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明細書 :整流装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4826404号 (P4826404)
公開番号 特開2008-075258 (P2008-075258A)
登録日 平成23年9月22日(2011.9.22)
発行日 平成23年11月30日(2011.11.30)
公開日 平成20年4月3日(2008.4.3)
発明の名称または考案の名称 整流装置
国際特許分類 E03F   5/04        (2006.01)
E02B   5/00        (2006.01)
F16L  55/00        (2006.01)
E03F   3/04        (2006.01)
FI E03F 5/04 A
E02B 5/00 Z
F16L 55/00 G
E03F 3/04 Z
請求項の数または発明の数 4
全頁数 7
出願番号 特願2006-252561 (P2006-252561)
出願日 平成18年9月19日(2006.9.19)
審査請求日 平成21年4月3日(2009.4.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
【識別番号】506316889
【氏名又は名称】株式会社大広エンジニアリング
発明者または考案者 【氏名】羽田野 袈裟義
【氏名】中島 俊之
個別代理人の代理人 【識別番号】100098785、【弁理士】、【氏名又は名称】藤島 洋一郎
【識別番号】100109656、【弁理士】、【氏名又は名称】三反崎 泰司
審査官 【審査官】西田 秀彦
参考文献・文献 特開2001-123435(JP,A)
特開平08-193687(JP,A)
特開昭61-225420(JP,A)
特開昭58-033625(JP,A)
調査した分野 E03F 5/04
E02B 5/00
E03F 3/04
F16L 55/00
特許請求の範囲 【請求項1】
液体流路の向きが水平方向に変化する屈曲部に設けられる整流装置であって、
前記液体流路の底面に対して平行に、かつ上下に所定の間隔をおいて設置される複数の水平板と、
前記複数の水平板を液体流路に固定する固定手段と
を備えたことを特徴とする整流装置。
【請求項2】
前記複数の水平板のうちの最上段以外の水平板はそれぞれ上下に貫通する複数の孔を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の整流装置。
【請求項3】
前記複数の水平板に垂直に、かつ液体流路に沿って垂直板が配置されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の整流装置。
【請求項4】
前記複数の水平板は、前記屈曲部の前後にわたって配置されている
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の整流装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、流路の向きが変化する屈曲部などの液面が上昇する可能性のある箇所において、液体の乱れを整え、溢流を抑えるための整流装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水路などの水路では、時間雨量が多く、雨水の流入が集中した場合、流速が速いために、許容水量内であっても、流路の向きが変化する屈曲部において流れに渦や波動、空気の巻き込みが生じる。このため局所的な液面上昇を引き起し、水路から水が溢れ浸水被害が発生することがある。このようなことは流路幅が急に狭まる箇所においても起こりうるものであり、全国のいたるところで発生している。
【0003】
その対策として、水路全体または水路の要所に流れを減勢するための構造を設けるという提案がなされている(例えば特許文献1など)。

【特許文献1】特開2001-3437
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した水流を減勢する従来の構造は、時間当たりの流量が多い場合には、その構造自体が水流を乱し、渦や波動を生じる原因となりうる。特に水路の屈曲部などにおいては渦や波動、空気の巻き込みが生じやすく、流下しきれない水は上方向に盛り上がり、局所的な液面上昇となる。このような屈曲部での局所的な液面上昇を抑制し、溢流の防止を図る対策が望まれている。
【0005】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、流路内、特に屈曲部や流路幅が変化する箇所での液面上昇を抑制し、溢流を防止することができる整流装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体流路の向きが水平方向に変化する屈曲部に設けられる整流装置であって、液体流路の底面に対して平行に、かつ上下に所定の間隔をおいて設置される複数の水平板と、複数の水平板を液体流路に固定する固定手段とを備えたものである。
【0007】
この整流装置では、流量が多くなっても水平板によって整流されると共に液面上昇が抑制される。
【0008】
本発明の整流装置では、複数の水平板のうち、最上段以外の水平板については、複数の孔を設けることにより、水の上下の移動を許容する構造としてもよい。
【0009】
本発明の整流装置では、また、複数の水平板に垂直に、かつ液体流路に沿って1または複数の垂直板を配置し、横方向の流れを整える構造としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の整流装置によれば、複数の水平板を流路の向きが水平方向に変化する屈曲部に設置するようにしたので、屈曲部などの箇所での局所的な液面上昇を抑制し、溢流、浸水被害の発生を防止することができる。


【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
〔第1の実施の形態〕
図1および図2は本発明の第1の実施の形態に係る整流装置1の構成を表したものである。図1は整流装置1を水路2の屈曲部2Aの前後にわたって設置した状態、図2は図1のII-II線での断面構造をそれぞれ表すものである。
【0013】
この整流装置1は、複数、ここでは3枚の水平板10(10A~10C)を備えたものである。水平板10A~10Cは複数の支持部11により一体化されており、これら水平板10A~10Cおよび支持部11は設置板12によって、例えば水路2の底部に固定されている。複数の水平板10は上下に一定の間隔で水平に配置されると共に設置板12と平行に配設されている。なお、設置板12を設けることなく、水平板10A~10Cを水路2の側壁に固定するようにしてもよい。なお、ここでは水平板10を水平に設置としているが、多少の傾きがある場合も含むものである。
【0014】
整流装置1の高さは、最上部の水平板10Aが水路2の深さに対して底面から例えば8割の位置になるように設定されるが、水路2の上縁と実質的に同じ高さに水平板10Aを設置することがより好ましい。水平板10A~10Cの幅は、水路2と同じ幅であることが好ましい。水平板10A~10Cおよび支持部11は、設置板12を介して例えばアンカーボルトなどにより水路2の底部に固定されている。なお、水平板10の数と各段の間隔は、水路2の幅、傾斜、許容水量などにより異なる。
【0015】
水平板10は、例えば綱板などの硬質でかつ密度が水のそれより充分大きな材料で構成され、その表面は、水の抵抗とならない形状となっている。なお、水平板10の上流側の端面は、水の抵抗の少ない、例えば鋭角状の形状とすることが好ましい。水平板10A~10Cのうち最上段以外の水平板10B,10Cには複数の孔が設けられており、これら孔を介して水の圧力を開放すると共に、水の上下移動を許容するようになっている。
【0016】
設置板12も水平板10と同じ材質により構成することができるが、水路2の底面に接する側の面は、例えば細かい凹凸などの摩擦の大きな構造とすることが好ましい。なお、整流装置1を固定せずに設置可能とするために、設置板12の下流側端面に水路底面に向けて複数の突起を設け、水路底面との摩擦が大きくなるようにし、整流装置1の滑動を防止するようにしてもよい。また、設置板12は主として水路2の底面に固定するためのものであり、支柱部11を直接水路2の底部に固定する構成とするような場合には、設置板12は不要となる。
【0017】
支持部11も水平板10と同じ材質により構成することができ、例えば円,楕円など水の抵抗が少ない形状を有している。
【0018】
本実施の形態の整流装置1を設置する場合には、水路2の幅、深さ、底面の形状などを予め測定し、屈曲部2Aの前後にわたるように水路2にあった水平板10および支柱部11を作成し、組み立てる。この際、施工性を考慮して、例えば水平板10を図1に示した分割線X1,X2で分割してもよい。すなわち、水平板10を屈曲部2Aの分割線X2で2分し、さらに2分されたそれぞれを分割線X1に沿って水路2の半幅で2分し、それぞれの部品を予め組み立てたのちに設置するものである。
【0019】
なお、図3に表したように、1枚の水平板10と設置板12とそれらを支える支柱部11により構成される整流装置を複数段積み重ねる構成としてもよい。例えば、整流装置1Aを水路2の底面に設置板12を介して固定し、その上にもう1つの整流装置1Bを積み重ね、下段の整流装置1Aの水平板10に上段の整流装置1Bの設置板12を固定するものである。
【0020】
本実施の形態の整流装置では、時間雨量が多く水路2の屈曲部2Aに雨水が集中した場合においても、水平板10によって水の渦や波動が強制的に整えられ、局所的な液面上昇が抑制される。
【0021】
このように本実施の形態では、屈曲部2Aの前後にわたって整流装置1を設置するようにしたので、時間当たりの流量が多い場合でも、局所的な液面上昇を抑えることができ、溢流、浸水被害を防止することが可能になる。
【0022】
また、本実施の形態の整流装置1は、水路2の幅や形状に関係なく適合させることが可能であり、既設の水路に容易に設置することできる。
【0023】
以上、第1の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、整流装置1の流下能力を下げないために、支柱部11の体積および数はできるだけ少なくするようにしてもよく、支柱部11を用いることなく、水平板11を水路2の側壁に直接固定するようにしてもよい。また、図3に示した整流装置1A,1Bにおいても、水平板10と設置板12とを1つの支柱部11で固定するようにしてもよい。
【0024】
〔第2の実施の形態〕
図4は本発明の第2の実施の形態に係る整流装置3の構成を表したものである。本実施の形態は、第1の実施の形態が水平方向に折れ曲がる屈曲部2Aに適用した例であるのに対し、屈曲部2B、すなわち流路底面勾配が流下方向に変化する箇所に整流装置3を適用したものである。
【0025】
この整流装置3は、複数の水平板10に対して複数の垂直板21を交差するように配置したものであり、垂直板21は水平板10を支持する機能を有すると共に、横方向の整流機能を有している。
【0026】
本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様に、水路2へ多量の雨水が流入した場合、屈曲部2Bにおいては、水平板10および垂直板21によって水の渦や波動が強制的に整えられる。その結果、水は速やかに流下し、これにより局所的な液面上昇を抑え、屈曲部2B付近からの溢流を防止することができる。なお、本実施の形態でも、水路の幅や水路の形状に適合させることが容易であり、既設の水路に設置することできるため施工性が優れている。
【0027】
なお、上記実施の形態では、本発明の整流装置を水路の屈曲部に適用した例について説明したが、複数の水路が合流する合流部や、図5に示したような、流路幅が狭まるように変化する箇所(幅変化部2C)においても、液面が急激に上昇することがあり、これらの箇所においても本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る整流装置の構成を表す平面図である。
【図2】図1のII-II線に沿った断面図である。
【図3】第1の実施の形態の変形例を説明するための図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る整流装置の構成を表す図である。
【図5】整流装置を流路幅が変化する箇所に設置した構成を表す図である。
【符号の説明】
【0029】
1,1A,1B,3,4…整流装置,2…水路、2A,2B…屈曲部、2C…幅変化部、10,10A,10B,10C…水平板、11…支柱部、12…設置板、21…垂直板。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4