を正確に表示するための演算が複雑になる。そのため、より容易に正確な立体画像を表示可能な立体ディスプレイが望まれる。
【0006】
本発明の目的は、正確な立体画像を容易に表示可能な立体ディスプレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る立体ディスプレイは、立体形状データに基づいて立体画像を提示するための立体ディスプレイであって、複数の光線からなる光線群を出射する光線発生器と、互いに積層された光透過拡散層と光反射層とを含む光線制御子と、光透過拡散層と光反射層とが一体的に回転するように光線制御子を回転中心軸の周りで回転させる回転機構と、光線発生器を制御する制御部とを備え、光線制御子は、光透過拡散層が回転中心軸と光反射層との間に位置するように配置され、光線発生器は、回転機構により回転される光線制御子の光透過拡散層に向けて光線群を出射するように設けられ、光透過拡散層は、入射する光線群を垂直方向において拡散させて透過させるように形成され、光反射層は、光透過拡散層を透過した光線群を反射するように形成され、制御部は、立体形状データに基づいて、光反射層により反射されて光透過拡散層を透過した光線群により立体画像が提示されるように光線発生器を制御する。
【0008】
この立体ディスプレイにおいては、光透過拡散層が回転中心軸と光反射層との間に位置するように光線制御子が配置される。光透過拡散層と光反射層とが一体的に回転するように光線制御子が回転機構により回転中心軸の周りで回転される。光線発生器が回転機構により回転される光線制御子の光透過拡散層に向けて複数の光線からなる光線群を出射する。
【0009】
この場合、光透過拡散層は、光線発生器により出射された光線群を透過させるとともに垂直方向において拡散させて透過させる。光反射層は、光透過拡散層を透過した光線群を反射する。光透過拡散層は、光反射層により反射された光線群を垂直方向においてさらに拡散させて透過させる。
【0010】
光反射層により反射されて光透過拡散層を透過した光線群により立体画像が提示されるように、立体形状データに基づいて制御部により光線発生器が制御される。これにより、光反射層により反射されて光透過拡散層を透過した光線群を観察した観察者は、立体画像を視認することができる。
【0011】
ここで、光線制御子の光透過拡散層と光反射層とが互いに積層されるので、光透過拡散層と光反射層との間に光の経路が存在しない。そのため、光線発生器が出射すべき光線群の算出において、光透過拡散層と光反射層との位置関係を変動パラメータから除外することができる。それにより、光線群の算出処理が単純化される。また、光透過拡散層と光反射層とを積層することにより、光線制御子を容易に製造することができる。さらに、光透過拡散層と光反射層との位置関係の調整が不要となる。これらの結果、正確な立体画像をより容易に表示することができる。
【0012】
(2)回転機構は、光線制御子とともに光線発生器を回転中心軸の周りで回転させてもよい。
【0013】
この場合、光線発生器は、簡単な構成で回転する光線制御子の光透過拡散層に向けて光線群を出射することができる。
【0014】
(3)光線制御子は複数設けられ、光線発生器は、複数の光線制御子にそれぞれ対応して複数設けられ、複数の光線発生器は、それぞれ対応する光線制御子に向けて光線群を出射するように設けられてもよい。
【0015】
この場合、回転機構による光線発生器の回転速度が比較的低い場合でも、フリッカー(発光点のちらつき)が小さくかつ時間解像度が高い立体画像を提示することが可能となる。
【0016】
(4)複数の光線制御子および複数の光線発生器は、回転中心軸を中心に等角度間隔で配置されてもよい。
【0017】
この場合、回転機構による複数の光線制御子および複数の光線発生器の回転をより安定化することができる。また、制御部による光線発生器の制御をより容易にすることができる。
【0018】
(5)光線発生器は、回転中心軸の方向に光線群を出射するように配置され、光線発生器により出射された光線群を光線制御子に向けて反射するミラーがさらに設けられ、回転機構は、ミラーを光線制御子とともに回転中心軸の周りで回転させてもよい。
【0019】
この場合、回転するミラーを介して回転する光線制御子の光透過拡散層に光線群を出射する。これにより、光線発生器は、簡単な構成で回転する光線制御子の光透過拡散層に向けて光線群を出射することができる。
【0020】
(6)立体ディスプレイは、観察者の眼の位置を検出する検出部をさらに備え、制御部は、検出部により検出された眼の位置に基づいて、光線発生器を制御してもよい。
【0021】
観察者の眼の位置が異なると、観察者が視認する立体画像が変形する。このような場合でも、検出部により検出された眼の位置に基づいて光線発生器が制御されることにより、観察者の眼の位置による立体画像の変形を防止することが可能になる。
【0022】
(7)制御部は、光線発生器により光線制御子に出射される光線の色を光線制御子の回転位置ごとに制御してもよい。
【0023】
この場合、光線制御子の回転位置ごとに制御される複数の光線の交点にそれぞれ色を有する複数の点光源が生成される。それにより、フリッカーが小さくかつ時間解像度が高いカラーの立体画像を提示することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、正確な立体画像を容易に表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施の形態に係る立体ディスプレイの模式的断面図である。
【図2】図1の立体ディスプレイの模式的平面図である。
【図3】図1の立体ディスプレイにおける光線制御子の構成および機能を説明するための図である。
【図4】光線発生器の動作を説明するための模式的平面図である。
【図5】図4の光線制御子の近傍の拡大平面図である。
【図6】立体画像の提示方法を説明するための模式的平面図である。
【図7】立体画像の提示方法を説明するための模式的断面図である。
【図8】本実施の形態に係る立体ディスプレイにおける両眼視差の発生原理を説明するための模式的平面図である。
【図9】観察者の眼が円環状視域から外れた位置にある場合の光線群の補正を説明するための図である。
【図10】第1の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。
【図11】第2の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。
【図12】第3の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。
【図13】第4の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。
【図14】第5の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施の形態に係る立体ディスプレイについて図面を参照しながら説明する。

【0027】
(1)立体ディスプレイの構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る立体ディスプレイの模式的断面図である。図2は、図1の立体ディスプレイの模式的平面図である。

【0028】
図1に示すように、立体ディスプレイは1または複数の光線発生器2、制御装置3、記憶装置4、回転モジュール6、1または複数の光線制御子7および複数のカメラ8により構成される。制御装置3は、例えばパーソナルコンピュータからなる。記憶装置4は、例えばハードディスク、メモリカード等からなる。記憶装置4には、立体画像300を提示するための立体形状データが記憶される。

【0029】
図1および図2の立体ディスプレイを構成する構成物は、テーブル5の下方に設けられる。テーブル5は、円形の天板51および複数の脚52からなる。天板51は中心に円形の孔部51hを有する。孔部51hの形状は円形に限らず、三角形もしくは四角形等の多角形、楕円またはその他の形状であってもよい。また、テーブル5の孔部51hに透明の板が嵌め込まれてもよい。テーブル5の周囲にいる観察者10は、テーブル5の天板51の斜め上方から天板51の中心近傍を観察することができる。

【0030】
テーブル5の下方には、回転モジュール6が設けられる。回転モジュール6は、モータ61、回転軸62、回転台63、信号伝送装置64および回転量計測器65により構成される。回転軸62は、鉛直方向に延び、天板51の中心軸Zと共通の直線上に位置するようにモータ61に取り付けられる。

【0031】
回転軸62には、回転台63が水平姿勢で取り付けられる。回転軸62と回転台63との間には信号伝送装置64が設けられる。信号伝送装置64は、静止体と回転体との間で電力または信号を伝送するための装置である。信号伝送装置64としては、例えばスリップリングまたは光ロータリジョイント等を用いることができる。

【0032】
また、回転軸62には、回転量計測器65が設けられる。回転量計測器65は、回転軸62の回転位置を検出するために用いられる。回転量計測器65としては、例えばロータリエンコーダ等を用いることができる。モータ61は、制御装置3により制御される。モータ61がステッピングモータ等の回転量を厳密に制御可能な機構である場合には、回転量計測器65は必ずしも必要ではない。

【0033】
回転台63上には、1または複数の光線発生器2が固定されるとともに、1または複数の光線制御子7が固定される。本実施の形態では、複数の光線発生器2および複数の光線制御子7が回転台63上に固定される。複数の光線発生器2と複数の光線制御子7とはそれぞれ対応する。これにより、光線発生器2の回転速度が比較的低い場合でも、フリッカー(発光点のちらつき)が小さくかつ時間解像度が高い立体画像300を提示することが可能となる。

【0034】
各光線発生器2は、例えば走査型プロジェクタである。各光線発生器2は、光線を出射するとともにその光線を水平面内および垂直面内で偏向させることができる。それにより、各光線発生器2は、光線で光線制御子7の後述する光透過拡散層72の入出射面を走査することができる。ここで、光線とは、拡散しない直線で表される光をいう。複数の光線発生器2は、回転台63上で回転軸62の近傍に中心軸Zを中心とする円周上に等角度間隔で配置される。複数の光線発生器2は、外方かつ斜め上方に複数の光線からなる光線群を出射するように設けられる。

【0035】
光線発生器2は、空間光変調器および複数のレンズからなるレンズアレイ等の投影系を備えた一般的なプロジェクタであってもよい。ここで、投影系のアパーチャ(開口)が十分に小さい場合には、走査型プロジェクタと同様に光線群を形成することができる。空間光変調器は、例えばDMD(Digital Micromirror Device)、LCD(Liquid Crystal Display)またはLCOS(Liquid Crystal on Silicon)である。

【0036】
図3(a)~(e)は、図1の立体ディスプレイにおける光線制御子7の構成および機能を説明するための図である。図3(a)に示すように、各光線制御子7は、光反射層71と光透過拡散層72とが積層された構成を有する。本例では、光反射層71は平面状の反射面を有するミラーである。光反射層71は、シート状部材または板状部材であってもよく、あるいは光透過拡散層72の一面に塗料を塗布することにより形成された反射膜であってもよい。光透過拡散層72は、レンチキュラシートであってもよいし、ホログラフィックスクリーンであってもよい。光透過拡散層72は、透光性を有する平坦なシート状部材の表面上に、微小な光拡散材料を含む樹脂層が形成された構成を有してもよい。この場合、微小な光拡散材料は、例えば楕円形状または繊維形状を有する。

【0037】
光透過拡散層72は、互いに直交する第1の方向Xおよび第2の方向Yにおいて異なる構成を有するように形成されている。ここで、第1の方向Xに沿って光透過拡散層72に交差する面を第1の面FXと呼び、第2の方向Yに沿って光透過拡散層72に交差する面を第2の面FYと呼ぶ。光透過拡散層72に入射した光線は、図3(b)に示すように、第1の面FX内で第1の方向Xにおいて大きく拡散して透過し、図3(c)に示すように、第2の面FY内でわずかに拡散しつつほぼ直進して透過する。

【0038】
このように、光透過拡散層72を透過した光線の第2の方向Yにおける拡散角は、第1の方向Xにおける拡散角よりも小さい。第2の方向Yにおける拡散角は、第1の方向Xにおける拡散角の1/10以下であってもよい。例えば、第1の方向Xにおける拡散角よりも小さい。本実施の形態においては、第1の方向Xにおける拡散角は例えば60度であり、第2の方向Yにおける拡散角は例えば1度である。第2の方向Yにおける拡散角は、これに限定されず、例えば1度より小さくてもよい。

【0039】
複数の光線制御子7は、光透過拡散層72の第1の方向Xが中心軸Zに平行な垂直方向に一致しかつ第2の方向Yが水平方向に一致するように配置される。図3(d)に示すように、光線制御子7の光透過拡散層72に入射した光線は、第1の面FX内で第1の方向Xにおいて大きく拡散して光透過拡散層72を透過し、光反射層71の反射面で反射される。光反射層71の反射面で反射された光線は、第1の面FX内で第1の方向Xにおいて大きく拡散して光透過拡散層72を再び透過し、光透過拡散層72の表面から出射される。

【0040】
図3(e)に示すように、光線制御子7の光透過拡散層72に入射した光線は、第2の面FY内でわずかに拡散しつつほぼ直進して光透過拡散層72を透過し、光反射層71の反射面で反射される。光反射層71の反射面で反射された光線は、第2の面FY内でわずかに拡散しつつほぼ直進して光透過拡散層72を再び透過し、光透過拡散層72の表面から出射される。

【0041】
また、図2に示すように、複数の光線制御子7は、光透過拡散層72が複数の光線発生器2にそれぞれ対向するように、中心軸Zを中心とする円周上に等角度間隔で配置される。なお、複数の光線発生器2および複数の光線制御子7は、必ずしも等角度間隔で配置されなくてもよい。ただし、回転台63の回転を安定させるため、および複数の光線発生器2の制御を容易にするためには、本実施の形態のように複数の光線発生器2および複数の光線制御子7が等角度間隔で配置されることが好ましい。

【0042】
各光線制御子7における光線発生器2と対向する光透過拡散層72の面を入出射面と呼ぶ。本実施の形態では、光透過拡散層72は平面状の入出射面を有する。各光線発生器2から出射された光線群は、対応する光線制御子7の光透過拡散層72の入出射面に入射し、光透過拡散層72により垂直方向において拡散して透過し、光反射層71により反射される。光反射層71により反射された光線群は、光反射層71により垂直方向においてさらに拡散して透過し、光透過拡散層72の入出射面から出射される。光透過拡散層72の入出射面から出射された光線群は、天板51の孔部51hを通して天板51の下方から上方に導かれる。

【0043】
回転台63上の複数の光線発生器2および回転量計測器65は、信号伝送装置64を介して制御装置3に接続される。モータ61が作動することにより、回転軸62が回転台63、複数の光線発生器2および複数の光線制御子7とともに回転する。この場合、回転する各光線発生器2から出射される光線群は、対応する光線制御子7により垂直方向において拡散するとともに反射される。

【0044】
回転台63の回転速度は、図2の例のように、光線発生器2の数が6個の場合には1秒間に5回転以上であることが好ましい。回転台63の回転速度は、光線発生器2の数が4個の場合には1秒間に7.5回転以上であることが好ましく、光線発生器2の数が3個の場合には1秒間に10回転以上であることが好ましい。

【0045】
回転台63の回転速度は、光線発生器2の数が2個の場合には1秒間に15回転以上であることが好ましく、光線発生器2の数が1個の場合には1秒間に30回転以上であることが好ましい。すなわち、回転台63の回転速度は、光線発生器2の数がn個(nは自然数)の場合には、1秒間に30/n回転以上であることが好ましい。

【0046】
制御装置3は、記憶装置4に記憶される立体形状データに基づいて複数の光線発生器2を制御する。それにより、天板51の孔部51hの上方および下方に立体画像300が提示される。

【0047】
複数のカメラ8は、テーブル5の周囲にいる観察者10の顔を撮像するように配置される。複数のカメラ8により得られる画像データは、制御装置3に与えられる。制御装置3は、複数のカメラ8から与えられる画像データに基づいて各観察者10の眼の位置(視点)を算出し、後述する視点追跡による光線群の補正を行う。

【0048】
(2)光線発生器の動作
図4は、光線発生器2の動作を説明するための模式的平面図である。図5は、図4の光線制御子7付近の拡大平面図である。

【0049】
図4および図5には1つの光線発生器2のみが示される。図4および図5に示すように、光線発生器2はレーザ光からなる光線を出射する光線出射口Pを有する。光線発生器2は、光線出射口Pから光線を出射するとともに、上記のように、その光線を水平面内および垂直面内で偏向させることができる。

【0050】
光線発生器2が光線を水平面内で偏向させることにより、光透過拡散層72の入出射面を水平方向に走査することができる。また、光線発生器2が光線を垂直面内で偏向させることにより、光透過拡散層72の入出射面を垂直方向に走査することができる。それにより、光線発生器2は、光線で光透過拡散層72の入出射面を走査することができる。

【0051】
また、光線発生器2は、光線の方向ごとに光線の色を設定することができる。それにより、光線発生器2は、擬似的に複数の光線からなる光線群を出射する。

【0052】
図4において、光線発生器2は、複数の光線L1~L11を光線制御子7に照射する。光線L1~L11は、それぞれ任意の色に設定される。それにより、それぞれ設定された色の光線L1~L11が光線制御子7の光透過拡散層72を透過し、光反射層71の反射面の複数の位置P1~P11(図5)で反射される。複数の位置P1~P11で反射された複数の光線L1~L11は再び光透過拡散層72を透過する。

【0053】
光透過拡散層72は、水平方向において光線L1~L11をほとんど拡散させずにほぼ直線状に透過させるので、観察者10は、ある位置でほぼ一本の光線のみを視認することができる。また、光線制御子7は、光線L1~L11を垂直方向において大きく拡散させて透過させるので、観察者10は、ほぼ一本の光線を上下方向の任意の位置から視認することができる。

【0054】
図4および図5に示すように、光反射層71の反射面に関して光線発生器2の光線出射口Pと面対称となる点を仮想出射点Qと呼ぶ。光線発生器2の光線出射口Pから出射された光線群が光反射層71により反射されかつ光透過拡散層72により拡散される構成は、仮想出射点Qから出射される光線群が光透過拡散層72により拡散される構成とほぼ等価となる。そこで、次の図6および図7においては、理解を容易にするために、光線発生器2の図示を省略し、仮想出射点Qから光線群が出射されるモデルを用いて立体画像300の提示方法を説明する。

【0055】
(3)立体画像の提示方法
図6は、立体画像300の提示方法を説明するための模式的平面図である。図6においては、1つの光線発生器2に対応する仮想出射点Qが示される。図6においては、光線制御子7の図示が省略される。

【0056】
仮想出射点Qは、矢印の方向に移動する。なお、仮想出射点Qの移動方向は、図6の矢印の方向(反時計回り)に限定されず、時計回りであってもよい。例えば、天板51の孔部51hの上方または下方の位置PRに赤色の画素を提示する場合には、時刻tで仮想出射点Qから位置PRを通る方向に赤色の光線LR0を出射し、時刻t+1で仮想出射点Qから位置PRを通る方向に赤色の光線LR1を出射し、時刻t+2で仮想出射点Qから位置PRを通る方向に赤色の光線LR2を出射する。

【0057】
それにより、赤色の光線LR0,LR1,LR2の交点に点光源となる赤色の画素が提示される。この場合、観察者10の眼が位置IR0にある場合、位置IR1にある場合および位置IR2にある場合に、位置PRに赤色の画素が見える。

【0058】
同様にして、天板51の孔部51hの上方または下方の位置PGに緑色の画素を提示する場合には、時刻tで仮想出射点Qから位置PGを通る方向に緑色の光線LG0を出射し、時刻t+1で仮想出射点Qから位置PGを通る方向に緑色の光線LG1を出射し、時刻t+2で仮想出射点Qから位置PGを通る方向に緑色の光線LG2を出射する。

【0059】
それにより、緑色の光線LG0,LG1,LG2の交点に点光源となる緑色の画素が提示される。この場合、観察者10の眼が位置IG0にある場合、位置IG1にある場合および位置IG2にある場合に、位置PGに緑色の画素が見える。

【0060】
このようにして、各仮想出射点Qにより時分割で異なる位置から立体画像300の各位置を通る方向に提示すべき色の光線が出射される。

【0061】
回転する各仮想出射点Qから出射される光線群が小さな角度間隔ごとに制御されることにより天板51の孔部51hの上方および下方の空間が光線が交わった状態である光点群で十分に密に満たされる。それにより、円周上のいずれの方向から天板51の孔部51hの上方および下方を観察しても位置PR,PGを通過する適切な光線が目に入射することになり、人の目はそこに点光源があるように認識する。実物体の表面にて反射または拡散した照明光を人は物体として認識するので、物体の表面は点光源の集合とみなすことができる。すなわち、物体の表面としたいある位置PR,PGの色を回転する各仮想出射点Qから出射される光線によって適切に再現することにより、立体画像300を提示することができる。

【0062】
このようにして、立体画像300を天板51の孔部51hの上方および下方の空間に提示することができる。この場合、観察者10は、円周方向における異なる位置で同一の立体画像300をそれぞれ異なる方向から視認することができる。

【0063】
図7は、立体画像300の提示方法を説明するための模式的断面図である。図7においては、1つの光線発生器2の代わりに仮想出射点Qが示される。

【0064】
図7に示すように、仮想出射点Qから出射された光線は、光透過拡散層72で拡散角αで垂直方向において拡散される。それにより、観察者10は、拡散角αの範囲内において垂直方向の異なる位置で仮想出射点Qから出射される同じ色の光線を見ることができる。例えば、観察者10が視線を基準の位置Eから上方の位置E’に移動させた場合でも、立体画像300の同じ部分を見ることができる。この場合、垂直方向における観察者10の眼の位置により観察者10が視認する立体画像300の位置が移動する。このように、仮想出射点Qから出射された光線が光透過拡散層72で垂直方向において拡散されるため、観察者10が視線を上下に移動させても立体画像300を観察することができる。

【0065】
各仮想出射点Qから出射される光線群の各光線の色は、記憶装置4に記憶される立体形状データに基づいて制御装置3により各仮想出射点Qの回転位置ごとおよび光線の走査位置ごとに算出される。ここで、仮想出射点Qの回転位置とは、中心軸Zを中心とする基準の半径方向からの仮想出射点Qの回転角度をいう。

【0066】
具体的には、制御装置3は、立体形状データとして予め定義される三次元の立体形状の面と各光線との交点を求め、光線に与えるべき適切な色を算出する。制御装置3は、回転量計測器65の出力信号に基づいて各仮想出射点Qの回転位置を判定し、回転位置ごとおよび光線の走査位置ごとに算出した光線群の各光線の色に基づいて各光線発生器2を制御する。それにより、天板51の孔部51hの上方および下方に立体画像300が提示されるように、各仮想出射点Qから算出された色をそれぞれ有する光線が出射される。それにより、フリッカーが小さくかつ時間解像度が高いカラーの立体画像300を提示することができる。

【0067】
この場合、制御装置3は、立体形状データに基づいて各仮想出射点Qから出射されるべき各光線の色を色データとして回転位置ごとおよび光線の走査位置ごとに予め算出し、算出した色データを記憶装置4に記憶させてもよい。そして、立体画像300の提示の際に、回転量計測器65の出力信号に同期して記憶装置4から色データを読み出し、読み出した色データに基づいて各光線発生器2を制御してもよい。あるいは、制御装置3は、仮想出射点Qの回転中に回転量計測器65の出力信号に同期して立体形状データに基づいて各仮想出射点Qから出射されるべき各光線の色を色データとして算出し、算出した色データに基づいて各光線発生器2を制御してもよい。

【0068】
上記のようにして、本実施の形態に係る立体ディスプレイによれば、立体画像300の指向性表示が可能となる。

【0069】
(4)両眼視差の発生原理
ここで、本実施の形態に係る立体ディスプレイにおける両眼視差の発生原理について説明する。

【0070】
図8は、本実施の形態に係る立体ディスプレイにおける両眼視差の発生原理を説明するための模式的平面図である。図8には、互いに異なる4つの時点における仮想出射点Qが示される。4つの時点における仮想出射点Qをそれぞれ仮想出射点Qa,Qb,Qc,Qdと呼ぶ。

【0071】
図8において、観察者10が天板51の孔部51hの上方または下方の点P31を見た場合には、右眼100Rに仮想出射点Qaから出射された光線Laが入射し、左眼100Lに仮想出射点Qbから出射された光線Lbが入射する。また、観察者10が天板51の孔部51hの上方または下方の点P32を見た場合には、右眼100Rに仮想出射点Qcから出射された光線Lcが入射し、左眼100Lに仮想出射点Qdから出射された光線Ldが入射する。

【0072】
ここで、光線Laの色と光線Ldの色とは同じであり、光線Lbの色は光線Laの色と異なり、光線Lcの色は光線Ldの色とは異なるとする。この場合、点P31の色は見る方向により異なる。また、点P32の色も見る方向により異なる。

【0073】
光線Laにより立体画像300の点Paが作られ、光線Lbにより立体画像300の点Pbが作られ、光線Lcにより立体画像300の点Pcが作られ、光線Ldにより立体画像300の点Pdが作られる。

【0074】
図8の例では、立体画像300の点Paと点Pdとが同じ位置にある。すなわち、光線Laと光線Ldとの交点に立体画像300の点Pa,Pdが作られる。したがって、点Pa,Pdは、仮想的な点光源となすことができる。この場合、右眼100Rで点Pa,Pdを見る方向と左眼100Lで点Pa,Pdを見る方向とが異なる。すなわち、右眼100Rの視線方向と左眼100Lの視線方向との間に輻輳角がある。また、右眼100Rおよび左眼100Lで点P31,P32を見たときの点Pa~Pdの位置関係が異なる。すなわち視差が発生する。これにより、光線群により形成される画像の立体視が可能となる。

【0075】
(5)視点追跡による光線群の補正機能
複数の観察者10がテーブル5の周囲に着座している場合には、複数の観察者10の眼は、天板51の中心軸Zからほぼ一定の距離でかつほぼ一定の高さの位置(基準の位置)にあるとみなすことができる。そこで、図1および図2に示すように、複数の観察者10の眼が位置する円環状の領域を円環状視域500として設定する。

【0076】
制御装置3は、複数の観察者10の眼が円環状視域500にあるとみなして各光線発生器2を制御する。それにより、複数の観察者10の眼が円環状視域500にある場合に、複数の観察者10は、同じ高さに同じ形状の立体画像300を視認することができる。

【0077】
図7を用いて説明したように、垂直方向における観察者10の眼の位置により観察者10が視認する立体画像300の各画素の位置が移動する。そのため、観察者10の眼が円環状視域500から外れた位置にある場合には、立体画像300が変形して見える。

【0078】
そこで、本実施の形態に係る立体ディスプレイでは、カメラ8を用いた視点追跡により検出される各観察者10の眼の位置に基づいて各仮想出射点Q2から光透過拡散層72に照射される光線群が補正される。

【0079】
図9は、観察者10の眼が円環状視域500から外れた位置にある場合の光線群の補正を説明するための図である。

【0080】
図9において、円環状視域500は、天板51の中心軸Zから水平方向において距離d1でかつテーブル5の天板51から高さH1の位置にある。ここでは、立体画像300の1つの画素PIXを天板51の孔部51hの上方または下方の標準の位置PSに提示する方法について説明する。

【0081】
観察者10の眼が円環状視域500上の位置I1にある場合には、立体画像300の画素PIXの色を有する光線L31が仮想出射点Qから光透過拡散層72の位置P1に照射される。位置P1に照射された光線L31は、光透過拡散層72で垂直方向において拡散され、拡散された1本の光線が標準の位置PSを通過して位置I1にある観察者10の眼に入射する。それにより、位置I1に眼がある観察者10は、標準の位置PSに画素PIXを視認することができる。

【0082】
観察者10の眼が円環状視域500よりも上方の高さH2の位置I2にある場合には、立体画像300の画素PIXの色を有する光線L32が仮想出射点Qから光透過拡散層72の位置P2に照射される。位置P2に照射された光線L32は、光透過拡散層72で垂直方向において拡散され、拡散された1本の光線が標準の位置PSを通過して位置I2にある観察者10の眼に入射する。それにより、位置I2に眼がある観察者10は、標準の位置PSに画素PIXを視認することができる。

【0083】
観察者10の眼が円環状視域500と同じ高さで水平方向において中心軸Zから距離d2の位置I3にある場合には、立体画像300の画素PIXの色を有する光線L33が仮想出射点Qから光透過拡散層72の位置P3に照射される。位置P3に照射された光線L33は、光透過拡散層72で垂直方向において拡散され、拡散された1本の光線が標準の位置PSを通過して位置I3にある観察者10の眼に入射する。それにより、位置I3に眼がある観察者10は、標準の位置PSに画素PIXを視認することができる。

【0084】
具体的には、制御装置3は、カメラ8から与えられる画像データに基づいて観察者10の眼の位置の座標を算出する。観察者10の眼の位置が円環状視域500上にある場合には、制御装置3は、眼の位置と標準の位置PSとを通る直線が光透過拡散層72と交差する位置P1に画素PIXの色を有する光線L31が照射されるように光線発生器2を制御する。

【0085】
観察者10の眼が円環状視域500から外れた位置にある場合には、制御装置3は、眼の位置と標準の位置PSとを通る直線が光透過拡散層72と交差する位置に画素PIXの色を有する光線が照射されるように光線発生器2を制御する。

【0086】
このようにして、制御装置3は、観察者10の眼の位置に応じて標準の位置PSに画素PIXを提示するための光線の方向を補正する。換言すると、制御装置3は、観察者10の眼の位置に応じて画素PIXの色を有する光線が観察者10の眼に入射するように、仮想出射点Qから出射される光線群の各光線の色を補正する。その結果、観察者10は、眼の位置にかかわらず同一の形状を有する立体画像300を視認することができる。

【0087】
なお、観察者10の眼が円環状視域500と標準の位置PSとを通る直線上にある場合には、観察者10の眼が円環状視域500から外れた位置I4にあっても、観察者10の眼が円環状視域500上にある場合と同様に、立体画像300の画素PIXの色を有する光線L31が仮想出射点Qから光透過拡散層72の位置P1に照射される。それにより、観察者10は、標準の位置PSに画素PIXを視認することができる。

【0088】
このように、観察者10の眼の位置に応じて仮想出射点Qから出射される光線群を補正することにより観察者10の眼の位置にかかわらず立体画像300が変形することなく提示される。

【0089】
本実施の形態においては、カメラ8から与えられる画像データに基づいて観察者10の眼の位置の座標が算出されるが、これに限定されない。例えば、レーダーまたはソナー等の物体探知機構が立体ディスプレイに設けられ、物体探知機構から与えられるデータに基づいて観察者10の眼の位置の座標が算出されてもよい。

【0090】
また、本実施の形態においては、複数の観察者10にそれぞれ対応して複数のカメラ8が設けられるが、これに限定されない。1または複数の観察者10に対応しないように1または複数のカメラ8が設けられてもよい。例えば、1または複数の観察者10の顔を撮像するように1個のカメラ8が設けられてもよい。

【0091】
(6)変形例
図10は、第1の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。図10に示すように、第1の変形例における光反射層71は曲面状の反射面を有するミラーである。光透過拡散層72は、曲面状の入出射面を有するシートである。

【0092】
光反射層71の反射面および光透過拡散層72の入出射面は凸状の曲面であってもよいし、凹状の曲面であってもよい。この場合、反射面および入出射面の曲率を調整することにより、光線制御子7により反射される光線の方向を適切に調整することができる。

【0093】
例えば、光線発生器2が走査型プロジェクタである場合、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)ミラーが水平方向に一定の幅で往復運動することにより、光線が水平および垂直方向に走査される。ここで、MEMSミラーの往復運動の往復幅が小さい場合、MEMSミラーの運動の制御を容易に行なうことができる反面、光線発生器2の水平および垂直方向の画角が小さくなる。

【0094】
このような場合でも、反射面および入出射面を凸状にすることにより、光線制御子7により反射される光線の水平および垂直方向の角度間隔を大きくすることができる。これにより、MEMSミラーの往復運動の往復幅を大きくすることなく、小さい投射角度で大きい立体画像300を提示することができる。

【0095】
また、MEMSミラーを往復運動させる場合において、運動方向の切り替え時には、慣性制御のため回転速度を低下させることが好ましい。この場合、光線発生器2から出射される光線のうち、往復の運動方向が変化する領域(画角の外側の領域)における光線の角度間隔は小さくなり、画角の中央方向の領域における光線の角度間隔は大きくなる。このような場合でも、反射面および入出射面の曲率を局所的に変化するように構成することにより、光線制御子7により反射される光線の角度間隔を一様にすることができる。

【0096】
また、光線発生器2に画角を固定するためのレンズが設けられている場合でも、反射面および入出射面が曲率を有する光線制御子7を用いることにより、光線制御子7により反射される光線の方向を変更することができる。

【0097】
図11は、第2の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。本例では、光線制御子7は、第1の方向Xが垂直方向から所定の角度だけ傾斜するように配置されている。光線制御子7は、光透過拡散層72の入出射面が斜め上方を向くように傾斜している。この場合、光線制御子7は、より上方の空間に光線群を出射することができる。

【0098】
図12は、第3の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。本例では、光線発生器2は、中心軸Zに関して光線制御子7と反対側に配置されている。この場合、画角が小さい走査型プロジェクタであるにもかかわらず、大きい立体画像300を提示することができる。また、光線の走査範囲を大きくする必要がないので、光線発生器2の制御を容易にすることができる。

【0099】
図13は、第4の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。本例では、光線制御子7とこれに対応する光線発生器2との間の光路上にミラー73が配置されている。この場合、光線発生器2から出射された光線は、ミラー73により反射されて光線制御子7の光透過拡散層72の入出射面に入射する。また、光路上には、2個以上のミラー73が配置されてもよい。

【0100】
この構成によれば、図12の光線発生器2の配置よりもさらに光線の光路を長くすることができる。そのため、画角がより小さい走査型プロジェクタを用いて大きい立体画像300を提示することができる。また、光線の走査範囲をより小さくすることができるので、光線発生器2の制御を容易にすることができる。さらに、光線発生器2の配置の自由度を増加させることができる。

【0101】
図14は、第5の変形例に係る立体ディスプレイの構成を示す模式図である。この第5の変形例に係る立体ディスプレイにおいては、中心軸Z上に光線発生器2が配置され、光線発生器2の上方にミラー73が配置される。光線発生器2から出射された光線は、ミラー73により反射されて光線制御子7の光透過拡散層72の入出射面に入射する。

【0102】
第5の変形例においては、光線制御子7とミラー73とが回転モジュール6により回転され、光線発生器2は回転モジュール6により回転されない。この構成によれば、1組の光線発生器2、光線制御子7およびミラー73により立体画像300を提示することができる。

【0103】
また、第5の変形例においては、光線発生器2の上方にミラー73が配置され、光線発生器2は上方に光線を出射するが、これに限定されない。光線発生器2の下方にミラー73が配置され、光線発生器2は下方に光線を出射してもよい。

【0104】
(7)効果
本実施の形態においては、光線制御子7の光透過拡散層72と光反射層71とが互いに積層されるので、光透過拡散層72と光反射層71との間に光の経路が存在しない。そのため、光線発生器2が出射すべき光線群の算出において、光透過拡散層72と光反射層71との位置関係を変動パラメータから除外することができる。それにより、光線群の算出処理が単純化される。また、光透過拡散層72と光反射層71とを積層することにより、光線制御子7を容易に製造することができる。さらに、光透過拡散層72と光反射層71との位置関係の調整が不要となる。これらの結果、正確な立体画像300をより容易に表示することができる。

【0105】
(8)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。

【0106】
上記実施の形態では、立体画像300が立体画像の例であり、光線発生器2が光線発生器の例であり、光透過拡散層72が光透過拡散層の例であり、光反射層71が光反射層の例である。光線制御子7が光線制御子の例であり、回転モジュール6が回転機構の例であり、制御装置3が制御部の例であり、ミラー73がミラーの例であり、カメラ8が検出部の例である。

【0107】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
(9)参考形態
(9-1)本参考形態に係る立体ディスプレイは、立体形状データに基づいて立体画像を提示するための立体ディスプレイであって、複数の光線からなる光線群を出射する光線発生器と、互いに積層された光透過拡散層と光反射層とを含む光線制御子と、光線制御子を回転中心軸の周りで回転させる回転機構と、光線発生器を制御する制御部とを備え、光線制御子は、光透過拡散層が回転中心軸と光反射層との間に位置するように配置され、光線発生器は、回転機構により回転される光線制御子の光透過拡散層に向けて光線群を出射するように設けられ、光透過拡散層は、入射する光線群を垂直方向において拡散させて透過させるように形成され、光反射層は、光透過拡散層を透過した光線群を反射するように形成され、制御部は、立体形状データに基づいて、光反射層により反射されて光透過拡散層を透過した光線群により立体画像が提示されるように光線発生器を制御する。
この立体ディスプレイにおいては、光透過拡散層が回転中心軸と光反射層との間に位置するように光線制御子が配置される。光線発生器が回転機構により回転される光線制御子の光透過拡散層に向けて複数の光線からなる光線群を出射する。
この場合、光透過拡散層は、光線発生器により出射された光線群を透過させるとともに垂直方向において拡散させて透過させる。光反射層は、光透過拡散層を透過した光線群を反射する。光透過拡散層は、光反射層により反射された光線群を垂直方向においてさらに拡散させて透過させる。
光反射層により反射されて光透過拡散層を透過した光線群により立体画像が提示されるように、立体形状データに基づいて制御部により光線発生器が制御される。これにより、光反射層により反射されて光透過拡散層を透過した光線群を観察した観察者は、立体画像を視認することができる。
ここで、光線制御子の光透過拡散層と光反射層とが互いに積層されるので、光透過拡散層と光反射層との間に光の経路が存在しない。そのため、光線発生器が出射すべき光線群の算出において、光透過拡散層と光反射層との位置関係を変動パラメータから除外することができる。それにより、光線群の算出処理が単純化される。また、光透過拡散層と光反射層とを積層することにより、光線制御子を容易に製造することができる。さらに、光透過拡散層と光反射層との位置関係の調整が不要となる。これらの結果、正確な立体画像をより容易に表示することができる。
(9-2)回転機構は、光線制御子とともに光線発生器を回転中心軸の周りで回転させてもよい。
この場合、光線発生器は、簡単な構成で回転する光線制御子の光透過拡散層に向けて光線群を出射することができる。
(9-3)光線制御子は複数設けられ、光線発生器は、複数の光線制御子にそれぞれ対応して複数設けられ、複数の光線発生器は、それぞれ対応する光線制御子に向けて光線群を出射するように設けられてもよい。
この場合、回転機構による光線発生器の回転速度が比較的低い場合でも、フリッカー(発光点のちらつき)が小さくかつ時間解像度が高い立体画像を提示することが可能となる。
(9-4)複数の光線制御子および複数の光線発生器は、回転中心軸を中心に等角度間隔で配置されてもよい。
この場合、回転機構による複数の光線制御子および複数の光線発生器の回転をより安定化することができる。また、制御部による光線発生器の制御をより容易にすることができる。
(9-5)光線発生器は、回転中心軸の方向に光線群を出射するように配置され、光線発生器により出射された光線群を光線制御子に向けて反射するミラーがさらに設けられ、回転機構は、ミラーを光線制御子とともに回転中心軸の周りで回転させてもよい。
この場合、回転するミラーを介して回転する光線制御子の光透過拡散層に光線群を出射する。これにより、光線発生器は、簡単な構成で回転する光線制御子の光透過拡散層に向けて光線群を出射することができる。
(9-6)立体ディスプレイは、観察者の眼の位置を検出する検出部をさらに備え、制御部は、検出部により検出された眼の位置に基づいて、光線発生器を制御してもよい。
観察者の眼の位置が異なると、観察者が視認する立体画像が変形する。このような場合でも、検出部により検出された眼の位置に基づいて光線発生器が制御されることにより、観察者の眼の位置による立体画像の変形を防止することが可能になる。
(9-7)制御部は、光線発生器により光線制御子に出射される光線の色を光線制御子の回転位置ごとに制御してもよい。
この場合、光線制御子の回転位置ごとに制御される複数の光線の交点にそれぞれ色を有する複数の点光源が生成される。それにより、フリッカーが小さくかつ時間解像度が高いカラーの立体画像を提示することができる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、立体画像を表示する種々の立体ディスプレイに有効に利用することができる。
【符号の説明】
【0109】
2 光線発生器
3 制御装置
4 記憶装置
5 テーブル
6 回転モジュール
7 光線制御子
8 カメラ
10 観察者
51 天板
51h 孔部
52 脚
61 モータ
62 回転軸
63 回転台
64 信号伝送装置
65 回転量計測器
71 光反射層
72 光透過拡散層
73 ミラー
100L 左眼
100R 右眼
300 立体画像
500 円環状視域
d1,d2 距離
E,E’,I1~I3,IG0~IG2,IR0~IR2,P1~P11,PG,PR,PS 位置
FX 第1の面
FY 第2の面
H1,H2 高さ
L1~L11,L31~L33,La~Ld,LG0~LG2,LR0~LR2 光線
P 光線出射口
P31,P32,Pa~Pd 点
PIX 画素
Q,Qa~Qd 仮想出射点
X 第1の方向
Y 第2の方向
Z 中心軸
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13